2024/12/21 更新

写真a

サカマキ タダシ
酒巻 匡
所属
法学学術院 大学院法務研究科
職名
教授

経歴

  •  
     
     

    京都大学

  •  
     
     

    旧所属 上智大学 法学部 法律学科   教授

研究分野

  • 刑事法学
 

論文

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書籍等出版物

  • 有斐閣判例六法

    長谷部, 恭男, 佐伯, 仁志, 酒巻, 匡

    有斐閣  2020年10月 ISBN: 9784641003415

  • 刑事訴訟法(第2版)

    酒巻, 匡

    有斐閣  2020年07月 ISBN: 9784641139428

  • 入門刑事手続法(第8版)

    三井, 誠, 酒巻, 匡

    有斐閣  2020年04月 ISBN: 9784641139435

  • 井上正仁先生古稀祝賀論文集

    酒巻, 匡, 大澤, 裕, 川出, 敏裕

    有斐閣  2019年02月 ISBN: 9784641139312

  • ケースブック刑事訴訟法(第5版)

    井上, 正仁, 酒巻, 匡, 大澤, 裕, 川出, 敏裕, 堀江, 慎司, 池田, 公博, 笹倉, 宏紀

    有斐閣  2018年03月 ISBN: 9784641139336

  • 入門刑事手続法(第7版)

    三井, 誠, 酒巻, 匡

    有斐閣  2017年03月 ISBN: 9784641139244

  • 現代の裁判(第7版)

    市川, 正人, 酒巻, 匡, 山本, 和彦

    有斐閣  2017年03月 ISBN: 9784641220959

  • 刑事訴訟法

    酒巻, 匡

    有斐閣  2015年11月 ISBN: 9784641139060

  • 入門刑事手続法(第6版)

    酒巻 匡( 担当: 共著)

    有斐閣  2014年03月

  • 刑事訴訟法の争点

    井上, 正仁, 酒巻, 匡

    有斐閣  2013年12月 ISBN: 9784641113220

  • ケースブック刑事訴訟法(第4版)

    酒巻 匡( 担当: 共著)

    有斐閣  2013年10月

  • 現代の裁判(第6版)

    酒巻 匡( 担当: 共著)

    有斐閣  2013年06月

  • 三井誠先生古稀祝賀論文集

    井上, 正仁, 酒巻, 匡

    有斐閣  2012年01月 ISBN: 9784641042872

  • 『入門刑事手続法(第5版)』

    酒巻 匡

    有斐閣  2010年05月 ISBN: 4641042772

  • 条解刑事訴訟法(第4 版)

    酒巻匡( 担当: 共編者(共編著者))

    編集代表、弘文堂  2009年12月

  • 『刑事証拠開示の理論と実務』

    酒巻 匡

    判例タイムズ社  2009年11月 ISBN: 4891861649

  • 刑事証拠開示の理論と実務

    酒巻, 匡

    判例タイムズ社  2009年11月 ISBN: 9784891861643

  • 『ケースブック刑事訴訟法(第3版)』

    酒巻 匡

    有斐閣  2009年10月 ISBN: 4641042667

  • 『難解な法律概念と裁判員裁判』司法研究報告書第61巻1号

    酒巻 匡

    司法研修所  2009年03月

  • 『Q&A 平成19年犯罪被害者のための刑事手続関連法改正』

    酒巻 匡

    有斐閣  2008年11月 ISBN: 4641042616

  • 『現代の裁判(第5版)』

    酒巻 匡

    有斐閣  2008年07月 ISBN: 4641123632

  • 『改訂版 裁判の法と手続』共著

    酒巻 匡

    放送大学教育振興会  2008年03月

  • 『ケースブック刑事訴訟法(第2版)』

    酒巻 匡

    有斐閣  2006年04月

  • 『現代の裁判(第4版)』

    酒巻 匡

    有斐閣  2005年07月

  • 『演習刑事訴訟法』

    酒巻 匡

    有斐閣  2005年04月

  • 『ケースブック刑事訴訟法』

    酒巻 匡

    有斐閣  2004年04月 ISBN: 4641042187

  • 『現代の裁判(第3版)』

    酒巻 匡

    有斐閣  2004年04月

  • 『裁判の法と手続』

    酒巻 匡

    放送大学教育振興会  2004年04月

  • 裁判の法と手続

    酒巻, 匡, 山本, 和彦

    放送大学教育振興会  2004年03月 ISBN: 4595237286

  • 刑事証拠開示の研究

    酒巻, 匡

    弘文堂,デジタルパブリッシングサービス  2004年 ISBN: 4335353014

  • 『現代の裁判(第2 版補訂)』

    酒巻匡( 担当: 共著)

    (平成15 年4 月、有斐閣)  2003年

  • 入門刑事手続法

    三井, 誠, 酒巻, 匡

    有斐閣  2001年12月 ISBN: 4641041938

  • 逐条解説犯罪被害者保護二法

    松尾, 浩也, 酒巻, 匡, 甲斐, 行夫, 神村, 昌通, 飯島, 泰

    有斐閣  2001年03月 ISBN: 4641041946

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 刑事裁判における争点整理・事実認定を見据えた責任能力論の課題解決

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2025年03月
     

    安田 拓人, 岡田 幸之, 安藤 久美子, 樋口 亮介, 小池 信太郎, 酒巻 匡

  • 刑事裁判における争点整理・事実認定の指導指針となるべき実体法解釈論の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

    安田 拓人, 小池 信太郎, 樋口 亮介, 岡田 幸之, 安藤 久美子, 酒巻 匡

     概要を見る

    本研究は、刑事裁判の争点整理における、当事者の主張を整理するための指針を提示することを目的として、①刑事事実認定に際し重視されるべき事情は何かという問いを解明し、②当該事情を理論的に説明しうる実体法理論を再構築する。そのために、実体法の諸問題を取りあげ、一定の要件を証明するために必要な事実として、判例上、どのようなものが重視されているかにつき分析的検討を行うほか、こうした事実認定に際し重視されている事情につき、それがいかなる命題を立証する意義があるのか、それが理論的に根拠あるものかに関する解明を行うとともに、そうした事情の選別に関する一定の理論的提言を可能ならしめる実体法理論を再構築するものである。
    そのために、刑事裁判官の協力のもと、刑事法学者(実体法及び手続法)と精神医学者の緊密な連携を図りながら、実体法の諸問題を取りあげ、一定の要件(例えば責任能力、殺意、共謀等)を証明するために必要な事実として、判例上、どのようなものが重視されているかにつき分析的検討を行うことを予定していた。
    今年度も、各分担者において、それぞれの分担部分につき順調な研究の進展があったところであるが、例えば、代表者の安田においては、責任能力の問題のうち、これまでほとんどなされていなかった解離性同一性障害に関する判例分析を網羅的に行い、裁判所における判断において重視されている事情の抽出作業を、分担者の岡田・安藤の懇切な助言のもとに遂行した。また、樋口においては、準強制性交等・わいせつ罪における抗拒不能の要件につき、わが国の裁判例の網羅的な分析を行い、そこでの結論に影響している考慮ファクターを抽出することに成功するなどの成果を上げた。

  • 犯罪の訴追・予防を目的とする情報の収集と利用に対する法的規制のあり方

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

    大澤 裕, 笹倉 宏紀, 田中 開, 井上 正仁, 佐藤 隆之, 稲谷 龍彦, 酒巻 匡, 神田 雅憲, 池田 公博, 川出 敏裕, 大谷 祐毅, 成瀬 剛, 川島 享祐, 朝村 太一

     概要を見る

    本年度は,下記の3つの研究班を構成して,調査研究を進めた。
    ①犯罪訴追目的での情報の継続的収集班(班長:井上,班員:田中,佐藤,成瀬,神田)は,GPS捜査,民間業者に対する特定の個人に関するデータの保存要請,ドイツのオンライン捜索(対象者が使用するコンピュータ等の端末に秘密裡にソフトウェアをインストールし,一定期間にわたり,端末でのデータ処理の状況を監視する手法),スマートフォン・パソコン内に保存されている大量のデジタルデータの解析を主な研究対象とした。研究内容としては,これらの処分によって侵害される利益の内容は何かということとの関係で,プライバシーの利益の内容を再検討するとともに,それを,既存の強制捜査と任意捜査の区別の枠組みにどのように適合させるのかについて考察した。
    ②犯罪訴追目的での情報の蓄積・利用班(班長:酒巻,班員:池田,稻谷,川島)は,指紋やDNA型のデータベース,監視カメラを主な研究対象とした。研究内容としては,個人情報保護法など他の法分野における規律内容も踏まえつつ,そもそも,情報を蓄積し利用することにより,取得とは独立した権利侵害が生じるのか,その内容はいかなるものなのかということを,問題となる情報ごとに検討した。
    ③犯罪予防目的での情報の収集・利用班(班長:川出,班員:笹倉,大谷,朝村)は,諸外国の諜報機関(アメリカのCIAやNSA,ドイツの連邦憲法擁護庁等)がテロ行為の未然防止を目的として行っている膨大なデータの収集・蓄積やテロ対策データベースの作成・利用を主な研究対象とした。研究内容としては,これらの手法の具体的な内容を把握するとともに,犯罪の「予防」という目的の相違が法的規制のあり方に与える影響及びその理論的根拠を考察した。
    そして,年度末に研究代表者の大澤が主催して全体会合を行い,各研究班が獲得した知見を全員で共有し理解を深めた。

  • 刑事証拠開示制度論の包括的再検討

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

    酒巻 匡

     概要を見る

    本研究は、現行刑事訴訟法の施行以来、長年にわたり刑事手続法学及び刑事裁判実務における重要課題のひとつであった「証拠開示」について、代表者自身の基礎研究・刑事訴訟における証拠開示(1988)をも含め、現在までに示された理論的・実務的研究、代表者自身が立案に関与した改正法律の設計思想とその運用状況、及び英米独仏の比較法的素材についての包括的かつ批判的な再検討を行ったものである。
    再考察の結果、現在の日本刑事訴訟手続の基本構造(当事者追行主義)に根本的変更を加えない限り、現行法の段階的証拠開示制度が適切であり、事前全面開示は理論的にも制度論的にも妥当でないとの結論に至った。

  • 精神の障害が一定の影響を及ぼした事案における量刑判断等のあり方に関する学際的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    安田 拓人, 岡田 幸之, 安藤 久美子, 酒巻 匡

     概要を見る

    本研究では、精神の障害が責任能力に著しい影響は及ぼさない事案を念頭に置いて、そうした障害が量刑判断にどのような影響を及ぼすかについての、理論的分析を行った。そこでは、裁判例の分析や、主にドイツ法圏の国々との比較法的検討から、責任能力が著しく減少していなくても、その減少に比例して責任非難の減弱が認められうることが明らかにされるとともに、他方で、それを相殺する諸事情がある場合にどのような判断をすべきかについても、進んだ理論的分析が行われた。また、そうした障害が責任能力の減少とは別の仕方で責任非難の減少に影響しうるのではないかという点についても、検討が深められた。

  • 刑事責任能力の具体的判断枠組みと精神鑑定のあり方に関する学際的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2016年03月
     

    安田 拓人, 岡田 幸之, 安藤 久美子, 酒巻 匡

     概要を見る

    本共同研究では、刑事法学者・司法精神医学者・刑事裁判官の密接な意見交換により、裁判員裁判制度の導入を契機とした、精神鑑定のありようの見直し、これを踏まえた責任能力判断のあり方の見直しを念頭に置きながら、精神鑑定で報告されるべき内容、および、これを踏まえた責任能力判断のための判断枠組みを提言した。
    前者については、当該精神症状が犯状に及ぼした影響に関する機序の説明が中心となるべきこと、後者については、正常と異常の力比べモデルによる司法研究・最高裁平成21年決定の枠組みを基本的に妥当としつつ、他行為可能性に基づく責任論の立場から、理論的な基礎付けを試みた。

  • 刑事手続における新たな証拠収集手段に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    大澤 裕, 井上 正仁, 酒巻 匡, 田中 開, 川出 敏裕, 佐藤 隆之, 池田 公博, 笹倉 宏紀, 稲谷 龍彦, 成瀬 剛, 大谷 祐毅

     概要を見る

    本研究は,取調べを中心とした捜査手法と,それに基づく犯罪の立証が行き詰まりを見せているという認識のもとで,既存の証拠収集方法とは異なる,新たな証拠収集手段の内容と,その導入の当否につき検討を加えることを目的としたものである。大きくは,新たな供述獲得手段と,客観的な証拠収集手段に分けたうえで,現地調査を含めた諸外国の制度の調査を行うとともに,本研究と同時並行的に進んだ,法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会での議論を踏まえて,具体的な制度の在り方について検討を行った。

  • 刑事上訴審における事実認定審査の在り方

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    酒巻 匡

     概要を見る

    本研究は、わが国の刑事上訴審、とくに控訴審による事実誤認の審査の在り方について、従前の実務運用においてほぼ確立していた手法の背後にあった状況と、裁判員制度の導入に伴う第一審裁判の変化とを視野に入れつつ、現行刑事訴訟法が当初から想定していた「事後審査」すなわち事実認定過程の合理性審査を徹底する方向性を、理論的かつ実務技術的根拠を示することにより提言し、この問題に関する一連の最高裁判所の判例に学問的基盤を提供した。

  • 裁判員制度の下における証拠法のあり方

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    井上 正仁, 酒巻 匡, 長沼 範良, 田中 開, 大澤 裕, 川出 敏裕, 佐藤 隆之, 池田 公博, 笹倉 宏紀, 井上 和治, 稲谷 龍彦, 成瀬 剛

     概要を見る

    本研究は,裁判員制度の導入に伴い,刑事裁判における立証の在り方が変わらざるをえないという認識のもとに,一般国民が参加する刑事裁判において,証拠法とその運用がいかにあるべきかを検討したものである。実際の裁判において問題となりうると考えられる,供述調書を中心とした書面の取扱いと,科学的証拠の証拠能力を中心に,比較法研究及び裁判員裁判の実態調査をふまえて,問題を抽出するとともに,立法と運用の両面における考察を加えた。

  • 刑事証拠開示法制度運用の理論的分析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    酒巻 匡

     概要を見る

    司法制度改革で新たに導入された刑事公判前証拠開示法制度の運用状況を網羅的に観察・分析すると共に、制度全体を基礎づける一般的理論と個別的問題に関する法解釈論を提言して、この分野における刑事実務の安定的運用に貢献した。

  • 組織犯罪対策法の総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    塩見 淳, 中森 喜彦, 酒巻 匡, 高山 佳奈子, 安田 拓人, 堀江 慎司, 中森 喜彦, 塩見 淳

     概要を見る

    組織犯罪の刑事的規制に特殊な配慮が必要であるとしても、伝統的な刑法の枠組を越えて犯罪の成立を早期化したり、国際協調の名の下に国内の人権保障の水準を切り下げたりするのは大きな問題であり、また、犯罪収益の剥奪といっても無原則に行われるべきではない。組織犯罪を捜査、起訴、審理する際の手続についても、制度趣旨等の根本理解に立ち返って慎重にその内容を確定すべきである。これらのことが明らかになった。

  • 犯罪被害者の刑事手続への参加

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    井上 正仁, 佐伯 仁志, 酒巻 匡, 長沼 範良, 田中 開, 大澤 裕, 川出 敏裕, 佐藤 隆之, 池田 公博, 笹倉 宏紀, 井上 和治, 成瀬 剛

     概要を見る

    犯罪被害者の刑事手続への参加という問題につき、(1)刑罰及び刑事手続の目的との関係での犯罪被害者の位置づけ、(2)被害者参加と訴訟構造との関わり、(3)被害者参加と被疑者・被告人の権利保障との関係、(4)被害者参加が刑事手続にもたらす影響、という観点から、比較法研究を踏まえた検討を行った。そして、そこで得られた知見を基に、わが国で2008年12月から施行された被害者参加制度につき、その立法経緯と制度内容の分析を行い、その性格と今後の検討課題を明らかにした。

  • 公判前整理手続規定の解釈と多様な運用可能性

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    酒巻 匡

     概要を見る

    本研究は、「刑事裁判の充実・迅速化」を目的として刑事訴訟法に新たに導入された「公判前整理手続」について、基礎的・体系的分析を行うと共に、その多様な運用可能性を検討して、来るべき裁判員制度の実施時期までに、その円滑な運用に資する理論的・実践的両側面での具体的提言を行うことを目的としたものである。本年度は最終年度であり、昨年度までに実施した裁判官・検察官・弁護士との制度運用に係る座談会を雑誌に公表したほか、7月に、高松高裁管内及び広島高裁管内の刑事裁判官に対し、公判前整理手続の解釈・運用に関する講演と意見交換を行った。このような刑事実務家との意見交換等をも踏まえ、また、これまで実施した海外資料の読解等で得られた知見に基づき、公判前整理手続とそれに接続する裁判員公判手続の理想形態及び今後の重要課題について要点を論じた論文を公表した(後掲「裁判員制度と公判手続」)。また、司法研修所が主催した平成20年度刑事実務研究会(全国の裁判員裁判担当予定刑事裁判官の研修)に講師として参加し講義と意見交換を行った(後掲講演「裁判員裁判における審理運営上の課題」)。このほか、公判前整理手続の多様な運用可能性のひとつとして、公判手続においてその適用が問題となる刑法上の難解概念自体の説明と訴訟関係人間の共通理解の確立という課題について、裁判官との間で意見交換を行った。また、公判前整理手続の主要目的のひとつである「証拠開示」について、相当数集積されている裁判実例について、最高裁判所事務総局刑事局の協力を得て、そのほぼすべてについて閲覧・読解を進めた。証拠開示については独立に検討すべき点が多いので、今後の課題として研究を進行させる予定である。

  • コンピュータ犯罪と刑事手続-新たな捜査手段の検討

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    酒巻 匡, 井上 正仁, 長沼 範良, 川出 敏裕, 大澤 裕, 田中 開

     概要を見る

    本研究は、コンピュータ犯罪に対する捜査手段に関する刑事手続法上の問題点を包括的に抽出し、欧州評議会の「サイバー犯罪に関する条約」に代表される国際的な動向に留意しつつ、諸外国の先端的法制度や議論との比較法的知見をも踏まえて、わが国に導入すべき新たな捜査手段の立法論的検討を行ったものである。
    なお、本研究計画申請段階ではいまだ未定であったが、その後本研究期間中に、わが国の立法動向が一時急速に進展して、「サイバー犯罪に関する条約」を批准するための国内法整備法律案(刑事訴訟法一部改正法律案)が国会に提出されるに至ったので、その立案過程と法律案の内容をも分析の体操とした。さらに、これを踏まえて、わが国においてなお一層いかなる立法が必要であるかという観点からの分析も行った。
    具体的には、第1、捜査の実態にあわせて無体情報である電磁的データそのものを対象とする強制処分の創設可能性、第2、強制処分対象者に、電磁的データの保全・提出・作業協力等の一定の作為を義務づける新たな強制処分の創設可能性、第3、瞬時に消去、改変の可能性のある電磁的データの特性に対応した新たな緊急証拠保全処分の創設可能性、第4、コンピュータ・ネットワークの特性に対応した、いわゆるリモートアクセス捜査や国境越え捜査をめぐる法律上の問題点の検討を行った。
    この結果、研究期間内に、「サイバー犯罪に関する条約」の手続規定、及びこれを批准するための国内法整備法律案について、包括的・比較法的に分析する論文を公表する等の成果を公にすると共に、研究分担者数名は、この国内法整備法律案の策定を準備した法制審議会刑事法部会の委員として、法律案の立案に直接関与・貢献した。また、研究期間終了後に研究分担者は、その学術著作の一部で、前記検討課題を包括的に分析し立法論的提言を含む論説を公表した。
    その後平成19年6月現在、前記刑事訴訟法改正法律案については、成立の見込が立っていないが、その成立を待って、その解釈・運用論上の問題点を抽出・分析することが今後の重要な検討課題となろう。

  • 刑事手続における証人の保護

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    酒巻 匡, 井上 正仁, 川出 敏裕, 大澤 裕, 田中 開, 池田 公博

     概要を見る

    1.代表者・酒巻および分担者川出、長沼は、被害者証人や証人保護一般、ならびに捜査・刑事訴追に協力的な証人の確保とその保護に関する日本の法制度、その解釈・運用、将来の立法課題等についての論文を執筆した(11.参照)。これらは追って整序し「研究成果報告書」の一部とする。
    2.全体研究会を数回開催し、上記論文内容や、その他の解釈論・立法論上の諸問題について討議し、論点を整理・検討した。その成果は、前記論文として公表されたほか、代表者・酒巻および担者・川出及び長沼は、法制審議会刑事法部会、少年法部会の委員・幹事として被害者証人保護に関する新たな立法の骨子案策定に直接関与し、本研究の過程で調査・検討した様々の法的技術や議論をわが国の法制度設計の参考となるよう提言・議論した。
    3.前年度に実施したヨーロッパ諸国(英・独・仏)の証人保護法制とその運用状況に関する海外調査と収集した資料の分析・検討・整理を継続した。その内容は、「研究成果報告書」の一部とする。

  • 組織的犯罪対策に関する刑事実体法・手続法的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    1997年
    -
    1999年
     

    三井 誠, 酒巻 匡, 橋爪 隆, 上嶌 一高

     概要を見る

    本件研究の目的は、組織的犯罪対策に関する諸問題について、刑事実体法的観点、手続法的観点から包括的な考察を加えつつ、望ましい対策のありかたを提唱する点にあった。とりわけ平成一一年八月に、いわゆる組織犯罪対策関連三法が国会で成立したのを受けて、従来の法制度と改正法制度との比較分析、組織犯罪対策関連三法案の立法過程の調査・分析、ドイツ法・アメリカ法をはじめとする諸外国の法制度との比較法的研究など、多角的な視点のもと、分析作業を進めた。その具体的な内容としては、(1)「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」の規定と、憲法が要請している令状主義と適正手続保障との関連についての研究、(2)いわゆるロッキード事件に関する最高裁判例における刑事免責に関する判断の趣旨・射程範囲の分析、(3)刑事免責制度の導入の可能性に関する立法論・比較法的考察、(4)マネー・ロンダリング処罰を拡大することに関する理論的問題点の検討、(5)組織犯罪における刑の加重と違法要素・責任要素への関連づけの検討、(6)ドイツにおける最近の財産刑制度に関する議論の状況などの諸点である。さらに、刑事実体法的かつ刑事学的関心から、暴力団構成員を中心とする近時の執行妨害事犯の現況に関する調査を行いつつ、競売入札妨害罪をめぐる最近の最高裁判例の当否についても分析を加えることができた。
    結論として、組織犯罪対策関連三法は基本的に適切な方向にあることが確認されたが、対策として不十分な点や、理論的な正当化が不十分な点など、なお問題点が残されている。もっとも、これらの研究は基礎理論的な考察に多くを費やしたこともあり、その具体的な諸問題への適用については、その研究成果はなお不十分なものである。今後は、具体的な法運用までを視野に入れつつ、さらに継続的に研究を進める必要が残されている。

  • 新たな捜査手段・立証方法に対する法的規制の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)

    研究期間:

    1995年
    -
    1996年
     

    井上 正仁, 佐藤 隆之, 大澤 裕, 酒巻 匡, 長沼 範良, 田中 開

     概要を見る

    科学技術の急速な発展・普及とそれによる社会の情報化や国際化に伴い、わが国の犯罪現象も大きな変容を経験している。殊に、組織的な犯罪が、内容的に極めて多様化し、範囲を拡大するとともに、それを行う組織も国際化・広域化が著しいうえ、最新の通信手段が用いられることにより、機動性・匿名性がますます強化され、もともと難しいこの種事犯の解明・摘発をさらに困難なものとしている。これに対応するため、捜査や立証のうえでも、種々の新たな手段・方法が試行され、あるいは提案されているが、本研究では、その中でも特に、通信・会話の傍受、おとり捜査、刑事免責による証言強制などを中心に、それを採用するとして場合の憲法・刑事訴訟法上の問題点につき、諸外国の問題状況との比較や理論的分析の方法により、包括的・統一的に検討を加え、あるべき問題解決の方向につき一定の見通しを得ることができた。(11「研究発表」(1)〜(6))。しかも、その基礎的作業として、憲法の適正手続の保障や令状主義の意義などの基本的事項につき立ち入った考究を行い、明確な理論的基礎を構築することができたことは、関連する現行法上の様々な問題点の解明にも、有益な結果をもたらした(11「研究発表」(7)〜(12))。
    これらの成果の総論的部分は、平成8年5月25日に開催された日本刑法学会第74回大会で、またその各論的部分は、平成9年5月24日に開催された同学会第75回大会および平成10年5月23日に開催された同学会第76回大会で、それぞれ報告され、他の研究者の強い関心を集めたばかりか、組織的犯罪対策立法をめぐる近時の議論の展開にも寄与することができたと考える。

  • 経済犯罪の捜査・訴追に関する刑事手続法上の問題点

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    1995年
    -
    1996年
     

    酒巻 匡

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    本研究は、経済犯罪の捜査と訴追に特有な刑事手続上の問題の存否・所在と法解釈論・立法論上の問題点を検討することを目的とした。このような観点からの包括的検討は、いまだわが国では行われていないため、第一に、このような研究領域において進展の認められる諸外国(英・米・独)についての関連資料を収集・分析して、比較法的検討を行った。第二に、わが国の問題状況を正確に認識・把握するため、関連する文献・資料の収集・分析を合わせ行った。わが国についての具体的検討項目は、以下のとおり。1)多量の証拠書類や磁気記録を捜索・押収する経済事犯に固有の特色に伴う法解釈上の問題、2)被疑者・被告人の一般犯罪に比した特殊性に由来する問題(捜査段階からの充実した弁護活動、被疑者・参考人の取調べと供述確保をめぐる問題など)、3)検察の訴追準備と公正取引委員会、証券取引等監視委員会、税務官庁等の行政機関の調査活動および告発との相互関係。この結果平成7-8年度を通じて得られた研究成果の概要は、以下のとおりである。
    1.比較法制度とわが国の文献分析の結果、わが国の検察・捜査実務において、経済犯罪の立証に不可欠な被疑者ないし参考人の供述確保について、将来伝統的取調べのみでは立ちゆかなくなるとの危惧感が強いこと、これに対して、とくにアメリカおよびドイツの供述強制ないし参考人出頭強制の制度が立法論として参考になり得るであろうとの見通しを立てることができた。今後の継続的研究のうち、立法・制度論の中心課題となろう。
    2.アメリカ法研究の副産物として、捜査機関が収集した証拠書類の被告人・弁護人側への開示、ならびに捜査機関の情報収集活動からの会社組織内関係文書の法的保護の問題に触れる論文を執筆した(研究発表覧・参照)。
    3.大量の書類や磁気記録の捜索・押収に関連する理論的な問題を検討した論文を執筆した(研究発表覧・参照)。

  • 訴追免除(刑事免責)の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)

    研究期間:

    1993年
     
     
     

    酒巻 匡

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    本研究は、刑事手続において重要証人の黙秘権を喪失させ、証言を強制する「訴追免除(刑事免責)」の制度について、これが現に用いられているアメリカおよびドイツの状況を、その社会的・歴史的背景、制度の現状、運用の実際と問題点につき明らかにし、その知見に基づき、日本の憲法、刑事手続法の解釈論または制度の立法論としてこれを導入することの可否、導入の実務上の意味、導入する場合の具体的問題点と波及的影響につき、包括的に検討しようとしたものである。「黙秘権」の理解につき根本的修正に至る可能性があるため、「萌芽的研究」として申請した。なお、平成4年度にも同一課題で研究費の交付を受けている。本年度の実績は、以下のとおりである。
    1.平成4年度にアメリカ法の状況につき基礎資料を収集したので、本年度はこの知見を分析・評価する作業を行った。この結果、現状を客観的に紹介する論文を執筆できる準備をほぼ完了したが、後述の理由で、個別的紹介論文の形式での成果公表はしばらく見合わせることとした。
    2.ドイツ法の状況につき、資料収集と分析を行った。基礎資料は整ったが、運用の実際や問題点については、アメリカ法の研究に比して、いまだ充分ではない状況である。
    3.日本について、いわゆる「ロッキード事件」に関し、本研究課題に直接関係する最高裁判所の判例が近い将来予測される状況となった。このため、これまでの比較法的研究の整理・分析を継続しつつ、最高裁判例の動向を踏まえて論文を執筆することを計画し、その枠組を構想中である。1.2.で述べた知見は、この論文に組入れる形で公表を考えている。

  • 訴追免除(刑事免責)の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)

    研究期間:

    1992年
     
     
     

    酒巻 匡

  • 犯罪の捜査・立証における科学の利用とその限界

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 総合研究(A)

    研究期間:

    1990年
    -
    1992年
     

    三井 誠, 大澤 裕, 酒巻 匡, 長沼 範良, 井上 正仁, 松尾 浩也

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    本研究の目的は、犯罪の捜査および立証の両面における科学技術の利用の実態を明らかにするとともに、比較法的・理論的分析を踏まえて、その適正な限界や条件を検討し、刑事訴訟法上の解釈論的・立法論的提言をおこなおうとするものである。3年間の研究期間を終了し、本年度においては、以下のような成果を得ることができた。
    1.2回の研究会を開催し、研究分担者が検討中のテーマならびに既に論文を執筆ないし公刊したテーマにつき、報告を行い、全員で討議した。 従前の研究状況を総賢して、刑事手続法上の問題点を抽出して検討を加えた個別テーマとして、次のものがある。「毛髪鑑定とその証拠能力」「強制的な体液の採取に附随する刑事手続法上の問題点」「筆跡鑑定とその証拠能力」「検証としての写真撮影とこれに対する不服申立の可否」「情報の押収」
    2.内外の関係文献・識料の収集・整理の作業を継続した。内外ともに関係資料・論文の増加が著しいため、文献目録の追補・改訂作業を開始し、進行中である。
    3.各研究分担者が、担当テーマにつき研究論文を執筆ないし執筆準備作業中である。主要なテーマについては、既に公刊されたものも含め、平成5年度中に発表(大学紀要・法律雑誌等)が完了する予定である。
    4.研究進行中の最大の問題は、進歩の著しい科学的捜査・立証手段それじたいの正確な理解を得ることに相当の時間を必要とする点であった(例えばDNAによる個人識別法の原理と手法)。現在までの具体的成果は、主として個別的な捜査・立証手段の問題点の分析となっているが、今後は、それらに共通する法律上の問題点の抽出と統一的な視角からの分伏が課題となると思われる。

  • イギリスにおける刑事司法改革の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 総合研究(A)

    研究期間:

    1987年
    -
    1989年
     

    三井 誠, 大澤 裕, 田中 開, 酒巻 匡, 長沼 範良, 井上 正仁

     概要を見る

    本研究は「1984年警察・刑事証拠法」および「1985年犯罪訴追法」の制定によってもたらされた、イギリスにおける刑事司法制度の大改革の全体像を分析するものである。両法典の制定前の状況、法改革の提言、圧力団体の動向、イギリス議会・委員会での審議過程、法律制定後の実務上の変化などの調査結果は、わが国刑事司法のあり方を再考するための重要な素材となろう。
    1.第1年度には、両法典を翻訳したうえこれを出版するとともに、上記の関連基礎資料・文献の収集・分析をひとわたり終えることができた。
    2.第2年度には、前年度の基礎作業をふまえて、両法典を6分野に別けて各担当者を定め、各担当者が、担当部分について従前の法と実務法改革の提案、同辺圧力団体・マスコミの動向、1984年法律審議過程と法律成文との関係、法律制定後の実務の様相、新しい判例の動きをふまえたうえで、その調査・分析結果を報告し、それを素材に全員で討議するという方法を数回繰り返した。
    3.また、両法典成立後、「刑事裁判法」の全面改正はじめ、いぜん刑事司法をめぐるイギリスの状況は流動的であるので、英国の諸機関や滞英中の研究者をとおして最新情報を逐次入手した。
    4.報告と全体討議が終了した部分については、担当者が論文を作成し、順次、法律雑誌『ジュリスト』に提起連載の形式で発表することとし、937号(1989年7月1日号)より隔号に連載予定である。
    5.わが国刑事司法制度への影響についてはなお検討を要するが、イギリスにおける捜査、訴追活動の改革は質量ともに重要な意義を有するだけに、日本刑事司法の改善に、制度面でも運用面でも、いくつかの貴重な示唆を与えるであろうことは疑いないといえる。

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