平成17年度から3年間にわたった本研究課題の大きな成果は次の3つである。第一に、アジア・ビジネスの研究に関する質の高い国際的ネットワークを構築できたことであり、その形成過程において米・欧・日のMNCsからアジア新興市場への知識移転の重要性をリアルタイムに共有できたことである。とりわけ平成18年12月19日から21日にかけ早稲田大学においてAsia Academy of Managementと共同開催した国際シンポジウムはそのハイライトであったと言えよう。200人を超えるアジア各国からの研究者に加え、本研究課題の海外研究協力者でもあるProf.D.E.Westney(MIT Sloan)をはじめ数十人の有力な欧米研究者も集結し、3日間にわたり白熱した議論を展開できたことは本研究課題の後半の活動に多大なインパクトを与えた。 第二は、限られた予算の中で、各メンバーが担当テーマに関する海外現地調査に積極的に赴き、新興市場のダイナミクスとそこから出現する新興多国籍企業の戦略とビジネス・モデルさらにはメタナショナル化するグローバル競争における国際知識移転のメカニズムに関する貴重な現場情報と知見を獲得したことである。第三には、研究成果の取り纏めとして本研究課題の申請時に予定したとおり、本研究課題の中心メンバーが寄稿した『国際ビジネス入門』、『国際ビジネス理論』、『国際ビジネス研究の新潮流』の3冊を平成20年3月に中央経済社から出版できたことである。特に『国際ビジネス入門』と『国際ビジネス研究の新潮流』については、研究代表者の太田ならびに分担者の桑名と藤井が編著者として、本研究課題メンバーによる3年間の研究成果のエッセンスを取り纏めたものである。
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