2023/12/08 更新

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ホリコシ コウイチ
堀越 宏一
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
(歴史学)博士 ( フランス国立ナンシー第二大学 )
(文学)修士 ( 東京大学 )

経歴

  • 2012年
    -
    継続中

    早稲田大学教育学部   教授

  • 2005年
    -
    2012年

    - 東洋大学文学部教授

  • 1998年
    -
    2005年

    東洋大学文学部助教授

  • 1996年
    -
    1998年

    東洋大学文学部講師

  • 1993年
    -
    1996年

    川村学園女子大学文学部助教授

学歴

  •  
    -
    1992年

    東京大学   人文科学研究科   西洋史学  

  •  
    -
    1992年

    ナンシ-大学大学院   歴史・人類学研究科   中近世フランス史  

  •  
    -
    1992年

    東京大学  

  •  
    -
    1992年

    I'Univ. de Nancy doctorat   Graduate School, Division of History and Anthropology   (histoire frangais pre moderne)  

  •  
    -
    1981年

    東京大学   文学部  

委員歴

  • 2021年
    -
    継続中

    Academie de Stanislas (Nancy, France)  associe-correspondant international

  • 2012年04月
    -
    2016年

    史学会  理事

  • 2011年
    -
    2015年

    西洋中世学会  常任委員

  • 2000年
    -
    2005年

    史学会  編集委員

所属学協会

  •  
     
     

    西洋中世学会

  •  
     
     

    身分制代表制議会史国際委員会

  •  
     
     

    白山史学会

  •  
     
     

    史学会

  •  
     
     

    日仏歴史学会

  •  
     
     

    日本西洋史学会

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研究分野

  • 考古学 / ヨーロッパ史、アメリカ史

研究キーワード

  • 西洋中近世史

  • pre-modern European history

受賞

  • Prix Gabriel-Auguste Prost (de l'Academie des Inscriptions et Belles-Lettres, France)

    2008年  

  • Grand prix de l'economie et des entreprises de Lorraine

    1992年  

 

論文

  • 中世クリュニーの町家の装飾窓(claire‐voie)

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   ( 63集35号 ) 231 - 254  2010年

  • Moyeuvre, la plus grande forge d’Europe au XVIe siècle

    HORIKOSHI, Koichi

    Annales de l’Est     117 - 129  2008年

  • 緊急発掘が支配するフランス考古学制度と中世史研究の行方

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   60集32号   171 - 185  2007年

  • Moyeuvre, la plus grande forge d’Europe au XVIe siècle

    HORIKOSHI, Koichi

    Le travail avant la révolution industrielle. Actes du 127e congrès national des sociétés historiques et scientifiques, Nancy, 2002, Paris, C.T.H.S..     343 - 352  2006年

  • 鉄生産と中近世フランス社会

    堀越 宏一

    ヨーロッパ文化史研究(東北学院大学ヨーロッパ文化研究所)   ( 6 ) 59 - 74  2005年

  • 16世紀ヨーロッパ最大の製鉄所のこと

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   57集29号   195 - 222  2004年

  • 製鉄業における中世から近世への転換(後編)

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   52集24号   29 - 56  1999年

  • Les principautés en France aux XIVe et XVe siècles, ou la naissance du régionalisme (14・15世紀フランスにおける諸侯領、または地方郷土伝統の誕生)

    堀越 宏一

    白山史学   ( 34 ) 73 - 88  1998年

  • 製鉄業における中世から近世への転換(前編)

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   51集23号   53 - 152  1998年

  • フランスにおける文書館の利用と歴史研究

    堀越 宏一

    歴史評論   ( 569 ) 35 - 43  1997年

  • 森林鍛冶から水力製鉄場へ

    堀越 宏一

    東洋大学文学部紀要・史学科篇   50集22号   31 - 80  1997年

  • 中世フランスにおける製鉄業の発展と鉱業特権の形成

    堀越 宏一

    史学雑誌   100 ( 2 ) 1 - 39  1991年

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書籍等出版物

  • 西洋中世史

    河原, 温, 堀越, 宏一

    放送大学教育振興会  2021年03月 ISBN: 9784595141584

  • 中世ヨーロッパの妃たち

    Corbet, Patrick, 堀越, 宏一

    山川出版社  2021年02月 ISBN: 9784634475106

  • 俠の歴史・西洋編(下)

    堀越, 宏一( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 「シャルル突進公」)

    清水書院  2020年08月 ISBN: 9784389501259

  • 東西中世のさまざまな地平 : フランスと日本の交差するまなざし

    江川, 温, Smith, Marc H, 田邉, めぐみ, Wijsman, Henri Willem( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「騎射に見る日欧の中世軍事文化の比較―戦い方と身分の表象」)

    知泉書館  2020年06月 ISBN: 9784862853172

  • 堀越 宏一・甚野尚志編『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』

    堀越 宏一( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 「戦争の技術と社会」「都市と農村の住居」「序章」「あとがき」)

    ミネルヴァ書房  2013年01月

  • 甚野尚志・益田朋幸編『ヨーロッパ中世の時間意識』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世ヨーロッパの写本挿絵における時代表現と写実性」)

    知泉書館  2012年05月

  • 渡辺節夫編『ヨーロッパ中世社会における統合と調整』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世後期フランスの三部会における課税合意の形成と課税放棄」)

    創文社  2011年02月

  • 千田嘉博・矢田俊文編『都市と城館の中世』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世フランスにおける石造の城の起源 ―王宮から天守塔へ―」)

    高志書院  2010年04月

  • 小島道裕編『武士と騎士 ―日欧比較中近世史の研究―』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世ヨーロッパにおける騎士と弓矢」)

    思文閣出版  2010年03月

  • 『ものと技術の弁証法(「ヨーロッパの中世」第5巻)』

    堀越 宏一( 担当: 単著)

    岩波書店  2009年08月 ISBN: 9784000263276

  • 草光俊雄・河原温『ヨーロッパの歴史と文化 ―中世から近代―』

    堀越 宏一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第2回「古代から中世へ」第3回「封建社会の形成とヨーロッパ世界の拡大」第4回「中世ヨーロッパの農村」)

    財団法人放送大学教育振興会  2009年03月

  • Ed. P. Corbet et J. Lusse, Ex animo. Mélanges d’histoire médiévale offerts à Michel Bur

    HORIKOSHI Koichi( 担当: 共著,  担当範囲: L’origine juridique du moulin banal : le droit de cours d’eau)

    Editions Dominique Gueniot (France, Langres)  2009年

  • 『中世ヨーロッパ生活誌(NHKカルチャーアワー・歴史再発見)』

    堀越 宏一( 担当: 単著)

    日本放送出版協会  2008年01月 ISBN: 9784149106328

  • 松本宣郎・前沢伸行・河原温編『文献解説・ヨーロッパの成立と発展』

    堀越 宏一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「封建社会の確立」「中世文化の形成」「フランス(全3節)」の各節)

    南窓社  2007年03月

  • L'industrie du fer en Lorraine : XIIe-XVIIe siècles

    堀越, 宏一, Bur, Michel( 担当: 単著)

    D. Guéniot  2007年 ISBN: 9782878254013

  • 高山博・池上俊一編『西洋中世学入門』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「中世考古学」)

    東京大学出版会  2005年11月

  • 甚野尚志・堀越宏一編『中世ヨーロッパを生きる ―生活と環境の歴史学―』

    堀越 宏一( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 「水車は領主のものか? ―ひとつの公共性の誕生―」「騎士の住む城、暖炉のある農家」)

    東京大学出版会  2004年02月

  • 渡辺節夫編『ヨーロッパ中世の権力編成と展開』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「14世紀後半のフランス王国における租税制度の成立」)

    東京大学出版会  2003年02月

  • 高山博・池上俊一編『宮廷と広場』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「14世紀フランスにおける会計院と王国財政」)

    刀水書房  2002年09月

  • 木村尚三郎編『学問への旅 ―ヨーロッパ中世―』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「ジャック・クールの時代 ―15世紀フランスの商人と国家―」)

    山川出版社  2000年04月

  • 佐藤彰一・池上俊一・高山博編『西洋中世史研究入門』

    堀越 宏一( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「農民と職人の生活」「技術と物質文化」)

    名古屋大学出版会  2000年04月

  • 『中世ヨーロッパの農村世界』

    堀越 宏一( 担当: 単著)

    山川出版社  1997年05月

  • Ed. Paul Wynants, Les mutations de la sidérurgie du XVIe siècle à 1960

    HORIKOSHI Koichi( 担当: 共著,  担当範囲: La sidérurgie lorraine aux XVIe et XVIIe siècles)

    CERUNA Rempart de la Vierge (Belgique, Namur)  1997年

  • 樺山紘一編『西洋中世像の革新』

    堀越 宏一( 担当: 共著,  担当範囲: 「鉄をつくる修道士たち ―中世フランスの修道院における製鉄経営―」)

    刀水書房  1995年09月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 中世フランスの城と住居(都市と農村)についての考古学的研究

    研究期間:

    2003年
    -
     
     

  • 中世後期フランス王国とロレーヌ公領における財政制度と三部会

    研究期間:

    1992年
    -
     
     

  • 前近代ロレ-ヌ地方における製鉄業

    研究期間:

    1986年
    -
     
     

  • l'industrie du fer lorraine de l'epoque pre-moderne

    研究期間:

    1986年
    -
     
     

Misc

  • 城戸毅著『百年戦争 ―中世末期の英仏関係』

    堀越 宏一

    史学雑誌   121 ( 10 ) 100 - 108  2012年10月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 騎士と武士の比較史

    堀越 宏一

    歴史と地理(世界史の研究)   656(232)   56 - 59  2012年08月  [招待有り]

  • 「弓馬の道」と身分 -中世ユーラシア大陸武器事情-

    堀越 宏一

    星座   ( 61 ) 22 - 24  2012年04月  [招待有り]

  • アジアにおけるヨーロッパ中世史研究 ―第5回日韓西洋中世史シンポジウム参加記―

    堀越 宏一

    歴史学研究   ( 806 ) 44 - 48  2005年

  • 山田雅彦『中世フランドル都市の生成』の教えてくれるもの

    堀越 宏一

    西洋史学論集(九州西洋史学会)   ( 40 ) 124 - 126  2002年

  • 城と騎士の真実とはなにか?

    堀越 宏一

    サティア(東洋大学井上円了記念学術センター)   ( 37 ) 18 - 19  2000年

  • 紀元千年の中世フランス考古学

    堀越 宏一

    日仏歴史学会会報   ( 15 ) 6 - 8  1999年

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   大学院文学研究科

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2012年
    -
     

    教育総合研究所   兼任研究所員

特定課題制度(学内資金)

  • 中世ヨーロッパの貴族をめぐる表象の分析とそれによる中世貴族の定義の試み

    2022年  

     概要を見る

    中世ヨーロッパの貴族に関して、従来一般的だった法制度史的な定義ではなく、「中世社会のなかで、貴族のように見える、思われる」ことという表象の観点から得られる諸要素の集合による定義を課題とした。 そのような要素の一つとして、貴族の住まいであると同時に、領域支配の拠点ともなった館と城の構造に関して、考古学・建築史情報を収集し、中世ヨーロッパ貴族の住居と権力の関係について考察した。具体的には、Castrum d’Andone(Charente)という10~11世紀のアングレーム伯とその配下の騎士たちの館の分析を行った。

  • 中世ヨーロッパの貴族をめぐる表象の分析

    2022年  

     概要を見る

    中世ヨーロッパの貴族に関して、従来一般的だった法制度史的な定義ではなく、「中世社会のなかで、貴族のように見える、思われる」ことという表象の観点から得られる諸要素の集合による定義を課題とした。 そのような要素の一つとして、貴族の住まいであると同時に、領域支配の拠点ともなった館と城の構造に関して、考古学・建築史情報を収集し、中世ヨーロッパ貴族の住居と権力の関係について考察した。具体的には、Castrum d’Andone(Charente)という10~11世紀のアングレーム伯とその配下の騎士たちの館の分析を行った。

  • 中近世フランスのハーフ・ティンバー式木造都市家屋の歴史的研究とその保存・活用のための地方自治体の政策

    2021年  

     概要を見る

     15~16世紀のハーフティンバー式木造町家について、「宝珠状曲線装飾」と「十字窓」という特徴を手掛かりに、ノルマンディー・ブルターニュ両地方に現存する木造町家の所在を把握し、その分布、歴史的特徴、壁面の形状と構成、内部空間の構造を分析することを目指した。同時に、歴史的木造町家建築の保存と公開に関して、現地の自治体当局等による施策の調査も計画した。 コロナ流行により現地調査が行えず、文献とデータベースによる調査に留まった。成果としては、中世町家建築の3タイプとして、石造、木造、その混合型を区別し、その特徴を考察した。さらに対象地方各地に残されている中近世町家の新たな事例発見に努めた。今後は、木造町家に関する一次史料の収集に努める必要がある。

  • フランス西南部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2020年  

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    中世町家の建築方法には、大別して2種類とその混合型がある。第一のタイプは、建物全体が石造である場合で、1階開口部をゴシック式尖頭アーチや半円・偏円のアーチで支え、2階には、店台の横の入り口から入り、2部屋程度の居住空間が広がっていた。 第二のタイプの町家は、建物全体がハーフティンバー式の木造建築である。1階の戸口、店舗開口部、窓などの上辺が、石造アーチではなく、水平の太い木製梁によって支えられていた。 両者の混合型としては、1階部分は石造の柱で支えられ、上部階がハーフティンバー式木造という場合である。地域ごとに入手できる建築資材や経済力の違いに応じて、三者が適宜使い分けられたと考えられる。中世町家の建築方法には、大別して2種類とその混合型がある

  • 中近世フランスのハーフ・ティンバー式木造都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2019年  

     概要を見る

    2019年度には、ブルターニュ地方の中世家屋の調査を実施し、モルレ、ロクロナン、カンペール、カンペルレ、オーレィ、ヴァンヌなどにおいて、中近世のハーフ・ティンバー式木造町家を数多く発見できた。モルレでは、モルレ市が維持管理している「ポンダレの家 La maison de pondalez」という16世紀のハーフ・ティンバー式木造町家が、内部公開されていて、その見学によって、中近世の木造町家に住むという感覚を体験することができた。その一方で、当初想定していた「宝珠状曲線装飾」を持つ木造町家を発見することは出来ず、この種の装飾を持つ石造町家が存在しないブルターニュ地方では、ブルゴーニュ地方におけるような両タイプの町家における装飾の共通性が見られないということを確認できた。

  • フランス西南部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2018年  

     概要を見る

    2018年度には、リムーザン地方を中心として、中世家屋の調査を実施し、ヴェズレーを起点とする「サン・レオナールの道」沿いの都市に残されている中世町家を調査した。そこでは、リモージュ Limogesとその近郊に位置するサン・レオナール・ド・ノブラ Saint-Léonard-de-Noblatにおいて、ゴシック式尖頭アーチを備えた町家を数多く発見できた。リモージュ美術館では、今は現存していない中世町家(la Maison Marminion, place des Bancs)を描いた絵画(1906年)により、「クリュニー型中世町家」全般の1階開口部の利用形態を知ることができた。サン・レオナール・ド・ノブラでは、中世からルネサンス期にかけての町家が様々に残存しており、町全体が、さながら中世町家博物館の趣を呈していた。

  • 中近世ヨーロッパの身分制議会における君臣間の合意形成プロセスの解明

    2017年  

     概要を見る

     バール=ロレーヌ公領三部会について、15世紀までの時期に関する先行研究と古文書史料の分析を行い、両公領における身分制議会の活動を、その成立と課税承認を中心にして検討した。ロレーヌ公とバール公を兼任したアンジュー家出身のルネ1世期に、政治的混乱により同公の権力が低下するなか、1437年に最初の両公領合同三部会が開催され、当時、ブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンに捕らえられていたルネ1世の身代金支払いに充てるための援助金徴収が議決された。この1437年三部会とそこでの課税承認議決が、これ以後も人々の間に強い印象を残し、両公領の三部会に対するその後の基本的な雰囲気を醸成することとなった状況を確認した。

  • 中近世ヨーロッパの身分制議会における君臣間の双方向的な合意形成-バール=ロレーヌ公領の身分制議会の場合-

    2016年  

     概要を見る

     中近世ヨーロッパ身分制議会史のホイッグ史観的理解に対する反例として、フランスの身分制議会=三部会における、より協調的な君臣間交渉がある。同時期のバール=ロレーヌ公領でも、フランスに似た議会運営の下、協調的な課税合意が取り結ばれていた。本研究では、当該時期のバール=ロレーヌ公領三部会に関する大量の未開拓古文書を調査・分析することを目指した。 具体的には、2016年8月に、ムルト・エ・モゼール県公文書館において、ロレーヌ公領三部会史料関連文書の調査を行った。その結果、三部会開催が定期的ではないことと同時に、家臣団に対するロレーヌ公の融和的姿勢が一貫している内容を数多く発見することができた。

  • フランス中部の中世都市家屋に関する歴史考古学的研究

    2015年  

     概要を見る

     中世フランスの都市家屋に関する2つの基本的類型、すなわち、「クリュニー型中世町家」のような石造アーチの1階開口部を持つ家は建物全体が石造であることが多いのに対して、それ以外の大部分の一般中世町家は、1階上辺は水平の木製梁によって支えられ、2階以上は木造のハーフ・ティンバー様式の町家であるという事実を、これまで未調査だったフランシュ・コンテ地方とブルゴーニュ地方について行うことを主眼とした。 8月30日~9月8日に実施した現地調査では、Saint-Thibaultで12世紀の家を発見できたほか、両地方では、石造町家と木造町屋が混在して残存することを確認できた。加えて、Noyersに多く残存するハーフ・ティンバー様式の木造家屋を観察する中で、15世紀頃のハーフ・ティンバー様式町家では、同時期の石造窓に見られる窓枠上辺の宝珠のような曲線装飾が模倣されていることに気づいた。14世紀以前にさかのぼる木造家屋の現存例はほとんどないと考えられているので、この「宝珠状曲線装飾」を手掛かりに、現存する最古の木造町家である15世紀のハーフ・ティンバー様式の町家群の所在を把握することが出来ると予想される。

  • フランス南西部における中世都市家屋の研究

    2014年  

     概要を見る

      先行研究とデータ・ベースなどによる事前調査の後、2014年8~9月に、主にミディ・ピレネー地方南部で中世都市家屋の現地調査を行った。同地方では、中世石造民家が非常に少ないことを確認した。司教座都市であると同時にサンチャゴ巡礼路も通っていたサン・ベルトラン等でもわずかな残存例しかなかった。また、フルセスでは、シルキュラードと呼ばれる南仏特有の環状集落を見学した。加えて、ラレサングル等では、囲壁に囲まれた教会起源の小型集落を見た。これにオーヴィラール等のバスティードを加えることにより、フランス南部に多い防備集落の様々な形態を比較対照することができた。     

  • 中世フランスにおける城の形成・発展とその歴史的意義

    2013年  

     概要を見る

     10世紀後半のフランス北部に初めて出現したヨーロッパの城のうち、その多くは木造の城(motte and bailey castle)という形でヨーロッパ全域に広がり、多数建設されたが、同時に、既に10世紀末に、フランス・ロワール地方では、石造の城も出現していた。本研究では、この最初期から1200年前後の時期の石造の城の天守塔の形状の発展に注目した。 木造の城でも石造の城でも、その中心は天守塔にあったため、城を建設する際の工夫はそこに集中されている。誕生期である11世紀初頭前後の石造天守塔は、古代ローマ建築のバシリカ様式の大型公共建築物を上に伸ばして高層化した形を取っていたのに対して、その後、13世紀初めまでの200年間の間に、天守塔の平面図は、投擲物に対する防御性能を高めるために、長方形→正方形→多角形→楕円形→円形へと変化していった。居住性よりも軍事機能を優先した点に、当時の時代状況がよく表れている。 そのような進化が進行した中心的地方は、ロワール地方に加えて、同じくフランスのノルマンディー地方とイル・ド・フランス地方であり、2014年3月に、これらの地方に残されている天守塔の総合的な現地調査を行い、その状況を非常に具体的に把握することが出来た。その対象は、まず、ノルマンディー公ギヨーム2世(位1035~1087年。1066年からは、イングランド国王ウィリアム1世)からその三男アンリ1世(位1100~1135年)の時期に建設された長方形天守塔であり、Arques-la-Bataille, Falaise, Ivry-la-Bataille に残るその実例を確認した。 このような、いわば古代風の長方形天守塔が円形に変貌する過程では、さまざまなヴァリエーションが生み出された。そのうち、Gisors(八角形)、Houdan(四つの円形からなる四角形)、Conches-en-OucheとChâteau-Gaillard(複合形)を調査した。その多くは、ノルマンディー公とその後に続くプランタジネット朝イングランド国王とフランス国王、ないし彼らの家臣である地方豪族によって建設されたものである。12世紀後半の英仏抗争が、城砦建築の発展に与えた影響の決定的な大きさを実感せざるを得ない。 1200年前後にフランス国王フィリップ2世(位1180~1223年)によって組織的に採用された円形天守塔は、「フィリップ型天守塔 la tour philippienne」と呼ばれ、中世の石造天守塔の完成形として位置づけられている。これについては、Rouen, Lillebonne, Falaise, Verneuil-sur-Avre, Vernon の5ヶ所で現存する実例を確認することが出来たが、これは非常に大きな収穫だった。特に、Verneuil-sur-Avre の天守塔では、螺旋状に上昇する足場のための穴が残されていて、建設当時の建築技術の実態を知ることが出来た。 それ以外にも、Bretteville-du-Grand-Caux と Crévecoeur-en-Auge では、木造の城(motte and bailey castle)の形と、その後、それが領主館 manoir に変貌した形を知ることが出来た。本研究を通じて、このような中世ヨーロッパの城の歴史的理解の中心に位置づけられる、天守塔の形成とその中世的完成に至る過程を具体的な事例に即して、歴史考古学的に確認することが出来た。加えて、現地での文献収集の点でも、大きな成果があった。

  • 11~12世紀ノルマンディー地方における石造の城の発展

    2012年  

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     今までに、「統治空間としての城の生成と機能をめぐる歴史考古学的研究」(科研費・基盤研究(C)2008-2010年)では、中世フランスの公権力の根拠地だった城について、その建築史的変遷を分析し、その成果として、論文「中世フランスにおける石造の城の起源 ―王宮から天守塔へ―」(千田嘉博・矢田俊文編『都市と城館の中世』高志書院、2010年、131-160頁)において、11-13世紀にヨーロッパで石造の城が誕生・発展する過程の概要を解明することを目指した。 その結果として明らかとなったのは、石造の城の起源が、ヨーロッパ世界の中でも特にフランス・ロワール地方にあり、それに続いてノルマンディー地方に11-12世紀の城が多く残されていることだった。 即ち、ロワール地方で建てられた最も初期の石造城砦(ランジェ、ロッシュなど)における長方形の天守塔は、11-12世紀に、隣接するノルマンディー地方において正方形の天守塔に発展していった。2012年度には、このノルマン式正方形天守塔の建設と構造・機能に着目し、同地方に残る8ヶ所ほどの城の遺構に即して具体的に分析を行った。 ノルマンディー公領のノルマン式正方形天守塔の典型例は、カーン城である。ノルマンディー公ギヨーム1世(=ウィリアム1世征服王)によって建設された都市囲壁のなかに設けられていたノルマンディー公の館をその起源とするが、現存する遺構は、征服王の息子であるヘンリ1世の治世(1100-1135年)に建設が始まったものである。都市囲壁の北入口の城門を整備拡張する形で、ほぼ正方形の天守塔(27m×25m)が建てられた。 ノルマンディー地方でこの他に、方形の石造天守塔として挙げられるのは、アルク・ラ・バタイユ Arques-la-Bataille (ヘンリ1世建設。天守塔20.2m四方)、ヴァルモン Valmont (Robert II d’Estouteville, mort en 1106 建設。10.3m×9.8m)、ブリオンヌ Brionne(Robert Ier de Meula, mort en 1118 建設。20m×19.7m)、ファレーズ Falaise (ヘンリ1世建設。26.6m×22.8m)、ヴィル Vire(ヘンリ1世建設。14m×13.4m)、ドンフロン Domfront(ヘンリ1世再建。26.3m×22.4m)、シャンボワ Chambois (Guillaume de Mandeville により、1165-1189年に建設。21.4m×15.4m)の事例である。最後のシャボワを除いて、いずれもヘンリ1世時代に建てられ、その平面図はほぼ正方形をなしている。 当初の予想に反して、意外にもウィリアム1世征服王期に遡るものがないという点で、ロンドン塔(106-1067年建設)をその嚆矢とする11世紀後半の方形石造天守塔の事例が多く残されているイングランドからそのアイディアが逆輸入された可能性も十分あることが推測できる。 「ノルマン征服」(1066年)以後のアングロ・ノルマン期において、海峡両岸に分布する方形/ノルマン式/ロマネスク式天守塔は、その後、1200年頃に円形天守塔として完成される中世城砦の前段階であると同時に、ロワール地方に生まれた石造天守塔が、イングランドからの影響を受けつつ12世紀前半の段階では、正方形という形でまとめられていったことを示している。このような中世城砦史の重要な発展段階の特徴をより詳細に解明することを今後の課題としたい。

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