2024/10/07 更新

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ナガサキ ジュンイチ
長崎 潤一
所属
文学学術院 文学部
職名
教授
学位
文学修士 ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2010年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   文学部   教授

  • 2003年04月
    -
    2010年03月

    札幌国際大学教授

  • 1997年04月
    -
    2003年03月

    校名変更により札幌国際大学助教授

  • 1993年04月
    -
    1997年03月

    静修女子大学助教授

  • 1992年04月
    -
    1993年03月

    日本学術振興会特別研究員(PD)

  • 1986年04月
    -
    1991年03月

    早稲田大学埋蔵文化財調査室助手

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学歴

  • 1986年04月
    -
    1991年03月

    早稲田大学   文学研究科博士課程   史学(考古学)専攻  

  • 1984年04月
    -
    1986年03月

    早稲田大学   文学研究科修士課程   史学(考古学)専攻  

  • 1980年04月
    -
    1984年03月

    早稲田大学   教育学部   社会科地理歴史専修  

委員歴

  • 2019年06月
    -
    継続中

    西東京市文化財保護審議会  西東京市文化財保護審議会委員

  • 2014年
    -
    2022年07月

    三鷹市文化財保護審議会  三鷹市文化財保護審議会委員

  • 2015年06月
    -
    2021年03月

    小平市鈴木遺跡総括報告書作成委員会  小平市鈴木遺跡総括報告書作成委員

  • 2013年07月
    -
    2015年05月

    小平市鈴木遺跡国指定化検討委員会  小平市鈴木遺跡国指定化検討委員

所属学協会

  • 2012年
    -
    継続中

    日本旧石器学会

  • 1993年
    -
    継続中

    北海道考古学会

  •  
    -
    継続中

    日本考古学協会

研究分野

  • 考古学

研究キーワード

  • 細石刃石器群

  • 石斧

  • 旧石器考古学

  • 北方考古学

 

論文

  • 北海道蘭越町立川1遺跡第2次・3次調査概報

    長﨑潤一, 高倉純, 北村成世, 阿部嵩士, 高林奎史

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   69   581 - 606  2024年03月

    担当区分:筆頭著者

  • Experiments with replicas of Early Upper Paleolithic edge-ground stone axes and adzes provide criteria for identifying tool functions

    Akira Iwase, Katsuhiro Sano, Junichi Nagasaki, Noriaki Otake, Masahisa Yamada

    Journal of Archaeological Science   ( 163 )  2024年03月  [査読有り]

    DOI

  • 北海道蘭越町立川1遺跡第1次調査概報

    長﨑潤一, 高倉純, 北村成世, 田畑幸嗣, 谷川遼

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   68   547 - 558  2023年03月

    担当区分:筆頭著者

  • New Chronometric Dating of Indian Middle/ Upper Palaeolithic Sites at Jwalapuram, Andhra Pradesh, Southern India

    Taro Funaki, Hiroyuki Sato, Ravi Korisettar, Yorinao Shitaoka, Atsushi Noguchi a, Jun’ichi Nagasaki

    Journal of Archaeological Studies in India   2 ( 2 ) 101 - 113  2022年12月  [査読有り]

    DOI

  • 後期旧石器時代前半期刃部磨製石斧の新たな集成

    岩瀬彬, 佐野勝宏, 長﨑潤一, 山田昌久, 海部陽介

    日本旧石器学会第20回大会研究発表・シンポジウム予稿集     49 - 50  2022年06月

  • 『晩氷期・細石刃文化の資源利用』へのコメント

    長﨑 潤一

    晩氷期・細石刃文化の資源利用     82 - 82  2022年03月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 後期旧石器時代前半期の大規模遺跡と石斧—Stone hatchets and large scale sites on the Musashino plateau in early upper Paleolithic age—特集 旧石器時代の大規模遺跡

    長﨑 潤一

    月刊考古学ジャーナル / 考古学ジャーナル編集委員会 編   ( 764 ) 6 - 10  2022年02月

  • モノをもたない暮らし ー旧石器人のライフスタイルー

    長﨑 潤一

    三鷹市文化財年報・研究紀要   ( 3 ) 81 - 97  2021年03月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 茨城県常陸大宮市山方遺跡第2次調査概報

    長﨑潤一

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   64   659 - 684  2019年03月

    CiNii

  • 石斧をみる視点

    長﨑潤一

    シンポジウム神子柴系石器群とはなにか?     44 - 46  2018年02月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 茨城県常陸大宮市山方遺跡第1次発掘調査概報

    長﨑潤一

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   62   485 - 508  2017年03月

     概要を見る

    2015年に実施した久慈川右岸に位置する旧石器遺跡、山方遺跡の第1次調査の概報。AT下位に位置づけられている石刃石器群が検出されていた遺跡で、遺跡の広がりや他時期の遺物の有無について調査。縄文土器・剥片などを検出。

  • 栃木県栃木市岡之内遺跡A地点第2次発掘調査概報

    長﨑潤一

    早稲田大学大学院文学研究科紀要.第4分冊   61   37 - 58  2016年02月

     概要を見る

    2014年に実施した岡之内遺跡A地点の第2次調査の概報。今次調査によって遺跡形成の実態が明らかとなった。鹿沼軽石(Ag-KP)堆積後、後期旧石器時代に山崩れがあり、それによって形成された平坦面に縄文時代、古墳時代に遺構が構築された。弘仁年間に群馬県で起こった地震の痕跡も確認された。

  • 埋蔵文化財と大学の教育体制

    長﨑潤一

    月刊 考古学ジャーナル 10月臨時増刊号   676 ( 676 ) 6 - 8  2015年10月

    CiNii

  • 日本旧石器時代の社会と集団 環境・生業・遊動

    長﨑 潤一

    考えよう!旧石器人のライフスタイル~人とモノの移動から探る旧石器時代の生活~     45 - 60  2015年05月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

     概要を見る

    2013年2月11日に相模原市で開催された東京・神奈川・埼玉埋蔵文化財関係財団普及連携事業公開セミナー報告

  • 栃木県栃木市岡之内遺跡A地点第1次発掘調査概報

    長﨑潤一

    早稲田大学大学院文学研究科紀要.第4分冊   60   31 - 55  2015年03月

     概要を見る

    2013年に実施された永野川左岸に位置する岡之内A遺跡の第1次調査の概略。有舌尖頭器や縄文土器が表面採集されたので、発掘調査を実施。石鏃・彫器・縄文土器・縄文遺構を確認。

  • 長野県日向林B遺跡の石斧について—Paleolithic stone axes in Hinatabayashi B site

    長崎 潤一

    史観 = The historical review / 早稲田大学史学会 編   164 ( 164 ) 88 - 103  2011年03月

    CiNii

  • 石斧研究の基礎的整理−後期旧石器前半期−

    長崎潤一

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   50   67 - 78  2011年03月

  • 長野県日向林B遺跡の石斧について

    長崎潤一

    史観   164   88 - 103  2011年03月

    CiNii

  • 赤井川産黒曜石と道央の遺跡

    長崎潤一

    黒曜石が開く人類社会の交流Ⅱ 公開シンポジウム予稿集     28 - 30  2010年04月

  • 白滝第30地点遺跡の1957年調査資料について

    長崎潤一

    菊池徹夫編『比較考古学の新地平』     12 - 22  2010年03月

  • ヘリテージ・ツーリズムと考古学遺跡 −三内丸山遺跡の事例−

    長崎潤一

    札幌国際大学北海道地域・観光研究センター年報   1   34 - 38  2008年03月

  • 後期旧石器時代初頭の石器群 山方遺跡とその周辺遺跡の採集資料の紹介

    長崎,潤一

    旧石器考古学   44 ( 44 ) 75 - 84  1992年05月

    DOI

  • 後期旧石器時代前半期の石斧 -形態変化論を視点として-

    長﨑潤一

    先史考古学研究   3  1990年05月

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書籍等出版物

  • 愛知県春日井市梅ヶ坪遺跡調査報告書

    松原佑生子, 長﨑潤一, 北村成世

    早稲田大学文化財総合研究所  2023年12月

  • 早稲田大学を訪れた旧石器人 ー校地内遺跡出土資料からー

    長﨑潤一, 国武貞克, 谷川遼, 北村成世, 阿部崇士, 高林奎史, 鯉沼来人( 担当: 共著,  担当範囲: 旧石器時代の遺跡と人類集団)

    早稲田大学會津八一記念博物館  2023年09月

  • 大論争日本人の起源

    斎藤, 成也, 関野, 吉晴, 片山, 一道, 武光, 誠( 担当: 共著,  担当範囲: ホモ・サピエンス以前に日本列島へ人類は来たのか?)

    宝島社  2019年11月 ISBN: 9784800299291

  • 現代考古学事典 縮刷版

    安斎正人( 担当: 分担執筆)

    同成社  2006年07月

     概要を見る

    リダクション、火山灰考古学、発掘調査報告書 を担当

  • 現代考古学事典

    安斎正人( 担当: 分担執筆)

    同成社  2004年06月

  • 総進不動坂遺跡調査・検証報告書

    長﨑潤一( 担当: 編集)

    札幌国際大学  2003年08月

  • 現代の考古学6 村落と社会の考古学

    高橋龍三郎( 担当: 分担執筆)

    朝倉書店  2001年10月

     概要を見る

    2「旧石器時代の社会と集団 -遺跡間接合の景観考古学-」を分担

  • アブ・シール南 1

    早稲田大学エジプト学研究所, 高橋龍三郎と共著( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 丘陵頂部における旧石器遺跡の調査 86-98頁)

    鶴山堂  2001年02月 ISBN: 4907730020

    ASIN

  • 東京都練馬区比丘尼橋遺跡B地点調査報告書

    長﨑潤一( 担当: 編集)

    比丘尼橋遺跡調査団  1993年03月

  • お伊勢山遺跡の調査 第2部 旧石器時代

    早稲田大学所沢校地文化財調査室( 担当: 編集)

    早稲田大学出版部  1991年04月

  • 東京都練馬区東早淵遺跡

    長﨑潤一

    練馬区遺跡調査会・練馬区教育委員会  1986年09月

  • 花沢東遺跡 (都営国分寺南町三丁目団地建設に伴う調査)

    恋ヶ窪遺跡調査会( 担当: 分担執筆)

    恋ヶ窪遺跡調査会  1984年03月

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講演・口頭発表等

  • 蘭越町立川1遺跡出土の石刃核

    北村成世, 高倉純, 長﨑潤一, Alexandr Ulanov, 阿部嵩士, 鯉沼来人

    日本旧石器学会第22回ポスターセッション  

    発表年月: 2024年06月

    開催年月:
    2024年06月
     
     
  • 北海道八雲町大関遺跡の尖頭器石器群

    高倉純, 坂梨夏代, 越田賢一郎, 渡井瞳, 北村成世, 長﨑潤一

    日本旧石器学会第22回ポスターセッション  

    発表年月: 2024年06月

    開催年月:
    2024年06月
     
     
  • 複製した後期旧石器時代前半期の刃部磨製石斧を用いた実験痕跡研究

    岩瀬彬, 佐野勝宏, 長﨑潤一, 大竹憲昭, 山田昌久

    日本旧石器学会第22回研究発表  

    発表年月: 2024年06月

    開催年月:
    2024年06月
     
     
  • 北海道磯谷郡蘭越町立川1遺跡 2022-2023年度調査

    高倉純, 長﨑潤一, 北村成世, 阿部嵩士  [招待有り]

    東北日本の旧石器文化を語る会 第37回大会  

    発表年月: 2023年12月

    開催年月:
    2023年12月
     
     
  • 信濃町大久保南遺跡の発掘調査

    岩瀬彬, 長﨑潤一  [招待有り]

    長野県旧石器研究交流会  

    発表年月: 2023年11月

    開催年月:
    2023年11月
     
     
  • 北海道磯谷郡蘭越町立川1遺跡の第1次・第2次発掘調査の概要と課題

    北村成世, 長﨑潤一, 阿部嵩士, 高倉純、Alexandr Ulanov

    日本旧石器学会第21回研究発表  

    発表年月: 2023年06月

    開催年月:
    2023年06月
     
     
  • 後期旧石器時代前半期刃部磨製石斧の新たな集成

    岩瀬彬, 佐野勝宏, 長﨑潤一, 山田昌久, 海部陽介

    日本旧石器学会第20回大会  

    発表年月: 2022年06月

    開催年月:
    2022年06月
     
     
  • モノをもたない暮らしー旧石器人のライフスタイルー

    長﨑潤一  [招待有り]

    三鷹市考古学講演会  

    発表年月: 2019年11月

  • 北海道羊蹄山周辺の旧石器遺跡群

    長﨑潤一

    早稲田考古学会 2018年度研究大会   (早稲田大学)  早稲田考古学会  

    発表年月: 2018年04月

  • 初めて井の頭に来たヒトとは?

    長﨑潤一  [招待有り]

    ふかぼり井の頭 講演会 井の頭の歴史を知る   武蔵野市・三鷹市共催事業  

    発表年月: 2017年09月

  • 日本旧石器時代研究と鈴木遺跡

    長﨑潤一  [招待有り]

    第9回 日本考古学協会公開講座~考古学からみえてきたふるさとの歴史~「東京都鈴木遺跡 現在・過去・未来」   (小平市)  日本考古学協会・小平市教育委員会  

    発表年月: 2015年03月

  • 基調講演 旧石器人はなぜ石斧を保有したのか

    長﨑潤一  [招待有り]

    第18回 石器文化研究交流会   (府中市)  石器文化研究会  

    発表年月: 2014年08月

  • 日本旧石器時代の社会と集団 環境・生業・遊動

    長﨑潤一  [招待有り]

    考えよう!旧石器人のライフスタイル~人とモノの移動から探る旧石器時代の生活~ 東京・神奈川・埼玉埋蔵文化財関係財団普及連携事業公開セミナー   (相模原市杜のホールはしもと ホール)  公益財団法人かながわ考古学財団  

    発表年月: 2013年02月

  • 柏台1遺跡再考

    長﨑潤一  [招待有り]

    石器文化研究会 2013年度総会   (明治大学博物館)  石器文化研究会  

    発表年月: 2012年06月

  • 招聘講演 旧石器時代の石斧−その研究の現状と課題−

    長﨑潤一  [招待有り]

    法政考古学会   (東京、法政大学)  法政考古学会  

    発表年月: 2010年11月

  • 招聘講演 東日本の旧石器社会を考える

    早稲田大学史学会  

    発表年月: 2010年10月

  • 招聘講演 北海道旧石器研究の課題

    早稲田大学考古学会  

    発表年月: 2010年04月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 細石刃石器群から有舌尖頭器石器群への石器群編成のダイナミズム

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2025年03月
     

    長崎 潤一, 高倉 純

  • ホモ・サピエンス躍進の初源史:東アジアにおける海洋進出のはじまりを探る総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2022年03月
     

    海部 陽介, 佐藤 宏之, 藤田 祐樹, 佐野 勝宏, 長崎 潤一, 山田 昌久, 岩瀬 彬, 池谷 信之, 森先 一貴, 芝 康次郎

     概要を見る

    ①海域別調査(津軽・伊豆・対馬・琉球):津軽海峡については、青森の縄文早期遺跡出土黒曜石の原産地分析に着手した結果、従来土器の交流から予測されていたよりもはるかに活発な交流があったことが示唆された。伊豆諸島海域については、神津島などへの渡航を何度か成功させているシーカヤッカーから聞き取り調査を実施した。対馬海峡については、日本側の後期旧石器時代初頭の石器文化の容態と、対馬で縄文早期末に腰岳産黒曜石が搬入されていることを確認した。琉球列島海域については、徳之島(天城)・沖縄島(サキタリ洞)・宮古島(ツヅピスキアブ)の先史時代遺跡について発掘調査または遺物整理を実施し、遺跡形成過程や海産物資源利用について新知見を得た。さらに沖縄県内の遺跡出土品について自然科学分析(顔料分析、材質分析)に着手した。②日本周辺域の調査:日本列島への渡来ルートを検討する一助として、フィリピンの更新世~完新世石器群の調査を実施した。これらは後期旧石器時代初頭の剥片石器群を理解するための比較資料となる。③漂流シミュレーション:琉球列島への移住が偶然か意図的かを区別するための分析を継続した。④人骨研究:縄文時代人の上腕骨について大規模形態解析を実施し、海岸部集団の腕が太く舟漕ぎと関連している可能性をはじめて示した。⑤古代舟研究:先史時代の舟利用解明へ向けて、石斧による丸木舟製作実験とその海上テスト、縄文丸木舟の構造調査、近現代の丸木舟漁に関する聞き取り調査(秋田)、丸木舟の民俗資料調査(秋田・青森)を実施した。⑥石斧の研究:先史時代の舟製作に利用された可能性を追究するための各種調査として、関東南部の凝灰岩製石斧の石材原産地追跡調査、各地出土の石斧の観察と3D形状データ採取、実験使用痕分析を実施した。初年度であった昨年度の最初の目標は、個々の研究を当初計画通りに走らせつつ、出てくる課題を洗い、グループ全体で共有し意見し合って方向修正を加え、全体を軌道に乗せることであった。そのために、キックオフとまとめのための2回の全体会議を行なったが、結果として、残り期間内に挑戦すべき優先課題が明確になった。具体的には、海峡横断の証拠として黒耀石と土器についてのさらなるデータ収集が有効であること、石斧の詳細な研究が高インパクトの成果に結びつきそうであることが、見えてきた。まだ具体的成果を得るには至っていないが、よい指針が得られ、残りの計画期間で興味深い成果を上げられる見通しが立てられたという点において、計画は順調に進んでいる。本年度は以下の事項を中心に進める。①津軽・伊豆・対馬・琉球の4つの海域における海洋進出史を示す基礎データとして特に黒耀石のデータと土器の整備、②東アジアの海を越えた先史集団の移住を検討するための比較分析データとして台湾の旧石器文化についての調査、③島への移住がどの程度の集団サイズであれば成功するかについてのシミュレーションとそれを加味した漂流シミュレーション、④先史時代における黒潮海域の往来についての人骨形態からの吟味、⑤先史時代に利用されたことがわかっている丸木舟の調査と性能テスト、⑥丸木舟製作に必要な道具技術(石斧)の検討。個別研究の効果的推進のためのグループ打合せを随時行うほか参加者全員の意思疎通をはかるための全体会議を実施する

  • 現生人類文化の出現と拡散に果たしたアジア南回りルートの意義に関する考古学的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

    佐藤 宏之, 長崎 潤一, 森先 一貴, 下岡 順直, 國木田 大

     概要を見る

    アフリカで出現した現生人類はチベット高原を避けて北回りルートと南回りルートを経てアジア全域に拡散し、日本列島には3.8万年前に到達した。現生人類文化を指標する石刃技法をもつ北回りルートによる列島への拡散は3.5万年前であるため、列島最初の現生人類文化は南回りルートとこれまで推定されていたが、その実態は未解明であった。本研究では、インドから東南アジア・日本にかけての最新の考古学的資料に基づいて、当時の環境条件に適応した旧石器人の行動戦略を明らかにし、南回りルートの実態を解明した。

  • 黒曜石の流通と消費からみた環日本海北部地域における更新世人類社会の形成と変容

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)

    研究期間:

    2009年04月
    -
    2014年03月
     

    佐藤 宏之, 長崎 潤一, 和田 恵治, 安斎 正人, 出穂 雅実, 廣瀬 亘, 山田 哲, 向井 正幸, 陳 全家, 趙 海龍, ポポフ V.K., グラスコック M.D., ファーガソン J.R.

     概要を見る

    EPMA、hXRF、NAA法を用いて北海道の更新世遺跡出土黒曜石製石器の産地同定分析を行い、さらに既存の産地同定例を集成し出土パターンを解析した。同時に黒曜石生成の地質学的プロセスの実態解明と各産地産黒曜石の標準元素化学成分を確定して、考古学的産地分析研究の標準化を達成した。その上で、環日本海地域における黒曜石の消費と流通の実態を明らかにし、そのパターンに見られる画期から、更新世人類社会の動態を描き出した

  • 旧石器集団の移動領域と黒曜石採取戦略 -北海道を事例に-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    長崎 潤一

     概要を見る

    北海道の後期旧石器時代の集団は、石器石材の90%以上を黒曜石か頁岩に依存している。本研究ではこのうち黒曜石製旧石器を保有する集団の季節移動、移動領域、石材供給などについて研究を行った。後期旧石器前半期において、該期の集団は黒曜石原産地を移動経路の途中に取り込み、かなり広い領域内を移動していることが、黒曜石原産地推定と黒曜石石材の遺跡内消費のあり方から推測することが出来た

  • 局部磨製石斧の実験的研究-後期旧石器時代の石斧の機能-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2003年
    -
    2004年
     

    長崎 潤一

     概要を見る

    日本列島では後期旧石器時代前半期に局部磨製石斧が多く出土する。後期旧石器時代において磨製技術を用いる石器は、オーストラリアと日本だけであり、世界的にも珍しい。なぜ大陸の多くの旧石器遺跡において局部磨製石斧が出土しないのか、また日本列島においてなぜ後期旧石器前半期にだけこの石斧が多く見られるのか、解決すべき問題は多い。本研究ではこの局部磨製石斧の用途について、実験的手法を用いながら考察した。石器の使用痕研究はこれまで高倍率の金属顕微鏡での観察によって、その使用対象を特定するという研究が進展してきた。しかしながら、石斧は軟質石材を用いること、刃部を何回も磨いてしまい使用痕が消えること、黒曜石・チャート・頁岩など硬質石材の使用痕研究が中心だったこと、などから進展が遅れていた。近年、ようやく当該期の石斧の使用痕観察例が報告されるようになってきた。本研究では研究代表者の研究環境の問題もあり、低倍率の実体顕微鏡による実験石斧の刃部観察を行った。出土石斧の観察例はいまだ少ないが、使用痕がまったく認められない例もあり課題となった。この結果、動物の解体を想定した関節をはずす作業と木材加工(伐採ではなく木材の加工実験を実施した)では刃部の線条痕と微細剥離痕に若干の違いが認められた。これは対象物の硬度差(関節部と木材)によるものと思われるが、木材を対象とした実験では対象とした材種・材の部位によって微細剥離痕に違いも認められ、明確な結論を出すためには今少し対象実験例を増やす必要があろう

  • 北海道における細石刃石器群の消滅と縄文文化の発現

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)

    研究期間:

    1997年
    -
    1998年
     

    長崎 潤一

     概要を見る

    1. 本州で神子柴・長者久保石器群や縄文時代草創期石器群が展開していた時期に北海道では細石刃石器群が継続していた。本研究では本州と北海道の該期の石器群の比較を試みた。2. 旧石器時代終末期において、北海道内に地域性が認められる。道東には広郷型細石刃核を主体とする石器群が広く分布し、これは置戸産黒曜石の大形石刃を素材としている。大形の有舌尖頭器・白滝型細石刃核を伴う場合もある。石器の素材の補給体制と細石刃石核の型式は深く関連している。3. 一方、道南では、広郷型細石刃核は少なく、有舌尖頭器や忍路子型細石刃核を主体とする石器群が展開している。これらは主として硬質頁岩を原材とする。また大関遺跡のような長者久保型の大形尖頭器を主体とする石器群は本州の該期石器群の影響を色濃く受けており、北海道独自の細石刃石器群との共時的な関係が予想される。つまり示準石器の変遷を想定した単純な編年観は成立しない。4. 道央部には道東・道南両地域の様相が認められるが、石材原産地から遠いことが石器群に大きく影響している。旭川市射的山遺跡、千歳市オサツ18遺跡に見られるように広郷型細石刃核がリダクションで変形しているのは、消費地遺跡の典型例である。細石刃石核の形態が原産地からの距離によって変化することを示しており、単純な形態的比較が困難であり、編年的な枠組の作成を困難にしている。また三角山上層遺跡のように大平山元タイプの刃部磨製石斧を共伴する例もある。5. 北海道における旧石器時代終末期の石器群は本州の神子柴・長者久保文化の影響を受けながら、独自性を堅持している。石材の消費・供給システムが保有する細石刃石核の型式を規制しており、基本的には均一の装備を保有する本州の縄文時代草創期とは異なる。北海道では該期の本州とは違った「地域遊動型の狩猟採集社会」の社会編成を読みとることができる

  • 旧石器時代における石斧の研究-森林環境への適応と技術進化-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    1994年
    -
    1996年
     

    長崎 潤一

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    本研究では日本列島の旧石器時代を次の3期に区分し,石斧の変遷と列島各地域での消長を明らかにした。1)前期・中期旧石器時代 この時代の石斧は前期旧石器と中期旧石器でその様相を異にする。前期旧石器の石斧は縄文時代のへら状石器に酷似した形状で,小形で片刃,基部が尖る。これを石斧と呼ぶかどうか見解の分かれる所であるが,この時期は間氷期の温暖期であり,植物への依存が大きかったものと判断される。中期旧石器の石斧は両刃が多く,やや大型化し,新しくなる程定形化する。2)後期旧石器時代前半期〜後半期 後期旧石器前半期,局部磨製石斧が完成され定形化した形で出現する。奄美大島でも当該石斧が出土しており,局部磨製石斧の起源が列島の南方に求められる可能性もでてきた。前半期に石斧の平面形は楕円形から撥型へと推移し,局部磨製石斧と打製石斧が形態的に分化してくる。北海道は前半期石器群に局部磨製石斧がないという点で特異である。後半期には研磨面の大きな局部磨製石斧が日本海沿岸〜中部高地地域に多く認められるが,他地域では石斧は石器組成から抜けてしまう。これは日本海沿岸〜中部高地地域が蛇絞岩産地であることと関係するのかもしれない。3)後期旧石器時代終末期〜神子柴長者久保期 旧石器時代終末期の稜柱系細石刃石器群には打製石斧が認められる。本州ではこの後の削片系細石刃石器群にも神子柴長者久保系石器群にも大型の局部磨製石斧が認められ,列島の森林化に適応したことが伺われる。北海道では削片系の細石刃石器群にはほとんど石斧が伴わず,それ以後の忍路子型,広郷型細石刃石器群に石斧が認められ,森林化が本州と較べ遅れたことを伺わせる。こうして長期間の変動をみると,石斧の消長が温暖化・森林化とが連動していることが明らかにされた

  • 後期旧石器時代の石斧-再生加工の変遷を視点として-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)

    研究期間:

    1990年
     
     
     

    長崎 潤一

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Misc

  • 蘭越町立川1遺跡出土の石刃核

    北村成世, 高倉純, 長﨑潤一, Alexandr Ulanov, 阿部嵩士, 鯉沼来人

    日本旧石器学会第22回研究発表シンポジウム予稿集     43 - 43  2024年06月

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 北海道八雲町大関遺跡の尖頭器石器群

    高倉純, 坂梨夏代, 越田賢一郎, 渡井瞳, 北村成世, 長﨑潤一

    日本旧石器学会第22回研究発表シンポジウム予稿集     41 - 41  2024年06月

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 複製した後期旧石器時代前半期の刃部磨製石斧を用いた実験痕跡研究

    岩瀬彬, 佐野勝宏, 長﨑潤一, 大竹憲昭, 山田昌久

    日本旧石器学会第22回研究発表シンポジウム予稿集     21 - 21  2024年06月

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 北海道磯谷郡蘭越町立川1遺跡 2022-2023年度調査

    高倉純, 長﨑潤一, 北村成世, 阿部嵩士

    東北日本の旧石器文化を語る会 第37回大会 予稿集     59 - 66  2023年12月  [招待有り]

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 長野県信濃町大久保南遺跡における発掘調査の概要(2019年-2023年)

    岩瀬彬, 長﨑潤一, 阿部嵩士, 北村成世

    長野県旧石器研究交流会 2023 予稿集     4 - 8  2023年11月  [招待有り]

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 北海道磯谷郡蘭越町立川1遺跡の第1次・第2次発掘調査の概要と課題

    北村成世, 長﨑潤一, 阿部嵩士, 高倉純、Alexandr Ulanov

    日本旧石器学会第21回研究発表シンポジウム予稿集     41 - 41  2023年06月

    研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)  

  • 後期旧石器時代前半期の刃部磨製石斧からさぐる舟の可能性

    岩瀬彬, 佐野勝宏, 長﨑潤一, 山田昌久, 海部陽介

    季刊 考古学   ( 161 ) 37 - 40  2022年11月  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

  • 石斧研究の基礎的整理--後期旧石器時代前半期—A preliminary study of upper paleolithic hatchets in Japan

    長崎 潤一

    早稲田大学大学院文学研究科紀要. 第4分冊 = Bulletin of the Graduate Division of Letters, Arts and Sciences of Waseda University. 4 / 早稲田大学大学院文学研究科 編   56   67 - 78  2010年

    CiNii

  • 石器変形論

    長崎潤一

    月刊考古学ジャーナル   ( 512 ) 2 - 3  2004年  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

  • 1999年度の日本考古学界 日本考古学研究の動向 旧石器時代研究の動向

    長崎,潤一

    日本考古学年報   52   15 - 21  2001年05月

    DOI

  • 書評『帯広・川西C遺跡』北沢実編

    長崎,潤一

    旧石器考古学   57   10 - 10  1998年12月

    DOI

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現在担当している科目

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担当経験のある科目(授業)

  • 日本考古学概説

    早稲田大学  

    2010年09月
    -
    継続中
     

  • 現代社会と考古学

    早稲田大学  

    2010年09月
    -
    継続中
     

  • 考古学研究10(石器研究)大学院科目

    早稲田大学  

    2010年04月
    -
    継続中
     

 

他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2026年

    エジプト学研究所   プロジェクト研究所所長

特定課題制度(学内資金)

  • 北海道立川遺跡における縄文時代草創期石器群の年代

    2022年  

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     旧石器時代終末期から縄文時代草創期という変革期について、北海道南部の状況を明らかにする目的で、北海道蘭越町立川1遺跡において2022年5月、10月の2回の発掘調査を実施した。調査では表土層から無紋土器の細片が40点余り出土した。またローム層中から蘭越型細石刃関連遺物、立川ポイント、尖頭器製作剥片などが検出された。遺物の年代決定の一助とすべく、ローム層のテフラ分析を委託し、その結果、クッタラ第2テフラが検出され、広域火山灰としては洞爺テフラ、支笏第1テフラに由来する火山ガラスが検出され、姶良Tnテフラと濁川テフラに由来する可能性のある火山ガラス等も検出され、本地域の火山灰層序を明らかにできる可能性を見出した。

  • 細石刃石器群から有舌尖頭器への石器群編成のダイナミズム

    2021年  

     概要を見る

     本研究は旧石器時代終末期の細石刃石器群から尖頭器石器群を経て、草創期の神子柴・長者久保石器群、草創期有舌尖頭器石器群に至るという従来の変遷観の再検討を企図した研究である。新潟県上原E遺跡で白滝型細石刃核に木葉形尖頭器、神子柴型石斧が伴うという石器群が見つかった。白滝型細石刃石器群は従来草創期に位置づける考えは無かったが、この石器群の発見により明確に草創期に位置づけられることになった。九州や北海道では草創期まで細石刃石器群が残存することが知られていたが、本州中央部でも細石刃石器群の残存が確認された意義は大きい。本研究では上記石器群の再編と同時並存について本州~北海道地域を対象に検討した。

  • 旧石器人の石材採取行動と石器製作-利根川石材の利用-

    2019年  

     概要を見る

     本研究は旧石器人の石器石材採取行動の解明を目的とする研究である。南関東の旧石器遺跡ではしばしば利根川産の安山岩、黒色頁岩で製作された石刃が発見される。しかしながら、原産地近傍の利根川上流域での調査事例は少なく、その解明に支障をきたしている。本研究では利根川産安山岩・黒色頁岩製の石刃を出土する遺跡として知られる、群馬県みなかみ町後田遺跡の発掘調査を行い、新資料の獲得を目指した。調査期間は10月12日から19日である。上層で古代の竪穴住居跡が検出され、鉄斧、椀型鉄屑など製鉄関連遺物が出土した。住居エリア外に旧石器調査区を設定し、AT層下位で大型石刃石核を検出し、旧石器包含層の広がりを確認した。

  • 関東地方における後期旧石器時代前半期の石刃石器群の解明

    2018年  

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     本研究は後期旧石器時代前半期の石刃石器群について、旧石器集団の遊動領域や、その石刃生産技術、石材運用システムの検討を企図したものである。特に前半期後葉(Ⅸ上~Ⅶ層段階)になると、大型の石刃をかなりの量、生産する遺跡が出現する。こうした前半期後葉の石刃生産遺跡の代表的例が、みなかみ町後田遺跡である。 この後田遺跡の未発掘部に、2018年10月4日~10日に4m×4mの範囲を調査した。既調査で石刃生産関連遺物の出土場所に隣接する地点を調査地とした。今回の調査では、旧石器包含層の上位に、縄文時代包含層、古墳時代包含層、古墳時代竪穴住居、古代竪穴住居が出土し、旧石器包含層には達しなかった。

  • 3D考古学の挑戦 -三次元計測による新たな考古学分野の創設―

    2017年  

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     考古学では出土遺物の実測図を描くことに多くの基礎研究の時間が割かれている。実測図がないと遺物の形態を比較できないためである。現在でも実測は方眼紙の上に遺物を置き、三角定規を駆使して輪郭点を落とし、結線して輪郭を描いている。従来2000万円を超える高額だった三次元スキャナーが、かなり安価になってきた。こうした三次元スキャナーによって三次元計測データを取得すれば、実測図を描画する時間は短縮でき、さらに遺物の様々な属性を瞬時に計測できることになる。 本研究では、こうした三次元スキャナーを用いて、遺物の三次元計測データを取得し、どのように研究を展開できるかという新たな研究方法の開発を行った。

  • 石刃石器群の石材採取・消費戦略

    2017年  

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    本研究では、3Dスキャナーを用いて石器や石材の三次元データを取得し、それを元に研究を進めるという、これまでほとんど行われてこなかった石器研究方法の開発と実践を課題とした。近年3Dスキャン―が安価になったこともあり、石器数か所の計測値ではなく石器の3次元データを用いて、直接形態比較を行うことができるようになった。本研究では石刃、石刃石核、河床礫の計測を行い、石材採取箇所の特定、目的石材の質量、石刃技術と石材の関係を分析した。石刃は北海道八雲町に所在するトワルベツ遺跡、大関遺跡の資料を3次元計測した。また八雲町の遊楽部川の河床数か所で石器石材の頁岩礫を採取し3次元計測し、出土石刃、接合資料との比較に用いた。

  • 南関東旧石器集団の遊動領域 ―河床礫と石材消費―

    2014年  

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    本研究は旧石器時代の南関東集団がいかなる領域を有していたか、遺跡出土の石器と現代の河床礫の岩石種、礫形状の比較を行ってアプローチするものである。河床礫としては多摩川と入間川、更に鬼怒川、思川、阿武隈川、利根川も河床礫調査を実施した。Ⅶ~Ⅸ層出土石器群ではお伊勢山遺跡で房総半島嶺岡白滝頁岩が集中して出土し、下総台地集団と結びついた状況が注目された。Ⅳ層石器群については、立川面の遺跡において凝灰岩の使用が多く、黒曜石製の有樋尖頭器の出土が多い点に注目したい。有樋尖頭器は野川流域でも武蔵野面の遺跡や入間川側ではめったに見られず、Ⅳ層段階において武蔵野台地内の小地域区分が顕在化することが判明した。

  • 旧石器集団の遊動領域論 ー関東地方河川の河床礫組成と石材消費ー

    2013年  

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    本研究では関東地方の河川上中流域河床での礫調査と旧石器遺跡出土石器の石材調査を行い、それを関連させることで旧石器集団の遊動領域を明らかに知ることを目的としている。河川河床礫の調査について、自然地理学分野では実施されることがあるが、考古学からの実施例はきわめて稀であり、研究の蓄積が無い。本研究ではそうした河床礫調査の手法を開発することが第一の課題となった。2種の現地調査を実施した。 ①1m四方の枠を突っ張り棒を4本用いて設定し、その範囲をデジタルカメラで撮影した。一つの調査地点で複数箇所(5~10箇所)の1m四方枠を設定して撮影を行った。これは河川の礫運搬力をみるための調査であり、石材については考慮しなかった。研究室に戻り写真から1m四方の中に写っている礫の個々の礫径を算出した。 ②10m四方の枠をエスロンテープで河床に設定し、その範囲内を歩いて肉眼で石器利用石材礫を探した。ホルンフェルス、安山岩、頁岩、チャートなど剥片石器に使用できる石材に限定した。またチャートでも節理が多くすぐに割れてしまうような石質のものは除外し、あくまで石器石材として適する礫を採取した。見つかった石器利用可能礫の石種、礫形状、礫径、重量などを記録し、礫の撮影も行う。こうした調査箇所をひとつの河床で複数個所(5~10箇所)設定した。 調査地点は多摩川(府中市、日野市、青梅市)、利根川(渋川市)、永野川(栃木市)、鬼怒川(上三川町)である。多摩川、鬼怒川などでは10m四方の調査枠内に石器利用可能礫が1点も含まれない場合も多かった。 調査①では各河川とも概ね河口からの距離と平均礫径とは反比例する傾向が認められた。複数地点での調査をしなかった河川もあるため一概には言えないが、地理学での知見と矛盾しない。問題は調査②であった。河床に10m四方の調査箇所を設定しても、1点の石器石材も得られず、次々と調査箇所を設定することになった。1点の石材を得るために1時間以上かかることもしばしばであった。つまり石器利用石材の分布が希薄で、石材採取地点としてはふさわしくなかったのかもしれない。旧石器集団の石材獲得効率をどの程度に考えるのかが大きな問題である。例えば多摩川府中市の採取地点は野川遺跡群などに近い(直線距離で5km)が、河床で5箇所以上の設定をしないと比較的良質な石器石材(ホルンフェルス・チャート)は得られなかった。500平米で1点の石器利用石材しか得られない場所で旧石器集団は石材採取を行ったのだろうか。 本研究では遺跡出土の旧石器石材の大きさ(利用礫の推定礫径)の調査を行うことが出来なかった。遺跡出土石材の調査を行うことで、本研究の調査①、調査②で得られたデータが活用できると考えている。

  • 北海道旧石器集団の遊動領域と石材利用

    2011年  

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     北海道の旧石器集団の遊動領域の解明に当たって、2つの方向からのアプローチがある。ひとつは石器利用石材の産地推定、遺跡内での石材消費状況、地域での石材組成などを検討する石材研究である。二つ目は石器の型式学的方法によるもので、これは従来から長年に渡って実施されてきた研究方法である。本研究ではふたつの方法を融合させつつ、北海道における地域集団の石材採取活動と年間スケジュール、遺跡での考古資料とそこから復元される行動、遊動ルートの解明などを目的として研究を進めている。 特に調査の進んでいない赤井川産黒曜石に注目して研究を行った。①赤井川産黒曜石使用の実態を知るため、産地分析の行われている旧石器遺跡の報告書から赤井川産黒曜石の使用状況、他産地石材との産地組成、石器群の内容などを調査した。②赤井川産黒曜石の近傍地域である倶知安町で2009年から発掘調査を行っている峠下遺跡の石器群の解明。③現生狩猟採集民の原材料獲得についての民族誌の収集。 ①の研究については黒曜石産地分析を実施した石器群の多さから、千歳市~苫小牧市の旧石器遺跡を対象とすることになった。当該地域では近年旧石器資料の集積が進んでいる。細石刃関連では従来多く見つかっていた忍路子型細石刃核石器群だけでなく広郷型細石刃核石器群など従来当該地域では発見されていなかった石器群も見つかっている。細石刃の各段階で当該地域が利用されていたことが分かってきた。赤井川産黒曜石が各段階でもっともよく利用されているが、札滑型細石刃核石器群では頁岩利用が顕著であり、石器群によって石材利用に差がある可能性が認められた。②の研究では、峠下台地の地考古学的検討が行われ、羊蹄山の山体崩壊に伴う流れ山が遺跡堆積層内に顕著に認められ台地の形成年代推定の材料となることが分かった。また2011年度の発掘調査によって赤井川産黒曜石を使用する細石刃石器群が峠下台地の全域に広がることが確認されるなどの成果があった。③の研究ではまだ十分に民族誌資料を集めたとは言えず、考古資料に適用可能な段階にはならなかった。 峠下型細石刃核石器群については新旧2群に分割する考えもあり、当該集団の遊動領域を解明するに至ってはいないが、。赤井川産黒曜石、道南珪質頁岩と両者の消費状況を各遺跡で解明することが遊動領域研究に重要であろう。

  • 旧石器時代における集団の領域と石材採取活動

    2010年  

     概要を見る

     本研究は旧石器集団の移動や領域について考究するのがテーマである。石材の調達、石器製作、廃棄という一連の遺跡での行動の結果として、遺跡に残される石器を分析対象としている。本研究では特に北海道での黒曜石利用からこのテーマに迫るものであるが、適用範囲は列島全体に及ぶ。火山岩である黒曜石は微量元素分析によって容易に産地が特定できるため、石材調達、移動経路などの分析に欠かせない石材であり、鋭利で加工しやすい点から旧石器時代に多用された。 2010年9月、札幌国際大学と札幌学院大学が進める倶知安町峠下遺跡の第二次発掘調査に参加し調査協力を行う機会を得た。本調査によって遺跡内の3地点(D地点、F地点、G地点)から旧石器集中出土地点を検出した。3地点は相互に30~50メートル離れており、別個の石器群と考えられた。D地点では白滝型細石刃石器群が検出された。北海道内でも白滝型細石刃石器群の単独集中地点は珍しく、今後の整理作業によって本石器群の様相が明らかになるものと思われ、今回の調査で最も大きな成果といえる。またF地点、G地点での石器集中部確認によって、峠下台地の全域が旧石器集団に利用されていた実態も明らかとなった。さらに出土石器の大半は赤井川産黒曜石を用いており(肉眼観察による判別)、接合や母岩別分類の作業を経て石材消費過程の一端を解明できることが期待される。 旧石器時代、寒冷化による海水準の低下により、北海道は大陸から南へ延びた半島の先端部となっていた。最終氷期の最寒冷期を迎え、大陸の寒冷気候に耐えられなくなった集団が南下した可能性が近年指摘されるようになった。この集団が北海道で細石刃技術を爛熟させ、その技術を携え、最寒冷期が終了するとアメリカ大陸へと進出したという仮説も唱えられている。こうした意味で北海道の細石刃技術、石材利用、移動態様の解明は大きな意味を有している。本研究の成果はその一助となるものと考えている。 

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