2024/04/19 更新

写真a

ササダ エイジ
笹田 栄司
所属
政治経済学術院 政治経済学部
職名
教授
学位
法学博士 ( 九州大学(日本) )

経歴

  • 2012年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   政治経済学術院   教授

  • 2002年04月
    -
    2012年03月

    北海道大学   大学院法学研究科   教授

  • 1995年04月
    -
    2002年03月

    金沢大学   法学部   教授

  • 1988年04月
    -
    1995年03月

    福岡教育大学   教育学部   助教授

学歴

  • 1979年04月
    -
    1981年03月

    九州大学   法学研究科修士課程公法学専攻  

  •  
    -
    1979年03月

    九州大学   法学部  

委員歴

  • 2015年02月
    -
    2021年09月

    人事院  国家公務員採用総合職試験専門委員(記述式:憲法)

  • 2014年11月
    -
    2016年03月

    日本学術振興会科学研究費委員会  専門委員

  • 2010年07月
    -
    2012年03月

    総務省北海道総合通信局  北海道電気通信消費者支援連絡会座長

  • 2009年06月
    -
    2012年03月

    札幌市  情報公開・個人情報保護審査会委員

  • 2006年10月
    -
    2011年09月

    法務省  新司法試験委員(憲法)

所属学協会

  •  
     
     

    日本公法学会

研究分野

  • 公法学

研究キーワード

  • 裁判制度

  • 憲法

 

論文

  • 裁判制度のパラダイムシフト(10・完)行政裁判における「実効的権利救済」のインパクト

    笹田栄司

    判例時報   ( 2545 ) 5 - 18  2023年04月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(9) 違憲判断の「効力」と「拘束力」

    笹田栄司

    判例時報   ( 2529 ) 127 - 140  2022年11月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(8) 訴訟上の和解を媒介にした政策形成ー司法の役割とその限界

    笹田栄司

    判例時報   ( 2514 ) 126 - 138  2022年06月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(7) 民事裁判手続のIT化と憲法

    笹田栄司

    判例時報   ( 2505 ) 126 - 138  2022年03月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(6) 憲法裁判において最高裁判所をサポートするシステム その2-調査官制度

    笹田栄司

    判例時報   ( 2490 ) 111 - 117  2021年10月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(5) ──憲法裁判において最高裁判所をサポートするシステムその1 ──アミカスキュリィ

    笹田栄司

    判例時報   ( 2483 ) 122 - 132  2021年07月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(4) 最高裁判所の構造分析ー「二重の役割」を担う違憲審査制の宿命

    笹田栄司

    判例時報   ( 2471 ) 148 - 160  2021年04月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(3) 判例における「裁判を受ける権利の過小な役割」

    笹田栄司

    判例時報   ( 2458 ) 2 - 13  2020年12月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(2) 判例に現れた『司法権』の批判的検討

    笹田栄司

    判例時報   ( 2450・2451 ) 267 - 278  2020年09月  [招待有り]

  • 裁判制度のパラダイムシフト(1) 制度の導入及び定着過程における違憲審査制のデザイン

    笹田栄司

    判例時報   ( 2438 ) 14 - 26  2020年05月  [招待有り]

  • ドイツ連邦憲法裁判所における第三者の参加(連邦憲法裁判所法27a条)

    笹田 栄司

    北大法学論集   70 ( 5 ) 84 - 95  2020年02月

  • 統治構造において司法権が果たすべき役割(7)ー民事裁判における手続上の瑕疵の憲法的統制ー

    笹田 栄司

    判例時報   ( 2391 ) 118 - 127  2019年02月  [招待有り]

  • 統治構造において司法権が果たすべき役割(1)―違憲審査活性化の複眼的検討―

    笹田 栄司

    判例時報   ( 2369 ) 3 - 11  2018年07月  [招待有り]

  • 司法過程と民主主義 : 司法組織のあり方を中心に

    笹田 栄司

    公法研究   ( 79 ) 50 - 73  2017年10月  [招待有り]

  • 「人権の実効的救済」についての覚書

    笹田 栄司

    佐藤・泉編『滝井繁男先生追悼論集 行政訴訟の活発化と国民の権利重視の行政へ』(日本評論社)     126 - 138  2017年07月  [招待有り]

  • 「裁判の公開」原則は裁判情報を伝達する役割を果たしているか

    笹田 栄司

    松井茂記編『スターバックスでラテを飲みながら憲法を考える』(有斐閣)     241 - 267  2016年05月  [招待有り]

  • 砂川事件最高裁判決 : 政治と法の狭間に漂う最高裁

    笹田 栄司

    論究ジュリスト   ( 17 ) 26 - 33  2016年04月  [招待有り]

    CiNii

  • ドイツ連邦憲法裁判所における調査官の役割

    笹田 栄司

    北大法学論集   66 ( 2 ) 389 - 379  2015年07月

  • 「違憲判決の効力論」についての覚書

    笹田 栄司

    岡田・笹田・長谷部編『高見勝利先生古稀記念論文集 憲法の基底と憲法論』(信山社)     547 - 570  2015年05月  [招待有り]

  • 憲法学からみた最高裁判所裁判官(2)求道者 : 中村治朗

    笹田 栄司

    法律時報   87 ( 5 ) 116 - 121  2015年05月  [招待有り]

    CiNii

  • 学界展望 憲法・統治

    笹田 栄司

    公法研究   ( 75 ) 297 - 308  2013年10月  [招待有り]

  • 憲法32条

    笹田 栄司

    戸松・今井編『論点体系 判例憲法2』 (第一法規)     339 - 348  2013年05月  [招待有り]

  • 警察予備隊違憲訴訟 : 政治との距離を図る「方程式」の誕生

    笹田 栄司

    論究ジュリスト   ( 1 ) 10 - 17  2012年05月  [招待有り]

    CiNii

  • インカメラ審理の憲法適合性について

    笹田 栄司

    曽我部・赤坂編『大石眞先生還暦記念 憲法改革の理論と展開 下巻』(信山社)     66 - 99  2012年03月  [招待有り]

  • 第六章「司法」総説及び第76条

    笹田 栄司

    芹沢・市川・阪口編『新基本法コンメンタール憲法』(日本評論社)     397 - 408  2011年10月  [招待有り]

  • 司法権の構造的理解と新たな「裁判」解釈

    笹田 栄司

    北大法学論集   61 ( 2 ) 545 - 603  2010年07月

    CiNii

  • 裁判員制度と憲法的思考

    笹田 栄司

    ジュリスト   ( 1363 ) 79 - 87  2008年09月  [招待有り]

  • 受益権

    笹田 栄司

    杉原泰雄編『新版 体系憲法事典』(青林書院)     591 - 601  2008年07月  [招待有り]

  • 実効的権利保護の要請と仮の救済・内閣総理大臣の異議

    笹田 栄司

    北大法学論集   59 ( 1 ) 148 - 156  2008年05月

    CiNii

  • 司法制度--改革の行方

    笹田 栄司

    ジュリスト   ( 1334 ) 111 - 122  2007年05月  [招待有り]

  • 裁判を受ける権利の発展可能性(2・完)法的聴聞権を中心として

    笹田 栄司

    民商法雑誌   133 ( 3 ) 469 - 489  2005年12月  [招待有り]

    CiNii

  • 裁判を受ける権利の発展可能性(1)法的聴聞権を中心として

    笹田 栄司

    民商法雑誌   133 ( 2 ) 269 - 297  2005年11月  [招待有り]

    CiNii

  • 裁判員制度と日本国憲法

    笹田 栄司

    法律時報   77 ( 4 ) 24 - 29  2005年04月  [招待有り]

  • 憲法学から見た行政事件訴訟法改正

    笹田 栄司

    民商法雑誌   130 ( 6 ) 1047 - 1075  2004年09月  [招待有り]

  • 司法における専門性と国民参加 : 戦後司法制度改革補遺

    笹田 栄司

    金沢法学   44 ( 2 ) 15 - 37  2002年03月

    CiNii

  • 裁判外紛争処理 : 民事裁判における訴訟上の和解(司法型ADR)を中心として

    笹田 栄司

    公法研究   ( 63 ) 185 - 195  2001年10月  [招待有り]

  • 裁判官制度 (司法改革と国民参加--司法制度改革審議会中間報告をめぐって)

    笹田 栄司

    ジュリスト   ( 1198 ) 111 - 118  2001年04月  [招待有り]

  • 憲法裁判の在り方

    笹田 栄司

    ジュリスト   ( 1133 ) 143 - 149  1998年05月  [招待有り]

  • 大沢報告についてのコメント (日本国憲法50年--回顧と展望)

    笹田 栄司

    公法研究   ( 59 ) 197 - 202  1997年10月  [招待有り]

    CiNii

  • 上告制限の憲法的意味

    笹田 栄司

    金沢法学   39 ( 1 ) 157 - 188  1996年12月

    CiNii

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書籍等出版物

  • Law Practice 憲法〔第3版〕

    ( 担当: 編集)

    商事法務  2022年10月 ISBN: 4785729902

    ASIN

  • トピックからはじめる統治制度 第2版

    笹田 栄司( 担当: 共著)

    信山社  2019年09月

  • 基本的人権の事件簿 第7版

    笹田 栄司( 担当: 共著)

    有斐閣  2019年09月

  • 憲法の基底と憲法学:高見勝利先生古稀記念

    笹田 栄司( 担当: 共編者(共編著者))

    信山社  2015年05月

  • 司法の変容と憲法

    笹田栄司

    有斐閣  2008年02月 ISBN: 9784641130333

  • ケースで考える憲法入門

    笹田 栄司( 担当: 共著)

    有斐閣  2006年 ISBN: 4641129967

  • 司法制度の現在と未来 : しなやかな紛争解決システムを目指して

    笹田 栄司( 担当: 共編者(共編著者))

    信山社出版  2000年 ISBN: 4797252383

  • 裁判制度 : やわらかな司法の試み

    笹田 栄司

    信山社出版, 大学図書 (発売)  1997年 ISBN: 4797250267

  • 実効的基本権保障論

    笹田栄司

    信山社  1993年05月 ISBN: 4882616068

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講演・口頭発表等

  • 民事裁判手続における瑕疵の憲法的統制ー「制度依存的」と考えられている「裁判を受ける権利」からの検討

    笹田 栄司  [招待有り]

    関西憲法判例研究会  

    発表年月: 2019年06月

  • 憲法裁判におけるアミカスキュリイの意義ーードイツ連邦憲法裁判所

    笹田 栄司

    シンポジウム「憲法裁判におけるアミカスキュリイの意義」(基盤研究(B)「公開と参加による司法のファンダメンタルズの改革」)  

    発表年月: 2018年08月

  • 司法過程と民主主義ー司法組織のあり方を中心に

    笹田 栄司  [招待有り]

    第81回日本公法学会総会  

    発表年月: 2016年10月

  • 違憲立法審査の在り方

    笹田 栄司  [招待有り]

    衆議院憲法審査会  

    発表年月: 2015年06月

  • 総括コメント:日本の裁判所による人権救済と人権条約上の人権―個人通報制度を視野に入れて

    笹田 栄司  [招待有り]

    国際人権法学会第23回研究大会  

    発表年月: 2011年11月

  • 司法制度改革と憲法裁判

    笹田 栄司  [招待有り]

    日韓国際シンポジウム「日韓の統治機構と司法制度改革」(京都大学大学院法学研究科・21世紀COEプログラム「21世紀型法秩序形成プログラム」)  

    発表年月: 2007年07月

  • 最高法規としての憲法のあり方に関する件-憲法保障(特に、憲法裁判制度及び最高裁判所の役割)

    笹田 栄司  [招待有り]

    衆議院憲法調査会  

    発表年月: 2004年03月

  • 裁判外紛争処理手続―民事裁判における訴訟上の和解(司法型ADR)を中心として―

    笹田 栄司  [招待有り]

    第65回日本公法学会第二部会  

    発表年月: 2000年10月

  • 大沢報告「最高裁判所と憲法裁判所―アメリカでの議論を参考に」についてのコメント

    笹田 栄司  [招待有り]

    第61回日本公法学会第三分科会  

    発表年月: 1996年10月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 「民事訴訟のIT化」に含まれる憲法上の課題の検討

    野村財団  研究助成

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2023年03月
     

    笹田栄司

  • 公開と参加による司法のファンダメンタルズの改革

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

    笹田栄司

  • 違憲審査活性化についての実証的・比較法的研究

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2015年03月
     

    笹田栄司

  • 制度改革期における「裁判の公開」原則の再検討-制度と人権の関係性解明に向けて

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    笹田 栄司, 村上 裕章, 鈴木 秀美, 亘理 格, 赤坂 正浩, 林知 更

     概要を見る

    「裁判の公開」原則の定める非公開要件は極めて厳しい。そうしたなか立法化されたプライシー及び営業秘密の保護を理由とした公開停止を検討し、その合憲性を支える理論について、公序概念拡張説とともに、例示説の立場から憲法82条と32条を組み合わせた解釈を検討すべきとの知見を得た。さらに、目下の立法課題である情報公開訴訟におけるインカメラ審理について、上記知見を用いた憲法上の基礎づけを行い、その適用範囲及び実体的要件について立法化に向けた提言を行った。

  • 変革期における新たな立法動向と多元的立法過程に関する比較的・総合的研究

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2005年
    -
    2008年
     

    岡田 信弘, 常本 照樹, 笹田 栄司, 佐々木 雅寿, 宮脇 淳, 棟居 快行, 浅野 善治, 武蔵 勝宏, 小野 善康, 稲 正樹, 木下 和朗, 齊藤 正彰, 新井 誠, 高見 勝利, 深瀬 忠一

     概要を見る

    近時、わが国の法体系や立法過程の在り方に「地殻変動」が起きているとの指摘があるが、こうした現象は日本に特有のものとは考えられない。グローバル化の圧力の下で、多くの国が政治・経済・社会のあらゆる分野での改革を余儀なくされているからである。本共同研究は、このような状況認識の下に、変革期における立法動向と立法過程を国際的な視角から実証的かつ総合的に分析することを通して、日本の新世紀における立法や立法過程のあるべき方向性を追究したものである。

  • 権利・利益の実効的救済手段としての「仮の救済」についての実証的・総合的研究

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    笹田 栄司, 亘理 格, 大貫 裕之, 村上 裕章, 赤坂 正浩

     概要を見る

    最高裁判例と異なり、憲法32条「裁判」は憲法82条「裁判」よりも広い概念と捉えるべきである。即ち、他の権力から独立した中立的な裁判官が、手続的公正に則って審理を行うのであれば、それは司法作用と言うべきであり、その際、手続的公正の核心として、法的聴聞、武器平等があげられる。憲法32条が想定する「裁判」は、公開・対審・判決を"標準装備"した訴訟=判決手続に限定されず、上記のような司法としての性質を有する「裁判」を含む。(決定手続で行われる)「仮の救済」がこのような意味の司法作用であるなら、憲法32条「裁判」に含まれる。
    執行停止=仮の救済を司法作用と見るならば、「内閣総理大臣の異議」の制度は司法権を侵害し、さらに、裁判を受ける権利を侵害すると解されよう。右制度を合憲とする別の根拠は、内閣総理大臣が「緊急事態等への対応」するために必要とするものである。しかし、緊急事態が執行停止手続に関わるケースを想定するのは困難だ。合憲説の根拠とはなりえないだろう。ただ、内閣総理大臣の異議を廃止した場合、行政文書不開示処分取消請求事件において特定の文書の提出が仮の義務付け(行訴37条5第1項)によって可能となるなら、これによって文書が閲覧され被処分者にとり「満足的執行停止」となろう。「国の安全等に関する情報」(情報公開法5条3号)等が関係する場合が特に問題である。最近の実務では、地裁の執行停止決定に対する即時抗告について抗告審の高等裁判所が迅速に審理・判断する運用が行われているが、上記ケースについては抗告審の出番はなくなってしまう。このような場合に限り内閣総理大臣の異議を存続させることも考えられるが、それでは憲法上の問題は解消されない。そこで、抗告審の意味を喪失させる上記のようなケースに限り、即時抗告に執行停止効を認めることが考えられる。

  • 変革期の立法過程における立法補佐体制の実証的・総合的研究

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2003年
    -
    2004年
     

    岡田 信弘, 常本 照樹, 笹田 栄司, 宮脇 淳, 棟居 快行, 小早川 光郎, 林 知更

     概要を見る

    本共同研究では、複雑高度化した社会における立法過程像を展望しながら、あるべき立法補佐体制のありようを探求することを課題として掲げ、個別の実証研究を踏まえつつ、多様に存在する立法補佐組織相互の関わりを総合的に分析することを試みた。具体的な活動内容と成果は以下の通りである。
    1 平成15年度
    8月に、ゲスト・スピーカーとして招いた政治学者、実務家及び実務経験者の報告を受けるとともに、研究分担者からのそれらに関連する報告や質疑を行った。前田英昭氏(前駒澤大学教授)、山口二郎氏(北海道大学教授)、浅野善治氏(衆議院調査局、当時)、堀本武功氏(尚美学園大学教授)、宮脇淳氏(北海道大学教授)の報告がそれである(次頁掲載「研究発表」参照)。同じ趣旨のもとに、12月には、春山明哲氏(国会図書館・国会分館長、当時。次頁参照)と矢野督氏(山本一太参議院議員政策秘書「立法(政策決定)過程における政策秘書の役割」)を、翌平成16年3月には、岩島久夫氏(聖学院大学客員教授「有事法制の立法過程をめぐって」)の報告に基づいて議論を行った。
    2 平成16年度
    前年度と同じように、8月に、ゲスト・スピーカーを招いて研究集会を開催した。谷勝宏氏(同志社大学教授「立法と政党」)、清土恒雄氏(衆議院予算委員会調査室「最近の立法過程と国会の役割」)、岩崎隆二氏(参議院法制局「『立法』の現場から法律学に期待すること」)の報告に基づいて意見交換を行うと同時に、研究分担者から各自が担当している課題に関する中間報告をしてもらった。
    3 まとめ
    2年間の共同研究を通じて、政治改革・行政改革後の立法過程に関して、変わったことと変わっていないこととが明らかになるとともに、個別の立法補佐組織の内部だけでなく、立法補佐組織相互の関わりにおける不十分さが明確になったように思われる。人材養成と情報の共有における不十分さである。したがって、多様に存在する立法補佐組織相互の有機的な連関をどのようにして構築するかが今後の検討課題となろう。

  • 訴訟非訟二分論の克服-決定手続における「裁判を受ける権利」の保障

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2003年
    -
    2004年
     

    笹田 栄司

     概要を見る

    昭和35年最高裁大法廷決定は、公開・対審・判決という憲法上の手続保障を裁判を受ける権利に結びつけた。当時としては画期的な判例であるが、その後、最高裁は裁判を受ける権利及び非訟事件における手続保障に関し殆ど言及していない。現在では、上記決定は変更されるべきと考えるが、その理由は次の通りである。最高裁判例は訴訟と非訟を明確に分け、その基準として「純然たる訴訟事件」を採用する。しかしその内容は空虚であり基準たり得ていない。さらに、非訟事件中の乙類審判の前提として最高裁判例が指摘する「実体法上の権利義務の存否を確定する民事訴訟なるものが紛争解決の場面で機能することは、理論的にも実際的にも存在」せず、最高裁の論理は破綻しているとの指摘もある。
    ところで、訴訟・非訟と判決・決定手続の組み合わせについては、a 訴訟=判決手続、b 訴訟=決定手続、c 非訟=決定手続がありうるが、35年大法廷決定の意図したところは、aとcの区別であり、bは念頭になかったと思われる。しかし、このb領域には「仮処分」が含まれ、民事訴訟のみならず行政事件訴訟においても重要な役割を有しているが、判例理論によっては例外的に口頭弁論又は審尋が命じられる(北方ジャーナル事件最大判)のみで、b領域全般についての憲法的検討はなされないままとなる。訴訟上の和解の隆盛等の司法のインフォーマル化を目の当たりにすれば、b及びc領域についても憲法的枠を設定する必要があろう。即ち、憲法32条「裁判」は憲法82条「裁判」よりも広い概念と捉え、憲法82条が保障する公開・対審・判決が規定されていない形式のものでも憲法32条「裁判」と解する方向を採るべきと考える。以上のことは行政訴訟における「執行停止」についても原則的に妥当し、「内閣総理大臣の異議」の是非も仮処分の法的性質の検討から開始されるべきものと考える。

  • 「訴訟上の和解」についての憲法的考察(「公正な裁定者」としての司法の位置づけ)

    科学研究費助成事業(金沢大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1997年
    -
    1998年
     

    笹田 栄司

     概要を見る

    司法がここ十数年にわたり積極的に展開してきたのが訴訟上の和解である。それは訴訟係属中に当事者双方が裁判官の面前でその主張を譲歩して訴訟を終了させることをさすが、そこには光と影がある.「光」は司法コストの削減、判決では得られない、法的解決を超えた救済の速やかな実現である。その反面、エイズ訴訟・水俣病訴訟のような、公権力が関わる大規模訴訟においては、「法による裁判」との緊張関係が生じ、さらに、司法権の役割の限界の問題(判決で下せない内容が和解によって得られることは正当化されるか)、そして裁判官の裁量が増大することから当事者の手続保障の問題等が指摘される。「公正な裁定者」としての司法という観点からこのような問題を検討するならば、「救済の緊急性」、「裁判所が法理論的に精緻な所見をだすこと」、そして「手続保障の存在」という三要件の存在が、上記ケースでの訴訟上の和解を正当化するものと解される。
    今回の民事訴訟法改正により弁論準備手続が創設された。それはこれまでの弁論兼和解手続に対する疑問を払拭し、その手続の透明化を狙ったものである。ところで、わが国において判決手続を担当する裁判官と和解を主宰するする裁判官が区別されない以上、和解の成立及び当事者の満足等を含む和解の質は判決の予測に関わる情報に依存するところとなる。当事者の立場からすると、「裁判官による公正な情報収集と適正な情報開示」をどのように担保するかが重要な点になるが、それを当事者の手続保障という形で構成することは、憲法三二条の解釈論の現状からして困難であろう.今回の弁論準備手続での手続保障は裁判官による手続裁量をコントロールするものとしては十分ではなく、さらに弁論兼和解の復活も予想されていることを考えると、訴訟当事者による裁判官の裁量のコントロールの根拠を憲法三二条にもとづき根元的に検討する必要があると思われる。

  • 二院制の比較立法過程論的研究

    科学研究費助成事業(北海道大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

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Misc

  • 法学教室プレイバック――あの特集,あの連載(憲法分野)

    笹田栄司

    法学教室   ( 482 ) 41 - 44  2020年11月  [招待有り]

  • 〔判例セレクト Monthly〕憲法判例の動き

    笹田 栄司

    法学教室     123 - 124  2019年12月  [招待有り]

  • 第三者所有物の没収と告知・聴聞-第三者所有物事件

    笹田 栄司

    憲法判例百選Ⅱ[第7版]     238 - 239  2019年11月  [招待有り]

  • 在外国民の最高裁判所裁判官国民審査権

    笹田 栄司

    法学教室   ( 469 ) 135 - 135  2019年10月  [招待有り]

  • 市議会議員に対する厳重注意処分及びその公表と司法審査

    笹田 栄司

    法学教室   ( 465 ) 131 - 131  2019年06月  [招待有り]

  • 医業独占(医師法17条)とタトゥー施術業

    笹田 栄司

    法学教室   ( 462 ) 156 - 156  2019年03月  [招待有り]

  • 憲法(判例セレクトMonthly2017.9.1~2018.8.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 459 ) 133 - 134  2018年12月  [招待有り]

  • 書籍等の輸入と税関検査

    笹田 栄司

    メディア判例百選第二版     124 - 125  2018年12月  [招待有り]

  • 憲法 9条俳句不掲載訴訟[東京高裁平成30.5.18判決] (判例セレクトMonthly 2018.5.1~2018.5.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 456 ) 159 - 159  2018年09月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 放送法64条1項の合憲性[最高裁大法廷平成29.12.6判決] (判例セレクトMonthly 2017.11.1~2017.11.30)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 450 ) 137 - 137  2018年03月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 市議会議員に対する厳重注意処分と司法審査[名古屋高裁平成29.9.14判決] (判例セレクトMonthly 2017.9.1~2017.9.30)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 448 ) 131 - 131  2018年01月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 (判例セレクトMonthly 判例の動き 2016.9.1~2017.8.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 447 ) 133 - 134  2017年12月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 GPS捜査と憲法35条[最高裁平成29.3.15判決] (判例セレクトMonthly 2017.3.1~2017.3.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 442 ) 123 - 123  2017年07月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 裁判官の令状なしに行われた税関検査の合憲性[最高裁第三小法廷平成28.12.9判決] (判例セレクトMonthly 2016.12.1~2016.12.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 439 ) 121 - 121  2017年04月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 (判例セレクトMonthly 判例の動き 2015.9.1~2016.8.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 435 ) 161 - 162  2016年12月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 再婚禁止期間違憲訴訟[最高裁大法廷平成27.12.16判決] (判例セレクトMonthly 2015.9.1~2016.3.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 430 ) 125 - 125  2016年07月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法 委任立法の限界 : 退職一時金返還請求事件[最高裁第一小法廷平成27.12.14判決] (判例セレクトMonthly 2015.9.1~2016.3.31)

    笹田 栄司

    法学教室   ( 430 ) 129 - 129  2016年07月  [招待有り]

    CiNii

  • 判例の動きー憲法

    笹田 栄司

    法学教室別冊付録判例セレクト2015[1]   ( 425 ) 1 - 2  2016年02月  [招待有り]

  • 1 趣旨説明

    笹田 栄司

    北大法学論集   66 ( 2 ) 154 - 154  2015年07月

    CiNii

  • 判例の動きー憲法

    笹田 栄司

    法学教室別冊付録判例セレクト2014[1]   ( 413 ) 1 - 2  2015年02月  [招待有り]

  • 藤田宙靖元最高裁判所判事へのインタビュー (憲法裁判における調査官の役割)

    藤田 宙靖, 笹田 栄司, 赤坂 正浩

    北大法学論集   66 ( 2 ) 319 - 313  2015年

    CiNii

  • 判例の動きー憲法

    笹田 栄司

    法学教室別冊付録判例セレクト2013[1]   ( 401 ) 1 - 2  2014年02月  [招待有り]

  • 第三者所有物の没収と告知・聴聞-第三者所有物没収事件

    笹田 栄司

    ジュリスト憲法判例百選Ⅱ[第6版]     244 - 245  2013年12月  [招待有り]

  • 対談 行政法 : 憲法との共通点と相違点 (特集 続・法科大学院での学び方)

    原田 大樹, 笹田 栄司

    法学教室   ( 396 ) 4 - 18  2013年09月  [招待有り]

    CiNii

  • 座談会 (日本国憲法研究(第1回)裁判員制度)

    笹田 栄司, フット ダニエル, 長谷部 恭男

    ジュリスト   ( 1363 ) 88 - 111  2008年09月  [招待有り]

    CiNii

  • 憲法から見た裁判員制度 (特集 裁判員制度--何が変わるのか)

    笹田 栄司

    世界   ( 779 ) 106 - 115  2008年06月

    CiNii

  • 実効的権利保護論の現代的展開--仮の権利救済を中心として

    笹田 栄司

    法学教室   ( 331 ) 28 - 29  2008年04月

    CiNii

  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 270 ) 129 - 129  2003年03月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 269 ) 167 - 167  2003年02月  [招待有り]

    CiNii

  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 268 ) 137 - 137  2003年01月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 267 ) 133 - 133  2002年12月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 266 ) 151 - 151  2002年11月  [招待有り]

    CiNii

  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 265 ) 151 - 151  2002年10月  [招待有り]

    CiNii

  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    法学教室   ( 264 ) 135 - 135  2002年09月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    法学教室   ( 263 ) 207 - 207  2002年08月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 262 ) 153 - 153  2002年07月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 261 ) 137 - 137  2002年06月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 260 ) 139 - 139  2002年05月  [招待有り]

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  • 演習 憲法

    笹田 栄司

    月刊法学教室   ( 259 ) 127 - 127  2002年04月  [招待有り]

    CiNii

  • 司法制度改革--笹田栄司vs市川正人 (特集 憲法学を問う)

    笹田 栄司, 市川 正人

    法学セミナー   46 ( 2 ) 37 - 41  2001年02月  [招待有り]

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  • 憲法裁判の在り方 (特集 国家の役割と統治構造改革) -- (第三部 立法・行政・司法の変革と検討)

    笹田 栄司

    ジュリスト   ( 1133 ) 143 - 149  1998年05月  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)  

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  • 公法判例研究

    九州公法判例研究会, 九州公法判例研究会, 高良 鉄美, 笹田 栄司

    法政研究   62 ( 3 ) 633 - 665  1996年03月

    DOI CiNii

  • 在宅投票廃止違憲第二次訴訟第一審判決 : 損害賠償請求事件、札幌地裁昭四九(ワ)五五六号、和55・1・17第七部判決、棄却(控訴)、判例時報九五三号一八頁(公法判例研究)

    笹田 栄司

    法政研究   49 ( 4 ) 429 - 436  1983年03月

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 政治経済学術院   大学院政治学研究科

特定課題制度(学内資金)

  • 裁判へのAI導入は裁判官の職権行使の独立性や裁判を受ける権利を侵害しないか。

    2023年  

     概要を見る

     EUでは、欧州議会が2023年6月にAI規制案(以下、AIA)を採択した。リスクベースアプローチを採るAIAは、AIが司法にとって「有益な成果を得る助け」になると評価する一方で、司法機関が「事実や法律を調査・解釈し、具体的な事実に法律を適用」する際に、支援業務に用いるAIシステムを「ハイリスクAI」とする。ハイリスクAIには要件が規定され、義務が課される。  基本的に、判決や決定は人間によってなされなければならない。AI及びアルゴリズムが裁判権の行使自体を遂行することは憲法上許されない。憲法76条3項は、裁判官は「独立してその職権を行ひ」、「憲法及び法律にのみ拘束される」と規定しており、判決自体についてAI及びアルゴリズムの活用が許される余地はない。また、判決手続におけるAI利用を裁判官に圧力を加え、あるいは強制することも憲法上許されない(J.Vasel)。一方、裁判官の職務の支援業務は可能である。とりわけ、電子化された膨大な訴訟ファイルの分析や分類はAIの得意とするところだろう。しかし、裁判権行使場面と裁判官の業務支援が明確に切り分けられるかどうかは検討の余地がある。この問題は、AIAで取り上げられおり、判決を支援するAIも「ハイリスク」と見なされている(J.Székely)。AIにもとづく支援システムの活用が裁判の迅速化に寄与することは疑いないが、それが「裁判官の職権行使の独立」に与える影響は慎重に吟味する必要がある。  AI活用が「差別の永続化」をもたらす危険性も重要である。AIのトレーニングデータに含まれる差別的要素だけではなく、システム構築の際にも差別的要素がすり込まれる可能性がある。また、自動化されたシステムをユーザー(例えば、裁判官)が過度に信頼する「自動化バイアス」が指摘されている(J.Vasel)。裁判官の支援業務を担うAIによって集積・分類されたデータが、果たして「公正な裁判を受ける権利」を侵害するか否かは、トレーニングデータやシステム構築次第といえよう。したがって、システム開発にユーザーである裁判官が参加し、その後の運用、さらには統制に関与することが重要である(困難な課題であるとしても)。

  • 表現の自由と人格権の衝突を調整する「プラットフォーム」としての仮処分手続―憲法32条「裁判」と82条「裁判」を同一視する判例理論の克服

    2020年  

     概要を見る

    裁判を受ける権利に関する判例を概観するならば、争訟性のある非訟事件及び民事訴訟の付随的決定では、「純然たる訴訟事件」や「訴訟非訟二分論」を用いて裁判を受ける権利の射程を狭くし、そして特許権等の侵害差止仮処分事件では本案手続と仮処分手続の違いをスキップし、「訴訟」を広く解釈している。さらに、「裁判を受ける権利」よりも理論的抽象度の高い「手続的正義」を案出することで、最高裁は違憲判断に踏み込むことを回避する。つまり、最高裁が担う「違憲審査を行う最終審」としての機能と上告審機能のうち、後者に大きく傾斜しているのである。こういった判例は、手続形成に際しての裁判官の裁量の拡大、及び訴訟制度形成における広範な立法裁量の認容をもたらす。裁判を受ける権利の実効化のためには、(本研究のテーマである)「仮処分」を憲法上基礎づけ(憲法32条、76条)、迅速な手続保障を構想すべきである。

  • 最高裁判例における立法事実論の批判的検討

    2019年  

     概要を見る

    判例の「制度準拠思考」は立法裁量を広く認め、その統制に際し「立法事実の変化」と「総合的な考察」を結びつけるが、このやり方にについては学説上は批判が強い。制度の合理性を担保する立法事実論の検討にあたり、違憲審査制受容プロセスを見るなら、薬事法違憲判決(最大判昭和50・4・30)がその先駆といえる。この判決では、議員立法のため立法事実が被告(県知事)から提出されず、最高裁による立法事実の確定がポイントであった。調査官解説は、ドイツ連邦憲法裁判所1958年判決が「本判決に影響を与えた」と述べるが、立法事実論の先駆者である時国康夫はアメリカ法の影響を指摘している。このように見ていくと、憲法裁判における立法事実の認定手法は司法裁判所と憲法裁判所で異なるのか、あるいは憲法裁判においては一般的事実が肝要であるため共通に論じられるのか、という次の検討課題が浮かび上がる。

  • 最高裁判例における「制度的思考」の研究

    2019年  

     概要を見る

    判例の基調である「司法消極主義」を探るには、憲法制定に由来する大陸法系から英米法系への転換の内実を検討する必要がある。その意味で、最高裁は1937年の「憲法革命以降のアメリカの憲法観・司法観を一貫して実現しようと試みてきた」とし、「司法消極主義」の積極的評価を試みる見解(山本龍彦)には疑問が残る。制度の転換に関して、グライフは、「過去の制度的要素は、新たな制度を選択する際に、自らがその中に包括されるような選択がされるように、そのプロセスに偏向を加える」と主張する。初めて違憲審査を担当した最高裁判事は明治憲法下で大陸法系の教育を受けていたのであり、戦後の違憲審査制受容プロセスからは、「憲法革命以降のアメリカの憲法観・司法観」とともに「大陸法の系譜」も判例から見て取れる。その象徴が、卓越した英米法的知見を持ち、一方で、(大陸法系の)伝統的行政訴訟法理論を追究した中村治朗(最高裁判事)であった。そして、若き中村の前に立ち塞がったのがドイツ民訴法学を基礎に据えた兼子一であった。わが国の司法消極主義は複雑なプロセスを経て形成されたのである。

  • 憲法学における「制度」の基礎づけ―人権と制度の新たな関係構築に向けて

    2018年  

     概要を見る

    判例には人権の実現を制度内に限る傾向を持つ制度的思考が存在する。裁判制度に関し、最高裁は最決平成23・4・13等で手続的正義を用いて、裁判官の裁量に委ねられていた裁判手続の形成に統制を及ぼした。但し手続的正義は訴訟原則であって、主張・立証の機会を訴訟当事者に権利として保障しない。最高裁は、抽象度の高い手続的正義を用いることで「権利」を避けたと思われる。立法裁量を広く認める制度的思考は、制度運用者(裁判官)にも広範な裁量をもたらす。制度利用者の視点が希薄な制度的思考にあっては、手続的正義よりも、制度利用者たる訴訟当事者の裁判を受ける権利に主張・立証の十分な機会を基礎づけることが必要である。

  • 専門知を活用した「参加」による違憲審査の活性化― ―アミカスキュリィの可能性

    2017年  

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    アミカスキュリイとは、訴訟の当事者以外で、「文書あるいは口頭の意見表明の形式で、訴訟における問題に対しその見解を伝えることが許される個人、あるいは団体」のことを言う(Ulrich Kühne)。ドイツにおいては、アミカスキュリイが連邦憲法裁判所に認められ、同裁判所は、研究者、利益集団、経済団体及び職業別組合、そしてNPOからの意見を受け取る。憲法の番人としての連邦憲法裁、及び判決の持つ広範な影響力に鑑み、情報を調達する必要性が特に強調される。これはアメリカ連邦最高裁においても同様である。わが国でも憲法裁判においてアミカスキュリイの導入は必要である。そのためには裁判所法改正が必要だが、まずは最高裁規則によっても対応可能であろう。

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