2024/04/20 更新

写真a

コイワ マサキ
小岩 正樹
所属
理工学術院 創造理工学部
職名
准教授
学位
修士(工学) ( 早稲田大学 )
博士(工学) ( 早稲田大学 )
ホームページ

経歴

  • 2015年04月
    -
    継続中

    早稲田大学芸術学校   建築科・建築都市設計科   非常勤講師

  • 2014年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   理工学術院   准教授

  • 2011年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   文学学術院   非常勤講師

  • 2009年04月
    -
    2014年03月

    早稲田大学   高等研究所   助教

  • 2007年04月
    -
    2011年03月

    早稲田大学芸術学校   建築科・建築設計科   非常勤講師

  • 2006年04月
    -
    2009年03月

    早稲田大学   理工学術院   助手

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学歴

  • 2003年04月
    -
    2006年03月

    早稲田大学   大学院理工学研究科 博士後期課程   建築学  

  • 2001年04月
    -
    2003年03月

    早稲田大学   大学院理工学研究科 修士課程   建築学  

  • 1997年04月
    -
    2001年03月

    早稲田大学   理工学部   建築学科  

委員歴

  • 2023年06月
    -
    継続中

    日本建築学会  関東支部常議員・学術幹事

  • 2022年07月
    -
    継続中

    東京都墨田区  文化財保護審議会委員

  • 2020年03月
    -
    2022年03月

    日本建築学会  第21期代議員

  • 2017年04月
    -
    2021年03月

    日本建築学会  建築歴史・意匠委員会 幹事

所属学協会

  •  
     
     

    都市史学会

  •  
     
     

    建築史学会

  •  
     
     

    日本建築学会

  •  
     
     

    Society of Architectural Historians

  •  
     
     

    日本都市計画学会

研究分野

  • 建築史、意匠 / 科学社会学、科学技術史 / 文化財科学 / 博物館学

研究キーワード

  • 日本建築史

  • 東洋建築史

  • 文化財保存学

 

論文

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書籍等出版物

  • 『木砕之注文』(影印・釈文篇、解題・現代語訳篇)

    木砕之注文研究会編著

    中央公論美術出版  2013年03月

  • 『東アジアの古建築図面の歴史と特徴』

    共著

    水原華城博物館  2012年10月

  • 『日本近代建築大全〈東日本篇〉』

    共著

    講談社  2010年05月

  • 『幻都バンティアイ・チュマールの神々』

    編集担当, オリヴィエ・クニン, 写真:BAKU斉藤

    梧桐書院  2005年07月

  • 『バイヨン寺院全域の保存修復のためのマスタープラン』

    編集担当, 日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA

    ユネスコ文化遺産保存日本信託基金・財団法人日本国際協力センター発行  2005年06月

  • 『日本建築生産組織に関する研究 1959』

    校訂編集担当

    明現社  2004年12月

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Works(作品等)

  • 東京都文化財ウィーク企画「すみだの文化財めぐり」担当講師、東京都墨田区教育委員会主催

  • 東京都文化財ウィーク企画「大隈講堂特別公開」担当講師、東京都新宿区地域文化部主催

  • 「和の建築と茶室」連続講座担当講師、社団法人東京建設業協会主催

講演・口頭発表等

  • 震災資料から組織を超えたアーカイブズ連携を考える

    藤本貴子, 松本隆史, 栩木章, 小岩正樹  [招待有り]

    清水建設技術研究所シンポジウム『関東大震災の建築アーカイブズ資料をつなぐ』  

    発表年月: 2023年09月

  • Edo – Meiji period; A-traditional cities and architectures in Japan

    Masaki Koiwa  [招待有り]

    The Japan Foundation, Sydney "Transforming Cities, Buildings, and Culture"  

    発表年月: 2023年02月

  • 日本における建築図面の歴史

    小岩正樹  [招待有り]

    水原華城博物館(韓国)シンポジウム「東アジアにおける建築図面の歴史」  

    発表年月: 2011年10月

  • 奈良時代における建築情報交流について

    発表年月: 2011年09月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 観光化が進む世界遺産の歴史的都心における住環境の変化と課題の考察

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

    吉良 森子, 小岩 正樹, 小浦 久子, 木谷 建太

     概要を見る

    2019年度はシェムリアップを対象に12月15日から17日に現地調査を行なった。1990年代以降アンコールワット遺跡の観光客のための宿泊のために観光インフラに特化して発展を遂げてきたシェムリアップの都市の発展と人々の暮らしを調査するためにフランス統治時代に作られた歴史的市街地、都市化する周辺の農村地域、シェムリアップ川沿いに点在する集落を訪ね、内戦後から今日までの生活や環境の変化、観光の影響について住民にインタビューを行った。
    観光客の増加と多様化の結果、シェムリアップは郊外の農地に向けて都市化が継続している。変化の様相はアンコールワット、空港との位置関係、それまでの土地利用、民族的背景などによって異なる。シェムリアップ北部、アンコールに向かっては美術館周辺に早い時期から欧米の高級ホテルの進出もあり、大資本による比較的計画的な発展が進んでいる。空港からシェムリアップの間は中国資本の大規模なホテルが連なった。歴史的市街地の西側は若者・個人旅行者向けの小規模のホステル、ブティックホテル、レストランなどがスプロール的に住宅地・農地に作られている。歴史的市街地はさらに観光化が進み、内戦後から住んでいる住民は非常に少ない。
    私たちはそれぞれのエリアにおいて住民にインタビューを行い、コミュニティのつながりの状況を分析するために聞き取りで挙げられた寺院を訪ねた。
    聞き取りからは、農家から観光産業への職業の移行、近隣のホテル化による近隣関係の消滅と同時に、下水、道路といったインフラの整備、学校設立による教育の向上など、観光が都市空間、建築タイポロジー、社会構造、モビリティ、教育など社会全体を大きく変換していく状況を読み取ることができた。また、大きな社会転換期にあるなか、寺院は変わることなく住民の暮らしに密接につながり、日常的礼拝空間、教育の場として重要な社会生活の場となっていることが確認された。

  • クメール帝国の空間構造と地方拠点都市遺跡に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2016年03月
     

    溝口 明則, 中川 武, 小岩 正樹, 下田 一太, 内田 悦生, 久保 純子, 池内 克史, 大石 岳史, 杉山 洋, 小川 英文, 小野 邦彦, 佐藤 桂, 佐藤 桂, 小川 英文, 小野 邦彦

     概要を見る

    本研究は,2012年度から4年間プレア・ヴィヘア寺院と大プレア・カーン寺院を対象に建築学以下各分野の混成チームによって調査を行った。大プレア・カーンでは精密実測調査を進め,プレア・ヴィヘアでは新発見を伴う資料化を進めた。高精度の伽藍・建物平面図を作成し,各部の実測値から伽藍計画の考え方,設計および寸法計画の手順を復原し,壁体上部の木造痕跡の記録化を行い当初屋根の復原を試みた。岩石班は,帯滋率等から周辺遺構の一部が最古の建物である可能性を発見し,地理班は,自然地形と土地整備の様相を明かにし,考古班は,建物基礎部の様相,参道の土塁の構築技法を明らかにするなど,大きな学術成果を挙げることができた。

  • 建築技術史における日本古代設計技術の復元研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(若手研究(B))

    研究期間:

    2010年
    -
    2011年
     

    小岩 正樹

     概要を見る

    本研究は、古代社会における建築造営史の構築を全体構想に据えつつ、奈良時代を中心に建造物が設計される際に用いられた計画技術(設計技術)の復元を目的とする。研究は史料と遺構のふたつを対象として進め、史料は『正倉院文書』の造石山寺所関係文書を扱い、記録された建材の整理をた。たをつの材に目し、のをて、が計画されるを復元した。遺構もの技術に着目し、現存する古代の材の確認と測量調査を実施した。

  • 初期大工技術書に関する研究-「木砕之注文」にみる前近世的思想と技術について-

    科学研究費助成事業(ものつくり大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    佐々木 昌孝, 中川 武, 河津 優司, 小岩 正樹, 米澤 貴紀

     概要を見る

    研究期間終了後に木割書『木砕之注文』の翻刻ならびに解説書籍を刊行することを目的として『木砕之注文』と同様にその成立が古い初期木割書の発掘・収集を行いながら、当該史料の原文を詳細に読解した上で、全編のデジタルテキスト化を行い、読解結果に基づいて原文全編の現代語訳を作成、解説図版・用語解説等を作成した。また、研究期間中の成果公表として日本建築学会講演会に計7編、同学会関東支部研究報告会に1編を報告した。

  • 日本古代建築造営史における「様」の研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(若手研究(B))

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    小岩 正樹

     概要を見る

    本研究は、古代日本の建築造営において利用された「様(ためし)」と呼ばれる計画資料に注目し、事例の収集と各々の造営状況の解明を通じて、「様」の機能とその授受関係にみる造営過程を明らかにしたものである。「様」は計画や技術などの情報を伝達する役割を帯びると同時に、その制作者に対しては栄誉を与えうる社会的な意義も兼ね備えていた点が確認でき、結果「様」を介した古代建築造営の一つのかたを提示することができた。

  • 大工技術の言語化に関する研究―初期大工技術書に見られる語句の用例集作成を通して―

    科学研究費助成事業(ものつくり大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

  • 正倉院文書・造石山寺所関係文書からみた奈良時代の建築造営過程と建築形態の復原研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究)

  • 平安時代前期における工匠組織の変遷に関する研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究)

  • 初期大工技術書に関する研究−「木砕之注文」にみる前近代的思想と技術について−

  • 大工技術の言語化に関する研究 –初期大工技術書に見られる語句の用例集作成を通して-

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Misc

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   芸術学校

  • 文学学術院   文化構想学部

  • 理工学術院   大学院創造理工学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2024年

    理工学術院総合研究所   兼任研究員

特定課題制度(学内資金)

  • 四国における茶堂の建築と習俗の研究

    2023年  

     概要を見る

    茶堂とは、農村集落ごとに建てられた一間四方ほどの規模の、三方吹き放しの建築である。辻堂とも呼ばれ、旅人の休憩場所であり、集落の人々が旅人を接遇する場所、また集落内での儀礼や親交の場でもあるとされる。特に四国では、土佐(高知県)と伊予(愛媛県)に多く見られ、山間部の旧街道沿いの集落にある。遍路巡礼の盛行に伴い江戸期に成立したと見られるが、地域コミュニティのあり方や、地域の外部への接触のあり方など、その文化的背景を含めて特徴的である。そのため、無形民俗文化財に茶堂の習俗として指定されてはいるが、巡礼の様相や集落のコミュニティ、交通手段の変化等より、茶堂は失われつつあり、例えば高知県梼原町では、明治には56集落で53棟、昭和40年代に39棟があったものが、現存は13棟が残るに限られる。また隣接する愛媛県西予市城川町では、53集落に残るとされるが、正式に把握できてはいない。したがって、本研究では現存する茶堂建築および行われる習俗の記録を行い、その成り立ちの仕組みについて歴史的観点から考察することを目的とする。本年度の調査は、一昨年の下見調査、昨年度の高知県梼原町の茶堂調査を踏まえて、愛媛県西予市城川町の茶堂を対象とし、建築の配置調査と図面作成、写真撮影記録を行い、現存確認と地域および集落の中での立地、成立要因について考察した。具体的には、資料や地図にて対象とする茶堂を確認することで72棟の調査対象を得ることができ、現地確認によってこのうち68棟が現存することが判明した。建築形式としては、規模や平面形式、屋根形式は昨年度調査の高知県梼原町のものと大きく変わらず、信仰形態としては大師信仰を中心に、地蔵菩薩、道祖神などが見られた。立地としては、やはり基本的に各集落の入口に設けられる傾向があり、集落と外部との関係の中で成立することが読み取れる。今後は、城川町の歴史的資料調査を行い考察を加える計画である。

  • 四国における茶堂の建築と習俗の研究

    2022年  

     概要を見る

    茶堂とは、農村集落ごとに建てられた一間四方程度の三方吹放しの建築である。辻堂とも呼ばれ、旅人の休憩場所であり、集落で接遇する場所、また集落内での儀礼や親交の場でもある。特に四国では、遍路巡礼の盛行に伴い江戸期に成立したと見られ、地域コミュニティのあり方や、地域の外部への接触のあり方など、文化的背景を含めて特徴的であるが、巡礼や集落構成、交通手段の変化により、茶堂は失われつつある。したがって、本研究では現存する茶堂建築および行われる習俗の記録を行い、それを通じた接遇の仕組みを、歴史的観点から考察することを目的とする。本年度は、高知県梼原町の茶堂を対象に、建築の実測調査と図面作成、写真撮影記録、行事の聞き取り記録を行い、立地条件を含め、成立要因等について考察した。

  • 東アジア建築技術書の基礎的比較研究

    2021年   金柄鎭, 兪莉娜

     概要を見る

    本研究は、建築技術書の記述(規定)と遺構の比較に着目し、16世紀以降の東アジア木造建築圏の設計技術を比較するものである。日本の木割書、中国『工程做法則例』などの技術書に記述されている木造建造物の比例的設計技法を分析した上で、日本・中国・韓国の代表的建築遺構に見る寸法組成を考察し、比較の視点をもとに東アジア木造建築の設計技術に見られる設計技術の同時代的成立過程および各国の特質性を解明することが目的である。研究は全体で3年を計画し、2021年度はこれまでの成果をもとに、日本の設計技術書の知見を踏まえて、仏殿の形式に相当する韓国の殿の遺構について、詳細に技法研究を行った。

  • 国外における日本建築史学の成立に関する研究

    2021年  

     概要を見る

    建築歴史・意匠のなかでも古くから研究されてきた日本建築史学の分野は、現代ではひととおりの通史が方法論とともに構築された状況にある。しかし、その一方では日本建築史の内容が世界において十分に認知されているとは言いがたい。そのため、本分野の将来的な発展を意図して、本研究は国外における日本建築史学の成立のための基盤構築を目的とする。2021年度は、昨年度までの調査を踏まえ、西欧圏における情報収集と、知見を有する出身研究者との共同研究を行った。COVID-19の影響で、十分な調査ができなかったが、次年度以降も基礎情報の収集を継続するとともに、各国協力者と共同して研究を展開してゆく。

  • 国外における日本建築史学の成立状況に関する研究

    2020年  

     概要を見る

    建築歴史・意匠のなかでも古くから研究されてきた日本建築史学の分野は、現代ではひととおりの通史が方法論とともに構築された状況にある。しかし、その一方では日本建築史の内容が世界において十分に認知されているとは言いがたい。そのため、本分野の将来的な発展を意図して、本研究は国外における日本建築史学の成立のための基盤構築を目的とする。2020年度は、世界各国の情報を収集し、比較考察を行った。COVID-19の影響で、各国において十分な調査ができなかったが、英語圏、西欧圏、アジア圏のそれぞれ一部において情報が得られた。次年度以降も基礎情報の収集を継続するとともに、各国協力者と共同して研究を展開してゆく。

  • 東アジア建築技術書の基礎的比較研究

    2020年   金柄鎭, 兪莉娜, 万長城

     概要を見る

    本研究は、建築技術書の記述(規定)と遺構の比較に着目し、16世紀以降の東アジア木造建築圏の設計技術を比較するものである。日本の木割書、中国『工程做法則例』などの技術書に記述されている木造建造物の比例的設計技法を分析した上で、日本・中国・韓国の代表的建築遺構に見る寸法組成を考察し、比較の視点をもとに東アジア木造建築の設計技術に見られる設計技術の同時代的成立過程および各国の特質性を解明することが目的である。研究は全体で3年を計画し、2020年度は前年度の成果を踏まえて、日本の設計技術書のうち中国・韓国の殿の形式に相当する仏堂の項目について、網羅的に記述内容を検討し、その特徴と韓国遺構との比較検討を行った。

  • 東アジア建築技術書の基礎的比較研究

    2019年  

     概要を見る

    本研究は、建築技術書の記述(規定)と遺構の比較に着目し、16世紀以降の東アジア木造建築圏の設計技術を比較するものである。日本の木割書、中国『工程做法則例』などの技術書に記述されている木造建造物の比例的設計技法を分析した上で、日本・中国・韓国の代表的建築遺構に見る寸法組成を考察し、東アジア木造建築の設計技術に見られる設計技術の同時代的成立過程および各国の特質性を解明することが目的である。研究は全体で3年を計画し、2019年度は資料収集に努めた。日本の設計技術書のうち中国・韓国の殿の形式に相当する仏堂の項目の収集を、研究出張を踏まえて実施し、これにより次年度以降の比較研究が可能となった。

  • クメール帝国の地方拠点遺跡と国土統治の空間構造に関する研究

    2018年   田畑幸嗣

     概要を見る

     本研究課題では、クメール帝国の寺院建立の様相や生産組織、設計計画、施工計画の様相などの学術的課題を解決するため、地方の巨大寺院遺跡を対象として調査を行った。2018年度は現在まで調査を行ってきた大プレア・カーン寺院、サンボー・プレイ・クック遺跡群の二地方遺跡を対象に現地調査を行った。いずれもアンコール時代に地方拠点遺跡として機能した重要遺構であり、精緻な実測調査に基づいた基礎資料の作成が急がれている。我々は崩壊の激しいこの二遺構において実測調査、目録作成のための記録調査を行い、地方遺跡の特性を把握するための基礎調査を行った。

  • 伝統的大工技術書における木割と図面の相関関係

    2014年  

     概要を見る

    本研究は、日本の伝統的木造建築技法が記された中世から近世にかけての技術書を対象として、記述された文章と描画された図との内容を読み解き、相互影響性等を考察することで、技術の表現や記録伝達の観点から、社会的影響性や歴史的変遷の意義を明らかにするものである。対象としては、鎌倉大工の活動の一環を追う目的で、鎌倉系統の大工組織・河内家の文書「鎌倉造営名目」における木割史料、鎌倉国宝館に所蔵されている絵図史料、実際に河内家が建造した横浜市戸塚区に現存する建築を取り上げ、相互比較を行った。結果、作成された絵図や仕様書などの建築図書の分析を通じて、技術書の汎用性、大工と彫工の職能の差などが明らかとなった。

  • 平安時代前期における古代律令的建築生産の変遷に関する研究

    2014年  

     概要を見る

    本研究は、平安時代前期に相当する9世紀から10世紀を対象に、建築生産史から見た造営状況の特徴について、前後代の奈良時代や平安時代後期との比較検討のうえ、明らかにすることが目的である。本年度の特定課題研究では、平安時代全般にわたって建築造営に関する事例収集とその整理に務めた。既往研究において挙げられている事例のほか、組織や人物、造営の実施事例を確認し、今後の考察のための足がかりとした。来年度はまずは9世紀の造営事情について継続して考察を行ってゆく。

  • 文化財建造物を対象とした光学測量機器調査による研究手法の開発

    2012年  

     概要を見る

    建築史学においては、古文書読解等による史料研究に加えて、建造物を直接確認する現地調査が基本的な研究方法であり、両側面からの研究成果を得ることが必要である。このうち後者の遺構調査に関しては、近年の技術開発に伴い、文化財保存科学等における分析機器のみならず、建造物の配置や形状の把握について、デジタル画像による写真測量法や、レーザー距離測量機、ポータブル三次元デジタルスキャナ等の光学測量機器の利用が始められつつある。このような機器の利用と、既存の建造物調査との融合を目的とする。本研究では、いたずらに新技術の適用に趣旨があるあるのではなく、かえって既往の調査方法からすれば、作業内容や用いる能力が異なるため、抵抗感も覚えなくもない。しかし、新技術を用いることで新たに判明した事実があることも確かである。したがって本研究課題では、特に三次元スキャン調査を中心に、これら光学測量機器の調査への貢献の度合いを測り、かつ適切な機器の使用方法の確立や、機器自体の工夫や開発を視野に入れて、試行的に行うものである。具体的な研究の目的は、前年度に取得した三次元データの統合処理と分析、および、新たに文化財建造物の三次元スキャン調査を実施することであった。しかし、後者に関しては目的に適した文化財の調査機会が得られなかったため、前者に集中して行った。後者に関しては、継続して調査現場の協力を求めてゆく。研究成果は、以下に箇条書きにして述べる。1. 出力形態、成果のアウトプットについての注意まずは、調査の目的に則して調査精度を定める必要がある。建造物として1mm以下の精度を求めなければ稜線すなわち部材の境界線・輪郭線は定まらないが、すべての部材においてその精度でもってスキャニングを行うことは、多くの時間、調査労力、データ容量が求められる。また、アウトプットを三次元モデルとして示すならば、すべての表面に対してスキャニングを行い、完全な三次元データを作製する必要がある。しかし、特に木造文化財では、軒の垂木に象徴されるように、一点から視認することができる面は限られており、小刻みにスキャナを移動させてその都度スキャンを行う必要があり、多くの労力を要する。したがって、出力媒体が図面であるならば、遺構すべてに対してスキャニングを行わず、その図面に必要となる線や面に限って実施する方が効率的である。2. 現況情報への注意三次元スキャンで得られる情報は、精確な現況、すなわち破損状況である。これに対し、一般に文化財建造物のアウトプットである調査図面では、水平や鉛直、直線、平滑面、等間隔などの見なしや操作によって作製される。それらは、伝統的に培われた設計技法の意図をもって行っており、誤差・公差を越えて、建造時の意図を優先するものである。一律な三次元スキャンではそれら技法に関する考察や知識がなくともアウトプットが得られるため、注意が必要である。3. データ処理・データ利用の注意三次元スキャン調査の作業は、現地での測量性能のみではなく、スキャンデータの編集が必要である。編集ソフトによる原データ(点群データ)の編集作業性、PCのCPU等に関する処理速度の性能、グラフィックボード等に関する画像処理の性能などが、いずれも直接的に調査事項に関わる。また、デジタルデータであるため実態はなく、基本的にディスプレイ上のみでの利用となる(三次元プリンタの利用は現状では現実的ではない)。伝統的調査方法では、 現場で確認し、現地で同時に野帳という成果物があり、検証が可能である。また三次元スキャンは、形状把握のみが中心となり、材質、痕跡などの把握までは不可能である。4. オペレーティング体制の注意既往の文化財調査の方法は、基本的には伝統的な建築技法を追体験するものであった。しかし、三次元スキャナを用いた調査では、上記のように情報学に基づく異なる能力が必要となり、既存の文化財調査に求められる能力とは別のものである。以上、必ずしも三次元スキャナを用いた調査は、一概に効率が良いとは限らず、汎用性が高いとは言い切れない。足場が組めない、環境が危険であるなどの、作業員による直接的な調査ができない場合、遺構に触れられない場合(劣化が激しい等)、測量時間に制限がある場合等、特殊な条件下では効率的であると考えられる。しかし、三次元スキャン調査のみではなく、既往の方法との組み合わせや、ほかの調査器具と併用すること等によって、文化財調査が有意義に進む可能性がある。三次元スキャナは、得られるものは点群データなので、見方によっては高速自動型のトータルステーションとも捉えうる。中空、高所などの基準であるべき建築部位の座標情報を効率よく把握することが可能である。また、トータルステーションのように特定の基準点を設定して追う手間も省ける。例えば、調査ではまず視認によるスケッチを行い、その後にスケッチに測量寸法値や痕跡などの調査事項を記入するという段階を踏むが、スケッチを行う作業と並行して三次元スキャンを実施し、同時に組み合わせるなどスケジュールを組めば、時間や人員の短縮にもつながる可能性などが挙げられる。今後は、まずはデータの分析結果をまとめた論文の発表と、上記考察検討に基づく三次元スキャン調査の実施を目指す。

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