2022/10/01 更新

写真a

カイ カツノリ
甲斐 克則
所属
法学学術院 大学院法務研究科
職名
教授

兼担

  • 法学学術院   大学院法学研究科

  • 政治経済学術院   大学院政治学研究科

  • 理工学術院   大学院先進理工学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

  • 法学学術院   法学部

学歴

  •  
    -
    1982年

    九州大学   法学研究科   刑法  

  •  
    -
    1977年

    九州大学   法学部   法律学  

学位

  • 法学修士

所属学協会

  •  
     
     

    中四国法政学会

  •  
     
     

    「法と精神医療」学会

  •  
     
     

    日本生命倫理学会

  •  
     
     

    日本医事法学会

  •  
     
     

    日本刑法学会

 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 人体情報の法的保護と利用の総合的研究

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    2019年度は、編著として、甲斐克則編『医事法講座第9巻 医療情報と医事法』(7信山社・2019年6月)を刊行し、研究テーマに関する大きな成果を上げることができた。本書の中で、甲斐克則「医療情報と医事法」と題しる論文(pp.47-71)を公表した。論文として、甲斐克則「人体組織・人体構成体・人体情報の法的地位とその利用をめぐるルールづくり」大曽根寛=森田慎二郎=神奈川めぐみ=小西稽文編『福祉社会へのアプローチ[上巻] 久塚純一先生古稀祝賀』(pp.289-315)(成文堂・2019年5月)を公表した。これh、まさに本研究が追求する問題解明の大きな成果である。また、甲斐克則編『医事法研究 創刊第1号』を刊行し(信山社・2019年11月)、その中で、甲斐克則「医事法の基本原理――刑法の立場から」(pp.1-15)を公表した。これは、医事法の基礎理論を構築するうえで、大きな寄与となるであろう。さらに、特筆べきは、2019年8月4日~8日にかけて早稲田大学にて日本で初めて第25回世界医事法会議(World Congress on Medical Law)を開催し、program chairとして企画・運営をしたほか、「Regulatory Science and Medical Law」と題する報告もした。世界の52の国と地域から260名余りが参加し、大きな成功を収めた。その他、「ゲノム編集技術をめぐる生命倫理と法」と題して、「世界生命倫理デー:第4回記念セレモニー」(東京医科大学病院)で記念講演を行い、研究成果を広く公表した(2019年10月)。ゲノム編集技術をめぐるルール作りは、喫緊の課題であり、日本のルール作りに貢献するであろう。2019年度は、編著として、甲斐克則編『医事法講座第9巻 医療情報と医事法』(7信山社・2019年6月)を刊行し、研究テーマに関する大きな成果を上げることができた。本書の中で、甲斐克則「医療情報と医事法」と題しる論文(pp.47-71)を公表した。論文として、甲斐克則「人体組織・人体構成体・人体情報の法的地位とその利用をめぐるルールづくり」大曽根寛=森田慎二郎=神奈川めぐみ=小西稽文編『福祉社会へのアプローチ[上巻] 久塚純一先生古稀祝賀』(pp.289-315)(成文堂・2019年5月)を公表した。これh、まさに本研究が追求する問題解明の大きな成果である。また、甲斐克則編『医事法研究 創刊第1号』を刊行し(信山社・2019年11月)、その中で、甲斐克則「医事法の基本原理――刑法の立場から」(pp.1-15)を公表した。これは、医事法の基礎理論を構築するうえで、大きな寄与となるであろう。さらに、特筆べきは、2019年8月4日~8日にかけて早稲田大学にて日本で初めて第25回世界医事法会議(World Congress on Medical Law)を開催し、program chairとして企画・運営をしたほか、「Regulatory Science and Medical Law」と題する報告もした。世界の52の国と地域から260名余りが参加し、大きな成功を収めた。その他、「ゲノム編集技術をめぐる生命倫理と法」と題して、「世界生命倫理デー:第4回記念セレモニー」(東京医科大学病院)で記念講演を行い、研究成果を広く公表した(2019年10月)。ゲノム編集技術をめぐるルール作りは、喫緊の課題であり、日本のルール作りに貢献するであろう。2020年度は、前年度までの研究成果をさらに著書や雑誌で公表する予定である。具体的には、次のような計画である。第1に、ドイツおよび中国におけるゲノム編集技術の法規制の動向をまとめて雑誌に公表し、併せて日本におけるルール作りに関してまとめ、雑誌に公表する。すでに準備はできている。ドイツと中国については、すでに別途現地でヒアリング調査を終えており、その成果も取り入れたい。日本でも、内閣府の総合科学技術イノベーション会議の生命倫理専門調査会の委員としてルール作りに関わっているが、基礎研究に関する倫理指針はすでに完成し、あとは臨床応用に関する法的ルール作りが残っている。自己の研究成果をそこに反映させたい。第2に、ドイツや台湾の議論状況を参考にして、バイオバンクに関する法的枠組みについて研究し、ルールを呈示する予定である。再生医療の発展を促進するためには、バイオバンクの法的制度化が不可欠であり、この問題に力を入れたい。そのためには、北欧の制度をもっと調べる必要がある。第3に、人体情報と法規制について研究成果を著書にまとめる予定であり、すでに準備を始めている。以上の柱を中心に、人体情報の法的位置づけを明確にし、今後のゲノム研究を含めたゲノム情報社会における人体構成体の保護と利用について、日本におけるルール作りの提言を行う方向で研究を進める予定である。そのためには、異分野の専門家との意見交換もより一層充実させていく必要がある

  • 先端医療分野における欧米の生命倫理政策に関する原理・法・文献の批判的研究

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

  • 海上犯罪に対する刑事規制のあり方と近時の動向に関する検討

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    本研究は、刑事法と国際法の研究者が協力して海上犯罪に対する刑事規制の近時の動向を調査、分析し、海上における刑事規制のあり方を総合的に考察しようとするものであり、海上規制の動向や実態を踏まえた上で、各法分野の垣を超えた学際的な視点から各種海上規制の諸問題について法理論的分析を行おうとするものである。本年度は、目まぐるしい展開を見せる昨今の海洋問題を的確にフォローすることに重点を置いた研究活動を実施した。まず、国際仲裁裁判所から南シナ海仲裁裁定が出されたことを踏まえて、同裁定に関する勉強会を行い、南シナ海における造形物を巡る問題と中国の活動、仲裁裁定の判断の意義、位置づけを検討した。次に、尖閣諸島をめぐる昨今の情勢から、わが国の領海警備の現状を正確に認識することが法理論的観点からの分析作業の大前提となるとの認識に基づいて、海上保安庁の協力を仰ぎ、那覇にある第11管区海上保安本部、同保安部所管の石垣島にある石垣保安部、石垣航空基地に赴いて業務説明を受け、意見交換を行うとともに、石垣保安部所属の巡視船「みずき」に乗船して巡視船業務の説明を受け、八重山諸島海域の視察を行った。その結果、第11管区の担任水域における業務は、尖閣の取得以降領海警備の業務量が増し、外国公船、外国漁船、外国海洋調査船、領海主権活動家等に対してそれぞれ関連法令に対応して異なる対応をとる必要性や、観光化による外国クルーズ船の就航・増便にともなう違法薬物等の密輸入事案の発生への対応(立ち入り検査に加え捜査業務)の増加等の現場の実態や問題についての認識を深めた。また、海上保安官による立入検査について海上保安庁法17条の法的性格を巡る問題点に関する勉強会も実施した。海上保安の現状、動向を踏まえた、いわばアップトゥーデートな調査、分析を行っていることから、南シナ海の仲裁裁定の問題や尖閣問題についての調査、分析に重点を置く必要が出てきたことにより、本年度は、当初計画において予定していた事例群(海洋環境や漁業)の調査、分析に代えて、先述の問題を優先的に取り上げることとしたが、現場視察で得た知見の法理論的分析、視察を踏まえた研究会を実施するまでに至らなかった。一昨年、昨年度にわたって実施してきた勉強会と海上保安業務の視察で得た知見を活かしつつ、最終年度は、海上保安の現状を踏まえた問題の法理論分析を進め、研究の総括を行う計画である。本年度は、尖閣や来航が増えた外国船の対応に追われる第11管区とは異なる管区の業務対応に関する知見も深める必要があるとの認識から、とくに海上交通、海上安全に関する業務視察を行いたいと考えている。また、本年度は最終年度に当たるため、研究の総括のための会合や印刷費の予算も必要であることから、そのための予算として昨年度の差額も使用する計画である

  • 人体の適正利用と適正規制に関する医事法上の総合的研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    2015 年 8 月 2 日~6 日にポルトガルのコインブラで開催された第 21 回世界医事法学会に参加し、人体の利用の一場面ともいえる医療器具を使った延命措置の差控え・中止の意思決定について基調講演を行った。また、個人の研究成果として、甲斐克則『臓器移植と刑法』を刊行したほか、甲斐克則『終末期医療と刑法』を刊行したことの意義は大きい。さらに、共同研究の成果として、甲斐克則編『医事法講座第8巻 再生医療と医事法』を信山社から2017年12月に刊行できたことは、最先端の問題領域のルール作りに向けて大きな成果と言える。その他、研究テーマに関する編著や論文(英語論文を含む。)を多数公刊できた

  • 世界における患者の権利に関する原理・法・文献の批判的研究とわが国における指針作成

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

     概要を見る

    哲学と法学を専門とする研究者グループが、諸外国における患者の権利の扱いを調査・研究した。特に、終末期における患者の権利の問題にテーマが集中した。わが国においてすでに提案されている患者の権利法案を検討した上で、現在安楽死が法律で認められているベネルクス3国をはじめ、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、台湾などにおける終末期の患者の権利の取り扱いについて、哲学的法学的に考察した。さらに、患者の権利を広く人間の権利としても捉え、遺伝子や胚から脳死に至るまで人間的存在の権利を守るために、生命倫理はどうあるべきかを考察した。その成果を3冊の資料集として刊行した

  • 臨床法学教育の課題と法科大学院教育の再検討

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2015年03月
     

     概要を見る

    法科大学院における臨床法学教育について、特にエクスターンシップ教育が広く普及している状況を把握し、実習の質を法科大学院が確保することが課題であることを明確化した。国際的臨床法学教育の動向としては、アメリカは臨床科目の必修化に進んでおり、ヨーロッパ各国でも法曹教育に臨床科目の導入が進んでいることを明確化した。医師教育と法曹教育の相互協力については、医師の法的紛争への理解を図ることにつき研究を進めた。また、法曹の継続教育に、弁護士と臨床心理士が協力するプログラムを司法修習の選択型実務修習向けに開発した。家事調停委員の研修プログラムについても、弁護士と臨床心理士の協力によるものを開発した

  • 理論的基盤と臨床実践とを統合する新しい医療倫理学の方法論についての研究

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2015年03月
     

     概要を見る

    本研究は、【1】医療倫理学の統合的方法論の構築、【2】統合的方法論の実践可能性の検証、【3】統合的方法論の法制度的整合性の検証を目標にしてきた。5年間の研究により、統合的方法論を「修正版四分割表」および「ナラティヴ検討シート」として完成させた。これらにより、原則論に基づくジョンセンらの方法と我々が構築してきたナラティヴ倫理による方法を統合して、臨床現場で実践可能な方法論を提示することができた。また、ハンセン病問題、終末期医療、遺伝子医療等についての臨床倫理の検討方法や諸外国との比較法制度論に関する成果等が得られた

  • 世界における終末期の意思決定に関する原理・法・文献の批判的研究とガイドライン作成

    研究期間:

    2011年11月
    -
    2014年03月
     

     概要を見る

    終末期の意思決定に関する法制度・ガイドライン等を批判的に検討した結果、以下のことが明らかとなった。①医師ー患者関係に信頼性があり、透明性が担保されていれば、すべり坂の仮説はおこらないこと、②緩和ケアと安楽死は、相互に排他的なものではなくて、よき生の終結ケアの不可欠の要素であること、③それにもかかわらず、「すべり坂の仮説」を完全に払拭しえないのは、通常の医療である治療の差し控えや中止、緩和医療を施行するとき、患者の同意を医師が必ずしもとらないことにあること。したがって、通常の治療を含むすべての終末期ケアを透明にする仕組みの構築こそが『死の質の良さを』を保証する最上の道であると、我々は結論した

  • 21世紀の新たな生命倫理を求めて

    研究期間:

    2000年
    -
    2001年
     

  • 刑法における自律と自己決定

    研究期間:

    2000年
    -
    2001年
     

  • 生殖医療における人格権をめぐる法的諸問題

    研究期間:

    1992年
    -
    1993年
     

  • 近代刑事法における陪審制度の総合的研究

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    研究の初年度である平成2年度は、次のような研究活動を行った。1.陪審制に関する諸外国(英,独,仏,米,スウェーデン,ソ連)の現在の議論及び歴史に関する調査・研究を行った。2.1.の研究の前提として,陪審制に関する内外の文献蒐集を行った。3.陪審制と捜査手続,証拠法,上訴制度,量刑手続,更には実体法と関係について,各研究分担者に個別にテーマを割り振り,個別研究を行った。4.研究状況の把握と相互調整を行うために,2回の合同研究会を開催した。5.新潟地裁に継続中の事件を素材として「影の陪審」による実証的調査研究を行った。研究の第二年度である平成3年度も、前年度に引き続き次のような研究活動を行った。1.個別研究に関しては,各研究分担者が各自に与えられた個別テーマを継続して研究し,その成果の一部は研究会において発表された。2.本年度も2回(数名の専門知識提供者を招いて)の合同研究会を開催した。その際,個別報告に加えて,(英・米・仏・独における)陪審制度の歴史的・比較法的検討を目的とした共同研究報告を基に討論を行い,陪審制度採用・導入の理由及び近代刑事司法に与えた影響,具体的な問題点の分析を行った。3.陪審制度の理念,運用論,判例に関する内外の資料蒐集とその分類を継続して行った。重要と思われる多くの外国古典文献のリストアップを行ったものの,その蒐集には更に時間を要することが明らかになった。4.「影の陪審」を使用した実証的研究を前年度に引き続き行った。「近代刑事法における陪審制度の総合的研究」と題する本研究は,その性質上,広範囲にわたる確実な基礎研究を土台とする。2年間の研究活動は,その主目的をこの土台の確固たる構築に設定したが,それは着実に成果をあげ,その一部は「法律時報」誌(第64巻5号),「刑法雑誌」(第32巻4号)他に公表された。しかし本研究は,当初の計画以上に多角的かつ詳細な研究を要することが今年度の研究活動を通じて明らかになった。今後は,陪審制を我が国に導入する具体的な条件整備に向けてより詳細な研究(とくに,我が国の戦前の陪審制度導入過程,実施状況とその問題点,停止理由に関する歴史的研究及び我が国における陪審法試案の総合的研究)を行う必要があろう。なお,研究の成果は,『陪審制度の総合的研究』と題する著書において公表される予定である

  • 生殖医療における人格権をめぐる法的諸問題

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    1.研究分担者全体による数回の研究会ないしインフォーマルな意見交換・討議などを通じて、本問題をめぐる理論的ないし実際的論点が浮彫りにされ、在るべき政策論的方向性が一定程度明らかにされた。その成果の一端は別紙研究報告書の各論文に反映されるとともに、とくに下記「勧告案」に十分反映・集約されたように思われる。2.しかし本研究の最大の成果といえるものは、別紙研究報告書所収の「勧告案」であり、ワーキンググループを組織して調査・検討を重ね、数回の特別研究会と全体研究会を通じて昨年暮ようやく最終案の成立にこぎつけることができた。この間研究分担者以外の法学者、医師ないし医学関係者、弁護士、フェミニスト・グループ、社会学者等広く各界の方々から、研究会、アンケート調査等の形で広く意見の聴取・交換をおこない、それを可及的に「勧告案」の作成にあたり参考とするように努めた。この「勧告案」はすでに専門医学関係学会でもとりあげられるとともに、法律関係専門雑誌にも近く若干のコメントを付して掲載の予定であり、今後各界に広く反響をよぶことが期待される。3.本問題をめぐる外国の研究動向・立法の動き等につき、文献・資料その他の情報収集につき一定の成果があった。とくに立法動向については、従来日本ではあまり紹介されていない諸国の法令につき収集・翻訳をすすめ、その一端を資料集に収めることができた。4.その他、多数の資料・情報の収集につき成果があったが、その一端は資料集に収集したところを参酌されたい

  • 日米司法制度の構造分析と訴訟による紛争解決過程

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    本研究の主題は、アメリカの紛争解決のシステムを、制度と、制度を担う法曹職の活助の双方から分析し、粉争解決システムの理解を深めることにあった。第一の粉争解決制度についていえば、アメリカ司法の特色をなす陪審制度は、アメリカの民主主義の思想と、現実社会における機能とに深く結びつくことにより、多くの批判にさらされながらもなお維持されている。しかしその運営は裁判所、陪審裁判への参加を求められる市民などの極めて大きな負担の下に成り立っており、権利救済の効率性を高めるためにも、粉争解決のために多くの代替的粉争解決制度(ADR。裁判所内外の仲裁・調停制度や少額訴訟制度のみならず、刑事手続きで用いられる「司法取引」も、同じ機能を果たす)が設立され、これに依拠せざるをえないという実状がある。第二の法曹職についていえば、特に弁護士業務の競争と、その帰結としての法曹業務の専門化が指摘される。1 弁護士間の競争は一面では濫訴壮会の弊害を確かに生むが、他面ではこの競争が潜在的に救済を求める人々を発掘し、司法による救済の高度化(人種差別・性的差別の禁止、消責者被害の救済など)に寄与してきたことも看過してはならない。2 専門化された法曹のサービスは、問違いなく刑事裁判、民事裁判を問わず、そして特に特許訴訟や独占禁止法上の訴訟のような技術性の高い訴訟における司法手続きの高度化に寄与する。3 契約書や遺言書の作成、法律業務を含むコンサルティング業務など、高度の裁判外法律サービスが専門化された法曹職により提供されている。わが国の法曹職のあり方が問われている中で、示唆するところは大きい

  • 刑事過失論の総合的研究-責任原理を視座として-

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    1.平成9年度の研究により、責任原理の基礎づけができ(「責任原理の基礎づけと意義-アルトゥール・カウフマン『責任原理』を中心として」『市民社会と刑事法の交錯』所収)、また、過失犯に造詣の深い研究者たちと「過失犯理論の総合的研究」というシンポジウムを開催し、その成果を刑法雑誌38巻1号に掲載することができた。私のテーマは過失「責任」の変遷を分析しつつ、その本質を問いなおすことにあった(報告書第1章参照)。さらに、過失責任の本質を追及しつつ、そこから「認識ある過失」と「認識なき過失」の区別をし、「認識なき過失」の不可罰性を導くことができた(報告書第2章)。また、平成10年度には、長年続けてきたドイツの碩学アルトゥール・カウフマンの大著『責任原理-刑法的・法哲学的研究-』の翻訳作業が完了した。最終的出版は、諸般の事情で平成11年度になったが(九州大学出版会)、存在論的観点から責任原理の法哲学的意義と基礎づけを明らかにした画期的な業績だとの評価を得た。2.各論的研究としては、まず、火災死傷事故と過失犯について、とりわけ信頼の原則と過失責任との関係を中心とした考察を行い(報告書第三章)、組織における監督者や管理者の過失責任のあり方を示した。つぎに、過失犯と故意犯の複合領域の問題として、「放火罪と公共棄権発生の認識の要否」の問題を実施的責任原理の観点から深く検討し、認識必要説を全面的に展開した(報告書第四章)。第三に、最近の重要判例である近鉄生駒トンネル火災事故控訴審判決を取り上げて、逆転有罪の論理を批判的に検討した(報告書第五章)。第四に、医療事故の原因と防止策を多角的に論じたイギリスのヴィンセントほか『医療事故』を安全学研究会のメンバーと共同で訳出した(ナカニシヤ出版)。医療事故が問題になっているだけに、各方面から注目されている

  • 在宅ケアにおける医療事故の把握と訪問看護婦の注意義務についての分析

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    急速な高齢化社会、疾病構造の変化による医療経済の肥大は、わが国の緊急課題となり、保健、医療、福祉を統合した老人保健法(昭和57年)、医療法の改正(平成4年)、保健保険法の改正(平成6年)、介護保険法の制定(平成10年)と、病院医療から在宅医療へと一気に推し進めてきた。一方、病院施設では看護婦からの医療事故が多発し、医療現場におけるチーム医療の未熟性、医療・看護体制の諸問題が浮上してきた。患者の人権を主眼とした医療者の意識改革と危機管理は始まったばかりであるが、在宅医療の危機管理までには至っていない。そこで、本研究は、在宅における医療事故を把握し、訪問看護婦の注意義務の分析を目的に訪問看護婦と介護者の医療事故の実態を調査した。訪問看護婦の「ミス」は49件、「ニアミス」は263件であった。病院と同様に与薬に関する誤りが最も多数を占めた。介護者の「ミス」は547件、「ニアミス」720件であり、介護者の違法行為も明らかになった。また、医療法の在宅医療により、患者の居宅が病院と同様に「医療の場」と位置づけられたことは、在宅患者にも「人的」、「物的」に安全を保障する危機管理が必要である。厚生省令による訪問看護婦の業務はは、かなりの「裁量」を認めていることから、仮に過失が生じれば看護婦の注意義務に比して、厳しい基準で注意義務が課されることになるであろう。また、在宅医療は、密室性が病院より濃厚であるので、家族の負担と引き換えに医療事故が隠蔽され、社会的弱者の安全が脅かされる危険性がある。患者の安全確保のために、高度な専門的判断能力を有する人材育成が在宅医療を機能させる鍵である

  • 医事刑法の総合的研究-自己決定権とパターナリズムの交錯-

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    「医事刑法の総合的研究-自己決定権とパターナリズムの交錯-」という研究課題に3年間取り組み、総論部分としては、自己決定(権)思想ないし理論の根本に遡って考察し、とりわけ第79回日本刑法学会大会第I分科会で「刑法における自律と自己決定」というシンポジウムをオーガナイザーとして担当して、研究成果を発表できたことは大きな意義があった。そこでは、自己決定は重要だが万能ではない、というかねてからの私の主張が大方の理解を得た。また、医事刑法の体系の骨格ができ、法律専門誌「現代刑事法」に「医事刑法への旅」と題して長期連載中である。各論的部分としては、上記「医事刑法への旅」で、医事刑罰法規の体系、治療行為、輸血拒否、人体実験・臨床試験、医療事故、薬害等について論稿をまとめ、公表したし、日本医事法学会第30回大会シンポジウムにおいては医療過誤に関する刑事法的観点からの分析・検討を報告してインパクトを与えた。また、薬害エイズ事件では、一連の論稿を発表し、各方面にインパクトを与えた。終末期医療においては、長年の研究を『安楽死と刑法[医事刑法研究第1巻]』(成文堂)としてまとめ、出版したことは大きな成果であった。今後続刊を刊行予定である。さらに、生殖医療やクローン問題、ES細胞問題のような最先端の諸問題についても一連の論稿を発表し、議論を喚起することができた。以上のように、3年間の研究成果は、実に実り多いものであった

  • 生命科学・医学の発展に対応した社会規範形成-生命倫理基本法の構築

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    本研究では、ゲノム科学、再生医療、臓器移植、ヒト胚研究等の生命科学・医学の諸分野の科学的発展と課題を明らかにし、そこに生じうる倫理的法的社会的問題を把握し、学際的に理論的および実際的側面に配慮しつつ、新しい社会規範としての生命倫理のあり方と体系を総合的に検討して、生命倫理基本法の枠組みを提言した。具体的には、生命倫理基本法の必要性と基本的考え方、生命倫理一般原則群、分野別規範群、倫理審査体制、国や社会の取り組みを提示した。それらの内容は国際基準及びアジア的価値観とのすり合わせも行った

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特定課題研究

  • 人体情報の法的保護と利用の総合的研究

    2018年  

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    本研究の成果として、3つの観点で成果をあげることができた。1.海外調査として、2018年10月末から11月初めにかけて、平成30年度科学研究費補助金「挑戦的研究(萌芽)」課題番号18K18554「人体情報の法的保護と利用の総合的研究」と連動して、アメリカのニューヨーク大学ロースクールで医事法の専門家Sylvia Law教授、およびBioethics Centerで所長の生命倫理の専門家Matthew Liao教授をそれぞれ訪問し、アメリカのHIPPAAルール、遺伝子差別禁止法(GINA)、ゲノム編集について意見交換をして最新情報を入手することができた。2.2018年11月末に、香港大学で開催された第2回Human Gennome Editing 国際サミットに参加し、ヒトゲノム遺伝子改変をめぐる世界の最新情報を入手することができた。3.論文として、「人体組織・人体構成体・人体情報の法的保護と利用の総合的研究」『久塚純一先生古稀祝賀祈念論集』(成文堂・2019年)、「医療情報と刑法」甲斐克則編『医事法講座第9巻 医療情報と医事法』(成文堂・2019年)をまとめた。

  • 医療安全の制度に関する法的・倫理的研究

    2017年  

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    2017年4月14日にフランスのリヨン第3大学で開催された「医事刑法国際シンポジウム:French Law from a Comparative Law Perspective: Foran Overhaul of Medical Criminal Law?」(13か国参加)において、「Medical Accidents and Criminal Responsibility inJapan.」と題して報告した。その成果はは、すでに書籍でフランスにおいて刊行されている。また、2017年11月3日には、国立台湾大学法律学院において、「持続可能な医療安全と医事法」と題する講演を行い、2018年3月13日には、台湾の国立高雄大学法学院で、専断的治療行為と刑法について講演した。

  • 医事法の日中比較研究

    2016年  

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    医事法の日中比較研究のうち、高齢社会を迎えた中国では、特に終末期医療に関心が高まりつつあるし、また医療事故についても関心が高まりつつあることから、2度にわたり、中国を訪問し、講演と意見交換を行った。まず、2016年11月に重慶市の西南政法大学法学院と南京市の東南大学法学院を訪問し、学者および大学院生を対象に「過失・危険の防止と(刑事)責任の負担」と題する講演を行った。次いで、2017年3月には、重慶市の西南政法大学法学院を訪問し、終末期医療について、「終末期の意思決定と医師による自殺幇助」と題する講演を行った。なお、ゲノム編集に関する中国の学者の講演の訳を刊行し、また、これに関する論文を執筆した。

  • 終末期医療における意思決定の研究

    2015年  

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    日本における終末期の意思決定について、世界医事法学会第21回大会(ポルトガル・コインブラ)の全体会議で基調講演を英語で行った。世界の専門家が集まる中でEnd of life Decision in Japan と題する基調講演できたことは、日本の理論的実務的現状と課題を広く知ってもらうことになり、大きな意義があった。また、小児の終末期医療について、医学系の雑誌に論文を2本掲載した。小児の終末期医療は、自己決定の論理が簡単に使えないため、より難解な課題があるが、その解決に向けた方向性を示すことができた。さらに、『臓器移植と医事法』という書を「医事法講座第6巻」として公刊した。国内外の脳死臓器移植や生体移植のの問題について、法的・倫理的・社会学的アプローチに基づいた多数の論文を収録した本書は、実に有益な内容となっている。その他、編訳書として、『海外の安楽死・自殺幇助と法』を公刊した。本書は、私が長年親交のある海外の著名な法律家を招いて日本で講演していただいた原稿を改めて翻訳しなおし、編集して配列したものであり、アメリカ、イギリス、オーストラリアの、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの状況が詳細に分析されている。

  • 医事刑法および企業刑法に関する日中比較研究

    2014年   甲斐 克則

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    医事刑法および企業刑法に関する日中比較研究の一環として、2014年5月24日に中国南京市にある東南大学法学院において開催された、中国・台湾・日本の医事法シンポジウムに出席し、「医療情報の保護と利用の刑事法上の問題」と題する報告をして意見交換をしたほか、5月25日には、東南大学法学院において、大学院生を相手に「医療事故と刑法」という講演を行い、意見交換をした。前者については、中国ではまだ十分い研究されておらず、関心を強く持たれた。これは、中国の著名な法律雑誌「法学論壇」29巻に中国語に翻訳されて公表された。後者についても、中国でも関心が高く、私の過失犯論を含め、興味を強くもっていただき、中国のしかるべき雑誌に掲載予定である。企業刑法については、中国でのコンプライアンス調査を含む世界6カ国および日本の企業コンプライアンスと刑事法に関する編著(甲斐克則=田口守一編『刑事コンプライアンスの国際動向』を信山社から刊行予定である(現在校正中)。 

  • 人体構成体・遺伝情報・DNAの保護と利用の法的・倫理的研究

    2008年  

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    人体構成体・遺伝情報・DNAの保護と利用の法的・倫理的側面に焦点を当てた比較法的研究を行い、以下のような成果を得た。(1) 2004年にゲノム解析完了宣言が出され、ポストゲノム社会を迎えた今日、遺伝子診断や遺伝子検査は加速度的に普及しつつあり、予知医学, 親子鑑定, 犯罪捜査の分野におけるDNA鑑定も定着しつつある。他方、遺伝子特許, ゲノム創薬, 遺伝情報を用いたビジネスをめぐる諸問題も生じつつある。これにどのように対処するか、という点にスポットを当てて、国際シンポジウム「ポストゲノム時代に向けた比較医事法の展開―文化葛藤の中のルール作り――」を早稲田大学比較法研究所50周年記念シンポジウムの一環として2008年6月28日-29日に早稲田大学にて開催し、企画・総合司会・報告を行った。日本の学者6名、オーストラリア、ドイツ、ニュージーランド、フィリピンの学者による、まさに学際的な比較医事法シンポジウムになった。この成果は、2009年度に信山社から『ポスト・ゲノム社会と医事法』と題して刊行されるよていである。(2) 「欧米における遺伝情報の保護と利用をめぐる議論――日本が目指すべき方向――」と題して、2008年6月20日、国立がんセンターで開催された第14回日本家族性腫瘍学会において、招待講演を行い、好評を得た(後掲論文参照)。(3) 2008年9月4日には、クロアチアのリエカ大学で開催された第9回世界生命倫理会議および第5回国際臨床生命倫理学会において、Legal Protection and Use of Genetic Information and DNA と題する報告を行った。          (4) 2009年3月12日には、Model of regulation on Medical Innovation/Medical Research from the Perspective of Comparative Law と題して、台湾の中央科学院(台北市・Academia Sinica)で開催された第5回国際臨床倫理コンサルテーション学会において研究成果を報告した。3月9日から13日にかけて20ヶ国から参加した専門家との議論も行った。                   

  • 生命の発生をめぐる生命倫理と法規制

    2004年  

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    (1) 生命の発生をめぐる生命倫理と法規制のあり方について、主としてイギリスにおける治療的ヒトクローン技術の応用と法的・倫理的規制の枠組を中心に研究をした。その成果は、2004年6月6日に金沢大学において開催された第67回比較法学会シンポジウム「生命倫理と法」で報告し、「生命倫理と法--イギリス」と題して、比較法学会誌の比較法研究66号に掲載した。また、より詳細な研究成果を「イギリスにおけるヒト胚研究の規制の動向」と題して比較法学38巻2号に発表している。なお、関連論稿として、デレク・モーガン「バイオエコノミーを規制すること--バイオテクノロジーと法との関係の予備的評価」を法律時報77巻4号に永水裕子氏と共訳で掲載した(いずれも後掲参照)。(2) 最先端の生命科学技術、特に生命の発生の周辺の問題は、進歩が早く、倫理的・法的ルール作りが追いつかない現状にある。固い規制で縛りをかけ過ぎると、人類に取り有益と見込まれる研究の阻害となり、緩すぎると、人権侵害ないし「人間の尊厳」に抵触する倫理的・法的諸問題を引き起こす。本研究では、イギリスの判例や報告書等の分析動向を主たる素材として、両者の調和を図るには、ハードローとソフトローの組合わせが必要であることを論証した。(3) イギリスでは、生殖補助医療については、Human Fertilisation and Emryology Act 1990を受けてHuman Fertilisation and Emryology Authority という認可機関が管理し、認可違反について刑事規制を行うシステムを作り出した。それでもなおその枠に収まりきれない問題、例えばES細胞を用いた研究や治療的クローンの問題については、『幹細胞研究の実証的研究に関する英国上院委員会報告書』が2002年に出され、その勧告に即して柔軟な対応が行われている。日本でも、この手法は大いに参考になる。                                  

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