2024/11/23 更新

写真a

ヤマシロ カズマ
山城 一真
所属
法学学術院 法学部
職名
教授
学位
博士(法学) ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2020年03月
     
     

    アンジェ大学   客員教授

  • 2013年
    -
    2020年

    早稲田大学法学学術院 准教授

  • 2011年
    -
    2013年

    早稲田大学法学学術院 助教

  • 2007年
    -
    2011年

    早稲田大学法学学術院 助手

  • 2005年04月
    -
    2006年10月

    最高裁判所司法研修所 司法修習生(第59期)

学歴

  • 2007年04月
    -
    2011年03月

    早稲田大学   大学院法学研究科博士後期課程  

  • 2001年04月
    -
    2005年03月

    早稲田大学   法学部  

委員歴

  • 2023年
    -
    継続中

    日仏法学会  企画運営委員

  • 2022年
    -
    継続中

    商事法務研究会 成年後見制度の在り方に関する研究会  委員

  • 2022年
    -
    継続中

    東京都消費者被害救済委員会  委員

  • 2021年
    -
    継続中

    法務省民事局  調査員(成年後見関係)

  • 2021年
    -
    継続中

    日本成年後見法学会  理事

  • 2022年
    -
    2023年

    内閣府宇宙開発戦略推進事務局 宇宙分野における調達・契約に関する調査  委員

  • 2022年
    -
    2023年

    日本総合研究所 成年後見制度における市町村長申立の適切な実施及び成年後見制度利用支援事業の推進に関する調査研究事業検討委員会  委員長

  • 2021年
    -
    2023年

    公益財団法人トラスト未来フォーラム現代信託法理研究会  委員

  • 2021年10月
    -
    2022年03月

    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 宇宙開発のインセンティブとリスクテイク検討会  委員

  • 2020年
    -
    2022年

    司法試験予備試験考査委員会  委員

  • 2015年
    -
    2021年

    日本成年後見法学会  幹事

  • 2019年
    -
    2020年

    土地総合研究所 人口減少下における土地の所有と管理に係る今後の制度のあり方に関する研究会(第2期)  委員

  • 2017年
    -
    2018年

    各国の成年後見法制に関する調査研究業務  委員

  • 2010年
    -
    2011年

    財団法人道路新産業開発機構 ITSスポットサービスにおける安全運転支援情報提供のあり方に関する研究会  アドバイザー

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所属学協会

  • 2023年04月
    -
    継続中

    日本消費者法学会

  • 2022年05月
    -
    継続中

    比較法学会

  • 2015年
    -
    継続中

    日本成年後見法学会

  • 2011年
    -
    継続中

    日本私法学会

  • 2010年
    -
    継続中

    日仏法学会

研究分野

  • 民事法学
 

論文

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書籍等出版物

  • 民法・消費者法理論の展開 : 後藤巻則先生古稀祝賀論文集

    都筑, 満雄, 白石, 大, 根本, 尚徳, 前田, 太朗, 山城, 一真

    弘文堂  2022年12月 ISBN: 9784335359354

  • 総則

    香川, 崇, 竹中, 悟人, 山城, 一真, 山本, 敬三( 担当: 共著)

    有斐閣  2021年03月 ISBN: 9784641150089

  • Droit civil japonais : quelle (s) réforme (s) à la lumière du droit français?

    馬場, 圭太, Bicheron, Frédéric, Boffa, Romain, Haftel, Barnard, Mekki, Mustapha, 齋藤, 哲志, 山城, 一真

    L.G.D.J, Lextenso  2020年 ISBN: 9782275074863

  • 債権総論判例30!

    田高, 寛貴, 白石, 大, 山城, 一真

    有斐閣  2017年11月 ISBN: 9784641137776

  • 契約締結過程における正当な信頼 : 契約形成論の研究

    山城, 一真

    有斐閣  2014年08月 ISBN: 9784641136854

講演・口頭発表等

  • 企画趣旨説明/ケベック法(高齢社会における人・財の法)

    山城一真

    比較法学会第86回総会/ミニ・シンポジウム(高齢社会における人・財の法)報告  

    発表年月: 2023年06月

  • フランス成年後見法の概要

    山城一真

    成年後見制度の在り方に関する研究会(第6回)  

    発表年月: 2022年11月

  • Les personnes majeures protégées

    Kazuma YAMASHIRO

    Droits humains des minorités sexuées, sexuelles et genrées  

    発表年月: 2022年11月

  • Contrats spéciaux en matière d’habitation — le droit spécial du bail immobilier

    Kazuma YAMASHIRO

    Droit spécial des contrats spéciaux : la spécialisation croissante du droit des contrats  

    発表年月: 2022年10月

  • 著作権契約にみる「契約像」の問題

    山城一真

    著作権法学会/研究大会(2022年)・シンポジウム(著作権法における契約法)  

    発表年月: 2022年05月

  • La protection civile des consommateurs au Japon

    Kazuma YAMASHIRO  [招待有り]

    Colloque International sur l'Adaptation et l'Efficacité Des Réglés de Protection Des consommateurs. Université Bejia, Algeria  

    発表年月: 2022年03月

  • 契約当事者の判断能力と消費者法

    山城一真

    日本私法学会/第84回大会・シンポジウム(転換期の民法・消費者法)  

    発表年月: 2021年10月

  • フランス成年後見法に関する管見――法定後見の構想をめぐって

    山城一真  [招待有り]

    日本成年後見法学会第18回大会  

    発表年月: 2021年05月

  • 共有法の基礎理論とその課題

    山城一真

    日本私法学会/第83回大会・シンポジウム(不動産所有権の今日的課題)  

    発表年月: 2019年10月

  • La mesure unique de protection

    Kazuma YAMASHIRO  [招待有り]

    Bilan des 10 ans d'application de la loi du 5 mars 2007 et perspectives de réforme du droit des majeurs protégés  

    発表年月: 2019年03月

  • La théorie générale du vice de consentement à la lumière du droit de la consommation

    Kazuma YAMASHIRO

    Droit commun des contrats et droit économique : influences réciproques en droit français et en droit japonais  

    発表年月: 2019年03月

  • La réforme du droit des obligations et des contrats au Japon

    Kazuma YAMASHIRO  [招待有り]

    Séminaire de l'Institut de Recherche Juridique de la Sorbonne  

    発表年月: 2019年02月

  • Quelques difficultés du droit japonais des personnes âgées à la lumière d'une étude comparative

    Kazuma YAMASHIRO  [招待有り]

    Table ronde sur la vulnérabilité. Chaire Antoine-Turmel sur la protection juridique des aînés et Chaire de rédaction juridique Louis-Philippe-Pigeon  

    発表年月: 2018年06月

  • Brefs regards japonais sur la protection juridique des majeurs

    Kazuma YAMASHIRO  [招待有り]

    La gestion dynamique du patrimoine de la personne protégée. Université de Caen Normandie  

    発表年月: 2018年04月

  • Les effets à l'égard des tiers de l'anéantissement du contrat de vente d'immeuble

    Kazuma YAMASHIRO

    Le contrat et les tiers — Journées d'études franco-japonaises  

    発表年月: 2017年09月

  • 契約締結過程の法的規律――契約内容の形成の問題を中心に

    山城一真

    日本私法学会/第80回大会・個別報告  

    発表年月: 2016年10月

  • La cession de contrat

    Kazuma YAMASHIRO

    Régime général des obligations. Regards croisés franco-japonais  

    発表年月: 2016年09月

  • フランスにおける成年後見制度と障害者権利条約

    山城一真  [招待有り]

    成年後見法学会第12回大会/後見人の職務Ⅱ――障害者権利条約を踏まえた方向性の模索  

    発表年月: 2015年05月

  • La confiance légitime dans la phase précontractuelle

    Kazuma YAMASHIRO

    Les notions fondamentales de droit civil. Regards croisés franco-japonais  

    発表年月: 2012年09月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 多様性社会における「人」の再定位および人格的価値を中核とした私法システムの再構築

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2024年04月
    -
    2029年03月
     

    片山 直也, 小柳 春一郎, 吉井 啓子, 水津 太郎, 山城 一真, 隈元 利佳, 武川 幸嗣, 秋山 靖浩, 大島 梨沙, 麻生 典, 青木 則幸, 根本 尚徳, 林 滉起, 松尾 弘, 木村 敦子, 高 秀成, 石尾 智久, 田高 寛貴, 原 恵美, 森田 宏樹, 平野 裕之, 金子 敬明, 金 あんに, 金山 直樹, 山下 純司

  • 成年後見制度の在り方に関する具体的提言

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2023年04月
    -
    2026年03月
     

    田山 輝明, 志村 武, 黒田 美亜紀, 藤巻 梓, 山城 一真, 青木 仁美, 橋本 有生, 梶谷 康久, 足立 祐一

  • 社会保障と私的扶養の交錯と現代的課題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2025年03月
     

    嵩 さやか, 飯島 淳子, 山城 一真, 倉田 賀世, 石綿 はる美, 橋爪 幸代, 中野 妙子, 冷水 登紀代, 久保野 恵美子, 今津 綾子, 大濱 しのぶ, 井上 泰人

  • 給付理論の再構成――契約総論・各論の統合的研究のために

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2025年03月
     

    山城 一真

     概要を見る

    計画初年度である2021年度においては、本研究の全体に関わる基本概念である「給付」「有償性」の概念に焦点を当てて、日仏における関連する研究状況を分析した。具体的には、a)給付概念については、フランス法における契約の目的(objet)概念に焦点を当てるとともに、これを「与える」「なす」「利用に供する」という観点から整理・分析する近時の議論状況につき、文献調査を行った。また、b)有償性概念については、フランス法における有力学説が、給付が果たす役割を契約の「経済的作用(operation economique)」という観点から把握してきたことを承けて、契約のもつ経済的作用を「交換」という観点から捉えることの意義と限界につき、文献調査を行った。以上を踏まえて、日本法の学説において、民法が定める各種典型契約が――具体的な表現は様々であるが――「財産権の移転」「物の利用」「労務の利用」といった観点からいわばメゾ・レベルで分類されてきたことの意義を考察した。
    これらの調査そのものについては、その内容を主題として公表することができるような具体的な結果を得るには至っていない。しかし、次年度以降の研究の進捗にとって必要な準備作業は、ある程度までは進めることができたと考えている。加えて、契約法についての研究論文を公表するにあたり、以上の検討を通じて得られた知見を活用することで、間接的ながらも研究成果を活用することができている。そのような取組みの一環として、2022年度には、以上の検討によって得られた知見を踏まえて、いわゆる著作権契約を主題とする学会報告を行うこととなっている。

  • 高齢社会・人口減少社会が提示する諸問題への法的対応と「人の法」・「財の法」の展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

    吉田 克己, 小柳 春一郎, 片山 直也, 吉井 啓子, 水津 太郎, 山城 一真, 武川 幸嗣, 秋山 靖浩, 阿部 裕介, 麻生 典, 青木 則幸, 根本 尚徳, 松尾 弘, 高 秀成, 石尾 智久, 田高 寛貴, 原 恵美, 森田 宏樹, 平野 裕之, 金子 敬明, 金山 直樹

     概要を見る

    高齢社会と人口減少社会の到来に対して、法の現実的・理論的対応が求められている。高齢社会は、高齢者という具体的カテゴリーの人間を法が把握することを要求する。人口減少社会は、財産の負財化現象を顕在化させ、法が財をその具体的様相において把握することを要請する。本研究は、人も物も抽象的に把握することを特徴とする伝統的な民法のパラダイムを克服し、「財の法」「人の法」を構築することによって、これらの要請に応えることを目指す

  • 潜在的多数当事者紛争の司法的解決に向けた実体法・手続法的検討-消費者紛争を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

    大澤 彩, 山城 一真, 杉本 和士, 大澤 逸平, 都筑 満雄, 内海 博俊

     概要を見る

    本研究は、消費者紛争をはじめとして潜在的な紛争当事者が多数存在しうる事案(「潜在的多数当事者紛争」と呼ぶ)の司法的解決につき、多数当事者の紛争を一括して解決する上で生じる問題はもちろん、個別の紛争当事者の司法的救済にあたって生じる実体法上および手続法上の問題を理論的・実務的見地から検討することを目的としている。その際に、民法・消費者法・民事訴訟法にとどまらず、労働審判制度や家事審判制度、保険制度といった分野横断的な視点もふまえる点に特徴がある

  • 比較法的研究による後見制度改革に関する具体的提言、特に現行制度の権利条約への対応

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

    田山 輝明, 志村 武, 黒田 美亜紀, 藤巻 梓, 山城 一真, 青木 仁美, 橋本 有生, 足立 祐一, 梶谷 康久

     概要を見る

    成年後見制度の比較法的基礎研究として、主として、欧米の成年後見制度の研究を行う。民法上の制度として比較研究がしやすいドイツ・フランス・オーストリアに加えて、イギリス・アメリカ等の諸国の成年後見制度の研究をおこなう。その際、国連の障害者権利条約との関連を重視しつつ、親族後見人支援のあり方、社会福祉協議会の中核機関としての機能、成年後見人の医療代諾権、成年後見人の報酬の適性額等についても検討する。研究開始時において、障害者権利条約の批准を前提にして、成年後見制度の在り方が問われ、社会福祉諸機関との連携が重視される中で、日本の「社協」に近い機能を果たしていると考えられるオーストリアの「成年者保護協会」について大きな興味を持っていた。また、医療と成年後見制度の関係についても同様であった。本研究は、成年後見制度についての裁判所の負担を制度の目的との関連で再検討し、社会福祉分野の諸機関との連携を検討し、そのために何を改革する必要があるかを明らかにすることが目的であった。本年度においては、この分野におけるオーストリアの最高権威者であるミヒャエル・ガナー氏(インスブルック大学教授)をお招きして、「成年者保護協会の新たな任務」と「医療行為の新たな規制」について、講演をしていただき、質疑・討論を行った。その際に、パワーポイントを用いて、裁判所や関係者の間において、新しい法制度がいかに浸透しているか、についても説明があった。講演会における議論については、比較後見法制研究所の紀要「季刊 比較後見法制」第12号(2020)に掲載済みである。今年度の成果として、以下の点が明らかとなった。社会福祉の専門機関が成年後見法制の運用に深くかかわり、その専門性を生かしつつ、裁判所の負担軽減に大いに寄与していることが分かった。法定代理権を必要とする場合には、裁判所の関与は不可欠であるが、特に身上監護の分野では、社会福祉の専門家の関与が重要であり、不可欠であることも明らかになった。成年後見分野における医療代諾の問題は、あくまでも本人意思の尊重を前提としたうえで、制度を立ち上げる必要があることが明らかになった。この分野の法制度の改革は、よほど熱心に啓発活動をおこなわないと、社会への定着は難しいことも明らかにされた。国際的レベルで見ると、現在の成年後見制度の在り方について最も進んでいる国の一つがオーストリアであると思われるので、そこの制度を徹底的に研究し、日本社会において受け入れ可能か否かを検討している。すなわち、裁判所の負担軽減とともに、社会福祉の専門家の力を借りることにより、本人の福祉を増進し、実質的に人権を擁護することが可能になる。但し、 新型コロナウイルスの感染拡大との関連で、国際的なシンポジュームが開催できないかもしれないので、新たな方法を模索中である。海外からの研究者の招請は、フランスを考えていたが、新型コロナウイルスの関係で、現時点では不可能になった。そこで、オーストリア、ドイツを含めて、文献又は新規論文の執筆を依頼するなどの方法を検討している。また、場合によっては、日本人の専門家による講演も検討中である。ドイツの研究者とも連絡を取っているが、新型コロナウイルスの感染拡大との関係で、交渉が中断している

  • 契約の履行段階における信義則の基礎的研究――契約法理の構造化への一視点

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

    山城 一真

     概要を見る

    当年度は、前半期を在外研究派遣先であるパリ第一大学での研究に充て、後半期を所属大学である早稲田大学での研究に充てた。前半期には、文献調査を中心とする調査を行うとともに、現地研究者(Florent Masson教授、Julien Dubarry教授等)との間で契約法に関する意見交換を行い、研究成果として後記する論文の執筆準備を行った(なお、当年度末にはフランスを再訪し、Masson教授と共同研究の翻訳・公表について打合せをしたほか、Maxime Julienne教授と意見交換を行った)。後半期には、在外研究中に得た研究報告の成果を口頭報告によって公表し、意見交換を行った。主なものとしては、(1)日仏共同研究である"Le renouveau du droit des obligations. Perspectives franco-japonaises"(法政大学、2019年10月29日)におけるinformation des contractantsとのテーマでの報告(消費者契約における情報提供義務が主な主題)、(2)早稲田大学比較法研究所の公開講演会(2019年11月22日)における「フランス契約法における<unilateralisme>」とのテーマでの報告を挙げることができる。また、上記(2)のテーマとも関わり、フランス破毀院商事部2007年7月10日判決をめぐるフランス法での議論を主題として、同判決の形成に対して大きな寄与をしたLaurent Aynes名誉教授(パリ第1大学)を招聘する講演会を主催し、参加者も交えて意見交換を行った。以上のほか、本計画を遂行する過程で得た知見に基づき、若干の論稿を執筆・公表した。その内容は、後記のとおりである。*本報告全体につき、仏語表記のアクサン記号を記すことができなかった。在外研究中には、若干の予定変更はあったものの、本計画において予定していた研究のほとんどに着手することができたほか、人的交流の機会にも恵まれ、研究内容をめぐって議論をする機会を得ることもできた。加えて、研究の継続・深化のために必要な資料を得ることもでき、日本帰任後も研究を継続する目途が立っている。さらに、帰任後に研究報告の機会を得て、同僚間において意見交換を行う機会を得たことも、今後の研究の展開に益するところが大きいと考えている。以上の理由に基づき、上記区分のとおりに現状を捉えている。外国法研究を継続して行うことを予定していたが、COVID-19の感染拡大のために研究施設の利用が限られるため、当面は、当年度までの間に収集した文献資料に基づく研究を遂行することとする

  • 契約書面の機能・類型論的研究――「契約書面法」構築に向けての基盤整備として

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2019年03月
     

    山城 一真

     概要を見る

    本研究においては、契約書面が多様な法領域において果たす機能を考察し、これを類型化することを目的とする考察を行った。もっとも、類型を提示する前提としては、各個の領域における具体的規律の例を精査する必要があるため、当面の成果としては、フランス法との比較研究を主なアプローチとして、個々の領域において契約書面が果たす役割を考察するにとどまった。その成果として、契約当事者の意思と書面との関係を分析し、法律行為・意思表示理論における「表示」の位置づけを考察したほか、消費者取引における広告の機能、契約当事者が差し入れる書面の法的性質の認定における裁判所の役割等の問題についても一定の見通しを得た。契約を締結する際には、多くの場合には書面が作成される。したがって、契約書面が取引の実際においてどのような役割を果たすかを考察することには、それ自体として重要な意義がある。それにもかかわらず、契約書面が果たす機能を明らかにする研究は、これまでのところ、必ずしも充実してはいなかった。本研究は、そのような研究の不足を埋め合わせる意味をもつものである。もっとも、本研究の成果は、契約書面の機能を類型的に提示するには至っていない。この点は、今後の研究によって発展させられることが予定されており、本研究は、その基盤となるものである

  • 「財の法」の基礎理論構築と立法論的展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2019年03月
     

    吉田 克己, 金山 直樹, 片山 直也, 吉井 啓子, 森田 宏樹, 平野 裕之, 水津 太郎, 山城 一真, 武川 幸嗣, 秋山 靖浩, 麻生 典, 青木 則幸, 松尾 弘, 高 秀成, 田高 寛貴, 原 恵美, 上野 達弘, 小柳 春一郎, 荒木 新五

     概要を見る

    本科研の研究活動は各人の個別研究のほか、①基礎理論研究、②物権法改正案検討、③国際交流の3本柱で遂行している。1)基礎理論研究については、「財の管理」をテーマとする研究会を1回開催した。研究分担者(高秀成)による報告のほか、研究分担者外から松田佳久氏(創価大学)を招聘した。2)物権法改正案検討については、改正案検討の第1巡目に入った。占有権から始まり、所有権等5回の研究会を開催した。第2巡目においては、第1巡目における論点を洗い出し作業を踏まえて、条文ごとの改正案素案の提示作業を行っている。現在第2巡目の3分の2程度の作業を終えている。条文毎の作業を行うと、実際に改正が必要な規定はそれほど多くはないが、反面で学界において十分に議論していない論点が多々存在していることが明らかになってきている。これらを具体的に発見しつつあることは、改正案検討という形での検討を行っている成果だと考えている。また、2015年度のフランス(現地調査)、ドイツ(文献調査)に引き続いて、昨年度はアメリカ・カナダについて現地調査を行い比較法の知見を深めることができた。アメリカの調査結果は、研究会で報告し研究分担者で成果を共有した。カナダについては補足調査を行った上で来年度に報告が行われる予定である。3)国際交流に関しては、アメリカからウイルソン・フライヤームート教授(ミズーリ大学ロースクール)、フランスからレミィ・リブシャベール教授(パリ第1大学)とジャック・コンブレ公証人の計3名の研究者および実務家を招聘した。フライヤームート教授には、アメリカ法における地役権と割賦払土地売買契約に関する講演を、リブシャベール教授からは、フランス法における用益権と所有権に関する講演をしていただいた。コンブレ公証人からは、フランス法における相続と公証人に関する講演をしていただいた。昨年度は、本研究の中心課題である改正案の検討を着実に進めることができた。当初の計画よりは若干の遅れが出ているが、特に大きな問題はないと考えている。今年度は、第2巡目の検討を終えて、第3順目に入ることができるはずである。改正案検討の基礎作業である比較法研究でも、フランス、ドイツに続いて、昨年度はアメリカ、カナダの調査を実施することができた。これらの成果を踏まえつつ、今年度は、比較法学会において人役権をテーマとするミニシンポジウムを開催する予定である。基礎理論研究の点でも、予定通り、外部研究者も招聘した研究会を開催し、着実に知見を積み重ねつつある。国際交流についても、予定より多く3名の研究者・実務家を招聘した講演会や内部研究会を実施することができた。全体として、研究はほぼ順調に進行しており、特に問題はない。研究遂行上の問題点は特になく、研究計画の変更はない。5年計画の4年度であり、次のような基本計画で研究活動を実施する。1)基礎理論検討については、前年度までの成果を踏まえつつ、全体研究会を1回開催する。現在予定されている報告テーマは、「物のパブリシティ」(責任者:森田)と「人役権」(責任者:吉田)である。2)改正案検討の作業は、第2巡目の残りの検討を終えた上で、第3巡目の検討に入る。第3巡目の目的は、改正案を確定していくことである。5~6回の全体研究会を予定する。ただし、この点については、実際に改正案を提案する条文が必ずしも多くないであろうことから、改正案以外の成果を公表することを含めて、検討作業の考え方についても検討する予定である。また、別科研等の予算も活用しつつ、外国(具体的にはイギリス、カナダ〔補足調査〕)でのヒアリング調査を実施する。3)国際交流については、ドイツから1名の研究者を招聘する予定である(責任者:水津)

  • アジア契約法原則(PACL)総則編構築に向けて──東アジア横断的比較法研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年10月
    -
    2018年03月
     

    金山 直樹, 山城 一真, 鹿野 菜穂子, 加藤 雅之, 田岡 絵理子, 木原 浩之, 松尾 弘, 北居 功, 笹岡 愛美, 高 秀成, 曽野 裕夫, 原 恵美, 沖野 眞已, 三枝 健治, 山下 純司

     概要を見る

    本年度は、PACLの総則規定の中でも、優先的に取り組むことになった二つの分野に関する研究を進めた。それは、契約の「履行」および「不履行」である。各国がナショナルレポートを作成することになった。その内容は、採択条文に則して、(1)日本法の現状を説明し、(2)理由書に書くべきことを補充・補正し、さらに必要であれば、(3)条文改正の提案を行うという3つのパートから成る。
    このナショナルレポートの作成のため、日本チームは、毎月研究会を開催し、各自が執筆部分を分担した上で、完成させた。それが、"PACL National Report on Performance and Non-performance, Japanese Group,2013.12.12 " である。
    このレポートを持って、ソウルにおいて行われたPACLフォーラムに参加したほか、印刷に付して、各国メンバーにも送付した。
    それとともに、未だ十分な充足を見ないASEAN国からのメンバーを募るため、インドネシア、マレーシア、シンガポール、そしてブルネイを訪れて、勧誘活動を行った。

  • 不法行為法の領域分化と制度論的・立法論的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    瀬川 信久, 橋本 佳幸, 山口 斉昭, 後藤 巻則, 大塚 直, 樋口 範雄, 前田 陽一, 水野 謙, 米村 滋人, 吉村 良一, 大坂 恵里, 中村 恵, 日山 恵美, 千葉 華月, 佐藤 雄一郎, 一家 綱邦, 黒沼 悦郎, 原田 昌和, 大澤 彩, 山城 一真, 小野寺 倫子

     概要を見る

    不法行為法は1990年代以後にそれ以前と異なる問題に直面するようになった。とりわけ、環境・生活基盤、市場取引、生命・医療の分野においてはそのことが顕著である。本研究は、不法行為法理論をこの状況に対応できるものとするために、上記の3分野を中心に、法解釈理論、制度論、立法論の観点から、今日の不法行為事件の構造と課題を析出した。その結果として、過失・危険を超えるリスクへの責任原因の拡大、保護法益の拡大・多元化と多層性、注意義務と賠償責任における他の関与者の考慮、個別的因果関係の要件の再検討という構造的問題を明らかにした

  • アジア契約法原則(PACL)総則編構築に向けて──東アジア横断的比較法研究

    科学研究費助成事業(慶應義塾大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2013年
    -
    2017年
     

     概要を見る

    本年度は、PACLの総則規定の中でも、優先的に取り組むことになった二つの分野に関する研究を進めた。それは、契約の「履行」および「不履行」である。各国がナショナルレポートを作成することになった。その内容は、採択条文に則して、(1)日本法の現状を説明し、(2)理由書に書くべきことを補充・補正し、さらに必要であれば、(3)条文改正の提案を行うという3つのパートから成る。
    このナショナルレポートの作成のため、日本チームは、毎月研究会を開催し、各自が執筆部分を分担した上で、完成させた。それが、"PACL National Report on Performance and Non-performance, Japanese Group,2013.12.12 " である。
    このレポートを持って、ソウルにおいて行われたPACLフォーラムに参加したほか、印刷に付して、各国メンバーにも送付した。
    それとともに、未だ十分な充足を見ないASEAN国からのメンバーを募るため、インドネシア、マレーシア、シンガポール、そしてブルネイを訪れて、勧誘活動を行った。

  • 成年後見制度に関する具体的改正提言

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    田山 輝明, 志村 武, 山城 一真, 青木 仁美, 橋本 有生

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    現行の成年後見制度の問題点のうち、成年被後見人の選挙権、医療同意権、成年後見人の医療代諾権、重度の認知症高齢者の後見人の監督義務、障害者権利条約との関連等について研究してきたが、選挙権については、選挙法の改正によってほぼ解決され、その際に私たちの研究も参照された。医療同意権については、さらに検討中である。認知症高齢者、特に徘徊癖を有する人については、監督義務者をめぐる問題について研究してきた。今後は、成年後見人にどの程度の監督義務があるかについて詳細な研究を行う。権利条約と民法の成年後見制度との関連についてはひき続き検討する

  • 民法物権編の全面改正を目指してーーフランス物権法改正草案を素材とする包括的検討

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2014年03月
     

    平野 裕之, 小柳 春一郎, 片山 直也, 吉井 啓子, 山城 一真, 吉田 克己, 高 秀成, 森田 宏樹, 金山 直樹

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    本研究は、フランス物権法について重要な個別的業績を発表してきた研究者を結集し、2008年にアンリ・カピタン協会により発表され、フランス司法大臣に提出されたフランス民法典物権法改正準備草案が都市化・高度産業化した現代社会に適合した新たな包括的物権法規定のあり方を提唱したことに刺激を受け、日本についても、現代社会に対応した体系的物権法のあり方を提唱した。そして、本研究は、日本側研究者とフランス側研究者の相互対話により、①財とその帰属の多様化に直面する現代の物権法が解決を必要とする課題を様々な角度から明らかにするとともに、②来るべき物権法改正に堅実かつ実践的な理論的基礎を提供したことに求められる

  • 契約成立段階の法的規律とその司法的性格に関する研究――契約形成論の深化のために

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2013年
     

    山城 一真

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    契約は、両当事者の行為に基づいて設定される規範であるが、ある行為が「契約」であると認定されるためには、裁判官等の第三者による判断作用が介在しなければならない。こうした理解を踏まえて、本研究は、契約締結過程の法的規律に着目し、かつ、フランス法との比較に基づいて、契約の存否・内容が裁判官の積極的な関与のもとに確定される諸局面を考察した。これによって得られた知見に照らして、本研究は、わが国において「意思表示の解釈」として論じられてきた法的規律に対して、契約締結過程の手続的適正性を保障するための法理としての位置づけを与えるという理解の成立可能性を検証した

  • 成年後見法制の比較法的検討と日本法への改正提言

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2012年
     

    田山 輝明, 志村 武, 黒田 美亜紀, 山城 一真, 青木 仁美, 黒田 実亜紀

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    成年後見制度が抱えている問題点について、比較法的観点から具体的に検討してきた。その中でも、成年被後見人の選挙権剥奪問題については、集中的に研究を行い、『成年後見制度と障害者権利条約』(三省堂、2012年)にその成果を発表し、2013年3月の東京地裁判決にも少なからず影響を与えることが出来た。その結果、公職選挙法11条1項1号は削除される見通しである。なお、成年後見人の医療同意権についても研究を進めた

  • 東アジア及び東南アジアにおける共通私法構築に向けた基礎的研究-PACLへの挑戦

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年
    -
    2012年
     

    金山 直樹, 鹿野 菜穂子, 加藤 雅之, 松尾 弘, 北居 功, 曽野 裕夫, 三枝 健治, 沖野 眞巳, 笹岡 愛美, 山城 一真, 片山 直也, 武川 幸嗣, 齋藤 由起, 平野 裕之

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    アジアに共通のソフトローとして、PACL(Principles of Asian Contract Law)を構築すべく、研究活動を行った。この活動には、アジアのメンバーも含まれるため幾多の障害が遭遇したが、そうした共通の経験を積むことができたことを第一の成果として誇りたい。具体的成果としては、契約総論の部分につき、PACLの条文の形で成案を得ることができた。これは、アジア初の試みであり、今後の研究の出発点となる成果として誇ることができよう。

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Misc

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 契約法における行為規制の意義と射程―信義則論と内容規制論

    2017年09月
    -
    2019年08月

    フランス共和国   パリ第一大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 法学学術院   大学院法学研究科

  • 政治経済学術院   政治経済学部

  • 法学学術院   大学院法務研究科

特定課題制度(学内資金)

  • 「担保する給付」理論の展開

    2023年  

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    給付理論に関する研究の一環として、いわゆる「担保する給付」に関心を向けて、主にフランス法と日本法との比較に基づく研究を行った。フランス法においては、給付は、古典的には「与える」「為す」「為さない」の三つに類型化されてきたが、現代では、「与える」「為す(為さないを含む)」「利用に供する」に三分する見解がむしろ有力に主張されている。本研究で検討を試みたのは、これに「担保する」という給付を加えることを提唱する日仏の学説であるが、本年度においては、研究の進捗に応じて、当初の方針を次のように変更して考察を行った。すなわち、「与える」「為す(為さないを含む)」「利用に供する」のうち、「為す」は控除的カテゴリー(categorie residuelle)といわれ、「与える」「利用に供する」に分類することができないものは、すべて「為す」給付に含む余地があるとの分析が、日仏いずれにおいても示されている。そこで、本年度においては、「担保する給付」を直ちに考察するのではなく、いわばその中間地点として、「為す」給付が給付の分類においてどのような位置づけを占めるかを論定することを目指すこととした。以上の検討に基づき、為す給付を控除的に定義する見方に代えて、「人の活動の自由が取引客体化され、価値の源泉となる」という積極的特徴を与えるとともに、このような特徴に即した法的取扱い民法において与えられているとの見方を示した。その成果については、実績欄所掲の論文において公表を予定し、既に脱稿している。

  • ケベック高齢者法の基礎的研究

    2022年  

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    本課題に関する研究活動として、(1)代表者自身によるケベック成年後見法の調査、(2)ケベックにおける高齢者法の第一人者であるChristine Morin教授(ラヴァル大学)の招聘を行うことを計画していた。(1)については、2020年の成年後見法改正の意義に関する分析を行った。その成果は、2023年度比較法学会ミニ・シンポジウムでの報告において公表する予定である。これに対して、(2)については、ラヴァル大学教員組合のストライキの影響により、年度内の招聘を断念せざるを得ないこととなった。これについては、同教授の招聘を改めて計画し、本研究の成果を補完することとしたい。

  • 共有法の基礎理論とその現代的課題に関する研究

    2021年  

     概要を見る

     本課題においては、代表者の従前の研究を踏まえて、第1に、いわゆる共同行為に関する研究を継続し、これを公表するための作業を進めた。また、第2に、この論文から得られた結果をさらに展開して、1つの契約が、その当事者間において共同の利益をもたらす場合に関する規律についても検討を開始した。その内容の一部は、2022年度に、学会報告のかたちで公表することを計画している。 なお、本研究の実施においては、Florent Masson教授(ヴァランシエンヌ大学)を招聘することを計画していたが、COVID-19の感染防止のために渡航が制限された結果、これを実現することができなかった。

  • 共有法の日仏比較研究

    2020年  

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     本研究においては、各種の共有を共有関係の発生原因に即して類型化することが有用であるとの観点から、実績欄に掲げる2点の研究論文を執筆・公表した。同欄(1)は、組合財産の共有に関する規律を含めて、発生原因の観点から共有を類型化することの有用性を示すことを試みたもの、(2)は、共有持分の法的性質論に焦点を当てて、共有物の管理や共有物分割をめぐる規律に関する考察を試みたものである。 なお、本研究の実施においては、Florent Masson教授(ヴァランシエンヌ大学)を招聘することを計画していたものの、COVID-19の感染防止のために渡航が制限された結果、これを実現することはできなかった。

  • 成年後見法制におけるいわゆる「一元主義」の可能性

    2019年  

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     本研究は、2018年9月に公表されたフランス破毀院の報告書「人の法的保護の展開」によって提唱された「一元主義」の制度構想についての研究を行うことを目的とするものである。 本研究の実施期間前半は、代表者の在外研究の期間と重複するため、その間に、ナタリー・ペテルカ教授(パリ第12大学)との間で研究交流を行った。日程の都合から、ペテルカ教授の年度内の招聘は断念したが、次年度以降も、本研究の成果を基礎として同教授の招聘を視野に入れた研究活動を進める。 本研究の成果として、障害者権利条約および一元主義の採否をめぐる日本法のもとでの議論状況を紹介するための論稿が、フランスとケベックにおいて刊行される。

  • フランス成年後見制度の実務的研究

    2018年  

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     本研究は、代表者の在外研究中に行われたものであり、当年度の特定課題研究費は、すべて研究報告のための旅費と成果公表のための校閲謝金に充てられた。具体的には、研究成果発表実績欄記載のとおり、日本における成年後見法が直面する問題について報告し、それについて質疑を行った。それらの成果は、いずれも、次年度以降に論文として刊行されることが予定されている。これに加えて、研究成果発表実績欄記載の論文のほか、研究遂行の過程で面識を得た研究者からの依頼に基づき、関連テーマを扱う小稿を執筆した。 以上のとおり、当初計画とはやや齟齬するものの、日本法における議論状況を発信することが本研究の主な成果となった。

  • フランス法における担保手段としてのレター・オブ・インテント

    2017年  

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     フランス民法典2322条に規定されるレター・オブ・インテント(lettre d'intention)につき、二つの観点から考察を加えた。第一に、法的効力の有無をどのように判断するか。レター・オブ・インテントは、意図的に不明瞭な文言をもって起案される。このような特徴は、(1)法的効力のない約束、(2)レター・オブ・インテント、(3)保証をどのように識別するかという法性決定の問題を生じさせる。第二に、レター・オブ・インテントは、どのような債務を発生させるか。手段債務と解される場合、結果債務と解される場合のそれぞれにつき、債務内容の特徴を考察した。

  • 成年後見人の選任に関するフランス法の規律-成年後見の「社会化」

    2014年  

     概要を見る

     本研究は、フランス法における成年後見人選任段階の実務運用を考察することを目的として進められた。この計画に基づいて、年度前半においては、前年度までの研究によって得られた成果を補充したうえで、「フランス法における法定後見申立段階の法的規律」に関する2つの研究報告を行った。 以上に対し、年度後半においては、障害者の権利に関する条約に対するフランス法の対応を明らかにする必要が大きいと考え、法定後見の制度類型論を考察することへと研究の重点を移行させた。フランスの学界としては、少なくとも現時点においては、2007年法改正後のフランス法は条約の観点からの検証に堪え得るものとなっているとの理解が示されているようであったが、この点については、引き続き検討を加えていく必要があると考えている。なお、この研究の成果の一部は、2015年5月に開催される日本成年後見法学会にて報告される予定である。

  • フランス後見裁判官の研究ー「家族」中心の成年後見法体系における国家の役割

    2013年  

     概要を見る

     本研究は、成年後見法制のアクターに関する考察の一環として、後見事件担当裁判官の役割と責任に焦点を当てたものである。以下、本助成の活用方法(1)、本研究の具体的成果(2)、計画の達成状況と今後の課題(3)を順次報告する。1 本助成に基づき、次のとおり研究基盤の整備を進めた。 (1) フランス成年後見法(旧法における禁治産を含む)、精神病者の監置に関する1838年の法律(いわゆるエスキロール法)に関する基本文献・立法資料を重点的に収集した。フランス成年後見法研究の遂行に必要となる重要文献(特に、19世紀のもの)は、国内図書館に所蔵されていないことも少なくない。本助成に基づいて代表者が収集した資料は、いずれも希少かつ参照価値の高いものであり、これによって歴史・比較法研究に不可欠の環境を整備することができた。 (2) 資料収集および現地研究者との面会を目的として、海外出張(フランス共和国・パリ)を行った。その結果、2013年9月12日にダヴィド・ノゲロ教授(パリ第5大学)、同13日にナタリー・ペテルカ教授(パリ第12大学)と面会し、成年後見法に関わる様々な主題についての意見交換をすることができた。なお、成年後見法を専門とする両教授との学術交流の機会をもつことができたのは、おそらく代表者が日本で初めてである。 以上のとおり、本研究によって、今後の日仏比較成年後見法研究にとっての基盤ともなり得る大きな成果を挙げることができた。2 以上の成果を活用して、次の各研究を遂行し、いずれについても成果物となる論稿を執筆した(すべて脱稿し、校正中)。 (1) 後見事務の監督に関する成年後見担当裁判官の法的責任についての研究。近年、わが国においては、成年後見人による横領事件が増加しており、これに伴い、家庭裁判所が適切な監督を怠ったことを理由とする国家賠償責任訴訟が提起される例も増えている。この問題について、フランス法は、民法典に明文の規定を設けて裁判所の責任を明らかにしている。本研究においては、この規定の沿革を明らかにするとともに、同規定を適用して後見事件担当裁判官の責任を認めた諸判決を分析した。その成果は、成果発表欄(1)の論文として公表される。 (2) 法定後見申立てに関する成年後見担当裁判官の役割についての研究。フランス法は、2007年の成年後見法改正によって、旧法に存在した職権開始手続を廃止した。本研究においては、そのことのもつ歴史的意義を明らかにするために、本テーマにつき、1804年の民法典制定、1968年の成年後見法改正等の歴史を子細に跡づける研究を行った。その成果は、成果発表欄(2)の論文として公表される。 (3) さらに、2013年10月19日開催の横川敏雄記念公開講座において、「本人死亡と成年後見人の権限」と題して、フランス法の状況を紹介する報告を行った。その内容に大幅な加筆(特に、生前処分として盛んに行われている「葬儀保険(assurance d'obseques)」に関する分析を付け加えた)を施した研究成果は、成果発表欄(3)の論文として公表される。 3 以上によって、当初計画された成果はすべて達成されたと考える。今後は、「家族」「専門職後見人」についての比較法研究を進め、成年後見法制のアクターに関する研究をさらに深めることを課題としたい。

  • 契約法の領域における外観の作用について

    2007年  

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     1 私は、本課題につき、「契約が成立していないにもかかわらず、契約が成立したのと同様の状態を『救済』として実現することができるか、また、そうすべき場合があるか」という視角から、次の要領で研究を行ってきた(以下、おおよその時系列順)。 まず、問題の外延を把握するため、日本における議論状況を確認した。そのうえで、議論を深化する視点を得るため、フランスにおける「外観法理」をめぐる議論の成果を摂取することに時間を費やした。具体的には、現時点のフランスにおける同法理の一般的な議論状況を確認したうえ、検討対象を絞り込み、大きく分けて、第一に、近時提唱されている外観法理の適用領域拡大を志向する解釈論(および「準契約法理」)の展開、第二に、表見委任法理の成立過程について検討を行った。 2 上記研究の成果・今後の課題は次のとおり。 近時の解釈論について。近時、破毀院は、契約の成立を認められない事例において、それと同等の結論を承認するために「準契約法理」を活用しているところ、これをめぐって、まさに上記関心に符合する議論が学説において行われている。「外観法理」を含め、いくつかの注目すべき見解に触れ、検討を加えたが、なお考察を深める必要を感じている。 表見委任法理について。古くは、①委任の終了を第三者に周知しなかったこと、②不適切な者を受任者として選任したこと、の二点が責任の根拠(「帰責性」の内実)とされてきた。1962年の破毀院判例以来、表見委任が成立するために、本人の帰責性は不要であるとの解釈が根付いているが(その理由についても種々の示唆深い洞察に触れた)、これに対しては種々の疑問が提起されつつある。①の視点を再評価し、情報提供義務論との連続性を窺わせる見解がみられることは、上記問題関心に重大な示唆を与えた。 3 以上の成果については、年度末に学内の研究会報告の機会をもったほか、今後、さらに考察を深め、論文にまとめる心算である。

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