2024/04/18 更新

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イワシ ワイチロウ
岩志 和一郎
所属
法学学術院
職名
名誉教授
学位
修士

研究分野

  • 民事法学
 

論文

  • 高齢者医療と同意

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 34 ) 60 - 65  2019年08月  [査読有り]

  • 親の離婚と児童の権利条約

    岩志和一郎

    家事事件リカレント講座 離婚と子の監護紛争の実務 (若林昌子=犬伏由子=長谷部由起子編) 日本加除出版     181-200  2019年08月  [査読有り]

  • (判批) 輸血拒否による被害者の死亡と過失相殺

    交通事故民事裁判例集   49 ( 索引・解説号 ) 46 - 51  2019年04月  [査読有り]

  • 家族法と憲法

    岩志和一郎

    民事法の解釈適用と憲法原則―中国民法編纂に向けた日中比較― (中村民雄編) 早稲田大学比較法研究所叢書45 (早稲田大学比較法研究所)     127 - 139  2018年03月  [査読有り]

  • 家族法改正―その課題と立法提案 総括

    岩志和一郎

    家族〈社会と法〉   ( 33 ) 234 - 236  2017年10月  [査読有り]

  • 生殖補助医療と民法

    岩志和一郎

    早稲田法学の現在 浦川=内田=鎌田古稀記念論文集     647 - 661  2017年09月  [査読有り]

  • 家族法改正研究会最終報告「家族法改正:その課題と立法提案」(家族法改正の提案を行うにあたって・⑵親権法・未成年後見法・扶養法)

    岩志和一郎

    戸籍時報   ( 750 )  2017年02月  [査読有り]

  • 生殖補助医療技術に対する法的規制のあり方

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 31 )  2016年09月  [査読有り]

  • 親の養育権と児童保護の融和を目指して

    岩志和一郎

    家族〈社会と法〉   ( 32 ) 1 - 19  2016年07月  [査読有り]

  • 身分法としての民法の変容と戸籍

    岩志和一郎

    法律時報   88 ( 11 ) 4  2016年  [査読有り]

  • 生体臓器移植と民法

    岩志和一郎

    臓器移植と医事法 (甲斐克則編) 信山社     97 - 124  2015年09月  [査読有り]

  • 未成年後見人による財産管理―2011年改正を踏まえて

    岩志和一郎

    財産管理の理論と実務 水野紀子・窪田充見編 有斐閣     189 - 212  2015年06月  [査読有り]

  • (判批) 輸血拒否―東大医科研病院事件

    岩志和一郎

    別冊ジュリスト219[医事法判例百選 第2版]     80  2014年  [査読有り]

  • 医療同意と成年後見

    岩志和一郎

    成年後見-現状課題と展望 田山輝明編 (日本加除出版)     55 - 77  2014年  [査読有り]

  • 生殖補助医療と医事法の関わり

    岩志和一郎

    生殖補助医療と医事法 甲斐克則編 (信山社)     3 - 34  2014年  [査読有り]

  • 成年後見の理念は実現しているか―成年後見の社会化の観点から-

    岩志和一郎

    実践成年後見   ( 50 ) 7 - 16  2014年  [査読有り]

    CiNii

  • Child Abuse and Family Law

    岩志和一郎

    家族法研究(韓国家族法学会)   27 ( 3 ) 1 - 12  2013年11月  [査読有り]

  • ドイツにおける高齢者の自律と保護:民法上の成年者保護システムについて

    岩志和一郎

    法律時報   85 ( 7 ) 26  2013年  [査読有り]

  • (翻訳) 子の福祉に危険が及ぶ場合における少年援助と司法の協力

    ヨハンネス・ミュンダー

    比較法学   45 ( 2 ) 99 - 116  2011年12月  [査読有り]

    CiNii

  • 子の権利の確保のための諸力の連携―ドイツ親権法の展開

    岩志和一郎

    早稲田法学   85 ( 2 ) 1 - 50  2011年  [査読有り]

  • 親権概念等に関する検討

    岩志和一郎

    戸籍時報   ( 673 ) 10 - 20  2011年  [査読有り]

  • 児童の権利条約からみた親権法

    岩志和一郎

    法と民主主義   ( 44 ) 10 - 15  2010年04月  [査読有り]

  • 婚姻制度-その枠組と問題点

    岩志和一郎

    ムーブ叢書 ジェンダー白書7(北九州市立男女共同参画センター ムーブ編) 明石書店     21 - 31  2010年03月  [査読有り]

  • 輸血拒否

    岩志和一郎

    レクチャー 生命倫理と法 (甲斐克則編) 法律文化社    2010年02月  [査読有り]

  • 家族法改正を考える-親権法等の整理

    岩志和一郎

    戸籍時報   ( 659 ) 37 - 45  2010年  [査読有り]

  • 子の利益保護のための親権の制限と児童福祉

    岩志和一郎

    法律時報   83 ( 12 ) 18 - 23  2010年  [査読有り]

  • 日本法における人体・臓器の法的位置づけ

    岩志和一郎

    ポストゲノム社会と医事法(医事法講座第1巻) (甲斐克則編) 信山社    2009年12月  [査読有り]

  • 親子間の連帯と法―ドイツ民法1618条aに探る―

    岩志和一郎

    家族と法の地平 三木・磯野・石川献呈論文集(岩志和一郎編) 尚学社     41 - 70  2009年07月  [査読有り]

  • (判批) 虚偽の嫡出子出生届等と認知の効力

    別冊ジュリスト193[家族法判例百選第7版]     54  2009年  [査読有り]

  • 未成年者の医療における同意

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 24 ) 9  2009年  [査読有り]

  • ドイツにおける「子どもの代弁人」―手続補佐人の新たな規定

    岩志和一郎

    法律時報   81 ( 2 ) 46  2009年  [査読有り]

  • ドイツ家族法の現状と改正状況

    新家族法実務大系① 親族⑴ (野田愛子=梶村太市編) 新日本法規     101 - 122  2008年12月  [査読有り]

  • 「子を持つ自由」とは何か―生殖補助医療利用の法的規制をめぐって

    岩志和一郎

    いのちのバイオエシックス―環境・こども・生死の決断 (木村利人他編) コロナ社    2008年07月  [査読有り]

  • 児童の権利条約と親子法

    岩志和一郎

    新家族法実務大系② 親族⑵ (野田愛子=梶村太市) 新日本法規     3 - 21  2008年02月  [査読有り]

  • ドイツの親権法

    岩志和一郎

    民商法雑誌   136 ( 4・5 ) 497 - 530  2007年08月  [査読有り]

  • 医療契約・医療行為の法的問題点

    岩志和一郎

    成年後見と医療行為 (新井誠編) 日本評論社     292  2007年03月  [査読有り]

  • (判批) アメリカで代理出産で生まれた子の親の確定をめぐる2つのケース

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 22 ) 207  2007年  [査読有り]

  • (判批) HIV感染を理由とする手術拒否

    岩志和一郎

    別冊ジュリスト183[医事法判例百選]     214  2006年  [査読有り]

  • (判批) 死亡した夫の凍結保存精子を使用した人工受精

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 21 ) 191  2006年  [査読有り]

  • ドイツにおける「子どもの代弁人」(Anwalt des Kindes)

    岩志和一郎

    判例タイムズ   ( 1208 ) 40  2006年  [査読有り]

  • (翻訳) ドイツ「児童ならびに少年援助法」全訳(3・完)

    岩志和一郎, 鈴木博人, 高橋由紀子

    比較法学   39 ( 2 ) 267 - 294  2006年01月  [査読有り]

    CiNii

  • 暴力によらずに教育される子の権利:ドイツ民法のアピール

    岩志和一郎

    早稲田法学   80 ( 3 ) 1 - 20  2005年  [査読有り]

    CiNii

  • 扶養とは何か―その概念と問題点

    岩志和一郎

    月刊福祉   87 ( 11 ) 48 - 51  2004年09月  [査読有り]

  • (翻訳) ドイツの家庭裁判所の手続におけるメディエーション的要素

    ミヒャエル・ケースター

    比較法学   38 ( 1 ) 293 - 311  2004年07月  [査読有り]

    CiNii

  • (翻訳) ドイツ「児童ならびに少年援助法」全訳(2)

    岩志 和一郎, 鈴木 博人, 高橋 由紀子

    比較法学   37 ( 1 ) 219 - 231  2003年07月  [査読有り]

    CiNii

  • ヒトの身体構成部分の法的性質をめぐるドイツの議論

    岩志和一郎

    ジュリスト   ( 1247 ) 56 - 61  2003年06月  [査読有り]

  • いわゆる「相続させる遺言」とその相続法上の位置

    岩志和一郎

    相続法上の諸問題(トラスト60研究叢書)     59 - 75  2003年06月  [査読有り]

  • (判批) 自己を被保険者とする生命保険契約者が死亡保険金受取人を変更する行為と民法1031条の遺贈・贈与

    岩志和一郎

    法学教室   ( 274 )  2003年  [査読有り]

  • (翻訳) ドイツ「児童ならびに少年援助法」全訳(1)

    岩志和一郎, 鈴木博人, 高橋由紀子

    比較法学   36 ( 1 ) 303 - 317  2002年07月  [査読有り]

    CiNii

  • (判批) 養子縁組と家裁の許可許否

    岩志和一郎

    別冊ジュリスト162[家族法判例百選 第6版]     70  2002年05月  [査読有り]

  • (翻訳) ドイツの幹細胞法

    岩志和一郎

    国際バイオエシックス・ニューズレター(早稲田大学人間総合科学研究所)   ( 35 ) 6 - 14  2002年05月  [査読有り]

  • 医療と遺伝子解析

    岩志和一郎

    法学セミナー   ( 573 ) 20 - 23  2002年05月  [査読有り]

  • (判批) 共同相続人間での相続分譲渡と農地法3条1項の許可

    法学教室 判例セレクト ’01    2002年  [査読有り]

  • 遺留分減殺

    岩志和一郎

    法学教室   ( 254 ) 28 - 32  2001年05月  [査読有り]

  • (翻訳) ドイツ親権法規定(仮訳)

    岩志和一郎

    早稲田法学   76 ( 4 ) 225 - 247  2001年03月  [査読有り]

    CiNii

  • (判批) 内縁解消と民法768条の類推適用

    私法判例リマークス   ( 23 )  2001年  [査読有り]

  • 脳死と臓器移植

    岩志和一郎

    現代医療のスペクトル(フォーラム医事法学1)(宇都木伸=平林勝政編) 尚学社    2001年  [査読有り]

  • 意思決定の自立

    岩志和一郎

    ヒューマンサイエンス(早稲田大学人間総合研究センター)   ( 13 ) 121 - 123  2000年09月  [査読有り]

  • 生殖補助技術に対するドイツの対応

    岩志和一郎

    医学の進歩と医の倫理(「産科婦人科の世界」特別号)     227 - 232  2000年05月  [査読有り]

  • 人工的生殖補助技術の法的規制をめぐって

    岩志和一郎

    学術会議叢書1     138 - 147  1999年12月  [査読有り]

  • (判批) ドナーの心停止前のカテーテル挿入

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 14 )  1999年  [査読有り]

  • 相続法の課題:いわゆる「後継ぎ遺贈」について

    岩志和一郎

    税研   15 ( 2 )  1999年  [査読有り]

  • ドイツの新親子法(下)

    岩志和一郎

    戸籍時報   ( 495 ) 26 - 34  1999年01月  [査読有り]

  • ドイツの新親子法(中)

    岩志和一郎

    戸籍時報   ( 494 ) 17 - 30  1998年12月  [査読有り]

  • ドイツの新親子法(上)

    岩志和一郎

    戸籍時報   ( 493 ) 2 - 8  1998年11月  [査読有り]

    CiNii

  • 諸外国における非配偶者間の体外受精と立法-ドイツ

    岩志和一郎

    法律のひろば   51 ( 9 )  1998年10月  [査読有り]

  • (翻訳) ドイツ臓器移植法(条文訳)

    岩志和一郎

    国際バイオエシックス・ニューズレター(早稲田大学人間総合研究所)     2 - 5  1998年05月  [査読有り]

  • 家族関係と不法行為

    岩志和一郎

    新・現代損害賠償法講座(2):権利侵害と非侵害利益 日本評論社     143 - 177  1998年03月  [査読有り]

  • (判批) 民法903条1項の定める相続人に対する贈与と遺留分減殺請求の対象

    岩志和一郎

    法学教室   ( 217 )  1998年  [査読有り]

  • ドイツ「親子関係法改正法」草案の背景と概要

    岩志和一郎

    早稲田法学   72 ( 4 ) 37 - 91  1997年03月  [査読有り]

    CiNii

  • ドイツにおける家族法改正の動向

    岩志和一郎

    白鴎法学   ( 8 ) 151 - 175  1996年05月  [査読有り]

  • いわゆる相続させる遺言の解釈-平成三年最高裁判決に対する若干の疑問

    岩志和一郎

    公証法学   ( 25 ) 1 - 23  1996年05月  [査読有り]

  • The Bond between Children and Parents after Divorce

    岩志和一郎

    Waseda Bulletin of Comparative Law   ( 15 ) 1 - 10  1996年  [査読有り]

  • 生殖医療と法的問題

    岩志和一郎

    産婦人科の世界   48 ( 7 ) 35 - 40  1995年10月  [査読有り]

  • 1986年BGBの非嫡出父子関係ー婚姻と親子の再検討の一助として

    岩志和一郎

    早稲田法学   71 ( 1 ) 1 - 35  1995年09月  [査読有り]

  • ドイツの世話制度と医療上の処置に対する同意

    岩志和一郎

    家族と医療 弘文堂     211 - 235  1995年02月  [査読有り]

  • (翻訳) 児童条約の解釈

    シュテッカ―, 岩, 田明

    児童の権利条約 (石川稔=森田明編) 一粒社     433 - 463  1995年02月  [査読有り]

  • 児童の権利条約と養子

    岩志和一郎

    児童の権利条約 (石川稔=森田明) 一粒社     276 - 283  1995年02月  [査読有り]

  • 児童の権利条約に対するドイツの対応

    岩志和一郎

    児童の権利条約 (石川稔=森田明編) 一粒社     477 - 490  1995年02月  [査読有り]

  • ドイツにおける意思決定の代行

    岩志和一郎

    法律時報   67 ( 10 ) 17 - 22  1995年02月  [査読有り]

  • (判批) 移植腎の拒絶反応が進展して腎不全になり患者が死亡した場合の、医師の説明義務

    岩志和一郎

    年報医事法学   ( 10 )  1995年  [査読有り]

  • 児童の権利条約の家族条項―親の離婚とこども

    岩志和一郎

    家族〈社会と法〉   ( 10 ) 211 - 222  1994年09月  [査読有り]

  • 臓器移植

    岩志和一郎

    フォーラム医事法学 (宇都木伸=平林勝政編) 尚学社     257 - 259  1994年03月  [査読有り]

  • 親子関係と婚姻-第59回ドイツ法曹大会の記録から

    岩志和一郎

    早稲田法学   69 ( 4 )  1994年  [査読有り]

  • 代理母契約

    続現代民法学の基本問題 第一法規出版     629 - 647  1993年04月  [査読有り]

  • ドイツ民法における離婚後の面接交渉と子の意思

    岩志和一郎

    現在家族法の諸相 高野竹三郎古稀記念論文集 成文堂     135 - 177  1993年  [査読有り]

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 児童虐待防止のための柔軟な支援と処置-ドイツの新たな児童保護法制を参考にして

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    以下の3点につき、研究成果を得た。1 研究代表者は、平成26年度~28年度に科学研究費補助金による助成を受け、「日独の児童虐待対応に関する実証的比較研究―責任共同体としての司法と児童福祉」(基盤研究(B)海外学術調査)という表題で、児童虐待対応に関する研究を実施し、その成果の一部についてはすでに公表済みである。本研究は基本的にその研究を引き継ぎ、さらに発展させるものであることから、本年度前半は同研究の成果全体の出版の作業に当て、10月には『児童福祉と司法の間の子の福祉』(尚学社)を単行本として出版した。<BR>2 上記1に掲げた前研究においては、ドイツのベルリンを地域的対象とした児童虐待対応行ったが、今回の研究ではより別の地域に対象を広げ、2019年3月には、バイエルン州のレーゲンスブルグにおいて、少年局の聞き取り調査を行った。ドイツは連邦制の国であり、児童保護法制の基本法である社会法典第8編のもと、細目は州法に委ねられている。調査の結果、児童保護の行政機関である少年局構造がベルリンとは大きく異なり、活動基準にも相当の差異が認められた。当初計画したミュンヘン市少年局の調査は、先方の都合で実現できなかったが、バイエルン州の基準は各都市共通であるので、その実務的特性を把握できたことは意義深い。<BR>3 前研究が児童虐待という窓口からの研究であったのに対し、本研究は児童保護体制全体を視野に入れている。本年度は、2017年に議会を通過したにもかかわらず施行されない状態となっている「児童並びに少年の強化に関する法律草案」の現状を調査した。2019年3月に実施した研究協力者ベルリン工科大学のミュンダー教授との会談の中で、難民政策や、予算、人員などの側面だけでなく、障害を持つ児童と健常な児童との平等な取り扱いをめぐる議論がネックとなっていることがわかった。新しい知見として有用であった。以下の諸点からみて、おおむね順調に進展していると考える。1 前研究の成果の出版については、出版事業の現状との関係から遅れ、本年度の作業に食い込んでしまった。しかし、その作業過程では、いくつかの重大児童虐待事件をきっかけに政府が児童相談所の強化や児童虐待防止法の改正、さらには民法の特別養子制度の改正に乗り出したため、出版された書籍の中にそれらの新しい情報を取り込むことになった。2 概要の部分でも述べたように、本年度はバイエルン州を聞き取り調査の対象とし、ミュンヘン市少年局と聴き取りの約束をしていたが、先方の都合で時期の調整がつかなかった。そのため年度末ではあるがレーゲンスブルグを対象に調査を行った。しかし、同じバイエルン州の少年局として行動基準は同じであるとともに、レーゲンスブルグは少年局の組織を組み替え、より効率的な活動を行っていることがわかった。今後とも大都市であるミュンヘンでの調査を試みたいと考えるが、今回調査ですでに、バイエルンの基本情報は取得できたと考えている。3 前研究の時から行方を見守ってきた「児童並びに少年の強化に関する法律」がそのままで施行されることはないということが判明した。しかしながら、それはこれまでの改革の議論が無になったということではなく、難民問題や障害者問題という新たな要素が加わったからであるということも明確になったので、これまでの事件の価値を再認識することができた。本研究申請時には予測していなかったことであるが、2018年にわが国政府は児童虐待対応のための諸施策を強化する方針を示し、2019年度には、児童虐待防止法や民法の特別養子法規定の改正が実施されることとなった。このような動きの中で、各分野の担当者より研究代表者に対しても知見の確認があり、また著作の紹介も求められた。前研究及び本研究で入手した資料を提供しつつその動きに役立てていきたいと考えている。ただし研究の方向自体は変わることはなく、虐待対応を含めた児童保護対応、特に少年局の機能と活動実態の研究に主点を当てていきたいと考える。本年度は、ベルリンで緊急一時保護の実務担当者に対する聴き取り調査のほか、ミュンヘン市少年局での聴き取りを予定している。また、わが国で取り上げられた養子縁組による対応と関連して、ドイツの他児養育システムの実務の調査も行うことを企図している

  • 日独の児童虐待対応に関する実証的比較研究―責任共同体としての司法と児童福祉

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    岩志 和一郎, 吉田 恒雄, 高橋 由紀子, ミュンダー ヨハネス

     概要を見る

    ドイツでは、2000年代に入って度重なる法改正により、「子の福祉の危険化」の回避という概念の下で、児童虐待防止に向けたシステムが集中的に構築されたが、実際には少年局の取扱いの件数や、家裁の親の配慮の剥奪の数が減ることはなかった。しかし、ドイツ全般の調査の結果からは、少年局と家庭裁判所の間では、手続的により密接な連携が組み上げられ、両機関の行動の多様性を、適法かつ効果的に拡大してきていることが分かった。また、ベルリンでの調査からは、少年局や裁判所を含め、多機関、多専門職の間の支援や情報提供のネットワークが整備され、早期の危険回避に効果を上げていることが分かった

  • 多元多層化する家族と法の全体構造に関する実証的比較法研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2016年03月
     

    床谷 文雄, 犬伏 由子, 岩志 和一郎, 棚村 政行, 南方 暁, 二宮 周平, 野澤 紀雅, 本澤 巳代子, 石井 美智子, 大島 梨沙, 神尾 真知子, 金 亮完, 栗林 佳代, 冷水 登紀代, 田巻 帝子, 羽生 香織, 早野 俊明, 森田 展彰, 渡邉 泰彦, 原田 綾子

     概要を見る

    この4年間でも各国における家族の多様性は急速に拡大した。伝統的婚姻、登録型パートナーシップ、非登録型自由結合等カップル、同性婚の承認が欧米諸国で急速に進行し、離婚・再婚・ステップファミリー・複合家族など関係性が多元多層化した。生殖補助医療による親子も親子関係の多様化をもたらした。家族関係紛争も複雑化し、裁判所に頼らない当事者の自律した解決が世界的に重視されるようになり、紛争解決支援の必要性も明らかとなった。他方、血縁・地縁社会が弱体化して無縁社会化が進み、孤独死などの問題を生じさせた。本研究は、こうした状況を、欧州・韓国との比較研究から明らかにした

  • 日独の児童虐待対応に関する実証的比較研究―責任共同体としての司法と児童福祉

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2014年
    -
    2016年
     

  • 日独の児童虐待対応に関する実証的比較研究―責任共同体としての司法と児童福祉

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2014年
    -
    2016年
     

     概要を見る

    ドイツでは、2000年代に入って度重なる法改正により、「子の福祉の危険化」の回避という概念の下で、児童虐待防止に向けたシステムが集中的に構築されたが、実際には少年局の取扱いの件数や、家裁の親の配慮の剥奪の数が減ることはなかった。しかし、ドイツ全般の調査の結果からは、少年局と家庭裁判所の間では、手続的により密接な連携が組み上げられ、両機関の行動の多様性を、適法かつ効果的に拡大してきていることが分かった。また、ベルリンでの調査からは、少年局や裁判所を含め、多機関、多専門職の間の支援や情報提供のネットワークが整備され、早期の危険回避に効果を上げていることが分かった

  • 多元多層化する家族と法の全体構造に関する実証的比較法研究

    科学研究費助成事業(大阪大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2012年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    2年目に入り、昨年度研究実績を踏まえ、平成25年度研究計画に従い、ユニットごとの研究交流の一層の活性化が図られた。7月7日に早稲田大学で開催された家族法改正研究会シンポジウムに研究分担者、連携研究者、研究協力者が多く参加し、この機会に全体会議、ユニット単位の会議を開催し、25年度の具体的研究計画を検討した。同家族法改正研究会シンポジウムでは、研究分担者・野沢、連携研究者・早野、冷水がユニットの研究成果を発表した。
    ベルギーおよびフランスから、同性カップルの法律問題に詳しい研究者を招へいして、9月8日に立命館大学(研究分担者・二宮)で専門研究会を、9月11日に早稲田大学(研究分担者・岩志)で、一般公開の講演会を開催した。いずれも、両国の最近の動きを伝える内容で、科研メンバー他参加者との活発な討論が行われた。
    10月1日、2日には、国際家族法学会地域大会がソウルで開催され、研究分担者・岩志が基調講演者の一人として研究成果を発表し、分担者・南方、犬伏が討論に参加した。11月30日に台湾で開催された「新・アジア家族法三国会議」に、研究分担者・岩志、棚村ほか科研メンバーが参加し、日本、韓国、台湾のアジア地域における高齢化と成年後見法の課題について研究成果を報告するとともに、現地に集った研究者との活発な交流を行った。
    平成26年2月22日、23日に、新潟大学において全体会合を開き、22日は研究分担者・南方、連携研究者・田巻らによる研究発表を行い、23日は連携研究者・大島、渡邉による、報告会を行った。22日の研究会には、新潟市内からの一般参加者もあり有益な交流ができた。

  • 多元多層化する家族と法の全体構造に関する実証的比較法研究

    科学研究費助成事業(大阪大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2012年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    2年目に入り、昨年度研究実績を踏まえ、平成25年度研究計画に従い、ユニットごとの研究交流の一層の活性化が図られた。7月7日に早稲田大学で開催された家族法改正研究会シンポジウムに研究分担者、連携研究者、研究協力者が多く参加し、この機会に全体会議、ユニット単位の会議を開催し、25年度の具体的研究計画を検討した。同家族法改正研究会シンポジウムでは、研究分担者・野沢、連携研究者・早野、冷水がユニットの研究成果を発表した。
    ベルギーおよびフランスから、同性カップルの法律問題に詳しい研究者を招へいして、9月8日に立命館大学(研究分担者・二宮)で専門研究会を、9月11日に早稲田大学(研究分担者・岩志)で、一般公開の講演会を開催した。いずれも、両国の最近の動きを伝える内容で、科研メンバー他参加者との活発な討論が行われた。
    10月1日、2日には、国際家族法学会地域大会がソウルで開催され、研究分担者・岩志が基調講演者の一人として研究成果を発表し、分担者・南方、犬伏が討論に参加した。11月30日に台湾で開催された「新・アジア家族法三国会議」に、研究分担者・岩志、棚村ほか科研メンバーが参加し、日本、韓国、台湾のアジア地域における高齢化と成年後見法の課題について研究成果を報告するとともに、現地に集った研究者との活発な交流を行った。
    平成26年2月22日、23日に、新潟大学において全体会合を開き、22日は研究分担者・南方、連携研究者・田巻らによる研究発表を行い、23日は連携研究者・大島、渡邉による、報告会を行った。22日の研究会には、新潟市内からの一般参加者もあり有益な交流ができた。

  • 親権法の現代化-ドイツ親権法を窓口として-

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    岩志 和一郎, 鈴木 博人, 高橋 由紀子

     概要を見る

    子の福祉の確保、とりわけ児童虐待やネグレクトからの子の保護のためには、子、親、家族への支援と、危険な状態への速やかな介入が必要とされる。また、最終手段として親子分離がなされたとしても、可能な限り再統合をはかることが必要である。そのためには、司法と児童福祉行政が、責任共同体としての意識をもって、緊密な連携システムを構築していくことが重要であり、ドイツの連携システムはわが国にとって大いに参考となる。

  • 親権法の現代化-ドイツ親権法を窓口として-

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    岩志 和一郎, 鈴木 博人, 高橋 由紀子

     概要を見る

    子の福祉の確保、とりわけ児童虐待やネグレクトからの子の保護のためには、子、親、家族への支援と、危険な状態への速やかな介入が必要とされる。また、最終手段として親子分離がなされたとしても、可能な限り再統合をはかることが必要である。そのためには、司法と児童福祉行政が、責任共同体としての意識をもって、緊密な連携システムを構築していくことが重要であり、ドイツの連携システムはわが国にとって大いに参考となる

  • 子の福祉の確保のための諸力の連携について-日独の比較に基づく提言

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    岩志 和一郎, 鈴木 博人, 高橋 由紀子, 鈴木 博人, 高橋 由紀子

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    児童虐待や親の責任の懈怠など、現代親権法がかかえる課題は、単に民法の中の親権の規定を充実させさえすれば十分に図られるというわけではない。それらの諸問題を有効に解決するためには、子の利益あるいは権利の保護を現実化するための手続や児童福祉行政の整備、そして何よりもそれら諸機関を効率よく機能させるための調整機関の存在が不可欠である。本研究では、ドイツのミュンヘン市の連携システムの調査を通して、連携システムの中心には、諸種のサービスを通じて子およびその家族と近いところに立ちうる児童福祉当局を置き、必要に応じて司法作用を喚起できるという態勢が有用であることが確認できた。ミュンヘン市の調査では、児童福祉当局である少年局と家庭裁判所が、手続の開始や終了、意見聴取や職権調査、支援契約の策定、父母間の合意形成援助などについて、協定書を作成し、それに基づいて緊密な協力体制を敷いているほか、裁判所の仮命令を活用した、子の福祉の危険に対する迅速な対応の体制も整備されていた。いわゆる縦割り型の職務ではなかなか迅速かつ十分な対応ができかねるところ、多くの専門職との連携も交えて、異職種横断的で一体的な対応が重要であることを再認識することができた

  • 子の権利保護のためのシステムの研究―実体親権法と児童福祉法制の連動のあり方―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

    岩志 和一郎, 鈴木 博人, 高橋 由紀子

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    子の権利の保護のための司法と児童福祉法制の連動のあり方を研究するため、その基礎モデルとしてドイツの児童保護法制を検討することとし、その基礎作業として、ドイツの実体親権法と児童福祉の架橋となるドイツ社会法典第8編「児童ならびに少年援助」(2007年1月現在)の全条文を翻訳した。その翻訳については、別掲の平成17年度・18年度科学研究費補助金研究成果報告書「子の利保護のためのシステムの研究-実体親権法と児童福祉法制の連動のあり方-」に公表した。また、同じく基礎作業として、2006年11月に公表された、ドイツ連邦司法省の作業グループ報告書「子の福祉の危険の場合の家庭裁判所の処置」(2006年11月)を全訳し、これも前掲報告書に掲載、公表した。これらは、わが国では初めての作業であり、研究代表者と分担者の共同作業である。その他、この作業と平行して個別に研究を進め、研究代表者は、これも別掲のとおり、「ドイツの家庭裁判所」、「暴力によらずに教育される子の権利-ドイツ民法のアピール-」、「ドイツにおける『子どもの代弁人』(Anwalt des Kindes)」など、ドイツ親権法少年援助法、家事手続法等に関する論文を、また研究分担者鈴木博人は、「ドイツ法における交流権」、同高橋由紀子は「里親による監護と親権」などの論文を、逐次発表した。これらの研究を通じ、ドイツの児童の権利保護のシステムが、裁判所と児童福祉行政当局(少年局)との密接かつ体系的な連携によって組み立てられていること、児童の福祉に危険が及ぶ場合の対応においては、親の養育に対する介入よりも援助を先行させ、可能な限り親と子の関係の維持を図ろうとしていること、危険が危急に迫る場合には、手続の迅速ときめ細かい回避処置の実施が企図されていることなどが、明らかとなった。マンパワー、予算などの面で隔たりがあるとはいえ、これらの仕組みと対応姿勢は、わが国でも十分に参考となると考えられる

  • 在宅医療・看護の質の確保に関する法的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1994年
    -
    1995年
     

    宇都木 伸, 三木 知博, 平林 勝政, 塚本 泰司, 斉藤 一之, 岩志 和一郎, 飯塚 和之

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    1994年度には農山村地域の典型たる島根県鹿足郡日原町において,また1995年度には都会地の典型として東京都江戸川区において,高齢在宅患者の自宅を訪問して実態調査を行った。その成果を比較検討をするごとを通して,わが国の在宅医療・看護の質を確保するための問題点を探り,その解決の方策を検討した。主な結果は次の通りである。(1)在宅医療を完結させるためには,実は施設の充実が不可欠である。(2)在宅医療という形態の選択,継続の意思の決定の為には,特別の手続と特別の訓練を受けた人を必要とする。(3)現在の在宅医療は女性,とりわけ嫁への負担が大きい。これを当然とする社会情況を問い直してゆくとともに,現に担われている負担を軽減する方策が緊急に必要である。(4)在宅医療の本格的な展開のためには,住宅対策を基本的に見直す必要がある。(5)民間企業が本当に必要とされている地域また領域に拡大してゆくためには,行政庁の指導の統制といった強力な介入が求められる。(6)施設と利用者の関係を,行政庁による措置制度から自由契約に移すという主張にはにわかに賛成しえない。現行の措置制度が陥っている欠陥を改善する必要は高いが,措置というものが本来的に備えている長所をこそ生かしてゆくことが必要である。(7)個別的論点として:痴呆性高齢者のために特別の施設が必要である。リバビリテーションの拡充の必要性は高い。カウセリングの機能の充実が,ケアの改善・精神的安定に有用であるばかりでなく,行政庁の施策改善のために有用である。患者・介護者からの苦情申し立ての制度も同様である

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特定課題制度(学内資金)

  • 父母の関係性の流動化と親子関係の継続保障 ― 実体法と手続法の架橋をはかる

    2017年   棚村政行, 橋本有生

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    児童虐待等の結果、他者養育を受けざるを得ない子に対する対応に焦点を当て、他者養育の形態として、児童養護施設、里親養育、養子縁組相互の関係について検討した。現在、わが国で特別養子制度の見直し作業が進められていることに鑑み、特別養子と同様の完全養子制度がとられているドイツの他者養育のあり方が参考になると判断し、2018年2月から3月にかけて、研究協力者をドイツのマールブルク、ゲッティンゲン、ベルリンに派遣し、調査を行った。調査は、ドイツの未成年完全養子制度の理論および実践から知見を得るべく、現地の専門家にインタビューを行い、運用の実態および現状における法的諸課題に関する情報を収集することを目的とした。

  • 父母の関係性の流動化と親子の関係性の継続保障

    2016年   犬伏由子, 南方 暁, 棚村政行

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    家族法の中核となる夫婦関係法と親子関係法の双方から、そのあるべき姿を検討し、両者相互の関係を探究した。具体的作業は、本研究代表者が代表を務める家族法改正研究会を通じて展開され、婚姻法、離婚法、親子法、親権・扶養・後見法の各分野について、改正提案が作成された。それら改正提案は、2016年11月に開催された「日本家族〈社会と法〉」学会のシンポジウムにおいて報告され、議論がなされるとともに、2017年1月及び2月に、戸籍時報誌に発表された。

  • 家族の変貌と家族法の在り方 -東アジアの諸立法との比較を踏まえて―

    2015年   南方暁, 棚村政行, 犬伏由子

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    グローバル化における家族法の検討ならびに家族紛争処理における基本理念の検討を目的として、わが国の家族法改正をめぐる固有の状況を、従来から続けられてきている欧米の動向の比較に加え、東アジアの家族法改正の動向との比較において総体的に分析検討するとの目的で、家族法改正研究会を2回(2015年7月と11月)に開催し、さらに「日本のLGBTの現状と課題」というシンポジウム(2016年2月)を共催した。これらの検討結果については、2016年11月に開催される「日本家族〈社会と法〉」学会においてシンポジウム企画として採用が決定した。

  • 家族法立法のあり方に関する理論的研究

    2013年  

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    2013年度特定課題研究費を利用した研究実績は、以下のとおりである。(1) 2013年7月7日、早稲田大学8号館において、研究代表者が代表を務める家族法改正研究会が主催して、シンポジウム「扶養法改正に向けた論点整理」を実施した。報告は、①「扶養法改正の課題(総論的課題)」(野沢紀雅中央大教授)、②「一般親族扶養」(冷水登紀代甲南大准教授)、③「子の扶養」(早野俊明白鴎大教授)、④「民法766条の位置」(許末恵青山学院大教授)であった。100名に上る出席者があり、活発な議論があったが、本シンポジウムの各報告および討議の内容については、戸籍時報705号2頁以下に掲載されている。(2) 2013年10月2日、研究代表者は韓国ソウル市において開催された国際家族法学会アジア支部大会に参加し、「Child Abuse and Family Policy」というテーマで基調講演を行った。韓国、中国、タイ、ビルマ等各国の報告と議論がなされた。なお、研究代表者の講演については、Korean Journal of Family Law, Vol.27-3, PP.1-12に掲載されている。(3) 2013年11月17日、早稲田大学8号館において、研究代表者が代表を務める家族法改正研究会が主催して、シンポジウム「夫婦財産関係法の検討Part1―夫婦財産制(755条~759条、766条)の見直しを中心に」を実施した。報告は、①「シンポジウムの概要及び夫婦財産関係法の検討課題」(犬伏由子慶応大教授)、②「夫婦財産制の見直し―所得参与制の検討を含めて」(犬伏由子慶応大教授)、③「比較夫婦財産法―ヨーロッパを中心に」(松久和彦香川大准教授)、④「夫婦財産契約」(川淳一成城大教授)であった。本シンポジウムの報告と討論の内容については、戸籍時報709号2頁以下に掲載されている。(4) 2013年11月25日から12月1日まで、研究代表者は、ドイツのベルリンおよびゲッチンゲンを訪問した。11月26日には、ベルリン工科大学教授のヨハネス・ミュンダー教授およびレ―ゲンスブルグ高等専門学校のバルバラ・ザイデンシュトゥッカー教授と、企画中の今日調査、「児童虐待に対する司法と児童福祉の連携」の打ち合わせ(第1回項目立て)を行った(本調査は、2014年度科学研究費海外調査(B)として採択が決定した)。11月27日には、ベルリン州少年局(ウルリケ・ベーレンス氏)に対し、養子縁組斡旋、匿名出産等についてインタビュー調査を行った。11月29日には、ゲッチンゲン大学で、ゲッチンゲン家族法シンポジウムに参加し、コメントと意見交換を行った。

  • 家族に係わる特別法が家族法(一般法)に与えた影響及び相互関係の法理論的分析

    2012年  

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    1 研究実施の実績(1) 研究会等① 本研究テーマに関し、研究代表者が代表を務める家族法改正研究会が主催する形で、2回のシンポジウムを開催した。第1回(2012年7月8日、早稲田大学)では、研究協力者犬伏由子(慶應義塾大学)が中心となって婚姻法、とくに婚姻障碍に関する検討を行った。報告者は犬伏のほか、門広乃里子(国学院大学)「婚姻適齢」、千藤洋三(関西大学)「再婚禁止期間」、南方暁(新潟大学)「近親婚規制に関する再検討」であった。第2回(2012年11月11日、早稲田大学)では、研究協力者棚村政行(早稲田大学)が中心となって離婚法に関する検討を行った。報告者は、棚村のほか、緒方直人(鹿児島大学)「協議離婚制度の改革」、神谷遊(同志社大学)「離婚原因と破綻主義」、本澤巳代子(筑波大学)「財産分与に関する再検討」であった。② ①のシンポジウムの準備のため、報告者による研究会を2回(2012年6月、9月)に開催したほか、研究代表者を中心として、親権法・扶養法を検討する研究会を2013年3月に開催した。(2) 国際会議における報告2012年11月24日に韓国高麗大学において開催された、新・アジア家族法3国会議「親権と未成年後見」において、研究代表者岩志和一郎が「親権法と未成年後見の現況と課題―子の福利と親権法の課題」、研究協力者棚村政行が「児童虐待と親権・未成年後見」という報告を行った。(3) 調査2012年11月23日に、研究代表者岩志和一郎、研究協力者棚村政行、同犬伏由子が、韓国・ソウル家庭法院を訪問し、同国の離婚時の子どもの親権、養育費等の取り決めに関する新しい手続について、現場調査を行った。(4) 研究者招聘2012年11月9日にソウル家庭法院の宋賢鐘調査官を招聘し、研究会を開催するとともに、11月10日に開催された、日本家族〈社会と法〉学会(理事長・岩志和一郎)において、韓国の新しい家庭裁判手続について報告を行った。2 研究によって得られた知見等 本研究のテーマは大規模であり、現在は継続的研究の一段階にある。これまで、すでに総論的検討、親子関係決定法の検討、親権法の検討を実施してきたが、本年度の研究では、懸案であった、婚姻および離婚という家族法の大きな領域について、民法と個別法の相互関係を検討することができ、また将来の家族法のあり方についての検討点を洗い出すことができた。また、近時家族法の重要な改正が続いている韓国との研究協力を深めることができ、彼国の動向を観察することは今後のわが国の議論に資するところが大きいことが確認された。

  • ドイツ親子法の研究  子の権利と子の福祉

    2000年  

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     本年度の研究の第一の柱は、ドイツ民法中、子と父母との面接交渉に関する研究に割く予定であった。1998年の民法改正によって置かれた面接交渉に関する規定が、正面から、子と父母との面接交渉は子の権利であると規定し、かつ子の利益に合致すると宣言したからである。しかしながら、研究の過程において、面接交渉権を子の権利であると構成した場合に、子の側から面接交渉を実施しない父母に対して直接に面接交渉を請求しうるか、また請求して実現しない場合に強制することができるか等、権利と構成した場合の要件はもちろん、とりわけ手続きの問題が重要な検討課題として浮かび上がってきた。それら手続面においては、誰が未成熟の子に代わって請求するのか、また話し合いにも応じようとしない父母に対して、自らの義務を履行するよう段取りをつけ、なるべく自主的に面接交渉を実施するよう調整するのか、といった問題の検討がそれである。それらの手続については、民法改正に先んじて、青少年援助法が制定されており、その中で児童福祉の問題として対処する構造になっている。青少年援助法は、児童福祉に関する多様な問題を取り扱う法律で、その内容の検討は、逐語的に概念を決定していかなければ進まない。そのため、研究の方法として、青少年援助法に完全な翻訳を付することから始めることにし、現在その作業が進行中である。今回の研究の中で、この二年間のドイツ親権法の研究の締めくくりの作業として、98年に全面改正になったドイツ民法親権法の規定を全訳する作業を行い、その目的を達することができたが、それに続けて、青少年援助法の翻訳を公表する予定である。 本年度の研究の今一つの柱は、人工生殖補助技術によって出生した子の身分関係につき、わが国での立法に向けての提言をして行くことにあった。その作業中、法務省より生殖補助医療関連親子法制の検討につき、法制審議会臨時委員を委嘱され、現実に立法作業の一端に加わることとなった。この作業はなお二年間継続する予定であり、これまで特定課題研究によって得た成果を、現実の場に反映させたいと考えている。

  • ドイツの親子法の研究―親の権利と子の福祉―

    1999年  

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     99年度は、ドイツにおける親と子の面接交渉に関する判例の研究と、人工生殖補助技術で生まれてきた子の身分関係をめぐる法的諸問題を検討した。1 親と子の面接交渉に関する研究について 1998年にドイツ親子法が改正され、親と子の間の面接交渉が親の権利であると同時に、子の権利でもあると民法典中に明示されてから、下級審ながら徐々に裁判例が現れてきた。本年は、それらの判例をインターネットをも利用して遅滞なく収集することにつとめ、24件の新規定下での裁判例を確認することができた。それらは、大別して、家庭裁判所における面接交渉の取り決めに関する事案、父母以外の第三者との面接交渉に関する事案、面接交渉の排除、制限に関する事案に分けることができる。家庭裁判所における取り決めに関する事案では、基本的には父母に面接交渉のあり方を決定する権限があるという基本的立場を尊重しつつ、取り決めが遅延し、事実上子が父母の間で不安定な立場に置かれることを避ける必要があるとして、子の福祉を優先させるものがある。この点は、第三者(祖父母や兄弟姉妹)との面接交渉についても同様であり、子の福祉が判断基準となることを強調するが、同時に基本的には小家族が憲法上の保護を受けるとし、濫用的請求を厳しく排除する姿勢が見られたのは、大いに注目される。面接交渉の排除や制限については、改正前からの実務と実質的には大差はないが、親の監護を剥奪された父母に対する面接交渉の制限は基本的に子の福祉にかなうとする裁判例があり、数少ない先例として注目される。これら裁判例を引き続き収集検討することで、ドイツの裁判実務が考える子の権利、親の権利の内容が具体的になるであろう。2 人工生殖補助技術で生まれてきた子の身分関係について。 1998年の改正の中で、一部立法され、一部立法が見送られた人工生殖補助技術で生まれた子の身分関係を中心とする研究は、すでに前年の段階において、これまでの判例・学説の検討を終えている。本年は、それをまとめる作業を行い、日本学術会議の依頼を受けて、その一部を「人工的生殖補助技術利用の法的規制をめぐって」(学術会議叢書1号「生殖医療と生命倫理」)として発表し、また厚生省の科学審議会先端医療技術評価部会・人工生殖補助技術に関する専門委員会では参考意見を陳述したほか、第10回生命倫理学会のワークショップで発表した。また、全体的なまとめとして、「生殖補助技術に対するドイツの対応」(「Bioethics 医学の進歩と医の倫理」産婦人科の世界2000春季増大号)を執筆、発表した。今後、子の自己の血統を知る権利のより深化した検討など、残された検討課題に取り組みたいと考える。

  • ドイツ親権法の研究―親責任と子の福祉―

    1998年  

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     本年度は、ドイツ新親子法の全体像の検討を行い、その結果、今後研究を継続する上で必要ないくつかの視覚を設定することができた。 第一の、最も中心的な視覚は、嫡出子と非嫡出子という区別概念の廃止である。この長年親子法の基軸となってきた概念を廃止することで両者の平等化が達成されたが、同時に親子法の構造自体が変化した。真に嫡出子と非嫡出子の平等が図られるということはどういうことか、そのためにはどのような範囲で、またどのような形での構造の変革が伴うのか、細部まで慎重に見極める必要がある。 子に対する父母の共同責任を強調し、離婚後あるいは未婚の父母の間にも共同監護を認め、また子との交流を促進していることも重要な視角である。婚姻の破綻や婚姻の不存在を直ちに親子の結合の否定に結びつけるべきではないという考え方の定着を示すものであり、従来の親子法の中における婚姻の位置づけを見直させる。 子の養育のあり方に関する親の自己決定と子の利益の調整という視角も重要な切り口となる。離婚後の父母の共同監護は自動的に継続し、単独監護への移行も父母が合意している限り、家裁によってそれが尊重される。婚姻関係にない男女も合意によって共同監護となることができ、裁判所の決定は必要とされない。他方、父母が合意できない場合については裁判によるものとし、また親の監護や交流権の行使が子の利益と抵触する可能性のある場面では裁判所を介入させている。裁判所の判断基準は「子の福祉」であり、その介入の要件は綿密に規定されている。このような綿密な基準設定は、父母の法的地位に対する不必要な干渉の防止と、子の利益の確保のバランスを慎重にはかった結果である。 さらに、子と父母の交流が子の権利として位置づけられたことも注目すべき視角となる。直接請求することも、執行することもできない「権利」を、明示的に規定することにどのような意味があるのか。解釈の基準としての面からも、実効性の面からも注目していく必要がある。

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