2026/04/22 更新

写真a

ナカイ マキ
中井 真木
所属
国際学術院 国際教養学部
職名
准教授
学位
博士(学術) ( 2015年09月 東京大学 )
修士(学術) ( 2004年03月 東京大学 )
学士(教養) ( 2002年03月 東京大学 )
学士(文学) ( 2000年03月 東京大学 )
プロフィール

日本の歴史や文化、特に平安時代から鎌倉時代の男性の服装について研究してきました。規範と逸脱の政治力、服装を記録する者のバイアス、「よそもの」が文化の体現者となることなどに関心があります。近年は、江戸時代に平安以来の故実がどのように研究されたのかにも興味を持っています。

縁あって、大学院生のころより英語を教える機会や英語を使う機会が増え、一時期は常勤の英語教員として働いていました。現在は、英語学位プログラムにおいて日本史と日本文化を教えています。

経歴

  • 2025年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   国際教養学部   准教授

  • 2022年04月
    -
    2025年03月

    明治大学   大学院   特任准教授

  • 2017年04月
    -
    2022年03月

    明治大学   大学院   特任講師

  • 2012年04月
    -
    2017年03月

    早稲田大学   国際教養学部   助手

学歴

  • 2002年04月
    -
    2012年03月

    東京大学   総合文化研究科   超域文化科学専攻  

  • 2000年04月
    -
    2002年03月

    東京大学   教養学部   超域文化科学科  

    比較日本文化論分科

  • 1998年04月
    -
    2000年03月

    東京大学   文学部   歴史文化学科  

    考古学専修課程

  • 1996年04月
    -
    1998年03月

    東京大学   教養学部   前期課程  

研究分野

  • 日本史

研究キーワード

  • 中世史、文化史、服装史、学際研究

 

論文

  • 平安朝廷社会における服装と秩序

    中井真木

    鷹陵史学   ( 50 ) 3 - 21  2025年09月  [招待有り]

     概要を見る

    公開講演会「服装が描く秩序の創造 : 新しい政治史のために」

  • 『枕草子』に描かれた男性の宿直装束について

    中井 真木

    Waseda Global Forum   ( 12 ) 179 - 195  2016年03月  [査読有り]

     概要を見る

    『枕草子』は10世紀最末の日本の朝廷における服装を知るための重要史料である。本稿は、同書中の男性の宿直装束に関するいくつかの記述を再検討し、新たな解釈として、初雪見参の描写や、六位には直衣の着用が許されないという規定を背景とした展開、そしてそれゆえに直衣は五位以上の殿上人を象徴する服装となり、『枕草子』において称賛される姿となった点を論じる。

    CiNii

  • 近習と直衣

    中井 真木

    明月記研究   ( 14 ) 179 - 189  2016年02月

  • 直衣の定義の変遷と語義説 : 宿直の衣から常の服へ

    中井 真木

    Waseda Global Forum   11 ( 11 ) 137 - 159  2015年03月  [査読有り]

     概要を見る

    直衣に対する今日の通説的な理解には、史料との大きな矛盾があるが、その一因には、直衣が、専ら上位貴族の「日常着」や「私服」と捉えられていることがある。本稿は、近世以降の学史を辿ることで、今日では専ら「常の服」や「ただの服」を意味すると説かれる「直衣」の語義が、伊勢貞丈の説から発しており、必ずしも根拠のあるものではないことを明らかにする。そして、貞丈以前に野宮定基等が示し、貞丈等の批判の対象となったことで等閑視されるに至った、「宿直の服」としての性格を再評価する必要性を説く。

    CiNii

  • 後鳥羽院宇治御所と九条家

    中井 真木

    明月記研究   ( 13 ) 117 - 131  2012年01月

  • 公家の直垂: 定家の頼実批判

    中井 真木

    明月記研究   ( 11 ) 125 - 137  2007年12月

  • 平安男性貴族の服装への眼差し

    中井 真木

    동아시아문화연구(東アジア文化研究)   ( 61 ) 35 - 59  2015年05月  [査読有り]

  • 室内装飾としての衣服: 絵巻物における衣架の表現とその不在

    中井 真木

    年報非文字資料研究   ( 7 ) 377 - 388  2011年03月  [査読有り]

    CiNii

  • 2009年度非文字資料研究センター第4回公開研究会 EBIKI -日本文化研究資料としての「絵引」-—News Letter

    ボチャラリ, ジョン, Boccellari, John, 中井, 真木, Nakai, Maki, マンジャン, アレクサンドル, Manjin, Alexandre, 君, 康道, Kimi, Yasumichi, 韓, 東洙, Han, Dong Soo, 福田, アジオ, Fukuta, Ajio

    非文字資料研究   ( 24 ) 2 - 7  2010年07月

     概要を見る

    Departmental Bulletin Paper
    第4回公開研究会報告

    CiNii

  • Courtier Robes and Warrior Robes: Representation of Identity in Early Medieval Japan.

    Maki Nakai

    UTCP Bulletin   ( 8 ) 54 - 65  2007年

  • (翻訳)繰り返される人生: 無限の愛の環

    キャラハン ヴィッキー, 中井真木

    言語文化   ( 23 ) 222 - 241  2006年03月

    CiNii

  • Translating the Terms for Colors of Medieval Japan.

    Maki Nakai

    Windows on Comparative Literature   ( 1 ) 15 - 22  2005年12月

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書籍等出版物

  • 『マルチ言語版 絵巻物による日本常民生活絵引』第4巻

    ( 担当: 共訳)

    神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター  2018年03月 ISBN: 9784904124246

  • 王朝社会の権力と服装: 直衣参内の成立と意義

    中井 真木( 担当: 単著)

    東京大学出版会  2018年03月

     概要を見る

    平安時代の日本の朝廷において、服装は権力の掌握や維持にどう用いられていたのだろうか。10世紀頃に登場する直衣は、従来より上位貴族の特権的服装であると説明されてきたものの、その具体的様相は解明されておらず、史料に照らすと明らかに誤った説明もしばしばなされてきた。本書では、殿上人の勤務に関わる「雑袍勅許」や、摂関政治から院政への展開の中で外戚や近習の公卿の特権となり、更には家格の表象へと転じた「直衣参内」の制度等を整理し、「令外」の服装である直衣と権力とのかかわりを解き明かす。

  • 世界の中の柳田国男

    R・A・モース(編), 赤坂憲雄(編), 菅原克也(監訳), 伊藤由紀(訳), 中井真木(訳)( 担当: 共訳)

    藤原書店  2012年11月 ISBN: 9784894348820

  • マルチ言語版 絵巻物による日本常民生活絵引 第3巻

    「マルチ言語版絵巻物による日本常民生活絵引」編纂共同研究班( 担当: 共訳)

    神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター  2011年03月 ISBN: 9784904124161

  • マルチ言語版 絵巻物による日本常民生活絵引 第1巻

    神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」第1班( 担当: 共訳)

    神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」研究推進会議  2008年02月 ISBN: 9784990301743

  • マルチ言語版 絵巻物による日本常民生活絵引 第2巻

    神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」第1班( 担当: 共訳)

    神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」研究推進会議  2007年03月 ISBN: 9784990301729

  • 古代中世の政治と権力

    義江彰夫編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 吾妻鏡に見る将軍の装い--直衣着用を中心に)

    吉川弘文館  2006年02月 ISBN: 4642024468

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講演・口頭発表等

  • 女礼の師となった武士: 近世後期の情報交換の別チャンネル

    中井真木

    アジア研究協会年次大会2026   (バンクーバー・コンベンション・センター)  アジア研究協会  

    発表年月: 2026年03月

  • 細長を求めて:失われた平安装束をめぐる論争

    中井真木

    (上智大学)  上智大学比較文化研究所  

    発表年月: 2025年01月

  • 平安朝廷社会における服装と秩序

    中井真木  [招待有り]

    鷹陵史学会第三十三回年次研究大会   (佛教大学)  鷹陵史学会  

    発表年月: 2024年09月

  • 19世紀京都における身体知の十字路

    中井真木

    第12回アジア研究国際大会   (アイルランガ大学)  アジア研究国際大会  

    発表年月: 2024年08月

     概要を見る

    パネル「江戸時代における知の生産・伝達・流布のオルタナティブな経路」

  • 鎌倉時代における故実記録の収集

    中井真木

    ヨーロッパ日本研究協会第17回国際会議   (ゲント大学)  ヨーロッパ日本研究協会  

    発表年月: 2023年08月

     概要を見る

    パネル発表「つながりをつくる:データ収集と共有の今昔」

  • 中世前期の直衣始について

    中井 真木

    第109回史学会大会   (東京・東京大学本郷キャンパス) 

    発表年月: 2011年11月

  • 日本服装史のニューフロンティア

    中井真木  [招待有り]

    2025年中国人民大学国際サマースクール   (オンライン(中国人民大学 / 東京大学))  中国人民大学 / 東京大学  

    発表年月: 2025年07月

  • 彼女の人生譚を聴きなおす:近世東アジアにおける女性と伝記

    衣若蘭, ベティーナ・グラムリヒ=オカ, 中井真木

    アジア研究協会アジア大会2025   (ラディソンホテル カトマンズ)  アジア研究協会  

    発表年月: 2025年06月

  • 平安時代の仏事と装束

    中井真木  [招待有り]

    明治大学リバティアカデミー「紫式部と仏教世界」第2回   (明治大学駿河台キャンパス)  明治大学リバティアカデミー  

    発表年月: 2025年05月

  • 装いと⼒:服装から平安貴族社会を読み解く(装束与权力:从服装角度解读平安时代的贵族社会)

    中井真木  [招待有り]

    南京大学集中講義(南京大学- 东京大学“表象文化”通识课程)第6回   (南京大学)  東京大学リベラルアーツ・プログラム  

    開催年月:
    2025年03月
     
     
  • 装いと⼒:服装から平安貴族社会を読み解く

    中井真木  [招待有り]

    学術フロンティア講義「装う」第 10 回   (東京大学駒場キャンパス)  東京大学リベラルアーツ・プログラム  

    発表年月: 2024年12月

  • 紫式部と清少納言の「衣」

    中井真木  [招待有り]

    明治大学リバティアカデミー講座「紫式部と清少納言の「衣」「食」「住」」第2回   (明治大学駿河台キャンパス)  明治大学リバティアカデミー  

    発表年月: 2024年11月

  • 好古趣味の源流と展開

    中井真木  [招待有り]

    日本の人名データベースを紹介する   (上智大学)  上智大学比較文化研究所  

    発表年月: 2024年11月

  • 近世好古家による女性装束の探求

    [国際共著]

    (大邱市・慶北大学校)  アメリカアジア学会  

    発表年月: 2023年06月

    開催年月:
    2023年06月
     
     
  • 王朝故実を我が物とする: あるアウトサイダーの挑戦

    第16回ヨーロッパ日本研究協会国際学会   (Whova(オンライン)) 

    発表年月: 2021年08月

    開催年月:
    2021年08月
     
     
  • 下襲のひろがり:院政期の故実を中心に

     [招待有り]

    国際学術研究会「交響する古代 Ⅸ」   (東京)  明治大学古代学研究所  

    発表年月: 2019年01月

    開催年月:
    2019年01月
     
     
  • 平安朝における白衣について

    中井 真木

    2016年アメリカアジア学会年次大会  

    発表年月: 2016年04月

  • 平安男性貴族の服装への眼差し

    中井 真木  [招待有り]

    グローバル時代と東アジアの文化表象: 芸術文化の表象を中心に   (韓国ソウル市・漢陽大学校)  漢陽大学校東アジア文化研究所  

    発表年月: 2015年02月

  • 衣服と風流と唐物: 十二~十三世紀朝廷社会の一側面

    中井 真木

    韓国日本学会第86回国際学術大会   (韓国ソウル市・高麗大学校) 

    発表年月: 2013年02月

  • 袖細・上衣・直垂: 絵引の名付けをめぐって

    中井 真木  [招待有り]

    神奈川大学非文字資料研究センター 2009年度第4回公開研究会「EBIKI-日本文化研究資料としての「絵引」」  

    発表年月: 2009年12月

  • インターネットと平安装束

    中井 真木

    第12回ヨーロッパ日本研究協会国際会議   (イタリアレッチェ市・サレント大学) 

    発表年月: 2008年09月

  • 『歴世服飾考』とその歴史観

    中井 真木

    韓国日本言語文化学会 2007年度秋季国際学術大会   (韓国ソウル市・世宗大学校) 

    発表年月: 2007年11月

  • 色の庭: 中世日本の装束にみる色彩と文様

    第9回日本アジア研究学会   (東京・上智大学市ヶ谷キャンパス) 

    発表年月: 2005年06月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 近世考証研究の多角的広がりに関する国際共同研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2025年04月
    -
    2028年03月
     

    中井 真木, 小林 ふみ子, グラムリヒ・オカ ベティーナ

  • 近世後期の好古・考証研究の源流と展開に関する学際的国際共同研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2025年03月
     

    中井 真木, 小林 ふみ子, グラムリヒ・オカ ベティーナ

  • 12・13世紀の装束書の特質と後世におけるその受容

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2022年03月
     

    中井 真木

     概要を見る

    「平安装束」の実態を知るために広く利用される文献には、12世紀以降に作られた、装束に関するマニュアル(装束書)があるが、18〜19世紀に書写された不備の多いテキストが研究に用いられることが多く、研究が遅れている。本課題では、12世紀後半に成立した『助無智秘抄』について、複数の写本を検討し、よりオリジナルに近い本文を得た。また、その内容を検討し、成立背景について考察した。加えて、18世紀末以降、武家出身の江戸の故実家たちが考証的な研究を進めたことで、朝廷社会の外に故実の知識が共有され、再解釈の対象となっていった様相を明らかにした。

  • 『餝抄』を中心とする装束故実書の基礎的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援

    研究期間:

    2012年08月
    -
    2014年03月
     

    中井 真木

     概要を見る

    中世日本では、朝廷での複雑な生活に対応するために装束(服装、剣、馬具、車、調度等)に関する書物が作られた。これらの文献は服装史の史料として活用されてきたが、文献そのものの研究は必ずしも充分になされておらず、研究の進展のためには、よりよい写本を調べ、他の文献との関係を整理し、執筆目的を探る必要がある。このような観点から、本課題では、源通方(1189-1239)編『餝抄』等の装束書について研究した。
    研究費の助成により、写本調査、複写の入手、関連文献収集等を行ない、『餝抄』ほか数種類の文献の内容を検討した。その結果、刊行されている活字本の本文を訂正し、書物の性格について新しい知見を得ることができた。

Misc

  • 書評と紹介 山岸裕美子著『中世武家服飾変遷史』

    日本歴史   ( 847 ) 100 - 102  2018年02月   [ 国内誌 ]

  • 『無外題春除目』記載の任官例一覧

    中井真木

    明治大学除目書刊行委員会編『明治大学図書館所蔵三条西家本除目書』     308 - 314  2021年

    その他  

  • (翻刻)無外題春除目

    無外題春除目研究会

    明治大学除目書刊行委員会編『明治大学図書館所蔵三条西家本除目書』     154 - 182  2021年   [ 国内誌 ]

    その他  

  • Le Rond-Point 「王朝貴族の装束展」にかかわって

    中井 真木

    比較文學研究   ( 87 ) 157 - 159  2006年05月

    CiNii

  • (解説)童(定円)の装束

    中井真木

    明月記研究   ( 10 ) 67 - 69  2005年12月

  • (翻訳)ルネッサンスの修道尼 対 朝鮮の妓生: 『尺には尺を』と『春香伝』にみる貞潔と女性の独身禁欲主義

    趙星媛, 中井真木

    2002年東アジア比較文学京都フォーラム報告書     95 - 101  2002年08月

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現在担当している科目

担当経験のある科目(授業)

  • 日本前近代における歴史と物語

    早稲田大学国際教養学部  

    2025年10月
    -
    継続中
     

  • 上級演習(歴史分野)

    早稲田大学国際教養学部  

    2025年10月
    -
    継続中
     

  • 中級演習

    早稲田大学国際教養学部  

    2025年04月
    -
    継続中
     

  • 基礎演習

    早稲田大学国際教養学部  

    2025年04月
    -
    継続中
     

  • 日本前近代史(英語科目)

    早稲田大学国際教養学部  

    2025年04月
    -
    継続中
     

  • 比較日本文化論II

    東京大学教養学部  

    2025年10月
    -
    2026年03月
     

     概要を見る

    「専門英語」・「世界歴史と東アジアI」・「グローバル教養特別演習II」・「文化・思想研究特論II」との合併科目

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学術貢献活動

特定課題制度(学内資金)

  • 平安末期より鎌倉時代における装束故実の形成

    2025年  

     概要を見る

    The court dress and protocols of the Japanese imperial court were largely established during the Heian period (9–12C) and were maintained for centuries, even as they underwent significant transformation; some elements can still be observed in imperial ceremonies today. The knowledge associated with court dress, customs, and etiquette (kojitsu) constituted an important intellectual asset for medieval and early modern courtiers, carrying political, social, and economic significance. Examining how this body of knowledge was formed and developed therefore offers valuable insight into broader historical processes.With this perspective in mind, I have focused in particular on books and records related to court dress produced from the late Heian to the early Kamakura periods (12–13C). This was a time when such knowledge began to be systematically and self-consciously collected, recorded, and shared among middle- and upper-ranking courtiers. With the support of this research grant, I have made progress in identifying and collecting manuscript sources on court dress and in analyzing their contents and contexts. In addition, in connection with a KAKENHI-funded research project, I have examined how these texts were copied and studied by early modern scholars, and how they came to be disseminated and shared as part of a broader cultural tradition.

  • 12・13世紀を中心とした装束書の研究

    2016年  

     概要を見る

    本年度は『助無智秘抄』を中心に研究を進めた。本書については、12世紀半ばの成立は覆らないものの、成立年を永万2年とするのは誤りであること、片仮名と平仮名(臨時巻のみ)の2系統の本文があること、片仮名本のうち陽明文庫本が多くの写本の祖本として重要であること、本文に『蓬莱抄』や『侍中群要』等からの引用が多く含まれること等が明らかになった。上記の途中経過については明月記研究会で報告し、有用な助言を得た。また今後の課題として、蔵人や近衛に関わる記述が多いことや、平行義の子孫に関する記述の意味、編者、『満佐須計装束抄』等なぜこの時期に(仮名の)装束抄が多く書かれるようになったのか等といった課題を得た。 

  • 日本中世を中心とした調度としての衣服研究

    2015年  

     概要を見る

    まず前年度から引き続き、東アジアを主題とする先行研究を中心に、衣服を調度として飾る行為について調査を進めた。また並行して、これまで行なってきた直衣や男性の宿直装束に関する研究を進めた。その中で、直衣とも関連する白い衣服の意味に関する研究に至り、平安時代を中心とした日本における白い衣服に関する事例を調査するとともに、中国や朝鮮半島との比較研究を進めた。

  • 11~13世紀における調度としての衣服研究

    2014年  

     概要を見る

    10世紀から13世紀の日本の支配者層社会の服飾について、大きく2つの方向から研究を進めた。まず1つめは、前近代の日本に見られる衣服を調度として飾る行為を、世界史的文脈に位置付けることを目指すものである。平安時代・鎌倉時代を中心に、衣服を室内や車に飾り付け、時にそれを贈答品とする行為について事例の収集を進めると同時に、他の時代や他の地域の服飾文化に関する先行研究を調査し、比較し得る習慣の有無の調査を行なった。もう1つの方向として、これまでの研究を発展させる形で、平安時代・鎌倉時代初期の支配者層社会において、権力の掌握・維持や支配力強化等に服飾がどのように用いられたかについて研究を進めた。

  • 院政期の朝廷における着用衣服の指定と逸脱の様相

    2012年  

     概要を見る

    私は主に日本の平安・鎌倉時代の朝廷社会を題材に、服装が権力者の自己演出や集団統制等に果たした役割について研究している。本研究課題では、従来、固定的なものとして理解されがちであった朝廷の服装規範を、絶えず変容し、貴族自身にとっても正解を得難い難問として捉え直し、その実態に迫るため、誰がどのように規範を定め、誰がいつどの程度それに従っていたのかを分析することを目指した。具体的には、後白河~後鳥羽院政期を対象に、着用衣服の事前通達とその実施の実態を探るのに適した事例を抽出し、情報の伝達経路や最終的な着用衣服の決定論理、通達や先例からの逸脱が引き起こす人々の反応およびその社会的意義を分析することを目的とした。研究課題の実施においては、記録として『山槐記』・『兵範記』・『吉記』・『明月記』、また『餝抄』等の故実書から、行事に際する着用衣服の事前通達をめぐる具体的な様相を探れる事例の収集をすすめた。その際には、本研究費により、史料とする文献や先行研究文献の収集、文献の読解に必要な工具書の購入等が可能となった。また、特に注目される一連の史料として、後鳥羽院の御幸関連の史料がある。本研究課題遂行中に、所属する明月記研究会により、後鳥羽院の重要な離宮である水無瀬御所の現地見学会が開催されたので、本研究費を利用して参加することができた。御幸に際しては、様々な場面で別の衣服の着用が求められたが、遺跡を実地に見学し、また現地の研究者および研究会所属の研究者達と情報交換を行なうことにより、当時の様子について一定の実感を伴なって理解を深めることができた。当初目的としていた着用衣服の事前通達に関する事例については、完全に網羅するところまではまだ遠いが、ある程度の事例を収集できた。しかし、予想以上に好例が少なく、事例収集に時間がかかってしまった。収集した事例の分析にはまだ着手したばかりであるので、まとまった成果を得るにはもう少し時間が必要となっている。一方で、本課題と併行して取り組んでいる課題として、当該時期の朝廷社会において、衣服が贈答品や室内装飾として利用された実態の解明があるが、利用する史料や先行研究の一部は本課題と重複するので、本研究費の恩恵により当該課題の研究も進展させることができた。特に、風流および唐物をキーワードとして贈答や装飾のありかたや意義を探り、これに関しては学会発表を行なうことができた。その他、研究期間中に、本課題が対象としている院政期の服装をよく表現していると考えられる『石山寺縁起絵巻』が滋賀県立近代美術館で公開されたので、本研究費を利用して見学することができた。原本を間近で見学し、当該期の衣服や身振り等について多くの知見を得ることができた。