2024/12/21 更新

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ニシムラ マサオ
西村 正雄
所属
文学学術院
職名
名誉教授
学位
Ph.D ( ミシガン大学 )

研究キーワード

  • 文化人類学(含民族学・民俗学)

 

論文

  • Transformation of Cultural Landscape of Complex Societies in Southeast Asia: A Case Study of Cebu Central Settlement, Philippines

    西村 正雄

    Human Relations and Social Developments - Anthropological Thoughts on Social Dynamics. (ed. Nishimura, M.)     275 - 308  2014年04月  [査読有り]

  • Reestablishing National Identity by Reevaluating a Nation's Past - A University's Effort to Recover from War in the Late 1990s Cambodia: An Ethnographic Account

    西村 正雄

    Natural Disaster and Reconstruction in Asian Econmics - A Global Synthesis of Shared Experiences (ed. by Yau Shuk-ting, Kinnia)     173 - 183  2013年12月  [査読有り]  [招待有り]

  • What the Europeans Saw first in Cebu Island, and Why They Decided to Establish the First Colony at Cebu? - An Attempt to Reconstruct the Landscape of Cebu Island at the Time of the First European Contact -

    西村 正雄

    早稲田大学文学研究科紀要 第56輯   56 ( 3 ) 102 - 126  2010年12月  [査読有り]

  • ヘリテージ・ツーリズムと文化的アイデンティティ-ラオス・カンボジアの国境地帯の調査から-

    西村 正雄

    アジア学のすすめ 第2巻アジア社会・文化論(村井吉敬 編集)     112 - 146  2010年03月  [査読有り]  [招待有り]

  • メコン川沿国境地帯のカルチュラル・ランドスケープの動態と観光開発-ラオス・カンボジアの国境地帯の事例から-

    西村 正雄

    東アジアの歴史・民族・考古     237 - 273  2009年03月  [査読有り]  [招待有り]

  • Some Negative Impact on Tourism Development: A Comparative Studies on Policy toward Tourism Development between Laos and Cambodia

    西村 正雄

    早稲田大学文学研究科紀要   54 ( 3 ) 159 - 177  2008年12月

  • チャンパサック県の観光政策

    西村 正雄

    文化人類学年報(早稲田大学文学学術院)   3   47 - 50  2008年12月

  • An Example of Cultural Landscape of World Heritage: Introduction of Vat Phu and Associated Archaeological Remains within the Cultural Landcape of Champasak

    西村 正雄

    Members Report of World Heritage Academy   ( 1 ) 11 - 11  2008年04月  [招待有り]

  • ラオス、チャンパサック地域の人々の資源獲得パターン

    西村 正雄

    早稲田大学文学研究科紀要   53 ( 3 ) 121 - 143  2008年02月

  • ラオス南部の文化的景観と記憶

    西村 正雄

    ラオス南部:文化的景観と記憶の探求     1 - 33  2007年03月  [査読有り]  [招待有り]

  • チャンパサックの文化的景観と記憶

    西村 正雄

    ラオス南部:文化的景観と記憶の探求     34 - 55  2007年03月  [査読有り]  [招待有り]

  • 遺産と記憶-チャンパサックの世界遺産とその維持管理のために-

    西村 正雄

    ラオス南部:文化的景観と記憶の探求     241 - 265  2007年03月  [査読有り]  [招待有り]

  • 国境地帯(ボーダー)の人類学-ラオス・カンボジア国境地帯の現在

    西村 正雄

    ワセダアジアレビュー   3   22 - 27  2007年02月  [招待有り]

  • 遺産概念の再検討

    西村 正雄

    文化人類学研究   7   1 - 22  2006年12月  [査読有り]

    CiNii

  • 遺産をめぐる様々な意見-チャンパサック世界遺産登録のプロセスと地元住民の周辺化―中心ー周辺の関係の再検討にむけて

    西村 正雄

    アジア地域文化学の構築     238 - 318  2006年03月  [査読有り]

  • チャンパサックの集合的記憶と分有

    西村 正雄

    文化人類学年報(早稲田大学文学学術院)   2   15 - 24  2005年03月

  • Long Distance Trade and the Development of Complex Societies in the Prehistory of the Central Philippines. The Cebu Central Settlement Case. 3 vol.

    西村 正雄

    ミシガン大学、アンアーバー校     i - 1068  1992年05月  [査読有り]

  • Shell Remains as Indicator of Environmental Change - A Case Study of the Change of Coastal Environment of Cebu Central Settlement in the First Millennium A.D. -

    西村 正雄

    文化人類学年報   5   1 - 30  [査読有り]  [招待有り]

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書籍等出版物

  • Human Relations and Social Developments - Anthropological Thoughts on Social Dynamics.

    西村 正雄( 担当: 編集,  担当範囲: all articles)

    New Day Publication  2014年04月

  • ラオス南部:文化的景観と記憶の探求

    西村 正雄( 担当: 編集,  担当範囲: すべて)

    雄山閣  2007年03月

講演・口頭発表等

  • An Attempt to Conserve the Philippine Heritage: Preliminary Analysis of the Data of Heritage Studies in Cebu City in 2016

    西村 正雄  [招待有り]

    発表年月: 2017年05月

  • How Cebu People Think about Heritage: "Competitive Heritage"

    西村 正雄  [招待有り]

    The International Workshop on Re-Appraisal of the Concept of Heritage (held at Waseda Univesity)  

    発表年月: 2017年03月

  • Practicing Heritage - Living Heritage in Champasak, Lao PDR

    西村 正雄

    The 5th International Conference of Lao Studies (held at Thammasat University, Bangkok, Thailand)  

    発表年月: 2016年09月

  • Tangible, Intangible and Living Heritage: A Variety of Heritage Concepts in Southeast Asia

    西村 正雄

    IUAE Conference (held at Thammasat University, Bangkok, Thailand)  

    発表年月: 2015年06月

  • Issues on Heritage Management - with focus on sustainablity and capacity-building: A Case Study of Champasak World Heritage, Lao PDR, and Suggestiion to Cebu, Philippines

    西村 正雄  [招待有り]

    Research Talk at Casa Gorordo Museum, Cebu City, Philippines  

    発表年月: 2014年08月

  • Tourism Development and Its Impact on the Lao-Cambodian Border Region

    西村 正雄

    The 4th International Conference on Lao Studies  

    発表年月: 2013年04月

  • Studying Dynamics of Cultures in Champasak, Lao PDR: A Report on the Anthropological Research Project in Champasak, Lao PDR from 2002 to 2007

    西村 正雄

    The 10th International Conference on Thai Studies (held at Thammasat University, Bangkok)  

    発表年月: 2008年01月

  • World Heritage for Whom

    西村 正雄

    The 2nd International Conference on Lao Studies (held at Arizona State University, Tempe, Arizona)  

    発表年月: 2007年05月

  • Intangible Culture and Regional Studies of Southern Laos (with Mr. Chantapirith Chomsoraj, the former director of the Institute of Lao Culture, Vientiane, Lao PDR)

    西村 正雄  [招待有り]

    アジア地域文化学国際会議  

    発表年月: 2006年10月

  • World Heritage Nomination and Living Heritage Status: A Case Study of Champasak World Heritage Site, Lao PDR.

    西村 正雄

    Cross-Cultural Perspective on Museums and Communities: An International Conference  

    発表年月: 2005年09月

  • 善い行いと村のおきて

    西村 正雄  [招待有り]

    アジア地域文化ヘンハンシングセンター国際会議  

    発表年月: 2005年09月

  • Contested Views on the World Heritage Management: A Case Study of the Champasak World Heritage, Lao PDR

    西村 正雄

    The Conference of European Association of Southeast Asian Archaeology (held at British Museum, London)  

    発表年月: 2004年09月

  • ラオス、チャンパサックの人々の文化的景観と記憶

    西村 正雄

    アジア地域文化ヘンハンシング研究センター国際シンポジウム  

    発表年月: 2004年09月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 東アジア村落における水稲文化の儀礼と景観

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2004年
    -
    2007年
     

    海老澤 衷, 堀口 健治, 深谷 克己, 紙屋 敦之, 新川 登亀男, 西村 正雄, 岡内 三眞, 高橋 龍三郎, 久保 健一郎

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    本研究は東アジアにおける水田農耕と社会との歴史的・文化的な関係を明らかにするものである。とりわけ、東アジアにおける日本の位相を明確にすることを目的とし、分析を進めるにあたって、その視点を宗教的儀礼と村落景観に定め、具体的なフィールドを設定して研究の深化を図った。日本はインド文化の東限の地として知られるが、その位相を明確化するために東西の軸として中国と日本を設定し、水稲文化と仏教文化の伝播を中心に考察を行った。南北の軸としては、日本とインドネシア・バリ島を設定し、水田農耕や村落景観の究明を行った。前者については日本の東大寺を中心に据え、仏教文化と稲作との関係を考察し、東大寺境内での調査を実施して、2004年11月27日にはシンポジウム「古代・中世仏教寺院の水田開発と水稲文化」を実施した。また、2005年10月29日に実施したシンポジウム「ジャポニカの起源と伝播」においては、コメ作りのルートとして南方ルートを重視しつつ、日本の位相を考察し、古代から近世までの状況の一端を明らかにし得た。東西軸は、国家による仏教、国家による水利灌瀧が考察の対象となり、アンコールワットを中心とするカンボジアの調査がこれに大きく貢献した。
    南北軸については、インドネシア・バリ島での調査・研究を深めるとともに、愛媛県弓削島の調査を進めることができた。バリ島では、東部のバサンアラス村においてスバック・バサンアラスの報告書を入手することができ、水利に関する村の共同体として知られているスバックの現地報告書を日本で初めて全面的に翻訳し、「講座水稲文化研究II バリ島の水稲文化と儀礼-カランガスム県バサンアラス村を中心として-」に他の論文とともに掲載することができた。
    以上のことから東アジアの水田農耕社会の基盤部分が明らかになったといえよう。

  • 東アジアにおける水田形成および水稲文化の研究(日本を中心として)

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2002年
    -
    2003年
     

    海老澤 衷, 岡内 三眞, 堀口 健治, 中島 峰広, 和田 修, 西村 正雄

     概要を見る

    東アジアに広がる水田を基盤とする社会の特質を明らかにするのがこの研究の目的である。その調査フィールドとして、対馬とバリ島を選び、水田と村落の伝統的形態を明らかにし、水稲文化の比較研究を行うことを目指した。現在進化の著しい調査資料のデジタル化を積極的に活用して、学際的に水田・集落・儀礼の復原研究を進めた。
    対馬では、その南端に位置する豆酘(つつ)に焦点を定め、現代でも赤米神事が行われている水田の環境およびその儀礼の歴史的経緯と特質を究明した。その際、歴史資料の掘り起こしに重点を置き、対馬歴史民俗資料館、長崎県立図書館、地元の真言宗寺院である金剛院などで重点的に調査を行って、コマ数にして約6000点の史料をデジタル化した。これらをパソコンに入力してただちに目録化し、復原調査に役立てた。また、この地域の空中写真からデジタル作業により2000分の1地形図を作成し、史料を活用して景観復原を進めた。このように対馬村落のピンポイント的調査を進めるとともに、水稲文化を東アジア全体の文化と考え、対馬のこの海域における歴史的役割をも明らかにするよう務めた。幸いにも21世紀COEプログラム「アジア地域文化エンハンシング研究センター」の支援を得て視野の広いプロジェクトにすることができた。
    一方、棚田地帯として知られるバリ島においては、従来もヒンドゥー教の儀礼に支えられた自治的村落の存在が知られ、演劇・音楽・彫刻・絵画などの芸術の展開が注目されてきた。今回灌概組織スバックの調査を中心に行い、東部バサンアラス村と対馬豆酘との水田灌概形態の比較研究を行った。その結果、バリ島村落の伝統的灌漑形態は、日本よりも進化している点が少なくないことが明らかとなった。これらの成果を報告書『東アジアにおける水田形成および水稲文化の研究(日本を中心として)』にまとめることができた。

  • 国際援助協力による社会経済開発のソーシャルインパクトに関する開発人類学的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    阿部 義章, 菊地 靖, 伊藤 亞人, 西村 正雄, 小林 英夫, 笠井 信幸, 菊地 京子, 阿部 義章

     概要を見る

    平成11年度は、調査目標地域における、固有の地域共同体の有無と、文化的固有条件あるいは近代政治的条件に基づく指導者の有無の2点を確認しながら調査地選定と調査方法の検討を実施した。
    平成12年度には、前年の選定と検討を踏まえた文化人類学的手法を用いた住民との直接対話による情報収集が実行された。調査に当たり、若干の困難も見られたが、受益者集団の協力も得て、聞き取り調査が進められた。平成13年度は、文化効率の高い開発理論構築、開発援助行政をめぐる諸アクターの共通認識の理論的調整を目指した、研究活動が進められた。
    個別内容として、阿部は、国際機関や日本の援助機関によるインドネシアの簡易水供給プロジェクトがもたらした、農村女性の生活変化を分析した、小林は、タイの日系地域開発事業の社会的影響につき、恩恵にあずからない住民の評価を明らかにした。カンボジアの地方議会選挙を舞台とした、開発援助資金の流れを調査した西村は、開発援助行政と国内政治との関係を明らかにした。伊藤は、セマウル運動以後の韓国における住民主導による地域活性化の動きに焦点を置き、特に住民の組織とその活動の変遷と現状を明らかにした。菊地京子は、フィリピン農村における、マイクロファイナンスプロジェクトの社会的影響について、土地無し農民の生活向上、および意識改革に対し一定効果を上げている実態を把握した。笠井は、中国上海浦東空港建設事業の、住民利益の追跡調査を行い、養老、医療補償などを得た反面、若者の新規就業機会では就職者と失業者の二極化が起こっていることを見出した。
    なお13年度から、研究協力者となった菊地靖は、フィリピンの貧困地域開発に関し、開発学研究所(PIDS)で、独自のODA事業評価方法を研究作成中であることを発見した。また、最終年度は研究内容の取りまとめのため、ヴィリャコルタ博士を日本に招聘し、予定通り打ち合わせを行った。

  • リビングヘリテージの比較研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

  • アジア地域文化に関する共同研究:中国

    文部科学省 

 

特定課題制度(学内資金)

  • 無形遺産の保全と管理における政府の政策と方針についての研究-ラオスとフィリピンの比較研究-

    2018年   小田島 理絵, 北田 綾, 増見 エミ, Sikhanxay, Phakhanxay, Gerra, Joy

     概要を見る

       The present research is organized within a large research design: the research of heritage management in Southeast Asia.  The research has been conducted by the author and his team since the beginning of 2000.  The research has focused on the interrelationships between the heritage and people's perception for it.  In order to examine the aforementioned problems, the author has conducted a series of field studies in southern Laos, Champasak, and in Cebu, the Philippines.  We have so far had the following results: 1) people within or near by the heritage have a strong feeling with not only visible objects, but associated knowledge (often religious knowledge); 2) they exhibit their feeling in a variety of ways such as weaving design, daily worship; or everyday practice in their life.  We call these practices collectively, "living heritage".  Namely, living heritage is the one which makes the residence feel close to the heritage.     The present project, therefore,  focused on the living heritage among the residents in the heritage area.  Among others, one of the main components of living heritage is the so-called intangible heritage.  This year the research especially concentrated on the definition of intangible heritage by the government officers, and management by them.  In Laos, the officers of the central government and local government both appear to be confused about what intangible heritage is.  However, they recognize the importance of intangible heritage, and so they established a special section of intangible heritage within the Ministry of Information, Culture and Tourism.  However, they still don't know what to do for the management.      In respect with the Philippines, the intangible heritage is recognized among the residents, and it is quite personalized.  Just as the tangible heritage, they will talk about their family's intangible heritage.  And probably for this reason, the public sectors including the central and local governments, officers does not show interests in the preservation of intangible heritage.     In conclusion of the research, I would like to emphasize two points: 1) living heritage, including intangible heritage, make people be aware of heritage, and so intangible heritage is more important  in terms of conservation of local heritage; 2)  as so in the case of tangible heritage, we can observe a great variability in the perception of intangible heritage.  Therefore, in order to figure out the living heritage (intangible heritage), we have to conduct much more detailed field research in Southeast Asia. 

  • 有形・無形遺産カテゴリーの再検討

    2017年   小田島 理絵, 三浦 恵子, Joy Gerra, Phakhanxay Sikhanxay

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    The present research consists of a part ofthe large framework which intends tore-think the concept of heritage.  Inthis perspective, the research especially pursues two aims: 1) the heritageconcept is shared with almost everyone in an area; 2) the heritage concept isinherited from generation to generation. In order to examine this concept, the present research organized the fieldresearch in Lao PDR and the Philippines. In Lao PDR, a field research was conducted at one of the villagesoutside the Champasak World Heritage area. The village is inhabited by Christians, while all other villages areBuddhists residents.  The researchfocused on their feeling toward heritage, especially heritage in publicspace.  It is interesting to know that asfar as public heritage is concerned, their feeling and idea toward heritage isthe same as that of Buddhist residents. In the Philippines, the field research was conducted among the Muslimresidents in Cebu City.  Although theyreluctantly admit and accept the public heritage, most of which are related toChristianity, they also insist Muslim heritage should equally be recognized.  Although the analysis of two data sets isprogressing, the comparison between two areas provides an interesting view onthe variability of the heritage concept. It is clear that there are much more varieties in the heritage concepts.

  • ラオス共和国、チャンパサック州ワット・プー地域における、集落ネットワークの人類学的研究

    1997年  

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    本プロジェクトは、私が推進してきた、東南アジアにおける複合社会の発展に関する研究の一貫として行っているものである。この研究の主目的は、東南アジア社会―文化の「複合性」の定義と、複合性を測るスケールの確立にある。私がこれまで行ってきた研究により、特定の地域内での集落ネットワークに見られる階層化と、その階層のレベルの数が、複合社会の発展と、正の比例関係にあることがわかってきている。 そこで本プロジェクトでは、この考えを東南アジアの特定地域を選んで検証するために、集落ネットワークを作り上げている3つの主要素:物資の流れ;サービスの流れ(人的移動);情報の流れ、に関するデータを集め、分析することに集中している。そのための研究地域として、ラオス共和国、チャンパサック州、ワット・プー地域を選び、そこでのフィールドワークを通じて第一次データの収集は終了している。 フィールド調査は、1997年7月―8月、11月―12月、1998年1月―3月の期間行い、内、1998年1月―3月までの調査及びその後の分析に、本研究費を充当した。今回の調査では、時間と予算の関係から、物資の流れについての調査に集中した。調査は、ワット・プー遺跡に一番近い、すなわち地域の中心に近いものから開始した。20村落の調査を終了している。調査は、各村落の全世帯数の10%ランダムサンプリングの形で家族を抽出し、抽出した家族の中に入ってインタヴューと観察の2つの方法で行った。 現在まだ資料の分析中で、結論を述べるには時期が早すぎるが、以下4点について、この地域の資源利用に特異なパターンが見られるように思われる。1. 自給自足的経済システムがこの地域でよく確立している。生活必需品:食料、燃料、容器類等は、ほとんど身近な自然環境の開拓で調達している。2. 村落間の生産物の専門化が見られる。すべての村落の基本的生業形態は水田耕作であるが、それに加えて他の生産活動を行っている。この二次的生産活動から生じる産物の点で、多くの特殊化が見られる。特殊な手工芸をそれぞれの村落が持ち、それらを村落間交換の形で流通させている。3. 地域に大きなマーケットが存在しないため、村落間の物資の交換が、地域の経済で重要である。これにより、物資が広く分配され、資源へのアクセスの点で、一様化が図られている。この一様化が、地域の結束に重要な意義をもっている。4. 年に一度の大きな宗教的なお祭り(ワット・プーフェスティバル)が、地域外で生産された物資を地域内に入れる一種のマーケットの役割を演じている。研究成果の発表March 1998Capacity Building in Cultural Heritage Management within the Context of Assistance for the Preservation of Wat Phu. Research Report of UNESCO. Bangkok: UNESCO Office of the Regional Advisor for Culture in Asia and the Pacific.1999(予定)A Study of Settlement Systems in the Wat Phu Region, Champassak Province, Lao PDR (provisional) Journal of Asian Studies.1999(予定)ラオス共和国、ワット・プー地域における資源の利用状況と、集落システム。『史観』(早稲田大学史学会)。