2024/07/03 更新

写真a

トウ リョウ
唐 亮
所属
政治経済学術院 政治経済学部
職名
教授
学位
法学博士 ( 慶應義塾大学 )

所属学協会

  •  
     
     

    アジア政経学会

  •  
     
     

    日本国際政治学会

  •  
     
     

    日本比較政治学会

研究分野

  • 政治学

研究キーワード

  • 中国の政治と外交、比較政治

受賞

  • 大平正芳記念賞」(受賞作『変貌する中国政治—漸進路線と民主化』東京大学出版会、2001年)

    2002年  

  • 発展途上国研究奨励賞(受賞作『現代中国の党政関係』(慶應義塾大学出版会、1997年)

    1998年  

 

書籍等出版物

  • 漸進民主

    唐亮

    八方文化  2004年

  • 変貌する中国政治

    唐亮

    東京大学出版会  2001年

  • 『現代中国の党政関係』

    唐亮

    慶應義塾大学出版会  1997年

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本とアジアの市民社会と都市ガバナンスの比較実証・公共政策研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2025年03月
     

    辻中 豊, 小嶋 華津子, 首藤 もと子, 唐 亮, 山本 英弘, 曽我 謙悟, 森 裕城, タック川崎 レスリー, 崔 宰英, 大西 裕, 中溝 和弥, 青尾 謙

     概要を見る

    研究は次の問いに答えようとする。政治体制を所与として、市民社会と地方政府の関係性によっ て、都市ガバナンスの改善、公共政策関連のQOLの向上を可能にするメカニズムを成立させる要因は何か。日本国内の都市において、なぜ、ガバナンス、政府と市民社会の協働や政策満足、信頼になぜ差が生じるのか、その市民社会と地方政府の関係性を規定する要因は何か。アジアの都市において、ガバナンス、政府と市民社会の協働や政策満足、信頼はどのような状況であるか、その市民社会と地方政府の関係性を規定する要因は何か。いかにすれば都市ガバナンスを公共政策(政府と市民社会の行う政策、両者の政策協働)を通じて改善できるか

  • 現代中国の政治エリートに関する総合研究:選抜と競争の在り方、ガバナンス能力

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2022年03月
     

    唐 亮, 菱田 雅晴, 青山 瑠妙, 久米 郁男, 加茂 具樹, 谷川 真一, 木村 幹, 高原 明生, 林 載桓, 任 哲

     概要を見る

    本研究は、実証研究、統計分析と比較研究によって、1)政治エリートの選抜制度と育成戦略はどのようなものであるか、2)政治エリート間の権力獲得競争はいかに展開され、長い競争過程を勝ち抜く条件とは何か、3)派閥政治はどのように権力競争の結果に影響を与えるのか、4)民主主義国家、競争的権威主義国家と比べれば、中国の権力獲得競争の在り方と政治エリートのガバナンス能力はいかなる特徴をもつのかといった問題を明らかにしようとするものである。
    2019年度では、研究代表者と研究分担者は資料・データの収集・整理と解析、現地での聞き取り調査を行って、以下のように中間成果を纏めている。
    第1に、改革開放機以降の省のトップ(党書記)に関する研究である。学歴、初任機関のランク(中央機関か地方の機関か、地方の場合どのレベルか)と分野(党務、行政、国営企業、教育研究など)の分布、昇進のスピード、人事異動のパターン、在任期間などに関し、初歩的な統計分析を行い、政治昇進のパターン化を試みた。
    第2に、飛び級の昇進に関する統計分析である。一部の政治エリートはなぜスピーディな昇進を果たしてきたかについて、統計分析を試み、派閥政治との関連で要因分析を試みた。
    第3に、集団指導体制に関する研究である。集団指導制度はどのような仕組みか、各段階でどのように運用されてきたか、派閥力学の変化は集団指導体制の変化にいかなる影響を与えるかについて、初歩的な分析を試みた。

  • 現代中国における腐敗パラドックスに関するシステム/制度論的アプローチ

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2022年03月
     

    菱田 雅晴, 天児 慧, 高原 明生, 厳 善平, 唐 亮, Wank David, 朱 建栄, 大島 一二, 諏訪 一幸, 趙 宏偉, 加茂 具樹, 小嶋 華津子, 福田 円, 油本 真理, 南 裕子, 中岡 まり, 岡田 実, 鈴木 隆, 呉 茂松, 毛里 和子

     概要を見る

    本研究は、パラドキシカルな中国の腐敗現象を対象として、1)刺激・行為間の誘引/制約に関するインセンティブ・システムおよび市場体制・行政機構の未発現情況に焦点をあてた制度論に依る実態論分析と2)腐敗学構築のための一般分析ツール開発とその検証・適用の両者から構成される。本年度にあっては、既往年度と同様に、研究分担者、連携研究者および研究協力者等から構成される研究組織(=廉政研究会)を法政大学中国基層政治研究所内に設置し、研究計画の全体調整および班別研究組織体制の再確認を行った上で、各種腐敗現象のビジネス領域との関わりに焦点をあてることを本年度課題の核として設定し、各国・地域における経済腐敗、不正ビジネスの構造の検討を行なうこととした。併せて、中国的腐敗の具体的個別事案の事例蒐集を進めると同時に政治社会学的手法に基づく腐敗関知度/寛容度に関する広範なアンケート調査を実施すべく調査票の設計等準備作業を本格化させた。また、中国の腐敗現象に関わる事案、データを中国内外から広く蒐集し、事例研究を進めると共に党・国家による反腐敗のさまざまな法律、制度規定類を併せ蒐集分類することで、公権力の行使に関わる公務員、党幹部らの内部昇任、賞罰制度、登用制度、各級党組織間の関係、更には、“党政関係”(党と行政機関との関係)、“党企関係”(党政機関と市場諸組織・アクター間の関係)等々のあらゆる組織内規定、規則、ルールを検討した。これらの作業を通じ、腐敗現象そのものをどのように把捉すべきか、腐敗研究の原点を再確認することができた。上述の通り、本年度における作業課題を、腐敗現象のビジネス経済領域との関わりに焦点をあて、海外進出企業における贈収賄、企業不正問題を検討することで、公権力の不正使用という腐敗現象の「もう一方」の当事者としてのビジネスサイドの課題として捉え返し、腐敗研究の原点を再確認することができた。上述の中国基層政治研究所内の廉政研究会で、外部講師として藤野真也(麗澤大学経済学部)、小山田英治(同志社大学グローバルスタディ研究科)ほかを招聘し、海外進出企業における企業の内部統制規制、米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)、OECD外国公務員贈賄防止条約等の整備・運用につき、日本企業は、具体的にどのような点に問題を抱えているのか、それらの問題はどのような組織的要因によって引き起こされるのか等を検討した。そこから、画一的なルールを現場のビジネスに適用すると、現場の商慣習との間で乖離が発生し、贈賄=ファシリテーション・ペイメントが、進出先現地でのビジネス遂行のためのやむを得ざる慣習上の行為である一方、社内ルールに違反する行為でもあるという倫理ジレンマが拡大する結果、社内ルールの有効性が損なわれてしまう。最終的に、グローバルな贈賄防止体制が機能しなくなる可能性が指摘される。ここから反汚職支援=グッド・ガバナンス改革が求められる所以が明らかとなった。こうした国内研究会組織における研究作業が一定の進展を見せる一方で、年度半ばから顕在化した中国における政治情況の不透明化、とりわけ海外研究者に対する身柄拘束等による現地研究者との接触機会制限から、当初予定のアンケート調査実施は停滞を余儀なくされている。今後は、最終年度における最終報告書の執筆に向けてのラップアップ会合の開催に作業を集中することとする。とりわけ、研究計画第四年度にあたる本年度は、廉政研究会メンバーのこれまでの中間的な研究成果をそれぞれ廉政研究会各場面に持ち寄り、報告、相互討論を重ねることを通じ、各班個別研究の水準向上を目指す。もちろん、その過程で顕在化する課題をフィードバックすべく、必要に応じた外部講師招聘も併せ行うが、下述の通りの情況から、廉政研究会は海外講師含め、ZOOMその他利用によるオンライン会議形式を活用することとする。現時点にあって、検討執筆サブテーマとしては、内政面(エリート腐敗観、幹部昇進制度、地方人代選挙、農村社会幹部)、対外的側面(対外援助、海外逃亡犯、海外進出企業)、比較(ロシア、インドネシア、台湾、香港)の各軸に沿って検討を進める予定にしている。ただ、上述の通り、中国現地における海外研究者への行動制限が懸念される情況に加えて昨年度末からの新型コロナ肺炎禍から、中国現地等への派遣調査実施の可能性は依然不透明であり、オンラインその他のコミュニケーション手段に頼らざるを得ない。なお、こうした事情から、上述した腐敗に関する意識と行動(腐敗現象の存在に関する感知度および腐敗行為に対する寛容度)に関する腐敗問巻(アンケート)調査は、本研究計画の枢要部分をなすものではあるが、その実施は最終年度の課題としたい

  • 日本とアジアにおけるローカルガバナンス(国家・市民社会関係)の比較実証研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2021年03月
     

    辻中 豊, 小嶋 華津子, 重冨 真一, 唐 亮, 山本 英弘, 曽我 謙悟, 森 裕城, 崔 宰英, 大西 裕, 中溝 和弥

     概要を見る

    これまで科研費に基づいて日本の13の市区(東京特別区)の協力をえて、自治会・町内会調査を実施しており、また日本の57市区に関しては、地方自治体調査の4部署調査を実施している。さらに、先の13市区は、同時に、市民の都市ガバナンスに関連した住民意識調査を実施している。この意識調査に関連して、アジアの6都市(北京市、浙江省、重慶市。台北。ソウル。バンコク)においても同様の意識調査を実施済みである。当年度は、それぞれについて科研費にて、調査データ関連のコードブックを報告書として作成した。また、日本の複数の地域により詳細な事例調査を実施すべく準備を進めたが、コロナウィルス問題によって実査は2地域にとどまった。また中国において関連した調査を実施すべく、予備研究を実施した。アジアの他の地域、台湾、タイ、バングラデシュ、インド、韓国の研究者と比較研究のための検討を行った。こうした一連の調査研究を公開するための作業を行い、筑波大学アーカイブスにおいて、調査の過程を公開すべく準備を進めた。日本の調査データを、都市分析として再構成し、それに基づき比較分析を開始した。その場合、最大123都市の比較が可能であり、複数の調査データを用いる分析では64都市比較が可能である。同時に世界の調査データも同様に比較都市分析と行うべく準備を進めた。その場合102都市分析が可能となる予定である。以上の、実証的基礎に基づき、いくつかの学術論文を執筆した。令和元年度が最終年度であるため、記入しない。令和元年度が最終年度であるため、記入しない

  • 中国大衆ナショナリズムの台頭と中国外交への影響

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    先行研究では、中国のナショナリズムを官民一体のものであり、その高揚が愛国主義教育、歴史教育の結果とされている。本研究は中国社会の多様化と自立性に着目し、官製ナショナリズムのほか、国家から一定の自立性を持つ多様な大衆ナショナリズムの存在を明らかにした。そのうち、偏狭なナショナリズムは弱者、左派を中心に存在し、排外的な活動で中心的な役割を果たした。リベラルなナショナリズムは国際ルールの順守や対外協調を強調する。中国政府は体制維持の立場からナショナリズムを利用しようとするが、対外開放の推進と外交主導権の確保といった立場から偏狭なナショナリズムに警戒心を持ち、法的処罰で過激な活動を規制しようとする

  • 中国抗議型維権活動拡大のメカニズム:認知の解放・支配方式の転換・動員手段の多様化

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2013年
    -
    2016年
     

     概要を見る

    2013年度は計8回の研究会、国際セミナーを開催した。研究分担者はそれぞれの分担から研究構想を提示し、中国・抗議型維権運動に関する分析の枠組みを議論したほか、日本国内外の専門家をゲスト講師に迎え、諸外国の社会運動との比較の可能性を探り、研究助言を得た。共同研究作業のほか、研究分担者は分担に沿う形で初歩的な研究を行い、現地調査を実施して文献資料を収集し、維権運動の参加者、政府や企業の関係者、専門家、NGOなどの支援団体、メディア関係者に対する聞き取り調査を行った。
    以下の研究項目について、基礎的な研究が行われ、初歩的な進展があった。1)人々の政治意識、特に法的権利意識は何を背景にどのように変化してきたか、意識の変化はどのように抗議型維権運動に繋がったか、2)民衆はなぜ司法、行政の救済手段でなく、集団抗議活動を維権手段として選ぶ傾向にあるか、抗議型維権手段の選択と政府の対応方法、または官民紛争解決のメカニズムとはいかなる関係にあるか。3)環境NGOや弱者支援団体、地域コミュニティ、同窓会、同好会のほか、維権支援団体や人権弁護士などが如何なる支援活動を展開しているか、自発的な大衆抗議活動と比べれば、動員ネットワークの存在は運動のフレーム、レパートリ、ソーシャル・メディアの活用、マスメディアや政府機関への働きかけにいかなる影響を与えるか。3)政治的機会構造との関連で、抗議活動に対する当局の対応策、権利に関する政府の公式見解、弾圧コストの変化、政府内の利害関係は維権運動にいかなる影響を与えているか。4)サイバー・コミュニティの形成、ソーシャル・メディアの発信能力はいかに情報伝達、ネットワーク構築の機能を通して維権運動の発生と拡大に影響を与えているか。
    中国・抗議型維権運動に関する初歩的な研究成果は、各分担者の執筆論文、学会報告、講義、講演の形で公表された。

  • 中国共産党に関する政治社会学的実証研究ーー中南海研究(Ⅱ)

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2015年03月
     

    菱田 雅晴, 毛里 和子, 天児 慧, 加藤 弘之, 高原 明生, 大島 一二, 趙 宏偉, 南 裕子, WANK David, 唐 亮, 小嶋 華津子, 朱 建榮, 加茂 具樹, 諏訪 一幸, 鈴木 隆, 阿古 智子, 中岡 まり, 中居 良文, 林 載桓, 福田 円, 呉 茂松, 弓野 正宏

     概要を見る

    中国共産党を組織集団として捉えようとの目的から、中国側カウンターパートの協力の下、党および党員に関する認識をめぐる広範なインデプス・インタビューおよびアンケート調査を実施した。国家社会論フレームに基づくクロス解析結果から、「党政関係」、すなわち,党・国家体制の揺らぎおよび「党群関係」、すなわち,党に対する公信力の低下が観察された。だが、その一方で、政府、とりわけ中央政府に対する信任は依然として高位にあるところから、党信任の脆弱性は国家信任の強靱性によって補完されており、党のサバイバル戦略が依然として機能しているものと推測される

  • エリート、ガバナンス、政治社会的亀裂、価値

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年11月
    -
    2013年03月
     

    唐 亮, 松里 公孝, 高原 明生, 澤江 史子, 三宅 康之, 大串 敦, 田原 史起, 毛里 和子, 間 寧, 安達 祐子

     概要を見る

    本研究は政治体制や支配の手法から構成される統治モデルを発展モデルの一部として、欧米各国と地域大国の統治モデルはどこがどう違うか、また各地域大国の統治モデルはどこがどう違うかを視野にいれ、政治経済体制の移行戦略、地方制度と国家の統合、支配政党の在り方、民族連邦制と地方自治、コミュニティのガバナンス、社会衝突解決のメカニズム、アイデンティティ政治(宗教・民族問題)などを取り上げ、各国の統治モデルが政治的求心力、ガバナンス能力、社会的安定性および国家近代化のプロセスに与える影響を分析し、経済発展と民主化との関連性から各国の将来性を展望した

  • 『ユーラシア地域大国の比較研究』に関する総括

    研究期間:

    2008年04月
    -
    2013年03月
     

     概要を見る

    1.新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」の日本語での成果は,ミネルヴァ書房から全6巻のシリーズとして刊行される予定であり,平成24年度に2巻発行していたが,平成25年度にも岩下明裕編『ユーラシア国際秩序の再編』と望月哲男編『ユーラシア地域大国の文化表象』の2巻を刊行した。2.本新学術領域研究の英語での成果は,Routledge社から田畑伸一郎を編者とし,Eurasia’s Regional Powers Compared - China, India, Russiaというタイトルで,全14章から成る本として刊行することが決まった。執筆者は本新学術領域研究の6つの計画研究の研究代表者,研究分担者などである。そのための原稿の執筆を行い,ほとんどの原稿が3月末までに提出された。3.本新学術領域研究の成果を,日本,中国,韓国の研究者による第5回スラブ・ユーラシア研究東アジア学会(2013年8月9~10日,大阪法経大学)をはじめとするいくつかの学会等で報告することを支援した。4.本新学術領域研究の成果を,経済の領域における成果を中心に,国立大学附置研究所・センター長会議第3部会シンポジウム「比較研究の愉しみ」(2013年10月4日,北海道大学)で発表した。5.本新学術領域研究において2010年に行った国際シンポジウムの成果を,Comparative Studies on Regional Powers, No. 14として刊行した。また,本研究の支援を受けて実施された言語学の領域における研究の成果をSlavic Eurasian Studies, No. 26として刊行した。 6.本新学術領域研究は,世界諸地域の研究に関わる研究組織、教育組織、学会などをつないで, 情報交換や研究活動を進めるネットワーク組織である地域研究コンソーシアムから,第3回(2013年度)地域研究コンソーシアム研究企画賞を受賞した。25年度が最終年度であるため、記入しない。25年度が最終年度であるため、記入しない

  • 調和社会の政治学:調和的な発展政策の形成と執行の総合的研究

    科学研究費助成事業(東京大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2010年
    -
    2012年
     

    高原 明生, 厳 善平, 小嶋 華津子, 園田 茂人, 唐 亮, 武田 康裕, 青山 瑠妙, 加茂 具樹, 三宅 康之, 中岡 まり, 阿古 智子, 白 智立, 陳 家喜, 郎 友與, 王 璞, 熊 培雲, 鄧 科, 周 俊, 陳 文, 薄 智躍, 賈 義猛, 楊 学林, 鄭 世平, 王 振宇, 何 俊志, 李 輝, 汪 仕凱, 呉 薇, 阿南 友亮, 佐藤 考一

     概要を見る

    本プロジェクトでは、中国における「調和社会」構築に向けた政策的な取り組みを分析の俎上に載せ、利益調整の制度整備をめぐる政治過程の解明に努めた。その結果、社会における「下からの」自発的な、あるいはやむにやまれぬ利益表出の試みが勢いを強めているのに対し、これまで保持してきた絶対的な権力の相対化を恐れる中国共産党の「上からの」対応が遅れていること、しかし中国版ツイッターなど新技術の普及によって「下からの」突き上げも強まっていることが確認できた。

  • 体制移行の比較研究:初期条件・移行のコスト・民主政の成熟度

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    唐 亮, 木村 幹, 松里 公孝, 石塚 迅, 稲垣 文昭, 島田 弦, 渡辺 剛, 加茂 具樹

     概要を見る

    体制移行のコストから民主化を軟着陸、硬着陸と中間モデルなどのパターンに分けられる。体制移行後、民主政の質も必ずしも同じでない。経済発展水準、中産階級の成熟度、法治国家の整備状況、市民社会の成熟度といった初期条件の成熟度が体制移行のコスト、民主政の成熟化に重大な影響を与える。既存の民主化研究は民主化の過程を体制移行と民主政の定着の2段階としたが、研究視野を民主化のインフラ整備へと拡大する必要がある

  • 中国浙江省における民間企業に関する基礎調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    菊池 道樹, 牧野 文夫, 鈴木 豊, 呉 暁林, 唐 亮

     概要を見る

    浙江省内の各地域では民間企業が主導し、日用品など様々な製品、素材の生産地が産業集積を伴いつつ形成されつつあるが、地域それぞれの発展は企業の所有形態、経営様式、流通部門との関係、地元政府の関与の在り方など多様な様相を呈している。しかし、時間の経過とともに、労賃の値上がり、他地域における企業の成長などの理由により、企業、及び地域レベルにおいて競争力が低下し始めており、新たな発展段階への脱皮が課題となっている

  • 中国共産党に関する政治社会学的実証研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    菱田 雅晴, 毛里 和子, 天児 慧, 加藤 弘之, 唐 亮, 高原 明生, 小嶋 華津子, 朱 建榮, 趙 宏偉, 諏訪 一幸, 阿古 智子, 南 裕子, 中岡 まり, 加茂 具樹, 中居 良文, 呉 茂松, 白 智立, 鄭 永年, 景 躍進, 趙 秀梅

     概要を見る

    1978年末以来の中国の改革が"私利"を核とした社会システム全体の転型であることに呼応して、中国共産党自身にも"私化"傾向が著しく、組織としての私人性に加えての"私利性"は"領導核心作用"なるレトリックの正統性に深刻な影を落としている。最終的には、この党組織は、内外の環境変化から危機的様相を強め、存続そのものが危殆に瀕しているかの如く見えるものの、これら変化を所与の好機として、この世界最大の政党にして最大規模の利害集団はその存在基盤を再鋳造し、新たな存在根拠を強固なものとしつつあるものとの暫定的結論を得た

  • ボトム・アップの政治改革-社会変動期の中国における政治参加の総合的研究

    科学研究費助成事業(東京大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    高原 明生, 下斗米 伸夫, 園田 茂人, 厳 善平, 唐 亮, 青山 瑠妙, 中岡 まり, 三宅 康之, 小嶋 華津子, 阿古 智子, 加茂 具樹, 田原 史起, 城山 英巳, 張 志紅, 杜 創国, 白 智立, 松田 康博, 武田 康裕, 木村 幹, 川原 彰

     概要を見る

    市場化と経済発展によって、中国では草の根レベルにおける政治活動が様々な領域で活発化している。しかし、マス・メディアの動向や人民代表大会、住宅管理組合や農村の動向などを実証研究した結果、政治活動の活発化は必ずしも「ボトム・アップ」の改革につながる様相を呈していないことがわかった。その主な原因は党の統制という制限があることであり、改革の行方は党の側が草の根の動態に如何に対応するかにかかっている。

  • 国際社会の対中国関与政策と中国の政治改革

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    唐 亮

     概要を見る

    本研究の主な目的は人権改善への外交圧力や民主化への支援活動を国際社会の対中関与政策(engagement policy)として捉え、それが中国の政治改革の過程で果たす役割を分析・解明することである。本研究では、まず政治改革に関する中国政府の立場の2面性を次のように分析する。第1に、中国政府は文化・民主主義の多様性および国情の違いを理由に、「独自の発展の道」、「中国型民主政治」を主張し、事実上欧米型民主政治に関する国内外の要請を拒んでいる。第2に、中国政府は政治制度の改革を推進し、民主的なメカニズム・手法の部分的な取り入れ、自由と権利の緩やかな拡大に繋がっている。次に、本研究は人権、特に自由権の確立は政治改革の推進、特に民主化への体制移行を前提とするという立場から、「国際社会の対中国人権関与の重層化とその役割」に関し実証分析を行った。対中人権外交アプローチの「多様化」「複合化」、民間社会の活発な参加による対中人権関与の「重層化」を分析し、比較の視点から国際社会の対中国人権関与の特徴、中国の人権改善過程における主な役割を明らかにした。中国政治変動のダイナミズムに関する要素・要因分析を国内から国際社会の関与へと広げ、中国の政治改革、人権改善に関する国際社会の関与の最新動向を解明し、比較の視点から国際社会の対中国人権関与、民主化支援活動の特徴を抽出することは、本研究の新しい試みである

  • 現代中国における社会の自律性に関する学術調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2006年
     

    菱田 雅晴, 天児 慧, 唐 亮, 南 裕子, 小嶋 華津子, 石井 知章, 加藤 弘之, 中岡 まり, 園田 茂人, 大島 一二

     概要を見る

    本研究は、社会主義システムからの移行過程にある現代中国をフィールドに「自律的な社会による国家への浸透プロセス」を明らかにすることを目的として、社会は如何なる「自律性」の下、どのような国家への「浸透」を行っているのか、そのプロセスの実態を描き出すことを目指した。計画初年度、中国労働関係学院との間で基層工会(=労働組合)主席を主対象とした共同研究の実施に関する「協議合同書」を締結して以来、前々年度以来、大規模な基層工会問巻(=アンケート)調査を実施して来たが、計画最終年度たる本年度においては、その回収作業を完成させ、本格的な解析作業を進めた。また、前年度、四川省社会科学院との間で、締結した郷村幹部エリート層の個人ヒストリーをテーマとする面接調査/問巻調査も完了させ、そのデータ解析を進めた。同時に、本邦内では、本研究組織を核に、研究会(「中国コーポラティズム研究会」)を開催し,文献調査,上記2アンケート調査結果あるいは現地調査の結果等をフィードバックするなどして、集団的討議を行った。これらの基礎の上に立ち、最終年度たる本年度においては、これまで在外研究協力者として本研究過程で形成された中国、香港あるいは米国等の本分野の研究者との国際的学術ネットワークのコアメンバーを本邦に招聘し、平成17年12月10日、法政大学市ヶ谷キャンパスにおいて国際シンポジウム("中国:自律化社会のガバナンス")を開催した。同シンポでは、当科研チームメンバーが本研究による暫定的分析レポートを報告したほか、これら解析結果の国際的評価、マクロ中国へのガバナンス的インプリケーションなど広範な検討作業と集中的討論を行った。なお、本研究による最終的成果は、法政大学出版局より『グラスルーツ社会の変容・社会コーポラティズムの展開』(仮題)として本秋上梓を予定しており、現在各論稿を編輯中である

  • 改革期の中国におけるメディア分野の市場経済化と報道改革

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

    唐 亮

     概要を見る

    今回の研究はメディアの発達状況、報道機関における自己採算制の導入、報道競争とメディア市場の再編、報道改革の進捗状況に対する具体的な検証によって、改革期の中国における情報革命の「実態」を次のように明らかにした。(1)改革期に入り、中国経済の発展と国民の所得水準向上はIT技術の発展、テレビ、ラジオ、電話、パソコン、新聞、雑誌、図書の普及に好影響を与え、情報量の著しい拡大に繋がっている。(2)「自己採算制」の導入および報道競争の激化を背景として、メディアの立場が従来の「権力一辺倒」から読者・視聴者のニーズへと傾斜し始め、ニュースの速報性、客観性、きめ細かさ、現場取材を重視し、批判・暴露報道や政策議論に力を入れ始めている。報道競争の結果、宣伝を目的とする共産党の機関紙および番組は影響力が低下し、市民向けの新聞雑誌および番組などは成長しつつある。(3)中国当局はメディアの経営自立、報道改革を主張し、緩やかな報道自由化を容認しているが、他方、権力への求心力を維持するという立場から、共産党による「世論誘導」を強調し、メディア機関の創設を厳しく制限し、さまざまな報道規制を行っている。(4)中国のメディア機関、ジャーナリストは報道規制を突破するために、当局に対してさまざまな「駆け引き」を仕掛け、「一歩前進、半歩後退」の形で報道自由の空間を広げようとしているが、そのプロセスは紆余曲折の道をたどっている

  • 中国の市場経済化と国家の変容―党と国家の制度改革と機能転換に関する調査研究―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

    太田 勝洪, 趙 宏偉, 下斗米 伸夫, 菊池 道樹, 高原 明生, 田中 信行, 国谷 知史, 唐 亮

     概要を見る

    平成13年度〜15年度、11人の研究分担者は中国各地に学術調査に赴き、日本では合計14回の定例研究会のほかに、海外共同研究者を招いた国際シンポジウムやアジア政経学会、アジア経済研究所などとの共催での特別研究会を開催した。最終年度に著書『中国の市場経済化と国家の変容』を完成し、科研費出版助成を申請した。著書は3部10章からなり、中国における市場経済化と国家の変容を研究し、主に基層レベルでの局面に絞って、その実像と問題点を明らかにした。「第1部 基層レベルの民主化と限界」では、制度としての民主化を表徴する基層レベルでの選挙の有り様を検討する。第1章は4つの発展過程に時期区分して、基層レベルでの選挙制度の進展と農民によるその活用を描き、またその問題点を分析した。第2章は村党組織と村民委員会との関係の新しい変化を分析した。第3章は、都市部の人民代表の選挙において「民選候補」「自薦候補」が多く出て競争選挙となりつつある実態を分析した。それは、中所得層が増大し、彼らが経済上の権益保持と政治的地位の向上を要求するようになったためである。「第2部 農村ガバナンスと『三農』危機」は農村問題を論じた。第4章は「三農」すなわち、農業、農村、農民の問題を政治学的視点から農村ガバナンスに絞って分析を行った。第5章は農村税費改革の研究であり、重点試行省である安徽省をはじめとする聞き取り調査を踏まえて、著者独自の政治文明論を用いて論証した。第6章は、県域経済の研究であり、県域経済の発展、県の都市化と農村経済の発展は中国の将来を左右するものであると分析してみせた。第7章は有名な温州モデルがいかに可能になったかを詳細に分析し、地方政府のガバナンスがいかに重要であるかを指摘している。「第3部都市の基層変動と市民社会化」は、計画経済期に都市住民を支配する末端装置である「単位」が崩壊したこと、言い換えれば、「単位人」から「社会人」への巨大な変動を対象とする。第8章「社区」の諸類型を分析した。第9章は都市の住宅商品化と都市地域組織の関係を法的側面から検討した。第10章は、ITなどの驚くべき速度での進歩を検証し、党政機関が情報を制御しようとしてももはや不可能であることを論証した

  • 中国政治の構造変動と地方の復権

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1996年
    -
    1998年
     

    天児 慧, 沢田 ゆかり, 趙 宏偉, 国分 良成, 中居 良文, 唐 亮, 澤田 ゆかり

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    本年度は研究プロジェクトの最終年度に入り、研究分担者、公募研究者、研究協力者それぞれ最終研究成果を執筆することが最重要課題であった。改革開放下での中国政治体制の変容を中央・地方関係を軸として捉えなおすというA01班の課題は、中央・地方関係の変化が政治体制そのものの変容を引き出しているのか否かという点で、いまだ論争中である。まず分担者からその成果を見ると、唐亮は人事を軸いまだ党中心のコントロールは維持されていることを明らかにした。趙宏偉は省党書紀に見られる中央利益の代弁者、地方利益の代弁者の二重の役割・機能を分析した。中居良文は東北地方の省・市政府レベルでの対外経済政策の「独自性」「多様性」を分析した。沢田ゆかりは県・市・区レベルの地方政府と社会との関係を社会保障制度の普及とその現実的な困難さを明らかにし、地方政府の機能の多様化を検討した。公募研究者では、滝口太郎が改革開放期の軍と党との関係を見ながら構造的変容の進む中でなお一党体制維持の物理的基礎として軍が機能していることを論じた。大橋英夫は今年度のみの参加であったが、分税制などの財政制度の改革を軸に経済面での中央地方関係をカバーした。研究協力者の中では、三船恵美が返還以後の香港を一国内の中央・地方関係としての「一国二制度」という観点から分析した。三宅康之は中央政府と地方都市の経済政策決定関係を重慶と成都を比較することによって論じた。中岡まりは農村の基層政権における選挙の実態分析を試み、田原史起は雲南省の農村の幹部、政権運営の実態調査をまとめた。佐々木智弘は2年度から北京留学のため、伊藤信之は本務の研究活動が多忙なため、最終研究成果は出されなかった。天児がこれらの成果をまとめながら、中央・地方関係は依然として一党体制の枠内で機能しているが、制度的制約を超えて、実態的には様々な地方の「自律的活動」が噴出するようになっており、そのことが将来の中国の政治体制のあり方に重大な影響をもたらすとの判断を持つようになっている。研究成果は、二冊の著書として将来出版される予定である

  • 現代中国の党-軍関係に関する実証的研究

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    現代中国の党-軍関係は政治状況あるいは時期によって変わってくる。平成11年度の研究は文化大革命を例に上層部の権力闘争の動きと軍部との関わりを検証したが、平成12年度の研究は重点を改革期に当て、最近に公表された文献や現地調査などから得た資料を整理し、権力の世代交代、政治の変化および経済社会構造の変動がいかに党-軍関係の変容をもたらしているかを分析した。その主な結論は以下の通りである。(1)改革以前、「革命世代」は中国の政治、軍事を牛耳り、特に、軍の出身者が中央から地方に至るまで、各分野の実権を握っていた。改革期に入り、「革命世代」の高齢化に加えて、共産党政権は幹部の「若返り」、「高学歴」を主張した結果、「革命世代」の幹部は各級政治指導部、軍部の第一線から退いた。それに代わって、「テクノクラート」世代は登場してきた。各級権力機関で、軍出身の指導者がすでに例外となってきた。(2)世代交代に加えて、改革期の政局は比較的に高い安定性を見せてきた。その結果、1989年の天安門事件を除いて、軍部は政治の表舞台に登場する状況がなかった。改革以前と比べれば、軍部の「脱政治化」と文人政治家による軍隊の統制が進んでいる。江沢民は非軍人出身の政治指導者として軍の最高指導者に就任し、軍部の実権を握っている。近年、「第4世代」への最高権力移譲が行われる中で、江沢民の後継者と見られる胡錦涛はすでに中央軍事委員会の第1副主席に就任し、軍の掌握に動き出している。(3)法治国家の建設を背景として、国防法を中心とする軍関連の法律、法規は整備されつつ、軍隊に対する共産党の統制手段が変わってきている。1998年夏、党中央は軍隊がビジネス活動の規制に乗り出し、軍関連企業の経営権を中央と地方の当局に移譲するように指示した。軍隊の「プロフェッショナル化」が緩やかに進んでいる

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 中国・抗議型維権運動拡大メカニズム

    2015年03月
    -
    2016年03月

    中国   浙江大学公共管理学院

他学部・他研究科等兼任情報

  • 政治経済学術院   大学院政治学研究科

  • 政治経済学術院   大学院経済学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 比較分析から見る中国派閥政治の構造的特徴

    2022年  

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    一党支配、政治任命制と集権型の下で、中国の派閥政治が以下のような構造的な特徴を持つ。第1に、高度な集権体制の下で、派閥は上級党の執行部の指導者を領袖とし、主として人事任命権を通して行政機構、司法機構、国有企業、下級地方などへと拡大する。第2に、中共は派閥活動を厳しく規制しているため、派閥の活動と影響力が領袖個人に大きく依存し、ヨコの繋がりが弱い。派閥の制度化のレベルと透明性が低い。第3に、政治エリートは昇進する過程で、地域・組織に跨る人事異動は頻繁に行われる結果、派閥の流動性が高い。第4に、人事任免権は集団決定の事項となっている。公式の会議で党内の団結を示すため、各級の党の執行部は書記弁公会などの公式の場を活用し、重要人事に関する話し合い、取り引きを行っている。第5に、派閥活動禁止の制度はその運用権が上級指導部、特に最高指導者にある。それは上級指導部、特に最高指導者が政治的求心力を保つ有力な手段となってきた。

  • 中国の政治的応答性に関する研究:支配正当性の調達・エリートの動機付け・応答の範囲

    2021年  

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    本研究は西側諸国の選挙政治との比較分析を行い、一党支配下における政治的応答性のメカニズムを二つのレベルに分けて考察した。政権レベルで、中共は一党支配への挑戦を排除すると同時に、発展の実績などによって国民の支持を調達しなければならない。ただ、政治的応答性への取り組みは分野によって違ってくる。エリートレベルで、昇進制度は政治的応答性を高め、経済や社会の分野で実績を築き上げる有力な手段として活用された。

  • 中国地方政府のイノベーションー推進体制を中心に―

    2020年  

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    本研究は中国地方政府の政策/制度イノベーションはどのような構造的な特徴を持つかを解明しようとするものである。2020年度は改革期に焦点を当て、「イノベーションに関する地方間競争の分析」を中心に研究を進めてきた。第一に、地域実験方式はイノベーションの主な手法である。中国政府は経済の活性化を図るために、大胆な制度改革、経済改革を進めてきた。他方、過激な制度改革は失敗する場合、経済や社会的な混乱を招きかねない。改革期の中共は改革の経験を蓄積し、失敗のリスクを抑えるために、一部の地域でイノベーション(改革)を先行させる手法を多用した。第二に、地域間の競争はイノベーションの発生と拡散に重大な影響を与えた。鄧小平は「先富論」を打ち出し、発展の実績は指導者の昇進にとって重要である。その場合、GDPや財政収入の増加は指標として採用されるが、制度・政策に関するイノベーション、特に全国レベルでイノベーションはモデル、手本として認められた場合、指導者への評価が上がり、昇進する機会が増える。他地域は発展を図るために、そのモデルを積極的に導入する傾向が強い。その意味で、イノベーションは拡散する。第三に、中国は地理条件や人口構成、経済社会的水準といった点では、地域の多様性をもつ。それはイノベーションの多様化にも影響を与えている。

  • 中国の地方政府における制度改革のメカニズム

    2019年  

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    2019年度は比較分析の手法を用いて、2つの側面から中国地方政府の政策/制度イノベーションの構造的な特徴について初歩的な分析作業を行った。第1は政策イノベーションの動機に関する研究である。民主主義国家では、定期に行われる競争選挙は地方の政治エリートを促す要素であるが、改革期の中国では、共産党の支配の正当性は発展の実績に大きく依存するため、上級機関は経済発展などの実績を政治昇進の主な要素の1つとする。第二は政策の決定と実施のシステム関する研究である。民主主義国家では、諸政党間、担当行政機関、利害関係者、NGOは関係者としてその過程に参加し、妥協を重ねるが、一党支配の中国では、決定はトップダウン型である。

  • 権威主義体制の変容とNGOの発展空間: 改革解放期の中国を事例として

    2017年  

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    The proportion of China’smiddle class has steadily increased among the working-age population as itseconomy has registered high growth. The development of education and media hasbrought modern ideas and enhanced people’s consciousness about democracy,freedom, human rights, justice and equality. Increasing globalization,liberalization, and information flows also contribute to the change in theideational landscape. As a result, civil society organizations that draw  membership from the middle class have experiencedsteady increase as well. More NGOs are active in more fields. The scope for citizens’participation has enlarged, and the NGOs’ influence on the public opinion aswell as on the making and implementation of some public policies is increasing.The NGOs are a check on the government too. Overall, NGOs have become apositive force in reforming the Chinese society. All these augur well fordemocracy, as they constitute a crucial part of the initial conditions for futuredemocratic transition.  Weneed to keep our expectations under check, however. China’s middle class, andthe civil society organizations are far from being mature social formations. Afterall, China’s level of economic development still lags behind that of thedeveloped countries. Either out of fear or habit, the Chinese citizens are notclamoring for the opportunity to participate in the political process. Theystill lack the experience for self-regulation and self-governance while thegovernment continues to exert tight control on them.

  • 中産階級の政治的立場に関する多次元的分析

    2016年  

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    今年度の研究は中国を例に、中産階級の政治的な立場の変化を次のように検証した。1980年代、経済成長は初期段階にあり、中産階級は未熟でしたが、民主化を強く支持した。それは民主化運動の盛り上がりにつながった。1990年代以降、持続的な高度成長によって、中産階級は拡大し、全体として国全体の発展状況に満足し、安定重視の保守志向も強く見られた。しかし、それは中産階級は民主化の目標を放棄するのではなく、民主化の軟着陸とそれに必要とされる諸条件を重視した結果でもある。現状では、中産階級は市民社会の発展、制度改革や政治改良に積極的な姿勢を見せ、農民や労働者より政治参加の意思と能力は高い。 

  • 中産階級の政治的立場に関する多次元的分析

    2015年  

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    中産階級と民主化との関係は民主化研究の重要課題の一つである。リプセットらは中産階級を媒介変数とし、経済発展が民主化を促進するという有名な仮説を提起した。それに対し、権威主義国家を対象とする多くの実証研究は、中産階級が経済利益を重視する立場から、政治的無関心か権威主義体制との癒着関係を指摘し、リプセット仮説を批判した。本研究は中産階級の政治的意識・立場が多面的であり、また状況によって変化するといった事実に着目し、中産階級と民主化との関係を以下のように論じる。1)中産階級の政治的多様性は多様な価値の存在によるものである。2)経済発展の水準は中産階級の諸価値に対する政治的バランス感覚の変化をもたらす。3)中産階級の成熟度よりも、国の発展状況(安定的な発展、発展の停滞、危機的状況の発生)のほうは中産階級の民主化への支持に大きな影響を与えるが、中産階級の成熟度は民主化のパターン(体制移行のコスト、民主政の質)に決定的な影響を与える

  • 改革期の中国における政治指導者の選抜過程と権威主義体制の適応能力:選抜基準・育成過程・政治人脈・特質

    2013年  

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    1980年代以降、中国政府は若手指導者の選抜・育成をガバナンス向上、一党支配体制の生き残り戦略の一環とし、制度的に取り組んできた。本研究では、中央指導者の選抜・育成に焦点を当て、選抜のプロセスを次のような3つの段階に分け、研究作業を行った。暫定の結論は以下のようなものである。第1段階は、候補者(後備幹部)の選定である。各級政府は政治戦略の一環として候補者の選定を行う。一つのポストに複数の候補者を推薦したうえで選考を行われるために、選考過程は一定の競争性をもたせる。実力者、トップの目に留まるのは、スピード出世を実現し、中央実力者に上り詰める重要条件である。既存の研究では、政治実力者との出会いをパトロン・クライアントの文脈で解釈することが多かったが、本研究は、登用されるまで複雑な選考過程、複数以上の候補者間の競争で勝ち残らなければならないことに着目し、実力者との「出会い」以外に能力重視の点をも強調したい。第2段階は、若手指導者が重要ポストを務めている期間である。それは上層部が若手エリートの政治的立場、能力(バランス、団結力)が試される観察期間でもある。一部の若手指導者は要職を務めた間で、政治的立場や能力不足の問題でレースから脱落した。王兆国の左遷はその例である。他方、胡錦涛や温家宝は試練を乗り越え、最終的に最高指導部入りを果たした。第3の段階は、次期指導者が決定されてから、最高ポストに就任するまでの認知期間=権力基盤の形成期である。民主主義国家では、有権者の支持は権力の合法性、政治的権威を確立する方法である。他方、中国では、選挙というより、現行の執行部、少数の実力者、特に最高指導者が後継者を選考し決定する。そのために、新しい政治指導者、特に最高指導者は選挙とは別の方法で権力基盤を確立しなければならない。特に、最高指導者は軍の掌握が重要である。軍掌握の一環として、トップの候補者は軍事委員会副主席に就任するのが慣例である。

  • 中国・政治社会の変容と「抗議型維権活動」拡大のメカニズム

    2012年  

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    維権運動とは政府や企業による権利の侵害に対する大衆の権利回復闘争である。一九九〇年代半ば前後、維権運動は主として女性、児童、老人や消費者の権利の保護を中心とした。その後、維権運動は次のように拡大してきた。第一に、維権の領域は経済的権利から、教育、生活保障、社会正義などの社会的権利、言論自由や選挙権などの政治的権利へと広がり、参加者は女性、老人、消費者から出稼ぎ労働者(農民工)、lay-off、失業をさせられた元国営企業の労働者、定年退職者、失地農民、立ち退きの住民、マンションなどの所有権者、エイズ患者、直訴者(上訪人員)、民主化活動家へと拡大してきた。次に、人々は主として合法的権益、つまり現行の法体系に定められる権利の保護を中心に求めているが、法改正による権利の拡大を訴える場合もしばしばである。さらに、人々は司法制度の活用や政府機関・メディアへの働きかけを維権の手段として使うほか、デモ、ストライキ、座り込み、請願、集団直訴、集会、交通妨害、暴動などの対抗型手段を頻繁に使っている。政治社会の変容、特に以下の要素は維権運動の拡大につながっている。第一に、国民の自立性、権利意識、参加意識の向上である。市場経済化、グローバル化、情報化、価値の多様化が進み、人々の政治意識が徐々に高まり、下から政府に権利の実現を訴え、国家などの侵害から自らの利益を守ろうとする。第二に、政府の変容である。中国政府は法律、政策の範囲内という条件付きで維権活動の正当性を認め、各級の労働組合、婦人連合会および消費者協会など官製の団体が関連の「維権」活動を支持し、世論が維権行動を高く評価する中で、維権は今や政治意識の覚醒、市民社会の成長および大衆政治参加のシンボルとして徐々に定着し、大きな合法性、正当性を得た。また、抗議型の維権活動に対し、政府は安定重視の立場から事態の鎮静化を図らなければならないが、従来と違って露骨な抑圧的手段をある程度控えざるを得ず、金銭補償によって問題を解決する傾向が強まっている。第三に、ネット社会の出現である。今まで、中国政府は結社の自由や報道の自由を制限し、不満の連携・動員を厳しく制限してきたが、ネット社会が進む中で、インターネットは不完全でありながらも、結社の自由、報道の自由の代替手段としての役割を果たしている。具体的に、新興メディアがいち早く事件を伝え、社会の暗部を暴露し、鋭い政治批判を展開することで、不満を共有化させ、抗議活動の組織や与論の動員を行っている.

  • 中国式民主化の論理と実践 -コーポラティズムの視点を中心に-

    2009年  

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    本研究は文献資料の収集・整理、現地での聞き取り調査を行い、分析を行った結果として、以下のような要旨を中心に中間報告書を取り纏めようとしている。第1に、欧米型民主政は普通選挙、複数政党制、表現の自由、権力のチェック・アンド・バランス、軍隊に対する文民統制および法による支配などを基本制度とするが、「中国式民主政」はあくまでも共産党の政治指導権を前提とし、国民の政治的権利と自由に対して引き続き様々な制限を設けている。他方、社会主義政治体制の維持を前提として、中国共産党は政治改革を行い、国民に対して政治的自由と権利の緩やかな拡大を認め、政策決定は民意の表出、集約、調整をいっそう重視し、政治運営は民主的な手法を取り入れようとしている。第2に、政治協商会議制度、全人代などの人事配置、政策決定過程における民主諸党派、大衆団体、社会団体などの参加からみると、中国の政治体制はコーポラティズム的な要素を強く持っている。中国のコーポラティズムは以下の特徴を有する。①欧米では、公共政策の過程に直接参加する団体は、労働組合と経営者団体であるが、中国では、民主諸党派、工商連合会、全国総工会、全国婦女連合会、青年団、文芸団体および数多くの業界団体はそれぞれ担当の立場から政策の協議に参加する。政策協議の範囲が比較的に広い。②欧米型のコーポラティズムは政治的多元主義の存在を前提とし、社会団体の自主性が高い。中国では、民主諸党派および関連団体などは必ず共産党の指導を受け入れなければなない。欧米型のコーポラティズムは社会コーポラティズムとするならば、中国のコーポラティズムは国家コーポラティズムである。第3に、中国共産党は引き続き政治的指導権を発揮しながら、政治改革の推進によって社会団体などの自主性を拡大し、民意を政治に反映させることである。それは決して欧米型民主政でないが、欧米型民主政の理念、制度、手法を部分的に取り入れることにはなる。したがって、中国共産党が主張している中国式民主政の建設は事実上、国家コーポラティズムの拡大と改善である。ただし、下からの民主化運動も存在している。それが目指しているところは、拡大版の国家コーポラティズムを特徴とする中国式民主政ではく、欧米型民主政である。

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