2024/12/07 更新

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ササクラ ヒデオ
笹倉 秀夫
所属
法学学術院
職名
名誉教授
学位
法学修士

経歴

  • 1997年
    -
     

    早稲田大学教授

  • 1975年
    -
    1997年

    大阪市立大学法学部助教授/教授

  • 1972年
    -
    1975年

    東京大学法学部助手

学歴

  •  
    -
    1972年

    東京大学   法学政治学研究科   法哲学  

  •  
    -
    1970年

    東京大学   法学部  

所属学協会

  •  
     
     

    民主主義科学者協会法律部会

  •  
     
     

    日独法学会

  •  
     
     

    日本法哲学会

研究分野

  • 基礎法学

研究キーワード

  • 法哲学

 

論文

  • 6翻訳:①『大公殿下』(Königliche Hoheit)――トーマス・マンの第2作目 小説における国法と君侯家の家法、②ホフマンシュタールの『バラの騎士』におけるモルゲンガーベ、③サヴィニーがドイツ民法典総則編に与えた影響、④ワイマール共和国における集団主義理論と私法、⑤20世紀初めにおける法概念と法解釈原則――「客観」説と「主観」説の論争、⑥ライヒ裁判所の判決における法律実証主義について。

    ヤン シュレーダー

    石部雅亮編『ドイツ近現代法学の歩み』(信山社、2017近刊予定)    2017年07月

  • 最高裁の職務専念義務論――「契約の論理」の観点から

    笹倉秀夫

    中村浩爾他編『社会変革と社会科学』(昭和堂、2017)     67 - 82  2017年03月  [査読有り]

  • その作品に見る良寛の生

    笹倉秀夫

    早稲田法学   92 ( 3 ) 275 - 335  2017年03月  [査読有り]

  • 日本における「立憲主義」

    笹倉秀夫

    法学教室   ( 428 )  2016年04月

  • 国家法人と個人――日本国の戦争犯罪をめぐる

    笹倉秀夫

    広渡清吾先生古稀記念論文集 日本評論社    2015年12月

  • マイケル・サンデルにおける正義と道徳——併せてロールズ・井上達夫考

    笹倉秀夫

    早稲田法学   90巻3号  2015年10月

  • 末弘厳太郎『嘘の効用』考——併せて来栖三郎『法とフィクション』論

    笹倉秀夫

    早稲田法学   90巻2号 ( 2 ) 41 - 74  2015年05月

    CiNii

  • 「童心のお坊様」の真像

    笹倉秀夫

    法学セミナー    2014年10月

  • 良心について——憲法19条をめぐる考察

    笹倉秀夫

    西谷敏先生古稀記念論集『労働法と現代法の理論』上巻    2013年10月

  • 法科大学院を出て基礎法研究者へ

    笹倉秀夫

    法学セミナー   57-10   39 - 42  2012年10月

  • 近世日本の軍事学——西洋古典との比較から見えて来るもの

    笹倉秀夫

    早稲田法学   87-3  2012年03月

  • 法解釈学における理論構築と基礎法学

    笹倉秀夫

    法律時報   84 ( 3 ) 73 - 77  2012年03月

  • 古代中国の軍事学——西洋古典との比較から見えて来るもの

    笹倉秀夫

    早稲田法学   87-2 ( 2 ) 209 - 263  2012年01月

    CiNii

  • 法と権利

    笹倉秀夫

    早稲田大学法学研究科 法学研究の基礎 法と権利     1 - 20  2011年03月

  • 正義と法実務・序説

    笹倉秀夫

    聖学院大学総合研究所紀要   No. 49   27 - 50  2011年01月

  • 書評「勝田有恒/山内進編著『近世・近代ヨーロッパの法学者たち —グラーティアヌスからカール・シュミットまで— 』ミネルヴァ書房(2008年)

    笹倉秀夫

    法制史研究   2010  2010年05月

  • 平井宜雄『損害賠償法の理論』考——法解釈学と法の基礎研究——

    笹倉秀夫

    早稲田法学   85-3 ( 3 ) 493 - 579  2010年03月

    CiNii

  • 中田薫史学と井ヶ田良治史学——井ヶ田教授報告へのコメント

    笹倉秀夫

    早稲田大学比較法研究所叢書   37   251 - 257  2010年03月

  • 近代的所有権の思想史的背景

    笹倉秀夫

    早稲田大学法学研究科 法学研究の基礎 所有     1 - 16  2010年03月

  • 法的思考はどこから法的か

    笹倉秀夫

    東京大学出版会『UP』    2010年02月

  • 論争する法哲学(書評) 法哲学年報二〇〇九年度号 嶋津格会員の書評への応答

    笹倉 秀夫

    法哲学年報 2010   ( 2010 ) 129 - 133  2010年

  • 「歴史の中の〈自由〉」

    笹倉秀夫

    『比較法学』   42巻2号  2009年

  • 「人文主義的近代・理科主義的近代」

    笹倉秀夫

    『法科大学院時代における法理論の役割』(日本評論社)    2009年

  • Hermeneutik und Recht in der Tradition Japans

    笹倉秀夫

    スイス法哲学会年報Tagungsband 2009 "Rechtswissenschaft und Hermeneutik"    2009年

  • 「近代」をどう見るか

    笹倉秀夫

    法哲学年報   2007   128 - 135  2008年10月

  • 西欧的なるものについて——大江報告へのコメント

    笹倉秀夫

    早稲田大学比較法研究所叢書   34   537 - 544  2008年03月

  • EU法と比較法——大木報告へのコメント

    笹倉秀夫

    早稲田大学比較法研究所叢書   34   49 - 53  2008年03月

  • 「責任」概念の歴史的考察

    笹倉秀夫

    早稲田大学法学研究科 法学研究の基礎 責任     1 - 16  2008年02月

  • 「開いた法学/閉じた法学」

    笹倉秀夫

    東京大学出版会『UP』   2008.1  2008年01月

  • 「ヨーロッパと日本における法の継受」

    笹倉秀夫

    2007.12.8 比較法研究所世界大会報告    2007年

  • マキャヴェリ,ニコロ・ディ・ベルナルド・デイ

    笹倉秀夫

    現代倫理学事典 弘文堂    2006年12月

  • ポーコック,ジョン・グレヴィル・アガー

    笹倉秀夫

    現代倫理学事典 弘文堂    2006年12月

  • ヨーロッパにおける法の継受の観点から——滝沢報告へのコメント

    笹倉秀夫

    早稲田大学比較法研究所叢書   32   196 - 201  2005年03月

  • 「実定法的原理」考

    笹倉秀夫

    『自由と正義の法理念』     381 - 406  2003年07月

  • 「法科大学院と基礎法学」

    笹倉秀夫

    東京大学出版会刊『UP』   2003年4月号  2003年04月

  • 〈最現代の法〉をどうとらえるか

    笹倉秀夫

    新現代法学入門(西谷敏・笹倉秀夫共編) 法律文化社    2002年06月

  • 近代法の再定位

    笹倉秀夫

    創文   436   1 - 6  2001年10月

  • 理事長挨拶・基調報告 司法をめぐる合理化と人間化

    笹倉秀夫

    日本法哲学会公開シンポジウム 司法改革の理念的基礎    2001年07月

  • 抵抗権について

    笹倉秀夫

    立命館法学   275号  2001年07月

  • 戦後日本の法哲学—その一断面—

    笹倉秀夫

    法哲学年報/有斐閣   1998年号   7 - 27  1999年10月

  • 特別寄稿 天野和夫先生のご逝去を悼む

    笹倉 秀夫

    法哲学年報   ( 1999年度 ) 185 - 193  1999年

  • 法哲学会のあゆみ 刊行に当たって

    笹倉秀夫

    日本法哲学会50周年記念誌     1 - 3  1998年11月

  • 丸山眞男における<生と形式>

    笹倉秀夫

    歴史と方法編集委員会編『方法としての丸山眞男』/青木書店     19 - 68  1998年11月

  • 社会科学の新動向に見る最近の歴史学

    笹倉秀夫

    歴史科学(大阪歴史科学協議会)   151   1 - 11  1998年02月

  • 序論 戦後日本の法哲学--その一断面 (知的資源としての戦後法哲学)

    笹倉 秀夫

    法哲学年報   ( 1998年度 ) 7 - 27  1998年

  • 基本的人権の今日的意義—自己決定権とプライバシーの権利—

    笹倉秀夫

    社会福祉研究(鉄道弘済会)   70   14 - 21  1997年10月

  • 「丸山眞男」

    『歴史学事典 第5巻 歴史家とその作品』 (弘文堂)     551 - 552  1997年10月

  • 「『丸山眞男戦中備忘録』(書評)」

    笹倉秀夫

    「週刊 読書人」1997.10.10号    1997年10月

  • 民科法律部会50年の理論的総括--現代法論を素材にして

    笹倉秀夫

    法の科学   26   8 - 24  1997年

  • Das Recht auf Selbstbestimmung. Zum Stand der Diskussion in Japan

    笹倉秀夫

    Selbstbestimmung in der modernen Gesellschaft aus deutscher und japanischer Sicht (C. F. M醇・ler Verlag)     3 - 19  1997年

  • 自己決定権とは何か

    笹倉秀夫

    現代社会と自己決定権(信山社)     3 - 23  1997年

  • 「多元的で緊張した思考 —厳選された仕事と強力な自制心」

    笹倉秀夫

    週刊 読書人 1996.9.6    1996年09月

  • 1995年度学術総会における最終コメント (特集 日本的企業社会・国家の再編と法的改革--民主主義社会構築の法戦略(2))

    笹倉 秀夫

    法の科学   ( 24 ) 109 - 112  1996年

  • 複合的な思考--丸山真男の場合(一、二)

    笹倉秀夫

    法学雑誌   42/4, 43/1  1996年

  • ポストモダニズム考--民主主義法学のあり方に関わらせて

    笹倉秀夫

    法の科学   25   49 - 68  1996年

  • 女性史から見た〈ヴィクトリア時代から一九二〇年代へ〉

    笹倉秀夫

    法学雑誌   41.4   548 - 587  1995年03月

  • マキァヴェッリ再考——〈軍事学と政治論〉の視点から」

    法学雑誌   41.2, 41.3, 42.1  1995年

  • 「市民」の構造転換-比較ヴィクトリア文化論の観点から

    笹倉秀夫

    法社会学年報   47  1994年

  • マキアヴェリ政治思想における革新性と伝統性

    笹倉秀夫

    『法の近代とポストモダン』東京大学出版会    1993年

  • 〔書評〕 村上淳一著『仮想の近代— —西洋的理性とポストモダン』

    笹倉秀夫

    ジュリスト 1993年7月15日号   1027  1993年

  • (訳)プフタとアリストテレス--歴史法学派の哲学的基礎および私法学者としてのプフタの方法について

    P. Landau, 笹倉秀夫訳

    法学雑誌   39-2  1993年01月

  • 1989年度日本法哲学会学術大会(岡山大会)の統一テ-マ報告について (現代における<個人-共同体-国家>)

    笹倉 秀夫

    法哲学年報   ( 1989年度 ) 1 - 5  1989年

  • 〈象徴〉とは何か

    笹倉秀夫

    世界   526   109 - 123  1989年

  • ヘーゲル 法の哲学

    笹倉秀夫

    平凡社『1988年版世界大百科事典』    1988年

  • イェーリング

    笹倉秀夫

    平凡社『1988年版世界大百科事典』    1988年

  • 今井弘道氏の批判をめぐって

    笹倉秀夫

    法制史研究   34   499 - 506  1985年05月

  • 書評:村上淳一『権利のための闘争』を読む

    笹倉秀夫

    法制史研究   34   398 - 404  1984年05月

  • 丸山眞男論ノート——「個人と社会」の問題を中心に 1ー3

    笹倉秀夫

    法学雑誌   31.2, 31.3/4, 32.1  1984年

  • 自由人の連帯——ヘーゲル政治思想の形成と展開について——

    笹倉秀夫

    法学雑誌   28.3-4, 29.1,  1982年

  • いわゆる「ヴェーバー問題」について——マックス・ヴェーバーにおける「自立人」・「小集団」・「国家」の連関構造

    笹倉秀夫

    法学雑誌   25.3-4  1979年

  • 「自立人」観念と多元主義

    笹倉秀夫

    神里公・清茂忠男『講座 現代経済思潮』第四巻「経済学のフロンティア」     125 - 142  1978年

  • 一九世紀ドイツ私法学と国家

    笹倉秀夫

    法学協会雑誌   93.6, 93.7, 93.11, 94.1, 94.4,  1976年

  • ヘーゲルの法哲学綱要・イェーリングのローマ法の精神

    笹倉秀夫

    自由国民社版 世界の古典名著     164 - 169  1976年

  • 入会林野の利用——内容と形態

    笹倉秀夫

    渡辺洋三・北条浩『林野入会と村落構造』東京大学出版会     57 - 86  1975年

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書籍等出版物

  • 法学講義

    笹倉秀夫

    東京大学出版会  2014年01月

  • 政治の覚醒

    笹倉秀夫

    東京大学出版会  2012年01月

  • 法解釈講義

    笹倉秀夫

    東京大学出版会  2009年11月

  • 法思想史講義(上・下)

    笹倉秀夫

    東京大学出版会  2007年10月

  • 丸山眞男の思想世界

    笹倉秀夫

    みすず書房  2003年03月

  • 法哲学講義

    笹倉秀夫

    東京大学出版会  2002年09月

  • 法の歴史と思想(共著)

    石部雅亮, 笹倉秀夫

    放送大学教育振興会  1995年

  • 丸山真男論ノート

    笹倉秀夫

    みすず書房  1988年

  • 近代ドイツの国家と法学

    笹倉秀夫

    東京大学出版会  1979年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 「国民主義」の生成と展開に関する比較思想史的考察

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2007年
    -
    2010年
     

    笹倉 秀夫

     概要を見る

    〈「個人の自由」と「国家統合」とを同時追求する〉という(丸山眞男的意味での)「国民主義」が、西洋史においてどのように生成・展開したかを考察し、その流れの中に、マキァヴェッリ、ヘーゲル、ヴェーバーの思想を位置づけ、その相互関係と、この視点からの各思想の新解釈とをおこなった。

  • 「実定法的原理」に関する総合的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2004年
    -
    2006年
     

    笹倉 秀夫

     概要を見る

    本研究は、次のように遂行した。
    まず、近世法学史について、とくにratio legis(「法の根底を成すもの」)を中心にして考察していった。Ratio legisは、歴史上、二とおりの内容があった。一つは、立法者の意図である。もう一つは、法・法実務の中に法学が発見した「実定法的原理」である。前者は、主観説、立法者意思論として展開した。後者は、客観説、制定法の根底にあり制定法を超えた原理を問題にする立場として展開した。近世の自然法論においては、前期には後者が優位していたが、後期18世紀になると前者が優位するようになった。しかし19世紀になって、再び後者が優位する。本研究では、まず、この点を軸として近世法学史を考察し、「実定法的原理」の形成史とそれが法学・法実務に有した意味を明らかにした。とりわけ重要であったのは。近世私法学の実態の考察であり、またそれが、先行する法学、後続の法学とどう関係するかの考察であった。
    続いて、19世紀の法学について、その法原理に基づく体系化志向の構造とそれをめぐる議論を明らかにした。これには、とくにサヴィニーの問題提起、それを踏まえた、イェーリングやヴィントシャイトの構成法学を、「実定法的原理」に重点をおきつつ解析することが重要であった。最近、これに深く関連する観点からのすぐれた法史学的研究として、ヤン・シュレーダーの大きな業績がでた(Jan Schroeder, Recht als Wissenschaft, 2003)ので、それをも踏まえつつ考察を進めた。また、英米系における法原理をめぐる考察を行った。これについては、エッサーやドヴォーキンらの研究を踏まえつつ、とくに19世紀アメリカ法学史上の、体系化志向の分析が重要であった。
    次に、現代の法学において意識化されないままに「実定法的原理」に関わる法学的作業がいかに行われているかを、刑法学や公法学、私法学などの特徴的な動向解析をつうじて、またそれに関わっている論争などの分析をつうじて、明らかにしようとした。これは、現代法学における「法教義学」再評価の動向を明らかにする作業でもある。重要な論点としては、従来、目的論的法解釈・利益考量や法政策論・治安政策論的考察、「法と経済」の議論の傾向が強かったし今も強いのに対して、それらを批判する論者の中に、どのように法教義学、とくに--自覚化されないままに--長い伝統をもつ「実定法的原理」の重視が強まっているかを明らかにすることである。
    本研究の成果(一部)は、2007年10月に刊行予定の『法思想史講義』で発表する予定である。

  • 自己決定権の総合的考察―法における新しい人間像析出の観点から

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2001年
    -
    2002年
     

    笹倉 秀夫

     概要を見る

    本研究が課題としたのは、自己決定権の総体的考察である。報告者は、2001年度と2002年度とにわたって、憲法や労働法・社会保障法における自己決定権論を考察するとともに、民法における成年後見制度や、刑事法における修復的司法や、被告・被害者の新しい位置づけ等についての議論を追いつつ、自己決定権をめぐる新動向の把握と、そこから導き出される理論的意味について、考察を進めた。
    また、法実務における新動向の背景をなす動きを知るために、現代社会における個人の位置をめぐる哲学・思想分野の新動向、とりわけ、ポストモダニズムにおける「個人」の位置づけと、それとは別方向をとる、社会哲学上の現在における個人存在の再評価論(リベラリズムや市民法原理論)についても、考察を進めた。
    報告者は、こうした考察を通じて、まず、自己決定権の根底にあるものとしての幸福追求権を深め、それを根本原理として法体系を見た場合に、人権に関わる法の全体がどのように位置づけられるかを、「幸福追求権から構築した人権論」という文書にまとめた。また、自己決定権に関する議論は、実定法から出発しつつその根底にある法原理を明らかにしようとするものであるから、そうした原理論を方法論的に位置づける必要がある。そこで、「「実定法的原理」考」と題する論文を書いた(2003年度中に出版)。そのほか、法哲学の教科書(『法哲学講義』)を2002年9月に行うに際して、自己決定権論についての部分を新しい知見基づいてかなり改訂した。また、ポストモダニズムの位置づけについて、2003年3月に出版予定の『丸山眞男の思想世界』の著作の中で論じた。
    成年後見制度や修復的司法などを含めた本格的考察のまとめは今後の課題であるが、上述の成果をふまえつつ、考察を進めることによって、早期に成果の出版に入りたい。

  • 現代環境法・環境政策の総合的・基礎理論的研究

    科学研究費助成事業(大阪市立大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    1996年
    -
    1998年
     

    寺田 正春, 笹倉 秀夫, 笹倉 秀夫, 佐藤 岩夫, 浅田 和茂, 松本 博之, 西谷 敏, 加茂 利男, 寺田 正春

     概要を見る

    1 日本では、1960年代の深刻な産業公害に対処するために司法および立法の場で革新的な法の発展がみられ、その後は、問題の重点が、自動車排気ガス・フロンガスによる大気汚染、廃棄物処理、資源リサイクル、エネルギー節約など、より拡散的で生活関連的な問題に移行するのに応じて、それに対処するための環境法の発展がみられた。現代環境法・環境政策の総合的・基礎理論的研究を目的とする本研究では、このような、日本の環境保護の法制度の発展およびそれを支えた法理論の展開を、比較法的、基礎理論的、法政策的な観点から分析した結果、それぞれ以下の知見が獲得された。
    2 日本の環境法の発展を環境保護先進国といわれるドイツの法制度と系統的に比較する作業をおこなった結果、環境保護の法制度と法理論の発展の基本的な方向性について、行政的規制の整備を優先させるドイツ型に対して、私法的・契約的な解決手法を重視する日本型という違いを確認することができた。
    3 他方、この間、環境問題の解決を模索する過程で産み出されてきたさまざまな考え(例示的にのべれば、環境法における柔軟性・応答性の重視や人間のみならず動物や自然それ自体に権利主体性を認める考えなど)のなかには、近代日本法のベースになっている西欧近代的な法思考の見直しを迫るものも少なくなく、非西欧的・日本的な法思考が、一定の範囲において、環境法の今後の発展にとって重要な意義をもちうる可能性があることも確認された。
    4 最後に、環境保護の法制度と法理論は、環境政策の展開と密接な関係があり、環境法の展開は、全体として、環境保護をめぐる政治的イデオロギーや政治制度の配置、さらには社会運動の活発性など広い意味での政治的要因の従属変数としての性格をもつことも確認された。
    5 これらの知見を、基礎理論的にさらに深化させるとともに、具体的な問題領域ごとに立法論的・解釈論的提言に展開していくことが、今後の課題である。

  • ドイツ民法典編纂史の総合的研究

    科学研究費助成事業(大阪市立大学)  科学研究費助成事業(総合研究(A))

    研究期間:

    1994年
    -
    1996年
     

    石部 雅亮, 大中 有信, 西村 重雄, 佐藤 岩夫, 児玉 寛, 笹倉 英夫, 寺田 正春

     概要を見る

    平成8年度は、本研究の最終年であり、個別研究の完成と報告書の作成を目指し、5月と1月の2回、研究会を開催した。個別研究は、テーマとして、総則編(錯誤-大中、無効・取消-鹿野)、物権編(所有権に基づく妨害排除請求権-川角、合有-上谷)、債権編(契約-大久保、安全配慮義務-高橋)および相続編(遺言-野田)の多岐にわたるが、いずれも新たに刊行されたドイツ民法典編纂資料に依拠しつつ、諸草案の規定の変遷を精密に分析したばかりでなく、前提となる普通法および他方法の学説・判例を詳細に調査し確定した。このような作業によってドイツ民法典の規定の歴史的構造が認められるとともに、我が国の民法典や民法学が立法・学説継受において、それをどのような形で摂取したかということも明確にされ、一定の批判的見地を取得することができた。1月の研究会においては、ドイツ民法に造詣の深い椿寿夫氏の特別参加を求め、長年にわたる研究から、ドイツ民法学をどのように見るか、というテーマの下、無効・取消や履行請求権の問題を中心に報告を聴いた。なお同氏夫人椿久美子氏もドイツの土地債務に付いて報告した。
    ドイツ民法典の編纂史一般については、石部が報告し、その結果は比較法学会のシンポジウムにおいて発表された。この研究によって、法典編纂をめぐる連邦構成国の関係、従来知られなかった帝国司法庁準備委員会の構成と役割、第二委員会の政治的意義、民法典に対する特別法と判例・慣習法の独特の関係が明らかにされた。
    なお残された問題は多いが、各研究参加者は、平成9年中にさらに研究報告を改訂または追加し、著書として刊行できるように準備する予定である。

  • イギリス近代社会思想研究ー古典古代的自由と近代市民社会論的自由の緊張をめぐって

    科学研究費助成事業(大阪市立大学)  科学研究費助成事業(一般研究(C))

    研究期間:

    1987年
    -
    1988年
     

    笹倉 秀夫

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    本研究は、2つの自由観念、すなわち古典古代的自由観念と近代市民社会論的自由観念の緊張において、イギリスの近代社会思想を分析することをめざしたものである。2ケ年の研究の結果、次の成果を得た。
    第1に、古典古代的自由観念は、イタリア・ルネッサンスにおける、シヴィク・ヒュ-マニストによって発展され、これがハリントンを通じてイギリスに入り、17〜19世紀のイギリス思想を深く規定した。そこでまずその源流としての、ルネッサンスの思想分析、とくにマキァベリの再検討を行い、マキャベリ研究上新たな解釈の可能性を確かなものにした。それによると、マキァベリには、古典古代的な徳論の伝統が強いこと、その徳論の前提である立派な戦士の思考様式が彼に深く影響していること、それは彼が戦術論(軍事学)を重視したことと無関係ではないこと、この戦術論では、有徳な将帥を前提にした知謀論が重要であり、マキァベリにおいて徳論とマキァベリズムが共存しているのも、この思考様式と不可分なこと、なにより古代の徳論ではprudentiaが4つの徳の1つとして重視されているが、これが知謀とも関係すること、このような伝統にある戦術論を政治の考察に適用したところにマキァベリの独自の新しい政治の見方が出て来たこと。以上によって本研究は、マキァベリにおける伝統と新しいものとの不可分な関係を明らかにし、彼の新解釈とともに、シヴィック・ヒュ-マニズムの実体を解明した。
    第2に本研究は、アダム・スミスに焦点をあて、それをシヴィック・ヒュ-マニズムと近代的自由主義の緊張の中でとらえ、いわゆる「アダム・スミス問題」を新たな視角から解明しようとした。
    第3に本研究は、イギリス19世紀における古典主義の復興の問題を、上述の歴史研究の中に位置づけ、イギリス近代の分析をより広い視野に立って行うことへの第一歩を進めた。

  • ヴィクトリア法文化の比較史的考察-19世紀後半期「近代法学」の実相と変容の研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

  • 法解釈の技法と思考に関する比較法的考察

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 19世紀後半の法と法学をヴィクトリアニズムの文化的背景の中での再構成等

    2003年03月
    -
    2004年02月

    スイス   チューリッヒ大学

    イギリス   オックスフォード大学

特定課題制度(学内資金)

  • 家産国家原理の生成と変移に関する事項別考察

    2017年   なし

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     当初の計画通り、クリスティーヌ・ド・ピーザンの軍事論・政治論を、〈マキァヴェッリを100年も先取りする政治思想家〉という観点から考察した。二人は共通して、古代人の戦い方・生き様に依拠して思考したことによって、〈軍事でもイニシアティブをとる君主〉の姿を浮き立たせ、「君主鑑」の中世的傾向を破る動きを見せた。この「君主の軍事化」は、①近世国家を担う君主像を生成させ、②軍隊の紀律化を国家・社会生活に浸透させ、③軍事論的思考を政治論に浸透させて新政治学誕生をもたらすことになった。上記の考察は、従来の近代主義的マキァヴェッリ論(かれを伝統から決別した特殊ルネッサンス的=近代的思想の人とみる見方)の克服への道を示すものでもある。

  • 法的構成の比較法学史的考察

    2016年  

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    法的構成のうち超法規的な展開を探る本課題に関し、次の成果(論文等の公刊・作成)を得た。(1)日本における「立憲主義」(『法学教室』428号, 37-43, 有斐閣、2016)。(2)最高裁の職務専念義務論――「契約の論理」の観点から(中村浩爾他編『社会変革と社会科学─時代と対峙する思想と実践』昭和堂、2017近刊予定)。(3)石部雅亮編『ドイツ近現代法学の歩み』(信山社、2017近刊予定)中の6論文の翻訳作業。(4)笹倉秀夫『法への根源的視座――法理論批判集』および『自由への根源的視座――思想史論集』(ともに北大路書房、2017近刊予定)の執筆の中で法的構成の比較法学史的考察を深めた。

  • 自己決定権の総合的考察-法における新しい人間像折出の観点から

    2002年  

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    本研究が課題としたのは、自己決定権の総体的考察である。報告者は、2001年度と2002年度とにわたって、憲法や労働法・社会保障法における自己決定権論を考察するとともに、民法における成年後見制度や、刑事法における修復的司法や、被告・被害者の新しい位置づけ等についての議論を追いつつ、自己決定権をめぐる新動向の把握と、そこから導き出される理論的意味について、考察を進めた。 また、法実務における新動向の背景をなす動きを知るために、現代社会における個人の位置をめぐる哲学・思想分野の新動向、とりわけ、ポストモダニズムにおける「個人」の位置づけと、それとは別方向をとる、社会哲学上の現在における個人存在の再評価論(リベラリズムやその批判論)についても、考察を進めた。 報告者は、こうした考察を通じて、まず、自己決定権の根底にあるものとしての幸福追求権を深め、それを根本原理として法体系を見た場合に、人権に関わる法の全体がどのように位置づけられるかを、「幸福追求権から構築した人権論」という文書にまとめた。また、自己決定権に関する議論は、実定法から出発しつつその根底にある法原理を明らかにしようとするものであるから、そうした原理論を方法論的に位置づける必要がある。そこで「「実定法的原理」考」と題する論文を書いた(2003年度中に出版予定)。そのほか、法哲学の教科書(『法哲学講義』)を2002年9月に行うに際して、自己決定権論についての部分を新しい知見基づいて書き上げた。また、ポストモダニズムの位置づけについて、2003年3月に出版予定の『丸山眞男の思想世界』の著作の中で論じた。 成年後見制度や修復的司法などを含めた本格的考察のまとめは今後の課題であるが、上述の成果をふまえつつ、考察を進めることによって、早期に成果の出版に入りたい。

  • 近代政治論に対する古典的軍事論の寄与──東西の比較思想史的考察に関する研究

    1998年  

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     本研究の課題は、近代政治学の形成に古典的軍事論研究が本質的に寄与したという事実を西洋史および東洋史に即して明らかにし,そのインプリケーションを考えることにある。 研究は、重点を東洋の軍事・政治思想の分析に置き、孫子をはじめとする中国の古典的兵法の分析、およびそれが当時の荀子や韓非子らの法・政治思想と対比してどういう特徴をもっているかの考察から始め、さらに日本近世における軍事思想との比較、江戸時代における、孫子や荀子、韓非子の受容の態様(とりわけ荻生徂徠の思想が重要である)を明らかにし、それらを連関付けることによって古代軍事思想と近世政治思想の関係についての考察を進めることをめざした。なかでも集中して行ったのは、武家の家訓書や『甲陽軍鑑』をはじめとする軍事・政治思想書の分析と、荻生徂徠の『孫子国字解』がかれの政治思想の形成上に有した意味に関する考察であった。この考察を通じて、近世における政治的思考が軍事的思考の独自な展開上に発達したものであることが日本についてもいえることを確認した。

  • 近代における政治論の発展に対する古典的軍事論の寄与について―東西の比較思想史的考察

    1997年  

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    本研究の目的は、西洋において、古代に発達した軍事論が近世・近代において再発見されたことによって、近代における政治的な思考の発達を促したのみならず、とりわけその軍事論において重要であった「紀律」の観念が、国家生活と社会生活の新しい組織化の原理ともなり、近代化に寄与したこと、そしてこの展開構造が東洋においても見られることを明らかにし、その意味を考察しかつそれによって西洋と東洋の近代化論についても新たな視点を提起することにある。 その際、報告者のこれまでの研究をふまえて、研究の重点を東洋の軍事・政治思想の分析に置き、孫子をはじめとする中国の古典的軍事論の分析、それが当時の荀子や韓非子らの法・政治思想と対比してどういう特徴をもっているかの考察、日本近世における軍事思想との比較、江戸時代における、孫子や荀子、韓非子の受容(とりわけ荻生徂徠の思想が重要である)の分析、およびこれらの考察を連関付けて古代軍事思想と近世政治思想の関係の分析を進めること、を課題にする。 1997年度は、このテーマのもとに、孫子および韓非子関係の文献を集中的に読むとともに、日本近世の軍事・政治思想を、武家の家訓書・『甲陽軍鑑』をはじめとする軍事・政治思想書を考察し、古典的軍事論との比較を行なった。しかし、新任直後の1年であったので、これらをまとめるには至らなかった。今後の課題として、以上の考察をさらに進めることと、それらを踏まえて、荻生徂徠の『孫子国字解』等の構造の分析とそれらの軍事論、そしてその背景にある古代の軍事・政治論が荻生徂徠の政治思想の形成上に有した意味を考察する作業、及び、これらの考察の集約の上に立って、西洋における近代政治思想の形成の構造と東洋におけるそれとの比較を行なう作業が、残っている。