2025/03/14 更新

写真a

タカラダ ユウダイ
宝田 雄大
所属
スポーツ科学学術院 スポーツ科学部
職名
教授
学位
修士(教育学) ( 1993年03月 東京大学 )
博士(学術) ( 2001年03月 東京大学 )

経歴

  • 2005年
    -
     

    ~2008年 早稲田大学イノベーションデザイン研究所研究員

  • 2003年
    -
     

    ~2005年 早稲田大学スポーツメセナ研究所研究員

  • 2000年
    -
    2003年

    東京大学大学院 総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系   研究助手

  • 1997年
    -
    2000年

    横浜市スポーツ医科学センター   健康科学研究員

学歴

  •  
    -
    1997年

    東京大学   大学院教育学研究科   総合教育科学  

  •  
    -
    1989年

    早稲田大学   教育学部   教育学科  

所属学協会

  •  
     
     

    日本運動生理学会

  •  
     
     

    日本体力医学会

  •  
     
     

    日本生理学会

  •  
     
     

    Human Brain Mapping

  •  
     
     

    日本神経科学学会

研究分野

  • スポーツ科学

研究キーワード

  • 高次脳機能、無自覚的動機づけ、最大(随意)筋力、血流制限(加圧)、運動システム

メディア報道

  • 1995年タッチラグビーワールドカップハワイ大会に日本代表として出場し初勝利に貢献

    その他

    Federation of International Touch (https://www.internationaltouch.org/)   1995年タッチラグビーワールドカップハワイ大会  

    1995年03月

 

論文

  • Unconscious goal pursuit strengthens voluntary force during sustained maximal effort via enhanced motor system state

    Yudai Takarada, Daichi Nozaki

    Heliyon   10 ( 21 ) e39762 - e39762  2024年11月  [査読有り]

    担当区分:筆頭著者, 責任著者

    DOI

    Scopus

  • 最大随意筋力に影響を与える心理的要因

    宝田雄大

    体育科学   73 ( 5 ) 312 - 316  2023年05月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者, 責任著者

  • Shouting strengthens voluntary force during sustained maximal effort through enhancement of motor system state via motor commands

    Takarada, Y, Nozaki, D

    Scientific Reports   12 ( 16182 )  2022年09月  [査読有り]

    担当区分:筆頭著者, 責任著者

    DOI

    Scopus

    1
    被引用数
    (Scopus)
  • The unconscious mental inhibiting process of human maximal voluntary contraction

    Yudai Takarada, Daichi Nozaki

    Psychological Research   86   1458 - 1466  2022年07月  [査読有り]

    担当区分:筆頭著者, 責任著者

    DOI

    Scopus

  • Shouting strengthens maximal voluntary force and is associated with augmented pupillary dilation

    Takarada, Y, Nozaki, D

    Scientific Reports   11 ( 18419 ) 1 - 11  2021年09月  [査読有り]

    担当区分:筆頭著者, 責任著者

    DOI

    Scopus

    4
    被引用数
    (Scopus)

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書籍等出版物

  • 筋肉研究最前線

    宝田 雄大( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 加圧トレーニング法の開発)

    エヌ・ティー・エス  2019年08月

  • 『教養としてのスポーツ科学(改訂版)』(分担執筆)第1部1章(4)「パフォーマンスと脳活動」

    宝田雄大

    大修館書店  2011年04月

  • 『Examination of Power Training in Older Adults』 by Josh Butts (翻訳)

    宝田雄大

    日本フィットネス協会  2009年02月

  • 『Training for Independence』 by Thomas P. Mahady (翻訳)

    宝田雄大

    日本フィットネス協会  2008年05月

  • 『Shoulder Stability Exercise Training』 by Pter Ronei (翻訳)

    宝田雄大

    日本フィットネス協会  2003年06月

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Works(作品等)

  • (財)日本ラグビーフットボール協会 強化委員会 強化委員

  • (財)日本ラグビーフットボール協会 医・科学委員会 科学・情報担当委員

  • 早稲田大学ラグビー蹴球部におけるスポーツ医・科学サポート

講演・口頭発表等

  • Is it enough for neuronal excitability of MI to produce force perception?

    発表年月: 2007年09月

  • 虚血が引き起こす筋肥大と力の知覚の増大 宝田雄大(口頭)

    バイオを論じる会 (防衛医科大学校)  

    発表年月: 2007年01月

  • Activity of primary motor cortex closely correlated with force perception

    The 340rd Human Brain Research Center Seminar In Kyoto University Graduate School of Medicine  

    発表年月: 2007年01月

  • Activity of primary motor cortex closely correlated with sensation of force

    発表年月: 2006年06月

  • 重さの知覚 宝田雄大(口頭)

    随意運動の調節機構とその病態生理研究会  

    発表年月: 2006年03月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 最大随意筋収縮の運動システムの活動を抑制する無意識の心象

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2024年03月
     

    宝田 雄大

     概要を見る

    初年度の目的は、主に運動行動に関連した単語(動詞)と形容詞「最大の」との対呈示(暗示連合学習)が無自覚的目標指向性行動に与える影響を調べるための視覚入力プログラム作成と実験システムの確立であった。ここに、暗示連合学習の視覚入力のプログラム及び実験システムの完成、そしてその効果が実証されたことを報告する。
    具体的には、1.形容詞「最大の」の印象の9ポイントスケールによる評価、2.無自覚的動機づけのプログラム(Takarada & Nozaki, 2014; 2017; 2018)の変更と修正、3.経頭蓋磁気刺激法(TMS)による単発一次運動野(M1)刺激の誘発筋電図(MEP)を安定的に再現性高く取得するためのTMSプローブ固定、4.コロナ禍の3密を避けるための自動化された実験システム構築等が検討された。
    その結果、特に2では握力などの最大筋力の測定時の被験者の「心」に焦点を当て、閾下の運動行動の単語(条件刺激)―例えば「発揮する」―と閾上の形容詞「最大の」(無条件刺激)とが対呈示されるように、無自覚的動機づけプログラムが変更修正された。その後、この暗示連合学習が握力とM1へのTMSで導出されたMEP振幅等と瞳孔径面積に与える影響が調べられた。
    その結果、本来運動行動の単語に備わっている前向きなプライミング効果が打ち消されることがわかった。つまり、運動目標―「最大の」力発揮(運動行動状態)あるいは最大筋力(成果)―は「望ましくない状態」として被験者の「心」の中で概念化され、結果的に、ネガティブな感情的反応が誘発される可能性が確認できた。したがって、「望ましくない状態」として表象される最大筋力(を達成する、発揮する)の(運動)目標こそがIkai & Steinhaus (1961)が提案した心理的抑制因子の一つである可能性を示唆している。

  • 最大を表す語彙を伴った無自覚的動機づけが運動系と瞳孔調節系神経活動に与える影響

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

    宝田 雄大

     概要を見る

    本研究の第二の目的は、最大を表す語彙を伴った無覚的動機づけが運動系、瞳孔関連神経調節系、運動出力に与える影響を明らかにするために、古典的条件付けを模したパラダイム下(Takarada & Nozaki, 2014; 2017)でTMSの反対側M1単発刺激のMEP、瞳孔径等を取得し、握力に与える影響を調べることである。
    次年度は最大を表す語彙を伴った無覚的動機づけの視覚刺激を作成するために、①「最大の」と前向き形容詞の努力感[category-ratio (CR-10) scale]と好感度(a 9-point scale)の定量化とそれらの比較、②運動目標となる身体活動を表す動詞と中性の副詞の選定と好感度の定量化、③それらの視覚刺激の対呈示のサブリミナルテストをおこなった。その結果、①「最大の」、「非常な」、「かなりの」の努力感と好感度はそれぞれ9.7±0.64とM=7.1±1.45、8.2±1.29 とM=5.5±1.48、7.8±1.33とM=5.9±1.54であり、「最大の」が最も大きな努力感と好感度を表す形容詞であることがわかり、②動詞では「発揮する」、「成し遂げる」、「果たす」、「実行する」、「行う」が、副詞では「ほとんど」、「少なくとも」、「最終的に」、「ほぼ」、「すでに」が選定され、それらの好感度はそれぞれM=6.93と(M=5.38)であった。また、運動目標となる動詞の閾下呈示のサブリミナルテストの結果は49.9%±1.6%であり、それらの見えが意識的に上らないことがわかった。
    以上から、最大を表す語彙を伴った無覚的動機づけでは、「最大の」と「発揮する」、「成し遂げる」、「果たす」、「実行する」、「行う」とを対呈示し、閾下と閾上呈示時間はそれぞれ、33msと150msとなった。

  • 努力感に一致した一次運動野の活動性

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    宝田 雄大

     概要を見る

    鞄を長く保持すると、その重量が同じであるにもかかわらず、重たく感じる。鞄の保持に求められる運動司令(努力覚、sense of effort)とその結果もたらされる感覚情報(力覚、sense of force)との不均衡が発揮筋力の大きさに対する感覚、力の知覚を増大させ、"重たい"という心像を創出させると考えられている。これには、力覚というよりはむしろ、努力覚がより密接に関与していると以前から指摘されてきた(McCloskey, 1974 ; 1978 ; 1981)。
    実際、低頻度(0.9Hz)磁気刺激(low-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation : lf-rTMS rTMS)による体性感覚野(somatosensory cortex : SI)の機能抑制は力の知覚に何らの変化も与えなかった(Takarada et al., in submitted)が、一次運動野(primary motor cortex : MI)の機能低減は発揮筋力レベルが同じであるにも関わらず、その力の知覚を顕著に増大させた(20~40歳の健常者12名)。つまり、(McCloskeyが予想したように)力の知覚の増大には努力覚が主動的な役割を果たしていることが明らかとなり、さらにその努力覚にはMI自体の、あるいはMIへの出力細胞をもつ領野の神経活動が関与している可能性が示唆された。

  • 身体運動が脳と心に及ぼす効果の解明と健康科学への応用

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2005年
    -
    2008年
     

    内田 直, 宝田 雄大, 後藤 一成, 関口 浩文, 宮崎 真, 宝田 雄大, 渡邉 丈夫, 宮崎 真

     概要を見る

    近年、国民の健康に対する関心の高まりとともに身体運動への関心も高まっている。しかしながら、このような関心は、身体的な健康が主体となっている。一方で、精神的なあるいは脳の健康も同様に重要であることは疑い。このような、精神的なあるいは脳の健康と、これに対する身体運動の効果についての研究は、いまだ十分に行われているとはいえない。
    本研究では、身体運動と精神活動あるいは脳活動の関連について焦点をあて、これについて健康科学的な側面から実証的な研究を行った。このような研究は、身体活動と身体の健康に関連した研究に比べると新しいものであり、今後うつ病や認知症予防のための運動療法としての活動につながるものである。
    研究は、以下の5つのテーマ(方法)によって行った。すなわち(1)身体運動が睡眠に及ぼす影響について、(2).睡眠中の代謝活動についての予備的研究、(3)朝行う身体運動が、その後の認知機能に及ぼす影響について、(4)身体運動と児童の発達の関連について、(5)観察学習の効果とスキルの転移、である。
    (1) 身体運動が睡眠に及ぼす影響については、二つの実験を行った。昼寝により人工的に作成した不眠状態への運動の影響をみたが、これは大きな影響が観察されなかった。次に睡眠直前に高強度の運動を行わせ、これが睡眠にどのような影響を及ぼすのかを観察した。これまでの研究では、ストレス反応により睡眠が悪化すると言う説があったが、我々の研究では変化無く、悪化は無かった。しかしながら、睡眠中の体温が睡眠中期で運動後運動しないときよりも有意に高いという興味深い結果が得られた。
    (2) はヒューマンカロリーメータを用いた睡眠中の代謝の連続測定と言う新しい分野の研究であり、今後運動後の代謝の変化など興味がもたれた。
    (3) 朝の運動については、日常的に行われる健康運動と似たパタンであるが、これが日中の活動にどのように影響を及ぼすのかを見た。しかしながら、結果としては一過性の効果は認められたが、一日の中での変化は無かった。このような運動を習慣的にした場合の影響が今後の課題として残った。
    (4) 小学生を対象とした研究のまとめが一部完成した段階である。現状では、認知機能のうち、判別と抑制の発達パタンが小学生年代では異なっている可能性が示唆された。
    (5) 観察学習は、運動学習の一部であるが、観察学習により獲得された手続き記憶は、必ずしも転移しないことが示唆される結果であった。
    全体として基礎研究と応用研究の両方から成果が得られ、身体運動が脳と心に及ぼす効果の解明と健康科学への応用についての業績がえられた。期間は終了しているが、この結果を国際論文として発表している作業を持続して行っている。

  • 局所的な圧迫が低強度な運動中の中枢神経活動に与える影響:機能的MRIによる研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2004年
    -
    2006年
     

    宝田 雄大, 泰羅 雅登

     概要を見る

    局所的な血流制限下で筋運動をおこなうと、その運動強度が筋力の向上や筋肥大を期待できないほどの低強度であっても、顕著な筋力と筋断面積の増加が引き起こされる。この大きな効果の要因には、局所的な圧迫に伴う筋内環境の悪化(代謝産物の蓄積や低酸素化)が引き起こす、(1)運動中の筋の活動レベルや運動後の(2)成長ホルモン及び(3)ノルアドレナリンの血中濃度の顕著な増加が挙げられる。これらの効果の要因には、内分泌系や交感神経活動をはじめとした中枢神経系が深く関係していると考えられるが、そのメカニズムについては不明な点が多い。そこで本研究は、局所的な圧迫が低強度な運動中の中枢神経活動量に与える影響を明らかにし、大きな効果を引き起こした血流制限下の筋運動に対する活動筋の適応機序を再検討した。
    虚血は、たとえ発揮される筋力レベルが同様であったとしても(虚血なしに比べ)一次運動野(MI)の神経活動を有意に増加させる。この虚血によるMIの神経活動の増強は、虚血の末梢神経機能への影響がないこと(正中神経刺激による神経活動電位と体性感覚誘発電位のN20の潜時及び最大振幅を自然血流下と虚血下で比較したが変化はみられなかった)、そして筋電図積分値に差異がみられなかったことから、脊髄下での神経活動の変化もその原因の一つであろうと推察される。また、この虚血に誘発されるMIの神経活動の増強には、発揮筋力レベルに関係なく、力の知覚の追加的な増加をともなうことが明らかとなり、MI神経活動と力の知覚との密接な相関関係が確認された。
    したがって、虚血によるMI神経活動の増加が局所的な血流制限下の筋運動の大きな運動効果を引き起こした、中枢性の要因の一つであると推察される。また、MI神経活動と力の知覚の密接な相関関係の発見は、ヒトが筋収縮の結果、何を感じ、それらをどのように意識的に知覚するのか、意識的な知覚と大脳皮質の神経活動のさらなる研究活動のきっかけとなるであろう。

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Misc

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現在担当している科目

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社会貢献活動

  • 早稲田大学ラグビー蹴球部におけるスポーツ医・科学サポート

    2004年06月
    -
    2009年05月

  • (財)日本ラグビーフットボール協会 強化委員会 強化委員

    2003年04月
    -
    2005年03月

  • (財)日本ラグビーフットボール協会 医・科学委員会 科学・情報担当委員

    2003年04月
    -
    2005年03月

他学部・他研究科等兼任情報

  • スポーツ科学学術院   大学院スポーツ科学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 反対側重量合わせ法における力の知覚創出関連領野の解明~fNIRSによる研究~

    2009年  

     概要を見る

     主観的な力の大きさの判断(力覚)は求心性経路の神経入力というよりはむしろ、その筋力発揮に注がれる遠心性経路の神経入力により密接に依存し形成されることが知られている(McCloskey, 1978)。 一方、虚血は力の知覚を顕著に増大させる(Takarada et al., 2006)。すでに短時間の上腕基部への局所的な圧迫は、正常な末梢神経機能を阻害しないことが分かっているので、この知覚の増大は発揮筋力に注がれる中枢性の要因に起因する可能性が高い。また、反対側重量合わせ法で左半球体性感覚野へのrTMSは力覚に何らの変化も与えず、逆に左MIへの磁気刺激による機能低下は、力覚を変化、増加させた(Takarada et al., submitted)。これらの結果は、改めて、McCloskey (1978)の考えを実証するものであった。しかし、rTMS刺激によるMI機能低下は①MI自身の、あるいは➁MIへ出力細胞をもつ領野の神経活動高進のいずれかで補償されなければならない。 さて本研究の目的は、力覚の評価法の一つ、反対側重量合わせ法実施中の脳機能画像をfNIRSにより取得し、力覚関連領野を明らかにすることである。予備実験でわかったことは以下の点である。①fNIRS がfMRIに比べ空間分解能が悪く、fMRIのように脳機能部位の詳細な解剖学的位置づけが困難である②脳深部はもとより、小脳の機能が評価できない③赤外線照射から受光までの光路長が不明なので、得られたデータは相対的な変化であり、したがって、各チャンネルの直接比較や非連続的な経時データの直接比較が困難である④fNIRSでの計測されたヘモグロビン変化と脳神経活動の関連性の解明が不十分である以上のことから、今後の力覚関連領野の解明には、fMRIによる脳機能画像取得を中心に、実験計画を再考する予定である。

  • 局所的な血流制限下の筋運動が血管機能に与える影響

    2008年  

     概要を見る

    本研究遂行には血管機能評価が必要不可欠である。検査装置には、デジタル式カラー超音波診断装置、血管内皮機能検査自動化システム、プレシスモグラフ、プレシスモグラフ(アセチルコリン)、薬物負荷などがある。特定課題A(一般助成)(H21~H21)で、検査装置の選定を、被験者への負担、コスト、装置自体の再現性や妥当性などの観点から慎重に進めた結果、デジタル式カラー超音波診断装置を用いることに決定した。 さて本研究の血管内皮機能は、上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilatation; FMD)を超音波診断装置(帯域中端数5~12Hz)により得られた画像の血管径の変化より定量化し評価された。しかし、実際の検査では、改めて、検査対象となる上腕動脈の画像取得箇所の決定及び、当該箇所への超音波診断装置のエコープローブによる(接触)圧の低減とその保持が、測定値の妥当性、正確性、および再現性に必要不可欠であることが判明した。さらに、プローブの保持は検査の阻血-再環流後の血管移動を考慮に入れ微調整をする必要があり、測定者の検査に対する慣れと高い技術が必要であった。これまでに(20年度)、上述の問題点に対応するために、被験者の上腕部の固定と、エコープローブの固定とその位置調整のためのアジャスター付FMD検査台を作製し、より正確で再現性の高い、血管内皮機能検査法が確立できたと考えている。

  • 血流制限下の筋力トレーニングが中枢神経系の活動量に与える影響

    2003年  

     概要を見る

    目的局所的な血流制限下で筋力トレーニングを行うと、その運動強度が通常、筋肥大を期待することができない低強度であるにもかかわらず、顕著な筋力と筋断面積の増加を引き起こす。運動強度が低い場合、局所的な血流制限は活動筋内の酸素不足と代謝産物の筋外排出の抑制を引き起こす。こうした筋内環境の変化は、運動中の筋活動レベルや成長ホルモン分泌量を増加させる。これらは交感神経活動に深く関係していると考えられるので、本研究の目的は血流制限下筋力トレーニングが中枢神経系の活動量に与える影響を調べることとする。方法被検者は、右利きの健常男子1名(身長173cm、体重76kg、年齢38歳)とした。測定装置は、機能的(f)MRI (1.5-T Siemens Vision scanner)と高磁場内で使用可能な(非磁性体金属製)握力及び筋電図記録装置から成る。血流制限下の掌握運動中(等尺性筋力発揮)の脳活動の時間的変化をfMRIにより記録し、中枢神経系の活動量が調べられた(TR= 4s; FOV= 192 mm X 192 mm; マトリックス= 64 mm X 64mm; スライス数= 10 ; スライス厚= 3mm)。脳機能画像はStatistical Parametric Mapping (SPM)99 を用いて解剖学的標準脳に照らし合わせ解析し、脳賦活領域を確認した。なお、脳画像賦活領域の検出には、T検定が用いられた。被検者は、視覚的フィードバックシステム(リアルフィードバック用波形表示プログラムソフト、パーソナルコンピューター、カラーLCDプロジェクター、及びMRI頭部コイル内に設置された可変式レンズから成る)により発揮筋力レベルを正確に知ることができた。結果と議論局所的な血流制限は、低強度な運動中の大脳皮質の賦活レベルを有意に高める可能性が示唆された。このことは、上記生理反応の発現機序解明の有力な知見となろう。また、局所的な筋運動が中枢系の活性を介して身体の恒常性に寄与することが示されれば、健康体力作りにおける運動の位置づけが確立される。一方本実験により、EMG測定などによるノイズ軽減対策の検討やブロックデザインなどの実験条件の精査が今後の課題として明確化された。