2024/12/21 更新

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カキヌマ リョウスケ
柿沼 亮介
所属
附属機関・学校 高等学院
職名
教諭
学位
修士 ( 東京大学 )
プロフィール

1985年 埼玉県飯能市生まれ
2004年 私立武蔵高等学校 卒業
2009年 東京大学文学部 卒業
2011年 東京大学大学院人文社会系研究科 修士課程 修了
2011年 東京大学大学院人文社会系研究科 博士後期課程 進学(単位取得退学)
2014年 早稲田大学高等学院 着任

経歴

  • 2021年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   教育学部   非常勤講師

  • 2019年04月
    -
    継続中

    名桜大学   環太平洋地域文化研究所   共同研究員

  • 2018年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   教育総合研究所   兼任研究所員

  • 2014年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   高等学院   教諭

  • 2012年04月
    -
    2013年03月

    東京大学   史料編纂所   リサーチ・アシスタント

学歴

  • 2011年04月
    -
     

    東京大学大学院   人文社会系研究科   日本文化研究専攻日本史学専門分野 博士後期課程(単位取得退学)  

  • 2009年04月
    -
    2011年03月

    東京大学大学院   人文社会系研究科   日本文化研究専攻日本史学専門分野 修士課程  

  • 2007年04月
    -
    2009年03月

    東京大学   文学部   歴史文化学科日本史学専修課程  

  • 2005年04月
    -
    2007年03月

    東京大学   教養学部文科Ⅲ類  

  • 2001年04月
    -
    2004年03月

    (私立)武蔵高等学校  

委員歴

  • 2021年04月
    -
     

    日本高麗浪漫学会  研究員

  • 2015年07月
    -
    2021年03月

    日本高麗浪漫学会  理事

  • 2013年07月
    -
    2021年03月

    日本高麗浪漫学会  企画運営委員

  • 2020年11月
    -
     

    日本史攷究会  委員

所属学協会

  • 2022年09月
    -
    継続中

    唐代史研究会

  • 2021年08月
    -
    継続中

    高大連携歴史教育研究会

  • 2016年12月
    -
    継続中

    日本史攷究会

  • 2014年
    -
    継続中

    史学会

研究分野

  • 日本史   対外関係史

研究キーワード

  • 辺境島嶼

  • 国境離島

  • 渡来系

  • 古代山城

  • 対馬

  • 南島・南西諸島

  • 五島列島

  • 新羅

  • 高句麗

  • 渤海

  • 百済

  • 高麗郡

  • 百済王氏

  • 鞠智城

  • 新羅使

  • 遣新羅使

  • 遣唐使

  • 入境経路

  • 外交使節

  • 境界

  • 辺境

  • 古代東アジア交流史

  • 対外関係史

  • 日本古代史

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論文

  • 高麗朝臣一族の改姓と渤海

    柿沼亮介

    中野高行・柿沼亮介編『古代の渤海と日本』(高志書院)     165 - 197  2024年09月

  • 《国境離島》の比較可能性

    柿沼亮介

    早稲田教育評論   38 ( 1 ) 55 - 76  2024年03月  [査読有り]

  • 古代西海道の「辺境島嶼」と「越境」する人々

    柿沼亮介

    民衆史研究   ( 105 ) 3 - 21  2023年05月  [招待有り]

  • 藤原仲麻呂政権と武蔵国新羅郡の建郡

    柿沼亮介

    須田勉・高橋一夫編『渡来・帰化・建郡と古代日本 新羅人と高麗人』(高志書院)     201 - 222  2023年05月

  • 「日本」の境界としての南西諸島の歴史的展開

    柿沼亮介

    早稲田教育評論   37 ( 1 ) 1 - 21  2023年03月  [査読有り]

  • 日本古代の国家領域と「辺境」支配

    柿沼亮介

    早稲田教育評論   36 ( 1 ) 21 - 39  2022年03月  [査読有り]

  • 古代国家による辺境支配と鞠智城の機能の変質の相関

    柿沼亮介

    鞠智城と古代社会   ( 9 ) 25 - 49  2021年03月

  • 対馬をめぐる「国境」認識の歴史的展開

    柿沼亮介

    早稲田教育評論   35 ( 1 ) 13 - 32  2021年03月  [査読有り]

  • 東アジアからみた高麗郡建郡

    柿沼亮介

    高橋一夫・須田勉編『古代高麗郡の建郡と東アジア』(高志書院)     123 - 140  2018年05月

  • 新羅使に関する基礎的考察

    柿沼亮介

    〈東京大学日本史学研究室紀要別冊〉史学論叢   ( 佐藤信先生退職記念特集号 ) 50 - 66  2018年03月

  • 律令国家形成期における対外関係と日本の小中華意識

    柿沼亮介

    日本史攷究   ( 41 ) 24 - 42  2017年12月  [査読有り]

  • 朝鮮式山城の外交・防衛機能の比較研究からみた鞠智城

    柿沼亮介

    鞠智城と古代社会   ( 2 ) 47 - 67  2014年

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書籍等出版物

  • 古代の渤海と日本

    中野高行, 柿沼亮介( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 論文1本(pp.165-197) ※「論文」の項目を参照、「おわりに」(pp.251-254))

    高志書院  2024年09月 ISBN: 9784862152503

  • 正倉院文書〔複製〕

    国立歴史民俗博物館監修・提供(担当:編集協力)( 担当: その他,  担当範囲: 編集協力)

    山川出版社  2024年03月

  • 古代史講義【海外交流篇】

    佐藤信編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第7講 新羅と倭・日本(pp.117-138))

    筑摩書房  2023年09月 ISBN: 9784480075819

  • 最新 詳述日本史史料集

    高木徳郎他(担当:編修・分担執筆)( 担当: その他)

    実教出版  2023年03月 ISBN: 9784407348446

  • 日本史探究 教授用指導書

    柿沼亮介( 担当: 共著)

    実教出版  2023年02月 ISBN: 9784407358650

  • 中学歴史 : 日本と世界

    橋場, 弦, 桜井, 英治( 担当: 分担執筆)

    山川出版社  2021年03月 ISBN: 9784634709041

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講演・口頭発表等

  • 歴史教育における「地域史」と「全体史」

    柿沼亮介  [招待有り]

    日韓歴史教育フォーラム   (ソウル特別市 東北アジア歴史財団 大会議室)  東北アジア歴史財団・高麗大学校東アジア文化交流研究所  

    発表年月: 2024年07月

  • 日本の歴史教育と歴史教科書の制度的特徴

    柿沼亮介, 渡邉宏明  [招待有り]

    「日韓歴史教育フォーラム」 日韓教科書執筆者会議   (ソウル特別市 高麗大学校ソウルキャンパス アジア問題研究院 大会議室)  東北アジア歴史財団・高麗大学校東アジア文化交流研究所  

    発表年月: 2024年07月

  • 「国境」の島々から考える東アジアの国際関係

    柿沼 亮介  [招待有り]

    名桜大学 「歴史学」 オムニバス講義  

    発表年月: 2024年04月

  • 歴史教育の中の「辺境」 ~学問と教科書の狭間で~

    柿沼 亮介  [招待有り]

    高麗大学校歴史教育科 日本歴史教師招請特別講義  

    発表年月: 2023年12月

  • 高麗朝臣一族の改姓と遣渤海使任用

    柿沼亮介

    九州史学会大会朝鮮学部会  

    発表年月: 2023年12月

  • 東アジアの高句麗遺民と武蔵国高麗郡

    柿沼亮介

    第10回高麗郡建郡歴史シンポジウム〈前期〉 高句麗から渡来した人々と高麗郡の建郡 ~東アジアの中で検証する~  

    発表年月: 2023年07月

  • 〈国境離島〉と「帝国」

    柿沼亮介

    公開シンポジウム「八重山から見た沖縄と台湾 ―〈国境離島〉に顕れる「帝国」と地域の秩序―」  

    発表年月: 2023年05月

  • 古代西海道の「辺境島嶼」と「越境」する人々

    柿沼亮介  [招待有り]

    2022年度民衆史研究会シンポジウム「制限のなかの移動・移住と共生」  

    発表年月: 2022年12月

  • 対馬をめぐる「越境」の歴史的展開

    柿沼亮介

    公開シンポジウム:「国境離島」としての対馬・八重山 ―「境界」から考える 移動・ネイション・アイデンティティ―  

    発表年月: 2022年01月

  • 武蔵国新羅郡建郡の歴史的背景

    柿沼亮介

    第7回高麗郡建郡歴史シンポジウム  

    発表年月: 2019年12月

  • 古代東アジア交流史の中の仏教 ―円仁と在唐新羅人を中心に―

    柿沼亮介  [招待有り]

    ハイデルベルク大学 Centre for Transcultural Studies ゲスト・レクチャ  

    発表年月: 2019年11月

  • 「境界」を素材とした歴史教育

    柿沼亮介

    高麗大学校 師範大学歴史教育科「日本文化史」・教育大学院「韓日関係史特講」 特別講義  

    発表年月: 2019年10月

  • 8世紀における日本の対外関係と渡来系氏族政策

    柿沼亮介

    朝鮮史研究会関東部会 9月例会  

    発表年月: 2019年09月

  • 日本古代の対外政策と渡来系氏族

    柿沼 亮介

    九州史学会大会 朝鮮学部会  

    発表年月: 2017年12月

  • 日本の古代国家と「高麗」

    柿沼 亮介

    続日本紀研究会 11月例会  

    発表年月: 2017年11月

  • 8世紀初頭における対外関係と支配体制の整備 ―武蔵国高麗郡建郡を中心に―

    柿沼 亮介

    日本史攷究会2016年度大会  

    発表年月: 2016年12月

  • 東アジアからみた高麗郡建郡の背景

    柿沼 亮介

    第4回高麗郡建郡1300年歴史シンポジウム  

    発表年月: 2016年12月

  • 日本古代における外交使節と支配体制の関係について

    柿沼 亮介

    第113回史学会大会 日本史 古代史部会  

    発表年月: 2015年11月

  • 日本・新羅間の外交交渉と文書 -国号・君主号を中心に-

    柿沼 亮介

    九州史学会大会 朝鮮学部会  

    発表年月: 2013年12月

  • 外交使節の交易と「私」的貢進 ~天平勝宝四年新羅使を中心に~

    柿沼 亮介

    2012年度古代史サマーセミナー   (新潟県新潟市) 

    発表年月: 2012年08月

  • 新羅の対日外交と「王子」派遣 ─天平勝宝四年新羅使を中心に─

    柿沼 亮介

    平成23年度国史学会大会  

    発表年月: 2011年06月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 東アジア海域の《国境離島》を素材とする歴史教育

    早稲田大学教育総合研究所  公募研究

    研究期間:

    2024年04月
    -
    2025年03月
     

  • 地域支配における古代山城の役割 ー鞠智城と西海道の関係を中心にー

    熊本県教育委員会  令和6年度(2024年度)鞠智城跡「特別研究」

    研究期間:

    2024年09月
    -
    2025年01月
     

  • 「辺境島嶼」の比較による歴史教育における「国境」概念の相対化

    早稲田大学教育総合研究所  公募研究

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2024年03月
     

    柿沼亮介

  • 東シナ海域における「国境離島」の比較研究

    サントリー文化財団 

    研究期間:

    2022年08月
    -
    2023年07月
     

    柿沼亮介

  • 古代東アジアにおける「辺境島嶼」支配と入境管理体制の研究

    公益財団法人三島海雲記念財団  2022年度学術研究奨励金 人文科学部門

    研究期間:

    2022年07月
    -
    2023年06月
     

    柿沼亮介

  • 古代東アジアにおける辺境島嶼支配の比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2023年03月
     

    柿沼 亮介

  • 東シナ海域における「国境離島」の比較研究

    サントリー文化財団 

    研究期間:

    2021年08月
    -
    2022年07月
     

    柿沼亮介

  • 「国境離島」を素材とする歴史教育に関する研究

    早稲田大学教育総合研究所  公募研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2022年03月
     

    柿沼亮介

  • 古代東アジアにおける「移民」の国家的支配に関する研究

    松下幸之助記念志財団  研究助成

    研究期間:

    2020年10月
    -
    2021年09月
     

    柿沼亮介

  • 古代東アジアにおける「境界」領域の人々と地域の国家的支配に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2021年03月
     

    柿沼 亮介

     概要を見る

    本研究では、古代日本の「辺境島嶼国」を比較することで古代国家の「境界」地域の支配のあり方を炙り出すことを試みた。律令制下の日本においては、壱岐、対馬、タネ(種子島、屋久島など)、値嘉(五島列島)に「嶋」という令制国に準ずる行政区画がおかれた。これらの設置や廃止の状況について検討することで、「辺境島嶼国」が対外交流上の要地に設置されたことや、その存廃には古代国家の支配体制の変質が関係していることが明らかとなった。

  • 古代国家による辺境支配と鞠智城の機能の変質の相関

    熊本県教育委員会  令和2年度(2020年度)鞠智城跡「特別研究」

    研究期間:

    2020年07月
    -
    2021年01月
     

    柿沼亮介

  • 地域に残る対外交流の伝承に関する研究

    公益財団法人高梨学術奨励基金  若手研究助成

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2020年03月
     

    柿沼亮介

  • 古代東アジアにおける対外関係と地域支配の連関についての研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2020年03月
     

    柿沼 亮介

     概要を見る

    本研究は、古代国家による地域支配の方法が対外関係とどのように連関しているかという点について、境界領域となる地域や人々の支配のあり方から明らかにすることを目的とするものである。古代中国の日本や新羅からの外交使節の来着地においては、公的な対応だけでなく民間のネットワークによる支援が行われたが、両者は必ずしも組織的な補完関係にあったわけではなかったことや、渡来系氏族を移配しての建郡には対外関係の影響がみられるが、背景として従来から指摘されてきた日本の小中華意識のあり方は、時期によって質的な差異があることが明らかとなった。

  • 異文化との接触を素材とした歴史教育に関する研究

    早稲田大学教育総合研究所  公募研究

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2020年03月
     

    柿沼 亮介

  • 古代東アジアにおける対外関係と地域支配の連関についての研究

    サントリー文化財団  若手研究者のためのチャレンジ研究助成

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2019年03月
     

    柿沼 亮介

  • 古代国家の対外関係と地域支配の相関についての研究

    日本学術振興会  平成30年度科学研究費補助金(奨励研究)

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2019年03月
     

    柿沼 亮介

     概要を見る

    本研究では、古代国家による地域支配と対外関係には相関がみられるとの仮説のもと、律令制以前の時代から対外交流の窓口となってきた辺縁地域の支配のあり方と、その地域における国際交流について検討し、古代国家の帝国構造を明らかにすることを目的とした。
    日本に外交使節を派遣した国のうち、新羅は主に筑紫・瀬戸内海経由で入境したのに対して、高句麗・渤海は日本との位置関係上、日本海経由で入境する事例が多い。しかし、高句麗の場合には筑紫経由の経路もしばしば用いられ、また渤海についても8世紀後半の一時期に日本側が筑紫経由での入境を求めている。このように、外交使節の入境経路として日本海ルートと筑紫ルートの両方が用いられていることに注目し、渤海に対する「北路」禁止指示の背景として、藤原仲麻呂の乱の影響などを検討した。
    また、高句麗系の渡来系氏族に対する律令国家による支配のあり方の変化について、高麗福信の一族の改姓と奈良時代の対外関係の変遷を並行して検討した。武蔵国高麗郡の出身である福信の一族は、肖奈公→肖奈王→高麗朝臣→高倉朝臣と改姓を繰り返したが、この背景には、新羅との関係の悪化や渤海の動向、そして藤原仲麻呂政権の外交政策の特徴が関係していると考えられる。
    これらの研究により、新羅、渤海との関係と、古代国家による地域支配に相関がみられることが検証された。今後は、今回検討した北陸や山陰以外の地域も含めて、具体的な事例についてさらに検討を進めていく。

  • 古代東アジアにおける対外関係と地方支配の連関についての研究

    富士ゼロックス株式会社 小林基金  小林フェローシップ

    研究期間:

    2017年07月
    -
    2018年06月
     

    柿沼 亮介

  • 古代国家の外交権と地域支配の関係

    日本学術振興会  平成29年度科学研究費補助金(奨励研究)

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2018年03月
     

    柿沼 亮介

     概要を見る

    本研究では、古代国家の外交権と地域支配の関係について、対外関係の最前線となる地域における地方支配や渡来系氏族に対する政策を検討することで明らかにし、古代国家の輪郭についての認識を深化させることを目的とした。
    外交使節の入境経路としては、日本海ルートと筑紫ルートの両方が用いられている。新羅・高句麗・渤海から日本(倭)へやってきた外交使節の入境のあり方と、入境地の支配の関係をあわせて考えることで、外交権と地域支配の関係について検討した。また、新羅使の入京人数や構成について基礎的な検討を行い、人数の変化がどのような意味を持つかということを分析する下地とした。
    さらに、渡来人の移配について、武蔵国高麗郡の事例を検討した。703年に若光という人物が高麗王という姓を賜与され、その後、716年に高麗郡が置かれている。なぜこのように二段階の政策がとられているかということについて、古代国家が小中華意識をどのように満たしていたかという視点から分析した。
    こうした研究を通して、まず外交使節の入境には筑紫一難波一京という段階性があったという仮説を提示した。このことが、入境経路として筑紫ルートを重視する背景になっていたと考えられる。また、高句麗系の渡来系氏族については、高句麗の後裔国として扱われた渤海の建国により、国内に高句麗王権を疑似的に存続させる政策は継続しなかったものの、王臣化した存在として集住させられ、一定の役割を果たした。このように、古代国家の外交権は地域の支配と連関する形で保たれていたことを明らかにした。

  • 「東アジア世界」論に基づく日本の律令国家形成史に関する研究

    公益財団法人東京都私学財団  平成27年度私立学校研究助成金

    研究期間:

    2015年07月
    -
    2016年03月
     

    柿沼 亮介

  • 日本古代における対外関係と地方支配の進展の連関についての研究

    公益財団法人高梨学術奨励基金  平成27年度若手研究助成

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2016年03月
     

    柿沼 亮介

  • 渤海使を中心とする外交使節の発着地と入朝経路に関する研究

    日本学術振興会  平成27年度科学研究費補助金(奨励研究)

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2016年03月
     

    柿沼 亮介

     概要を見る

    本研究では、渤海使を中心とする外交使節の日本への入境経路や発着地について検討することで、歴史書からは断片的にしか窺い知ることができない日本の古代国家の外交基調を明らかにすることを目的とした。
    しかし、渤海国は独自の史書を残しておらず、また日本や中国の正史における渤海に関する記述も不十分であるため、直接的に渤海や渤海使の具体像を明らかにすることは困難である。そこで、他の外交使節の入境経路や来着地での活動を検討することで、渤海使を東アジアの外交使節全体の中で相対化することを目指した。
    まず、高句麗や渤海からの使節の来着のあり方について、史書を基に基礎的な研究を行った。さらに、大韓民国の済州特別自治道において耽羅関係の調査を行い、耽羅と古代日本との交流のあり方を検討した。また、石川県金沢市において古代の交流に関する出土遺物の調査を行い、福井県敦賀市においては松原客館の調査を行うなどした。
    こうした研究・調査の結果、外交使節の入境地は前代からの交流が行われていた場である事例が散見された。さらにそうした地域では、ヤマト政権とは別に、独自に対外交流を担っていた在地勢力が存在していた。そのため、在地勢力が中央の混乱期に対外的な活動を行う可能性があったと考えられる。例えば、藤原仲麻呂の乱など中央における政変時に、入境経路の変更指示を行うなどの外交基調の変化がみられる。
    なお、研究成果をもとに、奈良~平安時代にかけての日本の対外関係の変遷と、東アジアの国際情勢を絡めて理解させる授業プログラムを開発し、実施した。複雑な国際関係を理解する際に、内政と外交を合わせて考えることは、生徒にとって効果的な学習につながった。

  • 琉球王国における中国使節の受け入れのあり方と、那覇・首里の都市機能の関係に関する研究

    公益財団法人東京都私学財団  平成26年度私立学校研究助成金

    研究期間:

    2014年07月
    -
    2015年03月
     

    柿沼 亮介

  • 朝鮮式山城の外交・防衛上の機能の比較研究からみた鞠智城

    熊本県教育委員会  平成25年度(2013年度)鞠智城跡「特別研究」

    研究期間:

    2013年07月
    -
    2014年03月
     

    柿沼 亮介

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Misc

  • 《古い学問》の新たな可能性

    柿沼亮介

       2024年07月  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

  • 古代国家の「辺境島嶼」支配

    柿沼亮介

    考古学ジャーナル   ( 786 ) 34 - 36  2023年09月  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)  

  • 〈書評〉古畑徹編『高句麗・渤海史の射程 ー古代東北アジア史研究の新動向ー』

    柿沼亮介

    唐代史研究   ( 26 ) 161 - 174  2023年08月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 〈書評と紹介〉浜田久美子著『日本古代の外交と礼制』

    柿沼亮介

    日本歴史   ( 900 ) 129 - 131  2023年05月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 第二外国語と国外研修制度の展開

    柿沼亮介

    武蔵学園百年史刊行委員会編『武蔵学園百年史 主題編』(学校法人根津育英会武蔵学園)     266 - 281  2023年03月

    記事・総説・解説・論説等(その他)  

  • 高等学校「総合講座」への展開

    柿沼亮介

    武蔵学園百年史刊行委員会編『武蔵学園百年史 主題編』(学校法人根津育英会武蔵学園)     257 - 265  2023年03月

    記事・総説・解説・論説等(その他)  

  • 中学校社会科「卒業研究」への展開

    柿沼亮介

    武蔵学園百年史刊行委員会編『武蔵学園百年史 主題編』(学校法人根津育英会武蔵学園)     252 - 256  2023年03月

    記事・総説・解説・論説等(その他)  

  • シンポジウムで見えてきた渡来系移住民の在地社会における役割

    柿沼亮介

    高麗1300 会報   ( 2022年春号 ) 2 - 2  2022年05月

    会議報告等  

  • 渡来系氏族を素材とした歴史教育の可能性

    柿沼亮介

    早稲田教育評論   34 ( 1 ) 91 - 107  2020年03月  [査読有り]

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)  

  • 国境線の変遷から近代国家の輪郭を探究する歴史教育 ―アルザス・ロレーヌ地方を素材として―

    柿沼亮介

    早稲田教育評論   33 ( 1 ) 161 - 178  2019年03月  [査読有り]

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)  

  • 古代国家の対外関係と地域支配の相関についての研究

    柿沼亮介

    考古学ジャーナル   ( 720 ) 38 - 40  2018年12月  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)  

  • 〈新刊紹介〉森公章著『遣唐使の光芒 ー東アジアの歴史の使者ー』(角川選書468)

    柿沼亮介

    史学雑誌   121 ( 4 ) 98 - 99  2012年05月

    書評論文,書評,文献紹介等  

    DOI

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その他

  • 「越境対馬」の活動について

    2015年
    -
    継続中

     概要を見る

    「国境の島」と呼ばれる対馬は、南北82km、東西18kmの細長い島であり、釜山から49.5km、博多からは138kmの距離に位置する。九州よりも朝鮮半島の方が近いという地理的特性から、古来より日本列島と朝鮮半島との交流の窓口としての役割を担ってきた。古代から近世にかけて、新羅使や遣唐使、朝鮮通信使などの外交使節が行き来した。近代になり、対馬宗氏が中世以来担ってきた対朝鮮の外交権は明治政府によって吸収されたが、韓国併合後は「国境」が消滅し、海峡をまたいだ生活圏が形成された。戦後、朝鮮戦争時に多くの避難民が来島して一時的に居住したことを除くと、対馬における日韓の「国境」はしばらく閉ざされていたが、2000年には対馬と韓国との間にフェリーの定期航路が開設された。以後、韓国からの観光客は増え続け、2018年には人口3万人の対馬に年間40万人もの韓国人観光客が訪れる状況となり、人口減少に喘ぎ、公共事業に依存する過疎の島に多大なる経済的恩恵をもたらした。対馬は「国境離島」であるからこそ、「交流」の最前線としての恩恵を享受する存在であった。

    一方で対馬は、「対立」の最前線でもあり続けた。白村江の戦いの後、防衛体制が強化される中で金田城や防人、烽が設置され、対馬は国防の最前線となった。平安時代には新羅海賊による被害や、女真族による襲撃事件である刀伊の入寇にもみまわれた。13世紀には蒙古襲来の被害を受け、さらに15世紀初頭には倭寇の拠点となっていたために朝鮮から襲撃される応永の外寇が起こった。16世紀末に宗氏は朝鮮出兵における先導役を務めさせられ、その後の朝鮮との国交回復は困難を極めた。近代になると国土防衛の重要拠点となり、日露戦争に備えた万関の開削や島内各所への砲台の設置が行われ、島の要塞化が進められた。近年の韓国人観光客の増加に際しても、文化摩擦やオーバー・ツーリズムの問題が取り沙汰され、一部の飲食店や宿泊施設、神社などが韓国人観光客の受け入れを事実上拒否するなど、島の地域社会にも大きな影響を及ぼした。そして2019年夏以降は日韓関係の悪化を受けて韓国からの来島者が激減し、2020年には新型コロナウィルス感染症の拡大によって韓国との航路は閉じられ、現在に至るまで経済的に大打撃を受けている。

    このように、日本列島と朝鮮半島の〈国家〉と〈国家〉の関係、そして国際情勢の影響を強く受けてきたのが対馬である。「越境対馬」プロジェクトでは、韓国・釜山から船で対馬へと渡り、さらに福岡に抜ける「越境」を経験しながら、列島と半島の歴史が交錯する史跡等を訪れるとともに、観光客の受け入れのあり方やそれによる地域社会への影響の調査など、「国境離島」に関する総合的な理解を図り、その持続可能な発展について考える活動を展開してきた。2020年を除いて巡検を毎年行ってきたことにより、韓国人観光客が激増し、それがゼロとなり、さらにポスト・コロナへ向けて模索する島の様子を観察し続けることとなった。

    また本プロジェクトでは、韓国の高麗大学校やハヌル高校、公州韓一高校、日本の開成高校や京都国際高校などと連携して、毎年、日韓の高校生・大学生による「オンライン歴史対話」を実施してきた。そしてコロナ禍前の2019年には、高麗大学校の大学生やハヌル高校・公州韓一高校の生徒たちとともに釜山から同じ船で対馬へと渡り、対馬での合同活動を行うことで、日韓双方の視点から「国境の島」に関する理解を深めた。

    これらの活動を通して、「最前線」という言葉によって列島と半島の二項対立に矮小化される「国境」概念を乗り超え、対馬の地平から近代国民国家像を相対化する視座を獲得することを目指している。

  • 越境対馬2022

    2022年
    -
     

     概要を見る

    早稲田大学高等学院の生徒と、韓国の高麗大学校の学生、仁川ハヌル高校・公州韓一高校・中東高校の生徒による、「コロナ禍での日韓の観光地」「韓国の新政権と日韓関係」「韓国社会・日本社会それぞれから学べること」をテーマとする「オンライン対話」を実施した。

    また早稲田大学高等学院の生徒を対象に、対馬と福岡において6泊7日の巡検を実施した。対馬では、北部と南部それぞれで民泊しながら、韓国人観光客が多く来ていた地域とあまり来ていなかった地域でのコロナの影響について比較するとともに、ポスト・コロナへ向けた動きについてフィールド・ワークを行った。また福岡では、朝鮮半島への窓口としての北部九州の役割について、史跡や博物館を巡りながら理解を深めた。

  • 越境対馬2021

    2021年
    -
     

     概要を見る

    日本の早稲田大学高等学院・開成高校・京都国際高校の生徒と、韓国の高麗大学校・延世大学校は学生、大田外国語高校の生徒で、「日本の中の韓国文化」「対馬の境界性」「日韓関係」をテーマとする「オンライン歴史対話」を実施した。

    また、早稲田大学高等学院の生徒を対象として、対馬と福岡において4泊5日の巡検を行った。日本列島と朝鮮半島との間の交流の窓口としての対馬と福岡について史跡を巡りながら考えるとともに、韓国人観光客の来島が無くなる中での対馬の状況や、ポスト・コロナへ向けた動きについてフィールド・ワークを行った。

  • 越境対馬2020

    2020年10月
    -
    2020年12月

     概要を見る

    新型コロナウィルス感染症の影響により、対馬での巡検を行うことはできなかったが、日韓の高校生・大学生が、「国境離島」である対馬を素材として日本列島と朝鮮半島との関係について共に考え、「境界」地域の可能性について探究するためのオンライン対話を実施した。

  • 越境対馬2019

    2019年08月
    -
     

     概要を見る

    早稲田大学高等学院の生徒たちとともに、釜山~対馬~福岡と「越境」。
    釜山において高麗大の大学生・大学院生やハヌル高校などの高校生と合流し、在釜山日本国総領事館での合同セミナーを行い、さらに同じ船で釜山から対馬に渡った。
    対馬では、韓国人観光客の状況について、比田勝港周辺でのアンケート調査や、グリーン・ブルーツーリズム協会などでの聞き取り調査を共同で行うとともに、「対馬をめぐる日朝交流の『光』と『影』」をテーマとした「歴史対話」を実施した。
    福岡では、博多港国際ターミナルでのアンケート調査を行った。

  • 越境対馬2018

    2018年07月
    -
     

     概要を見る

    早稲田大学高等学院の生徒たちとともに、ソウルー釜山ー対馬ー福岡と「越境」。
    ソウルでは高麗大学校の鄭淳一助教授などの協力を得て、高麗大学校、ソウル大学校、延世大学校の学生やハヌル高校の生徒とともに、慰安婦像(「平和の少女像」)や西大門刑務所歴史館(旧京城監獄)、独島体験館などの日韓の間で歴史認識をめぐる問題になっている場所を訪れ、議論する【日韓青少年大学生歴史対話】を行った。対馬では、韓国人観光客相手の商売についての調査や、比田勝港、厳原港での韓国人観光客へのインタビュー調査を行った。自然科学分野の活動では、対馬の伝統保存食である「せんだんご」の製造過程の地域別調査、及びその製造に関わる菌叢の解析を行い、Mucor 属やPenicillium 属等の糸状菌類が対馬の保存食製造に寄与していることが確認された。

  • 越境対馬2017

    2017年07月
    -
     

     概要を見る

    早稲田大学高等学院の生徒たちとともに、釜山ー対馬ー福岡と「越境」。
    釜山では在釜山日本国総領事館や対馬釜山事務所を訪問した。対馬では民泊先を南部のみならず北部にも広げ、在釜山日本国総領事館・(社)釜山韓日文化交流協会共催の「高校生日本語スピーチ大会」の上位入賞者の韓国人高校生と合同で、九州大学の花松泰倫講師(当時)の指導の下、比田勝における韓国人観光客の調査を行った。また、高校や中学校などの教育機関や対馬市役所を訪問し、対馬で韓国との交流がどのように位置づけられているか調査した。

  • 2016年度「越境対馬」巡検

    2016年08月
    -
     

     概要を見る

    早稲田大学高等学院の生徒たちとともに、ソウルー釜山ー対馬ー福岡と「越境」し、古代からの日朝交流のルートをたどった。
    ソウルではソウル大学校の学生と、釜山では啓明大学校の学生と交流し、意見交換を行った。対馬では南部での民泊を取り入れた他、観光物産協会や一般社団法人MITなどを訪問した。

  • 2015年度対馬北部九州巡検

    2015年07月
    -
     

     概要を見る

    早稲田大学高等学院の生徒たちとともに、福岡において元寇防塁跡や大宰府鴻臚館、志賀島、在自唐坊跡、宮地嶽古墳、新原・奴山古墳、宗像大社、大島(中津宮)、東郷神社などの対外関係に関わる史跡をまわり、対馬では金田城跡、万関、小船越などをまわることで、対外交流の最前線について歴史学的アプローチから分析した。

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現在担当している科目

担当経験のある科目(授業)

  • 社会科教育法

    早稲田大学教育学部  

    2021年04月
    -
    継続中
     

 

社会貢献活動

  • 第8回高麗郡建郡歴史シンポジウム

    日本高麗浪漫学会  日本古代の新羅系移住民と在地社会 

    2021年12月
    -
     

  • 第5回高麗郡公開歴史講演会

    日本高麗浪漫学会 

    2018年
    -
     

  • 第4回高麗郡公開歴史講演会

    高麗浪漫学会 

    2017年
    -
     

  • 第4回高麗郡建郡1300年歴史シンポジウム

    2016年12月
    -
     

特別研究期間制度(学内資金)

  • 古代東アジアにおける対外関係と地域支配の連関についての研究

    2019年04月
    -
    2020年03月

    ドイツ連邦共和国   ハイデルベルク大学

    大韓民国   高麗大学校

    中華人民共和国   浙江大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 教育・総合科学学術院   教育学部

特定課題制度(学内資金)

  • 古代東アジアにおける辺境島嶼支配の比較研究

    2023年  

     概要を見る

    本研究では、東アジアにおける「辺境島嶼」の比較を通して、境界地域が国家間の通交において果たしてきた役割や、在地勢力の主体的な活動に目を向け、「辺境」とされた地域の視点から「国境」や「民族」を相対化する視座を歴史教育に導入し、ひいては我々が生きる近代国家という枠組みの中の歪みに目を向けることを目的としている。その上で2023年度特定課題(科研費連動)では、日本列島の「北」の境界の支配に注目し、北方の境界の歴史的な変遷を踏まえて、「異民族」として扱われてきた蝦夷やアイヌに対する国家の側の認識について調査し、その成果を「辺境島嶼」に対する支配と比較することで、「辺境島嶼」の特質において「辺境性」と「島嶼性」を切り分けることを目指した。津軽海峡を挟んで東北と向かい合う北海道は「島」として捉えることはできるものの、先史時代より北東北と道南は一体の文化圏を形成する地域であり、道南の地理的環境や「和人」の進出のあり方を踏まえても、歴史的に北海道が統一的に把握される主体となったのは近世以降であると考えられる。また「異民族」として認識されていた蝦夷やアイヌは、北東北や北海道の「辺境」地域が伸縮する中で、「同化」の対象へと変化していった。こうした「北」の「辺境性」の特徴は、「南」の境界における南西諸島の支配や、タネ・ヤク人や奄美人の同化について検討する上で有効な視座であると考えられる。こうした成果を踏まえて、2023年12月に韓国の高麗大学校歴史教育科において、日本歴史教師招請特別講義として「歴史教育の中の『辺境』」と題する発表を行い、フィードバックを得た。今後は、支配地域の拡大と「同化」に注目した日本列島の南北の「辺境」の比較を行い、さらに歴史教育における「国境」概念の相対化を目指していきたい。 

  • 古代東アジアにおける「辺境」支配と対外交流の比較研究

    2023年  

     概要を見る

    本研究は、日本列島・朝鮮半島・中国の「辺境」支配を比較することで、東アジアにおいて「辺境」が果たした役割について明らかにすることを目的とするものである。「辺境」における「中央」とは異なる仕組みの支配のあり方について、甑島、宮古島、巨済島を対象として研究した。甑島は薩摩国の郡の一つであったが、同じく西海道の「辺境島嶼」にあたる対馬、壱岐、多褹(種子島や屋久島)、値嘉(平戸と五島列島)には「嶋」という行政区画が置かれた。古代には甑島や天草、長島にも外交使節が来着するなど、対外通交において一定の役割を果たしていたが、「嶋」が置かれた島と置かれなかった島の相違点について、甑島の地理的条件や歴史の展開を踏まえて検討した。 宮古諸島は、八重山諸島とともに先島諸島を構成し、沖縄島を統一した琉球王国によって征服された。そのため、日本列島の「周縁」に位置する琉球王国からさらに「周縁」化された地域であり、そのことが琉球・沖縄や「日本」への意識に現代でも大きく影響している。さらに、沖縄では中国・福建との歴史的な関係が強調されるのに対して、八重山では台湾との間でのヒトやモノの往来が歴史的に活発である。そこで、沖縄島と八重山の間にある宮古島における中国との通交や琉球王国との関係について検討した。 巨済島は朝鮮半島南東部の島であり、弥生時代の交易拠点となっていた朝鮮半島南部の勒島と原の辻遺跡を擁する壱岐島の間に位置する。対馬と朝鮮半島との間の航路としても重要な役割を果たしていたと考えられることから、7世紀に築かれた屯徳岐城などの調査を通して、海洋交通における巨済島の役割について検討した。 これらを踏まえて今後は、「辺境島嶼」の対外通交上の機能が国家による支配のあり方や地域社会に与えた影響について明らかにしていきたい。

  • 古代東アジアにおける「辺境」支配の比較研究

    2022年  

     概要を見る

    本研究は日本・新羅・唐の「辺境」支配を比較し、古代東アジアにおける境界地域のあり方の解明を目指すものである。「辺境」地域においては中央とは異なる仕組みの支配体制が敷かれる場合があるが、これは「辺境」が“内”と“外”との境界でもあり、“外”の世界との関わりを強く持っているからである。そのため、古代東アジア諸国の「辺境」支配を比較することで、前近代の「国境」概念に関する洞察を深めることが可能となる。なお、新型コロナウィルス感染症の影響により海外調査の実施が困難であったため、当初の研究計画を変更し、国内の「辺境」地域及び対外交流上の要地における現地調査と資料収集を行い、研究を進めた。

  • 古代東アジアにおける「境界」地域の国家的支配に関する研究

    2021年  

     概要を見る

    本研究は、古代東アジアの「境界」地域における「中央」とは異なる国家の支配のあり方に注目することで、地域の視点から古代国家像を相対化することを目的としている。2021年度も、新型コロナウィルス感染症の影響により、海外における調査が実施できなかったため、北部九州および奈良において現地調査および資料収集を行うとともに、「境界」地域の地域史に関する文献を用いた研究を進めた。北部九州では、能古島と博多湾沿岸地域との関係や、交通路としての豊後水道とその沿岸地域との関係について分析した。奈良では、「境界」地域の古代史研究において木簡を活用する可能性や方法について検討した。

  • 古代東アジアにおける対外交流と「境界」支配に関する研究

    2021年  

     概要を見る

    本研究は、「境界」領域における国家の支配について検討することで、前近代における「国境」や「民族」のあり方を相対化して理解する視座を提供することを目的としている。研究期間中には「北」・「東」の「境界」地域にあたる東北地方における調査を行った。特に、蝦夷との「境界」となり、また渤海使が来着した出羽地域において、対外交流が律令国家における「辺境」支配にどのような影響を与えたかについて、秋田城や十三湊の調査を行って検討した。さらに、「南」の「境界」である喜界島の城久遺跡と並んで、「北」の「境界」遺跡として注目される石江遺跡(青森市)について、その地理的条件を検討した。

  • 古代東アジアにおける「境界」地域の国家的支配に関する研究

    2020年  

     概要を見る

     本研究では、古代東アジアの「境界」地域における「中央」とは異なる国家の支配のあり方に注目することで、地域の視点から一国史を相対化する視座を提供することを目的としている。2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により、中国や韓国における調査を行うことができなかったため、沖縄・鹿児島両県など国内の「境界」地域における調査を行い、古代の南島地域における境界性について検討するなどした。さらに調査結果について、北陸、壱岐・対馬、五島など古代の「境界」地域の支配のあり方と比較することで、「辺境」支配から翻って古代国家について考究することの妥当性についても検討した。

  • 古代東アジアにおける対外関係と地域支配の連関についての研究

    2019年  

     概要を見る

    本研究では、古代東アジアにおける対外関係と地域支配の連関について、入境地や入境経路上の各地域における外交使節への対応から検討した。特に、日本の遣唐使の中国入境後の現地での対応や、中国における外交使節の活動を支えた在唐新羅人のネットワークについて明らかにするため、『入唐求法巡礼行記』にみえる遣唐使の動向や円仁の滞在地について、中国の江蘇省、山東省周辺において調査を行った。その結果、古代の中国における日本や新羅からの外交使節の来着地においては、公的な対応だけでなく民間のネットワークが機能していたが、両者は必ずしも補完関係にあったわけではないと考えられる。今後は両者の関係性に注目して検討を進めたい。

  • 外交使節の出入境経路と地域支配に関する研究

    2019年  

     概要を見る

    本研究では、外交使節の出入境経路と地域支配の関係について、外交使節の来着地となった地域の調査などを通して検討した。日本の沖ノ島、韓国の辺山半島の竹幕洞遺跡、中国の舟山群島の普陀山は環東シナ海交流の最前線となる地域であるが、出土遺物や祭祀の場の環境の類似性が指摘されている。そこで、対外通交上の要地であった北部九州、辺山半島周辺地域、舟山群島において現地調査を行い、航海にまつわる信仰の対象や祭祀空間の地理的特性の確認、そして対外交流にまつわる伝承の収集を行った。今後は調査結果を踏まえて、信仰や伝承を通した地域間の結びつきと地域支配の関係について検討していきたい。

  • 外交使節の出入境経路と地域支配に関する研究

    2018年  

     概要を見る

     本研究では、対外交流の最前線となっている地域においては、王権が外交権を掌握する以前からそれぞれの地域において対外交流を担ってきた勢力が、律令国家の成立以後も一定の影響力を持ち続け、国家による地域支配のあり方もそうした勢力への対応によって規定されるとの仮説の下、外交使節の出入境経路に注目し、地域支配と国家による外交のあり方について検討した。 特に北陸に注目し、8世紀後半に突如として日本側が渤海に対して北路(日本海ルート)禁止を通達し、筑紫ルートを利用することを要求したことについて、藤原仲麻呂の影響や、新羅中心の対外政策に回帰したことなどとの関係性について検証した。

  • 古代東アジアにおける外交使節の比較研究

    2016年  

     概要を見る

     私は、古代の外交使節の入境経路や発着地における外交機能・儀礼のあり方を検討することで、古代国家における外交権のあり方と、地方支配の関係の解明を目指し、律令国家における外交権は、中央によって完全に掌握されたものではないのではないかという仮説について、個別的な地方ごとの事情を分析している。本研究では、日本の遣唐使の中国国内での動向や現地での儀礼について、唐代の交通事情や行政のあり方についての第一級史料である円仁の『入唐求法巡礼行記』の分析と、円仁が唐においてたどった行程の調査を行うことで、日本にやってきた外交使節をどのように遇していたかなどを想定する基礎資料とした。

  • 高句麗・渤海からの外交使節の入境経路と古代国家の外交権に関する研究

    2016年  

     概要を見る

     本研究は、古代の外交使節の入境経路や発着地における外交機能・儀礼のあり方を検討することで、古代国家における外交権のあり方と、地方支配の関係の解明を目指すものである。 律令国家は、中央集権的な存在であり、外交権は天皇大権の一つであると考えられてきたが、律令国家の地方支配の限界性を考えると、外交権もまた、中央によって完全に掌握されたものではないのではないかという仮説について、加賀・能登、新潟、武蔵国高麗郡など例に実証することを試みた。今後はさらに個別の地域研究の成果を積み上げていくことで、古代の外交と地方支配の関係についてより体系的な理解が進められると考えられる。

  • 古代日本における外交使節の入境経路と在地勢力による独自外交の展開に関する研究

    2014年  

     概要を見る

    律令制以前の在地勢力の動向や独自外交のあり方について、朝鮮半島南部から九州にかけての地域について検討し、律令制下における外交使節の発着地・入境経路との比較を行い、玄海灘沿岸地域と朝鮮半島南部との交流のあり方について、現地調査を行った。さらに、そうした北部九州の勢力が、ヤマト政権の権力が強化されていく過程においてどのようになっていったのかということについて検討したところ、胸肩氏と大王家との関係や、鞠智城の設置目的についての分析から、外交使節の入境経路と在地勢力の活動には、密接な関係があるということが明らかになった。

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