2022/08/17 更新

写真a

ユフ サワコ
油布 佐和子
所属
教育・総合科学学術院 大学院教育学研究科
職名
教授

兼担

  • 教育・総合科学学術院   教育学部

学位

  • 修士

 

研究分野

  • 社会学

  • 教育学

  • 教育社会学

研究キーワード

  • 教育社会学、教職論・教師教育

論文

  • 制度改革期における中学校・高等学校教師の仕事

    油布佐和子

    日本労働研究雑誌   NO.645   34 - 37  2014年04月

  • 教師教育改革の課題ー「実践的指導力」養成の予測される帰結と大学の役割

    油布佐和子

    教育学研究   第80巻,第4号   478 - 490  2013年12月

  • 教職の病理現象にどう向き合うか −教育労働論の構築に向けてー

    油布佐和子

    教育社会学研究   第86集   23 - 38  2010年06月

     概要を見る

    教職における病気休職者増加を説明する理論が見当たらない理由の一一つは,教職を公務労働(教育公務員)として認識する視点が欠落していることによる。本論文では,第一に,感情労働論・ケアワーク論を手がかりに,共同体で営まれていた<人を育てる>という活動が職業となることについての問題を,クライアントとの関係という点から検討する。そこでは,教育的な関係や言説において,絶えず情緒や感情が重視されることの理由が示される。第二に,そうした子どもとの教育的関係が,公務員として雇われて働く「労働過程」のなかにおかれていることに起因する問題を,感情労働論の議論を借りて考察する。そして第三に,現在の新自由主義的な改革の中で,公務員改革の一貫として進められている教職の様々な改革が,教師の教育活動を変容させていること,しかしながら第四に,こうした趨勢に対応する抵抗主体としての教員集団が存在していないことの問題を指摘する。病める教師の増加は,教育という活動を共同体的な「教師-子ども関係」の認識にとどめ,「教育労働」に無自覚であることや,「小さな国家」への移行によって教育労働が変容しているという現状を認識できないことのなかで,自らに過重に責務を負わせたことから生じているといえる。教育社会学における教師研究は,教師がこうした状況や構造を侑緻する視点を提供するという点で,他の教師研究と差異化して展開されるべきだろう。

    CiNii

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育政策の再構築に関する総合的研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    本研究は、教育の切実な現状について、学問分野を越境しつつ教育と社会に通底する構造的問題として捉え直す。とくに、〈一元的操作モデル〉にもとづく教育改革の阻害/促進要因を諸校種等の体系的・継時的データをもとに分析し、当事者である子どもたちと教員の語りから構造的な矛盾の在り処をたどり、「処方箋」への手がかりを探る。加えて、これまで臨床的・協働的に積み上げてきた〈多元的生成モデル〉の可能性を具体的な教育政策として再構築する。研究チームの中で対話を深めつつ練り上げられた政策をさまざまな政策立案・教育実践主体との対話の中で鍛え、教育現実をよりよく変えていく学術研究の可能性を立証することを目的とする

  • 教育学研究の国際展開の実態・構造・将来像に関する研究――学会の機能に注目して――

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    本研究は、教育学研究の学会レベルでの国際化・国際連携の現状と課題はいかなるものであり、同時にこのことが波及効果として教育学研究のあり方にどのようなインパクトを与えうるのか、を研究課題の核心に据える。本研究は、上記の課題を達成するために、① 日本における教育学関連諸学会の国際化に向けた活動や体制の実態調査・分析、② 海外(特に非英語圏諸国における)教育学関連諸学会の国際活動の実態調査・分析、③ 教育学関連諸学会の国際ネットワークや世界・地域レベルの国際学会の実態調査・分析、④ 日本の学会とそのネットワークのさらなる国際化に向けた課題と方策についての考察を進める

  • 教育労働とは何か? -<労働>概念を用いた多忙の分析ー

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    教員の働き方改革が進められる中で、長時間労働が問題視されているものの、研究としては、その原因も含めて、<労働>の内実については十分な展開がない。そこで本研究は、教員の<労働過程>に着目し、この展開に寄与することを目的としている。前年度の文献を中心とした研究により、リサーチクエスチョンを明確にし、本年度は複数の実証データを収集することを目指していた。すなわち、① 労働時間の内実について、資料とインタビューに基づく分析 ② 日本と同じような問題を抱えているUKでの、特に学校組織、教員役割についての比較検討 ③教員の労働の質がわかる資料(過労死の裁判資料)を用いてのインテンシブな検討を、を予定していた。しかしながら、別途示したように、コロナパンデミックにより、いずれも中断している状況である。ただし、②についてはある程度のまとまった知見が得られた。日本では、「<海外の教員は、授業にしか携わっていない>ために、長時間労働に陥ることがない」という認識があり、したがって、日本の教員のマルチタスク状況への着目と、タスクの精選(部活のアウトソーシング)などが解決のための一般的認識になっている。が、この情報自体が大きく誤っていることが英国でのインタビューや資料等で判明した。同時に、英国では、教育改革によって導入されたperformativityやaccountabilityを背景とする<査察文化>がこの問題に大きくかかわっていることが指摘されているのである。研究は全体としては遅れているものの、上記②については、情報提示という点で、現在入手しえた知見を披露する意義があると考えられるので、早急に論文・報告書としてまとめる予定である。本研究にはフィールドワークや資料収集が欠かせないが、前半(7月ころまで)は、勤務の関係からそれがかなわず、その後取り組んだものの、重点化して実施・検討するはずの時期に、コロナパンデミックの影響で、予定していた案件がすべて中断されている状況である。① 退職教員への聞き取りによる、<教育改革以前><1980年代以前>の勤務状況について、複数社のインタビューを予定していたが、現在2人しか実施できていない。②日本以外で教員の長時間労働やオーバーワークが問題になっている英国において、学校観察や教員インタビューを実施する予定であったが、交渉の最中に学校閉鎖が始まったため、限定された情報しか入手出来ていない。③ webで入手できる範囲の文献収集、それに基づく検討しか実施できなかった。コロナパンデミックによる規制が、どの程度緩和されるかによって、フィールドワークや資料の入手が大きく異なってくる。特に、インタビュー調査や、英国でのフィールドワークなどは、現在のところ、明確な予定が立っていない。一部しか収集できていない「過労死」の判例も、図書館の開館状況次第である。<BR>フィールドワークを必要とする研究においては、上記の点で非常に大きな課題を抱えている

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    本研究プロジェクトは、初年度の研究計画に従って、「〈多元的生成モデル〉にもとづく教育改革の実践と構造」に関する研究活動を実施した。1.2020年度以降に各校種で実施される学習指導要領改訂の内容について検討を加え、(1)カリキュラムマネジメント、(2)アクティブラーニング、(3)評価と入試改革の主な3領域において〈一元的操作モデル〉としての特徴を描き出すとともに、それ以前の教育改革との異同を理論的に整理した。とくに、アクティブラーニングの中核をなす「主体・対話・深さ」の3概念を〈多元的生成モデル〉の視点から再構築することの重要性を確認した。2.2002年に実施した全国公立中学校校長・教員調査を比較可能な調査方法を用いて実施した(2017年3月)。調査項目の検討を加えたのちに、全国944校に校長調査を実施し、このうち半数には各校内悉皆の教員調査を併せて実施した。3.全国の〈多元的生成モデル〉にもとづく教育改革実践について、各研究分担者の担当領域ごとの抽出作業を進めた。4.とくにオルタナティブな中高一貫教育校(地域に根ざした併設型学校)の取り組みに焦点を合わせて、当該校の第一期生(中学校1年生)を対象とする質問紙調査の準備作業を行った。その際、当該校のスタッフと協働で企画デザインを行い、研究自体を〈多元的生成モデル〉で実施する試みとして位置づけた。とくに、全国公立中学校校長・教員調査については、比較的高い回収率を達成することができた。次年度においては、これらのデータをできるだけ丁寧に分析し、学会等で公表することにしたい。あわせて、さらに多様な事例についての質的調査を行い、改革のオルタナティブを見出していく。15年ぶりに実施した全国公立中学校校長・教員調査の記入済み調査票の回収作業は、比較的順調に実施することができた。多忙化の中で回収率の低下が心配されたが、予想外に多くの中学校に協力していただくことができた。回収された調査票を整理し、データ・クリーニング等を通じて分析可能なデータ・ファイルまでリファインしたい。その上で、2002年調査との比較を通して、改革が中学校にもたらした影響を実証的に分析することにしたい。あわせて、オルタナティブとしての〈多元的生成モデル〉の可能性についても理論的・実践的な検討を加えていく予定である

  • 教師教育の高度化における教師教育者教育とカリキュラム構成理念に関する研究

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2018年03月
     

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    本研究は、日本の教師教育研究で看過されてきた二つの領域に関して、今後の展開の基盤を作ることを目的している。知見は、以下のとおりである。①教育現場の活動を省察し理論と実践の往還を実質化する役割を期待されているのは教師教育者であり、教育実習生と教師の学びを積極的に推進するもの」を指す。彼らは、教育実習や日常の実践において、学びのコーチ、教育研究、カリキュラム開発に従事するが、それが〈役割〉であるのか〈職業アイデンティティ〉であるのかは、国によって異なる。②EU諸国では、経済的グローバリズムに対抗するものとして<social Justice>が、カリキュラム編成の根幹に求められている

  • グローバリゼーション下の教師 -生活と意識・専門職性の変容ー

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    アンケート調査と海外でのインタビュー調査によって得られた知見は以下のとおりである。1)教職が「高い社会的評価」や「恵まれた経済状況」ではないにもかかわらず、教師の満足感は極めて高く、「使命感がなければできない」職業であるとするものが97%にも達している。②学校の運営や職員会議への参加は高くないが、同僚とは授業を参観しあうなど、「教科を教える」という業務に限定する傾向がみられ、それは前3回調査と比較しても強くなっている。2)海外では、教育委員会と労働組合による契約の下で雇用されるため、労働について明確な規約があり、日本のような役割拡大にも至らず、UK以外は長時間労働が必ずしも問題になっていない

  • 教職の政治性と教員の脱政治化に関する総合的研究

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2016年03月
     

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    この研究では、日本の未来は明るいという楽観的な未来像を持っている教師が増えてきているという事実が明らかになった。楽観的な未来像を持つ教師は、総じて実践における自律性が低く、21世紀型学力への対応や、個々の子どもたちの具体的な現実に個別的かつ臨床的に対応することに関して、楽観的でない教師と比べて十分にできていない。こうした特徴が若い世代の教師たちに顕著な傾向となってきていることが明らかになった

  • 学校の機能分化と同僚性の再構築に関する教育社会学的研究

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

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    学校の機能分化の実態と課題について、インタビュー調査およびアンケート調査の分析を通じて考察した。学校の機能分化には①縦方向の分化=階層化と②横方向の分化=他職との協働がある。①は、主幹制度の導入がこれにあたる。主幹制が導入されている学校では、職務分担がより明確になるなど、運営の在り方には影響があるが、会議が増えたこと以外に日常の仕事には影響がない。②については、教師の雇用形態、SC・SSW・支援員などの誰との共同であるかによって影響は異なり、非常勤講師、SSW,支援員の場合には、教師にゆとりがもたらされた。ただし、教師の業務内容の明確化を問わないため、機能分化は実質的に成り立たない

  • 消費社会における教師の役割

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    本研究は、消費社会における教師の実態および役割を明らかにする実証研究である。当初、エスノグラフィーの手法を用いての事例調査を企画した。しかしながら、調査対象校の受け入れが遅れたため分析が進まず、現時点では、それに先立って実施したアンケート調査の知見を示すにとどまる。アンケート調査は、福岡県の中学校教師を対象に実施し、次のような知見を得ることができた。1.変わる子ども‥…‥1).8割を超える教師が「生徒を指導しにくくなった」と回答している。 2) この背景には、子どもの側の次のような変化があると考えられている。消費社会、情報化社会の影響、さらには家庭のしつけの低下を遠因として、子どもに「まじめ」さが欠落し、自己中心的態度・受動的態度が広く見うけられ、また公共ルールの欠如等、規範意識の低下が顕著である。その結果、学校に存在意義を認めず、教師の権威を無視する子どもが増加している。3) しかもこの傾向は、都市部の子どもに、より顕著にみられる。2.変わる教師‥‥‥1) こうした状況に直面して、多くの教師が「先の見えない指導をしている」と感じている。 2) しかしながら、現時点では、それを打開するために手本とするような教師も少なく、教師としての成長を遂げるうえで重要な意味をもつ教師集団にも、「私生活主義」が広がっており、従来みられたであろう相互成長の機能も低下している。 3) その結果、変化する子どもに、どのような指導を行えばよいのか、変化する時代の新しい教師モデルを探しあぐねているのが、教師の現実である。とりわけ、教師としての使命感を強く有する者ほど、こうした状況に焦燥感を抱いていることが明らかである

  • 教職の専門性と教師文化に関する国際比較共同研究

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    本研究は、日本、カナダ,アメリカ、イギリス第8カ国の国際比較共同研究「教師の専門性と教師文化に関する国際比較研究(略称:PACT)」の一環として、PACT日本チームによって行なわれたもので、学校教育及び教師の仕事の改善に資することを目的として、文献研究、エスノグラフィ調査、及び質問紙調査を行い、日本における教職の専門性と教師文化の構造・特質について考察したものである。その成果と知見は多岐にわたるが、主なものは以下の通りである。1.教師文化と教育実践に関するエスノグラフィ的研究平成6年度に1年間にわたって4地域の小・中学校各1校(計8校)でフィールドワークを行ない、教師の仕事と教師文化について考察を行った。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の論文等にまとめられている。また、その知見の一部としては、教師の仕事が多種多様な作業(ワーク)によって構成されており、それが重層的に展開していることのなかに、教職の専門性や教師の多忙感の基盤があることが明らかにされた。2.教師の生活と意識に関する質問紙調査平成7年7月〜9月に全国8都県の小・中学校教師2053人を対象に実施し、教師の生活と教師文化の構造について考察した。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の研究報告書にまとめられている。同報告書において、教師の同僚性、教職の専門性、教員集団の構造、学校の組織構造などが考察・解明されている。3.PACT国際会議等での研究成果の発表平成7年4月の全米教育学会大会(AERA)、同年同月のロンドンでのPACT国際会議等、研究成果の一部を発表した。なお、今後さらに、英文で研究成果をまとめ公表する予定である

  • 「消費社会における教師」に関する実証的研究-意思決定過程に注目して-

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    本研究の目的は、「豊かな社会」(=高度消費社会)における教師の役割を、実証的な方法を用いて検討することにあった。そのために第一に、近年問題になっている教師の「多忙化」に焦点を当て、多忙化を引き起こしている現象を検討することから教師の役割を考察しようとした。第二に、学校内における意思決定過程を観察することにより、現代の学校がどのような責務を負わされているのかを検討することから、教師役割を考察しようとした。本研究の特徴的な点は、こうした研究目的を遂行するために、従来のアンケート調査のみならず、エスノグラフィ、および、インタビュー調査やビデオによるデータ収集を実施した点にある。こうした実証研究の結果、次のようなことが明らかになった。(1)、教師の仕事は、企画、事務、指導、管理というような種類の違った仕事を、並行しながらこなさねばならないという、複線的な在りように内在しており、(2)突発的出来事によって仕事の優先順位を瞬時に決定しなければならないのだが、(3)突発的出来事が頻発する状況にあることが示され、これが現在教師の多忙化を招いている原因であることが明らかになった。すなわち、「児童・生徒」役割に収まりきれない子どもの増加が、教師の多忙化を招いているのである。一方、学校の組織レベルでは、意思決定のあり方などについて、個別教師の責任と指導の範囲が明確になりつつあることが明らかになり、これまでのゲマインシャフト的人間関係における組織のありようとは大きく変容しつつあることの実態が浮かび上がった。この両者、すなわち消費社会における子どもの変化と、学校の組織化の進展が、いかなる教師役割を新たに要求しているのかについては今後さらに検討する必要がある

  • 消費社会における教師役割-教員文化の機能に注目して-

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    本研究は、「豊かな社会」における新たな学校・教師役割を探ることを目的としている。研究は、二つの側面から進められた。第一の側面は、わが国の戦後の学校及び教師の役割がどのように変容してきたかについて時系列的把握を行うことを目的とし、戦後の新聞、雑誌記事等の収集・分析を行った。ここで明らかになったのは、1960年代を境にして学校と社会の境界が明確になり、教師や生徒が学校の内部に囲いこまれるような状況が出現したこと、その後さらに、学校の内部で、学校・教師役割(管理・監督、責任の)明確化が進行してきたという点である。第二の側面は、現在生徒の監督、指導に教師役割が限定されてきているという前年度の知見を念頭に、エスノグラフィーの手法を用いて、学校の内部過程、とりわけ教師の日常の教育行為を観察・記録し、現在の学校での教師の役割とその文化を実態レベルで把握することである。注目すべき知見は、第一に、学校で、教師が生徒と、必ずしも指導上の管理・監督といった形式にとどまらないパーソナルなやりとりを頻繁にしているということであった。それはまた、第二に、教師の職業継続意思や「やりがい」の基盤となっており、第三に、生徒からも求められているものであったということである。地域社会でも家庭でも、大人と接触る機会の少ない子どもにとって、モデルとなる大人の姿を、子どもは教師に見ているのかもしれない。このような知見を総合して考察するまでには至っていないが、教師役割(学校役割)の「縮小論」と「拡大論」の間で、学校現場では、何が求められているのかという点での有益な示唆が得られるのではないかと考えられる

  • 教育の再構造化と教師役割の変化に関する国際比較研究

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    本研究は、社会の変化と教育の再構造化が進むなかで、教師の役割・活動や教師文化がどのように変化しているかを比較社会学的に考察したものであり、主に次の4つの作業・活動を行った。(1)日本と中国の小・中学校の教師を対象に質問紙調査「教師の生活と意識に関する調査」を実施すべく作業を行い(有効サンプル数:日本1277人、中国728人)、その調査結果の概要及び基礎集計表を中心にした科研費研究成果報告書『教師の生活と意識の日中比較』(2001年3月、総貢数169貢)を印刷・公表した。(2)PACT 日本チーム(本研究の共同研究者)と現場教師による「教育実践・教師文化研究会」を組織し、定期的に例会を開催し、変動社会における学校と教師役割に関する諸問題について多角的に検討し、その成果を、科研費研究成果報告書『変わる学校・変わる社会』(1999年3月、総貢数154貢)として印刷・公表した。(3)全国小・中学校学校行事研究会との共同で「学校行事の実態と教師の意識に関する調査」(東京調査と全国調査の2回、担当:PACT日本チームメンバー山田真紀)を実施し、その成果を平成10,11年度の『学校行事研究集録』に公表した。(4)PACT国際カンファレンス及び日本教育社会学会等で研究成果を発表すると同時に、大学紀要論文に研究成果を発表した。また、本研究の成果及び「教育実践・教師文化研究会」での議論を踏まえて、本研究のメンバー油布佐和子編の『シリーズ子どもと教育の社会学5 教師の現在・教職の未来』(教育出版 1999年)に本研究のメンバー5人が寄稿した。主な知見としては、次のようなものがある。(1)日本でも中国でも教職は多様な活動から成り立っているが、その組織形態や教師の意識の違いはそれぞれの歴史的背景や学校文化の伝統や経済社会的・教育的発展段階などを反映している。(2)学校教育の拡大と教育行政の官僚制化が進むにつれて教職は多忙化する傾向にあり、こんにち教師は学校・教師に対する多様な要請と批判のプレッシャーにさらされている。(3)教師の協同関係は、集団文化の伝統と絡み合いながらも、教員組織や教師役割の中に制度化されており、そのありようは教師文化や教員のエートスに影響を及ぼしている

  • 消費社会の教師役割-学校機能縮小論と共同性確立論の間で-

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    学校の正統性の危機が指摘される現在、学校の機能と教師をめぐって、「学校機能縮小論」と「共同性確立論」という相対する二つの議論が展開されている。本研究は、こうした相対立する指摘を視野に入れながら、消費社会において教師が担うべき役割についての有益な提言を行うことを意図している。平成10年度の知見は、教師-生徒間でプライベートな情報を介在して行われる相互作用が、生徒には「安心して育つ場」を、教師には「仕事のやりがい」を与えていることを指摘し、「学校機能縮小論」への短楽な傾倒に疑問を投げかけた。また同時に、教師と生徒のゆとりを持った交流の増加が、学校と教育を再生させる契機になる可能性をも示唆した。しかしながら現状では、教師-生徒間で、こうした関係は容易には築けない。そこで平成11年度は、組織や活動の側面から、その阻害要因を探ることにした。典型的な二つのタイプの学校を取り上げ、学校現場の組織化の程度や教師の活動、「多忙」化の現実教職への意味付け等について、エスノグラフィー調査を再分析し、比較検討した結果、より機能的に組織された学校では、表面化はしないものの、教師の活動にゆとりや奥行きを与えるような配慮が失われつつあることが明らかになった。すなわち、時間と空間を、教育目標の効率的な達成のために合理的に組み立てるという学校の制度化過程が、学校から無駄と冗長を排除し、そのために学校の息苦しさを高め、教師にも生徒にも教育のプロセスを楽しむゆとりを喪失させていることがうかがえるのである。こうした知見をサブタイトルの議論に関連づけるならば、「学校機能縮小論」は、こうした機能の合理化・単純化の延長線上にあり、根本的な問題を解消すると言うよりは、より促進するのではないかと予測される。上述した成果の一部は、編著本『教師の現在・教職の未来』教育出版1999年8月所収にまとめられた

  • 「日本型学校モデル」再考時代における教師の役割に関する研究

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    本研究が意図してきたことは、「第三の教育改革」の中で、従来の日本の教育システム=「日本型学校モデル」が、どのように変化しているのか、どのような変化を求められているのかを明らかにすることであった。「日本型学校モデル」は、わが国における文化や集団編成のあり方と密接に関連しているが、分析的にはいくつかのディメンジョンに分けて考えることが出来る。それは、教師役割、同僚関係。教師-生徒関係、カリキュラムの編成の仕方等々であるが、この中で、前年度より中心的に検討してきたのが教師の同僚関係であった。昨年度のニューヨークでのメンター制度との比較に続き、今年度は、カリフォルニア州(ベイエリア)で実施されているteacher development programの実際を調査し、わが国の同僚関係のあり方を考察した。CAで行われていたTDPの具体例としては、1)NBPTS(National Board professional Teaching Standards)の有資格教師が、新任教師の助言をする2)NBPTS有資格教師と新任教師がT・Tをしながら、教育効果を高める共同作業を行うというようなものであった。これらの発想の基底にあるのは、「職員室で様々な会話をしながら、情報や技術を交換し合う」日本の教師集団における教育力を、意識的に、個人主義的文化土壌の強いアメリカに移植しようとするものである。教師の職業的発達や教育効果を高める上での同僚性の獲得が、わが国の「職員室文化」には存在していたことを、改めて確認し、さらに多忙化の中で崩れようとしてしている状況をどのような形で再構築することが出来るのかの課題が残された

  • 変動社会における学校役割・教師役割の変化に関する国際比較研究

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    本研究は、社会の変化とラディカルな教育改革が進むなかで、学校・教師の在り方がどのように再編され変化しているのか、その再編・変化は教師文化や教育の在り方にどのような影響を及ぼしているのかを比較社会学的に考察するもので、主に以下の3つの作業を行った。(1)英国・米国・日本など世界各国における近年の教育政策の比較社会学的分析:教育の質の向上、卓越性の追求、教育行政の効率性と透明性の確保などを目的に世界各国でラディカルな改革が進められているが、そこには、(1)新自由主義的・市場主義的な「強者の論理」による教育の再編、(2)教師の仕事や専門性の軽視、教師役割の矮小化、(3)テスト主義・査察文化による教育の新たな管理統制の強化、(4)教育の正統性と教師の仕事を支える信頼の基盤の解体、などの危険性が胚胎していることを明らかにした。(2)日本・中国・英国で実施した教師の仕事と生活に関する質問紙調査のデータの分析:(1)教師の日常生活、(2)教師-生徒関係、(3)教師の同僚関係、(4)子ども観・教育観・教職観、(5)学校・教師に対する親の期待、(6)教師の仕事の構成、(7)学校の管理運営、(8)教育実践及び力量形成への取り組み等について調査し、教師の仕事の構造と自律性・同僚性、協働性(collaboration)・協同性(cooperation)・共同性(community)、教職の専門性と教師の自信の構造、教育環境の変化と教師の多忙性の諸相、教育実践の様式と教師のハビトゥス等について考察し、日本の教師の同僚性・協働性の高さとその制度的・組織的基盤の諸特徴を明らかにした。(3)以上の諸成果を、国内外の学会や主催した国際カンファレンス「21世紀の教育実践と教師教育(International Conference on Teaching and Teacher Education in the 21^<st> Century)」等で報告し、国内外の学術誌論文、編著諸論文、報告書として公刊した

  • 「日本型学校モデルの可能性」-教師役割の改革とサポートシステム-

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    児童・生徒と教師の「絆」や「関わり」が強調され、そうした関係性の中で全人教育がなされる教育=「日本型学校モデル」は、近年、学校の肥大化や教師の加重負担という点から批判され、「学校スリム化」「学校機能縮小論」という議論が登場してきている。本研究では、「日本型学校モデル」のメリットとデメリットについて検討し、その可能性を考察することを目的とした。平成14年度の研究の中では、「日本型学校モデル」が必ずしもわが国独自の特徴ではなく、多様なニーズを抱える子どもの増加に伴い、学校がますます子どもに総合的に関わらざるを得ないことが明らかになった。したがってその際問題となるのは、学校組織成員の誰がどのように児童・生徒への包括的な関与を担うのか、あるいは学校を支えていくどのようなサポート・連携がありうるのかという点であることが示された。平成15年度は、こうした問題に焦点を当て、主としてアメリカでの事例の情報収集を行った。その結果、「普通の子」に対しても、コミュニケーション能力の涵養や、感情のコントロールと言ったような情緒面での指導などがますます必要とされているということ、そうした状況の中で、学校と地域、諸機関をつなぐNPOなどの数多くの団体が作られ、それが学校と協力関係を作りながら活動しているという実態が明らかになった。多様化する教育的ニーズと、それに関わる人々の専門分化という状況の中で、そうした状況を「つなぐ」「関連づける」機能が必要とされ、それを担う団体・職業が独自の役割を果たしているのである。こうした問題は、理論的には、機能システムの進展とケアの綜合性という観点から検討することが可能であろう。同時に、臨床的・政策的な観点からは、アメリカのようなNPOの存在と活動(SSW)が学校内職員の負担加重にならないような方策で、「日本型学校モデル」を展開する可能性を持つことが示唆された

  • 学校組織の変容と教師役割の再構築

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    本研究は、諸外国から注目されてきた日本型学校=わが国の総合的・包括的教育が、近年の教育改革や学校機能縮小論の中で変容している実態を踏まえ、今後、学校や教師がどのような役割を果たすべきかを明らかにすることを目的としている。研究期間を通じて、(1)子どもの指導と学校役割に関する教師の意識、(2)学校・教師に対する制度改革の実態と、それへの教師の評価を明らかにする調査研究を行うとともに、学校・教師役割の再構築のためのモデルを模索するために、(3)問題状況に対応する欧米での試み=restorative justiceの教育への導入について資料を収集した。具体的には、(1)においては、アンケート調査『児童・生徒の諸問題に対処する学社連携に関する研究』を実施したほか、複数の県でインタビュー調査を、(2)については、全国の教育委員会に対して『教員評価政策に関するアンケート』を実施した。また、(3)については、平成17年3月にrestorative practiceの国際会議に出席し、また、平成18年2月にはイギリスで教育改革と教師の役割について、研究者と意見交流を行った。収集したデータを考察した結果、次のようなことが明らかになった。第一に、学校役割と教師役割について考察した結果、4類型が析出され、論点の整理を可能にした。第二に、その類型の中で、これまでに殆ど言及されていないタイプの学校・教師役割類型があることが示された。第三に、その類型は欧米でののSchool as a core social centerの試みをモデルとして、わが国でも展開可能なであることを示唆し、また、教師=対人専門職論への研究の可能性を指摘した。精緻化した分析はまだ途中であるが、以上の成果は科研費報告書にまとめられた

  • システムの機能化と教職の行方 - 対人専門職の可能性-

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    本研究は、教育改革・教員政策=システムの機能化を、教員自らがどのように受け止めているかという問題を実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には、教員評価や表彰制度は、教員の「やる気」にどのように作用するのか、また、仕事と責任の範囲の明確化や、学校組織の分化・多様な職員の配置が、教員の仕事や職業的成長のあり方をどのように変えるのかといった問題を分析した。このように教師の主観的な認識を明らかにすることは、1)それが教育政策の成否に大きく影響を及ぼすこと、2)グローバルな規模で展開する教育改革に対する、教師の対応の、共通性と異質性に対する資料を提供すること、さらには3)教職の専門職化の方向性を考えること、というような点で意義がある。本年は、前年度のインタビュー調査や資料を踏まえ、アンケート調査を実施した。その結果、わが国の教師の多くは、教育改革・教員政策について、それを否定的に捉えていないということが明らかになった。教員表彰や教員評価について、さらには、学校組織の変化や多様な職員の配置についても肯定的な意見が多く見られた。こうした知見は、教育改革が教職への嫌気を顕在化させている英国の状況と比べると対照的である。本研究ではわが国におけるこうした知見に対して、英国と比較しながら検討し考察を加えた。わが国の教師は、外側からの要求を「自分の役割」として無前提に引き受けてしまう傾向があり、このことが、政策や社会を批判するのではなく、自分を鞭打つことにつながっているのではないかと解釈された。「献身的教師像」と呼ばれる教師の姿が、既に以前から指摘されているが、こうしたわが国の教師の特質が、イギリス等に見られる教師の反応とは異なった結果を導いていると考えられる

  • 教職の変容と展望に関する教育社会学的研究 -成果主義の影響と専門職の可能性-

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    本研究は、今世紀に入って加速的に進行した新自由主義的な教育改革が教職に及ぼす影響を分析することを目的としている。15年間の時系列調査を分析した結果、教職観や役割認識などに変容が見られ、教師が「組織の一員としての教師」への志向性を強めていることが明らかになった。しかしながらこれを、新自由主義的な理念への賛同と解釈するのは妥当ではない。そうではなくて、外部に見えにくく理解されがたい<教師という仕事>を、新自由主義的教育改革が可視化する側面を持っていることによるものではないかと推測された

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特定課題研究

  • 教員養成における教師教育者と教育理念の不在ー国際比較研究のためにー

    2015年   川上具美, 百合田真樹人, 熊丸真太郎, 古井純二, 鈴木啓, 川野佑眞

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    本研究は、「教師教育者teacher educator教育」と「教員養成カリキュラムにおける教育理念」を開拓するための基礎的研究を目指した。 前者は、海外文献研究から、理論と実践を架橋する役割を有す「教師教育者」の教育に注目が集まり、reflectionやself-studymethodology等の方法で専門性を高める機運が高まっているとの知見を得た。 第二課題では、経済的グローバリゼーションが席巻する現状で、21世紀における教育理念のオルタナティブを探ることが目的である。海外で重視される「平和、公正、人権と民主主義、多様性と類似性」等々の概念が、日本の教員養成ではほとんど扱われず、学生がきわめて限定された「教師としての知識」を獲得して教職に就くことがアンケート調査より示された。

  • 教員文化の構造的変容に関する総合的研究

    2011年   紅林 伸幸, 越智 康詞

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    教育改革により教育現場の組織化が進み、NPMに代表されるような組織経営の論理が導入され、教員の組織への包摂が強まっている。組織の一員としての行動が要求され、自律性という専門職性の原則から遠ざかるような状況が生まれているにもかかわらず、我が国では、現状に満足する教師が漸増していることが、これまでの筆者らの調査研究で明らかにされてきた。 本研究の目的は、このような状況(=教育改革による組織化の進展、多忙化の強化、一方での満足度の増大)に複数の視点からアプローチし、教職におこっている変容を考察することである。議論を展開する複数の視点としては、「他職との比較検討」「国際比較」「高校教師にまでの拡大」が考えられる。ただし、共同研究者とこれを検討した結果、1年という研究期間と費用、これまでの研究蓄積、さらには共同研究者が代表となっている本研究と関連はするが別の研究との関連から、本年度は、国際比較のためのデータ収集と、高校教師調査とに特化して実施することとした。 また、高校教員調査については、秋田県をはじめとして郵送調査を実施したものの、調査票作成が遅れたため、実施もずれ込み回収の期限を平成24年5月10日までと設定せざるを得なかった。未だ回収途中であり(現在回収票は200票程度)、分析までには至っていない。 国際比較調査としては、インタビューも含めて、英国の資料を収集することに努めた。その結果、英国では、Ofstedによる評価が教員にとって実践を左右する重要な意味を持つようになったこと、さらに、このことによって教職の自律性喪失についての不満が一部には強く生まれていることなどが明らかになった。しかしながら、授業改善を促進するという側面、見えない効果を可視化するという側面から、これが歓迎される側面もあることも示された。 新自由主義的な改革、評価の重視という共通点は持つものの、「組織への包摂と満足度の高さ」という我が国の教職の状況を説明する状況は、収集した英国のデータからは共有されない。しかしながらこのことこそが、教育改革が、それぞれの教員文化に順接的な側面でのみ受容されていることを証明するものに他ならないと解釈することも可能である。すなわち教員文化が教員「集団」の規範や価値・態度を基盤としていた我が国では、教育改革が、評価による個別の存在証明ではなく、「組織化への順応と満足」として浸透したと解釈できるのである。 こうした解釈は過渡的なものであり、十分な裏付けを持つものではないが、平成24年度から採択された科研費研究で、この知見を踏まえた研究が継続されることになる。 なお、上述した事情から、本年度内でのアウトプットはないが、平成24年度の学会、研究紀要等で、本研究の成果を公表する予定である。

 

現在担当している科目

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