Updated on 2024/04/19

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INOUE, Sadayuki
 
Affiliation
Affiliated organization, Waseda University Senior High School
Job title
Teacher (Affiliated Senior High School)
 

Internal Special Research Projects

  • 測定機器作りを通した深い学びに関する研究

    2023  

     View Summary

    2022年度の研究において外部世界の情報を「遠隔項」、「近接項」そして「主体の内部モデル」に取り込んでいく過程について、概念的な整理を行った。しかし、依然としてそれらをいかに教科教育に落とし込んでいくのかについては課題として残る。そこで、本研究ではD.Hawkinsによって提唱された「Messing about」の概念に注目して実際の教科教育での「Messing about」の適応、及びそれらの可能性の解釈について分析を行った。D.Hawkinsは自身の教育において生徒たちが物理を理解するためには、教師が具体的に細かな指示を与えないが生徒たちが自由に材料や実験器具で「遊ぶ」時間や機会が十分に必要であるとし、それを「Messing about」と名付けた。本研究では、ポランニーのいう暗黙知とその概念を合わせて理解することを提唱した。暗黙知による理解では、遠隔項を道具を用いて感じるときにその感覚が近接項となり、近接項が暗黙化された後にさらにそれらが投射によって遠隔項と結びついたときに包括的理解が起こるとされている。そこでこれらの構造を教科教育において採用可能かをテストするために、地学基礎における地球の大きさの測定の単元において実践を行った。遠隔項として太陽の高度が、近接項として定規や分度器が、投射の働きが地球の大きさ及びエラトステネスの思考が想定された。また、遠隔項、近接項、投射の起こる場としてMessing about を採用した。生徒の自由試行の結果、生徒たちの感想を分析したところ生徒たちはエラトステネスの思考や、地球の大きさに至る投射を行い教科で要求される包括的理解に至ったことが示唆された。 また、「適応的コンピテンス」の獲得につなげるため、物理探査学会と協力して応用地球科学の授業において昨年度に引き続き物理探査実験を実施した。今年度はより生徒の自由度を上げた結果、データを正確に得ることができないという問題がおこることが示された。しかし、同時にその失敗から生徒は多くを学ぶということも示された。

  • 測定機器作り、及び機器づくりを通した「適応的コンピテンス」の獲得に関する研究

    2022  

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    「適応的コンピテンス」の獲得に関する研究の基盤として、人の「知」と「世界」と「機器」の間がどのような関係性を持つのかについて、マイケル・ポランニーの「近接項」「遠隔項」そして「主体の内部モデル」を参考にこれらの関係を整理することを試た。結果として、機器は近接項、機器が測定する対象は遠隔項、機器が出力するデータは遠隔項にあたる原因系が発する兆しとしてとらえ、知は、近接項と遠隔項の結びつきによって生まれる包括的理解として解釈するモデルを立てた。また同時に「適応的コンピテンス」獲得のための具体的な教材開発の一環として、産総研と協力し、電気探査による地下構造の解析の授業実践を行った。

  • 測定機器作り、及び機器づくりを通した「適応的コンピテンス」の獲得に関する研究

    2021  

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    H29(2017)年版学習指導要領において「資質・能力の育成」に重点を置くことが明確にされてきている。学習指導要領では「資質・能力の育成」のための方略として、主体的・対話的・深い学び等の具体的な方略が提起されている。これらはDeSeCoのコンピテンシー概念に影響を受けていると考えられているが、本研究ではコンピテンシー概念のなかでより本質的と考えられる「適応的コンピテンスの獲得」にかかわる授業・教材開発を行うことを目的とする中で、その基礎として探究概念の歴史的経緯、中でもアメリカのJJ・シュワブおよびJ・デューイの探究観についての比較検討を行い、日本の新学習指導要領の中での探究観について検討を行った。

  • 地学を通して科学的知識を統合し、科学的探究能力を伸長させる授業開発

    2020  

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    次期学習指導要領では指導要領全体を通して「理解していること・できることをどう使うか」等の資質・能力に関する3つの柱を設定している。これらの能力を各教科、特に「地学」において適切に涵養する方策を考えるにあたって、本研究ではまず資質・能力の起源について資料分析を行い、また次期学習指導要領の内「理数探究」の分析を行った。その結果理数探究における「探究」の考え方が「力」という概念に基礎をおいていると考えられることを明らかにした。また続いて探究学習の歴史を振り返りその始まりと考えられるJ・デューイの探究についての考え方を整理し、次期学習指導要領の「探究」とデューイの探究との違いについて比較検討を行った。