2025/04/25 更新

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オクムラ カツヒコ
奥村 克彦
所属
附属機関・学校 高等学院
職名
教諭
学位
博士(理学) ( 2022年03月 早稲田大学 )

研究分野

  • 代数学   代数幾何学
 

論文

  • SNC Log Symplectic Structures on Fano Products

    Katsuhiko Okumura

    Canadian Mathematical Bulletin   63 ( 4 ) 891 - 900  2020年12月

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    <title>Abstract</title>This paper classifies Poisson structures with the reduced simple normal crossing divisor on a product of Fano varieties of Picard number 1. The characterization of even-dimensional projective spaces from the viewpoint of Poisson structures is given by Lima and Pereira. In this paper, we generalize the characterization of projective spaces to any dimension.

    DOI

  • A classification of SNC log symplectic structures on blow-up of projective spaces

    Katsuhiko Okumura

    Letters in Mathematical Physics   110 ( 10 ) 2763 - 2778  2020年10月

    DOI

    Scopus

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 二次超曲面と射影空間を特徴づける対数的シンプレクティック構造の構成

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援

    研究期間:

    2021年08月
    -
    2023年03月
     

    奥村 克彦

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    申請者はこれまで退化因子の特異点が単純正規交差(SNC)因子である対数的ポアソン構造(SNC対数的シンプレクティック構造)をピカール数が2以上のファノ多様体上で構成・分類するという問題に取り組んでいた.これまでに知られたSNC対数的シンプレクティック構造は射影空間上の対角ポアソン構造のみだったからである.2022年1月に「対称性と幾何」セミナーにて,この以前の研究について講演するとともに,現在の当該分野の状況や課題について紹介した.
    本研究計画では,退化因子に許容する特異点の範囲を単純正規交差因子のみの場合より拡張すること,それによりこれまで対数的シンプレクティック構造が構成されたことのないファノ多様体上に新しく例を構成すること,特に,そのような対数的シンプレクティック構造の存在性によりその多様体を特徴づけることが目的だった.研究開始時の研究の概要に書いてあるように,元々の狙いは多様体が二次超曲面の場合を想定していた.
    2021年度は,研究の方針を転換して,V-normal crossing特異点を退化因子に許容する対数的シンプレクティック構造の研究に着手した.V-normal crossingとはエタール被覆上ではSNCであるような特異点である.そのような特異点を扱うために,滑らかなDeligne-Mumford stack上でのポアソン構造や交点数の理論などについて理解を深めた.現在の転換した研究計画において重み付き射影空間が,従来の計画の二次超曲面に相当する多様体になると想定している.

 

特定課題制度(学内資金)

  • ファノ多様体を特徴づける対数的ログシンプレクティック構造の退化因子の特異点

    2024年  

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    代数多様体上の2-ベクトル場がスカウテン括弧に対して、を満たすとき、ポアソン構造であるという。ポアソン構造はシンプレクティック形式に退化を許すような一般化であり、実際、シンプレクティック形式に対応する非退化なポアソン構造が存在する。ポアソン構造の問題を立てるとき、許容する退化に制限をかけるという視点がある。実際、R.LimaとJ. V. Pereiraの2014年の論文(以下[LP14])では、退化因子にSNC特異点のみを許容し、その結果、射影空間の特徴付けを与えている。SNC特異点は各既約成分が滑らかであり、その交わりもまた滑らかであるという性質がある。つまり、最も非特異に近い種類の特異点のみを許容している。この制限を緩めることで、新しいポアソン多様体を構成することが期待できる。本研究では、[LP14]をスタックの場合へ一般化することを試みた。要するに、V-NC特異点を退化因子に許容した場合、どのようなスタック上に存在し得るかを考えようとした。スタックとは代数多様体の一般化であるスキームのさらなる一般化である。筆者はすでにこのスタック上でもポアソン構造を定義できることを確認している。重み付き射影空間というスタック上のポアソン構造については、申請の前に具体例を計算していた。今年度は偽重み付き射影空間というある種のトーリックの性質を持つスタック上でポアソン構造の構成を試みた。W.Buczynskaのプレプリント&nbsp;http://arxiv.org/abs/0805.1211v1に偽重み付き射影空間の具体例があり、その具体例に対して、ポアソン構造の構成を試みた。

  • トーリック多様体の新たな特徴づけについて

    2024年  

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    申請者はポアソン構造の分類に興味がある。R.Lima-J. V. Pereiraの2014年の先行研究で、対角ポアソン構造が射影空間を特徴付けることが知られている。その特徴付けがトーラスの作用と関連しているとB. Pymによるサーベイに書かれている。元々申請者は、対角ポアソン構造を多様体の一般化であるスキームのさらなる一般化であるスタックにまで拡張することを考えていた。その中で、あるスタックがそのポアソン構造を持つという条件とトーリック多様体であるという条件の関連が深いと想定するに至った。一方で、その2つの条件の必要性・十分性を証明するには至らなかった。このギャップを埋めるために、トーリック多様体であるための十分性を研究する必要があった。トーリック多様体とは代数的トーラスを稠密な開部分集合として含み、かつトーラス上の自身への作用を多様体全体に拡張できるものをいう。例えば、アフィン空間や射影空間はトーリック多様体であり、これらのある種のブローアップもまたトーリック多様体の例である。トーリック多様体は錐の集まりである扇によって記述できる。扇で具体的に記述ができるため、構造が明示的に分かってコホモロジーなどの計算がしやすいという特徴がある。複雑な問題を単純化するときや具体例を見つけたいときに、代数幾何学の様々な文脈でトーリック多様体は用いられてきた。多様体がトーリック多様体であるための十分条件は、コックス環を用いる方法などいくつかの方法が知られている。今年度は既存の特徴づけのスタックへの一般化として、コックス環を用いてトーリック多様体を特徴付ける方法を精査した。今のところこの方法のスタックへの一般化までは至っていない。今後も引き続きこの研究に取り組んでいく所存である。

  • V-NC対数的シンプレクティック構造の分類とトーリックファノ多様体

    2023年  

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    研究は遂行中である。重み付き射影空間だけでなく、偽重み付き射影空間上にもV-NC対数的シンプレクティック構造が入り得ることが分かった。そこで、現在は偽重み付き射影空間の理解を深めている。2023年12月に上智大学数学談話会に招待され、これまでの研究や本研究の今後の進展などについて講演をした。

  • 点のヒルベルトスキームを用いたSNCログシンプレクティック構造の構成

    2022年  

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    点のヒルベルトスキームを用いたSNCログシンプレクティック構造の構成よりも、SNCログシンプレクティック構造の一般化であるVNCログシンプレクティック構造の研究に注力していた。現在知られているSNCログシンプレクティック構造がほとんどないという現状がある。これら二つの課題はどのようにすれば新しい例を構成できるか、という着眼点を共有している。この研究は現在進行中である。さらに、射影空間束の構造を持つ4次元多様体上のSNCログシンプレクティック構造の分類にも取り組んでいる。多くの場合で分類ができており、残りの場合についての研究を進めている。第4回宇都宮大学代数幾何学研究集会を世話人として主催した。若手の研究者を中心に20名近くが参加し、代数幾何学について議論を交わした。

  • Fano多様体を特徴づける対数的シンプレクティック構造の構成

    2021年  

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    The original plan was to study Poisson structures that characterize quadratic hypersurfaces. However, my interest shifted to the construction of SNC log-symplectic structures using the Hilbert scheme of points, which I was studying in parallel, and I spent most of this year working on this topic. It is a kind of Poisson structure known as the closest one to symplectic and it characterize projectice space. It is also difficult to construct examples like the symplectic case. We find that the blow-up of the Hilbert scheme of points of the diagonal Poisson structure on the projective space form an example of SNC log-symplectic. We also started a study on a VNC log-symplectic structure, which is a generalization of SNC that allows actions of finite groups.