Updated on 2026/04/01

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YAGI, Sota
 
Affiliation
Faculty of Human Sciences, School of Human Sciences
Job title
Assistant Professor(non-tenure-track)
 

Syllabus

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Internal Special Research Projects

  • 原始金属結合タンパク質の機能探索

    2025  

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    本研究計画では、古代の短いペプチドが金属イオンと結合し、電子移動を伴った酸化還元反応の触媒となりうるかを検証することを目的とした。まず初めに、前年度までに設計した短いペプチドがレドックス活性を持つ金属イオンと結合するかどうかを確かめた。その結果、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオンの濃度依存的にペプチド構造の変化が観察された。この結果は、ペプチドがいずれの金属イオンも結合し、立体構造形成に起用することを示すものである。また、鉄-ペプチド複合体のUV Visの吸光スペクトルは、天然型の鉄結合型Rubredoxinと類似したことからも、ペプチド構造中において鉄イオンの正確な配位構造の形成が推定できた。この鉄-ペプチド複合体の電子伝達活性を評価するために、酸化還元指示薬のメチレンブルーの呈色反応を利用した。初めに酸化型メチレンブルーの還元反応を鉄-ペプチド複合体が促進するかを検証したが、予想と異なりメチレンブルーの酸化が観察された。また、メチレンブルーの酸化反応をモニタリングした場合でも、鉄-ペプチド複合体を含むサンプルでは酸化が促進された。つまり、鉄-ペプチド複合体はメチレンブルーから電子を引き抜く酸化反応を触媒する可能性を見出した。これは、古代の短いペプチドであっても金属イオンにより自己組織化および構造形成が促され、電子伝達活性機能を持ちうることを示す結果である。また、本研究において変異ペプチドの電子伝達活性も解析を行った結果、配列によって電子伝達能力に変化が生じることもわかった。これは、今後のペプチド配列と電子伝達活性との共進化の関係を探る上で、良いモデルになると予想される。これらの結果をもとに今後、電気化学的な解析も交えつつより詳細な古代ペプチドの電子伝達能力とその可能性について解明を進める。

  • 原始ペプチドからタンパク質への進化

    2024  

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    前年度までに得られている結果、「遺伝子発現系に関与する4つの古代タンパク質構造の進化ネットワークの実験的再現」に関する論文を2024年7月18日に国際誌Nature communicationにて発表した。また、本成果は早稲田大学および理化学研究所の共同でプレスリリースもなされた(今は失われたタンパク質構造が解き明かす「RNAポリメラーゼ」と「リボソームタンパク質」の進化的繋がり)。上記の4つの古代タンパク質構造からなる進化ネットワークの更なる拡張を目指して、前年度までにSH3タンパク質とルブレドキシンの進化的関係性、さらにルブレドキシンが13残基の短いペプチドから再構成できることを発見した。2024年度では、13残基の短いペプチドと亜鉛イオンとの複合体形成のメカニズムの検証を進めた。円二色性(CD)分散計を用いて、ペプチドに亜鉛イオンを滴定していく過程でのCDスペクトルの変化を測定した。亜鉛イオンを含まない条件では、特定の構造を作らないランダムコイル特有のスペクトルが認められたが、亜鉛イオンを加えていくとCDスペクトルの変化が見られ二次構造形成が確認できた。また、ペプチドの濃度に対して亜鉛イオンの濃度がおよそ半分の時にこの構造変化が完了した。つまり、ランダムコイルのペプチドに亜鉛が結合すると特定の構造形成が行われ、ペプチドと亜鉛がおよそ2:1で複合体形成していることがわかった。また、溶液核磁気共鳴(NMR)でも同様のペプチドに対する亜鉛イオンの滴定実験を行ったところ、同様のペプチド:亜鉛=2:1の複合体形成が確認でき、複合体はしっかりとした3次構造を形成していることも確認できた。これらの結果は、前年度に決定したX線結晶構造解析の結果と一致する結果である。つまり、13残基の短いペプチドでも亜鉛イオンと結合することで、二両たいを形成し、3次構造を形成できることを見出した。

  • 生命の起源に関わる古代タンパク質の復元と機能解析

    2023  

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    これまで、セントラルドグマに関わる古代βバレルタンパク質四種(DPBB、RIFT、OB、SH3)が共通の祖先タンパク質から進化してきた姉妹タンパク質であることを実験的に証明してきた。2023年度は、これらのβバレルタンパク質に機能があるかを検証した。DPBBはDNA結合能を持つことをこれまでに明らかにしていたため、他3種の再構成したタンパク質のDNAとの相互作用を解析した。その結果、RIFT構造を持つタンパク質では非常に強いDNA結合能力を確認することができた。また、OB構造を持つ一部の変異体も弱いDNA結合能力が認められた。つまり、これらの古代βバレル構造は核酸ポリマーとの結合能力を保持しながら、分岐進化してきた可能性がある。さらに、本研究では上記4種とは異なるβバレル構造との進化的関係性を検証し、古代タンパク質進化ネットワークの更なる解明にも取り組んだ。これまでに作成したSH3構造タンパク質は、代謝系酵素に保存される金属結合タンパク質ルブレドキシンとの類似性が確認できた。そこで、SH3―ルブレドキシン間の進化的関係性の検証を試みた。ルブレドキシンは2箇所の類似した金属結合配列モチーフにより、亜鉛などの金属イオンと結合する。この金属結合配列モチーフをSH3タンパク質に移植し、複数の変異体を作成したところ、一部の変異体は赤色を呈し、鉄原子との結合が示唆された。また、他の変異体のX線結晶構造解析の結果、ルブレドキシンと同様に亜鉛原子と結合したβバレル構造を持つことがわかった。つまり、SH3とルブレドキシンも少ない遺伝子変異で変換可能な姉妹タンパク質群であることが分かった。加えて、ルブレドキシンの金属結合配列モチーフを含む13残基のペプチドを合成し、X線結晶構造解析を行ったところ、ペプチドが二量体となってルブレドキシン様の構造を持つことが分かった。この結果は、13残基の短いペプチドが遺伝子重複と融合の結果ルブレドキシンに進化したことを強く示唆する。