Updated on 2023/05/28

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NAITO, Junko
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering, School of Creative Science and Engineering
Job title
Professor
Degree
2020/01 Waseda University Doctor of Human Sciences
Profile

2015年4月-2020年3月 早稲田大学理工学術院准教授
2013年4月-2015年3月 早稲田大学理工学術院専任講師
2011年4月-2013年3月 立教大学観光学部助教
2007年4月-2010年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)

Research Experience

  • 2011.04
    -
    2013.03

    Rikkyo University   College of Tourism

  • 2007.04
    -
    2010.03

    日本学術振興会   特別研究員PD

  • 2000.04
    -
    2007.03

    九州大学大学院   人間環境学府   博士課程

  • 1998.04
    -
    2000.03

    九州大学大学院   人間環境学研究科   修士課程

  • 1996.04
    -
    1998.03

    筑波大学大学院修士課程   地域研究研究科

  • 1992.04
    -
    1996.03

    Japan Women's University   Faculty of Humanities

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Committee Memberships

  • 2020.01
    -
     

    現代文化人類学会(旧早稲田文化人類学会)  理事

  • 2012.04
    -
    2014.03

    日本文化人類学会  関東地区研究懇談会幹事

  • 2011.04
    -
    2012.03

    日本文化人類学会  第25期選挙管理委員

Professional Memberships

  • 2013.04
    -
    Now

    現代文化人類学会

  •  
     
     

    THE JAPAN SOCIETY FOR INTERNATIONAL DEVELOPMENT

  •  
     
     

    THE JAPANESE SOCIETY OF CULTURAL ANTHROPOLOGY

Research Areas

  • Cultural anthropology and folklore

Research Interests

  • 軍政下の拷問

  • 環境と身体

  • Dolor y memoria

  • 専門知

  • カンボジア

  • 予防医療

  • Community based rehabilitation

  • チリ

  • 貧困

  • 文化人類学

  • 巡礼

  • 聖母信仰

  • 支援

  • スラム観光

  • ラテンアメリカ

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Papers

  • An Anthropology of Realities of Development: Towards a “Rehabilitation” of Professional Knowledge

    Junko NAITO

       2020.01

    Authorship:Lead author

  • 「地域社会を創る:人から描く街の民俗誌」

    内藤順子

    文化人類学研究   16   2 - 3  2015.09

  • スラム観光をめぐる感情的葛藤のフィールドノート

    内藤順子

    実践と感情     184 - 206  2015.09

  • 小さき人びとたちのプロジェクト:様ざまな他者の価値観のあいだで生きること

    内藤順子

    人文社会科学研究   ( 55 ) 215 - 232  2015.03

  • Slum tourism and emotional conflict

    NAITO JUNKO

    Abstracts of the Annual Meeting of the Japanese Society of Cultural Anthropology   2013   203 - 203  2013

    DOI CiNii

  • Potentiality for the Translocal Folk Art

    NAITO JUNKO

    Abstracts of the Annual Meeting of the Japanese Society of Cultural Anthropology   2008   121 - 121  2008

    DOI CiNii

  • La vida cotidiana y el mal de ojo en el mundo mediterráneo

    Junko NAITO

       2000.03

    Authorship:Lead author

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Books and Other Publications

  • Etnografía de lo Insignificante: Antropología a cerca de la realidad del apoyo al desarrollo en Chile

    Junko NAITO( Part: Sole author)

    2023.02 ISBN: 486110825X

  • Antropología cultural de la violencia de género

    ( Part: Contributor, Dolor y memoria: mujeres que sobreviven al golpe de estado en Chile)

    2021.02 ISBN: 9784812220184

  • Métodos etnográficos para el trabajo y la escuela

    ( Part: Contributor, Inicio del trabajo de terreno antropológico)

    2021.02 ISBN: 9784750351445

  • 実践と感情

    内藤順子( Part: Contributor, スラム観光をめぐる感情的葛藤のフィールドノート)

    春風社  2015.09

  • 支援のフィールドワーク―開発と福祉の現場から

    小國 和子, 亀井 伸孝, 飯嶋 秀治( Part: Joint author, 「チリの開発プロジェクトでの偶然の出会い」)

    世界思想社  2011.03 ISBN: 4790715221

    ASIN

  • 「境界」の今を生きる : 身体から世界空間へ・若手一五人の視点

    荒川 歩, 川喜田 敦子, 谷川 竜一, 内藤 順子, 柴田 晃芳

    東信堂  2009 ISBN: 9784887139046

  • アクション別フィールドワーク入門

    武田 丈, 亀井 伸孝( Part: Joint author, 「途上国」の相手に教える)

    世界思想社  2008.03 ISBN: 4790713113

    ASIN

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Presentations

  • Mujeres sobrevivientes del golpe de estado chileno: superando la tortura y el sufrimiento sin fin

    Junko NAITO  [Invited]

    Presentation date: 2020.01

  • 軍政後の日常と抵抗 社会運動:<抵抗>の表現

    内藤順子

    科研共同研究会「ラテンアメリカ社会における政治的カタストロフ後の日常的位相」 

    Presentation date: 2019.02

  • 開発の人類学:しあわせの描きかた

    内藤順子

    NPO法人ウエルビーイング附属研究所公開講座 

    Presentation date: 2018.09

  • はじまらなかったスラムツーリズム:観光開発の成功と失敗の条件について考える

    内藤順子  [Invited]

    立命館大学公開国際シンポジウム「スラムツーリズムの展開――その多様性と創造性」 

    Presentation date: 2018.08

  • What is “Normal” : Distinguish or Discrimination

    Junko NAITO  [Invited]

    Presentation date: 2018.03

  • 独裁の「真実と正義」:チリ軍政下を生きた女性たちの終わらない傷み「

    内藤順子

    科研共同研究会:ジェンダーにもとづく<暴力複合>の文化人類学的研究 

    Presentation date: 2018.02

  • 暴力にあふれる世界を見つめなおす

    内藤順子  [Invited]

    築地本願寺降誕会式典 

    Presentation date: 2017.06

  • シンポジウム「地域社会を創る」コーディネート

    内藤順子

    早稲田人類学会 

    Presentation date: 2015.01

  • 共生社会について考える:国際協力の現場から

    内藤順子  [Invited]

    武蔵野女子学院高等学校報恩講 

    Presentation date: 2013.11

  • 聖地空間の「おもてなし」をめぐる一考察――サンチャゴ・デ・コンポステラを例に

    内藤順子

    九州人類学研究会(日本文化人類学会九州・沖縄地区研究懇談会) 

    Presentation date: 2013.10

  • スラム観光の実施をめぐる感情的葛藤

    内藤順子

    日本文化人類学会第47回研究大会  (慶應大学(三田キャンパス)) 

    Presentation date: 2013.06

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Research Projects

  • チリ軍政下における拷問から生還した女性たちの民族誌的研究

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(C)

    Project Year :

    2023.04
    -
    2027.03
     

  • 取るに足らないものたちの民族誌――チリにおける開発支援をめぐる人類学

    日本学術振興会  科学研究費補助金 研究成果公開費

    Project Year :

    2022.04
    -
    2023.03
     

  • ラテンアメリカにおける政治的カタストロフ後の日常的位相

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(B)

    Project Year :

    2018.04
    -
    2023.03
     

    石田智恵

  • 応答の人類学:フィールド、ホーム、エデュケーションにおける学理と技法の探求

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(A)

    Project Year :

    2016.04
    -
    2021.03
     

    清水展

  • <ジェンダーに基づく暴力複合>の文化人類学的研究

    日本学術振興会  科学研究費補助金基盤研究(A)

    Project Year :

    2016.04
    -
    2020.03
     

    田中雅一

  • カンボジアにおける障害児地域リハビリテーション展開にむけた人類学的調査研究

    早稲田大学  特定課題研究(B)

    Project Year :

    2018.04
    -
    2019.03
     

    内藤順子

  • カンボジアにおける文化人類学的開発支援のための基礎研究

    早稲田大学  特定課題基礎助成

    Project Year :

    2017.04
    -
    2018.03
     

    内藤順子

  • 高密度デジタルデバイスを用いた<ひと>焦点化フィールドワーク手法の開拓

    科学研究費補助金挑戦的萌芽研究

    Project Year :

    2015.04
    -
    2017.03
     

    内藤順子

  • 「まちづくり的地域リハビリテーション活動」の人類学的研究

    早稲田大学  特定課題基礎助成研究

    Project Year :

    2015.04
    -
    2016.03
     

    内藤順子

  • 同時代の喫緊課題に対する文化人類学の<応答>可能性の検討

    日本学術振興会 

    Project Year :

    2014.03
    -
    2016.03
     

    清水展

  • スラム観光をめぐる人類学的研究―ラテンアメリカの現状から

    文部科学省  科学研究費補助金(若手研究(B))

    内藤 順子

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Misc

  • The Pandemic of Coronavirus has coming

    Junko NAITO

    Senses & narratives   3 ( 1 ) 53 - 58  2020.06

    Rapid communication, short report, research note, etc. (bulletin of university, research institution)  

  • “Passive Forbearance” for International Support

    Junko NAITO

      2 ( 1 ) 46 - 52  2019.01

    Rapid communication, short report, research note, etc. (scientific journal)  

    DOI

  • Rehabilitation for professional knowledge

    Junko NAITO

    Senses&Narratives   1 ( 1 ) 21 - 31  2018.06

  • プロプアー・ツーリズムの可能性 : チリにおける「スラム観光」から考える (特集 「観光」の可能性)

    内藤 順子

    交流文化   12 ( - ) 22 - 33  2012.02

    CiNii

  • 第8回オータム・セミナー「フィールドワークの原液」 関根康正氏の報告記録

    内藤 順子

    九州人類学会報   ( 37 ) 88 - 94  2010

    CiNii

  • 今を生きるストリート・エスノグラフィーの実践 : すれ違う権力のまなざしとストリートのまなざし : 社会環境を映し出す身体―見えにくい闘争の場所 : ストリートに育まれる身体―チリ・サンチャゴ市の「貧困空間」から

    内藤 順子, Naito Junko, ナイトウ ジュンコ

    国立民族学博物館調査報告   80   245 - 270  2009.03

    CiNii

  • Anthropological development aid from the "bottom perspective": from the practice of community based rehabilitation in Chile

    Journal of international development studies   17 ( 2 ) 77 - 91  2008.11

    CiNii

  • 野村雅一著『しぐさの人類学』

    内藤 順子

    民博通信   111   25 - 25  2005.12

    CiNii

  • 江口信清編, 『貧困の文化再考』, 東京, 有斐閣, 1998 年, 326 頁, 5,200 円(+税)

    内藤 順子

    民族學研究   66 ( 4 ) 510 - 514  2002.03

    CiNii

  • 青柳まちこ編著, 『開発の文化人類学』, 東京, 古今書院, 2000年, X+240頁, 2,500円+税

    内藤 順子

    民族學研究   65 ( 4 ) 407 - 408  2001.03

    CiNii

  • 日常生活のなかの邪視--邪視論再考

    内藤 順子

    西日本宗教学雑誌   ( 22 ) 66 - 79  2000

    CiNii

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Syllabus

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Sub-affiliation

  • Faculty of Science and Engineering   Graduate School of Advanced Science and Engineering

  • Affiliated organization   Global Education Center

Research Institute

  • 2022
    -
    2024

    Waseda Research Institute for Science and Engineering   Concurrent Researcher

Internal Special Research Projects

  • カンボジアにおける身体障害児地域リハビリテーション展開にむけた人類学的調査研究

    2022   潮見泰藏

     View Summary

    本研究課題では、リハビリ医療分野におけるベトナムとカンボジアの連携をファシリテートする計画であった。具体的には、カンボジアで地域連携室設置の承認を得ているプノンペン郊外カンダール州小児病院と、ホーチミン市国立チョーライ病院との協力関係と人材交流を展開・促進する予定であった。しかしながら、チョーライ病院での調査およびホーチミン市における障害者の地位や状況を目の当たりにするにつれて、カンボジアとの連携は時期尚早であるとの認識に至った。各国におけるリハビリ医療をめぐる事情の詳細把握が必須であり、障害者の地位向上や、病院が少ないなかでの手技向上や地域リハ展開を実施する計画に切り替える必要性を確認した。

  • カンボジアにおける地域基盤型医療展開にむけた人類学的調査研究

    2021  

     View Summary

    世界的にCOVID-19の感染症対応が喫緊の課題となっとなっていた状況下では、カンボジアにおいて緊急に命にかかわらないリハビリ分野への着手は、据え置きとなったことが否めない。またカンボジアでの渡航調査ができなかったことから、将来的にカンボジアでの調査研究に応用可能なものとして、国内における地域医療研究に切り替えた。具体的には、宮城県白石市の医療崩壊の現状の把握と地域包括ケア計画の提案と実践の道筋を描くことである。おもに予防医療とケアの届かないところを念頭に置いた計画に着手するこの白石市での経験は、カンボジアでのリハ展開にも多くの示唆を含むものであった。

  • チリにおける地域基盤型医療の展開にむけた人類学的実践研究:大学と地域の連携を軸に

    2020  

     View Summary

    本研究は、チリにおける実効性のある地域基盤型リハビリテーション展開にむけた人類学的実践研究の一端を担うものである。リハビリテーションとは医療機関での診療だけで完結するものではなく、むしろ日常的な継続を必要とするが、地域生活にはその継続を阻害する要因も多い。そこで、地域・病院・阻害要因それぞれの事情に寄り添う人類学的視点によるファシリテーションのもと、「大学と地域の連携を軸とした地域基盤型リハモデル」を試行することを目的として、必要な資源(地域における人材資源、組織、インフラ)についてフィールドワークを通して把握し、必要に応じて創造・再構築・活用(転用)する予定であった。しかしパンデミックの影響により渡航を断念することとなった。かわりに、オンラインによりチリ・サンチャゴ市の聖トマス大学保健学部の地域実習についてのプランニングについてできる範囲の意見交換を行った。

  • チリの医療職専門教育における地域指向型カリキュラムの提案に向けた人類学的研究

    2019  

     View Summary

    本研究は、チリにおけるリハビリテーション専門職教育について、地域指向性を重視したシステムに構築しなおすことを目的とする実践的調査研究の、一端を担う。リハビリテーション(以下、リハ)とは医療機関での診療で完結するものではなく、むしろ日常的な継続を必要とするが、地域生活には継続を阻害する要因も多い。専門職者はそうした問題への対応力が求められるものの、チリにおける従来のリハ専門職教育は、医療機関での診療を前提とした病院主体カリキュラムとなっている。高齢社会にむかうチリでよりいっそう地域主体のリハが望まれるいま、地域指向性をもつ専門職者とそれを育てるシステムつまり地域指向性教育の導入は急務である。そこで本研究では、研究期間と資金額に鑑み、このカリキュラムのパイロットモデルの考案に必要なフィールド科学的視点からの調査のうち、人的・物的資源の有無と利用可能性についての調査を実施する計画であった。そのための準備としてチリ国立ペドロ・アギレ・セルダ・リハビリテーション研究所理学療法士および地域リハ推進室、チリサント・トマス大学とともにオンラインでの会合を実施して年度末のチリ渡航にむけて準備をすすめていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により急遽渡航を中止せざるを得なくなった。渡航先がチリであり、その段階では研究費の繰り越し不可であったため、これまで蓄積してきた動画及び画像資料等保存と、オンラインでの会議を実施するための端末モバイルPC購入費用に充てた。計画は順調に進んでおり、渡航調査において対面でのカリキュラムの詰め作業および対象となる学生や地域の専門職者への聞き取りを実施しラポールを築く予定であったので、コロナ収束後にそれを実現する考えである。

  • カンボジアにおける文化人類学的開発支援のための基礎研究

    2018  

     View Summary

    本研究はカンボジアの身体障害児に対する地域リハビリテーション展開にむけた、理学療法学との協働による文化人類学的調査研究である。しかし、カンボジアのあらゆる分野が支援で成り立っているということ、障害者の人権が必ずしも保護されていないことをはじめ、この目的達成には課題が山積しており、すぐに辿り着けるものではないため、本研究では「地域リハ展開の道筋を企図する」というところまでを研究期間に達成することを目標とし、概ね達成できたと考えてる。

  • カンボジアにおける障害児地域リハビリテーション展開にむけた人類学的調査研究

    2018   潮見泰藏

     View Summary

    カンボジアにおけるリハビリテーション分野に焦点を当てた地域医療展開を目指すにあたり、人類学的視点による現地調査を実施し、まずはリハビリテーション分野の現状・障害観念等の把握につとめた。各国援助機関・組織による機関・資金限定の単発的なプロジェクトは過去にあるものの、国家としての医療体制は未整備であることが明らかとなった。障害分類もきわめて大雑把かつ統一されておらず、そもそも人権も与えられていないに等しい扱いも散見され、地域医療展開にいたるまでの道のりの遠さを認識した一方、しなければならないことがまた明確となった。

  • 予防医療活動による地域づくりの可能性にかんする人類学的調査研究

    2017  

     View Summary

    日本では1970年代終盤から「健康日本21」というスローガンのもと健康増進活動が行われてきた。しかし多くは官主体で予算がある限りで実施されるにすぎず、地域住民の主体性的ムーヴメントにはなっておらず、市民の健康活動参加意欲向上に結びつく働きかけともなっていない。民主体というと、ワンコインのスポーツジムなど、意欲ある個人が健康の維持向上を目指せる施設は登場したが、無料で、個人の健康行動を促すような地域の仕組みづくりとはなっていなかった。本研究対象の千歳市での実践例は、予算がなくても実現できる「高齢化時代の健康日本とその環境づくり」として可能性があることをフィールドワークから明らかにすることができた。

  • 「健康増進活動」と地域再構築をめぐる人類学的調査研究

    2016  

     View Summary

    単年度の研究として、「まちづくり的地域リハビリテーション活動」について、その現状と構築プロセス、課題などを、現地調査によって把握することを目指した。「まちづくり」の発想と医療が結びつけられる例が殆どないなか、北海道千歳リハビリテーション学院による「健康増進教室」の取組みに焦点を当てた。地域医療においてはそうした活動を必要とする当事者だけではなく、地域を巻き込むことで理解を得て活動をしやすくすることは考えられてきたが、「まちづくり」そのものも目的にしながら地域医療を展開するという実践は新しい。そうした実践の試行錯誤の具体を追うことができ、今後の「高齢社会にむけた地域再構築」への足掛かりとなった。

  • 「まちづくり的地域リハビリテーション活動」の人類学的調査研究

    2015  

     View Summary

    単年度の研究として、「まちづくり的地域リハビリテーション活動」について、その現状と構築プロセス、課題などを、現地調査によって把握することを目指した。「まちづくり」の発想と医療が結びつけられる例が殆どないなか、北海道千歳リハビリテーション学院による「健康増進教室」の取組みに焦点を当てた。地域医療においてはそうした活動を必要とする当事者だけではなく、地域を巻き込むことで理解を得て活動をしやすくすることは考えられてきたが、「まちづくり」そのものも目的にしながら地域医療を展開するという実践は新しい。そうした実践の試行錯誤の具体を追うことができ、今後の「高齢社会にむけた地域再構築」への足掛かりとなった。

  • 「貧困からうまれた芸術」をめぐる人類学的研究

    2013  

     View Summary

     1973年から15年続いたチリ軍政時代の貧困地区において、人びとの連帯は強固であった。福祉政策の見直しから失業率が高まり、男性の仕事がなくなり、女性が稼いで家庭を守るしかなくなった。貧困地区では共同鍋や作業所が組織され、それらはときに反軍政運動の拠点となる経験をしながら一定の機能を果たしつつ1990年代半ばまで続く。そうした作業所で編み出されたのが、アルピジェラである。アルピジェラとはスペイン語で麻や綿で平織りした織地を意味するが、チリでは、刺繍と端切れでつくる民芸品をさす。それは、軍政下で捕えられて行方不明になった人間をさがしている人や、拷問で死亡した家族をもつ者が、政府を批判する手だてとして、行方不明・死亡者の衣類の端切れや手に入る素材の寄せ集めて作りはじめたものである。困窮した生活で資源がないときには、糸の代わりに毛髪を使ったりもした。刺繍とパッチワークで、アンデス山脈と女性の労働姿を描くのが基本的な決まりごとであった。なかには軍人による拷問の様子や、警官隊による虐殺風景の図を描いたことで捕まって拷問を受けた女性もいた。いずれにしても反政府表明のツールとして作られ、時代が下ってからはそれを記憶しておくために続けられ、やがてチリ独特の装飾民芸品として定着し、観光客相手のみやげとして売られるほか、気持ちを込めた贈答やお礼の品としてやりとりされてきた。 そうした歴史をもつアルピジェラが、現在ではNGOの支援のもと、低所得者層の女性たちの一部によってつくられ続けられており、観光民芸品市場にアンテナショップができ、同時に、フェア・トレードの商品として販売されるようになった。本研究はこうした展開について通時・共時的な把握を目的として現地調査を行い、グローバル化する世界のもとで生きる貧困者の現在の一端を明らかにするこ試みである。 報告者はこのアルピジェラ製作に実際に参加し、その茶の間のような空間で作られたそれが、ネットに出されて世界のどこかで見られて「3Dアート」という呼び名で買われていくことを経験した。「茶の間の裁縫」と「3Dアート」とのあいだにあるギャップは、ネット空間からは見えるものではない。客観的には、チリの民芸品がフェア・トレードのネット販売という方法によって国境をこえていくというただそれだけのことだが、貧困者(の営みや、都合や、思いつきを)主体として見た場合の「貧困の国際化」(貧困空間の国境越え)という意味で、大きな出来事である。 本研究では、このような、大きな革命的出来事ではないが、「方々で営まれている些細なプロジェクト」(『連帯経済の可能性(ハーシュマン2008(1984))』より着想)としてのアルピジェラとフェア・トレードをめぐる展開の基礎と、その足がかりを十分につかむことができたと考えている。

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