2024/10/07 更新

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ヤマザキ セリア
山崎 世理愛
所属
文学学術院 文学部
職名
講師(テニュアトラック)

経歴

  • 2022年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   文学学術院   講師(テニュアトラック)

  • 2021年04月
    -
    2022年03月

    独立行政法人日本学術振興会   特別研究員(PD)

  • 2019年04月
    -
    2021年03月

    早稲田大学   文学学術院   助手(考古学)

  • 2018年09月
    -
    2019年03月

    ルーバンカトリック大学   訪問研究員

  • 2017年04月
    -
    2019年03月

    独立行政法人日本学術振興会   特別研究員(DC1)

学歴

  • 2017年04月
    -
    2021年03月

    早稲田大学大学院   文学研究科考古学コース博士後期課程  

  • 2015年04月
    -
    2017年03月

    早稲田大学大学院   文学研究科考古学コース修士課程  

  • 2011年04月
    -
    2015年03月

    早稲田大学   文学部   考古学コース  

所属学協会

  •  
     
     

    International Association of Egyptologists

  •  
     
     

    American Research Center in Egypt

  •  
     
     

    日本西アジア考古学会

  •  
     
     

    日本オリエント学会

研究分野

  • 考古学   エジプト学

研究キーワード

  • 葬送儀礼

  • オブジェクト・フリーズ

  • 装身具

  • エジプト中王国時代

受賞

  • 第44回(令和4年度)奨励賞

    2022年10月   日本オリエント学会   エジプト中王国時代における供物儀礼の戦略的実践:「王族の器物奉献儀礼」行為とその思想的背景  

    受賞者: 山崎世理愛

  • 川又記念 日本西アジア考古学会奨励賞

    2019年06月   日本西アジア考古学会  

    受賞者: 山崎 世理愛

 

論文

  • Tradition and Innovation in the Royal Object Ritual During the Middle Kingdom

    Seria Yamazaki

    The Star Who Appears in Thebes. Studies in Honour of Jiro Kondo     509 - 524  2022年06月

  • エジプト中王国時代における供物儀礼の戦略的実践:「王族の器物奉献儀礼」行為とその思想的背景

    山崎世理愛

    オリエント   64 ( 1 ) 1 - 16  2021年  [査読有り]

  • 古代エジプトにおける装身具の葬送利用

    山崎世理愛

    考古学ジャーナル   ( 5月 ) 30 - 32  2020年04月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • エジプト中王国時代における赤色樽形ビーズの分類と利用

    山崎世理愛

    史観   ( 182 ) 86 - 109  2020年03月  [査読有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 中王国時代におけるnḫȝḫȝの副葬とその背景:オブジェクト・フリーズと考古資料からの考察

    山崎世理愛

    オシリスへの贈物:エジプト考古学の最前線     202 - 211  2020年02月

    担当区分:筆頭著者

  • エジプト中王国時代の葬送における装身具のカテゴリとその役割について

    山崎 世理愛

    西アジア考古学 = Journal of West Asian archaeology   ( 20 ) 35 - 53  2019年03月  [査読有り]

    CiNii

  • エジプト ダハシュール北遺跡調査報告―第25次調査―

    吉村作治, 矢澤 健, 近藤二郎, 柏木裕之, 山崎世理愛, 石崎野々花, 有村元春

    エジプト学研究   25   35 - 75  2019年03月

  • Documentation of Objects in the Past excavations: Re-investigations of Small Objects Retrieved from Dahshur North

    山崎 世理愛

    The Journal of SHOUHEI Egyptian Archaeological Association   7   52 - 61  2019年

  • Brief Report of the Excavations at Dahshur North: Twenty-Fifth Season, 2018

    Sakuji Yoshimura, ken Yazawa, Jiro Kondo, Hiroyuki Kashiwagi, Seria Yamazaki, Nonoka Ishizaki, Motoharu Arimura

    The Journal of SHOUHEI Egyptian Archaeological Association   7   35 - 75  2019年01月

  • エジプト中王国時代の「宮廷タイプ(Court type)」の埋葬という枠組みについて -考古資料を中心とした議論-

    山崎 世理愛

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   ( 63 ) 683 - 710  2018年03月  [査読有り]

    CiNii

  • エジプト ダハシュール北遺跡調査報告―第24次調査―

    吉村 作治, 矢澤 健, 近藤 二郎, 柏木 裕之, 山崎 世理愛, 石崎 野々花, 有村 元春

      24   113 - 157  2018年03月

  • Brief Report of the Excavations at Dahshur North: Twenty-fourth Season, 2017

    Sakuji YOSHIMURA, Ken YAZAWA, Jiro KONDO, Hiroyuki KASHIWAGI, Seria YAMAZAKI, Nonoka ISHIZAKI, Motoharu ARIMURA

    The Journal of SHOUHEI Egyptian Archaeological Association   5   3 - 37  2018年02月

  • エジプト中王国時代・新王国時代におけるペクトラルの副葬にみられる変化:ダハシュール北遺跡出土資料を用いた考察

    山崎 世理愛

    エジプト学研究   ( 24 ) 203 - 228  2018年  [査読有り]

  • エジプト ダハシュール北遺跡調査報告―第23次発掘調査―

    吉村 作治, 矢澤 健, 近藤 二郎, 柏木 裕之, 竹野内 恵太, 松永 修平, 山崎 世理愛

    エジプト学研究   23   3 - 25  2017年03月

  • Brief Report of the Excavations at Dahshur North: Twenty-third Season, 2015

    Sakuji YOSHIMURA, Ken YAZAWA, Jiro KONDO, Hiroyuki KASHIWAGI, Keita TAKENOUCHI, Shuhei MATSUNAGA, Seria YAMAZAKI

    The Journal of SHOUHEI Egyptian Archaeological Association   3   3 - 22  2016年12月

  • Brief Report of the Excavations at Dahshur North: Twenty-second Season

    Sakuji YOSHIMURA, Ken YAZAWA, Jiro KONDO, Hiroyuki KASHIWAGI, Keita TAKENOUCHI, Seria YAMAZAKI

    The Journal of SHOUHEI Egyptian Archaeological Association   1   3 - 19  2016年05月

  • エジプト中王国時代における襟飾りの副葬 : 図像表現との比較から見た副葬品選択の一側面

    山崎 世理愛

    西アジア考古学 = Journal of West Asian archaeology   ( 17 ) 149 - 167  2016年03月  [査読有り]

    CiNii

  • エジプト ダハシュール北遺跡調査報告―第22次調査―

    吉村作治, 矢澤 健, 近藤二郎, 柏木裕之, 竹野内恵太, 山崎世理愛

    エジプト学研究   22   91 - 112  2016年03月

  • 図像資料からみたエジプト中王国時代の装身具研究序論

    山崎 世理愛

    エジプト学研究   ( 22 ) 179 - 203  2016年  [査読有り]

  • エジプト中王国時代における装身具の遺跡間比較

    山崎 世理愛

    溯航   ( 34 ) 3 - 23  2016年

  • 中王国時代の装身具利用からみた埋葬習慣の地域性

    山崎 世理愛

    エジプト学研究   ( 21 ) 59 - 78  2015年  [査読有り]

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書籍等出版物

  • 早稲田大学エジプト調査50年のあゆみ

    山崎 世理愛( 担当: 分担執筆)

    2015年

講演・口頭発表等

  • “Royal object ritual” in the Middle Kingdom: Analysis of Object Friezes and Archaeological Materials

    Seria Yamazaki

    American Research Center in Egypt Annual Meeting 2020  

    発表年月: 2020年04月

  • Adorning the Deceased: Middle Kingdom Jewelry in Object Friezes and in Reality

    山崎 世理愛

    Young Egyptologist  

    発表年月: 2019年08月

  • エジプト中王国時代における副葬装身具のカテゴリと儀礼行為の復元

    山崎 世理愛

    早稲田大学考古学会2019年度総会・公開講演会  

    発表年月: 2019年04月

  • Beyond the Adornment: Ideal and Actual Use of Funerary Broad Collars in the Middle Kingdom

    山崎 世理愛

    American Research Center in Egypt Annual Meeting  

    発表年月: 2018年04月

  • エジプト中王国時代における腕輪と足輪の副葬について:種類と役割の考察を中心に

    山崎 世理愛

    日本西アジア考古学会第23回総会  

    発表年月: 2018年

  • Ideal and Actual Practices of the Middle Kingdom Burials: Reconsidering the ‘Court Type’ Burial

    山崎 世理愛

    Current Research in Egyptology XIX  

    発表年月: 2018年

  • Archaeological and Iconographic Approaches to Personal Adornments in the Middle Kingdom: Its Regional Variability and State Control

    山崎 世理愛

    Current Research in Egyptology XVIII  

    発表年月: 2017年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • エジプト第二中間期における葬送儀礼の再構築とその戦略性の復元

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2024年03月
     

    山崎 世理愛

  • 古代エジプトにおける器物奉献儀礼の通時的展開過程の復元

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2024年03月
     

    山崎 世理愛

     概要を見る

    古代エジプトにおける食糧以外の供物を死者へ捧げる「器物奉献儀礼」の展開(古王国・中王国・新王国時代)を解明すべく、当該年度は主に図像・文字資料の集成と分析を行った。すでに研究を進めてきた中王国時代に関しては、オブジェクト・フリーズと呼ばれる棺装飾の集成済資料をもとに、「王権の象徴」という一群の器物について、図像表現とその文字ラベル(銘文)の対応関係、棺上の描写傾向を分析した。そして、中王国時代において複数種類ある器物奉献儀礼のうち、「王権の象徴」を捧げる儀礼は他とは異なる描写傾向があることを明らかにした。具体的には、他の器物奉献儀礼は地域を超えた典礼として確立されていった一方、「王権の象徴」を捧げる儀礼はごく一部の遺跡から出土した少数の棺にのみ描かれ、全地域的には実践されず当時の社会的地位の再生産にも利用されていなかったことが分かった。
    また、古王国から中王国時代における器物奉献儀礼の展開を復元するために、墓の埋葬室内に描かれた最初期のオブジェクト・フリーズの集成も進めた。そして、最初期のオブジェクト・フリーズは、これまで指摘されてきた以上に古王国時代のピラミッド・テキストの影響を受けていることを指摘した。
    新王国時代の検討としては、器物奉献儀礼の場面を描いた壁画の集成を進めるとともに、そこに表された内容を中王国時代のオブジェクト・フリーズと比較し、共通点・相違点を抽出した。当該期については研究の基礎を構築している段階であり、今後も分析・考察を深めていく予定である。また、第二中間期における様相も棺装飾などから検討する必要がある。
    今後は、中王国時代を軸としながらも、その前後の時代の器物奉献儀礼について多角的な研究を進め、儀礼の変遷とその背景を明らかにしていく。器物奉献儀礼の長期的な展開を追った研究は管見に触れず、古代エジプトの葬送文化を新たな視点で捉えられる本研究の意義は大きい。

  • 古代エジプトにおける都市の景観と構造

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2023年03月
     

    近藤 二郎, 内田 杉彦, 馬場 匡浩, 河合 望, 西本 真一, 矢澤 健, 田澤 恵子, 辻村 純代, 柏木 裕之, 高宮 いづみ, 周藤 芳幸, 長谷川 奏, 中野 智章, 山崎 世理愛

     概要を見る

    先王朝研究班では、先王朝時代に最初の都市化が興ったヒエラコンポリス遺跡で発掘調査を実施、都市の構成要素を明らかにすることを目的とした。中王国・新王国時代研究班では、ダハシュール北遺跡の発掘調査で、中王国時代の墓地を墓の規模から3つのグループに分類し、階層差を示しているとした。テーベ西岸のアル=コーカ地区でアメンへテプ3世治世下の高官ウセルハト墓とラメセス朝のビール醸造長コンスウエムヘブ墓の発掘と記録調査を行った。調査中には、これらの墓と造営当時のテーベ・ネクロポリスの景観と配置、テーベ都市全体の中での位置付けについて検討した。
    また、北の行政の中心地メンフィスの主要な墓地サッカラ遺跡で調査を実施。新王国時代の墓地の分布を明らかにし、都市や祝祭との関係で論じた。末期王朝・ヘレニズム時代研究班では、主に中エジプトの都市遺跡アコリスの発掘調査とデルタ地帯の地中海沿岸部に位置するコム・アル=ディバーゥ遺跡の発掘調査で大きな進展がみられた。アコリス遺跡の発掘調査の成果を通じて、アコリスの通時的盛衰を明らかにし、それを巨視的に当時のエジプト史の文脈に位置付けた。地中海沿岸の低地にあるコム・アル=ディバーゥ遺跡でのサーベイで神殿を中心とする居住域を明らかにし、当該遺跡の景観を明らかにした。また、リモートセンシングの成果を駆使し、ヘレニズム時代のメンフィスの都市空間と墓地空間の変遷を明らかにした。
    都市計画・建築班では、テーベ西岸に位置する新王国第18王朝のアメンへテプ3世のマルカタ王宮の景観と構造について、既往研究を検討しつつ、その問題点を明らかにし、今後の課題について有益な示唆が示された。研究班全体として、2019年9月に海外から研究者を招き、早稲田大学にてアメンへテプ3世の治世の都市テーベに関する国際シンポジウム Thebes under Amenhotep IIIを開催した。

  • エジプト中王国時代における装身具のカテゴリと葬送儀礼行為の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援

    研究期間:

    2019年08月
    -
    2021年03月
     

    山崎 世理愛

     概要を見る

    エジプト中王国時代のオブジェクト・フリーズ(棺装飾)に表された装身具の分析から、理想的な副葬装身具の組み合わせを抽出し、実際に装身具が出土した埋葬との比較を行なった。結果、特定の装身具セットが葬送において重要視されたが、実際にそれらを副葬できたのは限られた人々のみであることが分かった。また、実際の埋葬では装身具の種類によって異なる副葬配置がなされ、オブジェクト・フリーズに頻繁に描かれた理想的な装身具セットは特に被葬者の身体近くに副葬されていた。さらに、装身具の組成・配置・棺やミイラマスクにおける描写を総合的に検討した結果、被葬者へ繰り返し装身具を捧げることが意図された埋葬空間が形成されていた。

  • エジプト中王国時代の埋葬研究:死者の装いから葬送儀礼を読み解く

    日本学術振興会  若手研究者海外挑戦プログラム

    研究期間:

    2018年09月
    -
    2019年03月
     

    山崎 世理愛

  • 古代エジプトにおける装身具利用とその社会的背景の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2019年03月
     

    山崎 世理愛

     概要を見る

    引き続き古代エジプト中王国時代の葬送における装身具利用について研究をおこなった。これまでは装身具全体の利用の様相を明らかにすべく、地域ごとの出土傾向等の分析に重点を置いていたが、当該年度はより当時の視点から装身具利用を理解するために新たな分析をおこなった。具体的には、未盗掘あるいは残存状況の良好な墓のみを集成し、副葬された装身具の組成および副葬位置のパターンを抽出した。そして、図像・文字資料を考慮しつつ、そのパターンの背景を考察した。その結果、装身具の副葬と当時の葬送における食糧以外の供物奉献儀礼との関連性が明らかとなった。2018年9月から2019年3月まではベルギーのルーヴェン大学で研究をおこない、中王国時代の埋葬習慣研究を牽引してきた教授から個別指導を受けた。上記の研究成果はその一部である。当該年度の研究成果はすでに論文として2019年3月に刊行された『西アジア考古学』20号に掲載されている。装身具の組成・副葬位置の分析に際しては、中王国時代だけではなく新王国時代の例にも当たり、両時代の類似点や相違点を検討した。これを踏まえ、今後は新王国時代の装身具利用についてより深く追究していく予定である。当該年度でもう一つ大きな成果は、ベルギー滞在中に資料調査の機会を得られ、オブジェクト・フリーズと呼ばれる木棺に描かれた図像・文字資料を多数集成できたことである。中王国時代の木棺関連資料を集成することは極めて困難であると言われており、大きな成果であった。今後はこの資料をもとに、さらに中王国時代の装身具利用をエミックな視座から分析・考察していく。

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Misc

  • <考古学> 優秀修士論文概要 佐藤悠登 福岡佑斗 山崎世理愛

    佐藤 悠登, 福岡 佑斗, 山崎 世理愛

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   ( 63 ) 711 - 820  2018年03月

    CiNii

  • 部会発表要旨 考古学部会 エジプト中王国時代の装身具利用 : 出土遺物と図像資料からみた副葬品選択の一側面 (二〇一六年度早稲田大学史学会大会報告)

    山崎 世理愛

    史観   176   135 - 137  2017年03月

    CiNii

  • 第24次アブ・シール南丘陵遺跡調査概報

    吉村作治, 河合 望, 近藤二郎, 高宮いづみ, 柏木裕之, 高橋寿光, 米山由夏, 松永修平, 山崎世理愛

    エジプト学研究   ( 22 ) 29 - 40  2016年03月

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)  

  • 副葬品からみた古代エジプト中王国時代の埋葬 : 装身具およびアミュレットを中心に(考古学コース,平成二六年度卒業論文要旨,彙報)

    山崎 世理愛

    史觀 = Shikan : the historical review   ( 173 ) 127 - 130  2015年09月

    CiNii

 

現在担当している科目

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特定課題制度(学内資金)

  • エジプト古王国時代の墓地形成・葬制に関する考古学的研究

    2023年  

     概要を見る

     本研究では、エジプトの墓地遺跡での発掘調査を通して、古代エジプト古王国時代の非王族墓における埋葬習慣や葬送儀礼について考古学的な視点から追究することが目的であった。実際に2023年夏に調査をおこない、未盗掘を含む複数のシャフト墓を検出し詳細な記録をとったほか、別日程で出土遺物の整理作業もおこなった。マスタバとよばれる高位の人びとが埋葬された大型墓の前に列を成すようにシャフト墓が造営されており、当時の墓地形成の様子を伺うことができた。また、そのうち未盗掘で発見された1基の掘り下げを開始し、竪穴から出土する土器片1点1点の位置をトータルステーションで測量し記録していった。古王国時代には、シャフト墓の竪穴部に土器片を投げ入れる儀式がおこなわれたことは知られているが、具体的にどのようなプロセスを経て執行されたのかまでは解明されていない。その原因として、多くの場合土器片が出土したさいの詳細な記録を欠いている点が挙げられる。対して本研究では、出土する土器片の垂直分布と平面分布を細かに記録することで、実際の儀礼行為の復元へと近づくことができた。垂直分布からは土器片の廃棄における単位がすでに見えているほか、今後は出土した土器片の接合関係を追っていくことで、竪穴に土器を投げ入れたときの様子(たとえば、完形の土器が投げ入れられ竪穴内で割れたのか、あるいは竪穴の外で割ってから投げ入れられたのかなど)を解明できる可能性がある。このように、今後のさらなる発展も期待される研究成果を得ることができた。なお、今回の調査・研究成果は学内でおこなわれた国際ワークショップで発表したほか、調査概報に関しては英文で作成し可能な限り早く公開する予定である。

  • エジプト中王国時代における食糧以外の供物儀礼行為の復元

    2019年  

     概要を見る

    本研究は、エジプト学の中でも目を向けられてこなかった食糧以外の供物儀礼について、図像・文字資料からその典礼を検討し、それをもとに考古資料を考察することで実際の儀礼行為を復元することを目的とした。当該年度は、主にオブジェクト・フリーズと呼ばれる木棺に描かれた図像・文字資料の分析を行なった。具体的には、2018年度までに収集したオブジェクト・フリーズのアーカイブ写真の分析を開始し、実際の出土例と比較した。研究成果は国内外の学会で発表したほか、論文「エジプト中王国時代における赤色樽形ビーズの分類と利用」、「中王国時代における副葬とその背景:オブジェクト・フリーズと考古資料からの考察」として発表した。