2024/12/26 更新

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ホリコシ コウイチ
堀越 宏一
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
(歴史学)博士 ( フランス国立ナンシー第二大学 )
(文学)修士 ( 東京大学 )

経歴

  • 2012年
    -
    継続中

    早稲田大学教育学部   教授

  • 2005年
    -
    2012年

    - 東洋大学文学部教授

  • 1998年
    -
    2005年

    東洋大学文学部助教授

  • 1996年
    -
    1998年

    東洋大学文学部講師

  • 1993年
    -
    1996年

    川村学園女子大学文学部助教授

学歴

  •  
    -
    1992年

    東京大学大学院   人文科学研究科   西洋史学  

  •  
    -
    1992年

    ナンシ-大学大学院   歴史・人類学研究科   中近世フランス史  

  •  
    -
    1992年

    I'Univ. de Nancy doctorat   Graduate School, Division of History and Anthropology   (histoire frangais pre moderne)  

  •  
    -
    1981年

    東京大学   文学部  

委員歴

  • 2021年
    -
    継続中

    Academie de Stanislas (Nancy, France)  associe-correspondant international

  • 2012年04月
    -
    2016年

    史学会  理事

  • 2011年
    -
    2015年

    西洋中世学会  常任委員

  • 2000年
    -
    2005年

    史学会  編集委員

所属学協会

  •  
     
     

    Académie de Stanislas

  •  
     
     

    西洋中世学会

  •  
     
     

    白山史学会

  •  
     
     

    史学会

  •  
     
     

    日仏歴史学会

  •  
     
     

    日本西洋史学会

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研究分野

  • 考古学 / ヨーロッパ史、アメリカ史

研究キーワード

  • 西洋中近世史

  • 中世ヨーロッパ考古学

  • pre-modern European history

受賞

  • Prix Gabriel-Auguste Prost (de l'Academie des Inscriptions et Belles-Lettres, France)

    2008年  

  • Grand prix de l'economie et des entreprises de Lorraine

    1992年  

 

論文

  • 中世クリュニーの町家の装飾窓(claire‐voie)

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   ( 63集35号 ) 231 - 254  2010年

  • Moyeuvre, la plus grande forge d’Europe au XVIe siècle

    HORIKOSHI, Koichi

    Annales de l’Est     117 - 129  2008年

  • 緊急発掘が支配するフランス考古学制度と中世史研究の行方

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   60集32号   171 - 185  2007年

  • Moyeuvre, la plus grande forge d’Europe au XVIe siècle

    HORIKOSHI, Koichi

    Le travail avant la révolution industrielle. Actes du 127e congrès national des sociétés historiques et scientifiques, Nancy, 2002, Paris, C.T.H.S..     343 - 352  2006年

  • 鉄生産と中近世フランス社会

    堀越 宏一

    ヨーロッパ文化史研究(東北学院大学ヨーロッパ文化研究所)   ( 6 ) 59 - 74  2005年

  • 16世紀ヨーロッパ最大の製鉄所のこと

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   57集29号   195 - 222  2004年

  • 製鉄業における中世から近世への転換(後編)

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   52集24号   29 - 56  1999年

  • Les principautés en France aux XIVe et XVe siècles, ou la naissance du régionalisme (14・15世紀フランスにおける諸侯領、または地方郷土伝統の誕生)

    堀越 宏一

    白山史学   ( 34 ) 73 - 88  1998年

  • 製鉄業における中世から近世への転換(前編)

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   51集23号 ( 23 ) 53 - 152  1998年

    CiNii

  • フランスにおける文書館の利用と歴史研究

    堀越 宏一

    歴史評論   ( 569 ) 35 - 43  1997年

    CiNii

  • 森林鍛冶から水力製鉄場へ

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   50集22号   31 - 80  1997年

  • 中世フランスにおける製鉄業の発展と鉱業特権の形成

    堀越 宏一

    史学雑誌   100 ( 2 ) 1 - 39  1991年

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書籍等出版物

  • Éléments d’histoire comparée de la culture militaire médiévale entre l’Occident et le Japon : L’exemple du tir à l’arc à cheval, dans Horizons médiévaux d’Orient et d’Occident. Regards croisés entre France et Japon, sous la direction de EGAWA Atsushi, Marc SMITH, TANABE Megumi, Hanno WIJSMAN

    Horikoshi Koïchi( 担当範囲: pp. 269-286)

    Éditions de la Sorbonne  2022年

  • 西洋中世史

    河原, 温, 堀越, 宏一

    放送大学教育振興会  2021年03月 ISBN: 9784595141584

  • 中世ヨーロッパの妃たち

    Corbet, Patrick, 堀越, 宏一

    山川出版社  2021年02月 ISBN: 9784634475106

  • 俠の歴史・西洋編(下)

    堀越, 宏一( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 「シャルル突進公」)

    清水書院  2020年08月 ISBN: 9784389501259

  • 東西中世のさまざまな地平 : フランスと日本の交差するまなざし

    江川, 温, Smith, Marc H, 田邉, めぐみ, Wijsman, Henri Willem( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「騎射に見る日欧の中世軍事文化の比較―戦い方と身分の表象」)

    知泉書館  2020年06月 ISBN: 9784862853172

  • 堀越 宏一・甚野尚志編『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』

    堀越 宏一( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 「戦争の技術と社会」「都市と農村の住居」「序章」「あとがき」)

    ミネルヴァ書房  2013年01月

  • 甚野尚志・益田朋幸編『ヨーロッパ中世の時間意識』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世ヨーロッパの写本挿絵における時代表現と写実性」)

    知泉書館  2012年05月

  • 渡辺節夫編『ヨーロッパ中世社会における統合と調整』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世後期フランスの三部会における課税合意の形成と課税放棄」)

    創文社  2011年02月

  • 千田嘉博・矢田俊文編『都市と城館の中世』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世フランスにおける石造の城の起源 ―王宮から天守塔へ―」)

    高志書院  2010年04月

  • 小島道裕編『武士と騎士 ―日欧比較中近世史の研究―』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世ヨーロッパにおける騎士と弓矢」)

    思文閣出版  2010年03月

  • 『ものと技術の弁証法(「ヨーロッパの中世」第5巻)』

    堀越 宏一( 担当: 単著)

    岩波書店  2009年08月 ISBN: 9784000263276

  • 草光俊雄・河原温『ヨーロッパの歴史と文化 ―中世から近代―』

    堀越 宏一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第2回「古代から中世へ」第3回「封建社会の形成とヨーロッパ世界の拡大」第4回「中世ヨーロッパの農村」)

    財団法人放送大学教育振興会  2009年03月

  • Ed. P. Corbet et J. Lusse, Ex animo. Mélanges d’histoire médiévale offerts à Michel Bur

    HORIKOSHI Koichi( 担当: 共著,  担当範囲: L’origine juridique du moulin banal : le droit de cours d’eau)

    Editions Dominique Gueniot (France, Langres)  2009年

  • 『中世ヨーロッパ生活誌(NHKカルチャーアワー・歴史再発見)』

    堀越 宏一( 担当: 単著)

    日本放送出版協会  2008年01月 ISBN: 9784149106328

  • 松本宣郎・前沢伸行・河原温編『文献解説・ヨーロッパの成立と発展』

    堀越 宏一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「封建社会の確立」「中世文化の形成」「フランス(全3節)」の各節)

    南窓社  2007年03月

  • L'industrie du fer en Lorraine : XIIe-XVIIe siècles

    堀越, 宏一, Bur, Michel( 担当: 単著)

    D. Guéniot  2007年 ISBN: 9782878254013

  • 高山博・池上俊一編『西洋中世学入門』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世考古学」)

    東京大学出版会  2005年11月

  • 甚野尚志・堀越宏一編『中世ヨーロッパを生きる ―生活と環境の歴史学―』

    堀越 宏一( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 「水車は領主のものか? ―ひとつの公共性の誕生―」「騎士の住む城、暖炉のある農家」)

    東京大学出版会  2004年02月

  • 渡辺節夫編『ヨーロッパ中世の権力編成と展開』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「14世紀後半のフランス王国における租税制度の成立」)

    東京大学出版会  2003年02月

  • 高山博・池上俊一編『宮廷と広場』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「14世紀フランスにおける会計院と王国財政」)

    刀水書房  2002年09月

  • 木村尚三郎編『学問への旅 ―ヨーロッパ中世―』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「ジャック・クールの時代 ―15世紀フランスの商人と国家―」)

    山川出版社  2000年04月

  • 佐藤彰一・池上俊一・高山博編『西洋中世史研究入門』

    堀越 宏一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「農民と職人の生活」「技術と物質文化」)

    名古屋大学出版会  2000年04月

  • 『中世ヨーロッパの農村世界』

    堀越 宏一( 担当: 単著)

    山川出版社  1997年05月

  • Ed. Paul Wynants, Les mutations de la sidérurgie du XVIe siècle à 1960

    HORIKOSHI Koichi( 担当: 共著,  担当範囲: La sidérurgie lorraine aux XVIe et XVIIe siècles)

    CERUNA Rempart de la Vierge (Belgique, Namur)  1997年

  • 樺山紘一編『西洋中世像の革新』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「鉄をつくる修道士たち ―中世フランスの修道院における製鉄経営―」)

    刀水書房  1995年09月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 中世ヨーロッパにおける多数決原理の形成に関する多角的実証研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2023年04月
    -
    2026年03月
     

    藤崎 衛, 河原 温, 堀越 宏一, 甚野 尚志, 薩摩 秀登, 三佐川 亮宏, 大月 康弘, 皆川 卓, 加藤 玄, 菊地 重仁, 高田 良太, 黒田 祐我

  • 中近世ヨーロッパ社会における合意形成の起源と展開―合議制・代議制の理念と現実ー

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

    河原 温, 加藤 玄, 三佐川 亮宏, 堀越 宏一, 鈴木 道也, 藤崎 衛, 黒田 祐我, 薩摩 秀登, 大月 康弘, 高田 良太, 菊地 重仁, 甚野 尚志, 皆川 卓

  • 中近世ヨーロッパの身分制議会における君臣間の合意形成プロセスの解明

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    15~16世紀のバール=ロレーヌ公領の三部会関係史料を分析することを通じて、中世ヨーロッパの身分制議会の機能と歴史的意義に関するホイッグ的古典学説(専制政治に陥りがちな国王権力を臣民が抑制する機関としての議会という考え方)を打破し、フランス王国を含めて、各地の王国や諸侯領に存在していた双方向的な合意形成の姿を実証的に明らかにすることを目指した。
    その際、保証状という、三部会開催直後に、その決定内容を濫用しないことを君主が誓約した文書は、君臣間の双方向的な関係が存在したことを具体的に物語っている。

  • 中世ヨーロッパ世界における統治理念と社会制度の比較史的統合の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    河原 温, 加藤 玄, 三佐川 亮宏, 堀越 宏一, 土浪 博, 鈴木 道也, 薩摩 秀登, 大月 康弘, 北野 かほる, 甚野 尚志, 皆川 卓, 小澤 実, 菊地 重仁, 渡辺 節夫, 渡辺 節夫

     概要を見る

    本研究プロジェクトでは、中世ヨーロッパ諸国(イングランド、フランス、ドイツ、ネーデルラント、チェコ等)と都市を対象に、それぞれの統治理念とそれに対応する社会制度の具体的展開との突合せを通じて、中世ヨーロッパ世界の統合的理解を得ることを目指した。
    13名の共同研究者により、それぞれの地域(国家)における世俗国家とカトリック教会の支配理念及び、王国と都市という中世ヨーロッパ社会を構成した中心的な組織の在り方を比較史的に検討した。その結果、それらの統治理念とそれぞれの社会制度の現実を統一的に理解することが一定程度可能となったと考えられる。

  • 中世フランス都市家屋に関する地域的類型の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    ゴシック式アーチの開口部をもつ「クリュニー型」石造町家と水平梁の開口部のハーフィティンバー式木造町家という中世町家の二類型の地理的分布を調査し、前者が、フランス中南部のサンチャゴ巡礼路沿いの中世都市に普及した特殊な建築類型だったのに対して、後者がより普遍的な建築様式である、という仮説は、おおむね実証された。
    ただし、現地調査では少なからぬ反例も発見した。トゥールーズ地方では、サンチャゴ巡礼路都市でも、石造町家の残存例がない都市が存在する一方、ブルゴーニュ地方では、サンチャゴ巡礼路に関係のない都市や村にも「クリュニー型」町家が存在している。このような原則と例外の間の説明が今後の課題である。

  • 中近世キリスト教世界の多元性とグローバル・ヒストリーへの視角

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2017年03月
     

    甚野 尚志, 大稔 哲也, 平山 篤子, 踊 共二, 三浦 清美, 青柳 かおり, 太田 敬子, 根占 献一, 関 哲行, 網野 徹哉, 大月 康弘, 疇谷 憲洋, 皆川 卓, 印出 忠夫, 堀越 宏一

     概要を見る

    我々のプロジェクトは、中近世のキリスト教に関わる諸問題をさまざまな視角から分析することを目指した。それも地域的には、ヨーロッパ世界に広がったキリスト教の問題だけでなく、布教活動とともにキリスト教化した他の世界の諸地域も対象とした。これまでの研究は主として、中近世キリスト教の非妥協的態度、迫害社会の形成、異教徒との対決の視点から研究がなされてきたが、我々は最近の研究動向に従い、中近世キリスト教世界の多様性やことなる宗教の共存に光があてつつ研究活動を行ってきた。この間の多くのワークショップなどの成果に基づき、各分担者が論文などで中近世のキリスト教史の新しいイメージを提示できた。

  • 制度と政治社会の相互関係から見たヨーロッパ中世の発展と変容

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年10月
    -
    2016年03月
     

    渡辺 節夫, 河原 温, 加藤 玄, 三佐川 亮宏, 堀越 宏一, 土浪 博, 鈴木 道也, 薮本 将典, 薩摩 秀登, 大月 康弘, 北野 かほる, 甚野 尚志, 皆川 卓, 小澤 実

     概要を見る

    「追加採択」のため、実質的なスタートが初年度半年ほど遅れたが、②近年の日本の主要著作の合評会の開催(5回)、②2000年以降の欧米における当該分野の研究動向の整理と検討(4回)、③各自のテーマに合わせ、近年の動向を踏まえた主要論点の提示(4回)を行い、論集「2017年度刊行予定」の基礎を作ることができた。また、2度にわたり当該分野の優れた研究者を招聘し、講演会を開催し、欧米における最新を動向・論点を明らかにすることができた。

  • ロブリエール家文書を取り巻く世界──フランス貴族所領経営と領主文書の謎を解く

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    大月 康弘, 堀越 宏一, 金尾 健美, 森村 敏己, 山﨑 耕一, 福島 知己, 床井 啓太郎, 池 享

     概要を見る

    『ロブリエール家文書』(Archives of Laubrieres, Marquisate of Franklin MS.17)(一橋大学社会科学古典資料センター所蔵。以下『文書』)を分析し、14世紀後半~18世紀末のフランス所領経営の実態解明に努めた。『文書』が作成された動機と、記載内容の選択の意味、伝来の経路等を、当該社会の国家権力/公権力との関係性の中で検証した。時代状況における『文書』の社会的・政治的性格、国家権力(公権力)との関係、伝えられる記事内容の特徴を考察した。
    特設サイトを公開し、『文書』の全画像データとともに概要を伝える論文を掲載した。

  • 中世フランス都市家屋の構造・建築様式・分布に関する歴史考古学的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    クリュニーに残されている石造の中世町家は、1階にゴシック式尖頭アーチからなる開口部、2階にロマネスク式の2連窓を備えた、特徴的な家々である。このような様式の町家は、個人の店舗兼住宅であり、おそらくクリュニー修道院の主導下に、クリュニー以南のサンティアゴ巡礼路沿いの都市にも数多く建てられた。
    他方、1階にゴシック式尖頭アーチ列をもつ大型公共建築物は、同巡礼路以外の都市でもヨーロッパ各地に存在する。クリュニー型個人住宅と合わせて、これらの世俗建築物は、ロマネスク式とゴシック式の教会建築の影響下に建てられたものであり、そこに、古代ローマ建築と中世ヨーロッパ建築との接点を見出すことが出来る。

  • ヨーロッパ中世における社会秩序と貴族の位相に関する比較史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    渡辺 節夫, 北野 かほる, 河原 温, 甚野 尚志, 土浪 博, 堀越 宏一, 薩摩 秀登, 大月 康弘

     概要を見る

    貴族層による公権力の分有の観点から比較検討することにより、地域間の差異とヨーロッパ的な特質を明らかにすることができた。その成果はシンポジウム、(1)「ヨーロッパ前近代における地域統治と国家イデオロギー」、(2)「西欧中世-近世における政策決定をめぐる合意形成」においてより広い視点から公にされ、「紛争のメカニズムと裁判権」、「議会における立法と合意形成」、「王権による地域統治と統合のメカニズム」という3点に整理され、論集『ヨーロッパ中世社会における統合と調整』として公刊された。

  • 統治空間としての城の生成と機能をめぐる歴史考古学的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    10世紀末から北フランスで建設が始まった初期の石造城砦を調査・研究の対象として、その生成の過程と、城が有していた社会機能を多角的に明らかにした。
    そこでは、古代ローマの建築様式の影響を受けて建てられた最初期の方形の天守塔が、城砦としての防衛機能を追求した結果、13世紀初頭までに、円筒形天守塔(「フィリップ式天守塔」)となり中世的頂点を迎えた。しかし、城の完成とその結果としての統治の安定の結果、円筒形天守塔に欠けていた居住性を求めて、統治のための公的空間である大広間と城主の居住空間は、城壁に内接する方形の館に移ることとなった。天守塔には、政治的象徴性だけが遺されることとなる。中世の城は、個々の城の軍事的機能と政治ないし統治機能の必要性に応じて、多様な形状を取ることになるのである。

  • 中世ヨーロッパにおける権力構造とアイデンティティー複合

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    渡辺 節夫, 北野 かほる, 西川 洋一, 河原 温, 甚野 尚志, 土浪 博, 堀越 宏一, 薩摩 秀登, 大月 康弘

     概要を見る

    本研究では前近代、とりわけ中世ヨーロッパにおける支配権力の編成の実態とメカニズムを各地域におけるアイデンティティー(一体性)の形成との関係で捉えることを課題とした。全体的な権力の構造(国家)のレヴェルでこの問題を考える場合には、社会を構成する各レヴェル、階層毎に検討しなければならない。本プロジェクトでは権力の最上層部分(王権、諸侯権)に限定し、集団的な「統合と調整」に論点を絞り、各地域間の差異とヨーロッパ中世的な特徴を把握することができた。

  • フランスにおける緊急発掘制度の発展と遺跡の整備活用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
     
     
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    フランスでは、2002年2月の「国立予防考古学研究所l'Institut national de recherches archeologiques preventives」の発足後、この組織に属する考古学者がほぼ独占的に新規の発掘を行ない、情報と研究を独占しつつある。このため、この発掘管理体制の理解と、国立予防考古学研究所のメンバーとの研究上のつながりの構築の必要性が痛感されてきた。さらに、フランス各地における中世考古学研究の展開と現状を、現地調査に基づいて的確に把握するために、より広範な範囲での情報収集を目指した。
    今年度は、Archeologie medievaleを中心とする雑誌と研究書から得られる情報と同時に、2007年6月と2008年2月の2度にわたり、フランスでの現地調査を行い、フランスの中世考古学研究者からの情報の収集に努めた。その結果、依然として、法制度的にも国立予防考古学研究所を中心とした緊急考古学の発掘体制が継続し、大学研究者の考古学研究が停滞していることが確認された。
    しかし、そのなかで、緊急発掘後の重要史跡の保存と社会的な面での活用に関しては、各地の地方自治体が、主として、観光資源の整備と地元アイデンティティーの確立という観点から、規模や技術レヴェルの差はあれ、積極的に取り組んでいることを知った。その代表例は、ロワール地方のシノンの中世城砦遺跡であり、ここでは、丘のうえに残る中世城砦跡の復元が積極的に行われ、史跡としての様相が一変しつつあった。復元した遺跡の一部に建てられる予定の建物には、国際的な規模の行事などが行われるようなホールが含まれている。またサン・ズザンヌやランジェの中世中期城砦の内部壁面に新しく、ロッシュ城に設けられている鉄製階段をモデルにした、最上層まで上るための階段が設置されて、3層ないし4層構造からなる、この時期の城砦の構造を非常によく理解することが出来るようになっていた。このような自治体が主導する中世考古学遺跡の整備は、今後とも積極的に行われていくであろうことが予想される。

  • フランスにおける緊急発掘制度の発展と遺跡の整備活用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2006年
    -
    2007年
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    2002年2月にフランスで設立された国立予防考古学研究所は、緊急発掘を専門的かつ独占的に行なう中央機関であり、現在、フランスにおける考古学活動の90%を担う、考古学の中心的な組織になっている。その一方で、従来の考古学研究の中心だった大学研究者と文化省文化遺産局考古部による考古学発掘は事実上停止し、彼らによる考古学研究も発掘をともなわない既存の遺跡の分析などに限定される傾向が生じてきている。このようなフランスにおける考古学発掘体制と中世考古学研究の新状況を理解するために、本研究の目標は次のように設定されている。
    1)フランスにおいて、ここ10年あまりの間に急速に発展した緊急発掘制度の形成過程とその組織の実態を、フランスにおける関係諸機関における調査と文献収集を通じて明らかにすること。
    2)フランスにおける新しい緊急発掘組織が遺跡の整備活用にどのように取り組んでいるか、また博物館や出版物を通じて発掘成果の公表をどのように行なっているかについて明らかにすること。
    平成18年度には、国立予防考古学研究所創設にいたる、ここ10年あまりの間の緊急発掘制度形成の経過とその組織の実態を明らかにするために、同年9月にフランス現地調査を行ない、ナンシー大学中世考古学研究所での情報収集とパリの国立予防考古学研究所所長J・P・ドゥムル氏へのインタビュー調査を行ない、同研究所の発掘と研究体制の現状をかなりよく把握することができた。これらを通じて、同研究所とその地方部局が、発掘された歴史遺産の保存と活用、公開に関して積極的な姿勢を持ちつつも、実際には、あまり成果が見られない現状を確認できた。
    その一方で、大学所属の考古学者などの中世考古学研究者の間では、従来の中心テーマだった、城、教会、墓地を中心とした定住地に関する研究が、新たなデータを欠いているために停滞する一方で、既に得られている遺跡の発掘データや現存する建物の分析から、居住空間としての城や町屋の研究、家具、室内設備、器具類に関する研究が進み、現在のフランス中世考古学研究が、これらの物質文化研究とも呼ぶべき領域へ移行しつつあることが確認された。

  • 中世フランスの住空間の構造と機能に関する歴史考古学的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    堀越 宏一

     概要を見る

    この研究の課題は、今もなお現存する中世建物と発掘された中世建物遺跡に関する考古学的研究の総括と同時に古文書史料調査に基づいて、6〜15世紀のフランスにおける、世俗の住空間の構造と機能の実態とその歴史的変遷を解明することにある。具体的な研究対象としては、貴族の住居である城、都市民の住居である町家、農民の住居である農家という3つを中心としている。
    平成17年度では、ルージエを中心とする中世後期から近世にかけての時期の南仏農村遺跡を調査したほか、城に関して、ノルマンディー地方のカーンとジゾールの現地調査を通じて、これらの城砦が11〜12世紀の城砦建築の先端例であることを理解できた。平成18年度には、ロワール地方に残るカロリング期国王館(ドゥエ・ラ・フォンテーヌ)と中世城砦遺跡(ロッシュ城、シノン城、ランジェ城など)の現地調査によって、中世フランスの城砦建築の発達の過程で、その中心的起源がロワール地方の9世紀以降の王館にあること、1200年前後のフィリップ2世の一連の国王築城政策によって、中世フランスの城の典型的スタイルが確立したことを確認した。平成19年度には、引き続き、ロワール地方に加えて、ブルターニュ地方東部に残る11〜12世紀の城砦建築を調査すると同時に、ブルターニュ地方東部とパリに残る中世都市家屋の調査を行い、中世都市家屋の構造については、入口と店舗の店台の構造を実例に即して調査し、認識することができた。
    城、農家、町家のそれぞれが、職業的機能と同時に、身分的経済的差異に応じた住居を営んでいたと同時に、建築技術と設計の点で、これらの建物の間に多くの共通性があることを確認した。

  • 中世フランスの城と住居(都市と農村)についての考古学的研究

    研究期間:

    2003年
    -
     
     

  • 教会からみた中世ヨーロッパの政治社会

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    甚野 尚志, 堀越 宏一, 土浪 博, 渡辺 節夫, 大月 康弘, 河原 温, 立石 博高

     概要を見る

    本年度は、これまでの研究の進展にもとづいて、教会と世俗権力の関係を総合的に考察する試みを行うとともに、各人が分担の問題について一定の見通しを報告した。その過程で明らかになったことは、中世ヨーロッパ社会において、教会が多様なあり方で、多くの側面から世俗の政治社会と関係していたことである。たとえば、フランス中世の政治権力構造のなかで、教会が王権の正統性を保証する権力として、王権に対して大きな影響力をもっていたこと、さらにそうした王権と教会の関係は、フランスのみならず、ドイツやスペインの王権についてもいえることが確認された。さらには、都市においても、教会が救貧活動などにおいて、社会福祉的な活動の一端を担っていたことが明らかになった。また、ビザンツと西欧の比較の視点からは、ビザンツ社会では、貴族が所領を教会・修道院に寄進する行為において、西欧世界とは違った意味合いをもつことが強調された。このような分担者それぞれが提示した、中世ヨーロッパにおける教会と社会の錯綜した関係は、これまでの我が国の中世教会史、政治史研究を一歩前進させるものである。各人が提示した具体的な問題については、研究成果報告書のなかにまとめられているが、生体として、教会から現実の中世社会をみていくという視角が、これまでになく強調されたように思える。この三年間の研究成果にもとづいて、今後、各分担者が、それぞれの研究対象の地域・テーマについて、論文を発表していくつもりである。

  • 中世ヨーロッパにおける権力構造の比較史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1996年
    -
    1998年
     

    吉武 憲司, 渡辺 節夫, 河原 温, 堀越 宏一, 西川 洋一, 立石 博高, 渡辺 節夫, 大月 康弘, 土浪 博, 吉武 憲司, 北野 かほる

     概要を見る

    当研究は、中世ヨーロッパ各地域の諸制度を当時のイデオロギーとも関連させながら比較史的に考察し、その権力構造の特質を明らかにすることを目的とした。この課題に取り組むにあたり、以下の五つの視点を中心に分析を行った。
    (1) 君主制とその変化。古代から近代にいたるまでヨーロッパの基本的統治体制であった君主制の問題に関して、西川洋一が12世紀ドイツ皇帝権の変化を、甚野尚志が13世紀の教皇君主制の発展を、河原温が都市の入市儀礼を、土浪博がラントフリーデをそれぞれ考察した。
    (2) 中央と地方「行政」の展開。12世紀以後の行政組織の発展と王国統合の問題を明らかにするため、吉武憲司がイングランドの財政紹織の発展を、また、堀越宏一がフランスの財政組織の発展を考察した。
    (3) 貴族制の意味と変化。中世の基本的社会制度である貴族制問題は、薩摩秀登によりチェコの事例を題材に考察された。
    (4) 教会と宗教の国家統合的機能。近代国家の統合は、異端や異教徒に対する政策を通して強化される傾向があった。この観点から、北野かほるが15世紀イングランドの異端を、立石博高が近世初期スペインのユダヤ人政策を論じた。
    (5) 比較史的視点。ヨーロッパの権力構造の特質をより明確に理解するには、同一の起源を持ちながらも異なる発展をした地域を考察することが有益である。この意味で、最後に、大月康弘がビザンツ帝国の教会と皇帝権の問題を考察した。

  • 中世後期フランス王国とロレーヌ公領における財政制度と三部会

    研究期間:

    1992年
    -
     
     

  • 前近代ロレ-ヌ地方における製鉄業

    研究期間:

    1986年
    -
     
     

  • l'industrie du fer lorraine de l'epoque pre-moderne

    研究期間:

    1986年
    -
     
     

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Misc

  • 監修 「中世の町家」

    建築知識   ( 833 ) 57 - 57  2024年03月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

    その他  

  • 書評 上山益己『中世盛期北フランスの諸侯権力』

    史学雑誌   132 ( 9 ) 70 - 82  2023年09月  [査読有り]  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 「・・・のように見える」ことを歴史の研究に活かす(コラム 歴史の風)

    史学雑誌   131 ( 1 ) 40 - 42  2022年01月  [査読有り]  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

    速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)  

  • 書評 城戸毅著『百年戦争 ―中世末期の英仏関係』

    堀越 宏一

    史学雑誌   121 ( 10 ) 100 - 108  2012年10月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 騎士と武士の比較史

    堀越 宏一

    歴史と地理(世界史の研究)   656(232) ( 656 ) 56 - 59  2012年08月  [招待有り]

    CiNii

  • 「弓馬の道」と身分 -中世ユーラシア大陸武器事情-

    堀越 宏一

    星座   ( 61 ) 22 - 24  2012年04月  [招待有り]

  • 書評 丹下栄『中世初期の所領経済と市場』(創文社、2002年刊)

    史学雑誌   116 ( 1 ) 90 - 97  2007年01月  [査読有り]  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 書評 山田雅彦『中世フランドル都市の生成』の教えてくれるもの

    堀越 宏一

    西洋史学論集(九州西洋史学会)   ( 40 ) 124 - 126  2002年

  • 城と騎士の真実とはなにか?

    堀越 宏一

    サティア(東洋大学井上円了記念学術センター)   ( 37 ) 18 - 19  2000年

  • 紀元千年の中世フランス考古学

    堀越 宏一

    日仏歴史学会会報   ( 15 ) 6 - 8  1999年

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   大学院文学研究科

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2012年
    -
     

    教育総合研究所   兼任研究所員

特定課題制度(学内資金)

  • 中世ヨーロッパの貴族をめぐる歴史社会学的定義の研究

    2023年  

     概要を見る

    前近代の歴史研究の対象の中には、それを定義しようとする際に法的定義などがいまだ存在せず、イメージや表象に関する史料しか残されていないようなテーマがいくつもある。そのようなテーマについては、「・・・のように見える」ということが、その当時にあっても、現在の歴史研究にとっても、それを把握するための基本的な手掛かりとなることを明らかにし、研究方法としての一般化を考えることは重要であるだろう。本研究の研究代表者は、このような前提に基づいて、中世ヨーロッパの貴族に関して、法制度史的な定義ではなく、貴族をめぐる具体的なイメージや表象の集合によって、中世ヨーロッパの貴族を定義することを近年の研究テーマの一つとして考え続けてきた。そして、「貴族のように見える」ということが、中世当時の貴族の社会的定義であり、現在でもそのような視点から貴族を定義して考えることが有効であるという仮説の実証のために、儀礼、衣食住、戦闘法、城や館、威信財など、「貴族のように見える」ことを構成している多様な具体的側面からの分析を積み重ねている。本研究課題では、そのような研究構想の一環として、貴族の要素の中で最も中心的な「騎士」であることが、中世当時、どのようにイメージされていたかを知る最良の一次史料として、騎士の理想像を描いた「騎士論」とも呼ぶべき一連の著作を取り上げた。いくつかの代表的著作を比較する中で、とくに、14世紀半ばのジョフロワ・ド・シャルニィによる『騎士道の書』が重要であると考えられたため、本年度には、その内容の理解と分析を中心的に行った。自身、フランス国王に仕え、ポワティエの戦い(1356年)で国王旗の旗手として戦死した当時の代表的騎士であるジョフロワ・ド・シャルニィが、馬上槍試合から実戦にいたる騎士としてのあるべき振る舞いを語ると同時に、平時における主君への封建的家臣としての義務についても、韻文によって語る内容となっている。

  • 中世ヨーロッパ貴族に関する歴史社会学的定義の研究

    2023年  

     概要を見る

    前近代の歴史研究の対象の中には、それを定義しようとする際に法的定義などがいまだ存在せず、イメージや表象に関する史料しか残されていないようなテーマがいくつもある。そのようなテーマについては、「・・・のように見える」ということが、その当時にあっても、現在の歴史研究にとっても、それを把握するための基本的な手掛かりとなることを明らかにし、研究方法としての一般化を考えることは重要であるだろう。本研究の研究代表者は、このような前提に基づいて、中世ヨーロッパの貴族に関して、法制度史的な定義ではなく、貴族をめぐる具体的なイメージや表象の集合によって、中世ヨーロッパの貴族を定義することを近年の研究テーマの一つとして考え続けてきた。そして、「貴族のように見える」ということが、中世当時の貴族の社会的定義であり、現在でもそのような視点から貴族を定義して考えることが有効であるという仮説の実証のために、儀礼、衣食住、戦闘法、城や館、威信財など、「貴族のように見える」ことを構成している多様な具体的側面からの分析を積み重ねている。本研究課題では、そのような研究構想の一環として、貴族の要素の中で最も中心的な「騎士」であることが、中世当時、どのようにイメージされていたかを知る最良の一次史料として、騎士の理想像を描いた「騎士論」とも呼ぶべき一連の著作を取り上げた。いくつかの代表的著作を比較する中で、とくに、14世紀半ばのジョフロワ・ド・シャルニィによる『騎士道の書』が重要であると考えられたため、本年度には、その内容の理解と分析を中心的に行った。自身、フランス国王に仕え、ポワティエの戦い(1356年)で国王旗の旗手として戦死した当時の代表的騎士であるジョフロワ・ド・シャルニィが、馬上槍試合から実戦にいたる騎士としてのあるべき振る舞いを語ると同時に、平時における主君への封建的家臣としての義務についても、韻文によって語る内容となっている。

  • 中世ヨーロッパの貴族をめぐる表象の分析とそれによる中世貴族の定義の試み

    2022年  

     概要を見る

    中世ヨーロッパの貴族に関して、従来一般的だった法制度史的な定義ではなく、「中世社会のなかで、貴族のように見える、思われる」ことという表象の観点から得られる諸要素の集合による定義を課題とした。 そのような要素の一つとして、貴族の住まいであると同時に、領域支配の拠点ともなった館と城の構造に関して、考古学・建築史情報を収集し、中世ヨーロッパ貴族の住居と権力の関係について考察した。具体的には、Castrum d’Andone(Charente)という10~11世紀のアングレーム伯とその配下の騎士たちの館の分析を行った。

  • 中世ヨーロッパの貴族をめぐる表象の分析

    2022年  

     概要を見る

    中世ヨーロッパの貴族に関して、従来一般的だった法制度史的な定義ではなく、「中世社会のなかで、貴族のように見える、思われる」ことという表象の観点から得られる諸要素の集合による定義を課題とした。 そのような要素の一つとして、貴族の住まいであると同時に、領域支配の拠点ともなった館と城の構造に関して、考古学・建築史情報を収集し、中世ヨーロッパ貴族の住居と権力の関係について考察した。具体的には、Castrum d’Andone(Charente)という10~11世紀のアングレーム伯とその配下の騎士たちの館の分析を行った。

  • 中近世フランスのハーフ・ティンバー式木造都市家屋の歴史的研究とその保存・活用のための地方自治体の政策

    2021年  

     概要を見る

     15~16世紀のハーフティンバー式木造町家について、「宝珠状曲線装飾」と「十字窓」という特徴を手掛かりに、ノルマンディー・ブルターニュ両地方に現存する木造町家の所在を把握し、その分布、歴史的特徴、壁面の形状と構成、内部空間の構造を分析することを目指した。同時に、歴史的木造町家建築の保存と公開に関して、現地の自治体当局等による施策の調査も計画した。 コロナ流行により現地調査が行えず、文献とデータベースによる調査に留まった。成果としては、中世町家建築の3タイプとして、石造、木造、その混合型を区別し、その特徴を考察した。さらに対象地方各地に残されている中近世町家の新たな事例発見に努めた。今後は、木造町家に関する一次史料の収集に努める必要がある。

  • フランス西南部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2020年  

     概要を見る

    中世町家の建築方法には、大別して2種類とその混合型がある。第一のタイプは、建物全体が石造である場合で、1階開口部をゴシック式尖頭アーチや半円・偏円のアーチで支え、2階には、店台の横の入り口から入り、2部屋程度の居住空間が広がっていた。 第二のタイプの町家は、建物全体がハーフティンバー式の木造建築である。1階の戸口、店舗開口部、窓などの上辺が、石造アーチではなく、水平の太い木製梁によって支えられていた。 両者の混合型としては、1階部分は石造の柱で支えられ、上部階がハーフティンバー式木造という場合である。地域ごとに入手できる建築資材や経済力の違いに応じて、三者が適宜使い分けられたと考えられる。中世町家の建築方法には、大別して2種類とその混合型がある

  • 中近世フランスのハーフ・ティンバー式木造都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2019年  

     概要を見る

    2019年度には、ブルターニュ地方の中世家屋の調査を実施し、モルレ、ロクロナン、カンペール、カンペルレ、オーレィ、ヴァンヌなどにおいて、中近世のハーフ・ティンバー式木造町家を数多く発見できた。モルレでは、モルレ市が維持管理している「ポンダレの家 La maison de pondalez」という16世紀のハーフ・ティンバー式木造町家が、内部公開されていて、その見学によって、中近世の木造町家に住むという感覚を体験することができた。その一方で、当初想定していた「宝珠状曲線装飾」を持つ木造町家を発見することは出来ず、この種の装飾を持つ石造町家が存在しないブルターニュ地方では、ブルゴーニュ地方におけるような両タイプの町家における装飾の共通性が見られないということを確認できた。

  • フランス西南部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2018年  

     概要を見る

    2018年度には、リムーザン地方を中心として、中世家屋の調査を実施し、ヴェズレーを起点とする「サン・レオナールの道」沿いの都市に残されている中世町家を調査した。そこでは、リモージュ Limogesとその近郊に位置するサン・レオナール・ド・ノブラ Saint-Léonard-de-Noblatにおいて、ゴシック式尖頭アーチを備えた町家を数多く発見できた。リモージュ美術館では、今は現存していない中世町家(la Maison Marminion, place des Bancs)を描いた絵画(1906年)により、「クリュニー型中世町家」全般の1階開口部の利用形態を知ることができた。サン・レオナール・ド・ノブラでは、中世からルネサンス期にかけての町家が様々に残存しており、町全体が、さながら中世町家博物館の趣を呈していた。

  • 中近世ヨーロッパの身分制議会における君臣間の合意形成プロセスの解明

    2017年  

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     バール=ロレーヌ公領三部会について、15世紀までの時期に関する先行研究と古文書史料の分析を行い、両公領における身分制議会の活動を、その成立と課税承認を中心にして検討した。ロレーヌ公とバール公を兼任したアンジュー家出身のルネ1世期に、政治的混乱により同公の権力が低下するなか、1437年に最初の両公領合同三部会が開催され、当時、ブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンに捕らえられていたルネ1世の身代金支払いに充てるための援助金徴収が議決された。この1437年三部会とそこでの課税承認議決が、これ以後も人々の間に強い印象を残し、両公領の三部会に対するその後の基本的な雰囲気を醸成することとなった状況を確認した。

  • 中近世ヨーロッパの身分制議会における君臣間の双方向的な合意形成-バール=ロレーヌ公領の身分制議会の場合-

    2016年  

     概要を見る

     中近世ヨーロッパ身分制議会史のホイッグ史観的理解に対する反例として、フランスの身分制議会=三部会における、より協調的な君臣間交渉がある。同時期のバール=ロレーヌ公領でも、フランスに似た議会運営の下、協調的な課税合意が取り結ばれていた。本研究では、当該時期のバール=ロレーヌ公領三部会に関する大量の未開拓古文書を調査・分析することを目指した。 具体的には、2016年8月に、ムルト・エ・モゼール県公文書館において、ロレーヌ公領三部会史料関連文書の調査を行った。その結果、三部会開催が定期的ではないことと同時に、家臣団に対するロレーヌ公の融和的姿勢が一貫している内容を数多く発見することができた。

  • フランス中部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2015年  

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     中世フランスの都市家屋に関する2つの基本的類型、すなわち、「クリュニー型中世町家」のような石造アーチの1階開口部を持つ家は建物全体が石造であることが多いのに対して、それ以外の大部分の一般中世町家は、1階上辺は水平の木製梁によって支えられ、2階以上は木造のハーフ・ティンバー様式の町家であるという事実を、これまで未調査だったフランシュ・コンテ地方とブルゴーニュ地方について行うことを主眼とした。 8月30日~9月8日に実施した現地調査では、Saint-Thibaultで12世紀の家を発見できたほか、両地方では、石造町家と木造町屋が混在して残存することを確認できた。加えて、Noyersに多く残存するハーフ・ティンバー様式の木造家屋を観察する中で、15世紀頃のハーフ・ティンバー様式町家では、同時期の石造窓に見られる窓枠上辺の宝珠のような曲線装飾が模倣されていることに気づいた。14世紀以前にさかのぼる木造家屋の現存例はほとんどないと考えられているので、この「宝珠状曲線装飾」を手掛かりに、現存する最古の木造町家である15世紀のハーフ・ティンバー様式の町家群の所在を把握することが出来ると予想される。

  • フランス南西部における中世都市家屋の研究

    2014年  

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      先行研究とデータ・ベースなどによる事前調査の後、2014年8~9月に、主にミディ・ピレネー地方南部で中世都市家屋の現地調査を行った。同地方では、中世石造民家が非常に少ないことを確認した。司教座都市であると同時にサンチャゴ巡礼路も通っていたサン・ベルトラン等でもわずかな残存例しかなかった。また、フルセスでは、シルキュラードと呼ばれる南仏特有の環状集落を見学した。加えて、ラレサングル等では、囲壁に囲まれた教会起源の小型集落を見た。これにオーヴィラール等のバスティードを加えることにより、フランス南部に多い防備集落の様々な形態を比較対照することができた。     

  • 中世フランスにおける城の形成・発展とその歴史的意義

    2013年  

     概要を見る

     10世紀後半のフランス北部に初めて出現したヨーロッパの城のうち、その多くは木造の城(motte and bailey castle)という形でヨーロッパ全域に広がり、多数建設されたが、同時に、既に10世紀末に、フランス・ロワール地方では、石造の城も出現していた。本研究では、この最初期から1200年前後の時期の石造の城の天守塔の形状の発展に注目した。 木造の城でも石造の城でも、その中心は天守塔にあったため、城を建設する際の工夫はそこに集中されている。誕生期である11世紀初頭前後の石造天守塔は、古代ローマ建築のバシリカ様式の大型公共建築物を上に伸ばして高層化した形を取っていたのに対して、その後、13世紀初めまでの200年間の間に、天守塔の平面図は、投擲物に対する防御性能を高めるために、長方形→正方形→多角形→楕円形→円形へと変化していった。居住性よりも軍事機能を優先した点に、当時の時代状況がよく表れている。 そのような進化が進行した中心的地方は、ロワール地方に加えて、同じくフランスのノルマンディー地方とイル・ド・フランス地方であり、2014年3月に、これらの地方に残されている天守塔の総合的な現地調査を行い、その状況を非常に具体的に把握することが出来た。その対象は、まず、ノルマンディー公ギヨーム2世(位1035~1087年。1066年からは、イングランド国王ウィリアム1世)からその三男アンリ1世(位1100~1135年)の時期に建設された長方形天守塔であり、Arques-la-Bataille, Falaise, Ivry-la-Bataille に残るその実例を確認した。 このような、いわば古代風の長方形天守塔が円形に変貌する過程では、さまざまなヴァリエーションが生み出された。そのうち、Gisors(八角形)、Houdan(四つの円形からなる四角形)、Conches-en-OucheとChâteau-Gaillard(複合形)を調査した。その多くは、ノルマンディー公とその後に続くプランタジネット朝イングランド国王とフランス国王、ないし彼らの家臣である地方豪族によって建設されたものである。12世紀後半の英仏抗争が、城砦建築の発展に与えた影響の決定的な大きさを実感せざるを得ない。 1200年前後にフランス国王フィリップ2世(位1180~1223年)によって組織的に採用された円形天守塔は、「フィリップ型天守塔 la tour philippienne」と呼ばれ、中世の石造天守塔の完成形として位置づけられている。これについては、Rouen, Lillebonne, Falaise, Verneuil-sur-Avre, Vernon の5ヶ所で現存する実例を確認することが出来たが、これは非常に大きな収穫だった。特に、Verneuil-sur-Avre の天守塔では、螺旋状に上昇する足場のための穴が残されていて、建設当時の建築技術の実態を知ることが出来た。 それ以外にも、Bretteville-du-Grand-Caux と Crévecoeur-en-Auge では、木造の城(motte and bailey castle)の形と、その後、それが領主館 manoir に変貌した形を知ることが出来た。本研究を通じて、このような中世ヨーロッパの城の歴史的理解の中心に位置づけられる、天守塔の形成とその中世的完成に至る過程を具体的な事例に即して、歴史考古学的に確認することが出来た。加えて、現地での文献収集の点でも、大きな成果があった。

  • 11~12世紀ノルマンディー地方における石造の城の発展

    2012年  

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     今までに、「統治空間としての城の生成と機能をめぐる歴史考古学的研究」(科研費・基盤研究(C)2008-2010年)では、中世フランスの公権力の根拠地だった城について、その建築史的変遷を分析し、その成果として、論文「中世フランスにおける石造の城の起源 ―王宮から天守塔へ―」(千田嘉博・矢田俊文編『都市と城館の中世』高志書院、2010年、131-160頁)において、11-13世紀にヨーロッパで石造の城が誕生・発展する過程の概要を解明することを目指した。 その結果として明らかとなったのは、石造の城の起源が、ヨーロッパ世界の中でも特にフランス・ロワール地方にあり、それに続いてノルマンディー地方に11-12世紀の城が多く残されていることだった。 即ち、ロワール地方で建てられた最も初期の石造城砦(ランジェ、ロッシュなど)における長方形の天守塔は、11-12世紀に、隣接するノルマンディー地方において正方形の天守塔に発展していった。2012年度には、このノルマン式正方形天守塔の建設と構造・機能に着目し、同地方に残る8ヶ所ほどの城の遺構に即して具体的に分析を行った。 ノルマンディー公領のノルマン式正方形天守塔の典型例は、カーン城である。ノルマンディー公ギヨーム1世(=ウィリアム1世征服王)によって建設された都市囲壁のなかに設けられていたノルマンディー公の館をその起源とするが、現存する遺構は、征服王の息子であるヘンリ1世の治世(1100-1135年)に建設が始まったものである。都市囲壁の北入口の城門を整備拡張する形で、ほぼ正方形の天守塔(27m×25m)が建てられた。 ノルマンディー地方でこの他に、方形の石造天守塔として挙げられるのは、アルク・ラ・バタイユ Arques-la-Bataille (ヘンリ1世建設。天守塔20.2m四方)、ヴァルモン Valmont (Robert II d’Estouteville, mort en 1106 建設。10.3m×9.8m)、ブリオンヌ Brionne(Robert Ier de Meula, mort en 1118 建設。20m×19.7m)、ファレーズ Falaise (ヘンリ1世建設。26.6m×22.8m)、ヴィル Vire(ヘンリ1世建設。14m×13.4m)、ドンフロン Domfront(ヘンリ1世再建。26.3m×22.4m)、シャンボワ Chambois (Guillaume de Mandeville により、1165-1189年に建設。21.4m×15.4m)の事例である。最後のシャボワを除いて、いずれもヘンリ1世時代に建てられ、その平面図はほぼ正方形をなしている。 当初の予想に反して、意外にもウィリアム1世征服王期に遡るものがないという点で、ロンドン塔(106-1067年建設)をその嚆矢とする11世紀後半の方形石造天守塔の事例が多く残されているイングランドからそのアイディアが逆輸入された可能性も十分あることが推測できる。 「ノルマン征服」(1066年)以後のアングロ・ノルマン期において、海峡両岸に分布する方形/ノルマン式/ロマネスク式天守塔は、その後、1200年頃に円形天守塔として完成される中世城砦の前段階であると同時に、ロワール地方に生まれた石造天守塔が、イングランドからの影響を受けつつ12世紀前半の段階では、正方形という形でまとめられていったことを示している。このような中世城砦史の重要な発展段階の特徴をより詳細に解明することを今後の課題としたい。

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