2024/04/26 更新

写真a

コマツ カオリ
小松 香織
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
博士(文学) ( 東京大学 )
文学修士 ( お茶の水女子大学 )

学歴

  •  
     
     

    東京大学   人文科学研究科   東洋史学  

所属学協会

  •  
     
     

    史学会

  •  
     
     

    日本中東学会

  •  
     
     

    日本オリエント学会

  •  
     
     

    日本イスラム協会

研究分野

  • アジア史、アフリカ史

研究キーワード

  • オスマン帝国史、トルコ近代史

受賞

  • 第25回流沙海西奨学会賞

    1992年  

 

論文

  • オスマン帝国における西洋軍事知識の受容

    小松香織

    早稲田大学教育・総合科学学術院学術研究(人文科学・社会科学編)   ( 71 )  2023年03月

  • 年金受給にみるオスマン帝国の「長い10年」

    小松香織

    早稲田大学教育・総合科学学術院学術研究(人文科学・社会科学編)   ( 70 ) 229 - 245  2022年03月

  • The Military Ethos in Modern Turkey and Pertev Pasha's Perception of Bushido

    Kaori Komatsu

    Türkiye'de Japonya Çalışmaları   ( 4 ) 34 - 54  2021年06月

  • 近代オスマン帝国における福祉と戦争

    小松香織

    早稲田大学大学院教育学研究科紀要   ( 30 ) 15 - 28  2020年04月

    担当区分:筆頭著者

  • オスマン帝国の年金制度と人々のくらし―官営汽船の事例から―

    小松香織

    学術研究(人文科学・社会科学編)   ( 66 ) 169 - 186  2018年03月

  • 近代トルコにおける軍人のエトス

    小松香織

    早稲田大学大学院教育学研究科紀要   27 ( 27 ) 17 - 31  2017年03月

    CiNii

  • Civil Society in the Ottoman Modern Period as Seen in "Maritime Personnel Records"

    Kaori Komatsu

    Memoirs of The Research Department of The Toyo Bunko   72   125 - 160  2014年  [査読有り]

    CiNii

  • オスマン帝国の経済ナショナリズムに関する一考察

    小松香織

    東洋史研究   71 ( 1 ) 156 - 190  2012年06月  [査読有り]

    DOI CiNii

  • オスマン帝国末期の海洋活動と黒海沿岸民

    小松香織

    歴史人類   ( 38 ) 1 - 23  2010年03月

  • オスマン帝国近代史史料としての『特別局給与台帳』について

    小松香織

    歴史人類   ( 35 ) 61 - 81  2007年03月

    CiNii

  • 19世紀のオスマン海軍における非ムスリム任用問題—「徴兵抽選拒否事件」関係史料の分析を通じて—

    小松香織

    歴史人類   ( 33 ) 47 - 73  2005年03月

  • オスマン海運におけるカボタージュ権問題—英国汽船をめぐって—

    小松香織

    歴史人類   29 ( 29 ) 1 - 18  2001年03月

    CiNii

  • オスマン帝国のカボタージュ権問題—イズミル港湾の事例について—

    小松香織

    自然・ 人間・文化—地域統合と民俗統合—     1 - 18  2001年03月

  • Financial Problems of The Navy during the Reign of Abdulhamid II

    Kaori Komatsu

    Oriente Moderno   ( 20 ) 209 - 219  2001年

  • XIX. Yüzyıl Osmanlı-İngiliz Deniz Münasebetlerinde‘Kabotaj’Meselesi

    Kaori Komatsu

    Osmanlı   3   371 - 379  1999年12月

  • オスマン帝国末期の黒海海運

    小松香織

    イスラム世界   ( 51 ) 1 - 22  1998年07月

    CiNii

  • アブデュルハミト二世時代の官営汽船—「特別局」とオスマン海軍—

    小松香織

    史学雑誌   107 ( 6 ) 1 - 35  1998年06月

     概要を見る

    "The Idare-i Mahsusa, or IM (The Special Bureau)" was a steamshipping enterprise managed by the Ottoman Navy during the reign of Sultan Abdulhamid II (1876-1909). Because private enterprise were not insufficiently capitalized to compete with foreign companies, the Ottoman government had to establish a national flag for the purpose of managing domestic steam navigation. Unfortunately this attempt failed in the end.This paper analyzes the financial documents of the IM in order to clarify why its business came to a standstill. The author argues that the IM was marked by two characteristics which seriously affected its management. One was its being under the direct control of the Navy, the other was its being obligated to undertake military and official transport services.Concerning the former, excessive interference by naval officers who knew little of the maritime business end prevented the IM from growing as a commercial enterprise. They failed to arrange operations in order to meet the needs of customers. Moreover, unplanned expansion of the fleet incurred tremendous expenditures. Furthermore, arbitrary personnel management on the part of the Navy gave the IM fewer chances to train their own civilian captains and navigation officers. On the other hand, the fares for military and official shipping, mainly for the transport of recruits, veterans, hajjis (pilgrims) and immigrants, had originally been set lower than the normal rate by the government. Moreover, payment was often delayed, so although on paper the accounts appeared balanced, the IM actually had perpetual difficulty in raising funds.The original aim of establishing the IM was "development of steam navigation, " but having attached so much importance to its public and military contribution, the IM not only suffered heavy burdens, but was also prevented from developing into an independent commercial shipping enterprise. From macroscopic points of view, the reason why Ottoman steam navigation failed to establish itself was its subordinated integration into the capitalistic world economy and the progression of peripheralization in the Ottoman Empire. Nevertheless, it is true that in the Ottoman state itself, there were vital problems that prevented its own shipping business from favorable development.

    DOI CiNii

  • オスマン帝国末期の英国黒海汽船海運—『英国領事報告書』より—

    小松香織

    歴史人類   ( 26 ) 127 - 166  1998年03月

  • 1896’da Osmanlı Bahriyesi’nde Yabancılar ve Gayri Müslimler

    Kaori Komatsu

    Tarih ve Toplum   ( 139 ) 16 - 22  1995年06月

  • イダーレイ・マフスーサ—近代オスマン海運に関する一考察—

    小松香織

    日本中東学会年俸   ( 10 ) 1 - 25  1995年03月

  • アブデュル・ハミト2世時代のオスマン海軍(1878-1897)—「沈黙の艦隊」の実像—

    小松香織

    お茶の水史学   ( 35 ) 27 - 48  1992年04月

  • 19世紀末のオスマン海軍—財政問題を中心に—

    小松香織

    東洋学報   73 ( 1.2 ) 1 - 26  1992年01月

    CiNii

  • 100’üncü Yıldönümü Münasebetiyle 《ERTUĞRUL FIRKATEYNİ》 Faciası

    小松香織

    日本中東学会年報   ( 5 ) 113 - 172  1990年03月

  • アブデュル・ハミト2世と19世紀末のオスマン帝国—「エルトゥールル号事件」を中心に—

    小松香織

    史学雑誌   98 ( 9 ) 40 - 82  1989年09月

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書籍等出版物

  • 問いとしての尊厳概念

    小松香織( 担当: 共著,  担当範囲: 第III部 8オスマン社会における「尊厳」)

    法政大学出版局  2024年03月 ISBN: 9784588151378

  • オスマン帝国の近代と海軍

    小松香織

    山川出版社  2004年02月 ISBN: 4634347903

  • オスマン帝国の海運と海軍

    小松香織

    山川出版社  2002年10月 ISBN: 4634673800

講演・口頭発表等

  • Osmanlıların Deniz Ticareti Üzerinde Düşünceleri

    Kaori Komatsu  [招待有り]

    International 9th Symposium on History of Turkish Sea Trading   (イスタンブル)  Istanbul University  

    発表年月: 2017年05月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 年金制度にみるオスマン社会の諸相

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2023年04月
    -
    2027年03月
     

    小松 香織

  • 19世紀を中心とした軍事的学知をめぐる人と書物の交錯

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

     概要を見る

    本研究は、国民国家が形成される19世紀を中心とし、軍人のグローバルな移動による人的ネットワークと、軍事関連書の翻訳・流通・受容という分析視角から、軍事的学知の交錯を研究するものである。日本・フランス・ドイツを主とし、オランダ・オスマン帝国・清朝を参照系と位置づけ、軍人と軍事関連書(人とモノ)の移動から、軍事的学知(学知)に光を当てることにより、軍事史的観点からみた新たな世界史像を提起したい

  • 尊厳概念のグローバルスタンダードの構築に向けた理論的・概念史的・比較文化論的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2023年03月
     

    加藤 泰史, 小松 香織, 前川 健一, 松田 純, 宇佐美 公生, 石川 健治, 竹下 悦子, 上原 麻有子, 清水 正之, 齋藤 純一, 松井 佳子, 後藤 玲子, 小倉 紀蔵, 村上 祐子, 中村 元哉, 小島 毅, 品川 哲彦, 水野 邦彦, 津田 栞里, 林 香里

     概要を見る

    令和元年度の研究計画にもとづき、7月に一橋大学で分担者および協力者(国内)と研究打ち合わせを行い、令和元年度の計画を確認すると同時に、小松美彦氏と中村元哉氏(分担者)(東京大学)の研究発表を行なった。この時また、分担者および協力者に、中間研究成果論文集で研究成果の一部を発表してもらうように依頼した。同じく7月に国際刑事裁判所判事の赤根智子氏に一橋大学で講演を行なってもらった。
    8月に研究代表者が渡独して10月の国際ワークショップ開催のための打ち合わせをシェーンリッヒ教授らドイツの研究協力者と行なってきた。
    9月にワークショップ(発表者:後藤正英(佐賀大学)等)と「第9回スピノザ・コネクション」を一橋大学で開催した。
    さらに10月に一橋大学で国際ワークショップを開催した(シェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)・シュトゥルマ教授(ボン大学)等)。同じく10月に一橋大学で国内ワークショップを開催した(森岡正博(早稲田大学)等)。
    令和2年の1月に中間研究成果の英文論文集である、Kant’s Concept of Dignity (Yasushi Kato/Gerhard Schoenrich (eds.), Berlin/Boston, De Gruyter)をドイツから刊行した。さらに2月に研究代表者が渡独して次年度の国際ワークショップの打ち合わせなどを行なった。3月に国内ワークショプを開催した(宮本慎也(明治大学)等)が、国際ワークショップは新型コロナ感染症の問題が発生したので、オンラインで深夜と早朝に行なった(ハモンド教授(ウォーリック大学)・李教授(中国社会科学院)・リチャードソン教授(ジョージタウン大学)等)。さらに同じく3月に中間研究成果の論文集である『尊厳と社会(上・下)』(加藤泰史/小島毅編、法政大学出版局)と『ドイツ応用倫理学研究』第9号を刊行した。

  • 年金制度にみる近代トルコ社会

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    本研究は、オスマン帝国において近代的な社会保障システムとしての年金制度が、いつから、どのような形で整備されていったのか、また、それがトルコ共和国にどのように継承されたのか、さらに、こうした制度が人々の生活にどのような影響を及ぼしたのかについて、オスマン帝国・トルコ共和国の公文書と公営・私営企業が所蔵する一次史料、新聞・雑誌等を手掛かりに考察し、イスラーム社会における社会保障のあり方、オスマン帝国末期からトルコ共和国初期の社会の実像、具体的には家族や就業のあり様といった人々のくらしの実態を明らかにしようと試みるものである。同時にオスマン帝国とトルコ共和国の連続性に関する議論に社会史的観点から新たな見解を提示することを目標とする。2019年度は、トルコ共和国に長期間滞在することができたため史料調査に重点を置き、オスマン帝国およびトルコ共和国における年金制度や社会福祉関係の史料を広範囲にわたって収集することができた。前半期はアンカラの共和国文書館所蔵のオスマン海運局の経営会議議事録のすべてに目を通した。通常はネット上の閲覧しかできないが、特別の許可を得て史料の現物を確認することができ、多くの情報を得られた。後半期はイスタンブルにおいてトルコ共和国大統領府オスマン朝文書館で史料調査を行い多くの文書をCDに収録した。特に年金制度のルーツを明らかにするため、16世紀までさかのぼって様々な史料の中から関連する文書を抽出した。また19世紀末から20世紀初頭の年金制度の運用の実態についての文書も収集した。さらに膨大な数に及ぶため収集・データベース化・分析に相当な時間を要する年金授与文書について、カタログから優先度の高い文書を選び画像を取得した。イスタンブルにおいて現地研究者との情報交換を行い、数回にわたり研究集会を開催した他、これまでの研究成果を論文にまとめて発表した。今年度はトルコ共和国に長期間滞在することができたため、研究期間のうち当初2年間の目標としていた「できるだけ多くの史料の収集とデータベースの構築」において、特に史料の収集面で大きな成果を上げることができた。2019年4~7月にアンカラの共和国文書館で史料調査を行い、オスマン海運局関係の公開されているすべての史料を閲覧し、多くの文書史料を収集することができた。9月以後はイスタンブルのトルコ共和国大統領府オスマン朝文書で史料調査を行い、多数の史料を収集することができた。当初の研究計画では、研究をすすめるにあたって、(1)オスマン帝国における年金制度の成立の経緯と制度の実態の解明、(2)年金制度が個人の人生に及ぼした影響の考察、という2つの大きなテーマを設定し、定量的かつ定性的な分析を行うとしていた。(1)について、最初に制度が導入された公務員と軍人に対する年金について、その背景、法律の制定過程・内容、運営の実態、問題点を明らかにすることをめざす。主な史料としては、オスマン朝文書館所蔵の勅令、国政会議文書、枢密院文書、ユルドゥズ文書等の公文書とオスマン帝国法令集、官報、新聞・雑誌等を用い、データベースを構築し分析を行っていくとしていた。今年度はこの計画に加えて、年金制度のルーツを探るべく時代をさかのぼり、枢密会議議事録等の史料にも範囲を拡大した。今後はこれらの文書の分析も行っていく。(2)について、年金受給者の個人記録文書をできるだけ多く収集し、パーソナル・ヒストリーの集積から全体像の把握に繋げていく。オスマン朝文書館所蔵の史料の中で、昨年度行ったカタログ調査で特定の公務員や軍人に関する年金関連の記録が2千件以上に及ぶことが確認されたので、これらの文書を収集し活用していく。本年度は優先順位の高いと思われるものから着手したので、今後は網羅的に収集作業を継続していく。こうした史料中心の研究の傍ら、これまでと同様、オスマン帝国の軍事・教育・福祉という3分野の近代化について問題関心を共有するトルコ人研究者たちとの共同研究を推進し、議論を深め発展させていく

  • 年金制度にみる近代オスマン帝国社会

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2018年03月
     

    小松 香織

     概要を見る

    本研究の目的は、オスマン帝国末期の官営汽船会社の人事記録に関する文書を分析することにより、(1)イスラーム社会における社会保障のあり方としての年金制度の実態、(2)オスマン帝国末期の人々のくらし、人生を考察することである。トルコ海運公社所蔵の「個人記録文書」を中心史料とし、オスマン朝の公文書、法令集により、年金規則にみる制度設計とその問題点、年金制度が個人の生活にどのような影響を及ぼしたのかを具体的に明らかにした

  • 軍事史的観点からみた18~19世紀における名誉・忠誠・愛国心の比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    谷口 眞子, 小松 香織, 丸畠 宏太, 柳澤 明, 鈴木 直志, 西願 広望, 吉澤 誠一郎, 佐々木 真, 原田 敬一, 杉山 清彦, 須田 努, 趙景 達, 西願 広望, 松本 彰

     概要を見る

    本科研では、18~19世紀のいわゆる「近代移行期」を対象とし、日本、中国、オスマン帝国、ドイツ、フランスにおいて、軍事の担い手が帯びていたエトスの特徴を、政治・経済・軍事・近代思想などさまざまな分野で、直接的・間接的に影響を及ぼし合っていた地域相互の連関性を考慮しつつ、軍事史的観点から比較史的に考察した。名誉・忠誠・愛国心のエトスは、社会における身分・階層・階級と伝統的思考方法を基礎とし、新たな軍事技術と軍事編制の導入、軍事思想の理念や軍事教育の方法、軍人の徴募方法、宗教・民族によるアイデンティティ、「国家」意識やナショナリズムなどと、複雑に絡み合いながら形成されたことが明らかになった

  • 「海の人事録」にみる近代オスマン帝国社会の変容

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年04月
    -
    2013年03月
     

    小松 香織

     概要を見る

    本研究は、オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々のパーソナルヒストリーを、人事関係等の史料を分析することにより集積し、近代オスマン帝国の社会構造を見直そうと試みたものである。結果、オスマン帝国末期に海事に関わった人々の出自 (民族、宗教、出身地、社会階層等)、キャリアパターンについて、一定の法則性を見出し、海事における黒海沿岸出身者の重要性が明らかとなった

  • 近代オスマン帝国社会にみるエスニシティと地域性

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2004年
    -
    2007年
     

    小松 香織

     概要を見る

    本研究は、近代オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々のエスニシティと地域性を分析することにより、オスマン帝国末期の社会構造を「ヒト」を核としてとらえ直そうとしたものである。具体的には、エスニシティについて、(1)「海運業におけるルーム(ギリシア人)の役割」、地域性について、(2)「黒海沿岸地方から帝都イスタンブルへの人材の供給」というテーマを設定し実証的な研究を行った。(1)に関しては、ギリシアの独立がオスマン帝国海軍にもたらした人材供給面における重大な影響を徴兵制度関係史料にもとづいて明らかにした。(2)に関しては、海軍と官営汽船それぞれの人事記録から海洋活動に従事した人々の出身地のデータを抽出し統計処理を行った。海軍については、イスタンブルの海軍博物館付属歴史文書館所蔵の近代オスマン海軍の人事記録から海軍軍人の出身地に関するデータを収集し分析を行った。官営汽船に関しては、ドルコ海運公社が所蔵する『給与台帳』のうち官営汽船が「特別局」の名の下に運航していた1876年から1910年までの全129冊の台帳の総目録を作成後、29冊を選びデータ・べースを構築して分析を行った。上記研究の結果、黒海沿岸地方が海軍や官営汽船海運に対して人材供給の上できわめて重要な役割を担っていたとの結論を得た

  • オスマン帝国近代における海軍と海運

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年
    -
    2003年
     

    小松 香織

     概要を見る

    本研究は、オスマン帝国の近代海軍・海運の形成過程を分析することにより、経済的植民地化とナショナリズムの台頭がオスマン帝国末期の社会・経済構造に及ぼした影響を考察するものである。具体的には、(1)「カボタージュ権」問題、(2)官営汽船の創設、(3)海軍におけるエスニシティと宗教という3つのテーマを設定し、(1)と(2)では経済的植民地化と海運業の育成・自立との関係を、(3)ではナショナリズム運動の海軍への影響を明らかにしようと試みた。(1)では、オスマン帝国水域のカボタージュ権をめぐるイギリス・オスマン帝国間の論争の4つの事例をとりあげ、両国の史料を比較検討することにより、不平等条約下における海運自立の困難さを実証した。(2)では、オスマン帝国公文書館および海軍文書館所蔵の官営汽船経営に関わる史料から、国家的事業としての汽船会社創設の経緯と草創期の汽船事業の実態を、外国資本との競合を視野に入れつつ解明した。(3)に関しては、19世紀以後のギリシア独立運動に代表されるナショナリズム運動とそれに対抗するイデオロギーとしてのパン・イスラーム主義運動などが、オスマン海軍におけるムスリムと非ムスリムの役割にどのような影響をおよぼしたのかについて、海軍兵士の徴募に注目して検討を行なった。その結果ギリシア系人材の喪失がオスマン帝国末期の海軍の衰退の大きな要因となったこと、ムスリム人員の増加がトルコ共和国海軍の創生につながったことが明らかとなった

  • 近代オスマン海運史研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1996年
    -
    1998年
     

    小松 香織

     概要を見る

    本研究の目的は、近代オスマン海運の形成過程を分析することにより、オスマン帝国の資本主義的世界経済への従属的包摂にともなういくつかの問題点を明らかにすることである。具体的には、(1)海軍の商業海運への関与、(2)海運の自立を阻んだ外国汽船との競合、(3)海運事業をめぐるムスリム・トルコ系軍人・官僚と非ムスリム系資本家・官僚との対立の3点に的を絞った。(1)に関しては、オスマン帝国公文書(Basbakanlik Osmanli Arsivi)およびオスマン海軍文書(Deniz Muzesi Tarihi Arsivi)からオスマン海軍と官営汽船に関わる史料を抽出し、特に財政、経理関係文書を分析することによって、海軍の官営汽船経営の実態と、それがオスマン海運の発展を阻害していく構造を明らかにした。(2)の問題については、黒海航路での外国汽船との競合問題をとりあげ、英国外交文書(領事報告書)にみる19世紀の黒海海運の動向と汽船航路の開設・発展のプロセスを分析することによって、この航路の特性を明らかにした。まず英国公文書館(Public Record Office)所蔵の外交文書、議会文書、海事博物館(Maritime Museum)所蔵の海運関係文書の中から、黒海航路に関する史料をデータ・ベース化し史料集を作成した。そしてこの史料集にもとづいて、黒海航路における英国汽船の活動の分析とその位置づけを行い、それがオスマン海運に及ぼした影響を考察した。さらに黒海航路に見られた英国を含むすべての外国汽船の盛衰とオスマン帝国内海運の動向との有機的なつながりについて論証した。(3)のテーマは、20世紀初頭の第二次立憲制期の官営汽船民営化問題をとりあげ、そこにみられた海軍省と商業公共事業省との対立から、ムスリム・トルコ系エリートとアルメニア人官僚・資本家との対立の構図を明らかにした

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 年金制度にみる近代トルコ社会

    2019年03月
    -
    2020年03月

    トルコ共和国   アンカラ大学

    トルコ共和国   ボアジチ大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科

  • 文学学術院   大学院文学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2024年

    高等研究所   兼任研究所員

特定課題制度(学内資金)

  • 「海の人事録」にみる近代オスマン帝国社会の変容

    2010年  

     概要を見る

    本研究は、オスマン帝国後期の海軍や海運など海事にたずさわった人々の出自(民族、宗教、出身地、社会階層等)を新たに発掘した人事関係等の史料を分析することにより明らかにし、近代オスマン帝国社会構造とその変容を「ヒト」を核として見直そうと試みるもので、同時に、こうした作業を通して当該史料のオスマン帝国社会経済史研究史料としての重要性を提示することも目的としている。すでにこの研究は平成20年度より、科学研究費補助金(基盤研究(C))の同テーマの研究において進めており、本研究はこれまでの研究成果をさらに促進することを目指すものである。 具体的な研究活動としては、トルコ共和国イスタンブルにおいて、同国総理府オスマン朝文書館、海軍博物館付属歴史文書館、トルコ海運公社史料室、アタテュルク図書館の所蔵する一次史料の調査と、収集した文献・史料を整理し、データ・ベース化すること、およびその分析、考察を行った。とくに重点を置いたのが、トルコ海運公社の所蔵する19世紀末から20世紀初頭にかけてオスマン帝国官営汽船会社に雇用された人々の人事記録である。この史料は主に二つあり、一つは給与支払簿、もう一つは個人人事記録簿である。給与支払簿は長期間にわたるので、本研究では『特別局給与台帳』に限定し、さらにその中から全134冊にうちの40冊余りを取り上げて、そこに記載された情報について、汽船の乗組員の出身地に関する統計をとり、分析を行った。人事記録簿についてはデジタルカメラによる撮影を行ったが、完了するには至らず、再調査が必要である。 以上の調査の結果、データ・ベースの構築が完了した『特別局給与台帳』について、一定の結論を導き出すことができた。時期的な変動はあるものの、19世紀末から20世紀初頭(スルタン・アブデュルハミト2世の治世期(1876-1909))官営汽船の乗組員の約半数を黒海沿岸地域出身者が占めていたことがわかった。このことは、オスマン帝国がギリシアの独立によって大量に失った海上活動の担い手であるルーム(ギリシア系臣民)の人材を埋めたのが黒海沿岸地域の人々であったことを示すものであり、当該地域の後期オスマン帝国社会における重要性の一端が明らかとなった。