2024/03/29 更新

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タナカ ヒデキ
田中 英樹
所属
人間科学学術院
職名
名誉教授
 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 精神障害者のホームレス化の予防とホームレスからの脱却に向けた支援プログラムの開発

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

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    近年、日本の精神保健医療福祉政策は、従来の入院中心の精神医療から地域生活を支えるための地域精神保健医療へと転換しているところである。このような地域精神保健医療の充実は国際的な方向であるが、欧米の脱施設化過程で経験されているように、地域で生活する精神障害者に十分な支援が届かない場合、ホームレス状態に陥る可能性が出てくる。実際、精神障害者の地域ケアを政策課題として掲げている日本、中国、韓国においても精神疾患を持つホームレスの存在が確認され、克服すべき社会問題として浮上している。このような背景をもとに、本研究では欧米のホームレス支援の文献研究を踏まえ、東アジア諸国である日本、中国、韓国で展開されているホームレス支援の実態と課題を把握し、精神障害者のホームレス化の予防とホームレス状態からの脱却に向けた支援プログラムの検討を行った。「ホームレス」の定義は国によって異なり、欧米では「安定した住まいがな

  • 統合失調症患者の家族の認知行動様式に関する日韓比較共同研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

    半澤 節子, 田中 英樹, ベイ ヨンジュン, 趙 香花, 田中 悟郎, 中根 允文, 太田 保之

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    本研究では、統合失調症家族の介護に関連する心理的なストレス、とりわけ患者の暴言・暴力による心的ストレスについて韓国での評価を試みた。我々の研究成果により、調査時点で、患者と別居している場合でも、介護家族は患者によるかつて行われた暴力的な言動によって心的トラウマ体験がみられることが示唆された。 また、 こうした介護家族の心的トラウマ体験は、患者が長期的に治療を受けているにもかかわらず、患者の服薬アドヒアランスの問題、介護家族の深刻な介護負担感の継続といったこととの間に有意な関連がみられた。 本研究の結果から、統合失調症を持つ人とその家族の長期的なケアについて、入院治療を経験した患者に対する地域を基盤としたサービスとして、服薬アドヒアランスの改善に向けた支援が必要であると考えられた

  • 統合失調症者の家族の介護負担感に影響を及ぼす社会文化的・自然環境的要因

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    半澤 節子, 田中 悟郎, 田中 英樹, ベイ ヨンジュン, 後藤 雅博, 太田 保之, 稲富 宏之, 永井 優子, 関井 愛紀子, 田上 美千佳, 新村 順子, 後藤 雅博, 永井 優子, 太田 保之, 稲富 宏之

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    日本(新潟市)と韓国(ソウル市、テグ市)の精神障害者地域家族会の協力のもと、調査協力の同意の得られた各100人の家族会会員を対象に、介護負担感(J-ZBI_8)、対処技能(FCQ-23)、介護意識(7items)、スティグマ(18items)、社会的距離(5items)などの尺度を用いて質問紙調査を実施した。解析の結果、1)統合失調症患者を抱える家族の介護負担感、知覚的スティグマ認知、社会的距離は韓国に比べて日本で有意に大きく、2)個人的スティグマ認知は日本に比べて韓国で有意に大きかった。これらのことから、東アジアの日韓両国では、統合失調症者の家族の介護負担感やスティグマ認知に相違がみられる可能性が示唆され、各国における介護負担感の軽減、家族自身のスティグマの緩和を効果的に進めるための支援システムの構築が課題であると推察された

  • コミュニティソーシャルワーク実践の体系的なスキルの検証及び教育法の開発

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    宮城 孝, 和田 敏明, 池田 雅子, 伊藤 嘉余子, 小野 敏明, 神山 裕美, 小松 理佐子, 田中 英樹, 中島 修, 菱沼 幹男, 藤井 博志, 表 熔俊

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    本研究は、今後のわが国における地域社会の福祉ニーズに対応したコミュニティソーシャルワーク実践について、適用度と普及可能性の高いスキルの体系化を図り、全国の関係機関に対する量的な調査によって、実践現場における実態を実証的に分析した。さらに、それらのスキルを適用する上での阻害要因や促進要因、大学などの教育機関や実践現場における養成におけるスキル獲得のための要件を、社会福祉の各領域や課題に応じて明らかにした

  • 九州地域における精神障害者支援施策の形成と発展に関する総合調査研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    田中 英樹, 中野 伸彦, 内山 憲介, 半澤 節子, 村上 清, 裴 よん俊, 張 昌鎬

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    九州地域における精神障害者支援の地域特性及び施策形成の歴史的推移を見ていく時、病床が九州に集中した特異な現象を至らしめた要因は複雑であり、かつ戦前と戦後の間には連続性と非連続の両側面が見られた。連続性の側面では、特に天皇制を中心とした近代国家成立の途上、西南戦争や士族反乱の鎮圧、地方行幸、中央直轄型地域政治体制の維持などの精神風土、及び南国の温暖な気候など自然風土を中心に1990年代に至る精神医療の展開の基本的性格(「治安」と「救貧」を中心とした収容主義)が決定づけられる。非連続の側面では、戦後の社会保障制度の整備、国策としての民間精神病院への依存と育成策を基盤に、九州地域における様々な社会変動(都市への人口流出、農村崩壊、家族システムの弱体化、石炭産業の衰退など産業構造の変化)の影響で、経済的後進地域からの脱却に新たな産業基盤の模索および社会的対応として精神科病床の増床を促す下地が、他の地域に比べ

 

特定課題制度(学内資金)

  • 地域福祉計画の進行管理を中心とした評価手法及び評価手法及び評価尺度の実証的研究ー社会福祉協議会版バランスト・スコアカードを使うパイロット研究の実施ー

    2007年  

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    BSC研究では、前年度の文献研究中心から、2009年度はフィールド介入研究を主におこなった。まず、飯能市での地域福祉計画・地域福祉活動計画における住民懇話会での話し合いにSWOT分析を活用した。SWOTとは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威,(Threat) を意味する。これを用いた分析は広く企業で活用されているが、福祉分野では開発が遅れている。しかし、福祉分野でも組織や活動の戦略が明確でない場合、それを明確にする第1段階の作業として将来のあるべき姿を把握し、組織外と組織内を取り巻く環境を正しく分析する手法として有効である。この成果は飯能市地域福祉計画及び同活動計画に反映された。 また、BSCの枠組みからその指標作成を行うため、沖縄県浦添市社会福祉協議会、長崎県諫早市社会福祉協議会及び香川県琴平町社会福祉協議会の協力を得て、継続的な研究会を現地の社協職員が討論に参加してSWOT分析やBSCの各指標の作成をおこなった。浦添市社協では、現在BSC指標も完成し、地域福祉活動計画の進行管理に応用している。諫早市社協では、BSC研究を2007年に開始し、2008年にミッションとビジョンの確認と、SWOT分析のための職員アンケート調査結果の検討、BSCの4つの視点における業務評価指標に関する意見交換を行った。2009年に入り、BSC作成までの流れのうち、成果指標・ターゲット(目標値)の設定を行い、社協全職員による社協のミッションとビジョンの確認、各課によるSWOTの分析が進められた。琴平町社協では、SWOT分析が終了し、2009年度からBSC指標の作成に取り組むところである。 これらの取り組みにより、モデル的なSWOT分析例を開発し、またBSCによる進行管理が有益であることに感触を得た。この成果により、上記の社協では組織のイノベーションが進み、職員の意識も大きく変容した。これらの成果を、千葉県社会福祉協議会では、地域福祉関係者の研修で応用し普及を図り、東京都社会福祉協議会福祉人材の研修でも研修プログラムに反映して実施することができた。今後は、BSCの全国的普及のために、モデル実施地域を増やしていく予定である。