2024/04/26 更新

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フクヤマ ユウコ
福山 佑子
所属
国際学術院 国際教養学部
職名
准教授
学位
博士(文学) ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2022年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   国際教養学部   准教授

  • 2023年04月
    -
    2023年06月

    Università degli Studi di Firenze   Dipartimento di Storia, Archeologia, Geografia, Arte e Spettacolo   Docenti e ricercatori internazionali

  • 2018年04月
    -
    2022年03月

    早稲田大学   国際教養学部   専任講師

  • 2017年04月
    -
    2018年03月

    日本学術振興会   特別研究員(PD)

  • 2012年04月
    -
    2014年03月

    早稲田大学文化構想学部社会構築論系   助手

  • 2007年04月
    -
    2014年03月

    早稲田大学大学院文学研究科人文科学専攻(西洋史)コース博士後期課程

  • 2007年09月
    -
    2008年08月

    Università degli studi di Firenze, Facoltà di Lettere e Filosofia

  • 2005年04月
    -
    2007年03月

    早稲田大学大学院文学研究科史学(西洋史)専攻修士課程

  • 2001年04月
    -
    2005年03月

    早稲田大学第一文学部西洋史学専修

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所属学協会

  •  
     
     

    歴史学研究会

  •  
     
     

    イタリア学会

  •  
     
     

    古代世界研究会

  •  
     
     

    早稲田大学西洋史研究会

研究分野

  • ヨーロッパ史、アメリカ史   古代ローマ史
 

論文

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書籍等出版物

  • 古代地中海世界と文化的記憶

    周藤芳幸( 担当: 分担執筆,  担当範囲: アインジーデルン碑文集成と中世における古代ローマ碑文の記憶 (418-444頁))

    山川出版社  2022年06月 ISBN: 9784634672550

  • 近代彫刻の先駆者 長沼守敬:史料と研究

    石井元章( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 長沼守敬とジャコモ・ボーニ:ヴェネツィア留学から大正期の日伊交流へ)

    中央公論美術出版  2022年02月 ISBN: 9784805509593

  • ダムナティオ・メモリアエ:つくり変えられたローマ皇帝の記憶

    福山佑子( 担当: 単著)

    岩波書店  2020年10月 ISBN: 9784000614283

  • 論点・西洋史学

    金澤, 周作, 藤井, 崇, 青谷, 秀紀, 古谷, 大輔, 坂本, 優一郎, 小野沢, 透( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 古代の奴隷)

    ミネルヴァ書房  2020年04月 ISBN: 9784623087792

  • 名著で読む世界史120

    池田, 嘉郎, 上野, 愼也, 村上, 衛, 森本, 一夫( 担当: 分担執筆,  担当範囲: タキトゥス『年代記』)

    山川出版社  2016年11月 ISBN: 9784634640634

  • スペインの歴史を知るための50章

    立石, 博高, 内村, 俊太( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第1章 ポエニ戦争とイベリア半島, 第2章 ローマ帝国の属州ヒスパニア)

    明石書店  2016年10月 ISBN: 9784750344157

  • 世界地名大事典 ヨーロッパ・ロシア I-III

    竹内啓一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: イタリアの63項目)

    朝倉書店  2016年03月 ISBN: 9784254168914

  • 歴史学と、出会う : 41人の読書経験から

    歴史学研究会, 宮間, 純一, 鎌倉, 佐保, 藤井, 崇( 担当: 分担執筆,  担当範囲: ピーター・ブラウン『古代から中世へ』)

    歴史学研究会, 青木書店  2015年05月 ISBN: 9784250215001

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講演・口頭発表等

  • Unearthing Emotions: Analyzing Ancient Roman Inscriptions with NLP

    Jun Ogawa, Yuko Fukuyama, Emily Ohman

    The Joint 3rd International Conference on Natural Language Processing for Digital Humanities & 8th International Workshop on Computational Linguistics for Uralic Languages NLP4DH & IWCLUL 2023  

    発表年月: 2023年12月

  • 村川堅固の南イタリア旅行:遺跡探訪と古代への眼差し

    福山佑子

    イタリア言語・文化研究会  

    発表年月: 2023年07月

  • 江戸後期から明治期における西洋古代史研究の歩み:山村才助、箕作阮甫から村川堅固の欧州留学まで

    福山佑子

    古代史の会  

    発表年月: 2023年07月

  • 15-16 世紀イタリアにおけるウェスウィウス山噴火の記憶 :早稲田大学図書館所蔵『ローマ皇帝群像』(1503 年頃)から見るジョルジョ・メルラと古代への関心

    福山佑子

    イタリア言語文化研究会  

    発表年月: 2022年11月

  • ローマ皇帝の「記憶」の構築

    福山佑子

    第71回日本西洋史学会 小シンポジウム I: 古代地中海世界における知の動態と「文化的記憶」  

    発表年月: 2021年05月

  • 近代イタリアにおけるアウグストゥス:アウグストゥス霊廟とローマ皇帝の記憶

    福山 佑子

    歴史学会第43回大会シンポジウム「偉大な君主」をつくりだす:近現代史における集合的記憶のポリティクス  

    発表年月: 2018年12月

  • 古代ローマの記録破壊から見る政治力学:コンモドゥスと二世紀末の元老院

    福山佑子

    2018年度早稲田大学史学会大会  

    発表年月: 2018年10月

  • 近代イタリアにおけるアウグストゥス

    福山佑子

    歴史学会月例会  

    発表年月: 2018年09月

  • 長沼守敬とジャコモ・ボーニ:ヴェネツィア留学から大正期の日伊交流へ

    福山佑子  [招待有り]

    シンポジウム「長沼守敬研究の地平」  

    発表年月: 2018年02月

  • ネロの記録と69年の内乱:帝政初期ローマにおける記憶の破壊と帝位継承

    福山佑子

    イタリア言語・文化研究会第152回例会  

    発表年月: 2018年01月

  • 考古学者ジャコモ・ボーニと大正期の日伊交流

    福山佑子, 共同研究者Myriam Pilutti Namer

    イタリア学会第65回大会  

    発表年月: 2017年10月

  • Nero’s Memory on Inscriptions: Afterlife of his Name and its Meanings on Viae Publicae

    福山佑子

    XV Congressus Internationalis Epigraphiae Graecae et Latinae  

    発表年月: 2017年08月

  • 碑文が伝える記憶:ラテン碑文のコンテクスト

    福山佑子

    第2回古代史研究会春季研究集会  

    発表年月: 2015年03月

  • The intervention of gods in the punishment of “bad” emperors in the Historia Augusta

    福山佑子

    The Tenth Japan-Korea-China Symposium on Ancient History of Europe   (北京) 

    発表年月: 2013年10月

  • 石に刻まれたローマ史

    福山佑子

    早稲田大学史学会連続講演会  

    発表年月: 2012年06月

  • 祭司団記録におけるダムナティオ・メモリアエ―断罪されたローマ皇帝名の削除をめぐって―

    福山佑子

    イタリア言語文化研究会第122回例会  

    発表年月: 2012年01月

  • 消された記録・残された記録―帝政初期ローマにおけるダムナティオ・メモリアエをめぐって―

    福山佑子

    2011年度 京都大学西洋史読書会大会  

    発表年月: 2011年11月

  • Damnatio Memoriae in Roman Society

    福山佑子

    The Ninth Japan-Korea-China Symposium on Ancient History of Europe: Politics and Culture in the Ancient Mediterranean World   (ソウル) 

    発表年月: 2010年10月

  • 古代ローマにおける墓碑の改変

    福山佑子

    日本西洋史学会第60回大会  

    発表年月: 2010年05月

  • ローマにおける碑文の改変をめぐって

    福山佑子

    ミニシンポジウム「古代地中海の碑文文化」   早稲田大学イタリア研究所  

    発表年月: 2010年05月

  • 古代ローマにおける彫像の改変 ─共和政末期・帝政初期ローマの事例から

    福山佑子

    イタリア学会第57回大会  

    発表年月: 2009年10月

  • 彫像改変からみた古代ローマ人のメモリア認識

    福山佑子

    早稲田大学史学会大会  

    発表年月: 2009年10月

  • ドミティアヌス帝の属州統治に関する一考察 -バエティカに於ける記憶抹消処分(damnatio memoriae)を手がかりとして

    福山佑子

    早稲田大学西洋史研究会第50回大会  

    発表年月: 2007年07月

  • フラウィウス朝期のバエティカにおける属州政策

    福山佑子

    イタリア言語・文化研究会第94回例会  

    発表年月: 2007年05月

  • フラウィウス朝期の属州バエティカにおけるMunicipiumの成立

    福山佑子

    第27回スペイン史学会サマーセミナー  

    発表年月: 2006年07月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 帝政前期ローマにおける政権交代と過去の記憶

    日本学術振興会  科学研究費補助金(若手研究)

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

    福山 佑子

  • 帝政初期ローマにおける帝位継承と過去の記憶

    早稲田大学  特定課題研究助成費

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2020年03月
     

    福山 佑子

  • ネロ帝の記憶と死後のイメージ形成

    早稲田大学:特定課題研究助成費 

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2019年03月
     

    福山佑子

  • 帝政前期ローマにおける記録の管理と帝国統治

    日本学術振興会  科学研究費補助金(特別研究員奨励費)

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2018年03月
     

    福山佑子

  • 伝記史料におけるダムナティオ・メモリアエの変容

    早稲田大学  特定課題研究助成費

    研究期間:

    2013年08月
    -
    2014年03月
     

    福山佑子

  • ドミティアヌスの「記憶」と帝位継承

    日本学術振興会  科学研究費補助金(研究活動スタート支援)

    研究期間:

    2012年08月
    -
    2014年03月
     

    福山佑子

     概要を見る

    本研究では、ダムナティオ・メモリアエ(記憶の断罪)を手がかりとして、紀元後96年のドミティアヌスからネルウァへの帝位継承の分析を行った。その結果、ダムナティオ・メモリアエによる記録の破壊行為は叙述史料に残されているほど苛烈ではなかったものの、辺境地域においても広く行われていたことが確認でき、ネルウァやトラヤヌスがローマ軍との関係を重視していた姿が明らかとなった。

  • 帝政初期ローマにおける帝位継承と記憶の断罪

    早稲田大学  特定課題研究助成費

    研究期間:

    2012年06月
    -
    2013年03月
     

    福山佑子

  • 古代ローマにおけるメモリアの改変ーダムナティオ・メモリアエを中心に

    日本学術振興会  科学研究費補助金(特別研究員奨励費)

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2012年03月
     

    福山佑子

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Misc

  • Unearthing Emotions: Analyzing Ancient Roman Inscriptions with NLP

    Jun Ogawa, Yuko Fukuyama, Emily Ohman

    Lightning Proceedings of NLP4DH and IWCLUL 2023     18 - 22  2023年12月  [査読有り]

    DOI

  • <滞在記> フィレンツェ再訪

    福山佑子

    古代世界研究会かいほう   158   6 - 8  2023年11月

  • 回顧と展望:古代ローマ

    福山佑子

    史学雑誌   132 ( 5 ) 92 - 95  2023年06月

  • [書評] 南川高志・井上文則編著『生き方と感情の歴史学―古代ギリシア・ローマ世界の深層を求めて―』

    内川勇海, 福山佑子

    史林   105 ( 3 ) 132 - 138  2022年05月  [査読有り]  [招待有り]

  • [翻訳]キャサリーン・M・コールマン「古代ローマにおける剣闘士競技と野獣競技:近年の発見と研究動向」

    福山佑子

    西洋史論叢   39   51 - 60  2017年12月

  • 記憶の場 アウグストゥス霊廟

    福山佑子

    歴史学研究会月報   680   7 - 8  2016年06月  [招待有り]

  • [書評]ジョン・カナリ―(桑木野幸司訳)『古代ローマの肖像 ―ルネサンスの古銭収集と芸術文化』白水社,2012年

    福山佑子

    日伊文化研究   ( 51 ) 100  2013年03月  [招待有り]

  • 石に刻まれたローマ史(早稲田大学史学会・連続講演会「わたしと歴史学、わたしと考古学,彙報)

    福山 佑子

    史觀   ( 167 ) 137 - 138  2012年09月

    CiNii

  • 彫像改変からみた古代ローマ人のメモリア認識(西洋史部会,二〇〇九年度早稲田大学史学会大会報告)

    福山 佑子

    史觀   ( 162 ) 165 - 166  2010年03月

    CiNii

  • バエティカの都市 : ローマ化と都市有力者(西洋史学専修, 平成十五年度卒業論文要旨)

    福山佑子

    史觀   ( 153 ) 142 - 145  2005年

    CiNii

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その他

  • モニュメントが伝える「記憶」(Waseda ONLINE)

    2024年01月
    -
     

     概要を見る

    https://yab.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/society/20240122.php

  • [企画]2018年日伊協会連続文化セミナー「イタリアの古代美術」

    2018年04月
    -
    2018年08月
  • [企画]2015年日伊協会連続文化セミナー 「古代ローマの皇帝たちとそのイメージ」

    2015年03月
    -
    2015年07月

     概要を見る

    [講演]第1回 首都ローマのモニュメントから見るローマ皇帝のイメージ 2015年3月6日

  • [執筆協力]『プリーモ伊和辞典』白水社、2011年

 

現在担当している科目

 

特別研究期間制度(学内資金)

  • 帝政前期ローマにおける「悪帝」と帝国運営

    2023年04月
    -
    2024年03月

    イタリア   フィレンツェ大学

特定課題制度(学内資金)

  • 15・16世紀イタリアにおけるカッシウス・ディオ『ローマ史』とその受容

    2023年  

     概要を見る

    本研究は3世紀前半に書かれたカッシウス・ディオによる『ローマ史』のテクストが、15・16世紀のイタリアでいかに流通し、作品の内容がいかに受容されたかを明らかにするものである。申請者は早稲田大学図書館所蔵の1503年頃の印刷本に収録された、カッシウス・ディオの作品(正確にはクシフィリヌスによる要約)のラテン語訳とその再録について研究を実施し、2022年度に論文化した。その際に存在を知ったのが、現在ヴェネツィアのマルチャーナ図書館に所蔵されている『ローマ史』の写本2冊である。これらの写本はコンスタンティノープル出身のベッサリオンによって1468年に寄贈されたものであり、この写本を通じてディオのテクストやその翻訳が15世紀末から16世紀にかけて知られることになったと推測できる。そこで、2月17−23日にイタリアのフィレンツェとヴェネツィアにおいて調査を実施した。実質的には18日から22日の4日間の調査であったが、フィレンツェ大学を訪問してこの分野についての研究者と意見交換したほか、フィレンツェ国立図書館での関連文献調査、ヴェネツィアのマルチャーナ図書館での該当写本の調査を実施した。その成果はイタリアの研究雑誌に英語での論文投稿に向けて執筆をすすめている。ディオやその要約であるクシフィリヌスのテクストはギリシア語からのラテン語訳を通じて16世紀に徐々に広く読まれるようになっていくが、本研究の過程で集めた資料をもとにテクストの流布や翻訳の流布がいかに行われたのかを可視化することで、ローマ時代のギリシア語歴史史料がどのようにルネサンス期のイタリアで受容されたのかが明らかになると考えられる。

  • 帝政初期ローマにおける帝位継承と過去の記憶

    2020年  

     概要を見る

    本研究では、帝政初期ローマにおいて生じた帝位継承における「危機」が、いかに後代の皇帝にとって都合の良い形で歴史に織り込まれていったのかという問題から、古代ローマにおける集合的記憶の改変過程の解明を試みた。このような帝位をめぐる「危機」の後、皇帝や元老院はこのような事態を生じさせた「悪帝」の記憶を都合の良いように修正し、特に歴史書などの言論空間を通じて新たな歴史を構築している。そこで、この恣意的な集合的記憶の構築過程を、碑文史料に残された「危機」の時代の記録と、元老院議員等が記した歴史書における「危機」についての叙述の比較という視座から分析した。この研究成果の一部は書籍として刊行している。

  • ネロ帝の記憶と死後のイメージ形成

    2019年  

     概要を見る

     本研究では、68年にネロが自殺に追い込まれた後、彼の生前に皇帝を顕彰するために設置された記録物の帝国各地における扱われ方の地域差を明らかにすることを出発点として、彼の同時代評価と69年の内乱を経てネロの「悪帝」としてのイメージがいかに形成されたのかという問題の解明を試みた。特に、データベース等を活用して地域毎の碑文史料におけるネロへの対応の違いを明らかにすることから、69年に即位した皇帝たちの政治動向を分析し、ネロの同時代評価と「悪帝」イメージの形成過程を明らかにした。研究成果の一部を利用した論文の刊行と研究発表に加え、主な成果は今後刊行予定の書籍において公表する予定である。

  • 伝記史料におけるダムナティオ・メモリアエの変容

    2013年  

     概要を見る

     本研究の目的は、ダムナティオ・メモリアエについての伝記史料の記述の差異を詳細に検討することで、この処分に対するローマ人の見解がどのように変容していったのかを明示することであった。 特に、古代ローマ史の伝記史料として極めて重要な作品である、紀元後2世紀初めに執筆されたスエトニウスの『ローマ皇帝伝』と、4世紀末頃に執筆された作者不詳の『ヒストリア・アウグスタ』を比較し、それぞれにおける皇帝に対するダムナティオ・メモリアエ描写の差異を調べた。その上で、これら2作品におけるダムナティオ・メモリアエについての認識の違いの背景を探り、これらの時期における、ローマ人の皇帝や記録に対する見解の変容を明らかにしようと試みた。 その結果、スエトニウスの記述ではダムナティオ・メモリアエが悪帝に対して元老院が行った記録の破壊行為であったとしてのみ描写されているのに対し、4世紀の『ヒストリア・アウグスタ』では、神々の敵である悪帝に対して行われた報いであったり、神々による懲罰という理由付けのもとに処分が行われており、ダムナティオ・メモリアエに対する神々の介在という特徴があることが判明した。『ヒストリア・アウグスタ』では「神々の敵hostis deorum」という言葉が散見されるが、この言葉は4世紀まで歴史叙述では「悪帝」に対して用いられることのなかった表現である。もっとも、「神の敵」という表現はキリスト教叙述において以前から確認できる。異教よりの人物である作者がこの表現を使っていることは、4世紀の異教の歴史叙述におけるキリスト教の影響についての検討の契機にもなると考えられることから、今後は本研究を発展させる形での研究を進めていきたい。 また、北京師範大学で開催されたThe Tenth China-Korea-Japan Symposium on Ancient European History “City-State, Empire and Identity in the Ancient World”においては、”The intervention of gods in the punishment of “bad” emperors in the Historia Augusta”と題した口頭報告も行っている。

  • 帝政初期ローマにおける帝位継承と記録の断罪

    2012年  

     概要を見る

     古代ローマでは、ダムナティオ・メモリアエと呼ばれる処分が行われていた。これは、当該人物の死後、その人物に関連する記録/記憶を断罪し、公の場から抹消するというものであった。本研究では、これまで行なってきたダムナティオ・メモリアエの基礎研究を踏まえながらも、公的な領域における処分に主眼を移し、皇帝を取り囲む政治抗争の中で記録の断罪がいかに利用されたのかという点に着目して検討を行った。 これに際し、本研究助成を利用して、8月には執政官や宗教祭祀団の暦表、皇帝関連碑文が多数収録されているローマ国立博物館4館において資料撮影を行ったほか、ベルリンのフンボルト大学で、関連する文献史料の複写等を行った。8月27日から31日には、ベルリンで開催された第14回ギリシャ・ローマ国際碑文学会(XIV Congressus Internationalis Epigraphiae Graecae et Latinae)に参加し、ダムナティオ・メモリアエや記録の抹消を扱ったS. Benoist, C. Rouecheらの研究報告を聞いたほか、新発見史料や新たなデータベース構築についてなど、様々な研究テーマの報告から多くの知見を得た。 これらの調査を経て、2013年3月に刊行された『ヨーロッパ・「共生」の政治文化史』において、「クラウディウスによる『共生』の模索とカリグラの記憶」と題した論文を執筆した。これは、カリグラの暗殺からクラウディウスへの帝位継承の際に行われた記録/記憶の破壊を取り上げたもので、皇帝に対して行われたダムナティオ・メモリアエの先駆例とされる事例を、文献史料と碑文史料を組み合わせて検討したものである。特に、碑文史料を時系列に整理した結果、当初はカリグラの記録/記憶を擁護する姿勢を見せたクラウディウスが、徐々にカリグラの記録/記憶に対する攻撃を強めていく過程を明らかにすることができた。またこの時点では、皇帝の死の直後に記録/記憶の破壊が1つの処分として行われたわけではなく、漸次的に破壊行為や「悪帝」としてのイメージ形成が行われていった点を明示できたことも、今後のダムナティオ・メモリアエ研究において1つの布石になると考えている。