2024/12/21 更新

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シラカワ タロウ
白川 太郎
所属
文学学術院 文学部
職名
助教
学位
博士(文学) ( 2024年02月 早稲田大学 )
プロフィール

後期中世から近世にかけてのキリスト教文化(特にローマ教会圏)を歴史学の立場から研究しています。
基本的には、いわゆるイタリア半島中部(現トスカーナ、ウンブリア、マルケ、ラツィオ各州)をフィールドにしています。ただし、同地域と南フランス・アラゴンおよび東地中海世界との間に存在した知的・人的交流にも留意して研究を進めていきたいと考えています。

2023年度に早稲田大学へ提出した博士論文では、1300年前後の北中部イタリアに出現した預言者の活動、彼らに対する崇敬、彼らを中心として生まれる実践・表象の論理を検証しました。

今後は以下の課題に取り組む予定です。
① 13−14世紀のイタリア半島で活動した預言者たちの記憶の継承・変容・利用(14−17世紀における聖人伝的テキスト・図像・説教)
② 15世紀地中海世界の托鉢修道会改革運動における預言者の活動、および彼らの表象が果たした機能
③ 後期中世の二大托鉢修道会が作成・編纂した聖人伝的史料からみる東西地中海世界の知的交流

また、近現代ヨーロッパにおける歴史学的知の枠組としての「中世/キリスト教(宗教)」の創出にも関心を抱いています。特に、19世紀のイタリア・フランス・スイスで展開された前近代的・宗派的な知的枠組の再編・転用を、プロテスタント知識人の国際交流および各地の国民形成という観点から研究しています。

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ワークショップ開催記録「中近世キリスト教と知の継承」

ワークショップ開催記録「中近世キリスト教と知の継承 II」

経歴

  • 2024年10月
    -
    継続中

    法政大学   文学部 史学科   兼任講師

  • 2024年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   文学学術院   助教

  • 2023年04月
    -
    2024年03月

    早稲田大学   文学学術院   助手

  • 2020年04月
    -
    2022年09月

    独立行政法人日本学術振興会   特別研究員(DC2)

  • 2017年12月
    -
    2022年07月

    早稲田大学   文学学術院   ラーニング・アシスタント(LA)

  • 2021年02月
    -
    2021年03月

    東京都立大学   人文社会学部   研究補助者

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学歴

  • 2019年04月
    -
    2024年02月

    早稲田大学   文学研究科博士後期課程   西洋史学コース  

  • 2022年08月
    -
    2023年03月

    Università degli studi di Firenze   SAGAS  

  • 2017年04月
    -
    2019年03月

    早稲田大学   文学研究科修士課程   西洋史学コース  

    修士課程

  • 2013年04月
    -
    2017年03月

    早稲田大学   文学部   西洋史コース  

  • 2014年09月
    -
    2015年07月

    Universitá per Stranieri di Siena(交換留学)  

委員歴

  • 2023年06月
    -
    継続中

    西洋中世学会  事務局委員(ウェブサイト委員)

  • 2023年04月
    -
    継続中

    早稲田大学史学会  庶務

  • 2021年06月
    -
    継続中

    西洋中世学会  事務局委員(大会準備委員)

  • 2019年04月
    -
    継続中

    早稲田大学中世・ルネサンス研究所  事務局

所属学協会

  • 2020年05月
    -
    継続中

    日本西洋史学会

  • 2019年04月
    -
    継続中

    比較都市史研究会

  • 2017年08月
    -
    継続中

    西洋中世学会

  • 2021年08月
    -
    継続中

    イタリア近現代史研究会

  • 2020年12月
    -
    継続中

    早稲田大学史学会

  • 2020年10月
    -
    継続中

    多元文化学会

  • 2020年07月
    -
    継続中

    歴史学研究会

  • 2017年04月
    -
    2024年03月

    早稲田大学西洋史研究会

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研究分野

  • 宗教学   宗教学・宗教史 / 史学一般   史学史 / ヨーロッパ史、アメリカ史   キリスト教史 / ヨーロッパ史、アメリカ史   西洋中世史

研究キーワード

  • 司牧

  • 聖書釈義

  • フランチェスコ会

  • 考証学

  • 歴史叙述

  • ヴァルド派

  • 思想史

  • 宗教学

  • 預言

  • 異端審問

  • 異端

  • 史学史

  • 教会史

  • 托鉢修道会

  • カトリック改革

  • イタリア

  • 聖人崇敬

  • 聖人

  • 宗教史

  • キリスト教

  • 中世

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受賞

  • 小野梓記念賞(学術)

    2024年03月   早稲田大学   博士論文「13-14世紀転換期イタリア半島における預言者の研究」  

  • 第3回西洋中世学会賞

    2023年06月   西洋中世学会   論文「故郷における預言者」  

    受賞者: 白川 太郎

  • 『西洋史学』第1回奨励賞 最優秀賞

    2022年08月   日本西洋史学会   論文「グリエルマとマイフレーダの異端」  

    受賞者: 白川 太郎

 

論文

  • 13-14世紀転換期イタリア半島における預言者の研究

    白川 太郎

    博士論文(早稲田大学)    2024年02月  [査読有り]

  • A Waldensian Pastor Between the Confessional Myth and National Genealogy History and Religious Reform in Emilio Comba (1839–1904)

    Taro Shirakawa

    Church History   92 ( 4 ) 865 - 885  2023年11月  [査読有り]

     概要を見る

    Abstract

    Emilio Comba, a leading Waldensian historian in the nineteenth century, was a strong advocate for nation-building in post-unification Italy. This article examines the relationship between Comba's “making Italians” endeavors and his historical writings, focusing mainly on his appropriation of the preceding confessional framework. As a fervent nationalist and evangelical pastor, Comba believed that true Risorgimento required not only political independence but also a religious reform of the Italian nation that would restore Italians to the original Religion of Christ. He envisioned this national reform as a realization of both liberty and the Gospel within the universal history of the Christian religion. Comba employed historical writings to support his claims, attempting to demonstrate how Italy was a perennially Protestant nation on the one hand and to serve as a magistra vitae for fellow citizens on the other. This article argues that Comba relied on a genealogical narrative structure inherited from the early modern protestant historiography in presenting his national history. By recasting its composition according to a category of the nation, he transformed a confessional genealogy of the true church into a national one. From a broader perspective, this article calls for further reflection on the role that the early modern intellectual framework played in the process of modern nation-building.

    DOI

  • Discretio, prophetia e Chiara da Montefalco: l’attività direzionale di una santa viva

    Taro Shirakawa

    Ricerche storiche   53 ( 1 ) 79 - 96  2023年04月  [査読有り]

  • Heresy of Guglielma and Maifreda: Devotion, Politics, and Society at the End of 13th Century Milan

    Taro Shirakawa

    Historical Studies of the Western World   2   3 - 27  2023年03月  [査読有り]

  • 故郷における預言者:キアラ・ダ・モンテファルコをめぐる崇敬・対立・権力

    白川 太郎

    西洋中世研究   13   79 - 99  2021年12月  [査読有り]

  • グリエルマとマイフレーダの異端:13 世紀末ミラノにおける信仰・政治・社会

    白川 太郎

    西洋史学   271   1 - 21  2021年08月  [査読有り]

  • 「聖マルゲリータ・ダ・コルトーナ」の誕生:後期中世イタリア都市における神秘体験者・崇敬・表象

    白川 太郎

    比較都市史研究   38   17 - 43  2019年12月  [査読有り]

  • プロテスタントたちの19世紀イタリア:近年の研究動向と課題から

    白川 太郎

    多元文化   11   64 - 88  2022年03月  [査読有り]

  • 「福音的イタリア」とリソルジメント:自由主義期のヴァルド派牧師エミーリオ・コンバとその歴史叙述

    白川 太郎

    史観   184   72 - 98  2021年03月  [査読有り]

  • イタリア中世宗教史研究の基本的枠組:宗教運動論の成果と課題

    白川 太郎

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   65   499 - 513  2020年03月  [査読有り]

  • グリエルマと「聖霊の子」―研究史的試論

    白川太郎

    西洋史論叢   41   57 - 72  2019年12月  [査読有り]

  • ヴィエンヌ公会議とアザーン禁止令 -規制言説の出現-

    白川 太郎

    エクフラシス : ヨーロッパ文化研究   8   30 - 50  2018年03月  [査読有り]

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書籍等出版物

  • 修道制と中世書物:メディアの比較宗教史に向けて

    大貫 俊夫, 赤江 雄一, 武田 和久, 苅米 一志( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 聖マルゲリータ・ダ・コルトーナをめぐる記憶の政治と書物:13−14世紀転換期におけるフランチェスコ会・イタリア都市・聖人崇敬)

    八坂書房  2024年03月 ISBN: 9784896943634  [査読有り]

  • 疫病・終末・再生:中近世キリスト教世界に学ぶ

    甚野 尚志( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第4章:預言者に従う人々 ― 13-14世紀転換期エミーリャ地方における終末待望とアポストリの変容 ―)

    知泉書館  2021年10月 ISBN: 9784862853486

  • 中世ヨーロッパ : ファクトとフィクション

    大貫 俊夫, 内川 勇太, 成川 岳大, 仲田 公輔, 梶原 洋一, 白川 太郎, 三浦 麻美, 前田 星, 加賀 沙亜羅( 担当: 共訳,  担当範囲: 第8章:ヨハンナという名の女教皇がいた)

    平凡社  2021年04月 ISBN: 9784582447132

  • 新版キリスト教大事典

    キリスト教大事典編集委員会編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「ギョーム・アルノー」「聖者号」「ヘンリクス、ゲントの」「ヘンリクス、ローザンヌの」「ホノリウス2世」「ホノリウス3世」)

    教文館  2025年

  • ヨーロッパの「統合」の再検討

    森原 隆( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第4章:中世イタリア都市における『市民的信仰』と都市共同体の統合:14世紀コルトーナの事例から)

    成文堂  2024年03月 ISBN: 9784792371135

  • 公益信託松尾金藏記念奨学基金編『明日へ翔ぶ−人文社会学の新視点− 6』

    白川 太郎( 担当: 分担執筆,  担当範囲: マルゲリータ・ダ・コルトーナの『事績録』と告解の問題:後期中世イタリアにおける預言者・司牧・托鉢修道会)

    風間書房  2023年03月  [査読有り]

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講演・口頭発表等

  • The Legend of Margherita da Cortona as pastoralia: the Conscience of the Franciscan Mission in Late Medieval Italy

    Taro Shirakawa

    International Medieval Congress 2024   (Leeds) 

    発表年月: 2024年07月

    開催年月:
    2024年07月
     
     
  • 「最も有益な魂の漁師」? ― 14世紀初頭コルトーナにおけるフランチェスコ会士・預言者・司牧革命 ―

    白川 太郎  [招待有り]

    第91回西洋史読書会大会  

    発表年月: 2023年11月

  • «Pescatori più utili delle anime». Le missioni francescane nella legenda di Margherita da Cortona

    Taro Shirakawa  [招待有り]

    Conferenza in intermediazione culturale e religiosa  

    発表年月: 2023年09月

  • 過ぎ去らない中世:近代イタリア王国の知識⼈による宗教史叙述と「異端者」 の再発⾒

    白川 太郎

    西洋中世学会第14回大会(自由論題報告)   (立教大学(ハイフレックス開催))  西洋中世学会  

    発表年月: 2022年06月

    開催年月:
    2022年06月
     
     
  • 後期中世スポレート渓谷における神秘体験者:キアラ・ダ・モンテファルコをめぐる崇敬と対立

    白川 太郎

    第71回日本西洋史学会  

    発表年月: 2021年05月

  • Nemo propheta in patria: Chiara da Montefalco tra venerazione e critiche

    Taro Shirakawa  [招待有り]

    Incontro: Storia della chiesa e delle eresie medievali (Università degli Studi di Firenze)  

    発表年月: 2021年05月

  • アポストリの空間:1300年前後のボローニャ・モーデナ境界地帯の霊的指導者たち

    白川 太郎

    ワークショップ「中近世キリスト教と知の継承 II」  

    発表年月: 2024年11月

    開催年月:
    2024年11月
     
     
  • 聖書釈義・説教・識別:13−14世紀フランチェスコ会の聖人伝における「預言」をめぐって

    白川 太郎

    ワークショップ「中近世キリスト教と知の継承」  

    発表年月: 2024年06月

    開催年月:
    2024年05月
    -
    2024年06月
  • Clare of Montefalco and her pastoral activities

    Taro Shirakawa

    Workshop: KU Leuven - Waseda University  

    発表年月: 2023年06月

  • フランチェスコ会・司牧・預言者:マルゲリータ・コルトーナの『事績録』と14世紀初頭の信仰文化

    白川 太郎  [招待有り]

    イタリア言語・文化研究会第177回例会  

    発表年月: 2023年03月

  • 14世紀初頭コルトーナにおける守護聖人崇敬の形成:聖マルゲリータの『事績録』における都市と托鉢修道会

    白川 太郎

    Remo研シンポジウム2020:東西中世における修道院・寺社の書物文化──制作・教育・世界観の変容  

    発表年月: 2021年12月

    開催年月:
    2021年12月
     
     
  • 自由主義期ヴァルド派の国民史と信仰改革論:牧師エミーリオ・コンバと福音的イタリアの系譜論

    白川 太郎  [招待有り]

    イタリア近現代史研究会例会  

    発表年月: 2021年10月

  • 預言者の到来:14世紀初頭エミーリア地方のアポストリ・ネットワーク

    白川 太郎

    2021年度早稲田大学史学会  

    発表年月: 2021年10月

  • 19世紀ヴァルド派の「イタリア化」と歴史叙述:牧師エミーリオ・コンバと福音的イタリアの系譜論

    白川 太郎  [招待有り]

    歴史論研究会第9回関東部会例会  

    発表年月: 2021年09月

  • 宗派史から国民史へ? 19世紀ヴァルド派の歴史叙述とそのイタリア化

    白川 太郎

    第1回WINE若手研究者研究発表会(早稲田大学ナショナリズム・エスニシティ研究所)  

    発表年月: 2021年09月

  • 「心臓の奇跡」を超えて:預言者キアラ・ダ・モンテファルコと後期中世イタリアの信仰文化

    白川 太郎  [招待有り]

    イタリア史研究会 2021年度7月例会  

    発表年月: 2021年07月

  • 後期中世イタリアの神秘体験者崇敬と信仰文化

    白川 太郎

    早稲田大学文学研究科 博士論文構想発表会  

    発表年月: 2020年11月

  • 信仰改革と福音的イタリア:ヴァルド派牧師エミーリオ・コンバのリソルジメント

    白川太郎

    多元文化学会 2020年度秋季大会  

    発表年月: 2020年11月

  • 聖年の北イタリアにおける異端者と終末論

    白川 太郎

    ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所『疫病・終末・再生』研究会  

    発表年月: 2020年08月

  • グリエルマとマイフレーダ:13世紀末ミラノにおける信仰・聖人・異端

    白川 太郎

    ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所研究会  

    発表年月: 2020年05月

  • 神秘体験と「聖性」:キアラ・ダ・モンテファルコの生涯と表象

    白川 太郎  [招待有り]

    イタリア言語・文化研究会第161回例会  

    発表年月: 2019年10月

  • 『聖性』を創る:後期中世トスカーナにおける伝記と崇敬

    白川 太郎

    早稲田大学西洋史研究会第74回大会  

    発表年月: 2019年07月

  • 中世後期イタリア都市における『聖人』の創造―14世紀初頭コルトーナの事例から―

     [招待有り]

    比較都市史研究会 第462回例会  

    発表年月: 2018年11月

  • 14世紀中部イタリアにおける聖人崇敬とその正統化

    白川 太郎

    歴史学研究会 ヨーロッパ中近世合同部会例会  

    発表年月: 2018年09月

  • 14-15 世紀トスカーナにおける聖性とその表象

    白川 太郎

    早稲田大学史学会大会 西洋史部会  

    発表年月: 2017年10月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 13世紀イタリアの司牧革命における観想修道制の遺産:フランチェスコ会の事例から

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2024年04月
    -
    2027年03月
     

    白川 太郎

  • 19世紀イタリア・プロテスタントの政治=宗教思想:1848年革命期の歴史神学的言説に注目して

    公益財団法人 松下幸之助記念志財団 

    研究期間:

    2024年10月
    -
    2025年09月
     

    白川 太郎

  • 13世紀フランチェスコ会の俗人向け教育書における観想修道制の遺産

    早稲田大学  特定課題研究助成費

    研究期間:

    2024年04月
    -
    2025年03月
     

    白川 太郎

  • 14-15世紀中部イタリアのフランチェスコ会における司牧・聖人伝・預言

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2023年09月
    -
    2025年03月
     

    白川 太郎

  • 中世後期フランチェスコ会の司牧活動における聖人伝・預言・権威

    早稲田大学  特定課題研究助成費 研究基盤形成

    研究期間:

    2023年06月
    -
    2024年03月
     

    白川 太郎

  • 【研究協力者】中近世における宗教運動とメディア・世界認識・社会統合:歴史研究の総合的アプローチ

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)

    研究期間:

    2020年10月
    -
    2023年03月
     

    大貫 俊夫

  • 後期中世イタリアにおける托鉢修道改革と聖人崇敬

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2022年03月
     

    白川 太郎

     概要を見る

    今年度は、13世紀後半から14世紀初頭に活動した預言者であるマルゲリータ・ダ・コルトーナ、キアラ・ダ・モンテファルコ、ドルチーノ・ダ・ノヴァーラ(アポストリ)を事例として、預言者と托鉢修道会による司牧活動、地域社会との関わりを、人的結合と実践という観点から検討した。その目的は、預言者・神秘体験者・異端者といった人々が司牧革命・規律化において主体的に担った役割/彼らに期待された役割を明らかにすることで、後期中世における信仰文化や司牧的権力の多元性を明らかにすることであった。
    この課題の遂行を通じて、特に以下の2点の成果が得られた。
    ① 聖職位階制と預言者・神秘体験者・異端集団間の相互浸透の解明:従来の研究が霊性とイデオロギーにおける二項対立を設定してきたのに対して、本研究は人的結合と実践における両者の境界が曖昧ないし不在であり、「正統と異端」が共通の司牧志向を有していたこと、後者を中心とする連帯が規律化の場として機能していたことを示唆した。この点については複数の雑誌論文・書籍収録論文にて成果を公表した他、国内外の研究会で口頭報告を行った。
    ② 預言者による「霊の識別」の存在: これまでの研究が規律化の手段として預言者・神秘体験者・女性に対する適用を強調してきた「霊の識別」が、預言者による周囲の統制や預言者間の競合という文脈において、彼ら自身によって実践されていたことを明らかにした。この点についても複数の雑誌論文において成果を公表することができた。

  • 14-15世紀イタリアにおける教会改革運動と聖人崇敬

    公益信託松尾金藏記念奨学基金 

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2020年03月
     

    白川 太郎

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Misc

  • 【書評】イタリア史研究会編『イタリア史のフロンティア』(昭和堂・2022年8月刊)

    白川 太郎

    西洋史学   276   95 - 98  2024年02月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【書評】異端審問の中世:Benedetti, Marina, Medioevo inquisitoriale. Manoscritti, protagonisti, paradossi, Roma: Salerno Editrice, 2021

    白川 太郎

    エクフラシス   12   59 - 73  2022年03月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【書評論文】イタリア中世宗教史研究における「女性の信仰生活」(書評 Vita religiosa al femminile (secoli XIII-XIV), Roma: Viella, 2019)

    白川 太郎

    立教史学   5   42 - 74  2022年03月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【研究ノート】アポストリ研究の諸前提:史料論と研究史

    白川 太郎

    西洋史論叢   43   73 - 92  2021年12月  [査読有り]

    速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)  

  • 【新刊紹介】Alessandra Bartolomei Romagnoli. Corpo sacro: scrittura ed esperienza mistica tra Medioevo ed età moderna. Uomini e mondi medievali. Spoleto: Fondazione Centro italiano di studi sull’alto Medioevo, 2022.

    白川 太郎

    西洋中世研究   16  2024年12月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【新刊紹介】Viliam Štefan Dóci and Gianni Festa, eds. Fra trionfi e sconfitte: ‘politica della santità’ dell’Ordine dei predicatori. Roma: Angelicum University Press, 2021.

    白川 太郎

    西洋中世研究   14   213 - 214  2022年12月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【新刊紹介】Carolyn Muessig. The Stigmata in Medieval and Early Modern Europe. Oxford: Oxford University Press, 2020.

    白川 太郎

    西洋中世研究   14   231 - 232  2022年12月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【報告要旨】グリエルマとマイフレーダ:13 世紀末ミラノにおける信仰・聖人・異端

    白川 太郎

    エクフラシス   11   163 - 163  2021年03月

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)  

  • 【書評】Isabella Gagliardi, «Novellus pazzus»: storie di santi medievali tra il Mar Caspio e il Mar Mediterraneo (secc. IV-XIV), Firenze: Società editrice fiorentina, 2017.

    白川 太郎

    エクフラシス : ヨーロッパ文化研究   10   184 - 195  2020年03月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【書評】Recensione: Lorenzo Paolini, Le piccole volpi: Chiese ed eretici nel Medioevo

    白川 太郎

    エクフラシス : ヨーロッパ文化研究   9   92 - 100  2019年03月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 【報告要旨】中世後期イタリア都市における「聖人」の創造:14世紀初頭コルトーナの事例から

    白川 太郎

    比較都市史研究   37 ( 1-2 ) 16 - 17  2018年12月

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 【報告要旨】十四-十五世紀トスカーナにおける聖性とその表象

    白川 太郎

    史観   178   161 - 163  2018年03月

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

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その他

  • 早稲田大学・津田左右吉奨学金(2018年度)

    2018年
    -
    2019年03月
  • 早稲田大学・小野梓記念奨学金(2017年度)

    2017年04月
    -
    2018年03月
  • 早稲田大学・大隈記念特別奨学金(2013−2016年度)

    2013年04月
    -
    2017年03月
 

特定課題制度(学内資金)

  • 中世後期フランチェスコ会の司牧活動における聖人伝・預言・権威

    2023年  

     概要を見る

    本研究では、14−15世紀托鉢修道会が作成した司牧的聖人伝の内容を検証し、そこで機能している「預言」の機能・意義を明らかにすることを目指した。事例としては、中部イタリアのフランチェスコ会士たちが作成した伝記群を設定した。研究課題採択後の2023年8−9月に3週間イタリアへ渡航し、研究方針についてフィレンツェ大学の宗教史研究会で報告を行い、同大学歴史・考古学・地理学・美術・演劇学部准教授のイザベッラ・ガリャルディ氏をはじめとする隣接分野の研究者と討論を行った。また、この渡航期間に史料調査を行い、中世ローマ教会世界において「預言」と連関する恩寵として捉えられていた「霊の識別」に関する分析を進めた。その成果は、京都大学西洋史読書会大会(2023年11月3日)にて報告を行い、同大学名誉教授の服部良久氏、同教授の佐藤公美氏、同非常勤講師の藤田風花氏、奈良女子大学名誉教授の山辺規子氏らから有意義なフィードバックを得た。報告内容はイタリア語論文として投稿し、現在査読中である。年度後半は、8−9月の渡航期間に収集した史料の文字起こしおよび分析を進めた。その内容は、来年度半ばまでに英語論文として査読付き国際誌に投稿の予定である。