2024/12/21 更新

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ワタナベ テツヤ
渡辺 徹也
所属
法学学術院 法学部
職名
教授
学位
博士(法学) ( 京都大学 )

経歴

  • 2014年
    -
     

    早稲田大学法学学術院教授(現在に至る)

  • 2005年
    -
    2014年

    九州大学大学院法学研究院教授

  • 2009年
    -
    2010年

    ニューヨーク大学ロースクール・フェロー(フルブライト・スカラー)(22年10月まで)

  • 2009年
     
     

    デューク大学客員教授

  • 2009年
     
     

    シンガポール大学客員教授

  • 2007年
     
     

    ミュンヘン大学客員教授

  • 2003年
    -
    2004年

    九州大学大学院法学研究院助教授

  • 1997年
    -
    2003年

    滋賀大学経済学部(法システム講座)助教授

  • 1999年
    -
    2000年

    ハーバード大学ロースクール客員研究員(12年8月まで)

  • 1998年
    -
    1999年

    カリフォルニア大学バークレイ校ロースクール客員研究員(11年8月まで)

  • 1995年
    -
    1997年

    滋賀大学経済学部(法システム講座)専任講師

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学歴

  •  
     
     

    九州大学   法学部  

  •  
     
     

    京都大学   法学研究科   公法  

委員歴

  • 2021年
     
     

    資産評価システム研究センター  地方税における資産課税のあり方に関する調査研究委員会委員

  • 2021年
     
     

    金融庁  金融所得課税の一体化に関する研究会委員

  • 2021年
     
     

    総務省  自治紛争処理委員

  • 2019年
     
     

    内閣府  税制調査会 連結納税制度に関する専門家会合

  • 2018年07月
    -
     

    一般財団法人資産評価システム研究センター  固定資産税に関する意見交換会 座長

  • 2015年
    -
    2018年

    法務省 司法試験委員会  司法試験考査委員

  • 2014年
    -
    2018年

    公認会計士・監査審査会  公認会計士試験試験委員

  • 2015年06月
    -
     

    経済産業省  「日本企業の海外展開を踏まえた国際課税制度の在り方に関する研究会」委員

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所属学協会

  •  
     
     

    租税法学会

  •  
     
     

    日本税法学会

  •  
     
     

    IFA

  •  
     
     

    日本公法学会

研究分野

  • 公法学

研究キーワード

  • 租税法

受賞

  • 第6回租税資料館賞(論文の部)

    1997年10月  

 

論文

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書籍等出版物

  • TERRITORIALITAT UND PERSONALITAT: FESTSCHRIFT FUR MORIS LEHNER ZUM 70. GEBURTSTAG

    Tetsuya Watanabe( 担当: 共著)

    ottoschmidt  2019年07月 ISBN: 9783504060572

  • 『スタンダード法人税法〔第2版〕』

    渡辺徹也( 担当: 単著)

    弘文堂  2019年03月

  • 『スタンダード法人税法』

    渡辺徹也

    弘文堂  2018年03月

  • 『ベーシック税法[第7版]』

    岡村忠生, 渡辺徹也, 高橋祐介

    有斐閣  2013年03月

  • 『租税法演習ノート[第3版]』

    佐藤英明, 岡村忠生, 渋谷雅弘, 高橋祐介, 谷口勢津夫, 増井良啓, 渡辺徹也

    弘文堂  2013年03月

  • 『企業組織再編成と課税』

    渡辺徹也

    弘文堂  2006年10月

  • 『企業取引と租税回避』

    渡辺徹也

    中央経済社  2002年02月

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講演・口頭発表等

  • シェアリング・エコノミーと課税ープラットフォーム企業に関する問題を中心にー

    渡辺徹也

    2019年度日中租税法学術シンポジウム   (東京)  東京大学東洋文化研究所  

    発表年月: 2019年11月

  • シェアリング・エコノミーに対する課税

    渡辺徹也  [招待有り]

    グローバル・エコノミーと租税法からの応答-日独の場合   (東京)  早稲田大学法学部  

    発表年月: 2018年05月

     概要を見る

    日本とドイツは共にそれぞれの経済圏で中心的地位を占める国であり、本シンポジウムでは、急速にグローバル化する経済に直面した両国の租税制度が採用している(あるいは採用すべき)アプローチについて議論を行う。本シンポジウムは、独日法律家協会の会長であるヤン・グロテア(Dr. Jan Grotheer)氏からの要請に基づいて企画され、駐日ドイツ大使であるハンス・カール・フォン・ヴェアテルン(Dr. Hans Carl von Werthern)氏、ドイツ連邦財政裁判所長(President Bundesfinanzhof)であるランドルフ・メリングホフ(Prof. Dr. h.c. Rudolf Mellinghoff)氏を招いて行われる。 本シンポジウムは基調報告に続く3部で構成される。まず、開会部において、ドイツ連邦財政裁判所長による「租税正義における国際的側面」と題する基調報告を行う。 第1部においては、ドイツと日本の租税法研究者が、世界規模で実行される国際的租税回避とその防衛策について議論する。具体的には、OECDにおける「税源浸食と利益移転(BEPS・base erosion and profit shifting)」プロジェクトにおける日独の対応について報告を行う。 第2部では、タックス・コンプライアンスおよびタックス・ガバナンスの見地から、日独におけるグローバル租税マネージメント(移転価格税制を含む)に関する検討を行う。ここでは、主として執行上の観点から現行実務に携わる日独実務家による報告を予定している。 第3部では、電子商取引と課税の関係について、両国の租税法研究者と実務家がそれぞれ報告を行う。そこでは、主としてUberやAirbnbに代表されるシェアリング・エコノミーに対する課税およびデジタル・コンテンツの国境を越えた移転に対する付加価値税(VAT)について取り上げる。また、基調報告および各3部それぞれには、質疑および司会者を挟んだディスカッションの時間が設けられる。

  • 「税法における配当の概念」

    私法学会シンポジウム  

    発表年月: 2012年10月

  • 「税法における配当および資本の概念—会社法との比較を中心に」

    日本租税研究協会第64回研究大会  

    発表年月: 2012年09月

  • 「アメリカ税法における現物分配と子会社清算—我が国における適格現物分配への示唆を求めて」

    日本税法学会大会  

    発表年月: 2012年06月

  • 「資金還流税制の意義と効果」

    租税法学会研究総会  

    発表年月: 2011年10月

  • “Recent Developments in Corporate Tax Law in Japan Focusing on Corporate Reorganizations and Cross Border Transactions- A Comparison with US Tax Law"

    Hauser Global Fellows Forum (New York University School of Law)  

    発表年月: 2010年02月

  • “The Recent Developments in Corporate Tax Law in Japan Especially for Corporate Reorganizations (comparing to US Tax Law)”

    International Tax Program Luncheon Lecture (New York University School of Law)  

    発表年月: 2009年11月

  • “Non-Recognition Treatment, Especially for Tax-Free Corporate Reorganizations”

    Sho Sato Conference (U.C. Berkeley, School of Law)  

    発表年月: 2009年03月

  • “Tax-Free Treatment for Corporate Reorganizations in Japan”

    Asian Law Institute (Singapore University Department of Law)  

    発表年月: 2009年01月

  • 「英国判例からみた租税回避の否認」

    日本税理士会連合会寄附講座・関西大学シンポジウム  

    発表年月: 2008年10月

  • “Tax Free Corporate Reorganization -M&A and Taxation”

    Verein Für Internationale Steuern und Finanzen München (Ludwig Maximilians Universität)  

    発表年月: 2007年11月

  • “Tax Free Corporate Reorganization -M&A and Taxation”

    Verein Für Internationale Steuern und Finanzen München (Ludwig Maximilians Universität)  

    発表年月: 2007年11月

  • 「イギリスにおける最近の租税回避事例とRamsay原則の動向」

    日本税法学会大会  

    発表年月: 2005年06月

  • 「組織再編税制」

    租税法学会研究総会  

    発表年月: 2002年10月

  • “Basic Tax Principles for Electronic Commerce”

    U.C. Berkeley -Keio Seminar on International Tax Law Concerning Digital Financial Innovation(Keio University)  

    発表年月: 2002年06月

  • 「企業組織再編税制に関する濫用とその規制」

    日本税法学会大会  

    発表年月: 2001年06月

  • 「英国判例における租税回避否認原則」

    日本税法学会大会  

    発表年月: 1995年05月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 社会のデジタル化に対応した租税実体法および租税手続法のあり方に関する研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2025年03月
     

     概要を見る

    本研究ではデジタル化に適正に対応する税制を扱う。具体的には相互に関連する三つの分野に分けて検討を行う。すなわち(i)経済のデジタル化における国際課税の問題、(ii)シェアリング・エコノミーから生じる課税問題、(iii)デジタル化が地方税制度に与える影響とその対応である。(i)については、現在のOECDの活動を主たるターゲットにする。(ii)については、ホストの確定申告にプラットフォーム企業をいかに関わらせるか等ついて考える。(iii)については、宿泊税、ふるさと納税におけるクラウドファンディング、個人住民税の前年課税から現年課税制度への移行、固定資産税の評価に関するIT化を取り上げる

  • データ駆動型社会の法に関する領域横断的研究‐デジタルプラットフォームを焦点に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

    土田 和博, 若林 亜理砂, 武田 邦宣, 深町 晋也, 長谷河 亜希子, 大木 正俊, 越知 保見, 渡辺 徹也, 洪 淳康, 伊永 大輔, 吉田 克己, 林 秀弥, 小向 太郎, 小田切 宏之, 金井 貴嗣, 舟田 正之, 中島 徹, 青柳 由香, 清水 章雄, 東條 吉純, 石田 眞, 須網 隆夫, 早川 雄一郎, 柴田 潤子, 渡邉 昭成, 中里 浩

     概要を見る

    インターネットやAIを中心とする技術革新は、現代社会に多大の利便性をもたらし、明るい未来を切り拓くように思われるが、同時に多くの深刻な問題をも投げかけている。優れた技術革新の芽を摘むことなく、裏腹の弊害にどのように対処すればよいのか。イノベーションのインセンティブを失わせる過剰規制と必要な場合に適切な措置を行わない過小規制を共に排して、妥当な法規制・規律を行うにはどうすればよいのか。本研究は、こうした課題について、経済法、民法、刑法、憲法、情報法、労働法、国際経済法、EU法の各領域からアプローチし、これを総合しようという研究である

  • 行政争訟制度の新たな地平――個別行政法からの提言

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    本研究は、個別行政法に関する最新の知見をふまえて、新たな行政争訟制度を構想し、制度改革のための具体的提言を行うことを目的としている。個別行政法分野の研究が独立・分化する中、行政争訟制度を対象として領域横断的な研究はこれまでほとんど行われてこなかった。本研究は、個別行政法分野における最新の研究成果を行政争訟制度の改革に役立てようとする、これまでにない斬新活独創的な試みであり、この点で学術的独自性と創造性を有する。さらに、本研究により、行政法総論と個別行政法の間、さらには、各個別行政法の間においても、学問的交流が活発となり、行政法学のみならず、法学全体の活性化にもつながることが期待される。本研究は、個別行政法に関する最新の知見をふまえて、新たな行政争訟制度を構想するとともに、制度改革のための具体的提言を行おうとするものである。4つのクラスター(集合的利益、訴訟類型の多様化、民事訴訟との役割分担、不服申立制度との関係)に分かれて研究を進め、その成果を個人の研究に反映させるとともに、全体研究にフィードバックすることにより、上記の目的を達成することを目指している。初年度となる本年度においては、各クラスターの研究が順調に進み、「研究発表」欄掲載のような数多くの重要な実績を上げることができた。特に、クラスター4(不服申立制度との関係)については、2018年度、九州大学において、公開シンポジウム「個別行政法からみた行政争訟制度のあり方」を開催し、その成果を自治研究95巻2号及び3号における「特集」として公表したところであるが、これをふまえて、具体的な制度改革の方向性を詰めることができた。また、この間、クラスター2(訴訟類型の多様化)について、個別研究及び共同研究が特に著しく進展している。そこで、この問題をテーマとして、2021年度に、九州大学において、公開シンポジウムを開催することを計画している。この計画を実現するため、各研究分担者がこのテーマについて個別研究を進め、全体ですりあわせを行うとともに、各分野の専門家の助言を仰ぐなど、着実に準備を進めているところである。その他のクラスターに関しても、個別研究及び共同研究を進め、その成果の一部を公表することができた。本研究は、科学研究費基盤研究(B)「現代行政の多様な展開と行政訴訟制度改革」(平成25年度~平成27年度、以下「先行研究1」という)、同「個別行政法の視座から構想した行政争訟制度改革」(平成28年度~平成31年度、以下「先行研究2」という)をさらに発展させたものである。初年度である本年度においては、6月30日に研究打合せを実施し、新たに加わったメンバーも含めて、研究分担者にあらためて研究の趣旨を周知徹底し、今後の綿密な研究計画を立てた。また、4月20日には第1回研究会を開催し、研究分担者の平山賢太郎九州大学准教授が、「公正取引委員会排除措置命令・消費者庁措置命令に対する執行停止申立」について報告した。続いて、7月13日には第2回研究会を開催し、研究分担者の原田大樹京都大学教授が「行政法学と警察法学」について報告した。さらに、3月5日には第3回研究会を開催し、藤谷武史東京大学教授が「マイナス金利政策の争訟可能性」について報告した。本研究は、先行研究1及び先行研究2の成果を引き継ぐものであり、メンバーもほぼ同じであることから、研究は当初の計画以上に順調に進んでおり、すでに「研究発表」欄に記載したような数多くの重要な業績を上げることができた。なお、本研究に関しては、すでにホームページを立ち上げ、研究計画、研究組織、研究会、研究成果等を広く公開している(http://pacoq.net/horizont/index.html)。以上のような順調な滑り出しを受けて、今後は、各クラスターに関する個別研究と共同研究をさらに進展させ、本研究の目的である行政争訟制度改革の構想と具体的提言を完成させることをめざす。先行研究1においてクラスター1(集合的利益)について、先行研究2においてクラスター4(不服申立制度との関係)について、それぞれ大きな成果が得られたことから、これらの分野に関しては、これまでの研究をふまえて提言の具体化を進める。また、この間、クラスター2(訴訟類型の多様化)について研究が特に著しく進展したことから、2021年度において、この問題をテーマとした公開シンポジウムを、九州大学で開催することを計画している。そこで、個別報告のテーマと報告者を選定するとともに、その準備のために、各分野の専門家を招聘して研究会を開催するなどし、万全の体制でシンポジウムを開催したいと考えている。その成果は雑誌等で公表する予定であり、現在その媒体について交渉中である。残るクラスター3(民事訴訟との役割分担)についても、個別研究と共同研究を進め、その成果を、九州行政判例研究会、九州公法判例研究会等において報告するとともに、随時論文等として公表する予定である

  • ベイシスの高度化による法人課税の再生

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    研究の初年度として、ベイシスのクローニングの検討を、法人課税と消費課税の関係、組織再編税制、非法人事業体課税、ベイシスと損失など他の租税軸性との関係などの側面から進めるとともに、ブロックチェーンについての基礎的知見を共有し、その応用可能性を探ってきた。組織再編成の分野では、平成13年の制度導入時から最近までの法改正を取り上げて制度のあり方を検討した。その結果、改正を繰り返した現行組織再編税制は、適格要件が複雑化してわかりにくくなってきていること、制度導入時の立法趣旨だけではベイシスのクローニングによる課税繰延を説明することがやや困難になってきていること、会社法からの影響が重要であることなどがわかった。法人税対象外の組織体の分野では、特にアメリカ連邦所得税におけるパートナーシップの課税関係を調査した。パートナーシップ課税における一般的濫用防止規定の適用が問題となった事案のほとんどは、インサイド・ベイシスとアウトサイド・ベイシスの不一致を利用したタックスシェルターであり、このような不一致が深刻な課税問題を引き起こすことなどを明らかにした。損失との関係については、米国連結納税制度を主にリサーチした。具体的には、同制度利用による節税額の連結グループ内での割振方法を検討し、その選択により投資簿価調整や留保利益計算に永久の又は時期的な差異が生じることが分かった。また割振の合意を巡る裁判例の検討を通じ、少数株主等の利害が限定的なことを示唆した。ブロックチェーン技術に関しては、文献調査や企業へのインタビューを通じて、その技術上の特性を調査し、特に否認防止、検証性・可検査性ならびに完全性が取引をはじめとする多種多様な納税者の情報を信頼できる形で蓄積する目的で応用可能なものであることが判明した。なお、ブロックチェーンに関係して、シェアリングエコノミーを巡る課税問題の検討を行っている。概ね順調に推移している。ただし、2019年2月に、暗号通貨(仮想通貨)に関するICO(Initial Coin Offering)などに対する金融庁の規制が改められることが明らかになったため、遂行を見合わせた研究項目がある。引き続き、法人組織税制、非法人事業体税制、損失、ブロックチェーン技術の角度から、研究を進める。また、ICO規制等により初年度に見合わせた研究を遂行する

  • コーポレート・ガバナンス改革に直面した法人税および所得税のあり方に関する研究

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    エクイティ・ベースの報酬に関する課税問題については、疑似ストック・オプション判決(東京地判平成29年10月30日)を取り上げ、先例としてのストック・オプション判決(最判平成17年1月25日)との対比等を行い、会社に対して助言を与える立場にある税理士や公認会計士は、絶えず法改正の動向に注意しておかねば、関係当事者から損害賠償請求を受ける危険性を指摘した。また、ストック・オプション等が給与所得となる場合、会社が源泉徴収義務を負うという現行法のあり方について改めて批判した。会社(非上場会社)に対して支配力を有する個人株主が会社へ株式を譲渡した場合のみなし譲渡課税(配当還元方式適用の可否)について、東京地判平成30年7月19日判決を取り上げ、通達に基づく株式の評価のあり方と判決の問題点を指摘した。株式対価M&Aについては、令和2年以降の税制改正における検討課題の1つになることが、税制改正大綱において示されているので、今後の研究の足ががりとして、現状の問題点を洗い出し、課税繰延措置を検討する際に考えておくべき項目を抜き出した。デジタル経済への対応は、これからのコーポレート・ガバナンスと課税を考える上で、避けて通れない問題となった。この問題については、まず2019年のOECD公開討議文章を題材として、経済の電子化が課税に対してどのような影響を与えるのかを示し、G20の福岡財務大臣会合における議論から、新ルール導入に対する先進国と新興国の対立を浮き彫りにしつつ、OECD(BEPS包摂的枠組)およびG20におけるコンセンサス・ベースでの解決に至らない場合、各国は一方的措置としてのデジタルサービス税を導入する結果、企業は二重課税に直面し、条約による解決も望めない状況になることを指摘して、問題解決の必要性を説いた

  • 個別行政法の視座から構想した行政争訟制度改革

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2020年03月
     

     概要を見る

    本研究は、個別行政法の現状をふまえて、行政争訟制度改革のための具体的提言を行おうとするものである。4つのクラスター(集合的利益、訴訟類型の多様化、民事訴訟との役割分担、不服申立制度との関係)に分かれて研究を進め、その成果を個人の研究に反映させるとともに、全体研究にフィードバックすることにより、上記の目的を達成することをめざしている。本年度においては、各クラスターの研究がかなり進み、「研究業績」欄掲載の通りの実績を上げることができた。さらに、「不服申立制度との関係」のクラスターについて、とくに進捗が著しかったことから、2018年6月30日、九州大学において、公開シンポジウム「個別行政法から見た行政争訟制度のあり方」を開催した。このシンポジウムでは、研究代表者である村上裕章九州大学教授による趣旨説明の後、碓井光明東京大学名誉教授による租税法も含む基調報告、労働法分野について山下昇九州大学教授(研究分担者)、知的財産法分野について小島立九州大学准教授(研究分担者)、経済法分野について林秀弥名古屋大学教授が報告を行った。さらに、憲法の観点から宍戸常寿東京大学教授が、行政法及び英米法の観点から中川丈久神戸大学教授が、総括的に原田大樹京都大学教授(研究分担者)が、それぞれコメントを行い、引き続き活発な議論がなされた。シンポジウムの成果は、自治研究95巻2号及び3号(2019年)に、「特集・個別行政法から見た行政争訟制度のあり方(1)(2)」として公表されている。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない

  • 消費課税におけるヒューマン・キャピタルと資産概念の応用

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    本研究は、人が教育や訓練を通じて獲得し蓄積する所得獲得能力(human capital)が、個人消費課税において適正かつ公平な取扱いを受ける税制のあり方を検討し、所得課税での「資産」と「取得価額(ベイシス)」の概念を消費課税に応用することが、①教育や訓練を受ける人自身の観点、②その人を雇用し、または、その人が営む企業の観点、③富の偏在や所得の再分配など社会や国家の観点の3つの観点から有益であることを示した。消費税や付加価値税などによる消費に対する課税は、今後、わが国や世界でますます重要となるが、消費課税においては、人が教育や学習を通じて所得獲得能力(human capital)を維持向上させてゆくことは、単なる消費として扱われてきた。しかし、human capitalは価値創造の中心的要素となっており、そのための支出も増大している。本研究は、human capitalのための支出に対して、消費課税の下で適正かつ公平な取扱いを行うための方向性を示した

  • 自己株式の取得および処分に関連して生じてきた新たな課税問題に対する現代的考察

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

     概要を見る

    本研究は、主に自己株式の取得に関連して最近生じてきている課税問題を取り上げ、どちらかといえば立法論の視点から検討したものである。すなわち、①主として株主側における課税の問題、②主として法人側における課税の問題、③外形標準課税における問題を取り上げた。各結論をごく簡潔に述べるなら、①比例的な自己株式の取得を配当として扱うような規定を置くべきである、②法人税法施行令8条1項1号を削除するとともに、それに応じて同119条1項10号を改正すべきである、③事業税の外形標準課税に関して、市場を通じた自己株式の取得により資本金等の額が不当に減少されないように規定を整備すべきである、となる

  • 現代行政の多様な展開と行政訴訟制度改革

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    村上 裕章, 原田 大樹, 渡辺 徹也, 村西 良太, 小島 立, 笠木 映里, 石森 久広, 勢一 智子

     概要を見る

    本研究は、個別行政領域の現状を検討することにより、行政訴訟制度改革のための具体的提言を得ようとするものである。4つのクラスター(集合的利益、訴訟類型の多様化、民事訴訟との役割分担、不服申立制度との関係)ごとに共同研究を行い、その成果を総合して上記の目的を達成しようとした。研究期間中に研究会等を頻繁に開催し、その結果として、上記4つのクラスターにつき多大の成果を上げることができた(詳しくは後掲研究業績を参照)。特に、集合的利益の研究は順調に進み、2014年7月に公開シンポジウムを開催し、その成果を2015年2月の「論究ジュリスト」誌に特集として公表することができた

  • M&Aおよび企業組織再編取引の複雑化に対応した課税のあり方に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年04月
    -
    2013年03月
     

    渡辺 徹也

     概要を見る

    ここ数年、会社法や民法が改正され、合併、株式移転・株式交換、分割、現物分配といった組織再編行為やM&A取引等の利用価値が大幅に増大している。本研究は、これらの取引を行った場合の課税ルールについて、主として中立性や合理性の観点から検討を試みるものである。既存のルールと改正により導入されたルールの比較、アメリカ法を中心とした比較法研究、さらにはデータに基づく実証研究などを通して、個々の規定にはまだ改善の具体的可能性が多く残されていることを指摘した

  • 資産概念のソフト化と取得価額の規範的再構成

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年04月
    -
    2013年03月
     

    岡村 忠生, 渡辺 徹也, 高橋 祐介, 小塚 真啓

     概要を見る

    個人や個人の組織の有する所得獲得能力は、将来利益をもたらすので、課税上、資産として認識できる。このような資産は、多様で複層化した権利利益を反映する場合がある。現行法には、複層化した権利利益を資産として認識し、その取得価額を算出する規定、権利利益の移転を定義し、課税対象とする規定、資産認識に伴う課税の時期を調整する規定が必要である。また、所得の帰属は、事実の問題として認識すべきである

  • 司法上の租税回避否認原則に関する日・英・米の比較

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    アメリカ法における租税回避否認原則の一つといわれる「事業目的原理」について、Gregory事件最高裁判決以降を考察した。Gregory事件は法人分割に関する事件であり、この事件の後、判例法上の原理である事業目的原理を判定法に取り込む形で、法人分割に関する制定法が大幅に改正された。それは、企業が法人事業をどのような形態で遂行していこうと、税法はそれに介入すべきでないという前提に立ちながら、法人分割の形態を利用した租税回避行為に有効に対処するものであった。イギリスの貴族院がWestminster事件判決で行った解釈方法は、制定法を文言通り厳格に解釈するという「文理解釈」であった。これに対して、Gregory事件においてアメリカの最高裁が行った方法は、制定法の文言を法の目的に合致させるように解釈する「自由解釈」である。複雑な租税回避行為に効果的に対処できるのはアメリカ型の解釈方法である。しかし、この方法では、ここから先は否認されないという意味の「境界線」を決定することは困難である。事業目的原理は法人分割の分野から生まれたが、その後はそれ以外の取引にも一般的に適用される傾向にある。その過程で事業目的原理の内容はだんだん拡張され、なかには「事業目的=租税を軽減する以外の目的」ととらえ、そのような目的を持たない行為には一切の課税上の利益を与えないという解釈すら存在する。この場合、漠然としたこの原理の射程を確定することは非常に困難となる。わが国が英・米のどちらを模範とすべきかは一概にはいえない。ただ、今のところ、わが国はアメリカほど租税回避行為が横行してはいないので、できるだけ租税法律主義を重視したイギリス法的な対応の方が(どちらかといえば)好ましいようにも思える。現在のイギリス法は、厳格な租税法律主義から脱却して、あらゆる種類の租税回避行為に臨機応変に対処すべく努力している過程にあるといってよい。もっとも、立法論までを視野に入れるならば、アメリカ租税法のポリシ-をわが国は是非参考にすべきである

  • 法人の組織変更および事業形態の選択に関する課税理論の研究

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    1,今年度は、主としてアメリカ法における法人ミニマム・タックスと資本再構成を取り上げて検討を行った。2,租税優遇という観点から租税回避を眺めてみると、「租税回避は租税優遇の濫用である」と考えることができる。その場合、優遇を如何にして規制するかということが立法上の一つの課題となる。そこで、アメリカにおける優遇規制の一手法である法人ミニマム・タックスの内容を概観し、問題点等を検討してみた。アメリカ法は、租税優遇に一定の政策目的があることを前提としながらも、優遇を過度に利用することによって、税負担を不当に減少させる行為を租税回避と捉え、これにミニマム・タックスで対処しようとしていた。この制度が導入されたことで、税制は以前より公平になったといえる。しかし、その反面、税制が複雑化した結果、納税者の納税協力上の負担は増大してしまった。公平と簡素のジレンマをどう解決していくのかは、アメリカ法における今後の課題であるが、ミニマム・タックスによって採用された租税回避概念、すなわち通常税の租税債務額との比較を通した量的な租税回避概念は、注目に値する。3,資本再構成とは、法人内部における自己資本と他人資本の再構成である。具体的には、法人と株主との間で証券が交換されることであり、例えば普通株と優先株の交換や、株式と社債の交換などがこれにあたる。アメリカ法では、交換が条文上の資本再構成に該当すれば、それはE型組織変更として、証券保有者に損益が認識されないことになっている。つまり、税法は企業の資本再構成という行為に対して原則として中立なのである。ただし、想定される租税回避に対処するために、いくつかの租税回避回避防止規定を置いている。今年度の研究では、特に証券ベイル・アウトと呼ばれる租税回避行為に対処する規定および判例を中心に扱った

  • 企業再編に関する課税理論の研究―会社の合併、買収、分割等に関する課税を中心に―

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    平成12年の改正で、商法に会社分割の制度が創設されたことを受けて、平成13年度税制改正において、法人税法に組織再編税制が導入された。租税特別措置法レベルではあるが、既に平成12年度改正で、(平成11年の商法改正を受けた)株式交換・株式移転税制が作られていたこととあわせて考えるならば、わが国の法人税法(講学上)のなかにも、本格的に法人組織税制という領域が出来上がってきたといえる。今の日本法がアメリカ法から学ぶべきことは、組織再編税制という法が創造され、活動し、そして変遷してきたその過程である。また、規定相互の整合性や具体的運用に関しても、アメリカ法から示唆を得るところは大きい。適格組織再編成の基準や要件は、企業が効率的な事業形態へ変化していくことを不必要に阻害するようなものであってはならず、その一方で、制度を利用した租税回避についても備えておく必要がある。この二つは、両方とも、適格組織再編減に関する要件等の内容と、その背後にあるポリシーの明確性を要請するのであって、決して矛盾するものではない。当該明確性によって、納税者の予測可能性も担保されることになる。企業組織再編税制は、まだできたばかりの制度であり、これからも改正を繰り返すことが予想される。今後は、現在、措置法に規定されている株式交換・株式移転税制が、法人税法本法の組織再編税制に取り組まれるであろうし、その場合には、各適格要件の全般的な見直しを行う必要がある。商法と税法の関係では、商法の基準が、税法上の目的に照らして適正であるなら、それを税法の基準として採用しても構わないが、もともと商法と税法では、目的が必ずしも一致しているわけではないのであるから、必要に応じて、税法独自の視点で制度のあり方を考えることも重要である

  • 会社法改正が現行課税規定に与える影響とあるべき企業課税に関する理論的研究

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    研究計画を遂行して、特に論点と感じられたのは、まず剰余金の分配であり、次に対価の柔軟化の問題であった。会社法上、従来の有償減資は、「資本の減少+剰余金の配当」という二つの取引に分解された。そのため、後半部分の剰余金の配当を、会社法が配当としているからという理由で、これまで通り税法上も配当とするのか否かが問題となる。このような問題は、有償減資に限らず、あらゆる会社法上の「剰余金の分配」を税法上どう扱うかということに関連している。立法論としては、(1)配当とする、(2)有償減資の場合のような「純資産に基づく按分的な課税」とする、(3)資金の出所については法人の処理に任せて、それに応じて課税する(例えば、法人が資本金を取り崩し、それを剰余金の配当原資とした処理を行った場合は、課税しない等)、(4)法人に利益準備金が存する限り配当とする、といったものが考えられる。平成18年度改正税法は、結局(2)を採用した。これは、会社法とは一応無関係に、税法独自の配当概念を作り上げることにつながる改正である。しかし、改正法は、配当と実質的には等しい経済的効果を持つ「比例的分配」について、配当課税を貫徹できないなどの問題を包含している。対価の柔軟化については、平成19年度改正法により、親会社株式を対価とする三角型の組織再編成(三角合併等)について、一定の要件を満たした場合に、課税繰り延べが認められることとなった。これについては、アメリカ法からの示唆を前提とするならば、税法のルールが会社法に依拠する必要性を否定はしないものの、それに盲目的に従属するのではなく、常に税法の視点から取引を捉え、課税上の扱いを検討していく必要があると思われる

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Misc

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 法学学術院   大学院法学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 働き方・稼ぎ方の変化に対する課税およびプラットフォーム企業の役割

    2023年  

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     ギグワーカー、テレワーク、ジョブ型雇用等の出現をみてもわかるように、社会のデジタル化が進むにつれ就業形態が大きく変化してきている。本研究では、これら勤務形態や取引形式等の変化に所得課税がどのように対応しているか、あるいは対応すべきかを主に問うた。 とりわけプラットフォームを利用した副業に関しては、申告漏れをはじめとして様々な問題があった。インターネットを使った個人の取引について申告漏れが生じていることは、令和に入る前から既に指摘されてきたが、それに加えて最近では、赤字の副業の場合、事業所得として申告することで他の所得と通算するケースが多発し、国税庁が防止に動き出した。前者は、主として申告をしない(無申告)という問題であるが、後者は、適正でない申告が行われている可能性を示している。本研究ではこれらの問題について一定の解決策を模索した。その際には、副業に対して本業とでもいうべき、会社員の勤務形態が時代とともに大きく変わりつつあることを前提に、給与所得のあり方についても再考をすべきときにきていることを示唆した。 なお、デジタル社会における取引では、情報の収集やその扱いが生命線となる(テレワークにおいても、使用者は被用者の勤務状態を把握する必要がある)が、これは税務執行においても同様である。本研究では、令和元年度改正で新設された国税通則法74条の7の2を取り上げて、この規定が副業に関していかに機能するか(あるいはしないか)についても検討した。 本研究が取り上げたものの他にも、メタバースやNFT(非代替性トークン)、さらにはロボット・AI課税の問題などがある。例えば、メタバース内の土地を譲渡した場合、所得税の納税義務が生じるのか。あるいは、AI技術の発達により、企業が多くの従業員を解雇すれば、所得税収が大幅に減少するがそれでもよいのか。これらの問題については、今後の課題としておきたい。

  • シェアリング・エコノミーにおけるギグ・ワーカーの課税問題と企業側が果たすべき役割

    2022年  

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     ギグ・ワーカーなど新分野の経済活動に携わる個人の申告漏れには、大きく2つの類型があると考えられる。すなわち、①申告義務が存在する可能性を認識しながら、いざ申告するとなると手間がかかりそうなので、それを嫌って申告しない類型、②無申告でもどうせ課税庁には見つからないだろうという思いから申告しないという類型である。いずれの類型においても、適正な申告をさせるためには、プラットフォーム企業を上手く関与させることが重要だと思われた。①については、プラットフォーム企業がギグ・ワーカーに対して納税義務の存在と確定申告の必要性を積極的に知らせるという方法がある。②については、プラットフォーム企業から国への情報提供が重要となることがわかった。

  • 譲渡所得課税の趣旨としての清算課税説と通達による時価の評価

    2021年  

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     本研究は、タキゲン事件最高裁判決(最高裁令和2年3月24日判決裁時1745号3頁)を中心的な題材として、所得税法59条1項にいう「その時における価額」と通達(所得税基本通達59-6および財産評価通達188)の関係について検討した。 タキゲン事件において譲渡された株式の1株あたりの価額が、配当還元方式と類似業種比準方式とで差が大きすぎることが、問題の根幹にあるといえる 。 通達の内容が適正な時価を反映していないと考えられる場合には、納税者が通達に拘束されずに時価を主張することが認められるべきである 。それは適正な時価が幾らであるかという評価の問題であり、そのような問題として捉えた場合、当該適正な時価までの含み益に課税することは、清算課税説に反するものではないと考えることが可能である。

  • 経済のデジタル化が国際課税に与える影響

    2020年  

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    経済のデジタル化に対応した課税について、OECDを中心とした検討が行われており、当初2020年末までに最終報告書において具体的な内容が示されることになっていたが、2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大の影響等から、OECDは2020年10月に最終合意が2021年中頃にずれ込むとの発表を行った。本研究では、これまでOECDが提唱する課税ルールについて理論的な考察を行い、問題点の指摘を行った。一方で、OECDの努力にも関わらず、各国は暫定的対応(一方的措置)としてのデジタルサービス税(Digital Service Tax/DST)の導入に動いている。本研究ではこれらDSTの理論的根拠についても検討を行い、日本における導入の可否についても考察した。

  • 共有型経済に対する課税問題

    2019年  

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    民泊やフリーマーケットといったシェアリング・エコノミーは、デジタル化を背景として急速に発展してきた経済領域の一つである。通常、シェアリング・エコノミーに関わる当事者としては、プラットフォーム企業だけでなく、ホストとゲストが考えられる。 ホストの獲得する所得種類は、国税庁のHP「タックスアンサー」などによれば、副業ということから雑所得となると考えられているが、給与所得者であるホストに十分な知識がなければ、確定申告がなされない可能性がある。そこで、プラットフォーム企業を上手に利用する方法を模索した。その際には、プラットフォーム企業にいかなる負担が生じるかについても考慮する必要があった。

  • 組織再編税制に新たに導入されたルールの検討―スピンオフとスクイーズアウトを中心に

    2018年  

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    本研究では、平成29年度改正によって組織再編税制に新しく導入された二つのルール、すなわちスピンオフ税制とスクイーズアウト税制の内容を概観しつつ、組織再編成が適格となるか否かにより、法人に対する譲渡損益課税、株主に対するみなし配当課税、株式譲渡損益課税がどのように異なるかといった問題を主として取り上げて検討した。その結果、前者については、これまで立法上の「宿題」とされてきた上場企業の単独新設分割を適格組織再編成として扱うものであり評価できる一方で、後者については、改正の理論的根拠がやや明確性を欠くという指摘を行うことができた。

  • 税制がもたらした格差社会を税制により改善するための比較法的研究

    2017年  

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     本研究では、格差を生む税制を変えることによって、格差拡大を抑制し、さらには格差を縮小するための税制のあり方について検討を試みた。 格差に関するアメリカ合衆国やヨーロッパの文献では、古くはアマルティア・セン(Amartya Sen)、最近ではロバート・ライシュ(Robert Reich)、トマ・ピケティ(Tomas Piketty)のように格差そのものを問題視する主張がある。しかし、最近のパナマ文書やパラダイス・ペーパーの存在が示すように、富裕層の租税回避は、縮小するどころか拡大する傾向にある。 したがって、実体的ルールの問題と同時に、適正な執行を担保することが重要であり、OECDとG20が行ってきたBEPS行動計画とその後の各国の対応、マイナンバー制度を通じた納税者の情報収集、インターネットを使った事業に対する課税ルールを発展させる必要性があることが明らかとなった。

  • 国際化を視野に入れた包括的な租税回避否認規定についての比較法的研究

    2015年  

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    わが国の包括的否認規定の一種として法人税法132条の2がある。この規定の射程等を明らかにするため現行法人税法132条に関する立法の歴史および重要判例を扱い、さらに法132条の2がはじめて適用されたヤフー事件の検討も行った。立法に関していえば、イギリスの立法による一般的濫用否認ルール(GAAR)が目を引いた。この規定の成立過程について比較検討することは、わが国における包括的否認規定のあり方を考える上で有益であった。OECDとG20によるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトの最終報告書との関連で、来年度の日本の税制改正においてCFC税制(タックスヘイブン対策税制)が改正されることになっているため、CFC税制のあり方について検討を行った。

  • 自己株式の比例的取得や比例的消却が有する課税問題に関する比較法的研究

    2014年  

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     本研究は、自己株式の取得に関連して最近生じてきている問題を取り上げ、これらをどちらかといえば立法論の視点から論じるものである。平成6年の商法改正で自己株式の取得に関する規制が緩和されて以来、商法・会社法の改正ごとに税法も改正を続けてきたが、現行法の解釈だけでは有効に対処できない、あるいは妥当な結論に導けないと思われる取引が散見されるようになった。本研究はそれらのうち、特に株主側における課税の問題として、自己株式が比例的に取得されるケースを取り上げ、日本の現行法人税法における解釈論の限界を示すとともに、アメリカ法との比較検討を通して、わが国でも立法的な対処が必要であることを主張した。

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