2024/12/21 更新

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イナバ トシオ
稲葉 敏夫
所属
教育・総合科学学術院
職名
名誉教授

所属学協会

  •  
     
     

    日本地域学会

  •  
     
     

    進化経済学会

  •  
     
     

    日本統計学会

  •  
     
     

    日本経済学会

研究分野

  • 経済統計
 

論文

  • 年齢・世代効果を補正した需要弾力性の計測

    森宏, 石橋喜美子, 田中正光, 稲葉敏夫

    社会科学年報 専修大学   39   39 - 59  2005年03月

  • 高齢化の進展の下で米・鮮魚の消費はどうなるかーコウホート分析

    森宏, 田中正光, 稲葉敏夫

    社会科学年報 専修大学   38 ( 38 ) 41 - 62  2004年03月

    CiNii

  • 清酒およびビールの家計消費の将来予測−コウホート分析

    田中正光, 森宏, 稲葉敏夫, 石橋喜美子

    季刊 家計経済研究   61 ( 61 ) 50 - 61  2004年01月

    CiNii

  • Re-estimating per Capita Individual Consumption by Age from Household Data

    M.Tanaka, H.Mori, T.Inaba

    Jpn. J. of Rural Econ.   6   20 - 30  2004年

     概要を見る

    Mori and Inaba proposed an estimation method of deriving individual consumption by age from macro data classified by age of household head (HH), using quadratic programming, 1997. We replaced their approach by regression with weights which are determined by the magnitude of standardized residuals, following the leads of Huber, 1981 and Minotani, 1992. Using our revised method which provides objective statistics, the estimates of per capita individual consumption of fresh fruit and fresh fish, respectively, by non-adults are substantially larger and those for the young adults somewhat smaller in our studies than in previous studies. It seems quite apparent that Japanese children and young adults have decreased their at-home consumption of these products substantially in recent years. Those older than 50years of age seem to have maintained their consumption at relatively high levels.

    DOI CiNii

  • ビール・清酒消費の年齢・世代・時代効果

    日本統計学会    2002年09月

  • Projection of At-home Fresh Fish Consumption by Cohort Approach

    日本農業経済学会    2002年03月

  • Nonlinear Macroeconomic Dynamics: A Study of Noise Effects

    稲葉敏夫, 浅田統一郎, 三澤哲也

    電子情報通信学会・信学技報   NLP2001-64   79 - 88  2001年11月

  • A Nonlinear Macroeconomic Dynamic Model: Its dynamics and Noise Effects

    The 7th International Workshop on Similarity in Diversity    2001年09月

  • An Interregional Dynamic Model: The Case of Fixed Exchange Rates

    Toichiro Asada, Toshio Inaba, Tetsuya Misawa

    Studies in Regional Science   31 ( 2 ) 29 - 41  2001年

     概要を見る

    In this paper, we consider a nonlinear macrodynamic model which describes the economic transaction between two regions. We suppose that the economic structures of both regions are characterized by the Kaldorian business cycle model with money, and two regions are connected through Interregional trade and interregional capital movement. We study the dynamic behavior of such a system under fixed exchange rates by means of analytical method and numerical simulations. © 2001, JAPAN SECTION OF THE REGIONAL SCIENCE ASSOCIATION INTERNATIONAL. All rights reserved.

    DOI

  • An Inetrregional Dynamic Model

    日本地域学会    2000年11月

  • Nonlinear Economic Dynamics in a Two-Country Model with Fixed Exchange Rates

    T.Asada,T.Inaba, T.Misawa

    Proceedings of International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications   2   515 - 518  2000年09月

  • Nonlinear Dynamics in a Two-Country Model

    The Second International Conference on Discrete Chaotic Dynamics in Nature and Society    2000年05月

  • Chaotic dynamics in a flexible exchange rate system: A study of noise effects

    T Asada, T Misawa, T Inaba

    DISCRETE DYNAMICS IN NATURE AND SOCIETY   4 ( 4 ) 309 - 317  2000年

     概要を見る

    In this paper, we investigate by means of analytical method and numerical simulations the properties of three-dimensional business cycle model, in which foreign exchange rate is flexible and a parameter is fluctuated by noise. The model is a discrete time version of Asada (Journal of Economics, 62, 239-269, 1995)'s continuous time open economy model without noise. We show (1) noise may suppress the burst of flexible foreign exchange rate when its behavior begins to burst as a bifurcation parameter (adjustment speed of the goods market) is increased, (2) the windows of cycles can be broken by noise, and (3) noise may reveal the hidden structures.

  • A nonlinear macrodynamic model with fixed exchange rates: Its dynamics and noise effects

    T Asada, T Inaba, T Misawa

    DISCRETE DYNAMICS IN NATURE AND SOCIETY   4 ( 4 ) 319 - 331  2000年

     概要を見る

    In this paper, we formulate a discrete time version of the Kaldorian macrodynamic model in a small open economy with fixed exchange rates. The model is described by a system of the three-dimensional nonlinear difference equations with and without stochastic disturbances (noise effects). We study the local stability/instability properties analytically by using the linear approximation method, and chaotic dynamics with and without noise effects are investigated by means of numerical simulations, In general, it is believed that the effect of the noise is to obscure the basic structure of the system. But, this is not necessarily the case. We show by means of numerical analysis that the noise can reveal the hidden structure of the model contrary to the usual intuition in some situations.

  • Window Ipmplies Chaos while Chaos Implies Cycles

    Proceedings of International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications   2,pp.539-542  1999年12月

  • 変動相場制のマクロ動学分析;カオス的変動とノイズ効果

    中央大学経済研究所年報   30;pp.63-77  1999年03月

  • Nonlinear business cycle model with flexible foreign exchange rates: noise effects on the dynamics

    Proceedings of International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications   3,pp.1209-1212  1998年09月

  • ノイズ摂動が3次元非線形景気循環モデルの挙動に及ぼす影響

    日本統計学会大会報告(共同研究)    1998年07月

  • 開放経済における非線型マクロ動学モデル:数値シミュレーション分析

    経済学論纂(中央大学経済学部)   38巻;5,6合併号/P181-200  1998年03月

  • Nonlinear business cycle model in an open economy : noise effects on the dynamics

    Proceedings of International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications   vol.1/P505-508  1997年12月

  • Estimating individual fresh fruits consumption by age,1979 to 1994

    農業経済研究(農業経済学会)   69巻;3号/P175-185  1997年12月

  • 景気循環モデルにおけるカオス

    理論・計量経済学会    1997年09月

  • 非線形景気循環モデルにおけるノイズ摂動の影響

    日本統計学会65回大会    1997年07月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 高校・大学間の接続をめざす経済学教育の再構築と学生の経済リテラシーの国際比較

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    山岡 道男, 真野 芳樹, 樋口 清秀, 稲葉 敏夫, 淺野 忠克, 阿部 信太郎, 高橋 桂子, 浅野 忠克, 阿部 信太郎, 高橋 桂子, 樋口 清秀, 稲葉 敏夫

     概要を見る

    日本の高等学校の経済教育内容と大学のそれとの不連続の現状を明らかにし、大学生の経済学習を効果的かつ効率的に行わせるための課題を、日本の大学のカリキュラムに見られる特徴から指摘した。また高校生と大学生のパーソナル・ファイナンスに関する知識の程度を調査するためのテストを実施して結果を分析した。さらに大学生の経済リテラシーついて、日本・米国・韓国・フィリピン・ニュージーランドで共通問題を使ってテストを実施し、その結果の国際比較から日本の大学生の経済理解の実態を明らかにした。

  • 非線形動学理論に基づく寡占・複占理論の再構築に関する学際的研究

    科学研究費助成事業(中央大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    松本 昭夫, 川島 康男, 浅田 統一郎, 石川 利治, 藪田 雅弘, 稲葉 敏夫

     概要を見る

    本研究は伝統的な寡占・複占動学モデルを2つの方向に拡張した。一つは動学研究にパラダイムシフトをもたらしたといわれるカオス・ソリトン・フラクタルなどに象徴される非線形動学理論を導入し、経済において顕著に見られるさまざまな非線形要因が動学に及ぼす影響を分析したこと。もう一つは地域間貿易に顕著に見られるような動学モデルに空間あるいは距離といった概念を明示的に取り入れたときの効果を考察した。
    主な研究成果の概要は以下のようなものである。
    1 定常解が不安定なときに収束も発散もしない解軌道が吸収されるアトラクター集合の解明
    2 非線形性が強いときには、複数の定常解の共存の可能性がでてくる。そこで初期点と定常点、周期解を結びつけるベイズンの構造とモデルのパラメータ値との間の定性的な関連性を明らかにした。
    3 安定な定常解への解軌道の解析解構築し、モデルの動学構造をより一般的に解明した。
    4 空間的な要素を明示的に組み込むことによる近隣地域からの影響と遠隔地からの効果が時間差をもってどのような影響をおよぼし、複雑な動学を発生させる可能性を検証できた。
    5 空間動学モデルは時間遅れがある動学モデルと類似の構造をもっているので、安定化政策のラグが安定性におよぼす効果と空間が及ぼす効果との比較検討をおこなった。
    6 空間競争を通じた市場地域の形状変化は従来の比較静学分析では6角形において均衡するとされているが、動学的な観点を付加した考察により様々な形状を呈することを示せた。
    これらの直接成果の副産物としてマクロ動学モデルへの応用により幾つかの新しい知見が得られた。
    *貨幣の動学的経済モデルに分析により流動性を罠を伴う不況経路・恐慌経路が新古典派完全健康経路に比してパレート劣位であることが論証可能になった。
    *地域間の財の取引と地域間資本移動によって結びつけられた固定相場制の2地域マクロ動学モデルを構築し、ホッフ分岐定理の援用により景気循環を非線形動学理論にもとずいて理論的に分析した。

  • 地球環境問題の経済分析:環境問題をめぐる利害・協調行動のゲーム論的接近と非線形動学理論に基づいた長期的観点からの環境問題対応政策に関する総合研究

    科学研究費助成事業(中央大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    松本 昭夫, 稲葉 敏夫, 横山 彰, 有賀 裕二, 三澤 哲也, 厚見 博, 浅田 統一郎

     概要を見る

    *高次元の非線形動学システムの挙動については端緒がついたばかりであまり分析がなされていない。そこで二つの二次元非線形経済動学モデルを構築し、その動学的構造について理論的分析および数値シミュレーションによる分析を行った。
    1.伝統的なクールノータイプの複占モデルは反応関数が線形のケースを分析対象としているので、産出にかんする変動は単調に定常点に収束する。しかし、需要関数に非線形要素が含まれる場合、あるいは費用関数が外部性を持つ場合、生産技術の漏出効果が認められる場合などは、複占企業の反応関数がともにロジスティックマップになり、そこから生み出される戦略的な産出行動は安定的なケールから、カオスを含む複雑な変動を繰り返す不安定なケースまで様々な様相を呈する。(1)非線形動学差分システムに関しては「解の存在定理」がなく、大局的な解の挙動はコンピュータを使った数値分析に頼らざるを得ないのが現状である。そこで、まず安定的なケースを取り上げ、解挙動に関しての理論分析を行った。具体的には解析解の存在を示し、任意の時点における解の定性的な性質を明らかにした。(2)次に不安定なケースを取り上げ、不規則変動を繰り返す解の挙動の経済学的な意味合いを、長期平均利潤と定常点においてえられる定常利潤を比較し、前者が後者を凌駕する可能性をまず理論的にし示し、ついで理論分析が不可能な場合にも、数値シミュレーションにより、同様の結果が求められることを示した。
    2.地球温暖化問題を経済的な要因を組み込んだ形でモデル化を行い、人口変動を考慮した長期的な観点からの分析を行った。経済は農業部門と工業部門よりなる完全競争を想定し、工業部門の経済活動が地球温暖化を加速し、温度上昇は農業部門へ負の影響をおよぼし、一人当たり所得の減少は将来の人口を減少させるという相互依存関係のもとでの、地球の温暖化と人口変動の二次元の動学システムを考察した。従来の研究結果とは異なり、定常状態への収束は必ずしも単調ではないこと、また収束も発散もせずに持続的な変動を繰り返す可能性のあることを示した。

  • 非線形動学の方法による経済変動の研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    稲葉 敏夫, 田中 久稔, 藁谷 友紀, 笹倉 和幸, 三沢 哲也, 松本 昭夫, 浅田 統一郎

     概要を見る

    (1)一次元非線形差分方程式モデルについては,非線形性を積極的に取り込むことにより,生産量調整の遅れのような経済行動のラグが、複雑な変動を生み出すことを示した。また、複雑な変動が経済厚生に与える影響を分析した。
    (2)二次元微分方程式モデルでは、ホップ分岐定理とポアンカレ・ベンディクソン定理の両者を援用することで、カルドアモデルやベナシーモデルといった既存モデルを、新たな視点から再解釈する方法を与えた。また二次元差分方程式モデルでは、政府介入の効果を世代重複モデルによって分析し、馬蹄写像を用いてカオスの存在を証明した。次に、離散型の三次元カルドア型の小国開放モデルを用いて景気循環の分析を行い、ノイズを付加することによってモデルの動学的性質がどのように変わるかを調べた。この結果、ノイズを付加することは必ずしもモデルの動学的性質を不明瞭にするわけではなく、逆に背後に隠された構造を顕在化させ得ることを示した。さらに、モデルを五次元の2国モデルに拡張、分析した。
    (3)一般的に、非線形確率微分方程式で記述される系を陽に解くことは困難であり、したがってそれを分析するためには何らかの数値的・近似的手法が必要となる。従来の確率系の近似法にはなかった、系の持つ動学的特性を保つ新しい数値近似法を提唱した。
    (4)企業を情報処理システムとしてとらえ、構造変化などの外部環境の変化によって組織の効率性が変化し、そのことが組織変更を引き起こすことを実証的に分析した。また、視野の限定された多数のエージェントが局所的に相互作用するモデル(パーコレーション理論)を考え、それによって株価収益率分布の厚い裾野が再現されることを示した。

 

特別研究期間制度(学内資金)

  • 非線形経済動学の研究と食糧消費の分析

    2007年04月
    -
    2008年03月

    オーストリア   国際応用システム分析研究所

特定課題制度(学内資金)

  • 非線形動学の方法による経済変動の研究

    2001年  

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     貿易と資本移動を通じて相互依存の関係にある2国経済モデル(5次元非線形差分方程式体系)の動学的性質を数値シミュレーションによって調べた。モデルはカルドア型の不均衡マクロモデルを想定した。 固定相場制および変動相場制の下で,景気循環の同期現象・非同期現象をはじめとして,多様な関連があり得ることを数値例によって示した。2国の所得調整速度が同一であれば,多くの場合景気は同じ動きを示し,同期するが,初期値を変更することによって2国の好況・不況の関係が完全に逆転し,逆相現象が現れることもあり得る。2国間の資本移動の流動性の程度を表すパラメータがノイズによって摂動されると系の挙動が大きく変わることも示された。2国間の所得調整速度の差異が大きくなればなるほど,短期的な同期現象は崩れ,逆相現象が顕著になるものの,中・長期的な波としては同期現象見られることが示された。 また、2国モデルの拡張として固定相場制の下での3国モデルについても試みた。

  • 非線形経済モデルの挙動にノイズが及ぼす影響

    2000年  

     概要を見る

     5次元非線形差分方程式で記述される、開放経済系2国モデルの動学的性質を調べた。次元が高いため解析的取り扱いは困難であるので、数値計算によって挙動を分析した。2国はともにカルドアタイプで記述されるものと想定し、財市場に不均衡の調整過程を導入した。2国は財・サービスの輸出入および資本の移動を通じて相互依存の関係にある。簡単化のために固定相場制の場合を扱った。2国間に貿易も資本移動も共にない場合、2国の国民所得はそれぞれの均衡点に単調に収束する。しかし貿易および資本移動を通じて関連しあう場合、多様な挙動が作り出されることが示された。2国が同一の経済構造を有するときは2国の景気循環は完全に同期し、しかも周期的な動きをする。ところが一方の国の所得調整速度を若干高めると2国は全く逆の景気の動きをする、つまり一方の国が好景気のとき他国は不景気の状態にある。所得調整速度をさらに高めると再び2国の景気の動きは同期する。所得調整速度を増加させるに従い、2国の景気の動きにはタイムラグが現れ、景気循環の周期も大きくなる。やがて周期的な動きが崩れカオス的な振る舞いが現れる。 ノイズが2国の景気循環に及ぼす影響を調べるために、2国間の資本移動の容易さを示すパラメータに摂動(確率的ノイズ)を付加した。ノイズがなければ同期を示していた2国の景気状態は逆転し、一方が好景気のとき他方は不景気となる。また高い周期でタイムラグを伴いながら変動していた2国の景気は僅かなノイズによって不規則な景気循環を示すようになる。以上のように、パラメータに摂動が加わることによって2国の経済変動の関係が大幅に変化する、不安定性があることが示された。

  • 非線形景気循環モデルの挙動にノイズが及ぼす影響の研究

    1998年  

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     3次元非線形差分型の開放系カルドア型景気循環モデルを分析の対象にした。変動相場制の下で国際資本移動の流動性の程度を表すパラメータにノイズ摂動を加える、パラメトリックノイズを中心に数値計算を行い、そのことによって、ノイズがモデルの動学的挙動に与える影響を調べた。その結果,以下の知見が得られた。(1)狭い周期の窓においては、ノイズは安定な周期よりもむしろ背後に隠された,不安定なカオス的アトラクターを顕在化させることがある。背後の隠されたアトラクターの顕在化は,ノイズのサイズがかなり小さくてもかなりの頻度で起こることがわかった。このことは,ノイズは単に周期性を弱めるに過ぎないとの従来の主張が必ずしも正しくはないことを意味する。(2)所得調整速度を表すパラメータを分岐パラメータとして,パラメータ値を増加させたとき,ある値を超えると外国為替相場が激しく変動する,バースト減少が見られる。しかし,ノイズを加えることによってバースト現象が消え,為替相場の変動が沈静化することがありうるのをやはり数値例によって示した。これは恐らくは望ましい状況であろう。以上の結果から,ノイズの働きについては従来の通説を見なおす必要があることがわかった。

  • 非線形経済系の挙動に及ぼすノイズの影響の研究

    1997年  

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    対象としている経済システムが社会システムの一部であるとすれば、そのような部分系は他の部分系から不断に影響を受けている。そのような影響を経済系に対するノイズとして捉え、それが系の挙動に与える影響を分析した。一つは、2次元の非線形カルドアモデルを例として、ノイズが決定論系の挙動に如何なる影響を与えるかを分析した。位相的カオスの存在が示される、特定のパラメータ集合の下で、モデルの所得調整方程式の調整係数パラメータにノイズ摂動を与えることによって系の背後にある構造が顕在化することを数値計算で明らかにした。狭い周期の窓においては、ノイズは安定な周期よりもむしろ背後に隠されたカオス的アトラクターを顕在化させることを数値的に示した。このことは従来のノイズは単に周期性を弱めるだけとの主張を否定することになる。また、特定のパラメータ集合の下で、好況期のアトラクターと不況期のそれが共存する場合、ノイズがなければ好況期(あるいは不況期)の状態にあるとしても、ノイズによって好・不況を繰り返すようになる。さらには上記2個のアトラクターが融合している場合、好・不況を頻繁に繰り返しているとしても、適度なノイズ外乱によって好況の持続が可能となることも示した。他のモデルとして、3次元の開放形カルドア型景気循環モデルの国際資本移動の流動性の程度を表すパラメータにノイズ摂動を加えた。このモデルにおいては位相的カオスの存在は解析的には示し得ないが、リャプノフ指数などの指標からあるパラメータ領域においてはカオス的挙動があることを示した。やはりこの場合も2次元モデルで見られた性質を析出できた。

  • 経済現象における非線形性の分析

    1996年  

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     非線形景気循環モデルの複雑な性質を、2次元差分カルドアモデルを一例として調べた。特に、ノイズが決定論系の挙動に如何なる影響を与えるかを分析した。従来報告されているのは、ノイズは系の挙動を曖昧にするに過ぎないということであった。それに対して、ノイズがなければ、カオス的な乱雑な挙動を示す場合において、ノイズが加わることにより、規則性の強まることもあり得るのをシュミレーションによって示した。また、周期の窓においてノイズをかけることによって背後にあるカオス的な不安定軌道が顕在化することも示した。ノイズのタイプとしては、加法型とパラメトッリク型の両者を扱った。扱ったモデルのパラメータの範囲内では両者が及ぼす影響にそれほど差はみられなかった。

  • 経済現象における非線形性の分析

    1995年  

     概要を見る

    幾らか周期性があるものの不規則的挙動を示すことの多い経済時系列を,非線形性の観点から分析した。主として以下の2点に焦点を絞って研究した。一つは,経済変数間の動学的関係の抽出であり,他の一つはノイズが非線形関係に及ぼす影響である。 経済変数間の動学的関係の抽出については,四半期国民所得系列データの多数の系列の3次元埋め込みを行い,軌道を再構築し,それらのポアンカレ断面及び断面上の性質を調べた。その結果,国内総生産,民間設備投資そして民間住宅投資のデータに関しては決定論性,とりわけカオスの可能性があることが示された。従来時系列データにおけるカオスの判定は相関次元,リャプノフ指数などが使用されてきたが,それら指標について問題点が指摘されていることもあり,本研究においては従来とは異なった観点からデータの性質を判定した。 経済系が社会システムにおけるサブシステムに過ぎないのであれば,政治などの他のサブシステムとは独立しているとは考え難い。他のサブシステムからの不断の影響を受けていると考えた方が自然であろう。その様な不断の影響をノイズとしてとらえ,非線形の経済系の挙動がノイズによって如何に影響を受けるかを調べた。これまで幾つかのシミュレーションによって示されていることは,周期的な軌道はそれほど大きくないノイズによって周期性が弱まりはするが周期そのものは保存される。また非周期的な軌道にあっては不規則性が一層強くなることである。 これに対して,周期アトラクターの窓での周期は極めて小さなノイズによってさえもカオテイックとなることがあるのを示した。また不規則生の極めて強い状態においてノイズは規則性を強めることをも示した。

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