2024/04/22 更新

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スズキ タケオ
鈴木 健夫
所属
政治経済学術院
職名
名誉教授
学位
博士(経済学) ( 早稲田大学 )
文学修士(史学) ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2013年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   政治経済学術院   名誉教授

  • 1980年
    -
    2013年03月

    早稲田大学   政治経済学術院(政治経済学部)   教授

  • 1975年09月
    -
    1980年09月

    早稲田大学   政治経済学部   助教授

  • 1980年
    -
     

    - Waseda University, Professor

  • 1975年
    -
    1980年

    早稲田大学

  • 1972年03月
    -
    1975年09月

    早稲田大学   政治経済学部   専任講師

  • 1972年
    -
    1975年

    早稲田大学

  • 1968年06月
    -
    1972年03月

    早稲田大学   政治経済学部   助手

  • 1968年
    -
    1972年

    早稲田大学

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学歴

  • 1968年04月
    -
    1971年03月

    早稲田大学   経済学研究科博士課程   経済史  

  •  
    -
    1971年

    早稲田大学  

  • 1965年04月
    -
    1968年03月

    早稲田大学   文学研究科修士課程   史学(西洋史)  

  • 1961年04月
    -
    1965年

    早稲田大学   第一文学部   史学(西洋史)  

  •  
    -
    1965年

    早稲田大学  

委員歴

  • 2009年
    -
    継続中

    社会経済史学会  顧問

  • 2009年10月
    -
    2013年03月

    早稲田大学ロシア研究所  所長

  • 1991年
    -
    2008年

    社会経済史学会  理事(1995年より常任理事)

  • 2002年09月
    -
    2006年09月

    早稲田大学現代政治経済研究所  所長

  • 1999年
    -
    2001年

    ロシア史研究会  委員長

所属学協会

  •  
     
     

    ロシア史研究会

  •  
     
     

    社会経済史学会

研究分野

  • ヨーロッパ史、アメリカ史

研究キーワード

  • ロシア農民

  • 農村共同体

  • 移住

  • 黒海ドイツ人

  • ヴォルガ・ドイツ人

  • ロシア・ドイツ人

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論文

  • ハルビン難民ロシアドイツ人の南米への出発――1932、1934年フランスからの出港

    セーヴェル   ( 37 ) 83 - 96  2021年03月  [査読有り]

  • マフノ軍・赤軍に立ち向かうドイツ人移民ーー「ハルビン難民」の10年前

    鈴木 健夫

    セーヴェル   ( 34 ) 34 - 55  2018年03月  [査読有り]

  • 流浪の民ロシアドイツ人

    鈴木 健夫

    ユーラシア研究   ( 57 ) 36 - 40  2018年02月  [招待有り]

  • アメリカ合衆国に移住したヴォルガ・ドイツ人ーーコロラド州サウスプラット川流域の転載栽培

    鈴木 健夫

    プロジェクト研究   ( 12 ) 53 - 69  2017年03月  [査読有り]

  • 翻訳 J. チャイェフスキ「中国東北部におけるポーランド人(1897-1949)

    鈴木 健夫

    セーヴェル   ( 33 ) 146 - 169  2017年03月  [査読有り]

  • 第一次世界大戦とロシア・ドイツ人ーー忠誠・従軍・捕虜・土地利用・強制移住

    鈴木 健夫

    ロシア史研究   ( 98 ) 30 - 41  2016年07月  [査読有り]  [招待有り]

  • 翻訳 チャイェフスキ・イェジィ「ハルビンのドイツ人」

    鈴木 健夫

      ( 32 ) 176 - 192  2016年03月

  • 満洲の異文化社会に生きたヴォルガ・ドイツ人難民――リップハルト家一族

    鈴木 健夫

    セーヴェル   ( 31 ) 5 - 20  2015年03月  [査読有り]

  • From Siberia to Harbin:Russian Germans escape from Stalinism

    SUZUKI Takeo

    In the Light of History, ed. by Chatthip Nartsupha/Chris Baker     169 - 184  2015年  [招待有り]

  • スターリン体制を逃れるロシア・ドイツ人ーーアムール川、ウスリー川を越えてハルビンへ

    鈴木 健夫

    内田日出海・谷澤毅・松村岳志編『地域と越境』(春風社)     196 - 246  2014年05月

  • アルゼンチンにおけるヴォルガ・ドイツ人ーー移住当初のロシア的共同体生活

    鈴木 健夫

    鈴木健夫編『「越境」世界の諸相ーー歴史と現在』(早稲田大学出版部)     166 - 188  2013年03月

  • Общинная жизнь поволжских немцев в Аргентине

    Судзуки Такэо

    Новейшие исследования отечественных историков, Пенза-Саранск, 2012     205 - 222  2012年  [招待有り]

  • 近代フランスにおけるロシア社会論

    鈴木健夫

    経済研究(大東文化大学経済研究所)   ( 25 ) 1 - 6  2012年

  • Крестьянская реформа в Курляндии

    Судзуки Такэо

    Петр Андреевич Зайончковскиiй. Сборник статьей и воспоминамий, составитель Л. Г. Захарова и др.    2008年  [招待有り]

  • ヴォルガ・ドイツ人女性アンナの生の軌跡ーー戦争・革命・飢餓・国外脱出

    鈴木健夫

    鈴木健夫編『地域間の歴史世界ーー移動・衝突・融合(早稲田大学出版部)     233 - 285  2008年

  • ヴォルガ河に鳴り響く弔鐘ーー1921ー1922年飢饉とヴォルガ・ドイツ人

    鈴木健夫

    20世紀ロシア農民史(奥田央編、社会評論社)     253 - 289  2006年

  • Реформы и крестьянская община в дореволюционной России

    Судзуки Такэо

    XX век и сельская Россия, изд. Хироси Окуда     38 - 43  2005年

  • ヴォルガ河中流域のドイツ人入植地ガルカ村ーー帝政期の社会経済史的様相

    鈴木 健夫

    鈴木健夫編『ロシアとヨーロッパーー交差する歴史世界』(早稲田大学出版部)     214 - 247  2004年03月

  • Modernization and the Village Commune in Russia: Intellectuals' Discussion on the Eve of the Emancipation of Serfs in 1861

    Takeo Suzuki

    Village Communes, States, and Traders, ed. Akira Nozaki and Chris Baker, Thai-Japanese Seminar and Sangsan Publishing House, Bangkok    2003年

  • 独立不偏のロシア史家 増田冨壽

    鈴木 健夫

    早稲田大学史紀要   ( 34 ) 255 - 264  2002年09月

  • 土地混在とストルィピン改革ーーロシア中央部を中心にーー

    鈴木健夫

    早稲田政治経済学雑誌   346  2001年

  • ロシアの経済発展の歴史的特殊性

    鈴木健夫

    世界経済は危機を乗り越えるか(川勝平太編)/ウェッジ    2001年

  • 近代ロシアへのドイツ人入植の開始ーードイツ諸地域からヴォルガ流域へ

    鈴木 健夫

    鈴木健夫編『「ヨーロッパ」の歴史的再検討』(早稲田大学出版部)     125 - 167  2000年02月

  • ストルィピン改革前の西部ロシアにおける土地整理の具体的様相ーーコフォドの調査から

    鈴木健夫

    早稲田政治経済学雑誌   341  2000年

  • ドイツにおける文久遣欧使節団ーー現地の新聞報道を中心にーー

    鈴木健夫

    早稲田政治経済学雑誌   342  2000年

  • ストルィピン改革前の西部ロシアにおける土地整理ーーコフォドの調査による地域的分布

    鈴木 健夫

    早稲田政治経済学雑誌   ( 337 )  1999年

  • Оценка крестьянской реформы 1861 г. в японской историограхии и П. А. Зайончковский

    Судзуки Такэо

    П. А. Зайончковский 1904-1983 гг.    1998年  [招待有り]

  • 近代ロシアへのドイツ人入植の開始ーードイツ諸地域からヴォルガ流域へ

    鈴木 健夫

    鈴木健夫編『「ヨーロッパ」の歴史的再検討(早稲田大学現代政治経済研究所)     125 - 167  1997年03月

  • Modernization and Village Commune in Russia: Intellectuals' Discussion on the Eve of the Emancipation of Serfs in 1861,Fourth Thai-Japanese Seminar at the Chulalongkorn University in Bangkok, Thailand, 9-10 December, 1995

    Takeo Suzuki

    Waseda Economic Papers   34  1995年

  • 農奴制期ロシアにおける農業改良論と共同体有害論

    鈴木健夫

    早稲田政治経済学雑誌   323  1995年

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書籍等出版物

  • ロシアドイツ人 : 移動を強いられた苦難の歴史 = Die Russlanddeutschen : Geschichte ihres leidvollen Schicksals, auf dem Weg zu sein

    鈴木, 健夫

    亜紀書房  2021年04月 ISBN: 9784750516806

  • 地域と越境ーー「共生」の社会経済史(分担執筆)

    内田日出海, 谷澤毅, 松村岳志( 担当: 分担執筆,  担当範囲: スターリン体制を逃れるロシア・ドイツ人ーーアムール川、ウスリー川を越えてハルビンへ)

    春風社  2014年05月

  • 「越境」世界の諸相ーー歴史と現在(編著)

    鈴木 健夫( 担当: 編集,  担当範囲: アルゼンチンにおけるヴォルガ・ドイツ人ーー移住当初のロシア的共同体秩序)

    早稲田大学出版部  2013年03月

  • ヴォルガのドイツ人女性アンナーー世界大戦・革命・飢餓・国外脱出(単著)

    鈴木 健夫( 担当: 単著)

    彩流社  2013年03月

  • 近代ヨーロッパの情熱と苦悩(世界の歴史22)(共著)

    谷川稔, 北原敦, 鈴木健夫, 村岡健次( 担当: 共著,  担当範囲: 十九世紀ロシアの嵐)

    中央公論新社(中公文庫)  2009年03月 ISBN: 9784122051294

  • ヨーロッパ人の見た幕末使節団(共著)

    鈴木健夫, ポール・スノードン, ギュンター・ツォーベル( 担当: 共著,  担当範囲: ドイツにおける使節団、ロシア・ペテルブルクにおける使節団)

    講談社  2008年08月

  • アルカージー・ゲルマン/イーゴリ・プレーヴェ『ヴォルガ・ドイツ人ーー知られざるロシアの歴史』(共訳)

    鈴木健夫, 半谷史郎( 担当: 共訳)

    彩流社  2008年04月 ISBN: 9784779113390

  • 地域間の歴史世界:移動・衝突・融合(編著)

    鈴木健夫( 担当: 編集,  担当範囲: ヴォルガ・ドイツ人女性アンナの生の軌跡ーー戦争・革命・飢餓・国外脱出)

    早稲田大学出版部  2008年03月 ISBN: 9784657083050

  • ヨーロッパ人の見た文久使節団:イギリス・ドイツ・ロシア(共著)

    鈴木健夫, ポール・スノードン, ギュンター・ツォーベル( 担当: 共著,  担当範囲: ドイツにおける使節団の行動、ペテルブルクにおける使節団)

    早稲田大学出版部  2005年03月

  • 近代ロシアと農村共同体ーー改革と伝統(単著)

    鈴木 健夫( 担当: 単著)

    創文社  2004年05月

  • ロシアとヨーロッパーー交差する歴史世界(編著)

    鈴木健夫( 担当: 編集,  担当範囲: ヴォルガ河中流域のドイツ人入植地ガルカ村)

    早稲田大学出版部  2004年03月 ISBN: 4657044079

  • 「ヨーロッパ」の歴史的再検討(編著)

    鈴木健夫( 担当: 編集,  担当範囲: 近代ロシアへのドイツ人入植の開始ーードイツ諸地域からヴォルガ流域へ)

    早稲田大学出版部  2000年03月 ISBN: 4657001043

  • R. E. F. スミス/D. クリスチャン『パンと塩――ロシア食生活の社会経済史』(共訳)

    鈴木健夫, 豊川浩一, 斎藤君子, 田辺三千広( 担当: 共訳)

    平凡社  1999年05月 ISBN: 4582473431

  • M. ウェーバー『ロシア革命論』Ⅱ(共訳)

    肥前榮一, 鈴木健夫, 小島修一, 佐藤芳行( 担当: 共訳)

    名古屋大学出版会  1998年12月

  • 「ヨーロッパ」の歴史的再検討(編著 初版)

    鈴木 健夫( 担当: 編集,  担当範囲: 近代ロシアへのドイツ人入植の開始ーードイツ諸地域からヴォルガ地域へ)

    早稲田大学政治経済研究所  1997年03月

  • 現代ヨーロッパ経済史(分担執筆)

    原輝史, 工藤章( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第8章 ロシア)

    有斐閣  1996年02月

  • 民族と国家-自覚と抵抗(講座世界史3)(分担執筆)

    歴史学研究会( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第3章 ロシア帝国の膨張と「大改革」)

    東京大学出版会  1995年07月

  • スラブの歴史(講座スラブの世界3)(分担執筆)

    和田春樹, 家田修, 松里公孝( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第8章 近代ロシアと農村共同体)

    弘文堂  1995年07月

  • ロシア史2(世界歴史体系)(分担執筆)

    田中陽兒, 倉持俊一, 和田春樹( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第5章 「大改革」)

    山川出版社  1994年10月

  • L.A.クラークソン『プロト工業化』(単訳)

    鈴木健夫( 担当: 単訳)

    早稲田大学出版部  1993年08月

  • 大英帝国の光と影(共著)

    鈴木健夫, 南部宜行( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 近代ロシア鉄鋼業の先駆者ジョン・ヒューズ)

    早稲田大学現代政治経済研究所  1992年03月

  • 帝政ロシアの共同体と農民(単著)

    鈴木健夫( 担当: 単著)

    早稲田大学出版部  1990年02月 ISBN: 4657890344

  • 「最初の工業国家」を見る眼(共著、初版)

    鈴木健夫, 南部宜行, 川勝平太, 原剛, 菊池紘一, 松本康正( 担当: 共著,  担当範囲: イギリス産業革命と英露貿易)

    早稲田大学現代政治経済研究所  1987年03月

  • 「最初の工業国家」を見る眼(共著)

    鈴木健夫, 南部宜行, 川勝平太, 原剛, 菊池紘一, 松本康正( 担当: 共著,  担当範囲: イギリス産業革命と英露貿易)

    早稲田大学出版部  1987年03月

  • ペ・ア・ザイオンチコーフスキー『ロシヤにおける農奴制の廃止』(共訳)

    増田冨壽, 鈴木健夫( 担当: 共訳)

    早稲田大学出版部  1983年01月

  • 産業革命を生きた人びと(産業革命の世界➂)(分担執筆)

    荒井政治, 内田星美, 鳥羽欽一郎( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第8章 産業革命の普及と伝播(第1節ー第2節))

    有斐閣  1981年11月

  • 産業革命の展開(産業革命の世界➀)(分担執筆)

    荒井政治, 内田星美, 鳥羽欽一郎( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第8章 ロシアとアメリカにおける産業革命(第1節ー-第3節))

    有斐閣  1981年06月

  • ロシア・ソ連(西洋史6)(分担執筆)

    倉持俊一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第2章 農民共同体)

    有斐閣  1980年05月

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講演・口頭発表等

  • 「移動を強いられた」ロシアドイツ人の歴史

    鈴木 健夫

    西洋経済史研究会(早稲田大学)  

    発表年月: 2019年01月

  • ハルビン難民の南米移住 1932、34年――マルセイユ到着、ルアーヴル、ボルドーから出港

    鈴木 健夫

    西洋経済史研究会(早稲田大学)  

    発表年月: 2018年01月

  • スターリン体制を逃れるメンノ派教徒――南ロシアからシベリア、ハルビン、そしてパラグアイへ

    鈴木 健夫

    西洋経済史研究会(早稲田大学)  

    発表年月: 2017年01月

  • 第一次世界大戦とロシア・ドイツ人ーー忠誠・従軍・捕虜・土地収用・強制移住

    鈴木 健夫  [招待有り]

    ロシア史研究会  

    発表年月: 2015年10月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ハルビンのロシア・ドイツ人難民ーーマイノリティの生活と再移住

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    鈴木 健夫

  • ヴォルガ・ドイツ人のドイツ移住とアメリカ移住:19世紀末ー1990年代

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2009年04月
    -
    2012年03月
     

    鈴木 健夫

  • ヴォルガ・ドイツ人と大飢饉ーー1921ー22年を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年04月
    -
    2008年03月
     

    鈴木 健夫

  • 20世紀ロシア農民史研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    奥田 央, 鈴木 健夫, 松井 憲明, 梶川 伸一, 野部 公一, 浅岡 善治

     概要を見る

    本研究(研究期間平成15〜平成17年度)は、約20名から成る日本・ロシア合同の研究チーム(うちロシア人研究者は7名、最終的には8名、研究代表者以外の正規の日本人共同研究者は6名)が、3年間で、20世紀全般にわたるロシア農民史を学界の最高の水準において総括しようとするものであった。具体的には、数年間の準備期間の後、2003年11月には静岡県裾野市において、2005年11月には東京大学経済学部において国際会議を開き、日ロ両側からの報告のあと討論をおこなった。「歴史と現代」の分野ではI.Koznova(20世紀史全般)、「コルホーズ以前の農民」の分野では、鈴木健夫(ストルィピン改革)、D.Kovalev、崔在東(同上)、梶川伸一(戦時共産主義期、ネップ)、浅岡善治(ネップ)、広岡直子(女性史)、S.Esikov(穀物調達)、奥田央(ネップ、集団化)、「コルホーズ農民」の分野では、N.Tarkhova(赤軍史)、V.Kondrashin(集団化と飢饉)、M.Glumnaya(スターリン体制下の農民)、G.Kornilov(20世紀穀物生産)、松井憲明(戦後農民史)、V.Naukhatskii「ポスト・ソヴェト期の農民」の分野では、野部公一(90年代農業改革)、武田友加(90年代貧困問題)、山村理人(90年代農業史)が中心となって研究に参加した。2回目の国際会議には、池田嘉郎(戦時共産主義期)とKondrashin(農民運動)も「コルホーズ以前の農民」のセッションに、田中まさき(ソ連映画史)も「コルホーズ農民」のセッションに参加した。
    準備会議と最初の国際会議のレポートは、2冊のDiscussion paper ; Hiroshi Okuda(ed.). History of the Russian Peasantry in the 20^<th> Century(Vol.1,CIRJE-F-189,January 2003;Vol.2,CIRJE-F-262,February 2004)として公表された。
    2回目の国際会議の成果は、日本人研究者9名とロシア人研究者7名が、20世紀ロシア農民史に関する論文をそれぞれの分担にしたがって執筆し、奥田央編『20世紀と農村ロシア』(CIRJE Research Report Series, CIRJE-R-2,the University of Tokyo,2005)として刊行した。なお本書は、全文ロシア語で書かれている(表題は、ХХ век и сельская Россия)。
    全3年間の成果は、奥田央編『20世紀ロシアの農民世界(仮題)』(社会評論社、2006年刊行予定)の原稿が揃い、刊行に向けて準備中である。執筆者は、日本側10名、ロシア側8名である。

  • ヴォルガ流域ドイツ人入植者の社会経済史ーー土地制度・農業経営を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年04月
    -
    2002年04月
     

    鈴木 健夫

  • 日本とロシアにおける工業化の比較経済史

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1989年
    -
    1990年
     

    中村 隆英, KARELIN Aven, ANAN'ICH Bor, GORJUSHKIN L, FURSENKO Ale, VINOGRADOV V, KOVALCHENKO, 小島 修一, 鈴木 健夫, 肥前 栄一, 斎藤 修, 速水 融

     概要を見る

    本研究は,数年以前から,1990年8月ベルギ-のル-ヴァンで開催される国際経済史学会における報告として企画されたものであった。文部省科学研究費補助金による「国際学術研究」とし,まず準備のためのワ-クショップを平成元年10月東京において,平成2年5月レニングラ-ドにおいて,2度開催して相互の研究について討論を重ね,8月のル-ヴァンにおいて報告を行い,今後は各論文をさらに手入れしたうえ,1991〜2年中に出版する予定である。
    この研究の目的は,19世紀末から20世紀初頭にかけての時期における日本とロシアとは,後れて工業化を開始した国として,多くの点で類似した特徴をもっていた。両国はともに強力な指導者(松方正義やセルゲイ・ウィッテ)のもとに,財政金融政策を推進し,産業の発展を企図したこと,19世紀末にそれぞれが農業改革(ロシアにおける1861年の農奴解放,1906年以後のストルイピン改革,日本における1873年の地租改正)が行われたこと,19世紀末からの急激な鉄道など社会資本の建設,そのうえに進められた工業化の急進展などがその主要な点であって,両国の比較を行うことは,後進国の工業化を論ずるうえで,極めて興味深いものである。
    この研究は,そのために,まず工業化の前提としての,人口と農業の問題について日本とロシアの両国についての検討が行われた(日本については速水,斎藤,レシチェンコ,ロシアについてはゴリュ-シキン)。次いで,両国の工業化の初期の状況について,農業改革と農村工業の問題が分析された(日本についてはミハイロヴァ,ロシアについて鈴木,小島)。本格的な工業化過程と,それにともなう農業の変容がこれにつづいて論じられた(日本については中村,ロシアについてはコヴァルチェンコ,フルセンコ,ヴィノグラドフ,コレ-リン)。
    両国の経験は,もちろん一様ではない。広大なロシアにおいては,まず国内市場を一つに結ぶためにも,処女地であったシべリアを開拓するためにも,まず鉄道網が必要とされ,そのために大量の外国資本を導入することを恐れなかった。それとともに,東方への移民が活発に進められた。日本では同様に鉄道網の建設と,未墾の北海道の開拓を進めたが,外資の導入を警戒し,自国内の資本でこの事業を行おうとしたが,外資なくしては日露戦争を戦うことはできなかった。この点については,アナ-ニチ論文がその比較を行って,興味深い成果を収めている。日本は外資導入を好まなかったが,戦争のためにはやむを得ず,外資をいれ,けっきょくはロシアと類似の道を辿ることになった。相違点の最大のものは,ミ-ル共同体による規制が厳しく,農奴制が強固に存続していたロシアの農業と,家族の小農制が一般化していた日本との差であろう。ロシアの農奴解放は,高額の支払いを農民に強制したために,その成果はなお問題を残し,ストルイピン改革を必要とするに至った。日本の場合,地租改正によって,農業の近代化は一応完了し,高率の地代のために小作農が苦しむというような事実はあったにせよ,ロシアのような問題は起こらずにすんだのであった。
    以上のように,共同研究では,一見大きく異なる帝政ロシアと明治の日本とが,後発工業国としての特質の点では多くの共通の体質をもっていたことを明らかにした。農業問題その他の点で決定的な相違を秘めていたのは事実であるが,いずれかといえば,その共通性がクロ-ズ・アップされたことがこの研究の最大の特色であった。今後に残された課題としては,むしろ17〜19世紀前半の両国の社会経済構造の比較を行い,そこから近代に引き継がれたものと,消滅したものとを対比することによって,工業化時代の両国のありかたを照明することなどがあげられよう。

  • A History of Volga Germans

  • Russian Peasants

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Misc

  • ハルビンのルター派教会(「満洲」旅行記)

    鈴木 健夫

    Север(セーヴェル)   ( 30 ) 132 - 135  2014年03月

  • 新刊紹介 Mironov B. N., Blagosostoianie naseleniia i revoliutsii v imperskoi Rossii XVIII-nachalo XX veka, M., 2010.

    鈴木健夫

    ロシア史研究   ( 87 ) 70  2010年

  • 書評 崔在東『近代ロシア農村の社会経済史ーストルィピン農業改革期の土地利用・土地所有・協同組合』

    鈴木健夫

    歴史と経済   ( 203 ) 65 - 67  2009年

  • 書評 高田和夫『近代ロシア農民文化史研究ーー人の移動と文化の変容』

    鈴木健夫

    社会経済史学   73 ( 5 ) 105 - 106  2008年

  • 書評 鈴木肇著『不滅の敗者ミリュコフーロシア革命神話を砕く』

    鈴木健夫

    改革者     62  2007年

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 翻訳 20世紀前半のウラル地方における農業の変容

    ゲンナジー・コルニーロフ, 鈴木健夫訳

    20世紀ロシア農民史(奥田央編、社会評論社)     537 - 565  2006年11月

  • 書評 中川雄二『近代ロシア農業政策史研究』(御茶の水書房、2001年)

    鈴木健夫

    社会経済史学   68 ( 5 )  2003年  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • どこからきてどこへ行くのかーー工業化のロシア的特質ーー

    鈴木健夫

    WEDGE(ウェッジ)   12;12  2000年  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

  • 書評 阪本秀昭『帝政末期シベリアの農村共同体――農村自治、労働、祝祭』

    鈴木健夫

    社会経済史学   65-3  1999年

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 書評 D.A.Miliutin(L.G.Zakharova,ed.),Vospominania 1816-1843,

    鈴木健夫

    早稲田政治経済学雑誌   340  1999年

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 翻訳 パーヴェル・ズィリャーノフ「ロシア農村共同体に関する一世紀半の論争」(共訳)

    鈴木健夫

    ロシア史研究   57  1995年

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特別研究期間制度(学内資金)

  • ヴォルガ・ドイツ人の歴史

    2008年04月
    -
    2008年09月

    ドイツ   外国関係研究所

特定課題制度(学内資金)

  • ハルビン在住ロシア・ドイツ人難民のアメリカ移住-1920~1930年代

    2012年  

     概要を見る

    エカチェリーナ2世およびアレクサンドル1世の誘致によりヴォルガ地方および南ロシアに入植したドイツ人移民は、当初は諸特権(土地割当、租税免除、兵役免除、信仰自由等々)を与えられていたが、19世紀中葉の農奴制廃止・司法改革等の「大改革」を経て1870年代になると、ロシア化政策が推し進められ、ロシア人農民と同じ臣民となり、租税や兵役等の義務を課せられるようになった。そればかりか、反ドイツ主義が高まるなか、20世紀に入ると、1905年革命、第一次世界大戦、社会主義革命、内戦、大飢饉、スターリンによるシベリア・カザフスタン強制移住、第二次世界大戦、スターリン批判、ソ連崩壊という相次ぐ激動のなかで厳しい運命に晒された。このような過酷な環境のなかで、数多くの人々が命を落とし、数多くの人々が国外へと移住していった。その移住先は祖国ドイツのほかに、アメリカ合衆国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、パラグァイなどの南北アメリカ大陸であった。1870年代から始まるロシア・ドイツ人のアメリカ移住は、ドイツを経由してそのハンブルク港から海路で向かうルートと、多くは難民としてヨーロッパ・ロシア中央部・南部から移住していたシベリアから極東地域を経て向かうルートとがあった。本研究は、特に1920年代末から1930年代初頭にかけてスターリンによる強制的な農業集団化を忌避してシベリアからハルビンへと逃げてきた難民が、その後、どのようにしてさらに南北アメリカ大陸に移住して行ったかを、主要な解明の目的とした。ハルビンは極東地域のロシア・ドイツ人の拠点であり、そこにシベリアから冬の凍結した国境アムール川(黒竜江)を夜間に大きな危険を冒して不法に渡ってきたのであるが、その後の再移住については不明なことが多い。 この目的の遂行のために、関連の文献を探索して購入・分析するとともに、2012年9月1日から同月14日にかけてドイツの外国関係研究所(シュトゥットガルト)、バーデン・ヴュルテンブルク州立図書館(同)、チュービンゲン大学図書館、メンノ派歴史協会文書館(ヴァイアーホーフ)、北東研究所(ゲッチンゲン)に出張、また2013年2月3日から同月10日にかけて他の研究費を使用してアメリカのメンノ派文書館(ノースニュートン)とアメリか福音派ルター派教会文書館(シカゴ)に出張し、当時の報告書・書簡の原史料、新聞・雑誌の関連記事、書籍の関連箇所をコピーした。 以上の作業を通じて、1920年代末から1930年代初頭にかけてスターリンの強制的な農業集団化を忌避してハルビンへと逃げてきた難民は、その後、当地のドイツ人難民委員会とアメリカ合衆国の教会本部の支援を受けて、ヨーロッパ諸国の拒否的態度などもあって確かに容易に事が運んだわけではなかったが、さまざまな交渉の結果、何回かにわたって、合衆国、カナダ、パラグアイ、ブラジル、アルゼンチンへとーーそのなかではパラグアイが最大の目的地となったがーー再移住して行ったことが明らかとなった。その再移住は、まずは上海へ、そこから船でマルセーユへ、そして陸路をボルドーへ、そしてそこから海路によってそれぞれの目的地へというのが主要のルートであった。宗派毎の移住者名簿も不完全ではあるがいくつか取得し、再移住者の目的地毎の総数や宗派を解明する手掛かりを得た他、この再移住を通して当時の困難な各国の国内事情と国際関係を浮き彫りにすることが可能となった。加えて、この時期より前にハルビンに到着していたロシア・ドイツ人難民の南北アメリカ大陸再移住についても、たとえば上海経由だけでなく日本経由のルートがあったことなど、さまざまな事情が明らかとなり、この問題の総合的究明の道を開くことができた。

  • 中国租界メディアによる宣伝とインテリジェンス戦略の学際的研究

    2012年  

     概要を見る

    中国租界研究とメディア史研究のネットワークを拡げるべく、研究メンバーは以下のような活動を行い、それぞれに成果をあげた。 研究代表の鈴木健夫は2013年2月3日~6日にアメリカのMennonite Library and Archives(ノースニュートン) に出張し、1930年代初頭にシベリア、ハルビン経由で上海に移住してきたロシア・ドイツ人難民に関する資料を収集、とりわけメンノ派教徒の動向と彼らに対する報道およびその後のアメリカ移住について事実の解明を進展させ、上海租界の歴史的意義についての考察を深化させた。分担者の加藤哲郎は、2012年11月17日に名古屋で開かれた愛知大学国際コミュニケーション学部主催国際シンポジウム「国際情報戦とアジア-1930~40年代上海を中心に」において「情報戦としてのゾルゲ事件」を報告し、旧東亜同文書院資料を持つ愛知大学の研究者や上海復旦大学代表等と討論した。2013年1月27日成城大学で開かれた第10回欧亜関史研究会で加藤哲郎は「上海のゾルゲ諜報団」を報告し、独日中関係史研究者と討論した。 2012年12月1~2日に愛知大学豊橋校舎にて、ワークショップ〈戦時中国・上海メディア関係史料研究に関する新たな可能性〉を、日本上海史研究会・大陸新報研究会・早稲田大学20世紀メディア研究所の共催で開催し、分担者の山本武利が「上海の日系紙」を報告、また分担者の土屋礼子がパネラーとしてディスカッションを行った。このワークショップでは、上海の租界で発行された日本語の新聞雑誌だけでなく、英語、中国語、ロシア語、フランス語など多彩な言語によって発行された新聞雑誌を、経済、文学、芸術など多角的な観点から調査し検討する必要性と、そのための原資料、新聞雑誌リストの存在などの情報が交換され、議論された。 さらに、分担者の土屋礼子は2012年12月20日に土屋礼子は龍谷大学で、「研究を通して語る東アジアにおけるメディアの過去と現在と未来」を講演した。 また、土屋は2013年3月16日に北京大学新聞学院で「20世紀前半における日本の新聞社の東アジア関係組織と人脈」を講演した。この中で、上海を一つの拠点とした新聞社のインテリジェンス組織として、毎日新聞社の東亜調査会、朝日新聞社の東亜問題調査会という1930年代に活動した組織と所属記者を取り上げて論じた。

  • ハルビンのロシア・ドイツ人(とくにヴォルガ・ドイツ人)

    2011年  

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     エカチェリーナ2世およびアレクサンドル1世の誘致によりヴォルガ地方および南ロシアに入植したドイツ人移民は、当初は諸特権(土地割当、租税免除、兵役免除、信仰自由等々)を与えられていたが、19世紀中葉の農奴制廃止・司法改革等の「大改革」を経て1870年代になると、ロシア化政策が推し進められ、ロシア人と同じ臣民となり、租税や兵役等の義務を課せられるようになった。そればかりか、反ドイツ主義が高まるなか、20世紀に入ると、1905年革命、第一次世界大戦、社会主義革命、内戦、大飢饉、スターリンによるシベリア・カザフスタン強制移住、第二次世界大戦、スターリン批判、ソ連崩壊という相次ぐ激動のなかで厳しい運命に晒された。このような過酷な環境のなかで、数多くの人々が命を落とし、数多くの人々が国外へと移住していった。その移住先は祖国ドイツのほかに、アメリカ合衆国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、パラグァイなどの南北アメリカ大陸であった。1870年代から始まるロシア・ドイツ人のアメリカ移住は、ドイツを経由してそのハンブルク港から海路で向かうルートと、多くは難民としてヨーロッパ・ロシア中央部・南部から移住していたシベリアから極東地域を経て向かうルートとがあった。本研究は、この極東地域のロシア・ドイツ人の拠点であったハルビンを主要な対象として、時期的には1920年代・1930年代を中心として、ロシアからの移住とハルビンにおける彼らの実態を解明することを目的とした。 この目的の解明をめざして、関連の文献を探索して購入・分析し、2011年8月25日から9月2日にかけて国立極東文書館(ウラジオストク)と国立ハバロフスク地方文書館(「ハルビン・フォンド)を、同年11月1日から同月6日までハルビンの黒竜江大学図書館とハルビン師範大学図書館を訪問し、当時の新聞・雑誌・書籍から関連の情報を収集した。 以上の作業を通じて、1920年代末から1930年代初頭にかけて、スターリンの強制的な農業集団化を忌避して数多くのロシア・ドイツ人がシベリアから不法に大きな危険を冒して冬の夜に凍結した国境のアムール川(黒竜江)を渡り、ハルビンへと逃げてきたこと、その人数はまずは一千人近くが確認できること、こうしたドイツ人難民は宗教的にはメンノ派、ルター派、カトリックとさまざまであったこと、白系ロシア人も数多く亡命してきていたハルビンにあってドイツ人難民委員会が組織されたが、彼らの衣食住の環境は悪く、仕事探しも非常に困難であったこと、数年して彼らは南アメリカなどに移住していったことなどが、当時の人たちの証言などから明らかとなった。この研究成果は論文として発表する予定である。

  • ヴォルガ・ドイツ人の国外移住ーー北米、南米、ドイツへーー

    2008年  

     概要を見る

     エカチェリーナ2世およびアレクサンドル1世の誘致によりヴォルガ地方・南ロシアに入植したドイツ人移民は、当初は諸特権を与えられていたが、19世紀中葉になるとロシア化によりロシア人と同じ諸義務を課せられるようになった。そればかりか、反ドイツ主義が高まるなか、20世紀に入ると、1905年革命、第一次大戦、社会主義革命、内戦、大飢饉、スターリンによるシベリア・カザフスタン強制移住、第二次大戦、スターリン批判、ソ連崩壊という激動のなかで厳しい運命に晒された。このような過酷な環境のなかで、数多くの人々が命を落とし、数多くの人々が国外へと移住していった。本研究は、こうしたロシア・ドイツ人、特にヴォルガ・ドイツ人の祖国ドイツ移住とアメリカ移住の実態とその世界史的意義を解明することを目的としているが、まずは祖国ドイツ移住を対象とした。 本年度の前期には特別研究期間を利用してドイツのシュトゥットガルト市(4月15日―7月15日)とラー市(7月16日―9月15日)に滞在し、主として第二次大戦後、とりわけソ連崩壊以後の大量のドイツ移住について、移民団体の機関紙、両市に居住する移住当事者の面接調査、研究文献(主としてInstitut fuer AuslandsbeziehungenおよびJohaness-Kuenzig-Institut所蔵)を通して検討し、ドイツの政策・受入状況、年毎の移住者数、移住者の社会的融合等々を明らかにした。後期は、以上の研究を継続するとともに、第二次大戦前をも視野に入れ、手元の文献を検討するとともに、Institut fuer Auslandsbeziehungenでの資料調査(2009年3月9日―24日)を実施し、当時の雑誌論文・著書等々を収集・検討し、戦前には第一次大戦・1920年代初頭の大飢饉、農業集団化の際に大きな移住の波があったことを確認した。今後は収集した文献をさらに分析し、論文「ヴォルガ・ドイツ人の祖国ドイツへの移住」(第1章 歴史的概観、第2章 牧師シュロイニングの生涯と活動、第3章 ソ連崩壊後の大量移住)を完成させる予定である。なお、本研究の過程で、ラー市長ヴォルフガング・ミュラー博士来日の折に同博士の公開講演会「成功した移民受入れ行政―ドイツ・ラー市の事例」(11月14日)を本学で実施した。

  • ストルィピン改革における土地整理――混在地条制から区画地制へ――

    2000年  

     概要を見る

     20世紀初頭のストルィピン改革は、共同体的土地所有から私的土地所有への移行を意図し、各農戸の独立した区画地経営を創出しようとする土地整理事業であったが、土地整理の実際的作業をみると、それは、なによりも、それまでの共同体的土地利用にみられた、そして西部ロシアの土地利用にもみられた、さまざまな種類の土地混在の清算であった。本研究では、まず、さまざまな種類の土地混在の実態を追究し、そうした土地混在を清算する土地整理がどのようにして、どれだけ実施されたかを解明することを目的とした。研究助成費は、そのための関連資料の購入に使用した。 今回の研究を進める過程で、次のことが明らかとなった。まず、土地混在には、共同体外の、旧領主や他の共同体との土地混在と共同体内の各成員間の土地(地条)混在とがあり、したがって、土地整理にも、前者についての集団的土地整理と後者についての個別的土地整理(区画地化)とがあった。本研究では、ロシア中央部に限定し、具体的様相を追究した。共同体外との土地混在については、土地の分散、遠在、変則的な形状の解明から、混在がきわめて顕著に進展しており、農業経営を非常に非効率にしていたことが明らかとなった。共同体内の土地混在については、農戸当りの地条の数および各地条の大きさの解明から、多地条・狭小地条化が顕著にみられていたことが明らかとなった。土地整理については、工業地域と農業地域いずれにおいてもそれほど進展せず、また、実施された土地整理にあっても共同体的土地利用の要素がかなり存続していたことが明らかとなった。 以上から、ストルィピン改革の不成功には、顕著な土地混在による土地整理の困難という歴史的事実がその原因としてあったということが結論づけられる。 この研究成果は、論文「土地混在とストルィピン改革――ロシア中央部を中心に――」にまとめており、『早稲田政治経済学雑誌』に発表する予定である。

  • 20世紀初頭のヴォルガ流域のドイツ人入植地――社会経済史的考察――

    1999年  

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     18世紀末にエカチェリーナ2世の政策によって開始されたロシアへのドイツ人入植は、ヴォルガ流域と南ロシアを中心としたが、本研究では、20世紀初頭のヴォルガ流域のドイツ人入植地を対象とし、その社会経済的諸問題、とりわけ土地利用・農村共同体の実態の解明を目的とし、今回の研究助成費は、関連の史料・資料の購入に使用した。蒐集した史料・資料に依拠して研究を進め、まずはヴォルガ流域に点在するドイツ人入植村の所在が明らかとなり、その人口、行政、土地利用、農業生産等についても、部分的ではあるが把握しつつある。南ロシアとは異なり、ヴォルガ流域ではロシア農民に伝統的な共同体的土地利用がドイツ人入植地にも浸透したという興味深い事実も、明らかになった。これには、最近ロシアで活発に公表されつつある関連研究図書・論文が大いに有益であった。なかでも、サラトフ教育大学教授I.R.プレーヴェの著書『18世紀後半のヴォルガ流域のドイツ人入植地』(モスクワ、1998年)は、入植開始期についてであるが、ドイツ人入植地の行政制度と社会経済生活について豊富な事実を提供しており、本研究にとっても多大な示唆を与えてくれた。ドイツ人入植者は、1861年の農奴解放後にロシア帝国の臣民と位置付けられ、その後彼らにたいしてロシア化政策が推し進められるが、20世紀初頭のドイツ人入植地の状況については、当時の数々の調査報告書が重要な史料となる。ロシア的な共同体的土地利用(混在地条制)から西欧的な私的土地利用(区画地制)への移行を試みたストルィピン改革に際しドイツ人入植地がどのように対応したかが本研究の最重要課題であるが、これについては現地での史料調査の必要が痛感される。しかし、現在まで蒐集した史料・資料に依拠し、ある特定の村をとりあげて事例研究を進めており、その成果は論文「ヴォルガ流域のドイツ人入植村ガルカ」として『早稲田政治経済学雑誌』に発表する予定である。

  • 帝政ロシアへの外国人入植

    1995年  

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    ぺレストロイカ・ソ連解体によって根本的な「ロシア史の見直し」が進行しているが,その一つに,ロシアにおける地域的・民族的・宗教的多様性の新たな認識がある。本研究は,そうした「ロシア史の見直し」を踏まえて,帝政ロシアにおける外国人入植の実態とその歴史的役割を解明することを課題としているが,本年度は,その基礎的作業として,資料の蒐集に努めた。帝政ロシアおよびソ連で刊行された史料・文献については,本大学の中央図書館を通じて,主としてモスクワのロシア国立図書館(旧レーニン図書館)所蔵のものを送付してもらい,コピーした。現在のロシアおよび欧米諸国で近年発表されている関連文献は,購入できるものは購入し,それができない場合は,コピーを取り寄せた。蒐集した資料は未だ十分ではないが,手元の資料に依拠して,まずは18世紀末のドイツ人のヴォルガ地方入植について,論文「近代ロシアへのドイツ人入植の開始(18世紀末)-ドイツ諸地域からヴォルガ流域へ-」(現代政治経済研究所研究叢書第8号『「ヨーロッパ」の歴史的再検討』(仮題) に掲載予定) を執筆した。

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