2024/12/21 更新

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シミズ サトシ
清水 敏
所属
社会科学総合学術院
職名
名誉教授

所属学協会

  •  
     
     

    Industrial Law Sociaty(英国労働法学会)

  •  
     
     

    日本社会保障法学会

  •  
     
     

    日本労働法学会

研究分野

  • 社会法学

研究キーワード

  • 労働法

 

論文

  • ILO条約と公務における団体交渉

    清水 敏

    『労働法と現代法の理論(下)』(西谷敏先生古希記念論文集)所収     109 - 124  2013年11月

  • 公務における自律的労使関係制度と議会統制

    清水 敏

    日本労働法学会誌   ( 122 ) 59 - 67  2013年10月

  • 紛争調整、代償措置および争議行為の禁止

    清水 敏

    法律時報   84 ( 2 ) 36 - 42  2012年02月

  • 「待ったなし」の公務員労使関係制度の見直し

    清水 敏

    都市問題   100 ( 6 ) 18 - 22  2009年06月

  • 近年における公務員関連判例の動向

    清水 敏

    労働法律旬報   ( 1695 ) 6 - 14  2009年05月

  • 政府調達に関する国際的規制と労働条件保護

    清水 敏

    労働法律旬報   ( 1690 ) 6 - 12  2009年02月

  • ILOにおける公務員のストライキ権

    清水 敏

    季刊労働法   ( 221 ) 106 - 117  2008年06月

  • 公務労使関係における協力とパートナーシップ

    清水 敏

    労働法律旬報   ( 1672 ) 26 - 30  2008年05月

  • 中野区における特別職非常勤職員の法的地位

    清水 敏

    労働法律旬報   ( 1670 ) 19 - 32  2008年04月

  • どうなる?公務員の労働基本権

    清水 敏

    ひろばユニオン   ( 554 ) 54 - 57  2008年04月

    CiNii

  • 公務員労使関係の原理的転換ー専門調査会報告の意義

    清水敏

    都市問題   99 ( 2 ) 19 - 23  2008年02月

    CiNii

  • 非常勤職員の勤務関係

    清水 敏

    日本労働法学会誌   110   106 - 117  2007年11月

  • 公務部門における就業形態の多様化と労働法

    清水敏

    月刊自治研   49 ( 574 ) 20 - 26  2007年07月

  • 世界の労働

    ILO, 号条約の概要とその適用をめぐる諸問題

    財団法人日本ILO協会   57 ( 6 ) 14 - 21  2007年06月

  • 「市場化テスト法」と公務員の雇用・勤務条件

    清水敏, 晴山一穂, 榊原教訓

    労働法律旬報   ( 1636 )  2006年11月

  • 公務部門における競争力の強化と労働基本権確立の展望

    清水敏

    連合「公務員制度改革に関する研究会」刊     1 - 15  2006年09月

  • 公務員の労働基本権の展望

    清水敏

    ジュリスト   ( 1316 ) 2 - 6  2006年07月

  • 公正労働基準確立をめぐる国際的動向

    清水敏

    月刊自治研   48巻 ( 561 ) 65 - 71  2006年06月

  • 地公法における在籍専従および時間内組合活動

    清水敏

    労働法律旬報   ( 1607 ) 4 - 11  2005年09月

    CiNii

  • 国公法78条3号の「その官職に必要な適格性を欠く場合」の意味

    清水敏

    ジュリスト 平成16年度重要判例解説   ( 1291 ) 218 - 220  2005年06月

  • 民営化と公務・公共サービス労働者の雇用・勤務条件

    清水敏

    月刊自治研   47 ( 548 ) 102 - 112  2005年05月

  • 訪問介護労働者の労働条件

    清水敏ほか

    労働法律旬報(旬報社)   ( 1590 ) 4 - 51  2004年12月

  • 公務員法制の変化と労働基本権

    清水敏

    労働法の争点(ジュリスト増刊 労働法の争点 有斐閣)     12 - 13  2004年12月

  • 公務員法における能力・成果主義と人材育成

    清水敏

    季刊労働法(労働開発研究会)   ( 207 ) 85 - 93  2004年12月

  • 大宇陀裁判闘争の意味を考える

    清水敏ほか

    自治労通信(発行:全日本自治団体労働組合)   ( 708 ) 2 - 4  2004年09月

  • 公的サーヴィスのアウトソーシングと公務員の処遇

    清水敏

    季刊労働法   ( 206 ) 90 - 102  2004年09月

  • 公務員の労働基本権問題再訪

    清水敏

    財団法人 地方自治総合研究所   30 ( 310 ) 1 - 10  2004年08月

  • 管理職員等の範囲と登録取消し処分の違法性

    清水敏

    労働法律旬報(旬報社)   ( 1579 ) 24 - 31  2004年07月

  • 非常勤職員制度の動向

    清水敏

    労働法律旬報   ( 1573 ) 4 - 5  2004年04月

  • 公務関連労組”二つの賃金問題”

    清水 敏

    ひろばユニオン/労働者学習センター   ( 502 ) 27 - 29  2003年12月

  • 労働法からみた公務員法改正の課題

    清水敏

    月刊全労連/全国労働組合総連合   ( 82 ) 1 - 7  2003年11月

  • イギリス公務員に関する解雇理論の確立・展開と雇用契約(3)

    清水敏

    早稲田社会科学総合研究/早稲田大学社会科学学会   4巻 ( 2 ) 82 - 89  2003年11月

  • 私の論点:公務員の「交渉権」と「管理運営事項」

    清水敏

    労働法律旬報/旬報社   ( 1553 ) 4 - 5  2003年06月

  • 公益企業における争議行為前倒し実施の正当性

    清水敏

    法律時報/日本評論社   75巻 ( 7 ) 118 - 121  2003年06月

  • 公務員労働関係法制の改革と公務員の範囲

    清水敏

    日本労働法学会誌/日本労働法学会編/法律文化社   ( 101 ) 3 - 19  2003年05月

  • 「公務」従事者の多様化と「公務」労働の規制

    清水敏

    法律時報/日本評論社   75巻 ( 5 ) 20 - 24  2003年05月

  • 公務員の労働三権をめぐる先進国の動向

    清水敏

    世界の労働/日本ILO協会   53 ( 4 ) 18 - 28  2003年04月

  • イギリス国家公務員と雇用契約

    清水敏

    行財政研究/行財政研究所   ( 51 ) 37 - 41  2002年12月

  • ILO中間報告の意義と労働組合の課題

    清水敏

    国公労調査時報/国公労連   483 ( 483 ) 14 - 22  2002年12月

  • 労働基本権の制限

    清水敏

    別冊ジュリスト 労働判例百選(第7版)/有斐閣   ( 165 )  2002年11月

  • イギリス公務員に関する解雇理論の確立・展開と雇用契約(2)

    清水敏

    早稲田大学社会科学総合研究/早稲田大学社会科学学会   3 ( 2 ) 65 - 79  2002年11月

  • 公務員労使関係法制の改革と公務員の範囲

    清水敏

    日本労働法学会(山口大学)104回大会    2002年10月

  • イギリス公務員制度とわが国公務員制度改革の課題

    清水敏

    自治と分権/大月書店   ( 9 ) 69 - 77  2002年09月

  • イギリス公務員に関する解雇理論の確立・展開と雇用契約(1)

    清水敏

    早稲田大学社会科学総合研究/早稲田大学社会科学学会   3 ( 1 ) 1 - 16  2002年07月

  • イギリス公務改革と「公正賃金」

    清水敏

    労働法律旬報/旬報社   ( 1525 ) 28 - 29  2002年04月

  • 独立行政法人における労働法上の諸問題

    清水敏

    労働法律旬報/旬報社   ( 1484 ) 4 - 17  2000年07月

  • 独立行政法人における労使関係の法的枠組み

    清水敏

    早稲田法学/早稲田大学法学会   75 ( 3 ) 145 - 166  2000年03月

  • 結社の自由委員会1991号事件中間報告の意義

    清水敏

    労働法律旬報/旬報社   ( 1474 ) 4 - 9  2000年02月

  • 官公労の労働基本権

    清水敏

    労働法律旬報/旬報社   ( 1471・2 ) 63 - 65  2000年01月

  • コンメンタール労働基準法(90条および92条)

    別冊法学セミナー/日本評論社   164号  1999年12月

  • 行政改革と公務労働

    調査時報/国公労連   443号  1999年11月

  • 地方公務員の第三セクター派遣と立法上の課題

    労働法律旬報/旬報社   1459号  1999年07月

  • 「男女共同参画社会」実現の前提条件

    季刊ぐんま(群馬県教育振興会)   58p.(1p)  1999年03月

  • 公務における任用の弾力化と公務員法制改革の課題

    労働法律旬報(旬報社)   1447・48;pp.46-55  1999年01月

  • 労働協約による一部組合員の労働条件不利益変更と規約的効力

    法律時報(日本評論社)   70;8,pp.108-111  1998年07月

  • ILO公契約労働条項条約の意義

    月刊自治研(自治研中央推進本部)   40;4 ,pp.25-31  1998年04月

  • 全医労11.13処分に関するILO勧告の意義

    調査時報/国公労連   ;423号(,12頁以下)  1998年03月

  • 変則勤務における始終業時刻の変更をめぐる裁判例

    『規制緩和と航空リストラ』所収/旬報社    1998年02月

  • ILO結社の自由委員会308次報告の意義

    労働法律旬報/旬報社   ;1426号(,6頁以下)  1998年02月

  • 「二交替制」導入のこれだけの問題

    週刊金曜日/週刊金曜日   ;199号(,27頁以下)  1997年12月

  • 変わりゆく採用

    今月の焦点/三和総合研究所   11;3  1997年03月

  • 公正賃金決定をめぐる課題

    労働条件をめぐる現代的課題(金子征史編著)−法政大学現代法叢書16/法政大学出版局    1997年03月

  • 国家公務員の年次休暇権

    労働法律旬報/労働旬報社   1397  1996年12月

  • 地方公務員の第3セクター派遣と法適用

    労働法律旬報/労働旬報社   1390  1996年08月

  • 非常勤職員制度の新しい動きについて

    JIL資料シリーズ労働市場の変化と労働法の課題/日本労働研究機構   1996, no.57  1996年03月

  • 戦後労働法学説史

    労働旬報社    1996年02月

  • 日本的雇用慣行の変化と当面の労働法上の課題

    人事院月報/人事院   1995年12月号  1995年12月

  • 早川征一郎著「国・地方自治体の非常勤職員」

    大原社会問題研究所雑誌/大原社会問題研究所   444  1995年11月

  • 入門労働法

    有斐閣    1995年10月

  • 管理職と労働組合

    別冊ジュリスト労働法判例百選/有斐閣   134  1995年10月

  • 職業的音楽家の労働実態と労働法上の問題点

    労働法律旬報/労働旬報社   1361  1995年06月

  • 公共部門における雇用の弾力化

    ジュリスト/有斐閣   1066  1995年05月

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書籍等出版物

  • イギリス労働法の新展開

    イギリス労働法研

    成文堂  2009年12月 ISBN: 9784792332655

  • ヒュー・コリンズ イギリス雇用法

    イギリス労働法研

    成文堂  2008年02月 ISBN: 9784792332457

  • ホームヘルパー働き方のルール

    清水敏, 深谷信夫

    旬報社  2005年08月

  • 公務員の給与と勤務時間

    清水敏

    日本労働法学会編『講座21世紀の労働法』賃金と労働時間/有斐閣  2000年10月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • イギリス労働法の新展開に関する理論的・比較法的研究

    科学研究費助成事業(南山大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    唐津 博, 小宮 文人, 石橋 洋, 清水 敏, 古川 陽二, 有田 謙司

     概要を見る

    わが国において、今日、「労働契約」や「労働者」の法概念を基礎に置く労働法制並びに労働組合を主柱に置く労使関係法制のあり方が問われているとの問題意識のもとに、労働法規制の意義・目的、法規制の対象および法規制の手段・実効性確保の仕組みに着目して、イギリスにおける近年の立法動向、労働法規制のあり方をめぐる議論状況を分析、検討し、比較法的観点を踏まえて、わが国の労働法規制システムに関する新たな理論枠組みの創出を図ることを目的として、3年間の共同研究を進めてきた。
    その研究成果は、以下の通りである。第一に、初年度に、これまでのイギリス労働法に関する研究成果を踏まえ、近年の新たな立法的、理論的動向がどのような理論的、比較法的意味を有するのかという観点から、日本労働法学会109回大会において、「労働関係の変容と『雇用契約』-イギリス労働法学の示唆するところ-」と題するミニ・シンポジュウムを開催し、学会での議論喚起を促した(日本労働法学会誌106号[2005]掲載4論文)。第二に、毎年、複数回の研究会を開催し、イギリス労働法制の現状分析(研究分担者2名によるイギリスの現地調査報告を含む)、イギリス労働法論に新たな理論パラダイムを提示したH.コリンズ教授(LSE)の理論の検討、S.ディーキン教授(ケンブリッジ大学)との研究交流会等により、イギリス労働法理論の現在に触れ、その研究成果を公刊した(紹介・検討論文等13本、著書1冊)。第三に、H.コリンズ著Employment Lawの翻訳書、『ヒュー・コリンズ イギリス雇用法』(成文堂)を刊行し、わが国の労働法理論の発展にとってきわめて有意義な作業として高く評価された。
    なお、わが国の労働法規制システムの新たな理論枠組みの具体的提示までは至らなかったが、この3年間の共同研究によって、今後の新たな労働法パラダイムの構築のための確たる基盤を得ることができたと考えている。

  • 公務における任用及び人事管理の弾力化と公務員法制の課題

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1997年
    -
    1998年
     

    清水 敏

     概要を見る

    本研究の課題は、民間企業における雇用の弾力化および人事管理の多様化の進行が、公務部門の任用及び人事管理にどのような影響を及ぼしているかを考察し、公務員法制における今後の任用・人事管理制度の法的枠組みを検討せんとするものであった。
    公務における任用、とりわけ採用については、全体として、民間企業におけるような多様化はみられない。ただし、国家公務員をみるかぎり、多様化の法的枠組みが着々と進行していることは、注目される。すなわち、1997年施行の「任期付研究員法」及び2001年施行の「新再任用制度」等は、その典型であり、公務員の任用期間、勤務形態および処遇の多様化を推進するシステムとして注目される。かかる多様化は、公務員法における公務員像を大きく変容させる契機となりうる。この結果、多様な公務員を現在のような画一的な公務員法で律することが果たして合理的か否かが今後の立法政策上の課題となろう。
    次に、採用後の人事管理についてみると、民間における業績評価制度の導入に比べると、公務部門においては、著しい遅れがあることは否定できない。もっとも1999年の「公務員制度調査会」の報告等を受けて、職員の勤務評定を積極的に実施し、その結果を昇進(昇格)および給与に連動させるための研究が推進されつつある。しかし、こうした処遇の多様化、弾力化を推進するときの「障害」は、現行公務員法が採用している「勤務条件法定主義」の原則である。この原則が存在する以上、業績評価制度の導入も民間企業ほど容易ではない。以上のように、公務における任用および人事管理の弾力化を積極的に推進するには、現行公務員法の根本的な再検討が必要となろう。

  • 戦時期および戦後初期の労働政策研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

  • 雇用関係の「契約化」と労使関係法制の歴史的展開に関する法理論的・比較法的研究

    科学研究費助成事業(専修大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

 

特定課題制度(学内資金)

  • イギリスにおける公務労使関係制度の変容と「国王大権」

    2004年  

     概要を見る

    イギリスの公務部門において80年代以降労使交渉システムに大きな改編がなされた。周知のように、70年代までは、ホイットレー協議会という、1919年に設けられたシステムが、いわば中央集権的に勤務条件を決定してきた。しかし、このシステムは、サッチャー政権の下で、根本的な見直しを余儀なくされた。 本研究の課題の一つは、このような改編にあたって果たした法の役割を考察することにある。結論としては、法はこの交渉システムの改編に関して、直接的には何の役割を演じなかった。政府は、従来の労使合意または慣行を一方的に破棄することによって改編を実現した。もっとも、そもそも従来のホイットレー協議会の設置自体についても何らの法的裏づけもなかった。したがって、イギリスにおける公務部門の交渉システムは、歴史的に何の法的根拠なしに設けられ、そして改編されたことになる。 では、かかる「非法律主義」の特色は、いかなる理論的背景に由来するか、これが第二の課題である。この背景の一つには、今日でもかつての「国王大権」の影響があると思われる。すなわち、現在のCivil Servantは、かつては国王の私的Servantであったが、かかる存在ゆえに、議会の統制の対象から除かれてきた。国王の勤務関係も、契約関係として把握されてきた。もちろん、現在では勤務条件等に対する管理権限は実質的に首相に移されているが、契約関係に変更はなく、勤務条件等に対する議会の統制についても抑制的である。1990年代からイギリスにおいても、国家公務員法を制定すべきだとする見解が強まったが、結果として、今日まで実現されていない。これも、抑制的伝統が影響を及ぼしている。 この考察結果は、公務員の勤務条件について国会が法令と予算の両面で厳格に統制しているわが国と対照的であり、わが国の公務員制度を検討する際にきわめて示唆的である。

  • イギリスにおける公務員法制の変容

    2001年  

     概要を見る

      本研究の課題は、1979年以降のイギリスにおける行政改革が公務員(Civil Servant)の勤務関係を支える法原理といかなる関係にあったかを主として判例理論を通して考察することである。  イギリスにおいて19世紀末以降、公務員に身分保障があり、解雇に手厚い保護が存在するといわれてきたが、これはあくまで「事実上」または「運用上」の問題であり、法的には国王大権にもとづき「解雇自由の原則」が支配していた。したがってイギリスでは1971年の労使関係法が制定されるまで、公務員には身分保障(または雇用保障)は法的に存在しなかった。しかしながら、主として20世紀前半に確立したホイットレーシステムの概して円滑な機能によって、事実上、公務員の身分は手厚く保護されていた。そのため公務員が法的に無権利状態にあることは、大きな争点となることはなかった。  しかし1979年以降の保守党政権によるドラスティックな行政改革は、公務員が無権利状態にあることを表面化させることになった。すなわち、行政改革にともなう公務員の解雇は、労使間の紛争をもたらし、公務員労働者は1971年法によって設けられた不公正解雇制度にもとづく救済を申請した。しかしながら、多くの場合、行政改革を理由とする解雇は救済を受けることができず、また稀に救済を得られた場合にも、金銭的賠償に限定され、職場復帰は実現しなかった。  これに対して公務員労働者は、1977年の最高法院規則53号の改正によって導入された司法審査申請による救済手続きにもとづき職場復帰を実現しようとした。ここでの判例理論上の争点は、公務員の法的地位が雇用契約上の地位か否かであり、雇用契約上の地位にあれば救済の対象とならないというものであった。そのため80年代後半において公務員の勤務関係は、雇用契約に基づくものであるか否かが判例上の争点となった。判例は、しばし動揺したものの、最終的には、1991年のNangle判決によって、勤務関係の法的性質を「雇用契約関係」とする判断を確立するに至った。この判決は、法的には公務員について民間労働者以上の雇用保障が存在しないことを宣言したものであった。また、本判決は80年代の政府の一連の改革を法的に追認するとともに、90年代初頭から労働党政権誕生までに展開された諸改革を法的に支える役割を果たしたといえよう。  ところで、現在わが国では公務員制度改革が急ピッチで進行中であるが、以上の研究作業はわが国の改革を考察するに際し、興味深い示唆を与えるように思われる。  なお、本研究の一端は、本年7月25日発行予定の「社会科学総合研究」第3巻1号に掲載の予定である。

  • イギリスにおける行政改革と公務員労使関係

    2000年  

     概要を見る

     サッチャー以降の保守党政権の下で強力に推進されてきた行政改革は、公務労使関係の法的枠組みを大きく変容させた。象徴的な出来事は、公務従事者の中核に位置するCivil Servantの地位の明確化であろう。Civil Servantは、第二次大戦後、法的に曖昧な地位に置かれてきた。すなわち、国王とCivil Servantの関係は、国王による一方的任命か、それとも雇用契約関係であるのか。この問題は、1991年Nangle事件高等法院判決が雇用契約関係と見なすに至り、ようやく決着をみた。これは、Civil Servantが民間労働者と同一の法的地位に立つことを意味するのみならず、保守党政権が推進してきた、市場主導の行政改革の基本原則と符合することはいうまでもない。この判決を踏まえて、政府はCivil Servantについて契約関係を基本に据えた人事管理改革を実行に移した。Civil Service Codeを廃止し、Civil Service Management Codeを新設したのは、その一例である。これにより、国王がCivil Servantを意のままに解雇しうる旨の文言が削除された。これは、法形式的には、Civil Servantの雇用上の地位を強化したようにみえる。しかしながら、Civil Servantは1971年以降、既に「不公正解雇法制」の適用下にあっただけではなく、旧Codeの定めにもかかわらず、ホイットレー協議会の労使合意にもとづき、事実上、強固な雇用保障が与えられていた。したがって、旧Codeの廃止は、実質的に、Civil Servantの雇用保障に何らの影響をも及ぼさなかった。 他方、旧Codeにおける国王による一方的勤務条件変更権限は、新Codeに引き継がれた。そしてこの権限の発動を抑制してきたホイットレー協議会が事実上崩壊したことにともない、今や、使用者による勤務条件の一方的変更はきわめて容易となった。業績主義的給与など給与制度の根本的な変更は、その典型であろう。しかし果たして使用者の一方的変更権限は、雇用契約原理と矛盾なしに存立しうるのか、また、雇用契約関係を前提にした場合、Civil Servantの職務の特殊性からこの規定を正当化できるのか、わが国の公務員制度改革とも関連して、これが今後の検討課題となろう。 なお、特別研究期間の延長が許可され、現在イギリスに滞在している関係上、研究成果の公表は、帰国後を予定している。

  • 公務における任用および人事管理の弾力化と公務員法制の課題

    1997年  

     概要を見る

    民間企業において、広く導入されつつある能力主義的又は成果主義的人事管理が、実態として公務部門においてどの程度導入されているのか、またそれは公務員法制の諸原則(メリット・システム)や平等主義との関係でどのように位置づけられているのか、これが本研究の基本的なテーマである。したがって、一定の実態調査とそれをふまえた理論研究とを念頭において研究を進めてきた。前者の実態調査については、現時点において7つの地方公共団体の聞き取り調査を行ったが、そのうち5つの公共団体における能力主義的人事管理の実態の概要を把握することができた。導入目的は、従来の昇給・昇格の年功的運用の見直しを通して公務を活性化することに置いている。対象は、管理職に限定しているところが多いが、一部の公共団体では、全ての職員としているところもあり、現在管理職に限定しているところも、近い将来、職員全員を対象にする意向を有している。評価基準は、民間における業績評価の手法に近似している傾向を見てとることができる。このような人事管理制度に対する公務員自身の評価は多様であるが、かかる制度を積極的に評価する人においても、この制度の問題点として評価基準の明確化を課題として挙げている例が多い。この点においても、民間企業における運用上の問題点と共通するものがあった。また、業績評価の結果を本人に開示するところは対象となった公共団体では皆無であったが、開示すべきとの意見も少なくなかった。なお、評価を昇格に反映させるだけでなく、給与にも反映させることは民間企業では稀ではないが、地方公共団体においてこれを実施しているところは、皆無であった。以上の実態は、公務員法の諸原則に照らしてどのように評価すべきか、現在検討中である。同様のテーマで今年度末まで文部省科学研究費の交付を受けているので、本年度も補充調査と理論研究を継続する予定である。研究成果の発表1999年1月、「公務における任用の弾力化と公務員法制改革の課題」労働法律旬報1999年1月上旬号