Updated on 2025/04/24

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MACHIDA, Ikuko
 
Affiliation
Faculty of Education and Integrated Arts and Sciences, School of Education
Job title
Assistant Professor(non-tenure-track)
 

Syllabus

 

Internal Special Research Projects

  • バイオチャーへの土壌微生物の付着に関する研究

    2024  

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    地球温暖化対策の一つとして、生物資源を低酸素下で熱処理することで炭化させたバイオチャーを作出し、炭素を隔離する技術が注目されている。バイオチャーはそれ自身が分解されにくいことに加え、土壌に散布することで植物の成長を促進させる効果をもつなど、さまざまな側面からの炭素隔離効果が期待されている。我々は、海岸の漂着海藻や森林の落枝といった自然環境下で生じる有機物残渣からバイオチャーを作出し、それらを陸上生態系に投入した際の土壌圏への影響に着目して研究を進めている。バイオチャーには土壌微生物が定着・生息することが知られているが、その量についての評価は十分な検証がなされていない。そこで本研究は、種々のバイオチャーに付着する土壌微生物を、バイオチャーの表面特性の違いに着目しながら定量的に評価することを目的として行なった。本研究ではまず、異なる3種の材料(海藻、木材、もみ殻)から作出したバイオチャーの特性の違いを調べた。海藻バイオチャーは漂着アラメ個体から自作し、他のバイオチャーは市販のものを用いた。元素分析を行なった結果、海藻由来のバイオチャーは他材料に比べて窒素やミネラルを多く含む特徴を持つことが明らかとなった。次に、室内培養実験にて、バイオチャーを森林土壌中に添加した際に表面に付着する微生物についての解析を行なった。電子顕微鏡による観察からは、どのバイオチャーの表面にも土壌微生物が付着している様子が確認された。また、付着した微生物の量を、土壌試料に対して広く用いられているATP(アデノシン三リン酸)法を用いたバイオマスの測定により定量したところ、バイオチャーの炭化の指標であるH/C比が同程度の場合には、材料による差異が少ない傾向がみられた。以上、本研究の結果から、海藻、木材、もみ殻由来のバイオチャーは、いずれも土壌微生物の付着基質として効果的に機能することが定量的に示された。