研究分野
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原子力工学
2025/01/05 更新
山下 拓哉, 本多 剛*, 溝上 暢人*, 野崎 謙一朗*, 鈴木 博之*, Pellegrini M.*, 酒井 健*, 佐藤 一憲, 溝上 伸也*
Nuclear Technology 209 ( 6 ) 902 - 927 2023年06月 [査読有り]
福島第一原子力発電所2号機における圧力容器下部ヘッド燃料デブリの状態に着目したMAAPコード解析
佐藤 一憲, 吉川 信治, 山下 拓哉, Cibula M.*, 溝上 伸也*
Nuclear Engineering and Design 404 112205\_1 - 112205\_21 2023年04月 [査読有り]
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これまでのプラント内部調査、実験、コンピュータモデルシミュレーションから得られた最新の知見に基づき、福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力炉容器内フェーズに対するMAAP解析を実施した。2号機では、炉心物質が圧力容器の下部プレナムに移動し、そこで冷却材によって冷却されて固化したときのエンタルピーが比較的低かったと考えられる。MAAPコードは、炉心物質リロケーション期間中の炉心物質の酸化の程度を過小評価する傾向があるが、酸化に係るより信頼性の高い既存研究を活用することによって補正を行うことで、下部プレナム内の燃料デブリ状態の、より現実的な評価を行った。この評価により、2号機事故進展挙動に係る既往予測の基本的妥当性が確認され、今後の後続過程研究を進めるための詳細な境界条件を提供した。下部ヘッドの破損とペデスタルへのデブリ移行に至るデブリ再昇温プロセスに対処する将来研究に、本研究で得た境界条件を反映する必要がある。
固液混合溶融プールの伝熱挙動に関するLIVE-J2試験及び数値解析
間所 寛, 山下 拓哉, Gaus-Liu X.*, Cron T.*, Fluhrer B.*, 佐藤 一憲, 溝上 伸也*
Nuclear Technology 209 ( 2 ) 144 - 168 2023年02月 [査読有り]
福島第一原子力発電所3号機における長期的な原子炉容器外でのデブリ冷却挙動の評価
佐藤 一憲, 山路 哲史*, Li X.*, 間所 寛
Mechanical Engineering Journal (Internet) 9 ( 2 ) 21-00436\_1 - 21-00436\_17 2022年04月 [査読有り]
山下 拓哉, 間所 寛, 佐藤 一憲
Journal of Nuclear Engineering and Radiation Science 8 ( 2 ) 021701\_1 - 021701\_13 2022年04月 [査読有り]
福島第一原子力発電所における後期炉内事故進展の解明に資するデブリ溶融挙動に関するLIVE-J1試験
間所 寛, 山下 拓哉, 佐藤 一憲, Gaus-Liu X.*, Cron T.*, Fluhrer B.*, Stangle R.*, Wenz T.*, Vervoortz M.*, 溝上 伸也
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet) 16 2022年03月 [査読有り]
福島第一原子力発電所3号機圧力データの分析と得られた事故進展挙動に係る知見
佐藤 一憲
Nuclear Engineering and Design 383 111426\_1 - 111426\_19 2021年11月 [査読有り]
RELAP/SCDAPSIMコードを用いた福島第一原子力発電所2号機における炉心溶融移行挙動の推定
間所 寛, 佐藤 一憲
Nuclear Engineering and Design 376 111123\_1 - 111123\_15 2021年05月 [査読有り]
GOTHICコードを用いた福島第一原発3号機の圧力データ解析に基づく圧力容器内フェーズでの炉心物質エネルギー変化の評価
佐藤 一憲, 荒井 雄太*, 吉川 信治
Journal of Nuclear Science and Technology 58 ( 4 ) 434 - 460 2021年04月 [査読有り]
即発ガンマ線解析を用いた模擬溶融燃料棒サンプル中のホウ化物同定に関する研究
土川 雄介, 阿部 雄太, 大石 佑治*, 甲斐 哲也, 藤 暢輔, 瀬川 麻里子, 前田 亮, 木村 敦, 中村 詔司, 原田 正英, 及川 健一, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 永江 勇二, 佐藤 一憲
JPS Conference Proceedings (Internet) 33 011074\_1 - 011074\_6 2021年03月 [査読有り]
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福島原子力発電所の解体作業では、溶融した燃料棒に含まれるホウ素分布を事前に把握することが重要である。溶融燃料棒の模擬試験体を用意し、ホウ素やホウ化物の含有量を調査する研究が行われてきた。本研究では、その一環として中性子を用いたホウ素並びにホウ化物分布の測定技術開発を行った。ホウ素の中性子吸収に伴う即発ガンマ線を測定し、ホウ素量や二次元分布を測定した。また、n(B,$\alpha$$\gamma$)反応における478keV$\gamma$線は、ホウ素の化合状態により、$\gamma$線ピークの幅が変化することが知られている。このことを用い、特に溶融燃料棒周辺に存在することが予測されているZrBやFeBといったホウ化物の識別可能性について調査した。測定はJ-PARC/MLFのANNRI, NOBORU, RADENにて行った。これらの解析結果について報告する。
エネルギー分析型中性子イメージングによる溶融模擬燃料集合体中のホウ素の3次元分布可視化技術の開発
阿部 雄太, 土川 雄介, 甲斐 哲也, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 大石 佑治*, 加美山 隆*, 永江 勇二, 佐藤 一憲
JPS Conference Proceedings (Internet) 33 011075\_1 - 011075\_6 2021年03月 [査読有り]
ホウ化ジルコニウム及びホウ化鉄等を用いた即発ガンマ線ドップラー幅の測定
土川 雄介, 甲斐 哲也, 阿部 雄太, 大石 佑治*, Sun Y.*, 及川 健一, 中谷 健, 佐藤 一憲
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 991 164964\_1 - 164964\_5 2021年03月 [査読有り]
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福島第一原子力発電所の廃炉に伴い、建屋内部に残留するホウ素やホウ化物の定量分析、及びホウ素化合状態の同定が一つの重要な調査項目となっている。本件では、ホウ化ジルコニウム,ホウ化鉄,純ホウ素及びその他のホウ化物に中性子を照射することで発生する478keV即発ガンマ線のエネルギー幅を測定し、ホウ化物毎に異なるドップラー幅を用いた化合物の同定可能性を調査した。金属,非金属ホウ化物ではそれらの即発ガンマ線ドップラー幅に顕著な違いが見られた一方で、ホウ化ジルコニウムとホウ化鉄では幅の違いが微小であった。ガンマ線エネルギースペクトル解析でこれら金属ホウ化物の違いを詳細に測定し評価した。
山下 拓哉, 佐藤 一憲, 本多 剛*, 野崎 謙一朗*, 鈴木 博之*, Pellegrini M.*, 酒井 健*, 溝上 伸也*
Nuclear Technology 206 ( 10 ) 1517 - 1537 2020年10月 [査読有り]
エネルギー分析型中性子イメージング装置を用いたホウ素の3次元分布可視化技術の開発
阿部 雄太, 土川 雄介, 甲斐 哲也, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 大石 佑治*, 加美山 隆*, 永江 勇二, 佐藤 一憲
Proceedings of 2020 International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 2020) (Internet) 6 2020年08月 [査読有り]
Pshenichnikov A., 倉田 正輝, Bottomley D., 佐藤 一憲, 永江 勇二, 山崎 宰春
Journal of Nuclear Science and Technology 57 ( 4 ) 370 - 379 2020年04月 [査読有り]
シビアアクシデント挙動における炉心物質移行挙動(CMR)模擬のための模擬燃料集合体加熱試験の技術開発
阿部 雄太, 山下 拓哉, 佐藤 一憲, 中桐 俊男, 石見 明洋
Journal of Nuclear Engineering and Radiation Science 6 ( 2 ) 021113\_1 - 021113\_9 2020年04月 [査読有り]
福島第一原子力発電所3号機の2週間にわたる事故進展過程のプラントデータの圧力データ補正に基づく解釈
佐藤 一憲
Journal of Nuclear Science and Technology 56 ( 5 ) 394 - 411 2019年05月 [査読有り]
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福島第一3号機の圧力測定システムでは、運転中の蒸発/凝縮を補正するためにその一部に水柱が採用されている。これらの水柱の一部は事故条件下において蒸発し、正しい圧力データが示されていなかった。RPV(原子炉圧力容器), S/C(圧力抑制室)及びD/W(ドライウェル)の各圧力の比較を通し、水柱変化の効果を評価した。これによりRPV, S/C圧力データに対して水柱変化の効果の補正を行った。補正された圧力を用いて、事故進展中のRPV, S/C, D/W間のわずかな圧力差を評価した。この情報を、3号機の水位、CAMS(格納系雰囲気モニタリングシステム)および環境線量率などのデータとともに活用し、RPVおよびPCVの圧力上昇・下降および放射性物質の環境への放出に着目して事故進展挙動の解釈を行った。RPV内およびRPV外の燃料デブリのドライアウトはこれらの圧力低下を引き起こしている可能性がある一方、S/Cからペデスタルに流入したS/C水がペデスタルに移行した燃料デブリによって加熱されたことがPCV加圧の原因となっている。ペデスタル移行燃料デブリの周期的な再冠水とそのドライアウトは、最終的なデブリの再冠水まで数回の周期的な圧力変化をもたらしている。
山下 拓哉, 佐藤 一憲
Proceedings of 9th Conference on Severe Accident Research (ERMSAR 2019) (Internet) 13 2019年03月 [査読有り]
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福島第一原子力発電所事故(1F)廃止に向けては、炉心物質の最終的な分布とその特性を理解することが重要である。これらの特性は明らかに各ユニットの事故進展に左右される。ただし、BWRの事故進展挙動には大きな不確かさが存在する。MAAP-MELCOR Crosswalkによって明らかにされたこの不確かさは、既存の実験データと知識では解決できない。冷却材がBWR炉心から失われると、その後のシナリオはTMI-2に代表されるものと「連続ドレン型」というシナリオに分けられる。この分岐点の主な不確かさは、2つの疑問点としてまとめられる。(Q1)高温で燃料溶融に近接した損傷炉心のガス透過性はどのようなものか。(Q2)燃料溶融前の高温炉心の下方移動とその構造材加熱への影響はどうか。これらの問題に取り組むために、炉心物質の溶融および再配置に関わるCMMR実験が行われた。CMMR-4試験では、スランピング直前の炉心状態に関する有用な情報が得られた。酸化物燃料が溶融に近接する条件での炉心の巨視的なガス透過性の存在が確認され(A1)、実際の炉で生じる可能性の高い燃料柱崩壊があった場合、最も高温の燃料は炉心の高温部から効率的に低温部に移動できず、炉心燃料最高温度の効果的な制限や、支持構造の著しい加熱が生じないことを示唆している(A2)。
MPS法による溶融コリウム・コンクリート相互作用(MCCI)におけるプール成層化挙動の3次元解析研究
Li X., 佐藤 一憲, 山路 哲史*, Duan G.*
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet) 8 2018年07月 [査読有り]
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溶融コリウム・コンクリート相互作用(MCCI)は軽水炉の仮想的シビアアクシデント時の後期フェーズにおいて炉容器外で生じる可能性のある重要事象である。本研究では、MPS法を用いてKITによって実施された模擬物質による成層化溶融プールの実験COMET-L3に対する3次元解析を行った。コリウム/クラスト/コンクリート間の伝熱は粒子間の熱伝導モデルで模擬した。さらに、ケイ酸系コンクリートではケイ酸系析出物の効果によって軸方向と径方向の浸食が異なる可能性が既往研究から示唆されていることから、2つの異なる解析ケースを実施した。解析の結果、MCCIにおいて金属コリウムは酸化物コリウムと全く異なるコンクリート浸食パターンを示しており、アクシデントマネジメントにおける格納系境界の溶融貫通時間の評価に考慮する必要があることが分かった。
シビアアクシデント挙動における炉心物質移行挙動(CMR)模擬のための模擬燃料集合体加熱試験の技術開発
阿部 雄太, 山下 拓哉, 佐藤 一憲, 中桐 俊男, 石見 明洋, 永江 勇二
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet) 9 2018年07月 [査読有り]
山下 拓哉, 佐藤 一憲, 阿部 雄太, 中桐 俊男, 石見 明洋, 永江 勇二
Proceedings of 12th International Conference of the Croatian Nuclear Society; Nuclear Option for CO$_{2}$ Free Energy Generation (USB Flash Drive) 109\_1 - 109\_15 2018年06月 [査読有り]
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2011年に発生した福島第一原子力発電所事故における、燃料集合体の溶融進展挙動については、未だ十分に解明されていない。1979年に発生したスリーマイル島原子力発電所2号炉の事故以降、加圧水型原子炉を中心としたシビアアクシデントについては、炉心溶融の初期挙動や圧力容器破損に関わる個別現象に着目した試験が多数行われてきた。しかし、炉心溶融が進行し、炉心物質が炉心から下部プレナムへと移行する過程に関わる既往研究は少なく、特に、この移行経路に制御棒と複雑な炉心下部支持構造が存在する沸騰水型原子炉(以下、「BWR」という)条件での試験データはほとんどない。本研究では、UO$_{2}$ペレットの代りにZrO$_{2}$ペレットを用いた燃料集合体規模の試験体に対し、BWR実機で想定される軸方向温度勾配をプラズマ加熱により実現し、高温化炉心のガス透過性および高温化炉心物質の支持構造部への進入と加熱を明らかにするための試験を実施した。その結果、高温化した炉心燃料は、部分的な閉塞を形成するが、残留燃料柱は互いに融着しない傾向が強く、崩壊した場合を含めて気相(及び液相)に対するマクロな透過性を持つことが明らかとなった。
BWR型軽水炉シビアアクシデント挙動における炉心物質移行挙動(CMR)模擬のための非移行型プラズマ加熱試験技術開発
阿部 雄太, 佐藤 一憲, 中桐 俊男, 石見 明洋, 永江 勇二
Journal of Nuclear Engineering and Radiation Science 4 ( 2 ) 020901\_1 - 020901\_8 2018年04月 [査読有り]
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原子力機構では非移行型プラズマ加熱を用いたBWR体系での炉心物質の下部プレナムへの移行挙動(CMR)に着目した試験を検討している。この技術の適用性を確認するために、我々は小規模試験体(107mm$\times$107mm$\times$222mm (height))を用いたプラズマ加熱の予備実験を行った。これらの予備実験の結果から、SA(シビアアクシデント)研究への非移行型プラズマ加熱の優れた適用性が確認できた。また我々は、中規模の模擬燃料集合体(燃料ピン50ロッド規模)を準備し、まだ技術的な適用性が確認できていない制御ブレードやCMR事体に関する試験を実施予定である。
軽水炉(BWR)シビアアクシデント挙動模擬のためのプラズマ加熱試験技術の開発
阿部 雄太, 佐藤 一憲, 中桐 俊男, 石見 明洋, 永江 勇二
Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (CD-ROM) 7 2017年04月 [査読有り]
プラズマトーチを用いた炉心物質移行挙動(CMR)模擬試験技術開発
阿部 雄太, 佐藤 一憲, 石見 明洋, 中桐 俊男, 永江 勇二
Proceedings of 24th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-24) (DVD-ROM) 7 2016年06月 [査読有り]
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原子力機構では非移行型プラズマ加熱を用いたBWR体系での炉心物質の下部プレナムへの移行挙動(CMR)に着目した試験を検討している。この技術の適用性を確認するため、我々は小規模試験体(107mm$\times$107mm$\times$222mmh)を用いたプラズマ加熱の予備実験を行った。これらの予備実験の結果から、SA(シビアアクシデント)研究への非移行型プラズマ加熱の優れた適用可能性が確認できた。また我々は、2016年に中規模の予備実験(燃料ピン50ロッド規模)を準備し、まだ技術的な適用性が確認できていない制御ブレードやCMR自体に関する試験を実施予定である。
BWR燃料集合体の炉心損傷・移動ダイナミクス模擬に関わる解析的及び実験的検討
Hanus G.*, 佐藤 一憲, 岩間 辰也*
Proceedings of International Waste Management Symposia 2016 (WM2016) (Internet) 12 2016年03月 [査読有り]
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原子力機構ではBWRの炉心損傷と炉心物質の移動挙動を模擬するために、燃料棒チャンネル・ボックス、制御ブレードアセンブリならびに炉心下部支持構造からなる大規模な試験を計画している。その目的は、既存実験データベースが極めて少ないBWR条件での過酷事故時の炉心物質移動挙動の理解にある。原子力機構は将来に計画している大規模試験に先立ち、予備調査として試験体を非移行型プラズマ加熱システムによって調べることとした。本試験の目的は対象とする試験体がプラズマ加熱によって、約2900Kの目標温度まで昇温できることを確認するとともに、高温物質の移動挙動データを収集できることを確かめることにある。燃料集合体の簡易的な予備計算の結果は、150kWの非移行型Arプラズマ・ジェットによって効果的に試験体を加熱できることを示した。解析評価を基礎として用いると共に、プラズマトーチを用いる実験計画を記述する。
ナトリウム冷却型高速炉の炉心崩壊事故時における固体燃料と溶融スティール混合物からの伝熱に対する実験的研究
神山 健司, 小西 賢介, 佐藤 一憲, 豊岡 淳一, 松場 賢一, 鈴木 徹, 飛田 吉春, Pakhnits A. V.*, Vityuk V. A.*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Kolodeshnikov A. A.*, Vassiliev Y. S.*
Proceedings of 10th International Topical Meeting on Nuclear Thermal Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-10) (USB Flash Drive) 8 2014年12月 [査読有り]
ナトリウム冷却型高速炉の炉心崩壊事故時における厳しい再臨界の排除のための溶融燃料上方向流出に関する実験研究
神山 健司, 小西 賢介, 佐藤 一憲, 豊岡 淳一, 松場 賢一, Zuyev V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vityuk V. A.*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Kolodeshnikov A. A.*, Vassiliev Y. S.*
Journal of Nuclear Science and Technology 51 ( 9 ) 1114 - 1124 2014年09月 [査読有り]
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Recently, a design option which leads molten fuel to upward discharge has been considered to minimize technical difficulties for practical application to JSFR. In the present study, a series of experiments which consisted of three out-of-pile tests and one in-pile test were conducted to investigate effectiveness of the upward discharge option on eliminating energetics potential. Experimental data which showed a sequence of upward fuel-discharge and effects of initial pressure conditions on upward-discharge were obtained through the out-of-pile and in-pile test. Preliminary extrapolation of the present results to the supposed condition in early phase of the CDA in the JSFR design, suggested that sufficient upward flow rate of molten-fuel was expected to prevent the core-melting from progressing beyond the fuel subassembly scale and that the upward discharge option would be effective in eliminating the energetic potential.著者所属: 日本原子力研究開発機構(JAEA)
川田 賢一, 佐藤 一憲, 飛田 吉春, Pfrang W.*, Buffe L.*, Dufour E.*
Proceedings of 22nd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-22) (DVD-ROM) 6 10 2014年07月 [査読有り]
神山 健司, 齊藤 正樹*, 松場 賢一, 磯崎 三喜男, 佐藤 一憲, 小西 賢介, Zuyev V. A.*, Kolodeshnikov A. A.*, Vassiliev Y. S.*
Journal of Nuclear Science and Technology 50 ( 6 ) 629 - 644 2013年06月 [査読有り]
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ナトリウム冷却高速炉における炉心損傷事故において、燃料が炉心領域から流出することで厳しい再臨界事象の可能性が減じられる。制御棒案内管や内部ダクト付き燃料集合体(FAIDUS)のような炉内冷却材流路は、内包される冷却材ナトリウムが溶融燃料を冷却する効果が限定される場合、効果的な燃料流出経路となり得る。本研究で行われた2つの試験シリーズにより、融体流出初期において冷却材の一部が蒸発し膨張することで流出経路が完全にボイド化すること、ボイド化した流路を通じて融体が大量に流出することが示された。よって、冷却材ナトリウムが溶融燃料を冷却する効果は限定されるため、炉内冷却材流路は、炉内の核的活性度を低減するのに効果的な燃料流出経路となり得る。
石田 真也, 佐藤 一憲
Proceedings of 15th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-15) (USB Flash Drive) 9 2013年05月 [査読有り]
ナトリウム冷却高速炉における炉心崩壊事故時の炉心物質再配置挙動に関する試験研究; ナトリウムプール中へ排出された溶融酸化物の微粒化試験の結果
松場 賢一, 神山 健司, 小西 賢介, 豊岡 淳一, 佐藤 一憲, Zuev V. A.*, Kolodeshnikov A. A.*, Vasilyev Y. S.*
Proceedings of 8th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-8) (USB Flash Drive) 7 2012年12月 [査読有り]
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下部ナトリウムプレナムへ排出された溶融炉心物質の微粒化距離に関する知見を得るため、ナトリウム中における溶融酸化物の微粒化試験を実施した。本試験では、内径40$\sim$63mmのダクトを通じて約7$\sim$14kgの溶融アルミナをナトリウムプール中(深さ1.3m,直径0.4m,温度673K)へ排出した。本試験における溶融アルミナの微粒化距離の評価値は既往研究における代表的な相関式による予測値よりも60$\sim$70\%程度低かった。本試験で得られた知見から、下部ナトリウムプレナムへ排出された溶融炉心物質の微粒化距離は熱的相互作用によって大きく短縮される可能性を確認できた。
ナトリウム冷却高速炉での炉心崩壊事故時における燃料上向き流出にかかわる試験研究
神山 健司, 小西 賢介, 佐藤 一憲, 豊岡 淳一, 松場 賢一, Zuyev V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Kolodeshnikov A. A.*, Vassiliev Y. S.*
Proceedings of 8th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-8) (USB Flash Drive) 7 2012年12月 [査読有り]
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ナトリウム冷却高速炉での炉心崩壊事故におけるエネルギー放出の可能性を排除するため、内部ダクト付き燃料集合体が検討されている。近年、燃料集合体の製作にかかわる開発要素を低減するため、溶融燃料を上向きに流出させる設計選択肢が検討されている。本論文では、炉外試験シリーズと炉内試験について提示する。炉外試験は、上向き流出に関する駆動圧の影響を調べるために実施され、炉内試験は溶融燃料の上向き流出を実証するために実施された。これらの試験結果により、炉心溶融領域の拡大前に溶融燃料の大部分は上向きに流出することが示され、上向き流出型の内部ダクトの導入によりエネルギーが発生する事象が排除できる見通しを得た。
ナトリウム冷却高速炉のレベル2PSA評価手法のための炉停止失敗事象の起因過程及び遷移過程における技術基盤の整備
山野 秀将, 佐藤 一憲, 飛田 吉春
Nuclear Engineering and Design 249 212 - 227 2012年08月 [査読有り]
炉心崩壊事故における厳しい再臨界事象を排除し炉心物質を炉容器内に保持するJSFRの安全論理
佐藤 一憲, 飛田 吉春, 小西 賢介, 神山 健司, 豊岡 淳一, 中井 良大, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vassiliev Y. S.*, Vurim A.*, Zuev V.*, Kolodeshnikov A.*
Journal of Nuclear Science and Technology 48 ( 4 ) 556 - 566 2011年03月 [査読有り]
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JSFR設計においては炉心崩壊事故における厳しい再臨界事象を排除することにより炉心物質の炉容器内保持を確実にすることとしている。本設計では起因過程における冷却材ボイド化による過大な反応度挿入を抑制するために最大ボイド反応度などの設計パラメータを適切に選定するとともに、CDAの主要課題であった全炉心規模の溶融燃料プール形成のリスクを集合体内部ダクトを導入することにより排除するものとしている。これらの設計方策の有効性をこれまでに得た試験データ及びこれらによって検証された解析モデルによる評価に基づきレビューした。この結果、現JSFR設計により厳しい出力バースト事象は排除できると判断された。
ナトリウム冷却高速炉のULOF事象を模擬した3本ピン束CABRI試験
小野田 雄一, 深野 義隆, 佐藤 一憲, Marquie C.*, Duc B.*
Journal of Nuclear Science and Technology 48 ( 2 ) 188 - 204 2011年02月 [査読有り]
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ナトリウム冷却高速炉におけるULOF事象を模擬した3本ピン束試験の2試験を、燃料破損後の燃料再配置と固化挙動に着目して実施した。これらの試験は1本ピンで行われた既存のCABRI試験に対して補完的な情報を与えるものである。3本ピン束試験の詳細なデータ評価と理論的解釈に基づき、燃料の再配置と固化は局所の燃料エンタルピーに支配されること、及び既存のCABRI試験の知見は大型ピン束条件に適用できるとの結論を得た。さらに、燃料とスティールの混合融体は破損燃料の上下端に強固な閉塞を形成し、燃料溶融に伴って発生する核分裂生成ガスの一部がこの閉塞によって保持されることで、炉心領域を比較的長期にわたって加圧し続けることが明らかとなった。
ナトリウム冷却高速炉炉停止失敗事象のレベル2PSA技術データベースの整備
山野 秀将, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
Proceedings of 7th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-7) (CD-ROM) 10 2010年11月 [査読有り]
EAGLE-1炉内試験における溶融物質の構造材壁への伝熱特性についてのSIMMER-IIIコードによる解析評価
豊岡 淳一, 神山 健司, 小西 賢介*, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
Proceedings of 7th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-7) (CD-ROM) 7 2010年11月 [査読有り]
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FBR実用化に向けての炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るため、EAGLEプロジェクトを進めている。EAGLE-1プログラムでのIGRを用いた炉内試験から得られたデータを元に、溶融物質の構造材壁への伝熱特性を評価し、SIMMERコードの適用性について検討を行った。その結果、熱伝導解析コードTAC2Dによる評価では構造材壁への熱流束は約10MW/m$^{2}$と見積もられた。また、熱流束の値は溶融物中にスティールが存在するか否かによって決まることがわかった。一方、SIMMERコードを用いた評価では高熱流束を模擬できず過小評価してしまうため、このような現象の評価には溶融物質と構造材壁の間の熱伝達係数を3$\sim$5倍することが必要であることがわかった。これら一連の評価によりSIMMERコードのモデル改良の必要性が示された。
ナトリウム冷却高速炉のレベル2PSA手法整備,2; スクラム失敗事象の起因過程にかかわる技術的判断根拠の整備
佐藤 一憲, 飛田 吉春, 山野 秀将
Proceedings of 8th International Topical Meeting on Nuclear Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-8) (CD-ROM) 12 2010年10月 [査読有り]
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ナトリウム冷却高速炉のレベル2PSA評価手法整備の一環として、スクラム失敗事象(ATWS)起因過程におけるイベント・ツリーを構築した。流量減少時スクラム失敗事象(ULOF),過出力時スクラム失敗事象(UTOP)及び、除熱源喪失時スクラム失敗事象(ULOHS)を典型的かつ重要な事故事象として選定した。最新の知見を基盤として、事象推移に支配的な要因を代表できるように、これらの事象に対するイベント・ツリーのヘディングを選定した。これらの各ヘディングに対して、分岐判断に活用できる情報をレビューしレベル2PSAのためのデータベースとして整備した。ULOF事象にかかわるヘディングに対しては、これまでの研究によって実験的知見とモデル開発が進められ、信頼性の高い評価手法が確立されているが、これが多くの他の事象にも共通に適用できることを確認した。また、UTOPやULOHSに特有の事項が確認された。1次系の冷却材温度が顕著に上昇するULOHS事象においては、炉心崩壊に先立ち、炉心損傷に至る過程でのイベント・ツリーを構築し、炉心損傷の境界条件を得る必要がある。
ナトリウム冷却高速炉のレベル2PSA評価手法の開発,3; 炉停止失敗事象の遷移過程における技術基盤の整備
山野 秀将, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
Proceedings of 8th International Topical Meeting on Nuclear Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-8) (CD-ROM) 13 2010年10月 [査読有り]
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ナトリウム冷却高速炉のリスク評価のためにレベル2PSA評価手法を開発している。そのため、この論文では流量喪失型炉停止失敗事象の遷移過程に着目して、現象論的イベントツリーを構築し、レベル2PSAにおける事象推移の確率を定量化するための技術基盤を整備した。また、SIMMER-IIIコードを用いたパラメータ解析を通じて支配因子を同定した。燃料流出挙動やその駆動力形成については、CABRIやEAGLE試験から得られた実験的知見を整理した。さらに、過去の実験的エビデンスを用いて、レベル2PSAの確率を定量化するために実験データベースを構築した。
CABRI-FAST及びCABRI-RAFT実験におけるパルス型過出力試験下での被覆管破損前燃料挙動
深野 義隆, 小野田 雄一, 佐藤 一憲
Journal of Nuclear Science and Technology 47 ( 4 ) 396 - 410 2010年04月 [査読有り]
CABRI-FAST実験におけるランプ型過出力時の燃料ピン挙動
深野 義隆, 小野田 雄一, 佐藤 一憲, Charpenel J.*
Journal of Nuclear Science and Technology 46 ( 11 ) 1049 - 1058 2009年11月 [査読有り]
CABRI-FAST実験におけるランプ型過出力時の燃料ピン挙動
深野 義隆, 小野田 雄一, 佐藤 一憲, Charpenel J.*
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM) 13 2009年10月 [査読有り]
ナトリウム冷却高速炉のULOF事故を模擬したCABRI-RAFT TP2及びTP-A1試験
小野田 雄一, 深野 義隆, 佐藤 一憲, Marquie C.*, Duc B.*
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM) 15 2009年09月 [査読有り]
CABRI-TPA2試験におけるスティール沸騰を伴う燃料-スティール間の過渡熱伝達特性
山野 秀将, 小野田 雄一, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
Nuclear Technology 165 ( 2 ) 145 - 165 2009年02月 [査読有り]
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高速炉安全研究の一部であるCABRI-RAFTプログラムにおけるTPA2試験では、溶融燃料/スティール混合物における燃料-スティール間熱伝達特性を調べた。この試験はフランスのCABRI炉で行われ、富化度12.3\%のUO$_{2}$ペレットにステンレススティール球を埋め込んだ試験カプセルを使用した。予熱過程を経て、そのカプセルに過出力を印加し、燃料の溶融とスティールの蒸発を実現させた。観察されたスティール蒸気圧はかなり低く、燃料-スティール間熱伝達を有意に制限するメカニズムの存在を示唆した。SIMMER-IIIによる実験データの詳細評価により、スティール球の表面で生成した蒸気がスティール自身を取り囲み溶融燃料との接触を阻害するという一つの解釈を導き出した。
Experimental verification of the fast reactor safety analysis code SIMMER-III for transient bubble behavior with condensation
Morita Koji, Matsumoto Tatsuya, Fukuda Kenji, Tobita Yoshiharu, Yamano Hidemasa, Sato Ikken
NUCLEAR ENGINEERING AND DESIGN 238 ( 1 ) 49 - 56 2008年01月 [査読有り]
3次元CDA解析コードSIMMER-IVの開発とその実機への初適用
山野 秀将, 藤田 哲史, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, 丹羽 元
Nuclear Engineering and Design 238 ( 1 ) 66 - 73 2008年01月 [査読有り]
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炉心崩壊事故の遷移過程解析のため、2次元SIMMER-IIIコードをもとに3次元炉心安全解析コードSIMMER-IVの開発が行われた。また、世界で初めてSIMMER-IVを小型ナトリウム冷却高速炉に適用し、遷移過程の初期段階における事象推移を明らかにすることを試みた。このSIMMER-IVによる解析は、制御棒案内管の存在を無視したSIMMER-IIIによる2次元解析の場合と比較された。従来シナリオは比較的早期に高い流動性を持つ燃料プールが形成されていたが、3次元的な物質配位を考慮した本解析により、それは非現実的であり、遷移過程の初期段階では崩壊炉心は低流動性を保つ傾向があることが示された。
小西 賢介, 豊岡 淳一, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vassiliev Y. S.*
Nuclear Engineering and Design 237 ( 22 ) 2165 - 2174 2007年11月 [査読有り]
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FBR実用化に向けての炉心安全上の重要課題である、炉心損傷時における再臨界問題の排除に技術的見通しを得るため、EAGLEプロジェクトを進めている。カザフスタン共和国の試験炉IGRを用いて炉内中規模試験(WF試験)を実施し、肉厚3mmのスティール製壁構造の溶融燃料プール接触による破損挙動を調べた。試験の結果、壁の背後にナトリウムが在る場合とない場合との間の壁破損時間の差は1秒未満程度であることがわかった。過渡伝熱計算に基づき壁表面温度履歴の分析を行った結果、ナトリウムで冷やされた壁が早期に破損する現象は、燃料プールから壁に向かう高い熱流束存在の結果として生じていることがわかった。試験の結果は、溶融燃料の流出経路を通じた流出が早期に開始することを示唆しており、これは再臨界問題排除シナリオを構築するうえで有利な特性である。
高速炉の再臨界問題排除のためのEAGLEプロジェクト; 炉内試験計画の進捗及び結果
小西 賢介, 久保 重信*, 佐藤 一憲, 小山 和也*, 豊岡 淳一, 神山 健司, 小竹 庄司*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vassiliev Y. S.*
Proceedings of 5th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-5) 465 - 471 2006年11月 [査読有り]
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FBRの実用化に向けて、炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るために、EAGLEプロジェクトを進めている。EAGLEプロジェクトは、FBRの炉心損傷事故を想定しても、溶融した燃料が早期に炉心外に流出することにより、再臨界問題の排除が可能であることを示すことを目的としている。本プロジェクトは、カザフ共和国の試験炉IGR及び関連施設を用い、炉内試験と炉外試験の特長を生かした試験計画としている。炉内試験計画は、8kgの燃料溶融を実現しナトリウムの存在する条件で燃料流出挙動を観察する炉内大規模ナトリウム試験を2回実施することにより実証性の高い実験的知見を得ることを目的として、小規模試験,中規模試験,大規模ドライ(ナトリウムなし)試験とステップアップするものとした。現在までに炉内大規模ナトリウム試験の1回目までを順次実施し、溶融燃料の早期の炉心外流出を示唆する試験結果を得た。これまでに得られた結果は、今後実施する最終試験の結果と併せて、実機評価の妥当性確認に活用される。
サブクール液体中の単一大気泡の凝縮; SIMMER-IIIコードの実験的検証
守田 幸路*, 松元 達也*, 福田 研二*, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, 山野 秀将
Proceedings of 5th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-5) 211 - 218 2006年11月 [査読有り]
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本研究では、凝縮を伴う大スケール気泡の過渡挙動に対する一連の実験が実施された。実験で観察された気泡挙動の特徴は、炉心安全解析コードSIMMER-IIIを用いた実験解析を通じて評価された。SIMMER-IIIによるシミュレーションによって、大気泡の凝縮に及ぼす非凝縮性ガスの凝縮抑制効果は小さいことが示された。また、実験で観察された大気泡内には気相と液相が分散することにより混合され、非凝縮性ガス層が発達することはなかったと推測される。本研究により、SIMMER-IIIは非凝縮性ガス存在下の大スケール気泡の凝縮過程を物理的に十分詳細に模擬できることが示された。
土川 雄介, 甲斐 哲也, 阿部 雄太, 及川 健一, Joseph P.*, 篠原 武尚, 佐藤 一憲
9th International Topical Meeting on Neutron Radiography (ITMNR-9)
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中性子断面積の大きいホウ素の面密度分布を、エネルギー分析型中性子イメージングにより取得する方法を開発した。一般に、中性子感度が非常に高い元素の測定では、元素量が多くなると中性子の自己遮蔽効果が無視できず、定量的な測定が困難になる。この効果を回避するために、既知の断面積データを用いたエネルギースペクトル解析を試み、J-PARCの物質・生命科学実験施設において、定量的な二次元イメージング像の取得を実証した。本発表では、一例として福島第一原子力発電所のシビアアクシデントの研究において得られた模擬溶融試験体デブリの測定結果を紹介する。この取り組みは、溶融過程における制御棒からのホウ素の挙動を調査するものである。ホウ素の中性子断面積は、広い範囲で中性子エネルギーの平方根に反比例し、模擬燃料集合体に含まれる他の物質とは大きく異なる。試料の中性子透過率を中性子イメージング検出器で測定し、二次元的なホウ素の面密度分布を得た。同様に、鉄やジルコニウム等比較的感度の低い他元素の面密度分布も導出することを試みた。
福島第一原子力発電所についての最新知見を反映したIn-VesselフェーズMAAP解析(2021年度),2; 3号機解析結果と今後の研究への活用
山下 拓哉, 佐藤 一憲, 吉川 信治, Cibula M.*, 溝上 伸也*
日本原子力学会2022年秋の大会 (日立)
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3号機に対するMAAP解析評価結果、既存GOTHIC解析に基づく下部プレナム移行中の金属酸化の予測及び、下部プレナム移行物質の状態に関わる2号機と3号機との差と、今後の研究への活用について述べる。
福島第一原子力発電所についての最新知見を反映したIn-VesselフェーズMAAP解析(2021年度),1; 全体概要と2号機解析結果
佐藤 一憲, 山下 拓哉, 吉川 信治, Cibula M.*, 溝上 伸也*
日本原子力学会2022年秋の大会 (日立)
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福島第一原子力発電所(1F)プラント内部調査などにより、これまでに得られた最新知見を踏まえた2号機,3号機MAAP解析を実施した。これにより、炉心溶融,炉心物質の下部プレナムへの移行、下部プレナム移行物質の冷却挙動の最確予測を提示するとともに、炉心物質の温度変化と金属酸化、下部プレナム移行物質の状態等を予測した。本報告では全体概要と2号機の評価結果について述べる。
Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定,12; 2号機,3号機におけるデブリのペデスタル移行履歴の検討
佐藤 一憲, 山路 哲史*, 古谷 正祐*, 大石 佑治*, Li X.*, 間所 寛
日本原子力学会2022年春の年会 (神戸(online))
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事故時のプラントデータ分析、内部調査結果の分析、及び多様な解析評価に基づき、2号機,3号機における燃料デブリのペデスタルへの移行履歴を検討した。
Li X.*, 山路 哲史*, 佐藤 一憲, 古谷 正祐*, 間所 寛, 大石 佑治*
日本原子力学会2021年秋の大会 (札幌(online))
Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定,9; 福島第一原子力発電所3号機デブリのペデスタル移行時に着目したプラントデータの分析
佐藤 一憲, 山路 哲史*, 古谷 正祐*, 大石 佑治*, Li X.*, 間所 寛, 深井 尋史*
日本原子力学会2021年秋の大会 (札幌(online))
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3号機ペデスタル移行デブリの熱が、ペデスタル液相水の蒸発とそれにより発生した蒸気の圧力抑制室(S/C)での凝縮によってS/C水に伝えられていた可能性をドライウェル(D/W)とS/Cの圧力履歴をもとに評価した。この結果、デブリは強く冷却されていたと推定された。
間所 寛, Gaus-Liu X.*, Cron T.*, Fluhrer B.*, Stangle R.*, Wenz T.*, Vervoortz M.*, 山下 拓哉, 佐藤 一憲, 溝上 伸也
日本原子力学会2021年秋の大会 (札幌(online))
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福島第一原子力発電所(1F)2号機では、ペデスタル内部の構造物が比較的健全であることから、原子炉圧力容器(RPV)からペデスタル内部に移行した燃料デブリは比較的低温であり、下部ヘッド内部では、燃料デブリ中の酸化物成分が溶融する温度に至っておらず、金属成分が中心に溶融していたと推定される。RPV破損を推定するには下部ヘッド溶融プールの熱的挙動の把握が必要であるが、固液混合溶融プールに着目した試験は少なく、実験データの拡充が不可欠となっている。本研究では、独・カールスルーエ工科大学におけるLIVE試験装置を用いて、溶融プール形成過程及び伝熱挙動に関する試験を実施した。固液混合状態においても対流がある程度発達し、RPV側部に最も熱的負荷がかかることが分かった。
土川 雄介, 甲斐 哲也, 篠原 武尚, 及川 健一, 阿部 雄太, 大石 佑治*, Parker J. D.*, 松本 吉弘*, 永江 勇二, 佐藤 一憲
第7回パルス中性子イメージング研究会 (online)
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福島第一原子力発電所の廃炉に伴い、炉心内部に残留するホウ素やホウ化物の定量分析、及びホウ素化合状態の同定が一つの重要な調査項目となっている。J-PARC/MLFにおいて純ホウ素や、ホウ化ジルコニウム,ホウ化鉄をはじめとしたホウ化物試料に中性子を照射し、発生した478keV即発ガンマ線を用いたホウ素定量精度について、中性子エネルギー依存性を利用した測定を行い、評価した。またホウ化物毎の即発ガンマ線のエネルギー幅を用いた化合物の同定可能性を調査した。金属,非金属ホウ化物ではそれらの即発ガンマ線ドップラー幅に顕著な違いが見られた一方で、ホウ化ジルコニウムとホウ化鉄では幅の違いが微小であった。ガンマ線エネルギースペクトル解析でこれら金属ホウ化物の違いを詳細に測定し評価した。また、試料スキャンにより模擬溶融燃料について、ホウ素分布の可視化を行った。
土川 雄介, 甲斐 哲也, 阿部 雄太, 大石 佑治*, Sun Y.*, 及川 健一, 中谷 健, 佐藤 一憲, Joseph P.*, 松本 吉弘*
2020年度量子ビームサイエンスフェスタ; 第12回MLFシンポジウム/第38回PFシンポジウム (online)
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福島第一原子力発電所の廃炉に伴い、炉心内部に残留するホウ素やホウ化物の定量分析、及びホウ素化合状態の同定が一つの重要な調査項目となっている。J-PARC/MLFにおいて純ホウ素や、ホウ化ジルコニウム,ホウ化鉄をはじめとしたホウ化物試料に中性子を照射し、透過率測定並びに発生した478keV即発ガンマ線を用いたホウ素定量精度について、中性子エネルギー分析型測定を行い評価した。またホウ化物毎の即発ガンマ線のエネルギー幅を用いた化合物の同定可能性を調査した。金属,非金属ホウ化物ではそれらの即発ガンマ線ドップラー幅に顕著な違いが見られた一方で、ホウ化ジルコニウムとホウ化鉄では幅の違いが微小であった。ガンマ線エネルギースペクトル解析でこれら金属ホウ化物の違いを詳細に測定し評価した。最後に、エネルギー分析型二次元検出器を用いた二次元並びに三次元定量測定に向けた取り組みについて、現状の実験、解析結果を簡単に紹介する。
エネルギー分析型中性子イメージング装置(RADEN)を用いたホウ素の三次元可視化技術の開発
阿部 雄太, 甲斐 哲也, 土川 雄介, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 加美山 隆*, 大石 佑治*, 永江 勇二, 佐藤 一憲
日本原子力学会2020年秋の大会 (福岡(online))
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福島第一原子力発電所事故(1F)における炉内状況の把握に重要な要素として、粒子状の炭化ホウ素を内包した制御棒ブレードの炉心溶融時の振舞いが挙げられる。BWR炉心溶融時の挙動解明に資する目的で行われたCMMR試験(基本構成要素を模擬した模擬燃料集合体による破損試験)では、1F2号機の温度履歴を模擬し、超高温(最高温度部分で2,300$^{\circ}$C内外)まで加熱・保持した条件においても、試験体の一部にはホウ素含有物が存在することが確認されており、1Fの燃料デブリにもある程度のホウ素が含まれている可能性がある。炉内のホウ素含有物の分布は、燃料デブリの臨界性評価や取出し時の超高硬度物質への対処等の観点から重要課題であり、前記したCMMR試験体のホウ素含有物分布を精度良く測定することができれば、1F2号機等の推定精度を高めることに繋がる。本講演では、J-PARCのエネルギー分析型中性子イメージング装置(RADEN)で撮像した、CMMR試験体のホウ素含有物分布結果を紹介する。
Li X.*, 山路 哲史*, Duan G.*, 古谷 正祐*, 深井 尋史*, 佐藤 一憲, 間所 寛, 大石 佑治*
日本原子力学会2020年秋の大会 (福岡(online))
Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定,3; ねらいと全体計画及び一年目の進捗
山路 哲史*, 古谷 正祐*, 大石 佑治*, 佐藤 一憲, Li X.*, 深井 尋史*, 間所 寛
日本原子力学会2020年秋の大会 (福岡(online))
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MPS法による溶融物挙動解析、模擬溶融物流下実験、浮遊法による高温融体物性評価と、実機プラントデータ・事故進展解析等の分析から、福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定に取り組んでいる。一年目は基盤技術の整備等に取り組んだ。
Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定,4; 2号機RPVバウンダリー破損モードの検討
佐藤 一憲, 山路 哲史*, 古谷 正祐*, 大石 佑治*, Li X.*, 間所 寛, 深井 尋史*
日本原子力学会2020年秋の大会 (福岡(online))
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福島第一原子力発電所2号機におけるRPVバウンダリー破損モードについて、これまでの解析評価や内部調査の結果などに基づいて検討し、考えられる3つのRPVバウンダリー破損モードを提示した。
エネルギー分析型中性子イメージングを用いたホウ素の可視化技術の開発
阿部 雄太, 甲斐 哲也, 土川 雄介, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 大石 佑治*, 加美山 隆*, 永江 勇二, 佐藤 一憲
第80回分析化学討論会 (札幌)
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ホウ素の分布は、福島第一原子力発電所(1F)炉内の燃料デブリにも相当量のホウ素が含まれていると推察されるため、臨界性評価や取出し時の超高硬度物質への対処などの観点から重要である。本講演では、J-PARCのエネルギー分解型中性子イメージング装置で撮像した、CMMR試験体のホウ素分布結果を紹介する。
Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定,2; 2, 3号機燃料デブリ状態に係る論点
佐藤 一憲, 山路 哲史*, 古谷 正祐*, 大石 佑治*, Li X., 間所 寛, 深井 尋史*
日本原子力学会2020年春の年会 (福島)
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CLADS英知事業において福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定に取り組んでおり、その一環として2・3号機における燃料デブリ状態に関するいくつかの重要な論点を整理している。すなわち、3号機でのペデスタル移行デブリによるMCCIの程度、あるいは2号機におけるペデスタル移行デブリの性状を考えると、プラント内部調査などの個々の要素間には現状知見による統一的な理解が困難な要素がいくつかある。これらは事故進展解明に係る中長期的課題であり、本英知事業はその解明に向けた一部と位置付けられる。本報告ではこれらの論点について報告する。
福島第一原子力発電所格納容器内から採取したウラン含有粒子の微細組織分析
溝上 暢人*, 伊東 賢一*, 鈴木 晶大*, 佐藤 一憲, 倉田 正輝, 平井 睦*, 溝上 伸也*
令和元年度福島研究開発部門成果報告会 (いわき)
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福島第一原子力発電所(1F)では廃炉作業の進捗とともに、高線量環境などの課題から取得が困難であった1$\sim$3号機原子炉格納容器(PCV)内から、サンプルが取得されるようになっている。このようなサンプルについて、日本原子力研究開発機構(JAEA)及び日本核燃料開発(NFD)のホットラボへ輸送し様々な分析を実施している。本報告では、サンプル中のウラン含有粒子の性状に着目したSEM, TEMを用いた分析の結果と、粒子生成メカニズムの推定に関する検討の結果を紹介する。
土川 雄介, 阿部 雄太, 大石 佑治*, 甲斐 哲也, 原田 正英, 及川 健一, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 永江 勇二, 佐藤 一憲
京都大学複合原子力科学研究所令和元年度中性子イメージング専門研究会 (熊取)
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福島第一原子力発電所の解体作業では、溶融、再凝固した燃料棒等に含まれるホウ素分布を調査する必要がある。本研究では、中性子を用いたホウ素並びにホウ化物の空間分布測定技術開発を行った。ホウ素の中性子吸収に伴う即発ガンマ線を測定し、ホウ素量やその二次元分布を測定した。また、n(B,$\alpha$$\gamma$)反応における478keV$\gamma$線を用いて即発ガンマ線解析(PGAA)を行い、測定したピーク幅の情報から、特に溶融燃料棒やその周辺に存在することが予測されているZrBやFeBといったホウ化物が分離可能であることが測定結果から示唆された。J-PARC/MLFのNOBORU, RADENビームラインで行った測定と今後の課題、展望について報告、議論する。
福島第一原子力発電所の炉格納容器内等で採取された試料分析,6; 燃料デブリ取出しに向けた分析結果の活用方法
倉田 正輝, 間所 寛, 奥村 啓介, 佐藤 一憲, 溝上 暢人*, 伊東 賢一*, 溝上 伸也*
日本原子力学会2019年秋の大会 (富山)
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福島第一原子力発電所(1F)からの燃料デブリ取出し工程の設計や取出し作業の安全な進捗に向けて、燃料デブリやその他の堆積物や破損物等の分析にニーズを有している課題を抽出し、課題解決に必要となる特性や事象に分解しとりまとめた。抽出した特性や事象について、それらの評価のために必要となる分析手法と取得できる知見について検討を行った。さらに、サンプル分析で得られる限定的なデータを用いて、燃料デブリの広い領域の評価につなげられるかについて予備的に検討した。
福島第一原子力発電所3号機における蒸気及び水素の発生履歴逆算定解析
吉川 信治, 佐藤 一憲
日本原子力学会2019年秋の大会 (富山)
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福島第一原子力発電所3号機の事故時に計測された圧力容器(RPV)及び格納容器(PCV)の圧力変化を再現する水蒸気と水素の発生履歴、及びRPVからの気相漏洩規模を、熱流力解析コードGOTHICを用いて逆算定した。第一段階としてADS作動前までのRPVとPCVの圧力履歴を再現するRPVからの漏洩面積を算定した結果、漏洩経路に依存せず高々1平方センチメートルと評価された。したがって、主要なスランピング時(13日12時頃)にはSRVのいくつかは開いていたと推定されるので、ガスは主にS/Cを経由したと考えられ、蒸気の有意な凝縮があることから、観測されたD/WやS/Cの圧力上昇を説明するためには水素のような非凝縮ガスの寄与が必要と考えられる。
福島第一原子力発電所の原子炉格納容器内等で採取された試料の分析,3; 格納容器内等で採取された試料の核種分析
佐々木 新治, 前田 宏治, 森下 一喜, 大西 貴士, 佐藤 一憲, 溝上 暢人*, 溝上 伸也*
日本原子力学会2019年秋の大会 (富山)
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燃料デブリの性状把握の一環として、格納容器内等で採取された試料の特性把握のため、SEM-WDSでの元素分析、放射線分析及び化学分析を実施した。測定結果から、号機による傾向の違いが確認された。
炉心物質のペデスタル移行挙動に着目した1Fプラントデータの分析
佐藤 一憲, 吉川 信治
日本原子力学会2019年秋の大会 (富山)
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福島第一原子力発電所1$\sim$3号機では、燃料をはじめとする炉心物質の一部が原子炉圧力容器(RPV)を破ってペデスタル領域に落下した。圧力計, 水位計などのデータを総合的に分析し、炉心物質のペデスタルへの主要な落下時間を評価した結果、1号機は0.5hr以下、2号機は2.5hr程度、3号機は7hr程度と推定された。
福島第一原子力発電所3号機における蒸気及び水素の発生履歴逆算定解析
吉川 信治, 佐藤 一憲
日本原子力学会2019年秋の大会 (富山)
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福島第一原子力発電所3号機の事故時に計測された圧力容器(RPV)及び格納容器(PCV)の圧力変化を再現する水蒸気と水素の発生履歴、及びRPVからの気相漏洩規模を、熱流力解析コードGOTHICを用いて逆算定した。解析した期間は、炉内の水位が燃料有効部頂部(TAF)に到達してから、原子炉自動減圧システム(ADS)が作動して圧力容器(RPV)圧力が減少し始めるまでである。2011年3月13日6:30頃以降ADS作動までのRPVとPCVの圧力挙動からこの間RPVからPCVへの漏洩があったと考えられるが、この漏洩経路と漏洩面積を複数のシナリオについて評価したところ、漏洩面積は高々1cm$^{2}$程度と評価された。この面積は開状態のSRVの流路断面積に比べて大幅に小さく、ADS作動後の主な蒸気の流れはSRVから圧力抑制室(S/C)を経由したものであったと推定される。
中性子エネルギー分析型手法による模擬溶融炉心物質中のホウ素分布の可視化
甲斐 哲也, 阿部 雄太, 松本 吉弘*, Parker J. D.*, 篠原 武尚, 大石 佑治*, 永江 勇二, 佐藤 一憲
European Conference on Neutron Scattering (ECNS 2019)
Li X., 佐藤 一憲, 山路 哲史*
International Topical Workshop on Fukushima Decommissioning Research (FDR 2019)
福島第一原子力発電所1$\sim$3号機における原子炉格納容内から採取された放射線量の比較的高い試料の分析
溝上 暢人*, 鈴木 晶大*, 前田 宏治, 伊東 賢一*, 佐藤 一憲, 溝上 伸也*
International Topical Workshop on Fukushima Decommissioning Research (FDR 2019)
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福島第一原子力発電所1$\sim$3号機のPCV内からいくつかの放射性物質のサンプルを採取した。東京電力はこれらのサンプルの取得、分析施設への運搬を行うとともに、関係機関と共に詳細分析に取り組んでいる。SEMとTEMなどを用いて分析した結果、ウラン含有微粒子は、高温のコリウムから力学的プロセスによって分離されたと考えられるものと、蒸発およびその後の凝縮しことを示唆するものの2つのグループに分けられる。前者の粒子は、各号機の燃料デブリに共通な組成的特徴を有している可能性がある。両方のグループとも原子炉建屋内でのアルファ汚染(アクチニドによる)を引き起こす可能性がある。
レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)による材料硬度評価手法への応用検討
岡崎 航大*, 川上 智彦*, 阿部 雄太, 大高 雅彦, 佐藤 一憲
日本原子力学会2019年春の年会 (水戸)
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レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)を燃料デブリ内の金属ホウ化物や金属酸化物の材料硬度評価への応用を検討するためCMMR試験体を用いて、LIBS及び硬度計測を実施した。その結果、Zrの結合状態に由来するLIBS蛍光発光強度の変化が確認され、材料硬度評価手法への応用が示唆された。
東京電力福島第一原子力発電所炉内状況把握の解析・評価,109; 福島第一原子力発電所2号機, 3号機の炉心物質移行過程における炉心エネルギーの差とその影響
佐藤 一憲, 山下 拓哉, 吉川 信治, Li X., Pellegrini M.*, 山路 哲史*, 小島 良洋*
日本原子力学会2018年秋の大会 (岡山)
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福島第一原子力発電所2号機と3号機の炉心エネルギーの差、及びその下部プレナム移行デブリの冷却特性、圧力容器バウンダリー破損、デブリのペデスタル移行挙動に与える影響を評価した。
沸騰水型軽水炉過酷事故における炉心溶融物の挙動,3; 実機条件検討と溶融物移行挙動
中桐 俊男, 須藤 彩子, 吉川 信治, 阿部 雄太, 佐藤 一憲
日本原子力学会2018年秋の大会 (岡山)
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福島第一原子力発電所2号機の事故時の炉容器内の温度分布および雰囲気組成(H$_{2}$/H$_{2}$O比)をRELAP/SCDAPSIMコードにより評価した。また、炉心溶融時に生成したと推定される金属溶融物による炉心下部支持構造部を模擬した試験体の破損試験を実施した。これらの結果と別途原子力機構が実施した模擬燃料試験体のプラズマ加熱試験結果と併せ、事故時の溶融物移行挙動の評価を行った。
1F廃炉に関わる「総合的な炉内状況把握の高度化」プロジェクト(H28-29)のエッセンス
佐藤 一憲
Fukushima Research Conference on Seminar on Progress of Fundamental R\&Ds of Core/Fuel Degradation Analysis for Decommissioning of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station
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福島第一原子力発電所内部の状況把握のためには、以下のようなステップを踏んで知見を最大化することが必要である。ステップ1は1Fプラントデータの詳細分析、ステップ2はBWR特有の不確かさに焦点をあてた実験、ステップ3は得られている全ての情報を反映した事故進展の評価。ステップ1としては2号機, 3号機のプラントデータ詳細分析を行った。これにより両ユニットにおける事故進展の概要把握が進められ、この情報は多様なシビアアクシデント解析コードによる解析に反映された。ステップ2の洞察につながる情報を得るべくBWR炉心の一部を模擬した試験体をプラズマ加熱するシリーズ実験を実施した。これらにより酸化物燃料が溶融するまでの高温条件における炉心物質の溶融挙動のデータを得た。ステップ3においては2号機、3号機における炉心の熱エネルギーを比較した。
RELAP/SCDAPSIMによる福島第一原発2号機の炉心温度上昇挙動の分析
吉川 信治, 佐藤 一憲
日本原子力学会2018年秋の大会 (岡山)
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東京電力福島第一原子力発電所の事故時に、1号機及び3号機は減圧以前に炉心損傷が開始したと考えられるのに対し、2号機では減圧時には炉心は健全であり、水位が炉心下端(BAF)付近、あるいはそれ以下にある状態から炉心損傷が始まったと推定される。このような2号機特有の炉心損傷開始時の炉心の昇温挙動について、RELAP/SCDAPSIMコードによる解析結果をもとに分析した。
山下 拓哉, 佐藤 一憲
3rd International Forum on the Decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station
福島第一原子力発電所格納容器内汚染物質にかかわるTEM分析の進捗
鈴木 晶大*, 橘内 裕寿*, 佐藤 一憲
3rd International Forum on the Decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station
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福島第一原子力発電所1号機の格納容器内から採取された試料の透過型電子顕微鏡による詳細分析を行った。TMI-2及びチェルノブイリ原子力発電所4号機でも確認されているUを多く含むc-(U,Zr)O$_{2}$及びZrを多く含むt-(Zr,U)O$_{2}$が検出された。
東京電力福島第一発電所事故におけるセシウムの化学的挙動に関する検討,11; 福島第一原子力発電所の原子炉格納容器内で採取された試料の分析
前田 宏治, 溝上 暢人*, 鈴木 晶大*, 伊東 賢一*, 佐藤 一憲, 溝上 伸也*
日本原子力学会2018年春の年会 (吹田)
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福島第一原子力発電所1号機格納容器の底部から採取した泥状の試料に対し、放射性固体微粒子に着目してSEMなどによる分析を実施した。
プラズマ加熱試験の材料分析を用いた評価手法の確立,1; プラズマ加熱試験の材料分析を用いた評価手法の概要
阿部 雄太, 中桐 俊男, 佐藤 一憲, 中野 菜都子*, 山口 英信*, 丸山 信一郎*
日本原子力学会2017年秋の大会 (札幌)
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原子力機構では福島第一事故時の事象推移解明に向けた非移行型プラズマ加熱を用いたBWRシビアアクシデント時に起こる炉心物質の下部プレナムへの移行挙動(CMR)に着目した試験を実施している。本報告では模擬試験体を用いて開発した加工技術とWDXによるB及びOの濃度分布について報告する。
模擬燃料集合体加熱試験を用いた材料分析の検討,1; 模擬燃料試験体加熱試験の評価概要
阿部 雄太, 中桐 俊男, 佐藤 一憲, 中野 菜都子*, 山口 英信*
日本分析化学会第66年会 (東京)
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原子力機構では、加熱技術及び試験後の分析技術の適用性を確認するため、BWR炉心の基本構成要素からなる模擬燃料集合体を製作し、プラズマ加熱試験(Phase II)を実施した。本報では、Phase II試験体のX線CT及び元素分析(EPMA及びLA-ICP-MS)の結果について報告する。
郭 栄治*, 岡本 幸司*, 近藤 雅裕*, Ozdemir E.*, 柴 鵬輝*, 佐藤 一憲
日本原子力学会2017年秋の大会 (札幌)
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本研究では福島第一原子力発電所の安全な廃炉に寄与すべく、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics, CFD)を用いて3号機内部の温度分布を再現し、東京電力の測定結果と比較することでデブリの位置を推定する。最適化ツールとCFDを組み合わせることで格納容器内部の最適な熱バランスを求める逆問題を解いていることが本研究の特徴である。
佐藤 一憲
日本原子力学会2017年秋の大会 (札幌)
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福島第一原子力発電所3号機においてはPCV圧力の上昇と低下が繰り返し生じている。このうち、早期の変化についてはベントによるものと考えられるが、その後の変化についてはベントではなく、PCV境界からの漏えいの顕著な増加とも考えられないものがある。本研究では各部の圧力計の測定データ相互の整合性を想定して暫定的な補正を加えた。この補正によってRPC, D/W及びS/Cの間の微妙な圧力差が見えるようになり、事故進展に係る情報が得られた。この知見に基づき、PCV圧力が自ら低下するメカニズムの可能性について報告する。
佐藤 一憲, 中桐 俊男, 阿部 雄太, 石見 明洋, 永江 勇二
CLADS Workshop as Fukushima Research Conference for Dialog on Fuel/Core Degradation in Severe Accident among Experts of Material Science, Thermodynamics, Severe Accident Analysis and Modeling
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BWRにおけるシビアアクシデント時の炉心物質移動挙動の大きな不確かさに対処することをねらいとして、原子力機構は非移行型プラズマ加熱を用いた試験計画を進めている。予備的試験を経て、模擬燃料ロッド、制御ブレード、チャネルボックス、下部支持構造からなる試験体を加熱する試験を実施した。冷却後、制御ブレードとチャネルボックスの大部分は失われたが、ほとんどの燃料柱はそのまま立っていた。下部支持構造領域には金属成分からなると見られる溶融物の流下が確認された。これらの試験データは計画中のX線トモグラフィー測定データとともにBWR設計条件での炉心物質移動挙動に関する有効な情報を提供するものと思われる。
BWRシビアアクシデントを模擬した原子力機構プラズマ加熱試験の速報
佐藤 一憲, 中桐 俊男, 阿部 雄太, 石見 明洋, 永江 勇二
Workshop on Advances in Understanding the Progression of Severe Accidents in Boiling Water Reactors
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BWRにおけるシビアアクシデント時の炉心物質移動挙動の大きな不確かさに対処することをねらいとして、原子力機構は非移行型プラズマ加熱を用いた試験計画を進めている。予備的試験を経て、模擬燃料ロッド、制御ブレード、チャネルボックス、下部支持構造からなる試験体を加熱する試験を2回実施した。冷却後、制御ブレードとチャネルボックスの大部分は失われたが、ほとんどの燃料柱はそのまま立っていた。下部支持構造領域には金属成分からなると見られる溶融物の流下が確認された。これらの試験データは計画中のX線トモグラフィー測定データとともにBWR設計条件での炉心物質移動挙動に関する有効な情報を提供するものと思われる。
軽水炉シビアアクシデント挙動模擬のためのプラズマ加熱試験技術の開発,3; EPMAを用いた広範囲にわたる酸素マッピング分析手法の検討
阿部 雄太, 中桐 俊男, 佐藤 一憲, 中野 菜都子*, 田中 宏*, 山口 英信*
日本原子力学会2017年春の年会 (平塚)
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原子力機構では福島第一原子力発電所事故時の事象推移解明に向けた非移行型プラズマ加熱を用いたBWRシビアアクシデント時の炉心物質の下部プレナムへの移行挙動(CMR)に着目した試験の実施を検討している。当該試験では、BWRの基本構成要素(燃料ロッド、チャネルボックス、制御棒ブレード、下部支持構造)を模擬した試験体を製作し、加熱試験を行う計画である。しかし、模擬燃料ペレットでUO$_{2}$-Zr系と疑似的状態図が類似しているジルコニア(ZrO$_{2}$)を用いるため、移行挙動を評価するには被覆管(Zr)に含まれる酸素量または内包される不純物量を比較する必要がある。そこで、我々はコンクリートの劣化診断などで広く使われている広範囲EPMA(WDX)に着目し、模擬燃料ペレットと被覆管のみを模擬した小規模試験体(Phase I)を対象に、酸素濃度分布及び内包される不純物(Mg, Hf)分布を測定し、その妥当性をXRF及び不活性ガス溶解法を用いた酸素の定量分析によるO/M比で評価した。
福島第一原子力発電所3号機圧力データの補正とこれに基づく事故進展理解のヒント
佐藤 一憲
日本原子力学会2017年春の年会 (平塚)
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福島第一原子力発電所3号機の圧力データを補正し、より信頼性の高い圧力情報を得た。このようにして得た圧力情報により各部の圧力差の詳細が把握でき、事故進展挙動をより深く理解するためのヒントが得られた。
軽水炉シビアアクシデント挙動模擬のためのプラズマ加熱試験技術の開発,1; 目的とH26年度の成果
佐藤 一憲, 阿部 雄太, 中桐 俊男, 永江 勇二, 石見 明洋
日本原子力学会2016年秋の大会 (久留米)
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原子力機構では福島第一原子力発電所事故時の事象推移解明に向けて、非移行型プラズマ加熱を用いたBWRシビアアクシデント時の炉心物質の下部プレナムへの移行挙動(CMR)に着目した試験の実施を検討している。非移行型プラズマ加熱は酸化物燃料が溶融するような高温条件の達成や連続的な加熱の実現性の観点で有望であるが、シビアアクシデントの実験研究分野への適用例はなく、その適用性を確認して試験技術を確立する必要があった。そこで機構では平成26年度に模擬燃料ロッドを主体とした小規模試験体(縦横約10cm$\times$高さ約20cm)をプラズマトーチで加熱する予備試験(Phase I)を行い、燃料の一部溶融を確認して本プラズマ加熱の基本的な適用性を確認した。
軽水炉シビアアクシデント挙動模擬のためのプラズマ加熱試験技術の開発,2; H27年度の成果とまとめ
阿部 雄太, 佐藤 一憲, 中桐 俊男, 永江 勇二, 石見 明洋
日本原子力学会2016年秋の大会 (久留米)
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原子力機構では福島第一原子力発電所事故時の事象推移解明に向けて、非移行型プラズマ加熱を用いたBWRシビアアクシデント時の炉心物質の下部プレナムへの移行挙動(CMR)に着目した試験の実施を検討している。非移行型プラズマ加熱は酸化物燃料が溶融するような高温条件の達成や連続的な加熱の実現性の観点で有望であるが、シビアアクシデントの実験研究分野への適用例はなく、その適用性を確認して試験技術を確立する必要があった。そこで機構では平成26年度に模擬燃料ロッドを主体とした小規模試験体(縦横約10cm$\times$高さ約20cm)をプラズマトーチで加熱する予備試験を行い、燃料の一部溶融を確認することなどにより、本プラズマ加熱の基本的な適用性を確認した。
非移行型プラズマ加熱を用いたシビアアクシデント時の炉心物質移行挙動解明試験の計画
佐藤 一憲, 中桐 俊男, 阿部 雄太, 石見 明洋, 永江 勇二
IAEA Training Meeting on Post-Fukushima Research and Development Strategies and Priorities
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BWR体系でのシビアアクシデント時の炉心物質移動挙動には大きな不確かさがある。この課題に対応するために、非透過型プラズマトーチを用いた新たな高温実験技術を開発中である。われわれは小規模試験体を用いた予備試験を実施し、試験対象物の溶融を実現した。試験体に対するX線トモグラフィーにより非破壊検査手法として過渡後の詳細な物質分布の状況を把握できることが示された。また過渡後の試験体に対し多様な測定手法を用いて対象物質の特性を調べた。これらの結果から目標とする試験への本技術の適用性について良好な見通しを得た。
久保 重信, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, 小竹 庄司*, 遠藤 寛*, 小山 和也*, 小西 賢介, 神山 健司, 松場 賢一, 豊岡 淳一, Zuyev V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vityuk V. A.*, Gaidaichuk V. A.*, Vurim A. D.*, Kolodeshnikov A. A.*, Vassiliev Y. S.*
10th International Conference on Nuclear and Radiation Physics (NRP 2015)
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EAGLE-1及び2における日本とカザフスタンの良好な研究協力の成果として、ナトリウム冷却高速炉(SFR)の開発開始当初から半世紀以上にわたり主要安全課題となっている再臨界問題の解決が可能であることが示された。また、SFRの安全研究のための試験技術と施設が整備された。2014年から原子力機構はフランスとのASTRID協力に参加しており、シビアアクシデント対策の検討がその一つの重要課題となっている。EAGLE-1及び2の成果は、ASTRIDのシビアクシデント研究にも活用される。EAGLE-3は2015年初めから開始されており、そのテーマは、炉心損傷の後段過程における核的事故終息後の物質再配置と冷却に移っている。今後5年程度の間に一連の炉外及び炉内試験が実施される予定である。
BWRシビアアクシデント時の炉心物質移動挙動の解明のための試験ニーズに関する考察
佐藤 一憲
PLINIUS2 International Seminar
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BWRシビアアクシデント時の炉心物質移動挙動に関わる試験ニーズを既存の試験データベースに基づいて検討した。この結果、溶融炉心物質が当初の炉心部から下部プレナムに移行するフェーズがBWR特有の構造に依存すると考えられるものの、極めて限定的な既存の試験データでは不十分であり、このような移行過程のより良い理解のためには将来的な試験研究が必要であるとの認識を得た。
ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故時における溶融炉心物質の流出挙動に関する試験研究; 炉内試験体の試験後検査結果
神山 健司, 小西 賢介, 佐藤 一憲, 松場 賢一, 飛田 吉春, 豊岡 淳一, Pakhnits A. V.*, Vityuk V.*, Kukushkin I.*, Vurim A. D.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2014年春の年会 (東京)
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ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故時に生じる溶融炉心物質の流出挙動に関わる試験データベースを拡充するため、燃料集合体を溶融・流出させた炉内試験体を対象に試験後検査を実施し、溶融炉心物質の流出量、燃料とスティール成分の分布等に関わるデータを取得した。
「常陽」における確率論的安全評価,4-2; 「常陽」UTOP事象の炉心損傷事象推移評価
飛田 吉春, 佐藤 一憲, 川田 賢一, 深野 義隆
日本原子力学会2012年春の年会 (福井)
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「常陽」に対して評価された炉心損傷カテゴリーのうち、リスク評価上の重要度が大きいと評価されたUTOP(Unprotected Transient Overpower)事象について炉心損傷の事象推移を評価した。初期過程では出力バーストが生じないことを確認し、損傷拡大の過程においても厳しい出力バーストには至りにくいとの結果を得た。
ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故における溶融炉心物質の微粒化挙動に関する試験研究; ナトリウム中における溶融酸化物の微粒化試験の結果
松場 賢一, 神山 健司, 小西 賢介*, 豊岡 淳一, 佐藤 一憲, Zuev V.*, Kolodeshnikov A.*, Yury V.*
日本原子力学会2011年秋の大会 (北九州)
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ナトリウム冷却高速炉における炉心崩壊事故の影響緩和方策として、炉心から流出した燃料を微粒化させ、炉容器下部プレナムの受皿で保持することが検討されている。本研究では、10kg程度の溶融アルミナをナトリウム中へ流出させる試験を行い、液柱状の溶融アルミナが微粒化によって崩壊するまでの距離を測定した。
ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故時における溶融炉心物質の上向き流出にかかわる試験研究
神山 健司, 小西 賢介, 佐藤 一憲, 豊岡 淳一, 松場 賢一, Vurim A. D.*, Pakhnits A. V.*, Gaydaychuk V.*, Vasilyev Y.*
日本原子力学会2011年秋の大会 (北九州)
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ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故(CDA)の影響緩和方策として、溶融燃料の炉心外への流出を促進する内部ダクト付き燃料集合体の導入が検討されている。本発表ではナトリウム炉外試験及び炉内試験の結果をもとに、溶融燃料を上向きに流出させる設計方策の有効性について説明する。
「常陽」における確率論的安全評価,3-2; 「常陽」UTOP事象の初期過程評価
川田 賢一, 深野 義隆, 佐藤 一憲
日本原子力学会2011年春の年会 (福井)
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「常陽」に対して評価された炉心損傷カテゴリのうち、相対的寄与割合の大きなUTOP(Unprotected Transient Overpower)事象について、炉心損傷の初期過程を評価した。過出力によって少数の炉心燃料集合体において燃料破損が生じると、破損後の燃料の軸方向移動によって出力は低下し、初期過程では出力バーストを生じないことを確認した。
「常陽」における確率論的安全評価,3-1; 「常陽」のATWS事象及びPLOHS事象の炉心損傷頻度の評価
山本 雅也, 川原 啓孝, 寺門 嗣夫, 青山 卓史, 佐藤 一憲, 大島 宏之
日本原子力学会2011年春の年会 (福井)
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「常陽」における確率論的安全評価(PSA)において、レベル2以降のPSAの評価対象事象を選定するため、炉心損傷に至る可能性のある事象の発生頻度が高いATWS(Anticipated Transient Without Scram)事象及びPLOHS(Protected Loss of Heat Sink)事象について、成功基準の詳細化を行うとともに、それぞれ動特性解析及び自然循環解析等を実施し、炉心損傷頻度を評価した。その結果、全炉心損傷頻度が十分に低く抑制されていることを確認するとともに、全炉心損傷頻度に占める各炉心損傷カテゴリの相対的な寄与割合は、UTOP(Unprotected Transient Over Power)事象が最も大きくなる結果を得た。
高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)の開発,14; 炉停止失敗事象起因過程のための技術的根拠の整備
飛田 吉春, 佐藤 一憲, 山野 秀将
日本原子力学会2010年春の年会 (水戸)
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炉停止失敗事象の代表事象としてULOF(Unprotected Loss of Flow)他を選定し、起因過程イベントツリーを構築した。各イベントツリーのヘディングにかかわる最新知見を整理し、レベル2PSA実施の技術基盤として整備した。
山本 雅也, 川原 啓孝, 礒崎 和則, 青山 卓史, 佐藤 一憲, 大島 宏之
日本原子力学会2010年春の年会 (水戸)
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高速実験炉「常陽」では、高速炉のPSA実践例を蓄積するとともに、保安活動の一環としてPSAを実施している。本報では、「常陽」の代表的な事故の周辺環境へのリスクを定量化するためのレベル2以降のPSAの実施計画について報告する。「常陽」におけるレベル2以降のPSAは、保安活動に資するデータを合理的かつ効率的に得るため、発生頻度のスクリーニング基準を10$^{-7}$/炉年として評価対象事象を選定した。評価対象事象(炉心損傷に至る可能性のある事象)の頻度の合計は4.6$\times$10$^{-6}$/炉年であり、レベル1PSAで求めた「常陽」の炉心損傷に至る可能性のある事象の大部分を占めている。また、評価対象事象の事故カテゴリーはULOF, UTOP, PLOHSであり、各事故カテゴリーについてイベントツリーを作成し、プラント動特性解析コード(Mimir-N2),起因過程解析コード(SAS4A),熱流動解析コード(AQUA)等により解析する計画とした。
高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)の開発,15; 炉停止失敗事象遷移過程のための技術的根拠の整備
山野 秀将, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
日本原子力学会2010年春の年会 (水戸)
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ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)を開発するため、炉停止失敗事象の代表的な事象であるULOF事象の遷移過程の解析を実施し、事象推移に影響を与える支配的な因子を摘出するとともに、既往知見の体系的整理を行い、イベントツリー構築のための技術的根拠を整備した。
豊岡 淳一, 小西 賢介, 神山 健司, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, 小竹 庄司*
平成21年度日本原子力学会北関東支部若手研究者発表会 (東海)
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FBR実用化に向けて、炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るために、EAGLEプロジェクトを進めた。EAGLEプロジェクトは、FBRの炉心損傷事故を想定しても、溶融した燃料が早期に炉心外に流出することにより、再臨界問題の排除が可能であることを示すことを目的としている。本プロジェクトの最終段階の炉内総合試験(約8kgの燃料溶融を実現)の1回目について、過渡計測データに基づく分析結果を報告する。
高速炉用水素化物中性子吸収材の核設計,2; Hf水素化物制御棒装荷炉心の安全解析
佐藤 一憲, 岩崎 智彦*, 小無 健司*
日本原子力学会2009年春の年会 (東京)
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水素化物制御材を用いた炉心の安全性について、設計基準事象及び設計基準を超えた代表的な事象を摘出し、このような事象における過渡時の応答特性を評価した。これにより、特段の悪影響はないとの見通しを得た。
高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)の開発,6; 炉停止失敗事象起因過程の支配因子の摘出
佐藤 一憲, 飛田 吉春, 山野 秀将
日本原子力学会2008年秋の大会 (香美)
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ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)を開発するため、炉停止失敗事象の代表的な事象であるULOF事象の起因過程の解析を実施し、事象推移に影響を与える支配的な現象を摘出した。
高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)の開発,7; 炉停止失敗事象遷移過程の支配因子の摘出
飛田 吉春, 佐藤 一憲, 山野 秀将
日本原子力学会2008年秋の大会 (香美)
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ナトリウム冷却高速炉のレベル2PSAの技術開発において、レベル2PSAの現象論的イベントツリーの構築と分岐確率の設定の際に重要な技術的根拠の整備を進めている。イベントツリーの構築にあたり、事象推移に影響を与える支配的な因子を摘出することを目的として、支配炉停止失敗事象の代表的な事象である流量喪失時反応度抑制機能喪失(ULOF: unprotected loss-of-flow)事象の遷移過程についてSIMMER-IIIコードを用いて感度解析を実施した結果を報告する。
高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)の開発,5; 平成19年度の研究開発の進捗
中井 良大, 栗坂 健一, 佐藤 一憲, 飛田 吉春, 神山 健司, 山野 秀将, 宮原 信哉, 大野 修司, 清野 裕, 石川 浩康, 西村 正弘, 佐藤 勇, 磯崎 三喜男, 小山 和也*, 吉岡 直樹*, 渡辺 収*, 中井 公一*, 山田 由美*, 早川 教*, 守田 幸路*
日本原子力学会2008年秋の大会 (香美)
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ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)を開発するため、炉心物質再配置過程の解析手法及び格納容器内事象の解析手法を新たに開発するとともに、レベル2PSAに必要な技術的根拠を整備する。
FBRのULOF時における溶融炉心プール挙動の3次元シミュレーション
山野 秀将, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
第17回CCSEワークショップ (東京)
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3次元安全解析コードSIMMER-IVによって、従来の2次元解析では取り扱えなかった実際の集合体配位を適切に模擬できると同時に、崩壊炉心物質の3次元的な運動を現実的に評価できることを確認した。また、制御棒案内管の冷却効果が燃料凝集による再臨界発生を抑制させる可能性を示した。
高速炉用水素化物中性子吸収材の開発,4; 水素化物中性子吸収材を装荷した高速炉の安全解析
佐藤 一憲, 岩崎 智彦*, 小無 健司*
日本原子力学会2008年春の年会 (吹田)
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水素化物中性子吸収材を制御棒要素に採用したナトリウム冷却酸化物燃料の高速炉炉心を対象として、設計基準事象及び設計基準外事象の代表的なものを選定し、各事象における水素化物中性子吸収材要素の過渡時温度変化を求めた。これより、水素化物中性子吸収材の安定性が問題となる領域を把握し、従来概念(B$_{4}$C制御棒使用)と比べた安全特性への影響を検討した。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,20; ID1試験における燃料プールの伝熱性評価
豊岡 淳一, 小西 賢介, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Pakhnits A. V.*, Gaidaichuk V. A.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2008年春の年会 (吹田)
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FBR実用化に向けての炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るため、EAGLEプロジェクトを進めている。IGRを用いた第1回目の炉内総合試験(ID1試験)について、溶融炉心を模擬した燃料/スティール混合プール内及びプールに接する構造材壁への伝熱挙動を解析モデルにより評価した。その結果、燃料エンタルピの増加とともに構造材壁への伝熱は大きくなり、特にソリダス条件以上では極めて高い伝熱となり、構造材壁破損時の平均エンタルピはソリダスとリキダスのほぼ中間にあたる、との評価結果を得た。
丹羽 元, 飛田 吉春, 久保 重信, 佐藤 一憲
International Conference, Nuclear Power of Republic Kazakhstan
高速炉の再臨界問題の解決を狙いとしたEAGLE試験計画の概要
小西 賢介, 久保 重信*, 小山 和也*, 神山 健司, 豊岡 淳一, 佐藤 一憲, 小竹 庄司*, Vurim A. D.*, Zuyev V.*, Pakhnits A. V.*, Gaidaichuk V. A.*, Kolodeshnikov A.*, Vassiliev Y. S.*
International Conference, Nuclear Power of Republic Kazakhstan
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原子力機構とカザフ国立原子力センターとの協力関係の下、2006年8月までにEAGLE炉内外試験計画が遂行された。これらの試験の目的は、(1)ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故時の再臨界問題を排除するために導入された設計概念の有効性を実証すること、及び、(2)炉心領域から溶融炉心物質が早期に流出し周辺ナトリウム領域に再配置する過程の基礎的な知見を得ることである。最終段階の炉内試験は、排出ダクト付き燃料集合体の設計概念に対応する構造が試験体内に設けられ、事故条件を適切に模擬した条件下で実施された。これらの試験を行った結果、燃料-スティール混合プールの生成からダクトを通じた溶融燃料の流出に至る一連の過程を観察することに成功した。主要試験結果はFaCTのレファレンス設計に対するULOF解析評価の妥当性を支持し、再臨界問題の排除が可能であることを予測するものである。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,19; 中性子検出器信号による燃料移動状況の同定
小山 和也*, 猿山 一郎*, 小西 賢介, 豊岡 淳一, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, Vurim A. D.*, Pakhnits A. V.*, Gaidaichuk V. A.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2007年秋の大会 (北九州)
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FBRの実用化に向けての炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るため、EAGLEプロジェクトを進めている。炉内試験の試験体内に設置した検出器と、IGR炉出力測定用の検出器の2種類の中性子検出器の信号を分析し、溶融した燃料の移動情報が含まれているとの見通しを得た。また、炉出力測定用の検出器信号に試験燃料の移動による影響が現れていることを確認し、燃料移動測定の基礎的な知見が得られた。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,18; 第2回炉内総合試験の結果
小西 賢介, 豊岡 淳一, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Pakhnits A. V.*, Gaidaichuk V. A.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2007年秋の大会 (北九州)
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FBR実用化に向けての炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るため、EAGLEプロジェクトを進めている。EAGLEプロジェクトは、FBRの炉心損傷事故を想定しても、溶融した燃料が早期に炉心外に流出することにより、再臨界問題の排除が可能であることを示すことを目的とし、試験炉IGR及び炉外試験施設等を用いた試験研究を進めてきた。IGR炉内試験においては、約8kgの燃料溶融を実現して経路(初期にナトリウムを内包)を通じた燃料流出挙動を観察するIGR炉内総合試験の2回目を実施した。本報では測定データの概略評価結果を報告する。2回目の炉内総合試験により投入エネルギーが比較的小さい場合の燃料流出特性を調べた結果、1回目の試験の結果と比較して壁破損タイミングがやや遅れ、燃料流出が間欠的に生じた。今後の試験体分解観察により、試験後の物質分布と流出量を明らかにする。
高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)の開発,1; 概要とスコープ
丹羽 元, 栗坂 健一, 佐藤 一憲, 飛田 吉春, 神山 健司, 山野 秀将, 宮原 信哉, 大野 修司, 清野 裕, 石川 浩康, 西村 正弘, 佐藤 勇, 小山 和也*, 吉岡 直樹*, 渡辺 収*, 中井 公一*, 山田 由美*, 早川 教*, 滝沢 毅幸*, 守田 幸路*
日本原子力学会2007年秋の大会 (北九州)
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ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷評価技術(レベル2PSA)を開発するため、炉心物質再配置過程の解析手法及び格納容器内事象の解析手法を新たに開発するとともに、レベル2PSAに必要な技術的根拠を整備する。本発表は4件のシリーズ発表の一部として概要とスコープを紹介するものである。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,15; 第1回炉内総合試験の結果
小西 賢介, 豊岡 淳一, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2006年秋の大会 (札幌)
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FBR実用化に向けて、炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るために、EAGLEプロジェクトを進めている。EAGLEプロジェクトは、FBRの炉心損傷事故を想定しても、溶融した燃料が早期に炉心外に流出することにより、再臨界問題の排除が可能であることを示すことを目的としている。本プロジェクトの最終段階の炉内総合試験(約8kgの燃料溶融を実現)の1回目を実施したので、過渡計測データに基づく分析結果を報告する。得られたデータは、ナトリウムを内包する流出経路の壁(ステンレス・スティール製)が溶融燃料から与えられる熱によって早期(燃料溶融後1秒程度)に破損すること、及び溶融燃料-経路間の壁破損時圧力差が小さい条件(0.03MPa程度)であっても、経路を通じた下方への流出が早期かつ顕著に生じることを示唆している。本試験データは、今後実施する2回目の試験データと併せて、実機評価の妥当性確認に活用される。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,16; 冷却材流路のボイド拡大挙動に対する流出経路長さの影響
磯崎 三喜男, 今堀 真司, 神山 健司, 佐藤 一憲
日本原子力学会2006年秋の大会 (札幌)
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高速炉の炉心崩壊事故時における溶融燃料の流出挙動解明は、事故影響評価の観点で重要である。溶融燃料は冷却材流路に流入し炉心領域外へと向かうが、この流出経路には冷却材ナトリウムが存在するため、燃料は構造壁とナトリウム双方に冷却される。一方で、燃料からの伝熱による冷却材蒸発によって流路がボイド化するため、流出燃料量とボイド領域の関係を把握することは、流出経路における燃料熱損失評価の観点で重要である。本研究では、EAGLEプロジェクトの一環として冷却材ボイド拡大挙動を把握するため、溶融した低融点合金を水流路に放出させる可視化試験を下方向への流出経路の長さの影響に着目して実施した。その結果、冷却材ボイドは融体流出に伴って2.5m程度の長さ(実機条件相当)の流出経路でも拡大すること、及び拡大後のボイド境界は流出経路出口付近に形成されることを確認した。本試験データは分析評価を行い、ナトリウムを用いたEAGLE炉外試験等の比較を通じて、実機での現象予測に活用される。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,17; 燃料流出経路のボイド化現象の考察
神山 健司, 磯崎 三喜男, 今堀 真司, 佐藤 一憲
日本原子力学会2006年秋の大会 (札幌)
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高速炉の炉心崩壊事故時における溶融燃料の流出挙動解明は、事故影響評価の観点で重要である。溶融燃料は冷却材流路に流入し炉心領域外へと向かうが、この流出経路には冷却材ナトリウムが存在するため、燃料は構造壁とナトリウム双方に冷却される。一方で、燃料からの伝熱による冷却材蒸発によって流路がボイド化するため、流出燃料量とボイド領域の関係を把握することは、流出経路における溶融燃料の熱損失評価の観点で重要である。そこで、本研究では、燃料模擬物質として低融点合金を、冷却材模擬物質として水を用いた試験結果に基づき、投入された融体熱量とボイド領域拡大の関係を定量化し、ナトリウムを用いた試験結果を分析した。その結果、溶融燃料の初期流出過程にて冷却材流路は全長に渡ってボイド化し、主たる燃料流出過程はボイド化した流路内で生じるため、燃料の熱損失は構造材との伝熱が支配的であるという結論を得た。
相澤 康介, 安藤 将人, 小竹 庄司, 林 秀行, 早船 浩樹, 藤井 正, 佐藤 一憲, 皆藤 威二
日本原子力学会再処理・リサイクル部会第4回セミナー (東京)
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日本の高速増殖炉技術を継承,発展させたナトリウム冷却ループ型高速炉の設計研究が進められている。本プラントの特長は、原子炉構造のコンパクト化,ポンプ組込型中間熱交換器,ループ数削減,配管短縮等の革新技術を採用することにより、優れた経済性を有している。また、常陽,もんじゅ及び実証炉計画での技術の継承・発展できることより、確度の高い技術的実現性が見通せている。さらに、ナトリウムの特性を活かした高温・低圧システムであり、自然循環での崩壊熱除去が可能であることから、優れた安全性を有している。本発表では、本プラントの概要及び革新技術に関する要素技術開発の成果の概要を説明する。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,14; 炉内中規模試験の結果と解釈
豊岡 淳一, 小西 賢介, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Pakhnits A. V.*, Gaidaichuk V. A.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2006年春の年会 (大洗)
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FBRの再臨界問題排除を目指したEAGLEプロジェクトでは、溶融炉心物質の炉心外への流出開始条件に焦点を当てた炉内中規模試験(WF試験)を実施した。本試験の測定データの分析評価を行った結果、溶融燃料から流出経路壁を模擬した構造材壁への熱流束は極めて大きく、従来の解析モデルの予想を大きく上回る伝熱促進メカニズムが早期の流出経路壁破損をもたらしているとの結論を得た。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,13; 炉外ナトリウム試験の結果
神山 健司, 小西 賢介, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 島川 佳郎*, 小山 和也*, Zuyev V.*, Vassiliev Y. S.*, Kolodeshnikov A.*
日本原子力学会2006年春の年会 (大洗)
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再臨界問題排除の技術的見通しを得るためのEAGLEプロジェクト炉外試験シリーズにおいて、燃料模擬物質のアルミナをナトリウム流路中へ流出させる試験を実施した。その結果、ナトリウムが存在する条件でも燃料模擬物質が速やかに流出することが確認できた。
高速炉の炉心安全向上のためのEAGLEプロジェクト,12; 炉内大規模ドライ試験の結果
小西 賢介, 豊岡 淳一, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Pakhnits A. V.*, Gaidaichuk V. A.*, Vassiliev Y. S.*
日本原子力学会2006年春の年会 (大洗)
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FBR実用化に向けての炉心安全上の重要課題である再臨界問題排除の技術的見通しを得るためのEAGLEプロジェクトを進めている。IGRを用いた炉内大規模ドライ試験(FD試験)を実施し測定データの概略評価を行った結果、相当量の試験燃料が溶融後早期にダクト構造を通じて流出したと推定された。
山野 秀将, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, 守田 幸路*, 松元 達也*, 福田 研二*
日本原子力学会2006年春の年会 (大洗)
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拡散律速による蒸発/凝縮挙動及び大気泡界面を扱うモデルを導入したSIMMER-IIIコードを既存の炉心安全性試験及び実機解析に適用し、安全評価上のモデルの特性を把握した。また、実機条件のように急速に蒸気泡が成長する状況では、非凝縮性ガスによる凝縮抑制効果は著しい影響を与えないことが示された。
山下 拓哉, 佐藤 一憲, 阿部 雄太, 中桐 俊男, 石見 明洋, 永江 勇二
Proceedings of International Conference on Dismantling Challenges; Industrial Reality, Prospects and Feedback Experience (DEM 2018) (Internet) 11 2018年10月
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2011年に発生した福島第一原子力発電所事故における、燃料集合体の溶融進展挙動については、未だ十分に解明されていない。1979年に発生したスリーマイル島原子力発電所2号炉の事故以降、加圧水型原子炉を中心としたシビアアクシデントについては、炉心溶融の初期挙動や圧力容器破損に関わる個別現象に着目した試験が多数行われてきた。しかし、炉心溶融が進行し、炉心物質が炉心から下部プレナムへと移行する過程に関わる既往研究は少なく、特に、この移行経路に制御棒と複雑な炉心下部支持構造が存在する沸騰水型原子炉(以下、「BWR」という)条件での試験データはほとんどない。本研究では、UO$_{2}$ペレットの代りにZrO$_{2}$ペレットを用いた燃料集合体規模の試験体に対し、BWR実機で想定される軸方向温度勾配をプラズマ加熱により実現し、高温化炉心のガス透過性および高温化炉心物質の支持構造部への進入と加熱を明らかにするための試験を実施した。その結果、高温化した炉心燃料は、部分的な閉塞を形成するが、残留燃料柱は互いに融着しない傾向が強く、崩壊した場合を含めて気相(及び液相)に対するマクロな透過性を持つことが明らかとなった。
高速炉の炉心安全性試験EAGLEプロジェクト; カザフスタンとの研究協力
神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信
エネルギーレビュー 36 ( 11 ) 46 - 49 2016年11月
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日本原子力研究開発機構がカザフスタン共和国国立原子力センターとの研究協力として実施してきたナトリウム冷却高速炉の炉心安全を対象とした試験研究EAGLEプロジェクトについて、研究の経緯、概要、これまでの実施状況と成果について紹介する。
佐藤 一憲
日本原子力学会誌ATOMO$\Sigma$ 56 ( 1 ) 19 - 23 2014年01月
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米国およびカナダにおいては福島第一原子力発電所事故以降も原子力を温室効果ガスのほとんど出ないクリーンエネルギーと位置付け、エネルギー・ポートフォリオの重要な要素として引き続き利用してゆく方針である。一方、数年前には予測されていなかったシェールガス革命と呼ばれる状況は原子力発電所の新規建設の環境を一変させている。このような環境下での両国での原子力開発や発電等の動向について解説する。
溶融金属燃料及び溶融被覆管の流動固化にかかわるCAF\'E試験,2; 結果と分析
Wright A. E.*, Bauer T. H.*, Kilsdonk D. J.*, Aeschlimann R. W.*, 深野 義隆, 川田 賢一, 佐藤 一憲
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles (FR 2009) (CD-ROM) 9 2012年01月
溶融金属燃料及び溶融被覆管の流動固化にかかわるCAF\'E試験,1; 試験条件及び結果概要
深野 義隆, 川田 賢一, 佐藤 一憲, Wright A. E.*, Kilsdonk D. J.*, Aeschlimann R. W.*, Bauer T. H.*
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles (FR 2009) (CD-ROM) 10 2012年01月
原子力推進を堅持する米仏、撤退するドイツ; 福島事故後、情報共有と教訓反映を図る国際機関と欧米
北村 隆文, 花井 祐, 佐藤 一憲
日本原子力学会誌ATOMO$\Sigma$ 53 ( 8 ) 569 - 575 2011年08月
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欧米からは遠い国である日本。そこで起きた福島第一原子力発電所の事故はまたたく間に世界中の国々に伝えられ、爆発の映像は各国で繰り返し放映された。この事故は原子力政策をめぐってさまざまな議論を巻き起こしたが、米国やフランスが原子力推進姿勢を堅持する一方で、ドイツやイタリアは原子力からの撤退を明確にするなど、各国の現実的な対応は分かれた。本稿では国際機関やフランス,米国などを中心に、同事故への対応や動向を紹介する。
低エネルギー炉心プールの流動特性に関する基礎的研究(共同研究)
守田 幸路*, Ryu P.*, 松元 達也*, 福田 研二*, 飛田 吉春, 山野 秀将, 佐藤 一憲
JAEA-Research 2009-018 2009 ( 18 ) 52 - 52,巻頭1〜2 2009年09月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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液体金属高速炉の低エネルギー損傷炉心における炉心物質の流動性をモデル化するため、固体粒子が支配的な多相流の運動挙動について研究を行った。ダム堰崩壊実験及び気泡可視化実験の2つのシリーズの実験を行うとともに、実験の数値シミュレーションにより高速炉安全解析コードSIMMER-IIIの流体力学モデルについて検証した。実験解析から、SIMMER-IIIは粒子ジャミングモデルのモデルパラメータの調整によって固体粒子間の相互作用の多相流挙動への影響をある程度模擬できることがわかった。広範な流れ条件において固体粒子間の相互作用を適切に表すためには、より一般化されたモデルを用いてSIMMER-IIIを改良する必要がある。
神山 健司, 磯崎 三喜男, 今堀 真司, 小西 賢介, 松場 賢一, 佐藤 一憲
JAEA-Research 2008-059 2008 ( 59 ) 33 - 33,巻頭1〜2 2008年07月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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ナトリウム冷却高速増殖炉での炉心崩壊事故では、溶融炉心物質の一部が冷却材流路等を通じて炉心外へ流出する。溶融炉心物質との混合によって冷却材が急速に蒸発し、流路内から液相冷却材が排除されると、その後に流路内へ流入する溶融炉心物質の固化閉塞が生じ難くなる。このような特性は、溶融炉心物質の炉心外への早期流出を促進し、厳しい再臨界に至る可能性を低減する。本研究では、模擬物質として低融点合金と水を用い、実機相当以上の長さを有する冷却材流路を通じた融体流出試験を実施した。その結果、融体流入初期に冷却材の一部が蒸発し、下部プレナムとの接続部付近まで蒸気が拡大することで流出経路全体がボイド化することが示された。さらに、冷却材ボイド領域の拡大開始条件は融体熱量と冷却材の顕熱比並びに冷却材の加熱領域高さにて整理できること、並びに、冷却材ボイド領域の拡大過程での熱収支評価に際しては、流路壁面への膜状凝縮熱伝達を考慮する必要があることが明らかになった。これらの知見を酸化物融体とナトリウムを用いた試験結果に適用したうえで、実機条件における流出経路のボイド領域拡大挙動について考察した。
CABRI炉内試験等の知見を反映した「もんじゅ」ULOF事象解析
佐藤 一憲, 飛田 吉春, 鈴木 徹, 川田 賢一, 深野 義隆, 藤田 哲史, 神山 健司, 野中 信之, 石川 眞, 宇佐美 晋
JAEA-Research 2007-055 84 2007年05月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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高速原型炉「もんじゅ」の当初安全審査では、「技術的には起こるとは考えられない事象」の一つである「1次冷却材流量減少時反応度抑制機能喪失事象(ULOF: Unprotected Loss of Flow)」の評価を行い、発生する機械的エネルギーが大気圧までの等エントロピー膨張ポテンシャルで約380MJになるとの結論を得ていた。一方、「もんじゅ」は平成7年の2次系ナトリウム漏洩事故以来、10年以上の間プラント停止状態が続いており、この停止期間の間に核分裂性プルトニウムの一部が壊変によりアメリシウムに変わることによって、炉心の反応度特性が変化している。本研究はプルトニウム組成の変化による反応度特性の変化が発生エネルギーに与える影響を評価する目的で、ULOF事象の事象推移解析を行ったものである。ULOF事象推移解析においては、原安全審査以後に行われた安全研究によって得られた新たな知見を反映した解析を行った結果、反応度特性の変化を考慮しても、原申請における解析から得られた機械的エネルギー放出値を超えることはないとの結論を得た。
低エネルギー炉心プールの流動特性に関する基礎的研究(共同研究)
守田 幸路*, Liu P.*, 松元 達也*, 福田 研二*, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
JAEA-Research 2007-032 47 2007年03月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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液体金属高速炉の低エネルギー損傷炉心における炉心物質の流動性をモデル化するため、液体プール中における固体粒子層の圧力過渡に対する運動挙動について研究を行った。圧力源として加圧窒素を用い、初期圧力,固体粒子層高さ,固体粒子タイプをパラメータとした一連の実験とともに、高速炉安全解析コードSIMMER-IIIを用いた数値シミュレーションを実施した。SIMMER-IIIコードを用いた実験解析の結果は、本コードの物理モデルや手法が実験で観察された固相の割合が高い多相流の過渡挙動を適切に表現できることを示した。多相流における固体粒子相の過渡挙動を取り扱ううえで重要なSIMMER-IIIのモデルの妥当性についても議論した。
小西 賢介, 豊岡 淳一, 神山 健司, 佐藤 一憲, 久保 重信*, 小竹 庄司*, 小山 和也*, Vurim A. D.*, Gaidaichuk V. A.*, Pakhnits A. V.*, Vassiliev Y. S.*
Proceedings of Technical Meeting on Severe Accident and Accident Management (CD-ROM) 16 2006年03月
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FBR実用化に向けての炉心安全上の重要課題である、炉心損傷時における再臨界問題の排除に技術的見通しを得るため、EAGLEプロジェクトを進めている。カザフスタン共和国の試験炉IGRを用いて炉内中規模試験(WF試験)を実施し、肉厚3mmのスティール製壁構造の溶融燃料プール接触による破損挙動を調べた。試験の結果、壁の背後にナトリウムが在る場合とない場合との間の壁破損時間の差は1秒未満程度であることがわかった。過渡伝熱計算に基づき壁表面温度履歴の分析を行った結果、ナトリウムで冷やされた壁が早期に破損する現象は、燃料プールから壁に向かう20MW/m$^{2}$もの高い熱流束の存在の結果として生じたことがわかった。
3次元CDA解析コードSIMMER-IVの開発とその実機への初適用
山野 秀将, 藤田 哲史, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, 丹羽 元
Proceedings of Technical Meeting on Severe Accident and Accident Management (CD-ROM) 12 2006年03月
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炉心崩壊事故の遷移過程解析のため、2次元SIMMER-IIIコードをもとに3次元炉心安全解析コードSIMMER-IVの開発が行われた。また、世界で初めてSIMMER-IVを小型ナトリウム冷却高速炉に適用し、遷移過程の初期段階における事象推移を明らかにすることを試みた。このSIMMER-IVによる解析は、制御棒案内管の存在を無視したSIMMER-IIIによる2次元解析の場合と比較された。従来シナリオは比較的早期に高い流動性を持つ燃料プールが形成されていたが、3次元的な物質配位を考慮した本解析により、それは非現実的であり、遷移過程の初期段階では崩壊炉心は低流動性を保つ傾向があることが示された。
多成分多相流の熱流動現象の数値シミュレーションに関する研究; 多成分系の蒸発/凝縮過渡挙動に関する研究(3) (先行基礎工学研究に関する平成16年度共同研究報告書)
守田 幸路*, 松元 達也*, 福田 研二*, 山野 秀将, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
JNC TY9400 2005-022 119 2005年08月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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炉心損傷事故時に生ずる多成分・多相流の複雑な熱流動現象に対する数値シミュレーション技術の高度化を図ることは、原子炉の安全評価の信頼度を向上する上で重要な課題の一つである。本共同研究では、多成分系での相変化現象に対する安全解析コードの適用性を向上するため、非凝縮性ガス成分を含んだ蒸気泡の過渡的な凝縮挙動に対する物理モデルの開発と実験的研究を実施した。さらに、実験解析を通じて開発モデルの基本的な妥当性を確認するとともに、実機条件下での蒸気泡の凝縮挙動に対する高速炉安全解析コードの適用性について検討した。
山野 秀将, 小野田 雄一, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
JNC TN9400 2005-045 123 2005年06月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷事故においては、溶融燃料/スティール混合物による沸騰プールを形成する可能性がある。このような沸騰プールの安定性に関する研究は事象推移に大きな影響を与えるため非常に重要であるが、実物質を用いた炉内試験はかなり限られている。そこで、CABRI-RAFT試験計画(1997年$\sim$2002年)のTPA2試験は、炉心物質の沸騰プール挙動を支配する燃料-スティール間熱伝達特性を調べる目的で、仏国IRSNとの共同研究として2001年にCABRI炉で実施された。試験では、12.3\%濃縮度のUO$_{2}$新燃料ペレットにステンレス・スティール球を埋め込んだテストカプセルを使用し、予熱段階を経て、燃料溶融およびスティール蒸発を生ずる過出力を印加した。過渡中に観察されたスティール蒸気の圧力発生挙動は極めて弱く、燃料-スティール間熱伝達を抑制するメカニズムの存在が示唆された。詳細な試験データ評価により、スティール球表面で生成されたスティール蒸気がスティール球自身を覆い、溶融燃料との接触を阻害するという現象が推定された。この蒸気のブランケッティング挙動が燃料-スティール間熱伝達を抑制するメカニズムであると考えられる。多相多成分熱流動解析コードSIMMER-IIIを用いて解析を実施した結果、熱伝達係数を特別に低下させることによって、試験で起きた圧力上昇および沸騰プール挙動をよく再現できた。
高速炉の炉心安全性向上のための試験研究EAGLEプロジェクト; 炉外試験の進捗および融体流出試験結果
神山 健司, 久保 重信, 佐藤 一憲
JNC TY9400 2004-030 103 2005年02月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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要旨
山野 秀将, 小野田 雄一, 飛田 吉春, 佐藤 一憲
6th International Topical Meeting on Nuclear Reactor 54 2004年10月
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TPA2試験は炉心損傷事故時の沸騰プールにおける燃料とスティールとの伝熱特性を調べることを目的として、カバーガス空間を設けたカプセル内にスティール球を内部に配した燃料ペレットにパルス過出力を印加させ、スティール蒸気の発生を実現させた。試験データ及び解析評価より、沸騰プール内伝熱は従来評価より小さく、その原因の一つとしてスティール周りの蒸気泡が伝熱を阻害したことが考えられる。また、浮力によりスティールは液体燃料内を浮上・分離することが推定された。
ナトリウム冷却炉の再臨界回避方策に関する検討; 平成15年度報告
久保 重信, 飛田 吉春, 川田 賢一, 小野田 雄一, 佐藤 一憲, 神山 健司, 植田 伸幸*, 藤田 哲史, 丹羽 元
JNC TN9400 2004-041 135 2004年07月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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実用化戦略調査研究フェーズ2において、平成15年度に実施したナトリウム冷却炉の再臨界回避方策に関する検討結果を示す。ナトリウム冷却大型炉及び中型炉について、炉心燃料設計及びプラント設計との整合性に配慮しつつ、再臨界回避方策として有望な概念を構築することを目的とし、これらの炉心を対象とした炉心流量減少時炉停止失敗事象の炉内終息性に関する諸検討を実施して以下の結果を得た。遷移過程での燃料流出促進策として提案されているABLE概念の有効性について解析評価を実施した結果、ラッパ管溶融に先行した燃料流出が実現できない見通しであることが分かった。一方、FAIDUS概念については、燃料流出見通しはあるものの、炉心性能等への影響が大きいことから、改良概念を提示し予備的な評価によりその性能見通しを示した。原子炉容器底部で多量の燃料の保持冷却を確保するための課題を軽減する観点から、炉心部での事故後の損傷炉心物質の保持・冷却が重要であり、ナトリウムのもつ高い冷却能力を考慮した評価を今後定量化していくことによって炉内終息が達成できる可能性があることを示した。 FAIDUS及びABLEを対象とした現時点までの解析評価による情報等に基づいて、今後検討が必要となる可能性のある試験課題とその実施方法を例示した。金属燃料炉心については、出口温度を550$^{\circ}C$、ボイド反応度を8ドル以下とした中型炉を対象とした起因過程解析を実施し、即発臨界には至らずマイルドに推移する結果を得た。起因過程末期から遷移過程にかけての挙動については不確かさが大きいが再臨界が回避される可能性が示されると共に、仮に遷移過程で燃料プールが形成される状況を想定しても、MOX燃料と比較して緩慢な推移を示すことが示された。
多成分多相流の熱流動現象の数値シミュレーションに関する研究; 多成分系の蒸発/凝縮過渡挙動に関する研究,2
守田 幸路*, 松元 達也*, 福田 研二*, 飛田 吉春, 山野 秀将, 佐藤 一憲
JNC TY9400 2004-013 45 2004年07月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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炉心損傷事故時に生ずる多成分・多相流の複雑な熱流動現象に対する数値シミュレーション技術の高度化を図ることは、原子炉の安全評価の信頼度を向上する上で重要な課題の一つである。本共同研究では、多成分系での相変化現象に対する安全解析コードの適用性を向上するため、非凝縮性ガス成分を含んだ蒸気泡の過渡的な凝縮挙動に対する物理モデルの開発と実験的研究を実施する。本年度は、窒素を混合した水蒸気を用いた実験を行い、凝縮を伴わない比較的大きな気泡の過渡挙動について実験データを得た。また、高速炉安全解析コードを用いた実験解析を実施し、その妥当性について議論した。
佐藤 一憲, Lemoine F.*, Struwe D.*
Nuclear Technology 145 ( 1 ) 115 - 137 2004年01月
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CABRI-2プログラムでは、Phenix炉で照射された中空/中実燃料を用いて、制御棒引き抜き事象に相当する緩慢な過出力型条件、及びシビアアクシデントの一つであるULOF(Unprotected Loss of Flow)型の過渡条件での試験を実施した。これらの試験からは、燃料条件や過渡条件に応じた破損/非破損データが得られ、これと既存CABRI試験やその他の実験的情報、さらには解析評価からの知見を総合することにより、高速炉燃料の過渡条件下での挙動、及び破損限界に係わる知見をまとめた。
多成分多相流の熱流動現象の数値シミュレーションに関する研究; 多成分系の蒸発/凝縮過渡挙動に関する研究,1; 先行基礎工学研究に関する平成14年度共同研究報告書
守田 幸路*, 松元 達也*, 福田 研二*, 飛田 吉春, 山野 秀将, 小西 賢介, 佐藤 一憲
JNC TY9400 2003-011 56 2003年04月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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炉心損傷事故時に生ずる多成分・多相流の複雑な熱流動現象に対する数値シミュレーション技術の高度化を図ることは、原子炉の安全評価の信頼度を向上する上で重要な課題の一つである。本共同研究では、多成分系での相変化現象に対する安全解析コードの適用性を向上するため、非凝縮性ガス成分を含んだ蒸気泡の過渡的な凝縮挙動に対する物理モデルの開発と実験的研究を実施する。本年度は、非凝縮性ガスを用いた予備的な実験を行い、凝縮を伴わないラージスケール気泡の過渡挙動について基礎的な実験データを得た。また、ラージスケール気泡を扱うことのできるマルチスケール流動様式モデルを新たに高速炉安全解析コードに提案し、予備試験結果の解析に適用することに成功した。
Soo-Dong SUK*, 佐藤 一憲
JNC TN9400 2001-115 41 2001年10月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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CABRI-RAFT計画のLTX試験は、SCARABIX燃料を用い高速炉のTUCOP(Transient Under-Cooling Over-Power)型過渡条件下における燃料ピンの破損メカニズム、ピン内燃料移動、及び破損後燃料移動挙動を解明することを目的として、2000年3月に実施された。本試験における過渡は、冷却材流量減少によって開始し、フィッサイル頂部における冷却材平均温度が、サブクール度を保つべく予め設定された条件に達した時点で過出力が印加された。本試験では、燃料溶融に至る前の早期の燃料ピン破損が生じた。この早期の被覆管破損は多分に顕著なピン湾曲に起因した局所的な高温化によるものと考えられる。被覆管の破損によってピン内からの急速なガス放出が生じ、冷却材流路のボイド化を生じた。その後、溶融燃料の放出が生じ、徐々に冷却材流路中での軸方向移動を生じた。本研究では、SAS4Aコードを用いた解析によりLTX試験の解釈を行った。もともとのSAS4Aコードはこのような早期破損条件に適合したものではないが、被覆管の破損時間と位置を入力条件によって指定するとともに、溶融燃料放出や燃料崩壊について適切な判定条件を選定することで、破損後の全般的な挙動を妥当に模擬できた。本評価によってガス放出挙動がより明確に把握でき、その燃料溶融拡大や燃料移動への影響をも良く理解することができた。なお、本試験における早期破損メカニズムそのものは実機における代表性を有するものではないと考えられるが、早期破損を境界条件とした場合のその後の燃料溶融拡大や燃料・移動挙動については実機評価に有効なデータである。
試験データの詳細分析及びPAPAS-2Sコード解析によるCABRI-RAFT計画LTX試験の燃料破損挙動の解釈
深野 義隆, 佐藤 一憲
JNC TN9400 2001-096 45 2001年09月
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
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CABRI-RAFT計画LTX試験はピーク燃焼度6.4\%の中空燃料を用いて、燃料ピンの破損メカニズム,ピン内燃料移動、及び破損後燃料移動挙動を解明することを目的としている。過渡の試験条件は、同様の燃料ピンを用いたLT4試験と同様の試験条件としており、両試験は効果的な比較が可能である。同種の燃料ピンの高いPCMI緩和ポテンシャルを示したLT4試験とは対照的に、LTX試験では、燃料溶融に至る前の早期の燃料ピン破損が生じた。本研究では、燃料ピンの破損メカニズムを明らかにするために、試験データの評価、及びPAPAS-2Sコードを用いた解析を通じ、LTX試験の燃料ピンの破損に至るまでの解釈を行った。PAPAS-2Sコードによる解析結果は燃料溶融等の熱的条件を十分に模擬している。また、詳細な試験データ評価により、LT4試験に比べて早期に発生した燃料ピン破損は基本的には被覆管の局所的な高温化によることが分かった。このような高温条件では、プレナムガス程度の機械的負荷でも破損を説明し得る。一方、過渡時の燃料スウェリングによるPCMI負荷は顕著なものではなく、例え観測された早期ピン破損に寄与していたとしても、その効果は限定的なものであると考えられる。
試験データの詳細分析及びPAPAS-2Sコード解析によるCABRI-RAFT計画RB1, RB2試験結果の解釈
深野 義隆, 佐藤 一憲
JNC TN9400 2001-084 59 2001年08月
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CABRI-RAFT計画のRB1及びRB2試験は燃料溶融に至る過出力条件における、ピン破損の影響を解明することを目的としている。これらの試験では、特殊な技術を用いて燃料溶融と被覆管の貫通破損を実現した。RB1 試験では、少量の燃料溶融条件下での溶融燃料放出の抑制を確認するとともに、一方のRB2試験では、溶融燃料放出挙動に関する情報を得るため、大量の燃料溶融条件とした。本研究では、RB1,RB2試験データの詳細な分析及びPAPAS-2Sコードによる解析評価を実施し、これらに基づいて試験結果の解釈を行った。本研究を通じて、低スミア密度燃料では、スリット型の被覆管破損を想定しても軽微な燃料溶融の範囲では、溶融燃料の放出は抑制されることが示された。一方、大量の燃料溶融により、溶融キヤビテイ外側の固相燃料殼の薄い条件では、溶融燃料の放出を生じ得ることも明らかにした。しかしながら、低スミア密度燃料では、高スミア密度燃料と比較すると溶融燃料の放出速度も緩慢となることがわかった。また、両試験では、溶融燃料の放出前に、既にかなりのDN先行核が冷却材流洛中へ移行しており、これは、DN信号による異常検知性を評価する上で有効なデータである。
小野田 雄一, 佐藤 一憲
JNC TN9400 2001-047 42 2001年03月
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CABRILT4試験は、中空燃料のULOF(Unprotected Loss of Flow)事故時の挙動研究を目的として1997年3月11日に実施された。本試験では、燃料ピンが過渡中に破損し、破損部からの溶融燃料の放出と、これに伴う冷却材流路のボイド化、及びボイド化流路中での燃料分散が観測された。本試験の破損後挙動評価にSAS4Aコードを適用した。これにより、試験結果に対する現象論的理解が大きく深められた。また、中空燃料を用いた本試験での高いエネルギー破損条件における破損後挙動に対するSAS4Aモデルの基本的適用性を確認した。さらに、本試験に用いた燃料ではガス・プレナムからの急速なガス放出が溶融燃料の放出挙動に影響を与えていることが認識された。この効果は燃料分散を加速する。したがって、燃料設計に依存し、溶融燃料放出と分散の挙動をより正確に評価するためには、プレナム・ガス放出の影響を慎重に考慮する必要がある。
佐藤 一憲, 小野田 雄一
JNC TN9400 2001-048 21 2001年03月
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高速増殖炉のULOF(Unprotected Loss of Flow)事故を模擬したCABRI-FASTLT1試験では、過渡中の早期の段階でピン破損を生じた。この時点での燃料へのエネルギー投入は極めて小さく、燃料は未溶融と考えられる。ピン破損後は急速なガス放出と見られる冷却材応答が観測され、流路はボイド化した。このボイド化の後、燃料は連続的に崩壊し軸方向に移動した。本研究ではSAS4Aコードを用いた解析を実施し、その結果を参考にして本試験の解釈を行った。オリジナルSAS4Aコードのモデルは、本試験のような燃料ピン早期破損時の破損後挙動評価には十分に対応したものではないが、本試験の状況を反映した特殊な取扱いを導 入することにより、破損後の挙動を適正に模擬することができた。この研究を通じて、早期破損ピンからのガス放出挙動及びその後の挙動へのガス放出の影響が明らかになった。また、必要なモデル変更を前提として、SAS4Aコードによる燃料ピン早期破損からの挙動模擬のポテンシャルを示した。
山野 秀将, 近藤 悟, 鈴木 徹, 飛田 吉春, 佐藤 一憲, M.Flad*
4th Topical Meeting on Nuclear Applications of Accelerator Technology 0 2001年01月
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欧州で研究開発が進められている加速器駆動システム(ADS)の安全特性の評価の一環として、従来の高速炉用に開発された安全解析コードSIMMER-IIIを未臨界のADSへ適用するための種々の整備を行った。核計算部では、未臨界の初期条件及び強い外部中性子源の取り扱いが不可欠である。また、熱流動に関しては、重金属冷却材に対する適用性(熱物性、状態方程式、気液間運動量交換関数等)がポイントである。さらに、現在FZKで3次元コードSIMMER-IVに核計算部(THREEDANT)を組み込んでいるところでもあり、ADSへの適用研究に必要であることが述べられた。本論文では、ADSへの適用計算を通じて本コードの適用性を評価するとともに、ADSにおける安全上の特性を把握できたことが記述されている。ADSは現在の機構の研究業務に含まれないが、本論文は機構のコードの適用研究であり、JNC-FZK/CEA協力の成果が従来の高速炉以外の分野にも広く適用
CABRI-FAST EFM1試験における破損後燃料移動挙動
小野田 雄一, 佐藤 一憲
サイクル機構技報 ( 7 ) 71 - 81 2000年06月
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CABRI-FAST炉内試験計画(1992$\sim$1995年に過渡試験を実施)の中で実施されたEFM1試験は,本計画の主要課題の一つである「破損後の継続した燃料加熱条件下での燃料分散挙動の解明」を主要な目的としたものである。本研究では,このEFM1試験の中性子ホドスコープによる過渡中の燃料移動データや各部の温度計,出入口流量計等の過渡時データ,及び過渡後の破壊・非破壊検査等のデータを詳細に分析し,本試験における燃料崩壊・分解・固化といった一連の物理現象の全体的推移を明確化した。その結果,燃料の軸方向移動を支配する燃料可動性は燃料エネルギーに強く依存し,緩慢な加熱条件下では可動性が増大する過程でのローカルは移動が生じるものの,顕著な軸方向移動は十分な燃料エネルギーの蓄積にともなって生じること,及び継続した加熱条件下においては,フィッサイル上部に一度形成燃料閉塞の再溶融や構造材破損によって燃料移動が継続し得ることを
PAPAS-2SコードによるRB1予備的試験解析に基づくRB2試験事前解析
深野 義隆, 佐藤 一憲
PNC TN9410 98-058 12 1998年06月
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CABRI-RAFT計画のRB1試験結果に基づき、より進んだ燃料溶融での冷却材中への溶融燃料放出挙動の観察及び放出燃料の冷却性を確認するRB2試験を実施することがパートナー間で合意された。本研究では、特別な人工欠陥を施したピンの燃料熱条件を反映したRB1試験の予備的試験解析をまず実施し、このRB1試験の解析に基いてRB2試験の事前解析を実施した。この事前解析では、出力及び冷却材の流量履歴、人工欠陥の軸方向位置をパラメータとし、試験目的を充足する最適な試験条件を提案した。
ランプ型過出力時の燃料破損限界 - 既存炉内試験のサーベイとFCMI緩和メカニズムの検討 -
深野 義隆, 佐藤 一憲
PNC TN9410 98-057 55 1998年05月
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CABRI-2及び、CABRI-FAST試験、EBR-II TOPI-1E試験、以前のTREAT試験等、既存の炉内ランプ型過出力試験(以下スローTOPと呼ぶ)のデータを広範にサーベイし、燃料破損限界に係わるこれらの試験データを統一的に説明し得る解釈を得た。これにより基本的な燃料ピン破損メカニズムが把握でき、低$\sim$中スミア密度燃料ではFCMIが緩和され高い破損限界が得られることを確認した。このような低$\sim$中スミア密度燃料の高い破損限界は、(1)燃料内の気相空間による燃料熱膨張及びスウェリングの吸収、(2)自由空間への早期ガス放出によるスウェリングの抑制、及び(3)燃料溶融時の溶融領域圧力の抑制の3つの主要な効果によるものであると考えられる。これらの効果を過渡時燃料挙動解析コードPAPAS-2Sのモデルに反映するとともに、既存スローTOP試験の解析に適用した。その結果、試験結果との整合性が確認され、前述の考え方の妥当性が示唆された。
佐藤 一憲
動燃技報 ( 96 ) 33 - 37 1995年12月
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高速炉燃料の破損挙動と破損後物質移動挙動の解明を目的としたCABRI-2炉内試験計画(1987年$\sim$1992年に過渡試験を実施)では、これに先行して行われたCABRO-1試験計画での急激な過出力条件下での知見を踏まえ、より緩慢な過出力条件下での挙動、および燃焼度やスミア密度等の燃料条件の影響の解明に重点をおいた試験を実施した。これらの試験に対する評価を通じて、FPガスに起因する過渡時燃料スエリングのメカニズムと破損限界の支配要素、破損後物質移動に係わる支配要素等の解明が進められ、この知見を解析コードの改良に反映することにより、安全評価手法の高度化が図られた。また、本総合評価は欧州の研究機関と共同によっておこなわれ、現象の理解や評価の考え方等についての共通認識が形成された。
丹羽 元, 川太 徳夫, 家田 芳明, 佐藤 一憲, 大野 修司, 宇都 成昭, 宮原 信哉, 近藤 悟, 上出 英樹, 山口 彰, 大島 宏之, 守田 幸路, 飛田 吉春, 中桐 俊男, 江沼 康弘
PNC TN9410 94-154 317 1995年03月
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FBR安全性炉内試験計画(SERAPH計画)の検討は昭和62年後半から開始され、既に、その必要性、及び施設概念の検討結果に関して、原子力安全委員会、FBR安全研究専門委員会などへの報告を通して、内外の専門家から多くの意見や提案を得ている。これらの意見を踏まえて、これまでに、以下のような観点で試験の必要性及び施設概念の検討を行った。(1) SERAPH計画とその他の安全研究を全体的に統合することによって、SERAPH計画がFBRの実用化に対して果たし得る貢献の明確化を図る。(2)炉心損傷防止や影響緩和に関するサクセスシナリオを実証することによって実用化を促進するような安全研究の課題のうち、SERAPH計画に取り込むべきテーマを幅広く検討する。(3)個々の試験の内容や試験施設の仕様の妥当性、十分性を検討する。(4) SERAPH施設の成立性に係わる主要な要素技術について、それぞれが整合性を持つような概念を検討する。(5)各要素技術について、それぞれの性能向上を図ることにより、試験の要求条件を技術的に成立させる上での裕度を確保する一方、それらの性能を保証するための基礎的な研究の計画を具体化する。これまでの検討から、以下の結論が得られた。FBRの実用化段階において高水準の安全性を達成するために求められる安全確保の考え方と目標の設定を行った。その達成に必要な安全研究課題を摘出し、その研究手段のひとつとしてSERAPH計画を位置づけた。受動的安全特性を活用した炉心損傷への拡大防止,炉心損傷の早期終息、再臨界の排除等に重点を置いて幅広く試験の必要性の検討を行い、従来の検討成果を含め、全体的試験計画の形にまとめた。これらの試験研究、及び関連して進められるR\&Dなどから取得される知見を総合すれば、上で述べた実用炉における安全性の目標が達成できるものと期待できるが、その達成のためには、特に、本計画で提案した炉内試験計画の推進が不可欠である。施設検討においては、概念設計研究を通じて駆動炉心構成を改良することにより、各要素技術の整合性を考慮したリファレンス炉心の概念が得られた。提案された各試験テーマについて、それぞれの要求条件に対する充足度の評価を行い、施設概念の基本的成立性の見通しを得た。性能保証のための基盤技術開発の端緒として、燃料ペレットの試作を行い、その製造可能性について目途が得られた。
野中 信之, 佐藤 一憲, 丹羽 元
動燃技報 ( 82 ) 38 - 55 1992年06月
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動燃事業団は昭和50年より国際共同CABRI炉内安全性試験計画に参加し,これまでに第1期計画(32試験)を終了すると共に,現在,高燃焼度燃料挙動を主な対象とする第2期計画(12試験)へと進展してきた。これ等の試験データとその評価を通じて,事故時又はシビアアクシデント時の燃料過渡挙動の解明と共に,その知見はSAS,PAPAS等の安全解析コードの開発・検証を通じ,実機の安全評価技術の高度化に大きく貢献してきた。本報告では,同試験計画における試験目的と内容を始め技術的な主要成果として,事故の影響緩和機構の解明と物性モデルの高度化・検証及び実機評価手法の改善とその効果の重要性についてまとめる。
野中 信之, 佐藤 一憲
Nuclear Technology 98 ( 1 ) 54 - 69 1991年01月
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高速炉シビアアクシデント研究の一環として炉心崩壊事故(CDA)の安全評価に重要なULOF起因過程のエネルギー放出挙動のCABRI-1炉内試験の解析評価,評価手法の改善,効果について成果をまとめたものである。CABRI-1試験評価では実機の反応度挙動に重要な燃料の軸方向膨張,燃料破損,破損後燃料運動現象に注目しPAPAS-2S,SAS3D,SAS4Aコードで広範なデータの詳細解析を行い現象解明によりULOF事象下でのエネルギー発生の抑制に働く自己制御メカニズムの特性,有効性を明らかとした。また知見を改良版SAS3Dコードの物理モデル改良に反映し実機評価手法の改善を行った。この手法をULOF事象解析に適用し自己抑制メカニズムを安全解析に反映することがエネルギー放出,事象進展を現実的に評価する上で重要かつ有効であることを確認した。
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