2024/12/21 更新

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イチダ トシヒロ
市田 敏啓
所属
商学学術院 商学部
職名
准教授
学位
Ph.D. 経済学 博士号 ( コロンビア大学 米国ニューヨーク市 )
M.Phil. (経済学) 学術修士号 ( コロンビア大学 米国ニューヨーク市 )
A.M. (経済学) 修士号 ( コロンビア大学 米国ニューヨーク市 )
M.A.L.D. (International Relations) 法律外交修士号 (国際関係) ( 米国タフツ大学フレッチャースクール外交法律大学院 )
学士 (経済学) ( 東京大学 )
ホームページ

経歴

  • 2004年
    -
     

    コロンビア大学経済学部、ハーバード大学経済学部、タフツ大学フレッチャースクール

  • 2003年
    -
     

    Fall Money and Banking, Columbia University (TA)

  • 2003年
    -
     

    Spring Principles of Economics, Columbia University (TA)

  • 2003年
    -
     

    非常勤講師およびTA(授業助手)

  • 2002年
    -
     

    Fall Game Theory, Columbia University (TA)

  • 2002年
    -
     

    Spring Principles of Economics, Columbia University (TA)

  • 2002年
    -
     

    <科目名>

  • 2001年
    -
     

    Fall Intermediate Microeconomic Theory, Harvard University (TA)

  • 2000年
    -
     

    Summer Intern, International Monetary Fund, African Department Washington DC, USA

  • 1999年
    -
     

    Fall Mathematics for Economics (Ph.D. Level), Columbia University (TA)

  • 1998年
    -
     

    Fall Quantitative Methods and Statistics, The Fletcher School (TA)

  • 1998年
    -
     

    Summer Principles of Economics, Columbia University (Instructor)

  • 1996年
    -
     

    ベイン・アンド・カンパニー、ジャパン (アメリカ系経営コンサルティング会社) アソシエイト・コンサルタント

  • 1996年
    -
     

    Spring Principles of Economics, Columbia University (TA)

  • 1992年
    -
    1995年

    Associate Consultant, Bain & Company, Inc. (Management Consulting) Tokyo, Japan

  •  
     
     

    IMF (国際通貨基金) サマーインターン 夏

  •  
     
     

    Fall Intermediate Microeconomics, Columbia University (TA)

  •  
     
     

    Instructor and Teaching Assistant

  •  
     
     

    早稲田大学商学部 准教授 現在

  •  
     
     

    早稲田大学商学部 専任講師

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学歴

  •  
    -
    2004年

    コロンビア大学   大学院経済学研究科   経済学 学術博士  

  •  
    -
    1997年

    タフツ大学フレッチャースクール   国際関係学研究科   国際関係論  

  •  
    -
    1992年

    東京大学   経済学部   経済学科  

所属学協会

  •  
     
     

    エコノメトリック・ソサェティ

  •  
     
     

    アメリカ経済学会

  •  
     
     

    日本国際経済学会

  •  
     
     

    日本経済学会

  •  
     
     

    IEFS Japan

  •  
     
     

    カナダ経済学会

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研究分野

  • 経済政策 / 理論経済学

研究キーワード

  • 国際貿易の理論、ミクロ経済学、経済理論、国際経済学、職業選択(転職)モデル、不確実性と人的資本の投資

受賞

  • コロンビア大学経済学部優秀授業賞

    2002年05月  

 

論文

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書籍等出版物

  • 多次元スキルエージェントの職業選択及び人的資本と国際貿易

    市田敏啓

    三菱経済研究所  2008年03月 ISBN: 9784943852230

  • 「北米自由貿易協定」に関するエントリー

    市田敏啓

    矢口祐人・吉原真里 編著 「現代アメリカのキーワード」中公新書  2006年08月 ISBN: 4121018575

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 特許政策の違いが国による比較優位を形作るか

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    市田 敏啓

     概要を見る

    技術開発には全く新しいアイディアを生み出すイノベーションと既存のアイディアを拡張した模倣的なものがある。それぞれの費用が多次元に異質である際の企業のインセンティブを理論的に分析した。特許期間が固定されている場合には、政府が類似特許をどのように差別度合いを判定するか、営業秘密をどれくらい保護するかによって、それぞれの費用を変えることができる。本研究では、政府の政策が2次元の費用空間の分布にどのような影響を与えるかと、その違いが国の比較優位にどのような影響を与えるかを分析することを目的とした。本研究の学術的な特色としては、まったく新しいイノベーション費用と既存研究を拡張した模倣費用という2種類の開発費用が、2次元に分布している場合に、さまざまな特許政策によって、産業やアイディアの異質性にどのように影響を与えるかを示し、2次元の費用の異質性が国の産業の比較優位を生み出す方向性を初めて理論的に分析するところにある。それと同時に、我が国の特許政策の在り方を検討するうえでも重要な役割を果たすことが期待される

  • 観光立国による経済発展の可能性に関する経済理論の構築およびその実証

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2017年03月
     

    柳瀬 明彦, 市田 敏啓, 藤井 孝宗

     概要を見る

    観光産業をサービス貿易の一形態として国際貿易モデルに取り入れた経済理論を構築し、観光産業の発展およびそのための政府による諸政策が経済に与える影響を明らかにした。特に、動学的貿易モデルの枠組みで観光の拡大が観光インフラ資本の水準や経済厚生に与える効果についての検討や、観光部門で環境汚染が発生する状況において貿易政策や環境政策が環境汚染水準や経済厚生に与える影響についての検討を行った。さらに、本研究では理論分析のみならず、地域経済分析システム(RESAS)のデータ等を用いた実証分析も行った

  • グローバル経済におけるビジネスと会計制度の変化に関する経済学的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2012年
    -
    2016年
     

     概要を見る

    本年度は初年度であり、当初の計画にしたがい、各グループ((a)ビジネス経済、(b)グローバル経済、(c)経済制度)内とメンバー全体が参加する会合(月1回)を通して、複数の共同研究課題を始動させた。特に、重要なアジェンダとして、「経済成長や市場整備が遅れた国々における会計制度に関する研究」(以下「途上国のビジネス経済学研究」と呼称)を想定して、複数の共同研究課題を開始した。例えば、IFRSのマクロ経済や金融市場に与える影響、ビジネス慣習が企業のパフォーマンスに与える影響、会計制度のネットワークやメカニズムデザイン理論による分析などである。
    従来からのセミナー(通称「金曜セミナー」:第2・4金曜日)を開催し、学内外の有力な研究者を招聘することにより、経済学と関連分野の研究フロンティアの共有に努めた。さらに、会計分野における計量分析の現状を確認し、かつ、共同研究課題選定に資するため、今年度より「経済と会計ワークショップ」を開始した。初年度として、2013年3月に外国から有力なゲスト講演者を招聘し、キックオフ・イベント(国際ワークショップ)を開催した。(a)の理論研究に関しては、Waseda Lectures on Auction Theory and Behavioral Economicsと題して、公開連続講義を開催した。(b)と(c)に関しては、Waseda Lectures on Auction Theory and Behavioral Economicsとして、モンゴルとバングラディシュにおける会計簿記制度の現状について、お二人の現地専門家による公開連続講演会を開催した。
    主に次年度に繰り越された資金により、当プロジェクトの公式ホームページが開設された。メンバー間の情報交換やセミナーやワークショップ情報などが配信され、各研究課題の研究成果の公開も随時加わる予定である。

  • 企業活動のグローバル化は非正規雇用の増加に寄与するか

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    市田 敏啓

     概要を見る

    本研究は企業活動のグローバル化が日本企業の非正規雇用増加にいかなるメカニズムでかかわっているかを理論とデータ分析で明らかにすることを目的とした。企業がなぜ正規雇用と非正規雇用を混ぜて採用するのかは、労働者の解雇コストと正規雇用者の人的資本投資による生産性の増加と、企業売り上げの不確実性がグローバリゼーションで増加したことのトレードオフで理論的には説明ができた。しかし、実際のデータ分析をみると、企業の輸出比率と非正規雇用比率との間には逆の相関が見られ、理論モデルで提示したロジック以外の要因が働いていることが推察された

  • 流通チャネルとブランド戦略が多国籍企業の途上国消費市場参入形態の選択に及ぼす影響

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    市田 敏啓

     概要を見る

    本研究は多国籍企業がホスト国の消費者市場に参入を考える場合にいかなる参入形態選択すべきかを理論的に分析することを主眼としている。その際に主に2つの観点からの分析を行った。一つ目はブランドの差別化の度合いに応じて参入形態が変わるという考え方である。また、二つ目は流通チャネルコントロールの問題にマルチタスクのプリンシパル・エージェントモデルなどを応用することでメーカーと小売りの指向の違いが参入形態を変えるという考え方である

  • アジア新興市場における知識移転とシンガポール企業の組織学習

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    太田 正孝, 川辺 信雄, 杉浦 正和, 市田 敏啓, 桑名 義晴, 今井 雅和, 藤井 健, 蛭田 啓

     概要を見る

    平成17年度から3年間にわたった本研究課題の大きな成果は次の3つである。第一に、アジア・ビジネスの研究に関する質の高い国際的ネットワークを構築できたことであり、その形成過程において米・欧・日のMNCsからアジア新興市場への知識移転の重要性をリアルタイムに共有できたことである。とりわけ平成18年12月19日から21日にかけ早稲田大学においてAsia Academy of Managementと共同開催した国際シンポジウムはそのハイライトであったと言えよう。200人を超えるアジア各国からの研究者に加え、本研究課題の海外研究協力者でもあるProf.D.E.Westney(MIT Sloan)をはじめ数十人の有力な欧米研究者も集結し、3日間にわたり白熱した議論を展開できたことは本研究課題の後半の活動に多大なインパクトを与えた。第二は、限られた予算の中で、各メンバーが担当テーマに関する海外現地調査に積極的に赴き、新興市場のダイナミクスとそこから出現する新興多国籍企業の戦略とビジネス・モデルさらにはメタナショナル化するグローバル競争における国際知識移転のメカニズムに関する貴重な現場情報と知見を獲得したことである。第三には、研究成果の取り纏めとして本研究課題の申請時に予定したとおり、本研究課題の中心メンバーが寄稿した『国際ビジネス入門』、『国際ビジネス理論』、『国際ビジネス研究の新潮流』の3冊を平成20年3月に中央経済社から出版できたことである。特に『国際ビジネス入門』と『国際ビジネス研究の新潮流』については、研究代表者の太田ならびに分担者の桑名と藤井が編著者として、本研究課題メンバーによる3年間の研究成果のエッセンスを取り纏めたものである

  • 多次元スキル職業選択モデルの国際貿易、人的資本投資と「負け組」補償制度への応用

     概要を見る

    本研究費の助けを借りて、コロンビア大学での博士論文の中で開発した「多次元の才能を持った個々の経済主体が職業選択できる一般均衡貿易モデル」の応用を(少なくとも)2つの方向において分析を行った。1つ目は国際貿易によるパレート改善への応用についてである。国全体としての貿易利益を政府が所得の再配分を行うことによって、国民のパレート改善を狙うことが理論上は可能であるが、実際の世の中では貿易自由化後の負け組を補償するような再配分制度はうまくいっていない。多次元スキルの理論モデルを用いて、なぜ再配分制度がうまく行かないのかを解明しようとした。2つ目は、人的資本投資への応用である。多次元に才能が多様化している個人からなる経済を考える。「生まれつき才能が差のある個人は特化型の人的資本投資と、ジェネラリスト志向のどちらを好むか」を分析する。本研究は理論研究であるために、その中身を精緻化するプロセスでは、自ら作り出したモデルに対しての学者仲間による建設的な批判を受けることが重要である。そこで、本研究費のサポートによって、国内外でのセミナーや欧米での国際学会に参加して研究発表を行い有益なフィードバックを得ることができた。1つ目のトピックでは、政府が個人の才能を観察できない場合には、過剰補償とパレート改善の間にトレードオフが存在することを証明した。場合によっては、過剰補償による政府収支の不均衡を怖れる政府はパレート改善をあきらめてしまうことがあり得ることが分かった。二つ目の人的資本投資問題では、不確実性のもとではリスク回避度の高い個人たちは自分が苦手な方向に特化した投資を行うことがあることを明らかにした。これらの分析結果は三菱経済研究所から発行された書籍に紹介されており、現在、英文の論文として海外学術雑誌への投稿途中にある

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 国際貿易論と知的財産権の融合分野の研究

    2012年02月
    -
    2014年02月

    アメリカ   コロラド大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 商学学術院   大学院商学研究科

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2019年
    -
     

    産業経営研究所   兼任研究所員

特定課題制度(学内資金)

  • グローバル化からのパレート改善に平均所得課税制度の導入は役に立つか?

    2015年  

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    市田は未発表論文"Job Switching, Cumulative Income Tax, and Pareto Gains from Trade" Toshihiro Ichida, pp.1-26.を以下の学会、研究セミナーにて研究発表した。East Asian Economic Association Meeting,  2014年10月 タイ・チュラロンコン大学(学会発表)査読無名古屋国際経済研究会 2014年7月 徳島大学(学会発表)査読無2015年の4月にJOurnal of International Economicsに投稿したTrade-offs in Compensating Transfers for a Multiple-skill Model of Occupational Choice論文は残念ながら6月にrejectされて戻ってきたので、現在加筆修正中である。

  • イノベーションと模倣費用の2次元モデルにより特許政策が比較優位に与える影響の分析

    2015年  

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    市田は論文” Imitation versus Innovation Costs: Patent Policies under Common Patent Length”を下記のコンファランスにて発表した。SIBR-Thammasat 2013 Conference on Interdisciplinary Business & Economics Research June 6-8, 2013. Bangkok, Thailand.9th Annual Meeting of the APTS June 27-28, 2013 Nanjing, China Hosted by School of Economics and Management, Southeast UniversityETSG 2013 Birmingham. Fifteenth Annual Conference. 12-14 September 2013. University of Birmingham4th International Conference on "Economics of Global Interactions: New Perspectives on Trade, Factor Mobility and Development" (17-18 September 2013), University of Bari (Italy)その後Journal of Industrial Economicsに投稿したが残念ながらRejectされて戻ってきており、現在、別の学術雑誌に投稿するために加筆修正中である。

  • 競合からの特許侵害がない模倣や技術流出が起こる中での様々な特許政策の分析

    2013年  

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    研究代表者の市田は早稲田大学商学学術院から特別研究期間(在外)で、2012年の3月より2014年3月まで米国のコロラド大学ボルダー校にて研究生活を行った。コロラド大学には国際貿易の分野と知的財産権(特許や商標権など)の複合分野で活躍されているキース・マスカス教授がおり、彼と研究上のさまざまな相談をしながら、グローバル経済の中での特許制度に関する研究を進めた。この分野ではワーキング・ペーパー「Imitation versus Innovation Costs: Patent Policies under Common Patent Length」を昨年から今年にかけて執筆し、3箇所の国際的学会と2箇所の大学、研究所(RIETI)でのセミナー・ワークショップにて研究報告を行った。論文では潜在的に特許を申請できる新しい技術上のアイディアが模倣費用とイノベーション費用の2次元において異質に分布している場合の発明者の投資インセンティブと特許申請行動、およびその後の技術的追随者の模倣行動について分析する。イノベーション費用とは発明者が最初に思いついたアイディアを特許申請可能かつ市場に製品として出せるまでの費用である。模倣費用とは、発明者が特許申請をした後に、追随者が特許を侵害しないように類似製品を開発する費用のことである。これらの費用が2次元で異質に分布しているようなときに、政府のさまざまな特許政策が、発明者のインセンティブや追随者の模倣行動にいかなる影響を及ぼすのかを分析した。とくに特許の存続期間が、異なる産業においても同一(共通)である場合には、オリジナルの発明の特許を侵害しないで模倣をすることが均衡において可能な条件を導いてある。また、「ソローの封筒制度」と呼ばれる営業秘密を促進する政策の効果も分析した。今回早稲田大学の特定課題研究費で2013年9月にイタリアのバーリで開かれた国際学会と、英国のバーミンガムで開かれた欧州貿易研究学会にて当該論文の研究発表を行った。また、2013年の10月にはシンガポール経営大学院にて招待セミナー発表を行った。現在はそれらの研究報告によって得られたコメントなどをもとに国際的な学術雑誌へ論文投稿をするために改訂作業を行っているところである。

  • 企業活動のグローバル化は非正規雇用の増加にどう関わるのか

    2011年  

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    1999年から2008年にかけての10年間で日本における非正規雇用者の総雇用者に占める割合は25%から35%に増加した。経団連などの経営者層からは経済のグローバル化が主要原因であるかのような論調が出ているが、果たして本当にそうであろうか?本研究では、解雇コストと人的資本投資の面から理論モデルを構築し、経済産業研究所からのパネルデータを用いて、グローバル化のどのようなチャネルが非正規雇用の増加につながったのかを分析することを目的としている。正規雇用者には企業はオンザジョブトレーニングを施して人的資本投資を行うことができる。その反面、正規雇用者を解雇するには、非正規雇用者を解雇するよりも多くの費用がかかる。従って、企業のアウトプットがある程度変化の少ないときには正規雇用者をたくさん雇って人的資本を増やす方が企業にとってはメリットがあるのに対して、アウトプット変化が大きくなると、非正規雇用を増やした方がトータルのコストは減らすことができる。今回の研究費で手に入れた電子辞書は英語での論文"Exporting Firms and Employment of Temporary Workers: Human Capital and Firing Costs"を執筆する際に利用している。また、iPadは関連論文をPDFとして持ち歩いたり、2-3日の出張にはパソコン代わりに持って行ける簡易PCとしての役割も果たしている。また、共同研究者の伊藤匡教授(沖縄大学)との打ち合わせのために10月と11月に那覇に研究出張に出かけ、計量経済学者である伊藤教授にパネル分析の面で様々なアドバイスをいただいた。現在未発表の論文"Exporting Firms and Employment of Temporary Workers: Human Capital and Firing Costs"は9月のイタリア、バーリ大学ワークショップにて研究発表を行い、そこでもらったコメントなどをもとに現在在外研究先のコロラド大学にて論文を修正中である。

  • 経済環境の変化によって生じた敗者補償の所得再分配制度におけるトレードオフの研究

    2008年  

     概要を見る

    本研究では、一時的な経済ショックに対する被害者救済のようなケースでの政府が取り得る所得の再分配問題に焦点を当てて分析を行う。特に、理論上ではパレート改善(世の中に存在する全ての人が前よりもより幸せになることができるような状態)が可能な経済環境の変化が、必ずしもパレートの意味での改善にならなくなる(誰かが不幸になったらそれを救済できない)のはどうしてなのかというパズルの理由を本研究では分析した。世の中には経済全体にとっては効率性を向上させて消費可能領域を拡大するような経済環境の変化が様々な形で存在する。例えば小国開放経済にとっての貿易の自由化や、市場の失敗が存在しない場合の資本規制の自由化などがそういう例にあたる。しかしながら、経済全体には改善であるはずのこうした変化が、一部の国民からは強い反対に遭うことが多い。そして、そうした全体としての改善となる変化は実行に移されないこともしばしば起こる。なぜ反対運動が起こるかというと、こうした経済変化から生まれる「負け組」に対しての「負け分の補償」が充分に行われていないからである。ある経済的変化は常に国民の間における所得分配の変化を伴う。すなわち「勝ち組」と「負け組」を生み出される。勝ち組は文句を言うはずはない。負け組はもし負けっ放しであるならば反対運動を起こすだろう。本来、経済学には「補償原則」という考え方がある。その考え方に則ると、もし経済全体のパイ(みんなの取り分)が拡大するならば、「勝ち組」の取り分に適正な課税をして「負け組」に補助金として与え、経済を構成する全ての個人が、パイが拡大する前よりも幸せにすることが潜在的にはできるはずである。こうした全員が変化前よりもより幸せになるようなケースを「パレート改善する」と呼ぶ。もしある一時的なショックが経済全体のパイを拡大させて、消費可能集合を変化前に比べて拡大させるのであれば、そのようなショックは潜在的にパレート改善が可能なショックであると言える。本研究では理論的な数学モデルを用いて、そうした潜在的にパレート改善が可能な経済的ショックが、なぜ現実にパレート改善をもたらすことができないのかを、情報の非対称性の考え方を用いながら明らかにした。今回の特定課題研究により、いくつかの重要な文献を入手することができ、それらの文献を利用して2009年3月に刊行予定の早稲田商学に展望論文を執筆した。オリジナルな理論論文は現在も英語にて執筆改訂中であり、その研究発表をイタリアのピサ大学のサンタアンナ高等研究大学のセミナーにおいて20人以上の大学教員、大学院生の前で発表を行い、数々のコメントと質問を受けることができた。今後は本論文を海外の査読付学術雑誌に投稿する予定である。