2024/04/23 更新

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ナイトウ ジュンコ
内藤 順子
所属
理工学術院 創造理工学部
職名
教授
学位
博士(人間科学) ( 2020年01月 早稲田大学 )
プロフィール

2015年4月-2020年3月 早稲田大学理工学術院准教授
2013年4月-2015年3月 早稲田大学理工学術院専任講師
2011年4月-2013年3月 立教大学観光学部助教
2007年4月-2010年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)

経歴

  • 2011年04月
    -
    2013年03月

    立教大学   観光学部   助教

  • 2007年04月
    -
    2010年03月

    日本学術振興会   特別研究員PD

  • 2000年04月
    -
    2007年03月

    九州大学大学院   人間環境学府   博士課程

  • 1998年04月
    -
    2000年03月

    九州大学大学院   人間環境学研究科   修士課程

  • 1996年04月
    -
    1998年03月

    筑波大学大学院修士課程   地域研究研究科

  • 1992年04月
    -
    1996年03月

    日本女子大学   文学部史学科

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委員歴

  • 2020年01月
    -
     

    現代文化人類学会(旧早稲田文化人類学会)  理事

  • 2012年04月
    -
    2014年03月

    日本文化人類学会  関東地区研究懇談会幹事

  • 2011年04月
    -
    2012年03月

    日本文化人類学会  第25期選挙管理委員

所属学協会

  • 2013年04月
    -
    継続中

    現代文化人類学会

  •  
     
     

    国際開発学会

  •  
     
     

    日本文化人類学会

研究分野

  • 文化人類学、民俗学

研究キーワード

  • 軍政下の拷問

  • 環境と身体

  • 痛みと記憶

  • 専門知

  • カンボジア

  • 予防医療

  • 地域リハビリテーション

  • チリ

  • 貧困

  • 文化人類学

  • 巡礼

  • 聖母信仰

  • 支援

  • スラム観光

  • ラテンアメリカ

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論文

  • 開発支援の実践をめぐる文化人類学的研究:専門知のリハビリテーションへ向けて

    内藤順子

    早稲田大学学位論文    2020年01月

    担当区分:筆頭著者

  • 「地域社会を創る:人から描く街の民俗誌」

    内藤順子

    文化人類学研究   16   2 - 3  2015年09月

  • スラム観光をめぐる感情的葛藤のフィールドノート

    内藤順子

    実践と感情     184 - 206  2015年09月

  • 小さき人びとたちのプロジェクト:様ざまな他者の価値観のあいだで生きること

    内藤順子

    人文社会科学研究   ( 55 ) 215 - 232  2015年03月

  • 「貧困」概念の悪循環と暴力性について:チリにおける文化人類学的考察

    内藤順子

    人文社会科学研究   54 ( 54 ) 79 - 94  2014年03月

    CiNii

  • スラム観光の実施をめぐる感情的葛藤

    内藤 順子

    日本文化人類学会研究大会発表要旨集   2013   203 - 203  2013年

     概要を見る

    本報告では「感情と開発」という分科会テーマに即して、開発支援は人間関係やそれに付随する情動や感情のうずまく実践であるという点に注目する。具体的には、チリ・サンチャゴ市における、プロプアー・ツーリズムという、「開発途上地域の観光地とそこに暮らす貧しい人びとに利益がもたらされるように配慮した観光」の実施をめぐる現場を取り上げ、そこでの当事者たちの具体的な感情の表出や感情の動員、やりとりについて考察をする。

    DOI CiNii

  • トランスローカル・アートの可能性:「第四世界的状況」の民族誌へ

    内藤 順子

    日本文化人類学会研究大会発表要旨集   2008   121 - 121  2008年

     概要を見る

    チリのフォーク・アートをめぐって次のことを考える。国家と貧困層の連帯について。フォーク・アートによって貧困状況の改善を目指す人々について。そして、貧困として排除されている現場の日常に降り立つということ。それを「第四世界的状況」ということばを用いて試論する。

    DOI CiNii

  • 地中海世界における日常生活と邪視

    内藤順子

       2000年03月

    担当区分:筆頭著者

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書籍等出版物

  • 取るに足らないものたちの民族誌:チリにおける開発支援をめぐる人類学

    内藤順子( 担当: 単著)

    春風社  2023年02月 ISBN: 486110825X

  • ジェンダー暴力の文化人類学 : 家族・国家・ディアスポラ社会

    内藤順子( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 痛みと記憶―チリ・軍政下を生き抜く女性たち)

    昭和堂  2021年02月 ISBN: 9784812220184

  • 職場・学校で活かす現場グラフィー : ダイバーシティ時代の可能性をひらくために

    内藤順子( 担当: 分担執筆,  担当範囲: はじまりはテイクノーツから)

    明石書店  2021年02月 ISBN: 9784750351445

  • 実践と感情

    内藤順子( 担当: 分担執筆,  担当範囲: スラム観光をめぐる感情的葛藤のフィールドノート)

    春風社  2015年09月

  • 支援のフィールドワーク―開発と福祉の現場から

    小國 和子, 亀井 伸孝, 飯嶋 秀治( 担当: 共著,  担当範囲: 「チリの開発プロジェクトでの偶然の出会い」)

    世界思想社  2011年03月 ISBN: 4790715221

    ASIN

  • 「境界」の今を生きる : 身体から世界空間へ・若手一五人の視点

    荒川 歩, 川喜田 敦子, 谷川 竜一, 内藤 順子, 柴田 晃芳

    東信堂  2009年 ISBN: 9784887139046

  • アクション別フィールドワーク入門

    武田 丈, 亀井 伸孝( 担当: 共著,  担当範囲: 「途上国」の相手に教える)

    世界思想社  2008年03月 ISBN: 4790713113

    ASIN

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講演・口頭発表等

  • チリの軍政下を生き抜く女性たち:拷問からの生還と、終わらない痛み

    内藤順子  [招待有り]

    立教大学ラテンア メリカ研究所公開講演第50回現代のラテンアメリカ  

    発表年月: 2020年01月

  • 軍政後の日常と抵抗 社会運動:<抵抗>の表現

    内藤順子

    科研共同研究会「ラテンアメリカ社会における政治的カタストロフ後の日常的位相」  

    発表年月: 2019年02月

  • 開発の人類学:しあわせの描きかた

    内藤順子

    NPO法人ウエルビーイング附属研究所公開講座  

    発表年月: 2018年09月

  • はじまらなかったスラムツーリズム:観光開発の成功と失敗の条件について考える

    内藤順子  [招待有り]

    立命館大学公開国際シンポジウム「スラムツーリズムの展開――その多様性と創造性」  

    発表年月: 2018年08月

  • 「ふつうとは何か・しあわせとは何か:「境界」をめぐる問題について考える」

    内藤順子  [招待有り]

    王立プノンペン大学講演  

    発表年月: 2018年03月

  • 独裁の「真実と正義」:チリ軍政下を生きた女性たちの終わらない傷み「

    内藤順子

    科研共同研究会:ジェンダーにもとづく<暴力複合>の文化人類学的研究  

    発表年月: 2018年02月

  • 暴力にあふれる世界を見つめなおす

    内藤順子  [招待有り]

    築地本願寺降誕会式典  

    発表年月: 2017年06月

  • シンポジウム「地域社会を創る」コーディネート

    内藤順子

    早稲田人類学会  

    発表年月: 2015年01月

  • 共生社会について考える:国際協力の現場から

    内藤順子  [招待有り]

    武蔵野女子学院高等学校報恩講  

    発表年月: 2013年11月

  • 聖地空間の「おもてなし」をめぐる一考察――サンチャゴ・デ・コンポステラを例に

    内藤順子

    九州人類学研究会(日本文化人類学会九州・沖縄地区研究懇談会)  

    発表年月: 2013年10月

  • スラム観光の実施をめぐる感情的葛藤

    内藤順子

    日本文化人類学会第47回研究大会   (慶應大学(三田キャンパス)) 

    発表年月: 2013年06月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • チリ軍政下における拷問から生還した女性たちの民族誌的研究

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(C)

    研究期間:

    2023年04月
    -
    2027年03月
     

  • 取るに足らないものたちの民族誌――チリにおける開発支援をめぐる人類学

    日本学術振興会  科学研究費補助金 研究成果公開費

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2023年03月
     

  • ラテンアメリカにおける政治的カタストロフ後の日常的位相

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(B)

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2023年03月
     

    石田智恵

  • 応答の人類学:フィールド、ホーム、エデュケーションにおける学理と技法の探求

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(A)

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2021年03月
     

    清水展

  • <ジェンダーに基づく暴力複合>の文化人類学的研究

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(A)

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2020年03月
     

    田中雅一

  • カンボジアにおける障害児地域リハビリテーション展開にむけた人類学的調査研究

    早稲田大学  特定課題研究(B)

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2019年03月
     

    内藤順子

  • カンボジアにおける文化人類学的開発支援のための基礎研究

    早稲田大学  特定課題基礎助成

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2018年03月
     

    内藤順子

  • 高密度デジタルデバイスを用いた<ひと>焦点化フィールドワーク手法の開拓

    科学研究費補助金挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2017年03月
     

    内藤順子

  • 「アラブの春」の社会史的研究―エジプト「1月25日革命」を中心に―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2016年03月
     

    大稔 哲也, 池田 美佐子, 山岸 智子, 岩崎 えり奈, 齋藤 剛, 植村 清加, 内藤 順子

     概要を見る

    本科研では、「アラブの春」について、エジプト1月25日革命を中心として、その実態と性格、背景、歴史的意義について、詳細な共同研究を行った。その際に、エジプトの過去の革命や他のアラブ諸国・中東諸国の事例、南米やフランスの事例などとの比較検討も遂行し、歴史学・人類学・社会学など複数の方法論を併用することによって、多面的な考察を深めるよう心掛けた。また、エジプトやチュニジアをはじめとする現地の研究者との連携を密にすると共に、国内の若手研究者を中心に糾合した研究会を連続して開催し、本テーマに関する研究者のネットワーク構築を進めた。そして、これらによって、本研究テーマに関する研究書の刊行を準備した。

  • 「まちづくり的地域リハビリテーション活動」の人類学的研究

    早稲田大学  特定課題基礎助成研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2016年03月
     

    内藤順子

  • 同時代の喫緊課題に対する文化人類学の<応答>可能性の検討

    日本学術振興会 

    研究期間:

    2014年03月
    -
    2016年03月
     

    清水展

  • 感情と実践-開発人類学の新たな地平-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    関根 久雄, 小國 和子, 内藤 順子, 白川 千尋, 藤掛 洋子

     概要を見る

    認知科学において、感情喚起のプロセスを理解する理論に認知的評価というものがある。感情は自己と事象の関連性に関する主観的評価によって生じるというものである。つまり、事象→認知的評価→感情という流れがあり、感情表現は評価や解釈の表明ということである。重要なのは感情をどのように理解するかということであり、そのことを実践に結びつけることである。本研究では、感情社会学及び人類学における議論を手がかりにその点に関する文献研究を行い、それをふまえてオセアニア、東南アジア、ラテンアメリカにおける具体的な事例に関する民族誌的記述を通じて、開発に関わる人々の感情「管理」と開発実践の成果との連続性について例証した。

  • スラム観光をめぐる人類学的研究―ラテンアメリカの現状から

    文部科学省  科学研究費補助金(若手研究(B))

    内藤 順子

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Misc

  • コロナ禍前夜

    内藤順子

    感性と対話   3 ( 1 ) 53 - 58  2020年06月

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)  

  • 支援における「受動的差し控え」という心得について

    内藤順子

    感性と対話=Senses & Narratives   2 ( 1 ) 46 - 52  2019年01月

    速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)  

    DOI

  • 専門知のリハビリテーション<強者>の論理をひらく

    内藤順子

    感性と対話   1 ( 1 ) 21 - 31  2018年06月

  • プロプアー・ツーリズムの可能性 : チリにおける「スラム観光」から考える (特集 「観光」の可能性)

    内藤 順子

    交流文化   12 ( - ) 22 - 33  2012年02月

    CiNii

  • 第8回オータム・セミナー「フィールドワークの原液」 関根康正氏の報告記録

    内藤 順子

    九州人類学会報   ( 37 ) 88 - 94  2010年

    CiNii

  • 今を生きるストリート・エスノグラフィーの実践 : すれ違う権力のまなざしとストリートのまなざし : 社会環境を映し出す身体―見えにくい闘争の場所 : ストリートに育まれる身体―チリ・サンチャゴ市の「貧困空間」から

    内藤 順子, Naito Junko, ナイトウ ジュンコ

    国立民族学博物館調査報告   80   245 - 270  2009年03月

    CiNii

  • 「下からの」人類学的開発援助--チリにおける地域リハビリテーションの実践から (特集 人類学と開発援助)

    内藤 順子

    国際開発研究   17 ( 2 ) 77 - 91  2008年11月

    CiNii

  • 野村雅一著『しぐさの人類学』

    内藤 順子

    民博通信   111   25 - 25  2005年12月

    CiNii

  • 江口信清編, 『貧困の文化再考』, 東京, 有斐閣, 1998 年, 326 頁, 5,200 円(+税)

    内藤 順子

    民族學研究   66 ( 4 ) 510 - 514  2002年03月

    CiNii

  • 青柳まちこ編著, 『開発の文化人類学』, 東京, 古今書院, 2000年, X+240頁, 2,500円+税

    内藤 順子

    民族學研究   65 ( 4 ) 407 - 408  2001年03月

    CiNii

  • 日常生活のなかの邪視--邪視論再考

    内藤 順子

    西日本宗教学雑誌   ( 22 ) 66 - 79  2000年

    CiNii

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 理工学術院   大学院先進理工学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2024年

    理工学術院総合研究所   兼任研究員

特定課題制度(学内資金)

  • チリ軍政下における拷問から生還した女性たちの民族誌的研究

    2023年  

     概要を見る

    1973年9月チリで軍事クーデターが起きてから今年で50年になる。15年あまりの軍政下では市民への虐殺と拷問が横行し、人びとは家族や親しい人を失い、自由を奪われ、いわれのない理由で拷問されて殺された。拷問から生き延びた人たちも数多くいるが、みな心身に傷を抱えたまま生きている。そうした、国家や独裁者による暴力を裁くために、そして繰り返さないために、「真実と和解委員会」に語られる証言は数多あっても、語られない、沈黙してきた忘れられない痛みのほうが圧倒的に多い。それがいま、半世紀の節目に転機が訪れている。2023年3月に行われた世論調査の結果、軍政が敷かれた過去に感心がないという回答が4割をこえ、軍政肯定派が否定派を上回るのも時間の問題となっているかのような結果となった。具体的には国民の60%が過去のクーデターに関心がないと答え、40%弱がクーデターが起きたのは当時のアジェンデ政権に大半の責任があるとの見方を示す。36%は「クーデターは正しかった」と肯定し、39%は「軍政がチリの経済成長を促して近代化を進めた」と評価した。2023年7月に大統領が「クーデターは認めない」とする共同宣言に署名するよう各党に呼びかけたが、野党の一部は拒否した。その危機感からか、薄れゆく記憶、国民意識をまえに、これまで語ろうとしなかった拷問生還者が口を開き始めた。本研究ではこうしたあらたな語りを記録するとともに無関心層にも焦点をあて、記憶と痛みの継承をめぐるチリ現状について把握することを試みた。また、これまで口を閉ざしていた女性たちについて、社会の要請、理想とするものに従って黙ること、それは軍政以前から現在のフェミサイドに至るまでの、女性への暴力と無関係ではないのではないか、ということも明らかになってきた。単年度で終えられるものではないため、引き続き継続してこの課題と聞き取りの実践に取り組んでいく。

  • 宮城県白石市における地域包括ケアの展開に向けた人類学的実践研究

    2022年  

     概要を見る

    本研究は、宮城県白石におけるいわゆる医療崩壊が懸念される現状について、予防医療と地域包括ケアについての見通しを具体化して実践するための人類学的調査研究である。白石市では公立病院の赤字経営および民営化問題にともなう医師・医療従事者不足や、市全体の医師の高齢化・跡継ぎ不在問題をはじめとした医療崩壊の危機にあるといって過言ではない。平成26年以降は高齢化率が3割を超え、年々その割合は増え続けているのに比例して虚弱高齢者・要介護者も増えている。地域で医師を育てることや、病院再生は困難であるものの、現在ある資源によって可能な限り予防医療や包括ケアを行うことが重要である。そこで本研究ではその確立をどのように実現できるか、民間クリニックを中心にその道筋を探ることに着手した。平成18年から白石市では地域ケアの取り組みを始めたものの、具体的実現には繋がることがなく、ファシリテーターとなる外部の力を必要としていたため、民間クリニックを拠点として、白石市地域包括支援センター、長寿課、民間病院等とも連携しながら、どのような地域ケア展開が可能であるかを具体的に検討し、諸資源をつなぎ、多角的に需要と供給のバランスをはかる人類学調査をもとに実践に繋げていくてはじめとして、講演会を開催した。問題意識の共有と方向性の確認ができたかに思われたが、官民の連携にはいくつかのハードルがあることも同時に明らかになった。

  • カンボジアにおける身体障害児地域リハビリテーション展開にむけた人類学的調査研究

    2022年   潮見泰藏

     概要を見る

    本研究課題では、リハビリ医療分野におけるベトナムとカンボジアの連携をファシリテートする計画であった。具体的には、カンボジアで地域連携室設置の承認を得ているプノンペン郊外カンダール州小児病院と、ホーチミン市国立チョーライ病院との協力関係と人材交流を展開・促進する予定であった。しかしながら、チョーライ病院での調査およびホーチミン市における障害者の地位や状況を目の当たりにするにつれて、カンボジアとの連携は時期尚早であるとの認識に至った。各国におけるリハビリ医療をめぐる事情の詳細把握が必須であり、障害者の地位向上や、病院が少ないなかでの手技向上や地域リハ展開を実施する計画に切り替える必要性を確認した。

  • カンボジアにおける地域基盤型医療展開にむけた人類学的調査研究

    2021年  

     概要を見る

    世界的にCOVID-19の感染症対応が喫緊の課題となっとなっていた状況下では、カンボジアにおいて緊急に命にかかわらないリハビリ分野への着手は、据え置きとなったことが否めない。またカンボジアでの渡航調査ができなかったことから、将来的にカンボジアでの調査研究に応用可能なものとして、国内における地域医療研究に切り替えた。具体的には、宮城県白石市の医療崩壊の現状の把握と地域包括ケア計画の提案と実践の道筋を描くことである。おもに予防医療とケアの届かないところを念頭に置いた計画に着手するこの白石市での経験は、カンボジアでのリハ展開にも多くの示唆を含むものであった。

  • チリにおける地域基盤型医療の展開にむけた人類学的実践研究:大学と地域の連携を軸に

    2020年  

     概要を見る

    本研究は、チリにおける実効性のある地域基盤型リハビリテーション展開にむけた人類学的実践研究の一端を担うものである。リハビリテーションとは医療機関での診療だけで完結するものではなく、むしろ日常的な継続を必要とするが、地域生活にはその継続を阻害する要因も多い。そこで、地域・病院・阻害要因それぞれの事情に寄り添う人類学的視点によるファシリテーションのもと、「大学と地域の連携を軸とした地域基盤型リハモデル」を試行することを目的として、必要な資源(地域における人材資源、組織、インフラ)についてフィールドワークを通して把握し、必要に応じて創造・再構築・活用(転用)する予定であった。しかしパンデミックの影響により渡航を断念することとなった。かわりに、オンラインによりチリ・サンチャゴ市の聖トマス大学保健学部の地域実習についてのプランニングについてできる範囲の意見交換を行った。

  • チリの医療職専門教育における地域指向型カリキュラムの提案に向けた人類学的研究

    2019年  

     概要を見る

    本研究は、チリにおけるリハビリテーション専門職教育について、地域指向性を重視したシステムに構築しなおすことを目的とする実践的調査研究の、一端を担う。リハビリテーション(以下、リハ)とは医療機関での診療で完結するものではなく、むしろ日常的な継続を必要とするが、地域生活には継続を阻害する要因も多い。専門職者はそうした問題への対応力が求められるものの、チリにおける従来のリハ専門職教育は、医療機関での診療を前提とした病院主体カリキュラムとなっている。高齢社会にむかうチリでよりいっそう地域主体のリハが望まれるいま、地域指向性をもつ専門職者とそれを育てるシステムつまり地域指向性教育の導入は急務である。そこで本研究では、研究期間と資金額に鑑み、このカリキュラムのパイロットモデルの考案に必要なフィールド科学的視点からの調査のうち、人的・物的資源の有無と利用可能性についての調査を実施する計画であった。そのための準備としてチリ国立ペドロ・アギレ・セルダ・リハビリテーション研究所理学療法士および地域リハ推進室、チリサント・トマス大学とともにオンラインでの会合を実施して年度末のチリ渡航にむけて準備をすすめていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により急遽渡航を中止せざるを得なくなった。渡航先がチリであり、その段階では研究費の繰り越し不可であったため、これまで蓄積してきた動画及び画像資料等保存と、オンラインでの会議を実施するための端末モバイルPC購入費用に充てた。計画は順調に進んでおり、渡航調査において対面でのカリキュラムの詰め作業および対象となる学生や地域の専門職者への聞き取りを実施しラポールを築く予定であったので、コロナ収束後にそれを実現する考えである。

  • カンボジアにおける文化人類学的開発支援のための基礎研究

    2018年  

     概要を見る

    本研究はカンボジアの身体障害児に対する地域リハビリテーション展開にむけた、理学療法学との協働による文化人類学的調査研究である。しかし、カンボジアのあらゆる分野が支援で成り立っているということ、障害者の人権が必ずしも保護されていないことをはじめ、この目的達成には課題が山積しており、すぐに辿り着けるものではないため、本研究では「地域リハ展開の道筋を企図する」というところまでを研究期間に達成することを目標とし、概ね達成できたと考えてる。

  • カンボジアにおける障害児地域リハビリテーション展開にむけた人類学的調査研究

    2018年   潮見泰藏

     概要を見る

    カンボジアにおけるリハビリテーション分野に焦点を当てた地域医療展開を目指すにあたり、人類学的視点による現地調査を実施し、まずはリハビリテーション分野の現状・障害観念等の把握につとめた。各国援助機関・組織による機関・資金限定の単発的なプロジェクトは過去にあるものの、国家としての医療体制は未整備であることが明らかとなった。障害分類もきわめて大雑把かつ統一されておらず、そもそも人権も与えられていないに等しい扱いも散見され、地域医療展開にいたるまでの道のりの遠さを認識した一方、しなければならないことがまた明確となった。

  • 予防医療活動による地域づくりの可能性にかんする人類学的調査研究

    2017年  

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    日本では1970年代終盤から「健康日本21」というスローガンのもと健康増進活動が行われてきた。しかし多くは官主体で予算がある限りで実施されるにすぎず、地域住民の主体性的ムーヴメントにはなっておらず、市民の健康活動参加意欲向上に結びつく働きかけともなっていない。民主体というと、ワンコインのスポーツジムなど、意欲ある個人が健康の維持向上を目指せる施設は登場したが、無料で、個人の健康行動を促すような地域の仕組みづくりとはなっていなかった。本研究対象の千歳市での実践例は、予算がなくても実現できる「高齢化時代の健康日本とその環境づくり」として可能性があることをフィールドワークから明らかにすることができた。

  • 「健康増進活動」と地域再構築をめぐる人類学的調査研究

    2016年  

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    単年度の研究として、「まちづくり的地域リハビリテーション活動」について、その現状と構築プロセス、課題などを、現地調査によって把握することを目指した。「まちづくり」の発想と医療が結びつけられる例が殆どないなか、北海道千歳リハビリテーション学院による「健康増進教室」の取組みに焦点を当てた。地域医療においてはそうした活動を必要とする当事者だけではなく、地域を巻き込むことで理解を得て活動をしやすくすることは考えられてきたが、「まちづくり」そのものも目的にしながら地域医療を展開するという実践は新しい。そうした実践の試行錯誤の具体を追うことができ、今後の「高齢社会にむけた地域再構築」への足掛かりとなった。

  • 「まちづくり的地域リハビリテーション活動」の人類学的調査研究

    2015年  

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    単年度の研究として、「まちづくり的地域リハビリテーション活動」について、その現状と構築プロセス、課題などを、現地調査によって把握することを目指した。「まちづくり」の発想と医療が結びつけられる例が殆どないなか、北海道千歳リハビリテーション学院による「健康増進教室」の取組みに焦点を当てた。地域医療においてはそうした活動を必要とする当事者だけではなく、地域を巻き込むことで理解を得て活動をしやすくすることは考えられてきたが、「まちづくり」そのものも目的にしながら地域医療を展開するという実践は新しい。そうした実践の試行錯誤の具体を追うことができ、今後の「高齢社会にむけた地域再構築」への足掛かりとなった。

  • 「貧困からうまれた芸術」をめぐる人類学的研究

    2013年  

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     1973年から15年続いたチリ軍政時代の貧困地区において、人びとの連帯は強固であった。福祉政策の見直しから失業率が高まり、男性の仕事がなくなり、女性が稼いで家庭を守るしかなくなった。貧困地区では共同鍋や作業所が組織され、それらはときに反軍政運動の拠点となる経験をしながら一定の機能を果たしつつ1990年代半ばまで続く。そうした作業所で編み出されたのが、アルピジェラである。アルピジェラとはスペイン語で麻や綿で平織りした織地を意味するが、チリでは、刺繍と端切れでつくる民芸品をさす。それは、軍政下で捕えられて行方不明になった人間をさがしている人や、拷問で死亡した家族をもつ者が、政府を批判する手だてとして、行方不明・死亡者の衣類の端切れや手に入る素材の寄せ集めて作りはじめたものである。困窮した生活で資源がないときには、糸の代わりに毛髪を使ったりもした。刺繍とパッチワークで、アンデス山脈と女性の労働姿を描くのが基本的な決まりごとであった。なかには軍人による拷問の様子や、警官隊による虐殺風景の図を描いたことで捕まって拷問を受けた女性もいた。いずれにしても反政府表明のツールとして作られ、時代が下ってからはそれを記憶しておくために続けられ、やがてチリ独特の装飾民芸品として定着し、観光客相手のみやげとして売られるほか、気持ちを込めた贈答やお礼の品としてやりとりされてきた。 そうした歴史をもつアルピジェラが、現在ではNGOの支援のもと、低所得者層の女性たちの一部によってつくられ続けられており、観光民芸品市場にアンテナショップができ、同時に、フェア・トレードの商品として販売されるようになった。本研究はこうした展開について通時・共時的な把握を目的として現地調査を行い、グローバル化する世界のもとで生きる貧困者の現在の一端を明らかにするこ試みである。 報告者はこのアルピジェラ製作に実際に参加し、その茶の間のような空間で作られたそれが、ネットに出されて世界のどこかで見られて「3Dアート」という呼び名で買われていくことを経験した。「茶の間の裁縫」と「3Dアート」とのあいだにあるギャップは、ネット空間からは見えるものではない。客観的には、チリの民芸品がフェア・トレードのネット販売という方法によって国境をこえていくというただそれだけのことだが、貧困者(の営みや、都合や、思いつきを)主体として見た場合の「貧困の国際化」(貧困空間の国境越え)という意味で、大きな出来事である。 本研究では、このような、大きな革命的出来事ではないが、「方々で営まれている些細なプロジェクト」(『連帯経済の可能性(ハーシュマン2008(1984))』より着想)としてのアルピジェラとフェア・トレードをめぐる展開の基礎と、その足がかりを十分につかむことができたと考えている。

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