2024/04/16 更新

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キクチ エイジ
菊地 栄治
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
修士

学歴

  •  
     
     

    東京大学   教育学研究科   教育社会学  

委員歴

  • 2017年10月
    -
    継続中

    日本教育社会学会  理事

  • 2017年10月
    -
    2019年09月

    日本教育社会学会  研究委員会委員長

所属学協会

  •  
     
     

    日本教育経営学会

  •  
     
     

    日本教育社会学会

研究分野

  • 教育社会学

研究キーワード

  • 教育改革、教育社会学、臨床、対話的関係、〈多元的生成モデル〉、他人事≒自分事

 

論文

  • 早稲田大学教員養成システムの未来像 : 卒業生質問紙調査を手がかりに

    菊地 栄治

    早稲田教育評論   30 ( 1 ) 189 - 209  2016年

    CiNii

  • 「質保証」問題と学びの構造転換:―高校教育研究による再構築―

    菊地 栄治

    教育社会学研究   98 ( 0 ) 51 - 70  2016年

     概要を見る

    <p> 本論文では,グローバル化社会における「能力」の社会的定義に焦点を合わせ,「質保証」問題を手がかりにしながら,高校と大学の教育実践と接続関係に与える影響について吟味する。高校教育の多様な実態との齟齬等を中心に,これまでの改革の言説と実践の問題点を批判的に考察する。最後に,具体的な実践事例の知見にもとづきながらもうひとつの改革モデルを提案する。一連の考察によって得られた知見は,以下の通りである。<BR> 第一に,「質保証」問題は,低成長時代に特有の功利主義に影響されながら語られている。大学での「教養」の解体とともに経済ニーズが直接に教育のありように影響し始めている。<BR> 第二に,「学士力」の定義は,有用性と広範さを特徴としており,実体論的な定義と線型的な自己成長が含意される点で旧来の理論の域を出ていない。<BR> 第三に,新接続テスト(=二種類の共通テスト)が政策提案されているものの,矛盾と齟齬を抱えている。かつ,多様化した高校の実態とは大きく乖離した内容にとどまっている。<BR> 第四に,実際の高校教育の実態は,学力と規律の点で向上しているが,職務多忙化の中で生徒・教師間の関係性の深さは浅くなってきており,教師の自律性も減衰している。<BR> 最後に,主に大阪の高校の事例研究をふまえて,〈一元的操作モデル〉から〈多元的生成モデル〉へと学びの構造転換を図ることの重要性が浮き彫りになる。</p>

    DOI CiNii

  • 「教育の主体論再考-『揺らぐ主体/問われる社会』を読む-」

    教育と文化   ( 75 )  2014年04月

  • 「高校教育改革再考-時代と向き合うためのささやかな座標軸-」

    菊地栄治

    教育と文化   ( 71 ) 22 - 36  2013年04月

    CiNii

  • 「目指す教師の専門的力量に関する問題―教職大学院経営と教育経営研究―」

    菊地栄治

    『日本教育経営学会紀要』   第51号  2009年06月

  • 「教師の豊かな学びを問い直す−新自由主義の教育改革の行方−」

    菊地栄治

    『教育展望』財団法人教育調査研究所   51 ( 1 ) 36 - 43  2005年01月

  • モラトリアム青年肯定論 現代青年の新たな像を求めて 学校とモラトリアム青年 〈ゆらぎ〉としてのモラトリアム現象-教育社会を問い直すために

    菊地栄治

    現代のエスプリ   ( 460 ) 111 - 119  2005年

    J-GLOBAL

  • 「地域運営学校(コミュニティ・スクール)はどのように語られてきたのか」

    菊地栄治

    市川昭午編『教育改革の論争点』教育開発研究所     44 - 45  2004年08月

  • 「フリースクールから何を学ぶことができるか」

    菊地栄治

    市川昭午編『教育改革の論争点』教育開発研究所     58 - 59  2004年08月

  • 「論点2 特色ある高校づくり−持続可能なホンモノの改革を目指す−」

    菊地栄治

    『教員養成セミナー4月号別冊 教育改革04年』時事通信社     7 - 10  2004年04月

  • 『ホリスティックな教育改革の実践と構造に関する総合的研究』

    菊地栄治

    科学研究費研究成果報告書     1 - 410  2004年03月

  • 『公共性をはぐくむオルタナティブ教育の存立基盤に関する総合的研究』

    菊地栄治

    国立教育政策研究所    2004年03月

  • 「『学校評価』を問い直す−学校文化を深く耕すために−」

    菊地栄治

    『教育展望』財団法人教育調査研究所   50 ( 2 ) 32 - 39  2004年03月

  • 「成熟した高校教育への道−『一人前の大人』として共に育つために−」

    菊地栄治

    『高校教育年鑑2003-2004』学事出版     5 - 12  2003年11月

  • 「困難な時代の中等教育を捉え直す」

    菊地栄治

    『日本教育』社団法人日本教育会   ( 318 ) 6 - 9  2003年11月

  • 「中高一貫教育校の成果と課題」

    菊地栄治

    『学校経営』第一法規   48 ( 10 ) 23 - 28  2003年09月

  • 「教育改革の現在とコミュニティ・スクールの未来像」

    菊地栄治

    『教職研修』教育開発研究所   ( 372 ) 126 - 129  2003年08月

  • 「ほんものの教育改革のための一歩を踏み出す」

    菊地栄治

    子どものしあわせ』草土文化   ( 625 ) 32 - 37  2003年03月

  • 「語られる教育改革の果てに」

    菊地栄治

    『子どものしあわせ』草土文化   ( 624 ) 27 - 33  2003年02月

  • 「教育改革の〈公共性〉と公教育の未来像−中学校教師たちの声を聴く−」

    菊地栄治

    『教育展望』財団法人教育調査研究所   49 ( 1 ) 22 - 29  2003年02月

  • 「〈まなざしの転換〉を切望する−岐路に立つ不登校対策と学校づくり−」

    菊地栄治

    『悠』ぎょうせい   19 ( 11 ) 88 - 89  2002年11月

  • 「公私格差−捉え直すべき教育における〈公共性〉−」

    菊地栄治

    『教員養成セミナー』時事通信社   25 ( 1 ) 150 - 151  2002年09月

  • 「学級崩壊−『学級崩壊』の実態と構造−」

    菊地栄治

    『教員養成セミナー』時事通信社   25 ( 1 ) 182 - 183  2002年09月

  • 「現代若者文化を読み解く−『聴く』ことの回復をめざして−」

    菊地栄治

    『郵政』   54 ( 2 ) 28 - 31  2002年02月

    CiNii

  • 「学級崩壊の実状をさぐる」

    菊地栄治

    『小5教育技術』小学館   55 ( 13 ) 67 - 73  2002年02月

  • 「『学級崩壊』からの回復をもたらす『場』の力として−小学校教育の再構築のために−」

    菊地栄治

    『教職課程』第28巻   28 ( 2 ) 32 - 35  2002年02月

  • 「もうひとつの公共圏のために−学習塾の未来像?−」

    菊地栄治

    『塾ジャーナル』   8 ( 3 ) 25 - 27  2002年01月

  • 「『新教育課程』時代の教師像−知の再構築のために−」

    菊地栄治

    『教育展望』財団法人教育調査研究所   48 ( 1 ) 44 - 51  2002年01月

    CiNii

  • 「『不登校問題』からオルタナティブな教育へ−『追跡調査報告書』を手がかりとして−」

    菊地栄治

    『月刊生徒指導』学事出版   31 ( 15 ) 25 - 28  2001年12月

    CiNii

  • 「オルタナティブな学び舎の社会学−教育の〈公共性〉を再考する−」

    菊地栄治

    『教育社会学研究』   68   65 - 84  2001年05月

     概要を見る

    One of the outstanding phenomena of Japanese education in the last few decades has been the increasing number of children with a psychological hatred toward attending school. These "school-refusers" have rapidly increased in number, coming to exceed 130,000 in the 1990s. In order to resolve this newly emerging problem, the government has implemented a number of educational reforms at various levels. However these efforts based on "operationalism" have not brought the problem settled. The present authors believe that it will be impossible to find a solution without regarding the phenomena not as a burden to the existing systems of our society, but rather as a mirror image of modern society. Therefore, our attention should be directed not to discovering the causes of "school-refusing" and to shifting the responsibility onto their mental defects, but to creating "public spheres" in pluralistic educational systems. This paper, which focuses upon various forms of alternative learning for "school-refusers" in Japan, endeavors to depict the whole picture of Japanese alternative education. First, it begins by reviewing the strengths and weaknesses of some thoughts on "publicness" by several thinkers such as H.Arendt, J.Habermas, N.Fraser, R.Sennett. Second, the authors attempt to give a picture of the present situation of alternative education in Japan with quantitative and qualitative analysis from the findings of a questionnaire survey conducted in 1999. Third, in order to take an objective view of the existing educational system, the paper describes some trends in alternative education and supporting systems in countries as the United States, Denmark, Republic of Korea and Thailand. It is indispensable to examine these actual movements in and outside the country and search for possibilities for creating our own "public spheres." In conclusion, the paper attempts to discuss some portions of the "message" we receive from these alternative practices and finally the authors stress the importance of taking a self-reflective attitude towards the creation of "public spheres."

    CiNii

  • 「ホリスティックな高校教育改革の試み−〈闇〉と〈深さ〉のイニシエーション−」

    菊地栄治

    『ホリスティック教育研究』   4 ( 4 ) 23 - 33  2001年03月

    CiNii

  • 「教員評価の現代的課題−より豊かな教育社会のために−」

    菊地栄治

    『教育展望』財団法人教育調査研究所   47 ( 1 ) 44 - 51  2001年01月

    CiNii

  • 「教育−だれのための改革なのか−」

    菊地栄治

    『imidas 2001』集英社     540 - 541  2001年01月

  • 「この課題をどう考える⑤−奉仕活動−」

    菊地栄治

    『総合教育技術』小学館   55 ( 14 ) 40 - 42  2001年01月

  • 「『学級崩壊』調査から浮かぶ危機対応へのヒント」

    菊地栄治

    『週刊教育資料』日本教育新聞社   ( 672 ) 11 - 13  2000年06月

  • 「『学級崩壊』からの回復事例に学ぶ]

    菊地栄治

    『週刊教育資料』 日本教育新聞社   ( 669 ) 9  2000年06月

  • 「『移行措置』を生かす高校づくり」

    菊地栄治

    『高校教育展望』小学館   25 ( 1 ) 16 - 19  2000年04月

  • 「教員の資質向上と教員養成課程・免許更新制の見直し」

    菊地栄治

    『教職研修』    2000年01月

  • オルタナティブ教育の社会学 多様性から生まれる<公共性>

    菊地栄治, 永田佳之

    臨床心理学研究   38 ( 2 ) 40 - 63  2000年

    J-GLOBAL

  • 「高校教育改革と教養の行方」

    菊地栄治

    『教育学研究』   66 ( 4 ) 427 - 435  1999年12月

  • 「福祉教育の実践課題−根っこを創るために−」

    菊地栄治

    『教育展望』財団法人教育調査研究所   45 ( 8 ) 40 - 49  1999年09月

    CiNii

  • 「縮小期の高校教育−『改革』の深さを求めて−」

    菊地栄治

    『高校教育年鑑1999-2000』(『月高校教育』1999年8月増刊)学事出版     10 - 16  1999年08月

  • 「ホリスティック教育の理論と実践第3回 『モモ』からの贈り物」

    菊地栄治

    『感性・心の教育』明治図書   ( 3 ) 86 - 89  1999年08月

  • 「高校入試の改善をどう図るか」

    菊地栄治

    『学校経営』第一法規     32 - 39  1999年07月

  • 「がまんしなくていい時代の子どもたち−社会環境から」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     36 - 40  1999年07月

  • 「ホリスティック教育の理論と実践第2回 不登校現象から何を学ぶか」

    菊地栄治

    『感性・心の教育』明治図書   ( 2 ) 88 - 89  1999年05月

  • 「『福祉についての課題に取り組む』−その考え方と進め方」

    菊地栄治

    山極 隆編『「総合的な学習の時間」で基礎的素養を育む』教育開発研究所     254 - 257  1999年05月

  • 「中高一貫教育のあり方をどう考えるか」

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版     34 - 37  1999年03月

  • 「ホリスティック教育の理論と実践第1回 なぜいま『ホリスティックな教育』なのか」

    菊地栄治

    『感性・心の教育』明治図書   ( 1 ) 92 - 93  1999年02月

  • High School Education Reform and the Future of Culture

    菊地 栄治

    教育学研究   66 ( 4 ) 427 - 435  1999年

     概要を見る

    本稿は、(1)高校教育論の中で「教養」なるものがどのように語られ、どのような基本構造を記してきたのか、(2)戦後の高校教育改革は「教養」の解体と再構築にどのような影響を及ぼしてきたのか、(3)現代的状況の中で私たちは<教養>なるものをどのように捉え返していけばよいのか、といった点についての若干の検討を加えることを目的としている。当初の身分的教養は「市民的教養」ではあり得ず、不平等を社会的・文化的に再生産するものでしかなかった。戦後間もない頃、政治的・職業的な内容を含む比較的バランスのとれた「教養」が構想された。しかし、「教養」そのものを実体として語る様式が支配的だったことから、やがて「基礎学力」や「個性」へと矮小化されていく。経済の論理と教育闘志の理論は能力主義的なイデオロギーを伴って、「教養」を個人化していく。高校教育の量的拡大と階層構造の深化にしたがい、都道府県・学校のレベルでも「教養」はますます微細な学力の差異へと変換される。高校教育改革を支配する「欠乏の教育言説」の根底には、<近代的世界観>がる。こうした語りの構造は、トラッキングという装置と共謀しながら、「教養」の断片化を構造的に生成していく。最新の高校教育改革の企ても、この動きに歯止めをかけることはできなかった。こうして、高校生の<関係>のありようは<生>の全体性とは食い違う特徴を帯びるに至っている。私たちは、「教養」の実体論と訣別し、現代社会の織りなすさまざまな環境との<関係>を一人ひとりが再構築する方向で<教養>を捉え直していかなければならない。ここでは、以下の5点を試論的に強調した。 (1) <知>と<生>の全体性を一人ひとりが重視すること(2) 開かれた<教養>のための自己省察を試みること(3) コーディネーターとしての教師という視点で職務と組織の再検討を行うこと(4) 対立と論争ではなく対話とコミュニケーションから<関係>を確立すること(5) (政治的な課題を含めて)外部社会との相互的な<関係>を確立することカオスの時代を生きる中で、私たちは高校教育においていかなる<教養>を構築できるか重要な転換点にさしかかっている。

    DOI CiNii

  • ホリスティックな視点から(シンポジウム : これからの教師に求められる資質能力を考える)

    菊地 栄治

    日本教育経営学会紀要   41   50 - 51  1999年

    DOI CiNii

  • 「スピリチュアリティの教育」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     57  1998年12月

  • 「福祉教育」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     75  1998年11月

  • 「これからの教師に求められる資質能力を考える−ホリスティックな視点から−」

    菊地栄治

    『学校経営』第一法規   43 ( 13 ) 97 - 103  1998年11月

  • 「規制緩和」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     64  1998年10月

  • 「ボランティア」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     59  1998年09月

  • 「ネットワーキング」

    菊地栄治

    『児童心理』8月号、金子書房     51  1998年08月

  • 「ホリスティックな高校づくりを展望する」

    菊地栄治

    月刊高校教育編集部編『これまでの高校、 これからの高校』学事出版     183 - 187  1998年07月

  • 「ホリスティックな高校づくりを展望する」

    菊地栄治

    月刊高校教育編集部編『これまでの高校、 これからの高校』学事出版     146 - 149  1998年07月

  • 「トラッキング」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     58  1998年07月

  • 「ジェンダー」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     62  1998年06月

  • 「隠れたカリキュラム」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     76  1998年05月

  • 「中高一貫校の言説と実践−教育経営研究の行方−」

    菊地栄治

    『日本教育経営学会紀要』   40   28 - 37  1998年05月

     概要を見る

    At present, a dispute is carried out from various positions centering around the introduction of 6 years secondary schools. The purpose of this paper is to examine the following two themes. First of all, a qualitative analysis is tried to describe the content and form of some discourses. The initial intension for 'tentative attempt' is turned into more realistic strategy, which is regarded to be indsipensable for survival of school organizations. It is so difficult to find persuasive grounds for the institutionalization of 6 years secondary school. The well-balanced attitudes cannot be maintained in the dispute and disappears through the dynamics of 'educational market'. In the latter half of this paper, the empirical data are analysed to explore the reality of practices in 6 years secondary schools. For instance, advanced learning for entrance examination is likely to be adopted in the schools, and a large number of the private schools hold to the system of 6 days schooling. The hierarchical structure among schools influences upon the functioning of 6 year secondary schools. A study of educational administration is required to refine more ecological approaches in order to brush up more 'radical' social philosophy. In a sense, we stand at a turning point like other social sciences.

    DOI CiNii

  • 「私事化」

    菊地栄治

    」『児童心理』金子書房     72  1998年04月

  • 「高校教育改革のマクロな構造を読む」

    菊地栄治

    『学校経営研究』大塚学校経営研究会   23 ( 23 ) 58 - 63  1998年04月

    CiNii

  • 「スクール・ソーシャルワーク」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     102  1998年03月

  • 「『新しいタイプの高校』再考−J高校の事例−」

    菊地栄治

    『IDE 現代の高等教育』民主教育協会   ( 395 ) 19 - 24  1998年03月

    CiNii

  • 「変化する社会と教師の自己教育力」

    菊地栄治

    『初等教育資料』東洋館出版社   ( 681 ) 14 - 19  1998年02月

    CiNii

  • 「学校化社会」2月号

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房     48  1998年02月

  • 「ホリスティックな教育」

    菊地栄治

    『児童心理』金子書房   52 ( 1 ) 80 - 80  1998年01月

    CiNii

  • 「社会の諸問題についての児童・生徒の認識を高めるにはどのような配慮が必要か」

    菊地栄治

    奥田真丈監修、宮川八岐編『体験・ボランティア活動の考え方・進め方』教育開発研究所     74 - 75  1997年12月

  • 「高等学校教育の多様化」

    菊地栄治

    下村哲夫編『学校と規制緩和読本』教育開発研究所     186 - 191  1997年03月

  • 「『教師文化』」

    菊地栄治

    牧 昌見編『教職「大変な時代」』教育開発研究所     246 - 252  1997年02月

  • 「高校教育改革の『最前線』」耳塚寛明・樋田大二郎編著『多様化と個性化の潮流をさ ぐる−高校教育改革の比較教育社会学−』

    菊地栄治

    (月刊高校教育増刊号)学事出版     28 - 44  1996年11月

  • 「不登校現象の読み方/読まれ方」

    菊地栄治

    『武蔵野女子大学教職課程年報』   3   26 - 31  1996年07月

  • 「能力主義か平等主義か」

    菊地栄治

    新井郁男編『学校の役割転換』教育開発研究所     12 - 15  1996年05月

  • 「総合学科のフィールド・スタディ」

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版   29   113 - 121  1996年05月

  • 「〈ゆらぎ〉としての単位制高校」

    菊地栄治

    『国立教育研究所研究集録』   32   17 - 29  1996年03月

    CiNii

  • 「高校教育改革の現代的課題」

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版   29 ( 1 ) 134 - 141  1996年01月

  • 「高校教育改革の実像と課題」

    菊地栄治

    『教員養成セミナー』時事通信社   18 ( 3 ) 26 - 28  1995年11月

  • 「はじまりとしての不登校現象−フリースペースの試み−」

    菊地栄治

    『社会教育』全日本社会教育連合会   50 ( 11 ) 20 - 22  1995年11月

    CiNii

  • 「教師専門職論の功罪から何を学びとることができるか」

    菊地栄治

    菱村幸彦監修、佐藤 全編『変化の時代の教師像−新しい指導力と研修−』教育開発研究所     162 - 165  1995年10月

  • 「高校教育改革の潮流を探る」

    菊地栄治

    『高校教育展望』小学館   20 ( 3 ) 8 - 11  1995年08月

  • 「教師のモラールの高揚」

    菊地栄治

    牧 昌見編『学校改善の課題』第一法規     72 - 79  1995年08月

  • 「『総合学科』の初期評価」46-49頁

    菊地栄治

    『教育と情報』第一法規   ( 449 ) 46 - 49  1995年08月

  • 「高校教育改革はどこまで進展するか」

    菊地栄治

    菱村幸彦編『変化の時代の学校像−生涯学習 社会への移行−』教育開発研究所     72 - 75  1995年05月

  • 「『若者文化論』再考−脱近代の視点−」

    菊地栄治

    『国立教育研究所研究集録』   30   51 - 58  1995年03月

  • 「高校教育改革の『最前線』」

    菊地栄治

    『月刊ホームルーム』学事出版     72 - 84  1995年01月

  • 「単位制高校にはいかなる可能性があるか」

    菊地栄治

    菱村幸彦監修、佐藤三郎編『学習指導・評 価の論争点』教育開発研究所     126 - 127  1994年12月

  • 「教師のモラールの高揚」

    菊地栄治

    『学校経営』第一法規   39 ( 11 ) 43 - 49  1994年10月

  • 「教育経営における組織文化とは何か」

    菊地栄治

    菱村幸彦監修、牧昌見・小松郁夫編『教育経営の論争点』教育開発研究所     14 - 15  1994年04月

  • 「学校の公式組織と非公式組織の関係はどうあるのがのぞましいか」

    菊地栄治

    菱村幸彦監修、牧 昌見・小松郁夫編『教育経営の論争点』教育開発研究所     30 - 31  1994年04月

  • 「〈職業高校〉の制度化/正当化過程に関する一考察−農業高校の事例−」

    菊地栄治

    『国立教育研究所研究集録』   28   19 - 31  1994年03月

    CiNii

  • 「『差異化』する高校教育−近未来のシナリオ−」

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版     108 - 116  1994年01月

  • 「学校の組織風土と研修への影響」

    菊地栄治

    『学校経営』第一法規   32 ( 12 ) 44 - 52  1993年11月

  • 「総合選択制高校と生徒文化の変容」

    菊地栄治

    『教育と情報』第一法規   ( 426 ) 20 - 25  1993年09月

  • 「初任者の力量形成と勤務校の組織風土−『教科指導』研修を中心に−」

    菊地栄治

    『日本教育経営学会紀要』   35   56 - 68  1993年06月

     概要を見る

    The purpose of this paper is to clarify the influences of the organizational climates of the schools on the effectiveness of training for beginning teachers, especially focused on the 'subject-teaching' training. And we take account of the individuality of beginning teachers (e. g. personality traits, adaptation to teaching, attitudes for learning). By analyzing quantitative data collected by the questionnaire survey (N=1,061), conducted for elementary and junior high school teachers, some findings are indicated as follows: (1) The quality of training effectiveness evaluation by beginning teachers partly depends on some aspects of the organizational climates of their schools (i. e. the cooperative climate, the existence of the relationships of instructive interaction among teachers). (2) 'Self-confidence of subject-teaching' is not necessarily influenced by the organizational climates. But as to junior high school beginning teachers, the association is more significant, in particular with the coherence of teachers group. (3) The individual traits of beginning teachers associate with the 'self-confidence of subject-teaching'. This study suggests the limits and possibilities of the organizational climates of schools. Further theoretical and empirical examinations are expected, including some relevant variables.

    DOI CiNii

  • 「高校教育改革の成果と展望−先導的事例からの示唆−」

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版     90 - 99  1993年05月

  • 「ジェンダー文化の変容と両義性−異性観・結婚観を中心に−」

    菊地栄治

    『東京大学教育学部紀要』   32   141 - 143  1993年03月

  • 「〈女性内分化〉のダイナミクス−社会化機関としての家庭・学校−」

    菊地栄治

    『東京大学教育学部紀要』   32   122 - 125  1993年03月

  • 「改革の実現可能性・イデオロギー性を読む(特集:動き出した高校教育改革)」

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版     63 - 66  1992年10月

  • 「初任者研修の現状と課題−調査結果の概要−」

    菊地栄治

    『教育と情報』第一法規   ( 411 ) 40 - 43  1992年06月

  • 「高等学校における不本意就学の発生メカニズム」

    菊地栄治

    『日本教育経営学会紀要』   32   67 - 81  1990年06月

     概要を見る

    The purpose of this paper is to examine the generating processes of invol-untary attendance in Japanese senior high schools, where there are many serious problems in proportion to the "universalization". First of all, it is suggested that we should clarify the definition of "involuntary attendance", especially concerning its variability. Reviewing some previous literatures, two kinds of variables are pointed out as related factors (ie. "structural factors" and "process factors"). They are supposed to affect the generation of involuntary attendance in complicated way. Secondly, an empirical study is conducted according to the preceding theoretical framework. Through the statistical analysis of quantitative data on high school students (N=853), some findings are indicated as follows: (1) Involuntary attendance isn't inevitable phenomenon at all. (2) Indeed "stuructural factors" (in particular "involuntary entrance") are important ones in some degree, but "process factors" can function as the "improving factors". (3) Occupational relevance of formal curriculum can enhance the proportion of voluntary students, though a wish to get occupational qualifications isn't substantial. (4) Adaptaion to significant others in the classroom (eg. teachers ) can be a match for "structural factors" in the strength of partial correlation. (5) A possibility of organizational activities is exemplified. Finally, the political implications of this study are summarized and the conflicting relations between "conservatism" and "radicalism" are noted. It is necessary to analyze the social functions of Japanese senior high schools by scientific methods. It is also the essential task to the advancement of "involuntary attendance research"

    DOI CiNii

  • 不本意就学の発生メカニズムを考える

    菊地栄治

    『月刊高校教育』学事出版     42 - 50  1990年03月

  • 「岐路に立つ職業高校」

    菊地栄治

    『青少年問題』財団法人青少年問題研究会   37 ( 3 ) 14 - 23  1990年03月

    CiNii

  • 「高等学校における習熟度別学級編成の背景と効果−社会学的パースペクティブから −」

    菊地栄治

    『日本教育経営学会紀要』   30   75 - 90  1988年06月

     概要を見る

    Since the end of the 1970s, ability grouping (Syujukudobetsu-gakkyuhensei) has been increasingly prevalent in Japanese senior high schools. The purpose of this paper is to examine the causes and consequences of ability grouping from sociological viewpoints. Both theoretical and empirical considerations are under-taken. Firstly, reviewing existing studies, the causal relations among some relevant variables are clarified. And also the processes through which ability grouping is formed are explored. They are lack in an attempt to synthesize such two perspectives in a systematic way. In the latter half of this article, we try to overcome the weakness of ability grouping studies. Two kinds of school surveys lead some remarkable findings as follows: (1) Ability-range of student body cannot explain the prevalence of ability grouping practices. (2) Ability grouping is comprised of two major subcategories (ie. banding vs setting), and each has different background. (3) On the whole, banding is more popular in "second-best" schools, which are oriented to improve the academic excellence. (4) But the expectation for banding is not fulfilled at least in the first grade. (5) Rather, banding functions as a "sorting device" which differentiate students' educational expectations. These findings need to be verified and modified through more intensive ethnographic studies.

    DOI CiNii

  • 「習熟度別学級編成の社会学−社会的構成過程序説−」

    菊地栄治

    『東京大学教育学部紀要』   27   239 - 249  1987年02月

  • 「中等教育における『トラッキング』と生徒の分化過程−理論的検討と事例研究の展開−」

    菊地栄治

    『教育社会学研究』   41   136 - 150  1986年10月

     概要を見る

    Some complicated factors are causing many Japan's high schools to homogenize classroom composition. Under the circumstances, tracking is regarded as one of the most useful concepts. Having widened its range of application, tracking remains to be used as a "metaphor". Thus, this paper has three interrelated matters as follows. First of all, the conceptual refinement of "tracking" and "differentiation" leads us to redefine the former as a sub-category of the latter. Then, many kinds of tracking can be understood in light of some "anatomical" features, which are comprised of criteria of selection, locus of decision-making, scope, visibility, and so forth. Secondly, the intervening processes are examined. Tracking is followed by two different processes before and after track placement. Each of them is summarized as anticipatory socialization and sequences of some tracks, and as differential distribution of three major "resources" ......instruction, peers, and label (expectation). Finally, what we call "grass-roots" research is conducted. Using intensive data from two high schools, we examine the differentiation processes of educational expectations. Our findings suggest that institutionalized internal tracking per se (eg. "banding" in "A" High School) can be operated as a "sorting machine", and that such a function is fulfilled mainly through the differential distribution of various "resources", although not automatically caused. Hereafter, an attempt to grasp the dynamics of tracking-construction could help us to have a proper understanding of such a practice.

    CiNii

  • 「高等学校における学習習熟度別学級編成に関する研究」

    菊地栄治

    『東京大学教育学部紀要』   26 ( 26 ) 27 - 58  1986年02月

    CiNii

  • 「高校における進路指導の調査と分析」

    菊地栄治

    『高等教育研究紀要』   5   33 - 73  1985年11月

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書籍等出版物

  • 他人事≒自分事 : 教育と社会の根本課題を読み解く

    菊地, 栄治( 担当: 単著)

    東信堂  2020年03月 ISBN: 9784798916316

  • 希望をつむぐ高校 : 生徒の現実と向き合う学校改革

    菊地, 栄治

    岩波書店  2012年03月 ISBN: 9784000225939

  • 『新たな学びの構築へ-コロナ危機から構想する学校教育-』

    ( 担当: 共著,  担当範囲: 「ポストコロナを問い直す-ケア/「他人事≒自分事」/ゆたかな学び-」)

    アドバンテージサーバー教育文化総合研究所編  2021年05月

  • 「縮小期」後期の高校教育改革を問い直す-〈多元的生成モデル〉の可能性-

    ( 担当: 単著)

    2021年03月

  • 3.11を心に刻んで

    岩波書店編集部( 担当: 分担執筆)

    岩波書店  2021年03月 ISBN: 9784002710426

  • 人間教育をめざしたカリキュラム創造 : 「ひと」を教え育てる教育をつくる

    古川, 治, 矢野, 裕俊( 担当: 分担執筆)

    ミネルヴァ書房  2020年12月 ISBN: 9784623088447

  • 能力2040 : AI時代に人間する

    池田, 賢市, 市野川, 容孝, 伊藤, 書佳, 菊地, 栄治, 工藤, 律子, 松嶋, 健

    太田出版  2020年05月 ISBN: 9784778316945

  • 戦後の教育実践、「今」へ伝えるメッセージ

    「戦後教育実践セミナー」編集委員会, 早稲田大学教師教育研究所( 担当: 分担執筆)

    学文社  2020年03月 ISBN: 9784762029097

  • 「片隅の世界」からつむがれる教育と研究

    早稲田大学教育総合研究所, 伊勢真一, 菊地栄治, 平野智之, 松嶋健( 担当: 分担執筆)

    学文社  2020年03月 ISBN: 9784762029943

  • 変容する世界と日本のオルタナティブ教育 : 生を優先する多様性の方へ

    永田, 佳之( 担当: 分担執筆)

    世織書房  2019年12月 ISBN: 9784866860091

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    ( 担当: 編集)

    2019年03月

  • 『主権者はつくられる』

    ( 担当: 共著,  担当範囲: 「『政治的中立性問題』を問い直す」)

    アドバンテージサーバー  2018年07月

  • 『教育経営における研究と実践』(講座現代の教育経営4)

    日本教育経営学会編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「学校制度の〈ゆらぎ〉と教育経営研究」)

    学文社  2018年06月

  • 『教育経営ハンドブック』(講座 現代の教育経営5)

    日本教育経営学会編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「高校教育改革」)

    学文社  2018年06月

  • 教育社会学事典

    日本教育社会学会( 担当: 共編者(共編著者))

    丸善出版  2018年01月 ISBN: 9784621302330

  • 学校のポリティクス

    小玉, 重夫, 藤田, 英典, 青木, 栄一, 大桃, 敏行, 志水, 宏吉, 小国, 喜弘, 菊地, 栄治, 小山, 静子, 木村, 涼子, 村上, 祐介, 広瀬, 裕子, 苅谷, 剛彦

    岩波書店  2016年11月 ISBN: 9784000113960

  • 「若年市民層」の教育エンパワメントの実践構造と促進方策に関する臨床的研究

    菊地, 栄治( 担当: 編集)

    [菊地栄治]  2015年03月

  • 「負の連鎖を断つ―高校における教育エンパワメントの試み―」

    菊地栄治( 担当: 分担執筆)

    学文社  2015年03月

  • 『持続する学び 持続する社会-学制改革論議に対抗する教育像-』

    国民教育文化総合研究所, 持続する学び研究委員会( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「学びの在り方を求めて」「中高の接続を考える-中高一貫教育(校)の課題と可能性-」)

    国民教育文化総合研究所  2014年11月

  • 『社会調査事典』

    ( 担当範囲: 「社会における教育-ボランティア, NPO, オルタナティブ・スクール-」)

    丸善出版  2014年01月

  • 『いじめによる子どもの自死をなくしたい』

    近藤庄一, 安達昇編著( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「難題と向き合うもうひとつの学級づくり-子どもの現実と『学級崩壊』現象の分析を重ね合わせて-」)

    学文社  2011年06月

  • 「「後期子ども」の教育エンパワメントの実践と構造に関する総合的研究」

    菊地栄治編

    2011年03月

  • 『最新教育原理』

    安彦忠彦, 石堂常世編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「社会の変動と教育」)

    勁草書房  2010年10月

  • 世界から見た日本の教育

    MacDonald, Laurence, 菊地, 栄治, 山田, 浩之, 橋本, 鉱市, 廣田, 照幸

    日本図書センター  2009年09月 ISBN: 9784284302647

  • 〈公共圏〉を生成する教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    菊地栄治( 担当: 編集)

    2008年03月

  • 「高校教育の実践と構造に関する全国調査報告書」

    菊地栄治( 担当: 編集)

    2006年03月

  • 「持続可能な教育社会をつくる―環境・開発・スピリチュアリティ―」

    吉田敦彦, 永田佳之, 菊地栄治編

    せせらぎ出版  2006年03月

  • 『モラトリアム青年肯定論』(現代のエスプリ460号)

    ( 担当範囲: 「〈ゆらぎ〉としてのモラトリアム現象-教育社会を問い直すために-」)

    至文堂  2005年08月

  • 『学力の総合的研究』

    高浦勝義編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「高校の『総合的な学習の時間』の輪郭-『学力低下』論争のはざまで-」)

    黎明書房  2005年03月

  • 『教育改革の論争点』

    市川昭午編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「フリースクールから何を学ぶことができるか」「地域運営学校(コミュニティ・スクール)はどのように語られてきたのか」)

    教育開発研究所  2004年03月

  • ホリスティックな教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    菊地, 栄治

    [菊地栄治]  2003年

  • るるくで行こう! : 新たな学びのスタイルで性と生を考える : ピア・エデュケーション

    横田, 恵子, 平野, 智之, 菊地, 栄治

    学事出版  2003年01月 ISBN: 4761908564

  • 「ホリスティックな教育改革の実践と構造に関する総合的研究」

    研究代表者, 菊地栄治

    [菊地栄治]  2003年

  • 『るるくで行こう!−新たな学びのスタイル(ピア・エデュケーション)で性と生を考える−』

    菊地栄治

    学事出版  2003年01月

  • 『教育学年報9 大学改革』

    藤田英典他編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「『オルタナティブ教育』研究についての覚え書き-2002年国際セミナーとの重ね合せから-」)

    世織書房  2002年09月

  • 「『オルタナティブ教育』研究についての覚え書き−2002年国際セミナーとの重ね合せから−」

    菊地栄治

    藤田英典他編『教育学年報9 大学改革』世織書房  2002年09月

  • 不登校現象の現代的構造と実践的対応に関する総合的研究

    菊地, 栄治

    [菊地栄治]  2002年03月

  • 「不登校現象の現代的構造と実践的対応に関する総合的研究」

    研究代表者, 菊地栄治

    [菊地栄治]  2002年

  • 福祉教育・ボランティア学習の構造と実践に関する総合的研究

    菊地, 栄治

    菊地栄治(国立教育政策研究所)  2001年03月

  • 「福祉教育・ボランティア学習の構造と実践に関する総合的研究」

    研究代表者, 菊地栄治

    菊地栄治(国立教育政策研究所)  2001年

  • 進化する高校 深化する学び : 総合的 (ホリスティック) な知をはぐくむ松高の実践

    菊地栄治( 担当: 編集)

    学事出版  2000年10月 ISBN: 4761907193

  • 『進化する高校 深化する学び−総合的な知をはぐくむ松高の実践−』

    菊地栄治

    学事出版  2000年10月

  • 「脱年齢主義の行方と展望−教育と労働の〈ゆらぎ〉を読む−」

    菊地栄治

    新井郁男編『「効率」学校の超克−教育社会から学習社会への転換をデザインする−』東洋館出版社  2000年07月

  • 「高等学校移行措置の解説」

    菊地栄治

    『新学習指導要領 移行措置の解説』時事通信社  1999年12月

  • 「『教育と選抜』再考−〈関係〉の再構築のために−」

    菊地栄治

    新井郁男編『学習社会としての学校−「教育する学校」を超えて−』教育出版  1999年08月

  • 『福祉社会事典』

    庄司洋子他編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「カルチャーセンター」「コミュニティ・カレッジ」「総合学科」「偏差値」)

    弘文堂、1999年5月  1999年05月

  • 『「総合的な学習の時間」で基礎的素養を育む』

    山極隆編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「『福祉についての課題に取り組む』-その考え方と進め方」)

    教育開発研究所  1999年05月

  • 「教育の多様化と個性化−中等教育のカリキュラム−」

    菊地栄治

    佐伯 胖ほか編『岩波講座 現代の教育9 教育の政治経済学』岩波書店  1998年12月

  • 『これまでの高校、これからの高校』

    月刊高校教育編集部編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「ホリスティックな高校づくりを展望する」)

    学事出版  1998年07月

  • 『体験・ボランティア活動の考え方・進め方』

    奥田真丈監修, 宮川八岐編( 担当範囲: 「社会の諸問題についての児童・生徒の認識を高めるにはどのような配慮が必要か」)

    教育開発研究所  1997年12月

  • 「高校におけるホリスティックな学校づくり−違いを活かす開放系の試み−」

    菊地栄治

    高橋史朗編『ホリスティックな学校づくり』明治図書  1997年10月

  • 『学校と規制緩和読本』

    下村哲夫編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「高等学校教育の多様化」)

    教育開発研究所  1997年03月

  • 『教職「大変な時代」』

    牧昌見編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「『教師文化』」)

    教育開発研究所  1997年02月

  • 高校教育改革の総合的研究

    菊地, 栄治, 小川, 洋, 横尾, 浩一, 柏浦, 勝良, 坂野, 慎二, 佐野, 享子, 高浦, 勝義, 樋田, 大二郎, 屋敷, 和佳, 加藤, 幸次, 永田, 佳之

    多賀出版  1997年02月 ISBN: 4811544919

  • 「高校教育改革の総合的研究」

    菊地栄治編著

    多賀出版  1997年

  • 「ホリスティックな教育とポストモダン」

    菊地栄治

    『ホリスティック医学と教育−いのちを包括的に観る』(現代のエスプリ355号)至文堂  1997年01月

  • 『多様化と個性化の潮流をさぐる-高校教育改革の比較教育社会学-』

    耳塚寛明, 樋田大二郎編著( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「高校教育改革の『最前線』」)

    学事出版  1996年12月

  • 「現代日本における教員評価の虚像と実像−先行研究の再検討−」

    菊地栄治

    佐藤 全・坂本 孝徳編『教員に求められる力量と評価−日本と諸外国−』東洋館出版社、  1996年06月

  • 『変化の時代の教師像-新しい指導力と研修-』

    菱村幸彦監修, 佐藤全編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「教師専門職論の功罪から何を学びとることができるか」)

    教育開発研究所  1995年10月

  • 『学校改善の課題』

    牧昌見編( 担当範囲: 「学校の組織風土と研修への影響」「教師のモラールの高揚」)

    第一法規  1995年08月

  • 「学校の組織風土と研修への影響」

    菊地栄治

    牧 昌見編『学校改善の課題』第一法規  1995年08月

  • 『変化の時代の学校像-生涯学習社会への移行-』

    菱村幸彦編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「高校教育改革はどこまで進展するか」)

    教育開発研究所  1995年05月

  • 『学校の役割転換』

    新井郁男編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「能力主義か平等主義か」)

    教育開発研究所  1995年05月

  • 『学習指導・評価の論争点』

    菱村幸彦監修, 佐藤三郎編( 担当範囲: 「単位制高校にはいかなる可能性があるか」)

    教育開発研究所  1994年12月

  • 『教育経営の論争点』

    菱村幸彦監修, 牧昌見, 小松郁夫編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「学校の公式組織と非公式組織の関係はどうあるのがのぞましいか」「教育経営における組織文化とは何か」)

    教育開発研究所  1994年04月

  • 『教育経営の改善研究事典』

    金子照基, 中留武昭編( 担当範囲: 「学校文化」)

    ㈱学校運営研究会  1994年03月

  • ジェンダーと権力 : セクシュアリティの社会学

    Connell, R. W., 森, 重雄, 菊地, 栄治, 加藤, 隆雄, 越知, 康詞

    三交社  1993年12月 ISBN: 4879191175

  • 「総合選択制,学校生活,進路選択」

    菊地栄治

    西本憲弘・佐古順彦編『伊奈学園−新しい高校 モデルの創造と評価−』第一法規  1993年11月

  • 教授・学習の行動科学

    滝沢, 武久, 東, 洋, 永野, 重史, 河井, 芳文, 真島, 真理, 所澤, 潤, 清水, 民子, 菊地, 栄治, 藤田, 英典, 大塚, 雄作, 中野, 照海, 岡本, 敏雄, 菅井, 勝雄, 梶田, 叡一, 田島, 信元, 並木, 博, 渋谷, 憲一, 鈴木, 康平, 梶田, 正巳, 速水, 敏彦, 北尾, 倫彦, 黒田, 実郎

    福村出版  1991年05月 ISBN: 4571205392

  • 「教授・学習活動における集団的文脈」

    菊地栄治

    滝沢武久・東洋編『応用心理学講座9 教授・学習の行動科学』福村出版  1991年05月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育政策の再構築に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

    菊地 栄治, 池田 賢市, 木村 優, 紅林 伸幸, 小国 喜弘, 白川 優治, 末冨 芳, 高橋 亜希子, 永田 佳之, 仁平 典宏, 根津 朋実, 丸山 英樹, 宮古 紀宏, 油布 佐和子, 吉田 敦彦, 和井田 清司

     概要を見る

    本研究は、教育の切実な現状について、学問分野を越境しつつ教育と社会に通底する構造的問題として捉え直す。とくに、〈一元的操作モデル〉にもとづく教育改革の阻害/促進要因を諸校種等の体系的・継時的データをもとに分析し、当事者である子どもたちと教員の語りから構造的な矛盾の在り処をたどり、「処方箋」への手がかりを探る。加えて、これまで臨床的・協働的に積み上げてきた〈多元的生成モデル〉の可能性を具体的な教育政策として再構築する。研究チームの中で対話を深めつつ練り上げられた政策をさまざまな政策立案・教育実践主体との対話の中で鍛え、教育現実をよりよく変えていく学術研究の可能性を立証することを目的とする

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく高校づくりの促進条件に関する臨床的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2021年03月
     

    菊地 栄治

     概要を見る

    1.1990年代以降の教育改革の先行研究レビューや各種資料の分析を深め、「縮小期後半=デフレ経済期」の教育改革の特徴を経済や政治との関連で捉え直したとき、私たちの社会の教育改革が〈一元的操作モデル〉に縛られていることがより明確になった。とくに、新自由主義・新保守主義・形式主義・功利主義という社会の異領域の変化を貫く父権主義(パターナリズム)の徹底が根源的な問題として浮き彫りになった。あわせて、この傾向がより見えにくい形で進行しつつあることも併せて指摘しておかなければならない。
    2.今年度は、高校教育現場の実態をふまえ、「対照校」との比較という作業を拙速に行わず、「実践校」の状況に寄り添いつつ対応するためのサポーティブな「研究=実践活動」を重点的に実施した。とくに、前年度の生徒インタビューをふまえて、2つの高校についてそれぞれに必要なアクション・リサーチを試みることにした。具体的には、(1)A高校については同校の内発的実践の軸をなす取り組みを生徒たち・卒業生たちの意味解釈から再構成し、その社会的意義を言語化する作業を試み、(2)B高校については「しんどい高校」に特有の劣悪条件と向き合い持続可能な実践に変換するために、地域との協働関係を盤石にすべく本質的な一歩を踏み出すための試みを開始し、あわせて、多年にわたって同校の実践を支えた一教員のライフヒストリーを描くことを通して、〈多元的生成モデル〉にもとづく高校づくりを促進する内的条件を発掘することができた。
    3.これら〈多元的生成モデル〉にもとづく実践が重要性を増していることが一連の臨床的研究を通して明らかになったが、課題も見えてきた。さらに抽象的・理論的研究の世界と具体的・実践的な意味世界とを架橋する作業を通して「他人事≒自分事」という中軸的表現にたどりつくことで、異世界間の対話を促す「共通言語」を具体的に確認することができた。

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    菊地 栄治, 池田 賢市, 易 寿也, 勝野 正章, 栗原 真孝, 紅林 伸幸, 白川 優治, 高田 研, 高橋 亜希子, 永田 佳之, 仁平 典宏, 丸山 英樹, 宮古 紀宏, 油布 佐和子, 吉田 敦彦, 和井田 清司, 藤本 啓寛, 橋本 あかね

     概要を見る

    2017年に全国公立中学校校長・教員を対象に質問紙調査を実施し、2002年データとの比較から、以下の知見を得た。(1)教員の多忙化が進み、平日の勤務時間「12時間以上」の割合が倍増した。(2)重回帰分析の結果、多忙化の主要因は「一般事務」と「部活動」であることが確認された。(3)多忙化によって対話的関係を劣化したが、若年層の「保守化」が現状正統化している。(4)トップダウンの学校運営方式などが多忙化に拍車をかけた。根底には、〈一元的操作モデル〉の浸透がある。〈多元的生成モデル〉にもとづくいくつかの内発的試みは注目すべき成果をあげてきた。今後、「もうひとつの物語」を現実化する研究が期待される。

  • 〈多元的生成モデル〉にもとづく教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学) 

    研究期間:

    2016年
    -
    2018年
     

  • 高校教育改革における〈多元的生成モデル〉の構築に関する臨床的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    菊地 栄治

     概要を見る

    本研究では、2015年に全国の高校校長と教員を対象に質問紙調査を実施した。2004年データとの比較から、以下の知見が得られた。第一に、社会の多様な現実と向き合い、他者とともに社会を創っていくということが軽視される傾向が強まってきた。第二に、校長も教員も自律性をより軽視するようになってきた(とくに中堅教員)。第三に、教員は生徒と深くかかわる余裕をなくしつつある。最後に、これらの傾向には教員の多忙化が一定程度影響を及ぼしている。一連の変化は、〈一元的操作モデル〉が浸透した結果であり、今後さらなる悪循環が懸念される。事例研究によれば、〈多元的生成モデル〉は重要なオルタナティブとなり得ることがわかる。

  • アジア諸国における教育の持続可能性とレジリエンスに関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2016年03月
     

    永田 佳之, 菊地 栄治, 市瀬 智紀, 吉田 敦彦, 山西 優二, 曽我 幸代, 横田 和子, 中田 有紀, スベンドリニ カクチ, 吉田 直子, 辻本 由比, 南雲 勇多, 丸山 英樹

     概要を見る

    本研究では、アジア太平洋地域の災害大国とも言われるインドネシア、フィリピン、スリランカ、ニュージーランド、日本の5ヵ国における教育、特に学校教育の持続可能性とレジリエンスの特徴について質問紙調査及び現地及び日本国内でのインタビュー調査を通して明らかにした。特に研究のキーワードとして重視したレジリエンスについては「冗長性」、「多様性」、「頑強さ」、「自律性」を構成要素として捉え、分析を行った。国によっては、例えば、自律性が強い・弱いなどの特徴が見られ、学校や地域社会が持続可能になるための課題についても明らかになった。

  • 〈若年市民層〉の教育エンパワメントの実践構造と促進方策に関する臨床的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    菊地 栄治, 池田 賢市, 亀田 温子, 栗原 真孝, 白川 優治, 高田 研, 高橋 亜希子, 永田 佳之, 仁平 典宏, 丸山 英樹, 宮古 紀宏, 椋本 洋, 吉田 敦彦, 吉本 圭一, 和井田 清司, 平塚 眞樹

     概要を見る

    本研究を通じて、私たちは現代日本の若者たちが力を奪われている実態について共通認識を得た。とはいえ、具体的な事例の協働的研究を通して、さまざまな難題に直面しつつも多くの若者たちがエンパワーされていく可能性が明らかになった。総じて、〈一元的操作モデル〉にもとづく施策と実践はかれらの力を奪い取りがちである。これに対して、〈多元的生成モデル〉はかれらをエンパワーできる。多くの事例において、かれらを〈若年市民層〉へと育む実践に共通するのは、相互的主体変容を促しているという特徴であった。〈多元的生成モデル〉は、エンパワメントの実践に共通する本質的特徴であり、今後の教育改革のあり方を示唆している。

  • アジア諸国における教育の持続可能性とレジリエンスに関する総合的研究

    科学研究費助成事業(聖心女子大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2012年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    平成25年度も引き続き研究会を重ね、国際調査のための初年度に作成した質問紙調査項目について仙台市を中心とした現場の教員に試験的に回答してもらった。回答しずらい箇所などにさらに改良を加え、確定版(日本語版)を作成した。さらにプロトタイプとして活用するための英訳版を作った。調査対象国の調査を主に担うカウンターパートに連絡をとり、調査への協力を確約してもらえた国から調査を実施した。具体的には、スリランカを皮切りに、ニュージーランド、インドネシアである。各国、60~100強の回答を得ることができ、また聴取り調査も実施することが適った。質問紙調査の回答は入力作業で整理し(ニュージーランドのみインターネット上の直接回答)、国別の報告書(要約版)を作成する可能性が拓けるところまで来た。なお、トルコは政情不安となり、調査対象地から外した。タイはチュラロンコン大学の附置センターから協力が可能であるとの回答を得たが、こちらも政情不安時期と重なり、調査を断念した。これらの不安要素から、フィリピンを新たな対象国として想定することになった。
    上記のような海外調査に加え、当初から予定していた国内のレジリエンス事例の調査にも着手し始めた。具体的には、釜ヶ崎芸術大学を集中的に調査し、レポートにまとめた。さらに、被災地での本格的なアンケート調査に備え、試験的に仙台市や気仙沼市でアンケート調査を実施した。陸前高田市については交渉途中で年度末を迎え、継続課題となった。さらに、レジリエンスの関連図書(和書・洋書)や論文を購入・収集し、理論面での強化をはかった。

  • 持続可能な高校教育改革の実践と構造に関する臨床的研究

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

     概要を見る

    持続可能な高校教育改革の実践と構造について、事例研究と質問紙調査等を通して、以下の知見が得られた。(1)「育成すべき力」は高校階層によって強く規定されており、生徒の現実をふまえた目標設定が必要となる、(2)教員自身が他者と向き合い自己変容しつつ共通の成功体験を重ね「学習する組織」を創ることが鍵を握る、(3)他校に示唆を与えるような改革を実践している高校がきわめて限定されているという事実をふまえ、地域や行政機関などの社会資本を活用することでシステム全体として持続可能性を高めていくことが重要である

  • 持続可能な高校教育改革の実践と構造に関する臨床的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2010年
    -
    2012年
     

    菊地 栄治

     概要を見る

    持続可能な高校教育改革の実践と構造について、事例研究と質問紙調査等を通して、以下の知見が得られた。
    (1)「育成すべき力」は高校階層によって強く規定されており、生徒の現実をふまえた目標設定が必要となる、
    (2)教員自身が他者と向き合い自己変容しつつ共通の成功体験を重ね「学習する組織」を創ることが鍵を握る、
    (3)他校に示唆を与えるような改革を実践している高校がきわめて限定されているという事実をふまえ、地域や行政機関などの社会資本を活用することでシステム全体として持続可能性を高めていくことが重要である。

  • 「後期子ども」の教育エンパワメントの実践と構造に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    菊地 栄治, 池田 賢市, 高田 研, 高橋 亜希子, 永田 佳之, 平塚 眞樹, 椋本 洋, 吉田 敦彦, 吉本 圭一, 和井田 清司, 渡部 真

     概要を見る

    本研究は、「後期子ども」に向けられている社会的なまなざしの実態と構造を質問紙調査にもとづき明らかにするとともに、固定した社会意識を変革する可能性を探った。あわせて、当事者のエンパワメントを促進する具体的な手立てについて、質問紙調査と資料収集調査および事例調査の結果をふまえて考察を試みた。異質な他者との出会い、地域社会との具体的なつながりの構築、学校の自律的・組織的革新や行政の支援など多角的な施策を実施することの重要性を理論的・実証的に確認することができた。

  • エンパワメントを促す高校づくりの実践と基盤に関する臨床的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    菊地 栄治

     概要を見る

    今年度は、公立高校を対象にした全国調査によって得られたデータの再分析および「しんどい高校」に焦点を合わせた事例研究を通して、高校においてエンパワメントを促す試みがいかにして可能であり、いかなる手立てが有効であるかを考究した。明らかになった知見は、以下の通りである。
    (1)わが国の高校は、選抜性と社会的威信の点できわめて階層的な構造をなしており、この傾向は新自由主義の教育政策によってさらに強化されてきている。このことは、いわば「隠れたカリキュラム」の中で「失敗の個人化」を受け入れさせる傾向があることを示している。
    (2)これらの構造は、学校が受け入れる生徒集団の生育環境・中途退学状況・進路状況の間の「結晶化」を生み出している。負のスパイラルは、(1)の「失敗の個人化」を通して隠蔽・正当化されている。
    (3)たしかに、高校が無力であるというわけではないが、エンパワメントを促す有効な手立てはひとくくりで語れない。高校の置かれた文脈などによって大きく異なる。たとえば、学力「中位校」では各種資格の取得が有効であることが多いが、「しんどい高校」ではむしろ既存の枠組みにとらわれない少人数のきめ細かなかかわりや地域における職業体験の方が意味を持つ。
    (4)一例として大阪府立布施北高校の取り組みを挙げる。この高校では、(1)発想の転換と生徒とのきめ細かなコミュニケーション、(2)日本版デュアルシステムの導入とつながりの構築…といった要因が、学校を活気づかせ、実際に進路未定層の大幅減少と大学進学率の上昇を同時に達成した。組織のつくり方も含めて、高校にはいくつかの大きな課題と可能性があることを確認することができた。

  • 授業者としての大学教員の成長を支援する授業評価調査のあり方に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2006年
    -
    2007年
     

    三尾 忠男, 長島 啓記, 菊地 栄治, 南部 昌敏, 浦野 弘, 波多野 和彦

     概要を見る

    大学教員が授業者としてのどのように成長するかは、個々人がもつ授業観によって現状認識と課題意識に差があること,教職課程科目担当者という授業者による実践を対象に、以下の点で授業評価調査が与える効果の事例を整理した。
    1.ティーチング・ポートフォリオの作成、蓄積の授業改善への効果
    講義と成績の関連資料、授業評価調査結果(総括的)と、施設設備の資料(写真を含む)の電子化し、それを授業者間で交換することで、より具体性の高い授業改善の観点を授業者が認識し、実際に試みることができた。また、成績評価についてもこれらの情報を交換することでより妥当な方法と基準の作成に有効であった。
    2.日常の授業における学生からの意見(授業評価調査)の分析
    三尾・波多野は大人数授業(100から250名)でマークシートによる毎回の授業評価調査と、三尾・南部・浦野・波多野は、シャトルカード(大福帳)を用い、学生の授業内容の理解、授業方法の受け止め方、学習意欲・態度の表明、及び受講生の記述内容に対する授業者コメントの傾向について分析した。授業者コメントは、その授業者の教員としての履歴で内容の質と量に違いあることがわかった。以前に初等・中等教育の教員を経験した授業者は、より教育的配慮に富むコメントを学生に返し、その文字量も多いことがわかった。
    3.授業の相互参観、介入。映像記録による分析
    早稲田大学において授業相互参観と映像記録を実施した。改善点を各自が確認する際に映像記録が有効であることが確認された。

  • 授業者としての大学教員の成長を支援する授業評価調査のあり方に関する研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2006年
    -
    2007年
     

     概要を見る

    大学教員が授業者としてのどのように成長するかは、個々人がもつ授業観によって現状認識と課題意識に差があること,教職課程科目担当者という授業者による実践を対象に、以下の点で授業評価調査が与える効果の事例を整理した。
    1.ティーチング・ポートフォリオの作成、蓄積の授業改善への効果
    講義と成績の関連資料、授業評価調査結果(総括的)と、施設設備の資料(写真を含む)の電子化し、それを授業者間で交換することで、より具体性の高い授業改善の観点を授業者が認識し、実際に試みることができた。また、成績評価についてもこれらの情報を交換することでより妥当な方法と基準の作成に有効であった。
    2.日常の授業における学生からの意見(授業評価調査)の分析
    三尾・波多野は大人数授業(100から250名)でマークシートによる毎回の授業評価調査と、三尾・南部・浦野・波多野は、シャトルカード(大福帳)を用い、学生の授業内容の理解、授業方法の受け止め方、学習意欲・態度の表明、及び受講生の記述内容に対する授業者コメントの傾向について分析した。授業者コメントは、その授業者の教員としての履歴で内容の質と量に違いあることがわかった。以前に初等・中等教育の教員を経験した授業者は、より教育的配慮に富むコメントを学生に返し、その文字量も多いことがわかった。
    3.授業の相互参観、介入。映像記録による分析
    早稲田大学において授業相互参観と映像記録を実施した。改善点を各自が確認する際に映像記録が有効であることが確認された。

  • 〈公共圏〉を生成する教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    菊地 栄治, 一見 真理子, 澤野 由紀子, 永田 佳之, 橋本 昭彦, 吉田 敦彦

     概要を見る

    本研究は、〈公共圏〉という視点からこれまでの教育改革を読み解き、子どもの「生」の現代的構造に着眼しつつ問題状況を析出するとともに、困難な時代の中で当事者たちが紡ぎ出す諸実践の中に突破口を見出すものである。主な知見は、以下の通りである。(1)わが国の新自由主義・新保守主義の教育改革は、〈公共圏〉を掘り崩すように機能し、結果として実践の場において歴史的に育まれてきたエンパワメントの可能性をそぎ落としてしまっている。個々に分断され、国家などの高みからまなざされる教育の限界が示唆された。(2)子どもの「生」を年齢コーホート別に子細に分析した結果、現代の子どもたちの体験は高度産業社会・消費社会の中でいっそう浅い体験に彩られていることが確認された。代わりに「教育的」活動が熱心に展開され、経済的に不合理な個人教育投資に莫大が経費をかけてきている。(3)上記の特徴には明らかな階層差が見られ、一方にはTVに代表される消費社会のメディアがあてがわれ、他方には塾に代表される教育投資の機関が浸透している。いずれも社会や他者とかかわっていくチカラや声を脆弱にしていくものである。(4)こうした中で、〈公共圏〉をはぐくむ教育実践が丁寧に試みられている。経済的な難しさなど困難さを棚上げすることなく向き合い、「弱さ」や「できなさ」を包み込みながら学び合い育ち合う場が創られている。この試みをいかにサポートしていくかが行政の社会的責任である。国家の役割を含めて根本的なまなざしの転換が必要である。

  • アジア太平洋地域の持続可能な開発のための教育に関する国際研究集会に向けた企画調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2006年
     
     
     

    永田 佳之, 山西 優二, 菊地 栄治, 北川 文美, 丸山 英樹

     概要を見る

    2005年からの「国連・持続可能な開発のためめ教育の10年」の始まりに伴い、国際、地域、国家、準国家、地方レベルにおいてESDをテーマとする取り組みが数多く行われてきている。しかし、環境・社会・経済の領域にわたる多様な課題を扱うというESD本来の包括的な性質上、曖昧で具体性を欠くという一面を呈してきている。ESDの実践として紹介される事例においても、従来の環境や開発の問題を扱う教育との差異は明らかでなく、ESDの本質が見えてこない。そこで、本研究では、ESDの独自性やあり方を根幹から問い直すことを試みた。
    理論面においては、本研究は「つながり」をキーワードにESDの独自性について検討した。そこでは、近代化の過程において、人と自然、人と社会、人と人など、あらゆる「つながり」が分断され、全体性という感覚を失ってきたという共通認識に立ち、全体性に向けた「つながり」の再構築の営みをESDとして価値づけている。
    さらに、事例研究においては、上記の理論に拠りながら、「つながり」の再構築及び全体性という課題が見出されるものをESDの実践として国内外に求めた。国内事例として、栃木県にあるこころみ学園及びココ・ファーム・ワイナリーにおける福祉と経済の両立の実践、そして水俣における人と自然、人と人の「つながり」の回復への取り組み、また高等教育のESDの実践として宮沢賢治の思想を取り入れた岩手大学のプロジェクトを調査した。海外事例として、祖先との「つながり」を再構築するヒューマニタリアン・スクールの「ファミリー・クラブ」の実践(ロシア)、震災後に設立された持続可能な村「ベリキョイ」における「イメジェ」(共同作業による助け合い)の取り組み(トルコ)、「ゆとり」「つながり」「わかちあい」を大切にしたリシヴァリー・エデュケーションセンターの教育実践(インド)、環境と経済、都市と農村の「調和」のとれた発展を目指すエコビレッジの実践(中国)を調査した。
    本研究の成果は、今後、国内外で開催されるESDに関する国際研究集会における資料としても活用される。

  • アジア太平洋地域の持続可能な開発のための教育に関する国際研究集会に向けた企画調査

    科学研究費助成事業(国立教育政策研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2006年
     
     
     

     概要を見る

    2005年からの「国連・持続可能な開発のためめ教育の10年」の始まりに伴い、国際、地域、国家、準国家、地方レベルにおいてESDをテーマとする取り組みが数多く行われてきている。しかし、環境・社会・経済の領域にわたる多様な課題を扱うというESD本来の包括的な性質上、曖昧で具体性を欠くという一面を呈してきている。ESDの実践として紹介される事例においても、従来の環境や開発の問題を扱う教育との差異は明らかでなく、ESDの本質が見えてこない。そこで、本研究では、ESDの独自性やあり方を根幹から問い直すことを試みた。
    理論面においては、本研究は「つながり」をキーワードにESDの独自性について検討した。そこでは、近代化の過程において、人と自然、人と社会、人と人など、あらゆる「つながり」が分断され、全体性という感覚を失ってきたという共通認識に立ち、全体性に向けた「つながり」の再構築の営みをESDとして価値づけている。
    さらに、事例研究においては、上記の理論に拠りながら、「つながり」の再構築及び全体性という課題が見出されるものをESDの実践として国内外に求めた。国内事例として、栃木県にあるこころみ学園及びココ・ファーム・ワイナリーにおける福祉と経済の両立の実践、そして水俣における人と自然、人と人の「つながり」の回復への取り組み、また高等教育のESDの実践として宮沢賢治の思想を取り入れた岩手大学のプロジェクトを調査した。海外事例として、祖先との「つながり」を再構築するヒューマニタリアン・スクールの「ファミリー・クラブ」の実践(ロシア)、震災後に設立された持続可能な村「ベリキョイ」における「イメジェ」(共同作業による助け合い)の取り組み(トルコ)、「ゆとり」「つながり」「わかちあい」を大切にしたリシヴァリー・エデュケーションセンターの教育実践(インド)、環境と経済、都市と農村の「調和」のとれた発展を目指すエコビレッジの実践(中国)を調査した。
    本研究の成果は、今後、国内外で開催されるESDに関する国際研究集会における資料としても活用される。

  • 「公設民営」型学校に関する国際比較研究:<公共性>の評価を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    永田 佳之, 菊地 栄治, 山西 優二, 菊地 栄治, 澤野 由紀子, 深堀 聡子, 梶間 みどり, 鐙屋 真理子, 永田 佳之, 中村 浩子

     概要を見る

    本研究で対象となった各々の社会には「豊かさ」への萌芽が見出される。ラディカルな教育改革をひとたび経た国においては、もう一つの「豊かさ」への新たな模索がはじまっている。とくに同一社会内での顕著な格差を生じさせないような質保証(QA)などの工夫は注目に値する。QAについてはスウェーデンやニュージーランドの経験から得られる示唆は少なくない。
    オーストラリアはオルタナティブ・スクールと行政の間で係争が見られるなど、さまざまな問題を抱えているが、公設シュタイナー学校の運営が複数校で実現されるなど、興味深い「実験」が進行中の社会でもある。
    アジア諸国に目を向けると、「公設民営」のさまざまなあり方が模索されているものの、課題は少なくない。そこには韓国のガンディー学校や台湾の自主学習実験計画の係争事例に見られるように多様な「豊かさ」に向けた営みが拮抗対立している様相すら見受けられる。日本については、川崎市の子どもの権利条例のように、豊かな教育社会の基盤となり得る条例に拠る実践が見られる一方で、そのような実践も効率重視の改革に絡めとられる陥穽も生まれつつある。
    以上のような各論とは別に、複数の教育社会を横断するような共通テーマも見出すことができる。大半の論考で問われているのが、「公」と「民」との関係性、とくに「公」は何を保障し、「民」はいかなる公共性を具現化するべきなのかというテーマ、または「公」と「民」の協働のあり方というテーマである。一例であるが、ニューヨーク州では「官民の豊かな連携」が見られるなど、学ぶべき点は少なくない。また、学校評価について、ニュージーランドの教育評価局(ERO)による従来の評価活動のあり方に対する批判から生まれた「後援者」制度などの工夫からも具体的な協働のあり方を学ぶことができる。

  • <公共性>を育む高校教育改革の実践と構造に関する臨床的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    菊地 栄治

     概要を見る

    本研究では、高校教育の歴史的な展開をふまえ、現代的位相を捉え直す座標軸=<公共性>を中心に据えながら理論的・実証的な検討を加えた。前年度までの2種類の郵送自記式質問紙調査データの分析を深めること、さらに、<公共性>を再構築する試みを展開している改革事例についてのインテンシブな事例研究を実施することを課題とした。さまざまなデータを総合的に考察する中で、現代の高校教育が抱えている諸課題といくつかの突破口が浮き彫りになった。
    1.わが国の高校教育は、戦前の伝統の構造的な影響を受け、比較的早い時期から階層的な構造を形成してきた。とりわけ、高校教育が大衆化・普遍化して以降は、この構造はきわめてリジッドな特徴を帯びていった。最近では、公教育の社会的責任を遂行するという名の下に、都市部の公立高校も進学準備機能を露骨に担おうとするようになってきている。実際には、学校週五日制の導入にともなって、公立高校と私立高校の二重構造はますます強化されている。
    2.この高校階層構造は、社会的淘汰を特徴とする新自由主義の改革の中で、社会的・経済的な地位の再生産を担う機能を強めている。高校階層、「学力」層、生徒の社会・経済的背景、教員文化…などの連鎖によって大きく枠づけられてきている。学力低下論に伴い、教師の構えはますます教科専門性指向に引きずられつつあり、生徒の生活の実態にリアルに迫るようなカリキュラムを構築していくことがないがしろにされつつある。
    3.そのような状況の中で、生徒の切実さに寄り添い、教師を含めた大人たちの自己変容をも惹起するきわめて有意義なエンパワメント実践を展開している高校もある。これらの試みを学術的・理論的に支援していく手立てを探っていくことが今後の課題となる。

  • 少子化と地域差を考慮した基礎学力を保障するための小中高一貫教育の総合調査研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

    坂野 慎二, 小松 郁夫, 川島 啓二, 木岡 一明, 屋敷 和佳, 名取 一好, 菊地 栄治

     概要を見る

    1.学校選択と共通教育
    個人に適した教育を提供する際に、効率を考えると、トラッキングあるいは学校制度による分岐が生じる。ほとんどの国で中等教育段階では学校内外でのトラッキングが行われている。小規模学校における教員数は限られており、多様な教育を提供することは困難である。オーストラリアやアメリカ等で発達している遠隔教育の可能性を追求することが今後重要となるであろう。一方、人口密集型の都市部では、学校選択による効率化が可能である。
    2.標準テストによる評価
    近年の各国の動向は、標準テストによる出口評価を行うことにより、「学力」の保証を行おうとする傾向が強いことである。こうした傾向は、国際学力調査の結果によって、教育政策担当者が、対応を迫られることによって加速している。1つの水準による標準テストの合格率による評価は、その水準を達成することが不可能を思われる生徒の学習意欲を著しく低下させる。
    3.学校評価と質保証
    近年、各国で学校評価が導入・普及している。しかしアメリカ等は州が実施する標準テストの結果のみが重視されており、子どもの成長を十分に勘案できない事例も生じている。学校が行っている努力によって、どれだけ生徒が成長したのかを明示するプロセス評価が今後重要になると考えられる。
    4.個性・個別性と共通性の調和
    今日の教育政策は、画一化・均質化から脱却し、特色ある学校づくりや児童生徒の個性重視といった流れになっている。しかし「基礎・基本」といわれるような各人に共通に必要な知識や技能、そして人間性や社会性も同時に必要とされる。個人の自己実現のみならず、社会貢献を意識した人材育成が必要である。近年、「コンピテンシー」について議論されているが、何かを達成するために必要な能力を幅広くとらえ治すことが必要であろう。

  • 「公設民営」型学校に関する国際比較研究:<公共性>の評価を中心に

    科学研究費助成事業(国立教育政策研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

     概要を見る

    本研究で対象となった各々の社会には「豊かさ」への萌芽が見出される。ラディカルな教育改革をひとたび経た国においては、もう一つの「豊かさ」への新たな模索がはじまっている。とくに同一社会内での顕著な格差を生じさせないような質保証(QA)などの工夫は注目に値する。QAについてはスウェーデンやニュージーランドの経験から得られる示唆は少なくない。
    オーストラリアはオルタナティブ・スクールと行政の間で係争が見られるなど、さまざまな問題を抱えているが、公設シュタイナー学校の運営が複数校で実現されるなど、興味深い「実験」が進行中の社会でもある。
    アジア諸国に目を向けると、「公設民営」のさまざまなあり方が模索されているものの、課題は少なくない。そこには韓国のガンディー学校や台湾の自主学習実験計画の係争事例に見られるように多様な「豊かさ」に向けた営みが拮抗対立している様相すら見受けられる。日本については、川崎市の子どもの権利条例のように、豊かな教育社会の基盤となり得る条例に拠る実践が見られる一方で、そのような実践も効率重視の改革に絡めとられる陥穽も生まれつつある。
    以上のような各論とは別に、複数の教育社会を横断するような共通テーマも見出すことができる。大半の論考で問われているのが、「公」と「民」との関係性、とくに「公」は何を保障し、「民」はいかなる公共性を具現化するべきなのかというテーマ、または「公」と「民」の協働のあり方というテーマである。一例であるが、ニューヨーク州では「官民の豊かな連携」が見られるなど、学ぶべき点は少なくない。また、学校評価について、ニュージーランドの教育評価局(ERO)による従来の評価活動のあり方に対する批判から生まれた「後援者」制度などの工夫からも具体的な協働のあり方を学ぶことができる。

  • 教育における評価研究の在り方に関する日韓比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究

    研究期間:

    2002年
    -
    2004年
     

    橋本 昭彦, 鐙屋 真理子, 菊地 栄治, 金 泰勲

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    本年度は、研究計画に従って、下記の活動を行った。
    1.基礎文献の追加収集
    ・日韓における評価研究に関する雑誌文献目録を日本語・韓国語で作成し、重要なものを収集した。
    2.外国調査の実施
    ・韓国…韓国教育開発院、韓国教育課程評価院、高麗大学などで韓国における評価研究の実情について聴取し、指導助言を依頼した。
    ・その他、来日したカナダ・韓国の評価研究者からの情報収集に務めた。
    3.研究成果報告書の編集・刊行
    ・研究成果報告書の刊行に向けて原稿作成・編集を行った。
    4.その他
    ・メーンバーの間で、次年度以降の研究構想に関する意見交換を重ね、個別の課題につき作業を進めた。
    ・国内外の評価研究に関わる研究会や学会に参加した。

  • ホリスティックな教育改革の実践と構造に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

    菊地 栄治, 永田 佳之, 小松 郁夫, 鐙屋 真理子, 澤野 由紀子, 橋本 昭彦

     概要を見る

    今年度においては、私たちは、全国的規模で実施された公立中学校の校長と教員を対象とする調査によって得られたデータをより深く分析するとともに、ホリスティックな教育改革の概念と社会的意義について吟味した。その上で、(1)地域・学び舎、(2)小学校・中学校、(3)高校、というの3領域ごとに学びの場を構築する具体的な改革実践を取り上げ、若干の考察を行った。最終報告書の中で導かれた主な知見は、以下の通りである。
    1.新自由主義的で新保守主義的な教育改革が進められることによって、結果的に制度的な差別が拡大していった。こうして、日本の教育がもっていた機能が犠牲となり、学習や生活や成長にかかわるさまざまな社会的基盤がどんどん崩されていった。
    2.従来、改革を積極的に受け入れていた層までもが、教育改革の計画自体に異議を唱えるようになっている。政策を立案する側と教育実践に携わる側との間で、信頼関係が損なわれ始めている。およそ3000名に及ぶ教員たちが書いたかれらの悩みを質的に分析することを通して、昨今の教育改革が教員の多忙化をもたらし、協働的な同僚性がやせ細っていく実態が浮き彫りになった。
    3.中学教育のさまざまな「ゆらぎ」を分析することによって、私たちは次のような結論に到達した。すなわち、多くの人々がしがみつく教育改革をめぐる支配的な物語や縮こまった実践に終止符を打ち、構造的な病を克服しなければならないということである。そのためには、「人が育っていくこと」の本質をしっかりと見極め、柔らかい対話を試みることが重要である。
    4.すでに、わが国に固有のホリスティックな教育改革の萌芽が確実に育てられている。本研究は、これらの実践と教育社会の構造的な現実に丁寧に耳を傾けることが不可欠であることを示した。今後、さまざまな改革領域の実践に共通する要因を取り出し、当事者同士が互いに連帯できるような方策を考えていくことが鍵を握る。それは、私たち一人ひとりが、社会や人間について、自分たちとの関係を問いながら、もっと深く知っていくことによってはじめて可能になる。

  • 卒業後評価による中高一貫教育の教育課程の個別化と系統性に関する日独比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2001年
    -
    2002年
     

    坂野 慎二, 坂本 孝徳, 菊地 栄治, 屋敷 和佳, 背戸 博史

     概要を見る

    本研究は、進学資格(大学入学準備)及び職業資格(職業準備)の2つの資格付与機能に着目し、前期および後期中等教育の教育課程の編成原理を、学習の個別化と共通教育の、連続整合性の観点から日本とドイツとを比較することによって解明することを目的とする。
    そのために、第一に、日本の中等教育段階の前期及び後期の共通履修及び選択履修の意義を明らかにし、第二に、従来ドイツにおいて分離していた一般教育と職業教育との制度的及び内容的統合が如何に行われ得るのか、その際の問題点の所在を明らかする。第三に、学校が提供する教育課程編成を、生徒個人の意図による科目選択と、職業社会及び上級教育機関等の教育要求との「ずれ」について、日独それぞれに科目選択と共通履修の関係から明らかにする。それによって、第四に、科目選択制は中等教育段階では必然的であるが、前期及び後期中等教育のカリキュラム全体の整合性が、進路変更可能性を担保しつつ、共通な核とは何か、各進路に必要な学習とは何かを明らかにした。
    日本では、(1)多くの中高一貫教育校は、設置されてからまだ歴史が浅く、大きな特色を出すには至っていない、(2)在校生調査では、満足度は個別的である、(3)中高一貫教育であるため、1学年の学級数が制限されることにより、選択科目の展開が大規模高校よりも制限されることが明らかとなった。
    ドイツでは大学生調査を行った。その結果、(1)大学における転専攻もあり、現在のアビトゥア試験で行われる4科目は必要である、(2)基礎学力論の高まりもあり、一部の州ではアビトゥア試験科目を5科目に増やしている、ことが明らかとなった。

  • 小学校における学級の機能変容と再生過程に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    小松 郁夫, 川島 啓二, 坂野 慎二, 菊地 栄治, 橋本 昭彦, 木岡 一明

     概要を見る

    本研究の目的は、わが国の小学校に置ける「学級」の歴史的、構造的な特質を踏まえながら、「学級がうまく機能しない状況」がどのようにしてもたらされるかを究明することを通じて、学級を再生させるいくつかの道筋を探り出すことである。本年度の研究実績は次の通りである。1.学級システムの比較研究前年度までの文献研究、現地調査等の成果を踏まえ、諸外国(アメリカ、ドイツ、韓国)の学級システムについて、比較研究の視点から検討を行った。その上で、わが国の直面する「学級がうまく機能し状況」がどのような構造的課題を持っているのかを考察した。2.児童に対する質問紙調査、学級担任調査の実施と分析平成12年度に実施した「学級・学校経営の実態に関する調査」と同じ対象校から抽出した386校の小学校5年生を対象に、集合自記式質問紙調査を実施した(平成14年12月)。質問内容は、学級の様子、友人関係、教師との関係、家族関係、規範意識、自己認識、イライラ感など、37項目を設定した。同時に、学級担任に対する質問紙調査を実施し、担任の属性や学級、学校の属性について質問した。295校より回答があった(回収率:76.5%)。今回は、現在の小学校5年生の特徴を明らかにすると共に、学級の様子を示す指標を点数化し、「学級の健康度」という指標に置き換え、学級を単位として「授業がうまく機能しない状況」について分析を行った。その結果、この問題は、地域の特徴や学級規模だけに起因するのではなく、多様な要因が複合的に絡み合っていることが改めて確認された。さらに分析した結果、(1)授業のわかりやすさ、(2)教師の学級経営能力、(3)規範意識という3つの視点から、「授業がうまく機能しない状況」を読み解くカギがあることがわかった。すなわち、子どもたちは教師に対して、授業改善を図ることと公平心を持って問題解決に的確に対応することを求めていることが明らかとなった。そして、規範意識の形成には家庭での教育力が影響していることがアンケートの分析からわかった。このことは、学校だけではなく、家庭教育の重要性を指摘していると言える。3.最終報告書の作成以上の成果を最終報告書としてまとめた。そのため、最終報告書は、第1部は、小学校5年生の調査分析を、第2部は、諸外国の学級経営、第3部は文献解題から構成されている

  • オルタナティブな教育実践と行政の在り方に関する国際比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    永田 佳之, 鎧屋 真理子, 菊地 栄治, 小松 郁夫, 横田 正雄, 石川 憲彦

     概要を見る

    本研究の成果・実績は最終報告書にまとめられた。最終報告書は三部構成であり、各々の構成および概要は次のとおりである。第I部「オルタナティブ教育の諸相」では、各国における個別の実践例について紹介し、インタビューや第一次資料をもとに事例研究をまとめている。事例編(1)は学校論であり、扱っている国はカナダ、韓国、ロシア、アメリカ、オランダである。事例篇(2)は制度・構造・行政論であり、マルタ、アメリカ、ドイツ、韓国、オランダ、ロシアを扱っている。第II部は主に国際比較を総論的に論じている。第I部で扱った各国を比較し、オルタナティブ教育の特性等について吟味している。第III部は分析篇であり、従来のオルタナティブ教育の意味と定義、オルタナティブ教育の現代的な文脈における捉え直し、学校・生徒数に関する数量把握、クオリティ・アシュアランスと公費助成をキーワードにした支援形態、行政のあり方の類型化等について述べている。最後に、資料篇として、参考文献一覧、タイ国教育省令、子ども村学園規則、オルタナティブ教育機関設立マニュアル一覧、オルタナティブ教育関連組織一覧、調査対象国に関する諸指標を掲げている。以上から明らかになったこととして、オルタナティブ教育実践と行政の関係性を4類型、すなわち(1)積極支援・干渉型、(2)消極支援・干渉型、(3)消極支援・放任型、(4)積極支援・育成型に分けることが可能であり、これらの類型の考察においては、(1)および(3)の問題性を指摘すると同時に、(4)の在り方の可能性について探求する意義が強調されている。

  • オルタナティブな学び舎における〈公共性〉の生成と変容に関する質的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽的研究

    研究期間:

    2000年
    -
    2001年
     

    永田 佳之, 菊地 栄治

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    平成13年度は以下の研究・調査を行った。
    1.文献の収集・翻訳
    昨年度の調査対象の中から選定した<学び舎>の第一次資料を中心に収集した。また研究の視座としてもっとも重要な<公共性>の観点から資料整理を行った。その中には、公立のフリースクールや民間の新旧様々なフリースクール(東京都の「ジャパンフレネ」新宿校・熊谷校等)・フリースペース(川崎市の「たまりば」、所沢市の「バクの会」等)が含まれる。
    2.参与観察およびインタビュー
    関東(埼玉「バクの会」等)や中国地方(島根「ハーモニーカレッジ」等)、沖縄(フリースクール「まなぶくん」等)など、全国各地のフリースクール・フリースペース等を訪れ、参与観察および関係者へのインタビューを実施した。東京近郊の学習施設については定期的な訪問につとめ、その変容を観察した。
    3.最近の市民運動の把握
    「不登校新聞」や「湘南に新しい公立学校をつくる会」等から情報を収集すると共に、関係者から現状や今後の展開等についてインタビューを行った。こうした市民サイドの動きからも新しい<公共性>を再構築していく「芽」を読み取る作業を繰り返し行い、そのネットワークにも注目しながら、今後の可能性について研究を行った。
    4.海外の事例
    オランダのモンテッソーリ校やオルタナティブ教育支援組織を訪問する等、海外のオルタナティブ教育の動向やその課題について調査を行い、様々な第一次資料の収集(特に最新の教育法規等)、関係者へのインタビューを行った。

  • ホリスティックな高校教育改革の実践と構造に関する研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(萌芽的研究)

    研究期間:

    1999年
    -
    2000年
     

     概要を見る

    高校教育改革は、著しい閉塞状況にある。本研究では、事態を打開するヒントを〈ホリスティックな知〉のアイデアに見出し、しかも具体的な実践と臨床的・批判的にかかわりながらオルタナティブなあり方を模索することとした。
    研究をベースとしたネットワーキングの第一段階として、大阪府立松原高等学校との共同作業を展開した。数多くの実践の参与観察と卒業生を対象とする質問紙調査によって、ホリスティックな高校づくりの可能性をたどった。
    主な知見は、以下の通りである。
    第一に、とりわけクラス開きとホームルーム合宿を中心に展開される入学直後のイニシエーションは、高校生の自尊感情の回復を可能にするだけではなく、信頼とコミュニケーションを学校空間に創り上げるきっかけとなっている。第二に、そこで中核に据えられるのは、啓蒙主義の名の下に教育社会が排除し切り捨ててきた「負の側面」である。しかもそこを基点としながら自己や他者との関係が織りなされていった。第三に、「負の側面」の尊重は教師の自己変容をも促すものとなったが、その中でどれだけ深く覚醒していくかは個々の教師によって大きく異なった。したがって、教師集団内に下位文化が生じることは避けられなかった。とはいえ、それでも関係を紡ぐという視点で教師間の絆を創造していく試みは粘り強くなされていった。第四に、卒業生の回答は、こうした高校の取り組みが外部社会においてもきわめて有益であることを物語っていた。
    とはいえ、一元的な意味での学力保障とどこまで両立可能であるかを検証することや他の高校での実践に松原高校での取り組みがいかにして活かされていくかということを問う二とが未解決のまま残された。この点は、今後の課題としたい。

  • 福祉教育・ボランティア学習の構造と実践に関する総合的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    1998年
    -
    2000年
     

    菊地 英治, 伊藤 隆二, 永田 佳之, 山本 慶裕, 夏秋 英房, 横田 正雄, 大野 道夫, 佐藤 全

     概要を見る

    本研究では、福祉教育とボランティア学習の現代的構造を多面的に考察しながら、さまざまな実践を捉え直す視点を構築した。主な知見は、以下の4点である。
    第一に、中学校・高校での多様な実践を質的に吟味することを通じて、福祉教育の理念と実践がきわめた多義的であることを明らかにした。第二に、多くの実践は、(1)きわめて操作主義的な子ども観を追認している、(2)社会のありように対する批判的・反省的なイマジネーションを欠いている、など(近代的な知)の枠組みを超え出ていない。第三に、一部の実践の中には、子どもたちの現実から実践を組み立て学校外の環境との相互作用を通して社会構造に影響を及ぼすような試みがみられる。そこでは、福祉教育を高齢者福祉の問題に矮小化したり「心の教育」に還元したりしない。報告書の中では、改革実践としていくつかの有意義な実践を紹介している。第四に、同じような試みは不登校の子どもたちを受け入れる民間の学び舎でもなされている。とくに、1990年代以降急速に普及しているフリースペースは、福祉教育を機械論的に捉えるのではなくむしろかれらとのかかわりの中で大人たちや地域も変わっていく可能性を示している。深い福祉教育はことのほか時間を要するものであり、しかも完全な成果を期待できるものとは限らない。
    福祉教育やボランティア学習が体系化されることで、実践の深さが犠牲になることに私たちは細心の注意を払わなければならない。そのためには、私たちが近代教育の呪縛の中で身体化してきたまなざしを根源的に転換する必要がある。多様な実践から学びつつ横のつながりをつけていくことに研究者自身がかかわっていくことがますます必要になっている。

  • 高等学校の学校開放講座に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1998年
    -
    1999年
     

    山本 慶裕, 鬼頭 尚子, 澤野 由紀子, 笹井 宏益, 岩槻 知也, 菊池 栄治

     概要を見る

    平成10年度は、次年度に岡なう開放講座に関する実証的調査のための予備調査として、次の2つの調査研究を行った。
    (1)全都道府県における高校の開放講座の実施状況調査
    全国の都道府県教育委員会を対象として、各都道府県の学校開放講座の実施状況について、(1)補助金事業、自主事業ごとの実施状況、(2)高校名、(3)学校開放講座に関する統計等の内容につき、質問調査を行った。また、その結果から、各県より顕著な事例を収集し、次の事例調査を行った。
    (2)各校における担当教員を対象とした学校開放講座の事例調査
    全国48都道府県より、東日本、西日本それぞれ6都道府県、計12都道府県を抽出し、実施校への集中的な訪問面接調査を行う。面接にあたっては、各地域の特色、各校の特色、講座とその運営体制についての調査を行うことにした。10年度は、前段階として4県の教育委員会への調査、2校の事例調査を行った。
    平成11年度は、開放講座に関する事例調査として、次の調査と研究結果の分析を行った。
    (1)全都道府県における高校の開放講座の実施状況調査結果の分析
    全国の都道府県教育委員会を対象として、各都道府県の学校開放講座の実施状況について(1)補助金事業、自主事業ごとの実施状況、(2)高校名、(3)学校開放講座に関する統計等の内容につき、行った質問紙調査の結果から、各県で実施されている開放講座の現状を明らかにした。
    (2)各校における担当教員を対象とした学校開放講座の事例調査
    全国48都道府県より、東日本、西日本それぞれ6都道府県、計12都道府県と抽出し、実施校への集中的な訪問面接調査を行った。面接にあたっては、各校の特色、講座とその運営体制についての調査を行った。
    (3)最後に、両調査の結果から高校開放講座の調査報告書を作成した。

  • 総合学科・総合選択制高校のアカウンタビリティの研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(萌芽的研究)

    研究期間:

    1998年
    -
    1999年
     

     概要を見る

    埼玉県立伊奈学園総合高校の評価にかかわる研究は、我々の手により、文部省科学研究費の助成により既に一度なされている(平成4〜5年度総合研究(A)「伊奈学園総合高等学校をモデルとした総合選択制の有効性に関する実証的研究」、代表者:佐古順彦)。今回の調査研究は前回の補足的研究であると同時に、従来の質問紙的研究から脱却した調査手法の開発を含め、更なる新しい学校モデルのアカウンタビリティー研究を一歩押し進めたわけである。昨年は、ハウス制という制度が登校している生徒達にどの程度定着しているか認知地図的手法によって、自己のハウスの位置、他のハウスの位置の認知の相対的関係を明らかにした。
    更に今年度は教師側のコミュニケーションの様態を基軸に伊奈学園固有のシステムが教師集団にどのような結果を残しているか、人類学的手法からの長期的観察から考察した。また一方で、人間形成の観点から力を入れているキャリアガイダンスのシステムの評価を、これは伝統的調査技法を用いて行なった。

  • 生き方についての高校生の学習実態と教員の指導効果に関する研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    1997年
    -
    1999年
     

    佐藤 全, 菊地 栄治, 岩木 秀夫, 伊藤 稔, 坂野 慎二, 小松 郁夫, 坂本 孝徳

     概要を見る

    1.教育活動と学校経営
    高校生の「生き方」と「生きる力」の能力は、十分ではない。このような能力を育成する教育が、教員の協働的な活動を可能にする学校経営をつうじて、すべての高等学校で行われるべきである。
    2.高校生の進路選択能力と職業教育のあり方
    「生き方」と「進路」について展望を描ける高校生は半数にとどまっている。高校生の将来展望に対する影響力は、教員よりテレビの方が大きい。高校生の職業選択能力を高めるためには、職業教育は、理論的な学習のみならず、技能訓練を含むものでなければならない。
    3.新教科「教育」の必要性
    高校生の殆どが、将来、親になることを考慮した場合、高校生の生き方や生きる力の育成にかかわる基本課題は、高等学校に必修の「教育科」を新設して、家庭の教育力の衰退を回復することである。

  • ホリスティックな学校づくりに関する臨床的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(萌芽的研究)

    研究期間:

    1997年
    -
    1998年
     

     概要を見る

    本研究は、「ホリスティックな学校づくり」を試みている学校の実践に臨床的にかかわりながら、現代社会と教育が直面している課題に処するための理論的な手がかりを得ることを目的としている。
    環境教育・開発教育・国際理解教育・人権教育・福祉教育などの具体的な実践事例を収集し、いくつかの視角から分析することを通じて、実践の底流をなす根源的な見方・生き方を抽出した。それが、「ホリスティックな学校づくり」という視点である。さらに、本研究では、「ホリスティックな学校づくり」を抽象的に語ることを避け、現場のリアリティをふまえて理論構築を行った。とくに、さまざまな「問題」が表出する中等教育段階(とくに、高等学校)に焦点を合わせ、参与観察とインタビューのドキュメント、さらに膨大・な歴史資料の分析を行った。その結果、ホリスティックな学校づくりは、(1)<いのち>の視点に立ち「生徒を大切にする」(自由や規律という「関係の切断」としてではなく)ことを中心に据えること、(2)生徒が置かれた環境(状況)を読み取ることから始め環境を整えるようにかかわっていくこと、(3)教師の自己省察をもとに相互変容を促進していくこと、(4)地域や企業の問題を吸い上げながら地域との関係を再構築していくこと、(5)教師たち同志のコミュニケーションを促していくこと、(6)その際にコーディネーターとしての教師を育て適切な組織を創り出すこと、(7)ひとりで抱え込むのではなく常に集団にかえしていくこと、(3)一人ひとりがネットワーキングというつながり方を生かしていくこと、等々によって可能になることが明らかになった。具体的な方法もレベルでは、表現活動・体験活動の重視、新しい学習方法の工夫(NIEなど)、心身の全体性を回復させるゲームの実施、ピア・カウンセリングの導入、きめ細かな集団づくりなどについて理論的な検討を加えた。

  • 都道府県における高等学校の再編計画に関する研究-教育の多様化と資源配分の観点から

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    1996年
    -
    1997年
     

     概要を見る

    高校教育改革の進展には著しいものがあるが、他方で生徒数の減少は着実に進行しており、高校教育の多様化は高校の再編計画と並行して最適な資源配分を考えながら推進される必要がある。本研究は、このような考えのもと、特色ある教育改革の実践事例から高校教育の多様化の具体像を検討し、都道府県における高校再編計画の最適なモデルの検討を行うことを目的としている。
    2年目に当たる本年度は、昨年度に引き続き全総合学科校に対する郵送による資料請求調査を実施し、加えて、定時制および全日制単位高校および総合選択制高校等の特色ある高校への資料請求調査を実施した。また、宮城県宮城野高校をはじめ数校への、教育課程の詳細や学校運営上の課題等に関する訪問聞き取り調査を行った。
    高校再編に関しては、都道府県教育教育委員会に対して、生徒減少期の教育計画の内容等について資料請求調査を実施し、全都道府県から回答を得た。さらに再編計画の検討が進んでいる県教育委員会(大分県、宮城県等5県)に対しては、生徒減少の動向、再編に関わる審議会等の検討体制、再編計画の内容、再編実施の課題等に関する訪問聞き取り調査を行った。
    これらの資料に基づく分析を踏まえ、総合学科の運営と履修実態、入学者選抜制度の転換、市場原理導入による高校教育改革の成果、施設整備からみた高校教育改革の課題、教育の多様化と学校規模の最適化等についての論文執筆および報告書のとりまとめを行っている。

  • 不登校現象の現代的構造と実践的対応に関する総合的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(総合研究(A))

    研究期間:

    1995年
    -
    1997年
     

    菊地 栄治, 武内 清, 森 重雄, 佐藤 全, 保坂 亨, 有元 典文

     概要を見る

    本研究は、先行研究の理論的限界を踏まえた上で、不登校現象の現代的構造をたどりつつ、実践的対応のあり方について多面的な検討を加えることを目的として実施された。報告書は、二部構成となっている。
    第I部では、とくに教育と「知」の〈近代性〉に着目しながら、「不登校問題」の歴史をあとづけ、現代的な構造を明らかにした。主な知見は、以下の通りである。1.明治初期、近代教育の発展が企てられる際に、「立身出世と人格陶冶」を阻害する行動として不就学が危険視され、今日の「不登校言説」の原型が形づくられた。2.1950年代以降、「学校恐怖症=登校拒否」の出現を契機に、精神医学などの近代知によって不登校現象が解釈され、病理論にもとづいて現象を読み解く思考習慣が押し広げられていった。3.子どもたち自身の語りはメインストリームから排除され、公教育を支配する世界観は機械論的で操作主義的なものにとどまっている。
    第II部では、以下の個別的なテーマについて、補完的な考察がなされた。1.教育法学の視点から、就学義務の規定が再解釈されることによって「学校化」を促す結果をもたらされたわが国の歴史的経緯が詳述された。2.学校による実践や学校文化の違いによって、不登校の現れ方が大きく変化する可能性が実証的に確認された。3.多様な事例を読み解く中で「遊び・非行型」の不登校にはきわめて多様な類型が内包されることが示され、単純な対応の危険性が臨床的に指摘された。4.適応指導教室とフリースペースについてのインテンシブな調査を通じて、不登校現象を読み解くまなざしを転換することの必要性とさまざまな関係を再構築することの重要性が具体的に確認された。近年、不登校現象への対応としてオルタナティブな学び舎の急増が顕著になってきており、本研究の知見は多様な居場所の基本構造の分析結果によって補完される必要がある。

  • 教員の職能成長を促進する勤務校の特性に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1996年
     
     
     

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    1 文献研究の成果
    教員の職能発達に関する先行研究は、統計的方法を駆使した横断的方法に依拠しているために、個別教員の実像から乖離した平均化された職能発達過程を析出するにとどまり、個別教員の職能発達を実際に規定していると予測される勤務校特性と教員特性が職能の発達過程や促進契機にもたらしている個別性の追究が不十分である。
    2 調査結果の概要
    調査票を用いた調査と聞き取り調査を予備的に実施した結果、教員の力量形成に大きい影響を与えた学校は2校目か3校目に集中している。また、(1)尊敬できる上司や先輩教員との出会い、(2)研究授業の経験、(3)安定した家庭生活、の三条件が教員の職能発達の促進要因として回顧されている。
    3 今後の研究課題
    全歴任校の特性と各校別在職期間中の諸経験について教員自身に回顧(自分史)していらい、その記入・記録素材から、教員の自己特性・勤務校特性・職能発達契機の相関程度を解明するためには、更に精緻で簡便な調査票の開発が必要である。

  • 単位制高等学校の意味と機能に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(奨励研究(A))

    研究期間:

    1996年
     
     
     

     概要を見る

    わが国の高校教育は急速に量的拡大を遂げ、「多様な」生徒を受け入れる教育機関となっている。それに加えて、生徒数減少期における公立高校の「活性化戦略」として、高校教育改革が積極的に展開されるようになっている。学校間連携などの履修方法や教授・学習方法の改革、あるいは特別非常勤講師の採用など、さまざまな動きが見られる。なかでも、単位制高校の創設は、硬直化した従来の高校教育のあり方を弾力化する方策として大きな注目を集めている。本研究では、各高校の先導的実践を踏まえながら、単位制高校の意味と機能について理論的・実証的な検討を加えるものである。そうしたなかで、単位制高校の多様な実像が浮かび上がるとともに、高校教育改革の本質を探る手がかりが得られた。たとえば、(1)単位制高校は「高校中退」や「不登校」を経験した生徒が再び「学び」の意味を再解釈する契機を提供していること、(2)その一方で、マクロに見れば「単位制高校」の改革は、近代の枠組みの範囲内の弥縫策にとどまっているということ、などである。また、将来的に単位制高校の主流をなすであろう「総合学科」は本年度45校を数えているが、すでに一部の高校では従来の「総合選択制」への「縮減」が起こりつつある。しかも、そうした「効率化」には既成の社会秩序などさまざまな要因が関連している。端的に言って、高校教育改革の「局所化」は、既存の構造の拡大再生産にすぎない。だが、本研究では、この種の「局所化」を超えるホリスティックな視点をリファインするとともに、そうした試みを展開している高校を発掘し、実践と研究の新しいあり方を探る手がかりを得ることができた。

  • 単位制高等学校の社会的機能に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(奨励研究(A))

    研究期間:

    1995年
     
     
     

     概要を見る

    わが国の高校教育は準義務化し、「多様な」生徒を受け入れる教育機関となっている。それに加えて、とくに公立高校の「活性化戦略」として、高校教育改革が積極的に展開されるようになっている。学校間連携などの履修方法や教授・学習方法の改革、あるいは特別非常勤講師の採用など、さまざまな動きが見られる。なかでも、単位制高校の創設は、硬直化した従来の高校教育のあり方を弾力化する方策として注目を集めている。本研究では、各高校の先導的実践を踏まえながら、単位制高校の社会的機能について理論的・実証的な検討を加えるものである。そうしたなかで、単位制高校の多様な実像が浮かび上がるとともに、高校教育改革の本質を探る手がかりが得られた。たとえば、(1)単位制高校は中学時に「不登校」を経験した生徒が再び「学び」を始めるひとつのきっかけを提供していること、(2)その一方で、現代社会の構造に絡めとられることによって「単位制高校」が一時的な「生徒収容機関」となる危険性があること、などである。また、単位制高校の一タイプである「総合学科」は次年度には42校にまで増える予定であるが、すでに一部の高校では従来の「総合選択制」への「縮減」が起こりつつある。しかも、そうした「効率化」を行なう高校ほど社会的威信が高いという矛盾が生じている。高校教育改革の「局所化」は、既存の構造を拡大再生産するにすぎない。したがって、高校教育改革はもっと根本的な転換へと軌道修正される必要がある。単位制高校の社会的機能を探ることで、高校教育改革の巨視的な意味合いを見定めることができた。

  • 教員の転任が職能成長と学校経営に及ぼす影響に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(一般研究(C))

    研究期間:

    1995年
     
     
     

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    1 文献による基礎的研究から得られた成果
    教員の職能成長の契機に関する先行諸研究を検討した結果、(1)教員が職業人として大きな成長を遂げるのは、入職後の教育経験を通じてであること、(2)したがって、人事行政をつうじて決定される教員の勤務校は、当該教員の職能成長環境としての意味をもっていることが判明したが、(3)教員も学校も同一的な存在ではありえないので、教員の勤務校が教員の職能成長環境としてもつ意味の度合いは、教員の特性と勤務校の特性によって左右されるのではないか、との仮説を析出できた。
    2 転任人事が学校と異動教員に及ぼす効果に関する質問紙調査の結果概要
    都道府県教育委員会の人事担当者は、転任人事の効果を学校の活性化と教員の職能成長の両面について肯定するが、異動教員の職能成長に及ぼす効果を肯定する教員と校長は半数にとどまっている。
    3 教員を対象とする職能成長契機に関する調査結果の概要
    教員の自己特性・勤務校特性・職能成長契機の相関程度を、教員自身の回顧(自分史)を素材として究明するために、教員に記入・記述してもらい、さらに調査の内容や方法の改善に向けて面接調査を実施した結果、(1)力量の変化を教員自身が明確に回顧できる項目を精選して例示すること、(2)例示項目が多義的に解釈されないように意味内容を限定することを通じて、(3)上記の仮説を的確に検証でき、かつ現職教員が短時間でしかも回答し易い調査票の開発を継続して行う必要があることが明確になった。

  • 初任者研修指導教員の指導実態と意識に関する基礎的・実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(一般研究(C))

    研究期間:

    1994年
    -
    1995年
     

    阪本 孝徳, 坂野 慎ニ, 菊地 栄治, 佐藤 全, 伊藤 稔, 牛渡 淳

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    平成7年度における研究の実施状況
    1)国内・外の初任者研修研究資料及び文献の収集と分析を行った。2)初任者配属校及び地方教育センターにおいて、聞き取り調査を実施し、その結果の分析を行った。3)予備調査を踏まえた上で、調査票を作成し、平成6年度に初任者研修を受けた「初任者(308名)」・初任者研修の「指導教員(231名)」・初任者配属校の「校長(228名)」を対象に3県2市において郵送自記式質問紙調査を実施し、その結果の分析を行った。
    新たに得られた知見
    上述の文献研究、聞き取り調査、及び質問紙調査の結果、次の3点が明らかになった。
    1)指導教員と初任者との間の人間関係及びコミュニケーションに係わる意識に齟齬が認められた。
    2)指導教員と他の教員との良好な人間関係及び活発なコミュニケーションにより、校内の初任者研修指導体制が確立し、初任者研修の実効性を向上させることが把握できた。
    3)初任者の学校文化への適応と初任者研修の効果に関連性が見られることが認められた。
    今後の研究課題
    平成6年度から7年度の2年間に渡る研究の結果、初任者研修に係る今後の研究課題として次の3点を指摘できる。
    1)初任者の学校文化への適応及びその促進に関する研究が求められる。
    2)初任者配属校内における研修を充実させるための指導体制・組織に関する研究開発が必要である。
    3)初任者研修の実効性を向上させるために、指導教員の養成・研修プログラム開発に関する研究が緊要となる。

  • 単位制高等学校の構造と機能に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(奨励研究(A))

    研究期間:

    1994年
     
     
     

     概要を見る

    本研究では、高校教育改革の中核をなす単位制高校に焦点を合わせて、その構造と機能について理論的・実証的な検討を加えた。
    単位制高校は、従来の「定時制課程」の立て直し策として位置づけられる場合が多いが、その内実は実に多様である(総合学科をはじめ全日制課程でも導入されつつあるが)。単位制高校は、「保護救済機能」「生涯教育機能」「伝統夜学機能」「進学準備機能」などいくつかの機能を果たしているが、これら社会的諸機能の濃淡は、それぞれの学校の歴史・社会的文脈と個々の学校組織の意思決定によって決定される。とくに、単位制高校の多くは、不登校経験者を窮屈な<学校空間>から解き放つという点で有効に機能している。しかし、単位制高校の生徒と教師を対象にした聴き取り調査の結果によれば、「不登校経験者」の急増によって生徒文化の二極化が生じていることが明らかになった。また、単位制高校の抱えている問題状況は近代社会の<揺らぎ>の縮図でもあり、個別性と共同性をどのように調和させていくかという現代的な課題と通底していることが見いだされた。さらに、不登校現象が近代社会の編成原理(「機械論的自然観」「競争と効率の崇拝」「個人の物象化」等)への<異議申し立て>であるとすれば、単位制高校をめぐる諸問題も個別学校組織の問題として矮小化して捉えるのではなく、教育と社会のあり方そのものへの問題提起として読み取ることの重要性は自ずから明らかである。

  • 教員評価制度の比較研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(一般研究(C))

    研究期間:

    1994年
     
     
     

     概要を見る

    日本の勤務評定は、結果が非公開扱いとされているためもあって、教員の資質能力の改善のためにどのように活用されているかは不明である。勤務評定は、多くの外国でも実施されており、しかも教員の教授能力や職務遂行能力の改善を図る資料としても活用されている。
    形骸化されているといわれる現行の勤務評定とは別の業績評価制度を開発して、その評価の結果を給与に反映させる新しい教員評価制度は、財政が極度に悪化しつつある自治体に限らず、将来的には、すべての都道府県市の公立学校にも導入されることになるであろうとの観測もなされている。
    すでに私立学校の場合には、採用後6年目を境にして、前の年度より基本給の金額を低減し、以後、年功による昇給分を少額に押さえる仕組みの基本給と、点数による独自の評定制度にもとづく職能給を併用している学校が出現している。評価の結果によって賃金に差をもうける教員評価をめぐって紛争が起きている私立学校もあれば、教育機能と経営体質の強化をねらいとする能力主義人事制度の開発と導入を計画している私立学校も少なくないという状況にある。

  • 近年の自然科学・社会科学等の進展・転換に鑑みての教育科学の学的存立基盤の再検討-教育科学の新しいパラダイム構築の基礎作業として-

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(一般研究(C))

    研究期間:

    1993年
    -
    1994年
     

     概要を見る

    (1)本萌芽的研究の当初の作業仮説通り、2年間にわたる内外の文献研究、他領域学者との交流・討論等の結果、近年とくに1980年代以降、教育学の「外側」の自然科学(生物学など)、社会科学(経済学など)の分野で起こっている学問的進展やパラダイス転換というべき状況は、従来のわれわれ教育学者の学的認識にも大きな組み換えを迫るものであることが、基本的に明らかになった。この結果、今後さらに当該研究課題を、他分野の専門家と密接な協同・連携をもちながら(とくに問題認識を同じうする科学技術政策研究の研究者グループや、フランスのCNRSの応用認識論研究所の所員らと)、発展的に継続させていく必要と可能性を確信するに至った。
    (2)具体的に、今日の教育学の学的存立基盤に他学問領域から根源的な疑念が呈されている例として、生物学の立場から、今日の教育の諸学説が大きく依拠してきた(a)ポルトマンの「生理的早産説」、(b)「生物の行動や性質が種の持続のためにある」とする考え、(c)幼児や小学校低学年児童にアニミズムの傾向が強いとする見方、(d)道徳教育などに見られる動物の行動から道徳的な規範を教えようとする傾向……等が根拠薄弱として批判されている(河田雅圭・静岡大学教授など)ほか、経済学、情報科学などの分野からも現存の教育学の発想や認識枠組みの転換が表明されている事例が少なからずあることが明らかとなった。

  • 高等学校における学科編成・履修システムの改善に関する総合的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(総合研究(A))

    研究期間:

    1992年
    -
    1994年
     

    佐藤 全, 屋敷 和佳, 菊地 栄治

     概要を見る

    本研究では、今次の高校教育改革の目玉である「総合学科」を中心に取り上げ、理論的・実証的な検討を加えた。1994年度から設置された「総合学科」は、改革のさまざまな要素を内包している。本研究の中心的な特徴は、都道府県や個々の学校の意思決定のレベルにまで踏み込んで調査を実施した点にある。と同時に、総合選択制高校や単位制高校などいわゆる「新しいタイプの高校」が直面している課題を浮き彫りにするとともに、教授・学習過程をめぐる諸問題についてもあわせて考察の対象とした。その結果、高等学校における学科編成と履修システムの改革に関して、以下の知見が得られた。
    1.総合学科は生徒の進路希望や学力の「多様性」に対応するために導入された新しい学科であるが、個々の高校にとっては組織の「生き残り戦略」として位置づけられている。国と都道府県と高校といった3つのレベルで異なった「思惑」が存在する。
    2.これら3種の意思決定は、多くの場合矛盾なく符合しているようにみえる。しかし、実際には財政的な支援や教員の加配は必ずしも充分ではなく、都道府県や高校では、小規模な改革への「軌道修正」が行なわれる。また、改革プランの策定をめぐって、国と都道府県との間には微妙な「齟齬」も見られ、意思決定の方法を再検討する余地を示している。
    3.普通科志向が依然として強いこともあって、総合学科を「普通科よりも進学に有利な学科」と捉えられる傾向があった。この点は、普通科総合選択制高校についての検討からも容易に推測される。総合学科をはじめとした高校教育改革が「進学校」で実現されないこともあり、改革が大きな成果をもたらすかどうか微妙である。

  • 教育経営研究の学術性と有用性に関する分析的・実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(一般研究(B))

    研究期間:

    1993年
     
     
     

     概要を見る

    教育経営に関する著書・論文のうち、1984年から1993年までの10年間に刊行された学校経営及び教師教育に関する著書・論文を分析した結果、学術性と有用性の両面から教育経営研究の質的向上を図るためには、次のような課題を克服することが必要と言える。
    1)学校の生態の解明
    学校の経営現象を対象とする学校経営研究が成立するためには、対象とする経営現象を教育現象一般から区別しなければならない。その区別の前に、管理職員と個々の教職員の職務遂行活動の生態を、プライバシーの侵害にならない範囲において、日・週・月・学期の各時間や期間と、それらの累積としての年間にわたって観察し、記録する作業が不可欠である。
    2)地域の課題に対応する学校経営の探究
    地域の課題に学校教育を対応させるための学校経営の在り方を追求する研究の前提として、地域の課題解決をも指向した実践的な教育課程を編成したり展開する力量を、教員をはじめ、校長や教育委員会関係者が具有しているのかの検討、あるいは現行の教育内容基準による教科目構成・区分の抜本的検討なども課題に措定しなければならない。さらには、かかる教育関係職員の力量形成という点から、大学で行われている教員養成や教育経営研究の水準と在り方について検討することも必要である。
    3)研究対象としての「学校」種別の拡大
    児童生徒は特定の学校に終生とどまるわけではないので、学校経営研究の対象としての学校は、公立の義務制学校に限定されることなく、幼稚園から大学院までの国公立私立の学校、専門学校、専修学校、各種学校、文部省以外の省庁所管学校、塾や予備校などにまで拡大されねばならない。

  • 総合選択制・単位制高等学校の社会的機能に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(奨励研究(A))

    研究期間:

    1993年
     
     
     

     概要を見る

    本研究では、高校教育改革の中核をなす総合選択制高校と単位制高校に焦点を合わせて、その構造と機能について理論的・実証的な検討を加えた。
    まず、総合選択制高校については、公立高校の地盤沈下という1970年代後半以降の教育変動を背景として設立された点が基本的な特徴である。これが、都市部の高校増設という行政課題と表裏をなしている。たしかに、そのかなりの部分は従来の新設校がたどりがちであった「不人気校化」という運命から逃れることに成功したし、データの再分析から生徒の学校生活への構えも格段に積極的であることが確認された。とはいえ、その効果のかなりの部分は全県学区や推薦入学制度、あるいは積極的な宣伝によってもたらされたものであった。しかも、個々の生徒は、科目選択制を大学入試に必要な最小限の科目を効率よく履修するために利用しており、「普通科と職業学科の統合」というベクトルとは異なる道筋をたどっていることがわかる。他方、単位制高校は、従来の「定時制課程」の建て直し策として位置づけられる場合が多いが、窮屈な〈学校空間〉から生徒を解き放つという点で有効に機能し、中退者の救済機構となっている。しかし、これは教師一人あたりの生徒が比較的少ないことで可能になっているものである。とはいえ、単位制高校はきわめて多様であり、個々の学校の歴史・社会的文脈もさまざまである。これらの多様性を視野に入れながら、「定時性高校」・「単位性高校」がたどってきた歴史的過程から今日の高校教育改革のあり方や社会像について理論的に整理していくことが今後の研究課題である。

  • 高校教育改革モデルの浸透可能性に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(国立教育研究所)  科学研究費助成事業(一般研究(A))

    研究期間:

    1992年
    -
    1993年
     

    牧 昌見, 菊地 栄治, 佐藤 全

     概要を見る

    本研究の目的は、多様な高校教育改革の実態を把握し、その構造的基盤を探ることによって、改革モデルとしての〈浸透可能性〉について理論的・実証的な検討を加えることにある。とくに、総合選択制高校や単位制高校などいわゆる「新しいタイプの高校」の成果と課題についていくつかの事実が浮き彫りになった。主な知見は、以下の通りである。
    1.高校教育改革実践はさまざまな形で行なわれているが、その大半は「大学進学者向けコースの設定」である。教員定数などの面で何らかの支援措置がなければ選択科目を増やすことはできず、「効率」が優先される。
    2.普通科総合選択制高校の成果は学校の社会・歴史的な背景によって異なるが、推薦入試などの選抜方法上の特例措置によって概して高い人気を誇っている。たとえば、最大規模の総合選択制高校である埼玉県立伊奈学園総合高等学校の生徒は、中学時に同等の学力水準にあった別の高校の生徒よりも学校生活に対してはるかに積極的である。しかしながら、その効果のかなりの部分は推選入学などの制度によってもたらされたものである(高校3年生対象の質問紙調査より)。ここに、高校教育改革のパラドックスがある。
    3.1988年より制度化された単位制高校もまたきわめて多様な歴史的背景をもっている。これらの高校はいずれも、ドロップアウトした生徒を〈救済〉するという点で有効に機能しているが、これは教師一人あたり生徒数の少なさときめ細かな個別指導によって可能になったものである。
    4.生徒数の減少にともなって高校・大学間の接続関係は大きく変化し、消費社会における若者文化もまた大きく変容すると予想される。こうしたマクロな動向を把握しながら高校教育改革の行方を見定める必要がある。

  • 中等教育の構造変動と機能変容に関する実証的研究-職業準備教育を中心に-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1989年
    -
    1990年
     

    菊地 栄治

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Misc

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科