2025年5月には、前年度末に提出した博士学位申請論文「像を作り替えるパトス——ジョン・クランコ、ケネス・マクミラン、ジョン・ノイマイヤーの〈ドラマティック・バレエ〉——」の公開審査会を実施した。6月には、ドイツでの研究成果発表および調査を実施した。用務地①ケルン(6/9-13)でIFTR(国際演劇学会)の年次大会における発表を行い、用務地②ハンブルク(6/7-9, 6/13-15)における調査を行った。上記①では、"(Re)enacting Nijinsky's Marriage avec Dieu?: Coexistence of the Whole Past in John Neumeier's Nijinsky (2000)"と題し、ジョン・ノイマイヤー振付のバレエ《ニジンスキー》におけるリエナクトメント的要素に着目し、「姿態の再現を通して伝説のダンサーの身体的思考の特性を模倣する」という特徴にバレエの新たな展開を見出す発表を行った。この発表は、"Archiving the Body: Reenactment, and the Politics of Subversion"という近年のパフォーマンス研究のトレンドを掲げたパネルに入ったことで、多くの聴衆の関心を集め、充実したディスカッションへと発展した。上記②では、本研究対象の一人である振付家ジョン・ノイマイヤーに関する上演調査と資料収集、彼の作品《Die Unsichtbaren》において問題化される戦間期から戦中期のドイツのモダンダンスについて調査を実施した。ノイマイヤーのほか、ジェローム・ロビンズと喜多流能、ロバート・ウィルソンと花柳寿々紫の出会いなどを事例に加え、年間を通して愛知芸術文化センターや、現在所属する早稲田大学演劇博物館等のアーカイヴ施設における調査を複数回にわたって実施した。これらの国内調査の成果は、2026年度中に投稿論文というかたちで発表する予定である。また、本研究課題のテーマは、2026年2月に「東アジアの技術」研究会(主催:山水東京)にて行った発表「盆石の技術――箱庭に向かう身体」において、日本の、あるいはユク・ホイが提唱したような東アジアの美学・芸術学の分野との接点が見出されることとなった。