2024/07/03 更新

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リー ジョンウォン
李 鍾元
所属
国際学術院
職名
名誉教授
学位
博士

経歴

  • 2012年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   大学院アジア太平洋研究科   教授

  • 1997年10月
    -
    2012年03月

    立教大学   法学部   教授

  • 1996年04月
    -
    1997年09月

    立教大学   法学部   助教授

  • 1991年10月
    -
    1996年03月

    東北大学   法学部   助教授

  • 1988年04月
    -
    1991年10月

    東京大学   法学部   助手

学歴

  • 1996年11月
    -
     

    東京大学   大学院法学政治学研究科博士号(法学)  

    博士(法学)

  • 1985年04月
    -
    1988年03月

    東京大学   大学院法学政治学研究科修士課程  

  • 1982年09月
    -
    1984年06月

    国際基督教大学   教養学部   社会科学科  

  • 1972年03月
    -
    1974年04月

    国立ソウル大学   工科大学   金属工学科  

研究分野

  • 国際関係論

受賞

  • 外国語著作賞

    1999年06月   アメリカ歴史家協議会   東アジア冷戦と韓米日関係  

  • 大平正芳記念賞

    1997年06月   大平正芳記念財団   東アジア冷戦と韓米日関係  

  • 清水博賞

    1996年06月   アメリカ学会   東アジア冷戦と韓米日関係  

 

論文

  • 朝鮮半島核危機の前史と起源ーー冷戦からポスト冷戦への転換を中心に

    李鍾元

    アジア太平洋討究   ( 44 ) 51 - 76  2022年03月

    担当区分:筆頭著者

  • 米国バイデン政権の北朝鮮政策と米朝核交渉の展望

    李鍾元

    アジア太平洋討究   ( 41 ) 143 - 173  2021年03月

    担当区分:筆頭著者

  • 韓国・文在寅政権の地域主義外交と「新南方政策」――「インド太平洋戦略」と「一帯一路」の狭間のミドルパワー外交

    李鍾元

    アジア太平洋討究   ( 39 ) 61 - 91  2020年03月

    担当区分:筆頭著者

  • 金大中政権の「東アジア共同体」構想と日中韓協力―日韓関係との関連に注目して

    李鍾元

    アジア太平洋討究   ( 36 ) 19 - 42  2019年03月

    担当区分:筆頭著者

  • 平和の思想と戦略としての地域形成――「東アジア共同体」への課題

    李鍾元

    富坂キリスト教センター紀要   ( 11 ) 37 - 55  2021年03月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 日韓対立の重層的構造と学術的課題

    李鍾元

    学術の動向   25 ( 9 ) 30 - 34  2020年09月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • トランプ・金正恩 それぞれの「誤算」ーー米朝首脳会談の構造と展望

    李鍾元

    外交   ( 54 ) 93 - 99  2019年03月  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 日米韓トライアングルの初期形成―外交史と理論研究の交錯

    李鍾元

    アジア太平洋討究   ( 33 )  2018年03月

    担当区分:筆頭著者

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書籍等出版物

  • 北東アジア・市民社会・キリスト教から観た『平和』

    富阪キリスト教センター, 李, 鍾元( 担当: 共著,  担当範囲: 第1章(11~47頁))

    燦葉出版社  2022年04月 ISBN: 4879251453

    ASIN

  • アジアの平和とガバナンス

    広島市立大学広島平和研究所( 担当: 共著,  担当範囲: 第18章(205~214頁))

    有信堂高文社  2022年03月 ISBN: 9784842055831

  • 沖縄から問う東アジア共同体―「軍事のかなめ」から「平和のかなめ」へ

    木村 朗( 担当: 共著,  担当範囲: 第2章(29~42頁))

    花伝社  2019年04月 ISBN: 4763408836

    ASIN

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 戦後北東アジアにおける歴史的分岐点のマルチアーカイブ分析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

    Wolff David, 李 鍾元, 岩下 明裕, 泉川 泰博, 楠 綾子, 井上 正也, 松本 はる香

     概要を見る

    なぜ朝鮮戦争以降の北東アジアの国際関係は限定的にしか変化してこなかったのか。なぜ同地域の地域間協力を阻害する分断国家・領土・米軍基地などの問題は、改善されることなく今に至るのか。多くの先行研究がこれらは構造的要因に起因し、不可避であったとの立場をとる。これに対し、本研究は戦後北東アジアにおける歴史的分岐点のマルチアーカイブ分析をして、収集した公文書資料を研究代表者や分担者の所属機関などで保管・公開し、将来の研究の活性化に寄与する。In 2019-2020, Kaken A began with an uchiawase in Tokyo at which members introduced their ongoing work and discussed how to make our collaboration more fruitful. A largely geographic division of labor was agreed upon covering the major powers of Northeast Asia and key topic areas.Freedom of Information Act filings were accomplished in both the US and Japan. On the Japanese side, some materials have already been declassified from the Foreign Ministry Archive and on the American side, examination of the National Security Archive’s rich holdings has begun, while additional declassifications were requested at the Johnson Presidential Archive in Austin, Texas.Our final activity of the year, a panel at the International Studies Association conference (March 2020), included four Kaken A members, as well as experts from Korea, the PRC, Australia and the US, but was cancelled due to covid-19. Buntansha made over 20 presentations this year, including talks in Japan, China, Korea, Taiwan and the US. Two books and numerous articles were published.Kaken A was a little ahead of schedule, but the coronavirus pandemic forced the cancellation of our final event this year and will certainly force additional adjustments to planning next year's activities, especially those involving international travel.This coming year the main event will be the SRC Summer Symposium scheduled for Sapporo in July 2020. Under conditions of social distancing, six Kaken A members will present papers on critical junctures in Northeast Asia and receive comments from foreign and Japanese experts, either in person or by skype, depending on the pandemic travel status at that time. After the symposium ends, a one-day uchiawase will decide further plans for the year. Kaken members will continue to revise their papers in preparation for publication. Additional materials and subscriptions will be purchased/copied to compensate for research travel that may be difficult to complete due to the coronavirus and its risks

  • 中国の東アジア地域外交と朝鮮半島--中韓の「地域主義外交」の相互関係を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2024年03月
     

    李 鍾元

     概要を見る

    研究の初年度に当たり、主として「一帯一路」など中国の地域構想とそれに対する朝鮮半島の南北(韓国および北朝鮮)の政策や対応に関する文献資料の体系的な収集と分析を行った。文献資料としては、中国や韓国の研究文献に加えて、各国の政策シンクタンクの報告書など刊行物の収集に力を入れた。近年、各国の政策研究機関のウェブサイトは充実しており、刊行物の多くはオンラインで検索できるようになっている。
    中国の研究文献について、主な学術雑誌を網羅するデータベースCNKIを利用し、韓国の図書や論文については、DBpiaやKISSなどを活用した。北朝鮮については、北朝鮮の刊行物は調査が難しく、韓国政府や研究機関が公開している文献資料に依存せざるをえなかった。
    中国や韓国での現地調査で、政策担当者や研究者などへのインタビュー、資料収集などを計画し、北京や瀋陽、ソウルの関係者との協議も続けたが、新型コロナ感染状況が続き、海外出張が不可能になり。断念せざるをえなかった。
    初年度の研究成果としては、韓国の東アジア地域主義外交に焦点を合わせた論考として、「東アジア共同体形成の現状と課題」(広島平和研究所編『アジアの平和とガバナンス』有信堂、2022年3月、205~214頁)を刊行した。また、北朝鮮の核問題の地域的構図を分析したものとして、「朝鮮半島核危機の前史と起源―冷戦からポスト冷戦への転換を中心に」(『アジア太平洋討究』第44号、2022年3月)、51~76頁を発表した。
    関連テーマの研究発表としては、早稲田・北京大学ワークショップ(2021年10月22日)で、「A Dolphin Caught between Whales?: ROK's Regionalist Diplomacy as Middle Power Strategy」を英語で行い、中国の研究者との討論を踏まえ、現在報告集の出版を進めている。

  • 日中韓の歴史認識問題の国際的展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

    大芝 亮, 李 鍾元, 伊藤 裕子, 馬 暁華, 佐々木 卓也, 林 載桓

     概要を見る

    2018年6月に研究プロジェクトの進め方について研究会で議論し、今年度について報告を依頼する研究者の候補を挙げた。これに基づき、研究会を以下のとおり開催した。①2017年7月、日韓文化交流基金・春木育美氏による、韓国系アメリカ人の歴史認識について報告があり、「日本海」「東海」など地名の呼称をめぐる、韓国系アメリカ人の状況を議論した。②11月、馬暁華氏による米国におけるマイノリティ博物館について報告が行われた。あわせて中国における歴史問題に関連する博物館の展示状況の変化についても議論がなされた。③2019年1月、Torsten Weber氏による日中歴史戦争についての報告が行われた。南京事件と氏が注目するラーベ日記について意見交換が行われた。④吉川元氏はアジアの安全保障と広島における記憶について報告を行った。あわせて広島における記憶の継承について議論が行われた。翌年4月の研究会では丸山直起氏にユダヤ人とホロコーストと題する報告を依頼することを決定した。アメリカにおける東アジア歴史認識をめぐる社会状況について、伊藤裕子が海外調査を行った。上記の研究活動とは別に、それぞれが事故の役割りに関する研究を進めた。大芝はユネスコ・世界遺産委員会における東アジア関連候補をめぐる政治対立状況について、主に公式記録の分析を行った。林載桓は、2018年度は米国で在外研究に従事することになり、米国での東アジア歴史認識問題についての研究を進めた。2018年度(初年度)は、まず、先行研究のレビューを行うことをめざし、研究会をほぼ隔月で開催した。また、各自がそれぞれの役割り分担についての研究を進めることで、国境をこえる記憶問題について、研究動向を把握することができた。テーマ別に述べると、歴史認識問題について、東アジア3か国それぞれにおける状況を、Weber、馬、吉川の3氏による報告を基に議論できた。次にアメリカにおける東アジア歴史認識問題の展開状況については春木、馬がマイノリティに焦点を当てて報告を行い、伊藤による現地調査により、理解を深めることができた。ユネスコ世界遺産委員会審議にみられる東アジア歴史認識問題については、大芝が公式文書の分析を進めた。この点は、2年度において、ユネスコ関係者による報告あるいは関係者へのヒアリングを進めることが課題である。研究会において、日本や中国における博物館展示の特徴および変化について議論が交わされ、文献調査を補う素材としての博物館展示の重要性を認識した。以上のように、全体として、きわめて順調に進展している。2年目においては、テーマ的にはユネスコ世界遺産委員会審議における東アジアの歴史認識問題の分析を進める。公式文書の分析に加え、関係者へのヒアリングを進める。次に、韓国における歴史認識問題の研究者との意見交換を講演会もしくはミニワークショップとして設ける。現状分析とともに、国境をこえる記憶という視点の有効性と問題点についても意見交換を行う。また、記憶問題は現在も日韓関係において高度に政治的問題ではあるが、本研究プロジェクトでは、研究者間の学術的議論を進めることをめざす。第3に、海外調査について、研究代表。研究分担者の役割り分担に従い、実施していく。第4に、研究代表が研究に従事する広島では記憶の継承が重要な課題となっている。日本における歴史認識を形成するうえで重要なインパクトを与えてきた広島における記憶継承について、広島の研究者と意見交換の場を設ける。以上の具体的計画を進めながら、本研究プロジェクトの特色である、国境をこえる記憶という視点について検討を進める。本研究は、東アジアの歴史認識についての研究であるとともに、記憶に関する理論的研究をめざしているからである

  • 日米韓の安全保障関係の形成と展開に関する歴史的および政策的研究

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    2年目となる2019年度は、その前半(2019年4月~9月)が在外研究期間と重なり、中国北京大学での研究(4月~7月)や韓国訪問など、現地での文献・資料収集や関係者との面談を中心に研究を行った。とりわけ、北京大学を拠点とした3か月の中国滞在は研究課題の遂行において大変有益であった。中国語能力の向上と文献収集に加えて、ちょうどその時期(4~7月)に、徴用判決など歴史に起因する争点や日本の対韓輸出規制で、日韓関係が悪化し、その半面、習近平主席の電撃的な平壌訪問で中朝関係に改善の動きがあったことで、中国で朝鮮半島や日韓関係への関心が高まり、中国現地の研究者と踏み込んだ意見交換をすることができた。また、北朝鮮と国境を接する遼寧省や吉林省を訪問し、中朝関係の現場を観察することができた。また、2019年度の後半は、日韓関係の懸案をめぐるシンポジウムやセミナーが日韓両国で多数開かれ、そこで研究成果を披露し、日韓の研究者や政策担当者と議論する機会を持つことができた。こうして得られた資料や知見を土台に、研究成果として、韓国文在寅政権の「新南方政策」が、インドネシアを中心とするASEANと連携しつつ、日米が進める「インド太平洋戦略」と中国の「一帯一路」構想を架橋しようとする側面に焦点を合わせた論文を執筆し、刊行した。当初は、初年度から理論的枠組みを整理し、日米韓関係に対する韓国の外交政策を古い時代から時系列的に分析する予定だったが、地域情勢の変化に触発され、現在の状況から遡る形となっている。日米韓トライアングルの中での日韓関係についても、現状の変化を踏まえて、摩擦の背景にある構造的要因に注目して分析し、その成果を日本、中国、韓国でのセミナーやシンポジウムで発表し、原稿化を進めている。その他、日中韓関係に関する文献や資料については、初年度に続き、体系的な収集を行っている。当初の計画では、2年目に当たる2019年度に米国のアジア政策における日韓関係に重点を置き、韓国および米国の公文書館での資料調査・収集を予定していたが、年度末に生じた新型コロナの発生で米国出張をとりやめるなど変更を余儀なくされた。韓国での資料調査については、年度中の数回の学会講演の機会を活用してある程度はできたが、米国資料の調査は現地出張ができなくなったため、オンラインデータベースなどで入手可能な資料や文献の調査を重点的に行うしかなかった。その半面、2019年度前期の中国での在外研究期間を活用して、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や韓国へのサードミサイル配備など、日米韓関係に対する中国の見方について、関係者への面談調査ができたことは大きな成果であった。また、中国在住の韓国外交官や企業関係者らとの面談を通じて、中国の一帯一路構想における朝鮮半島の位置づけ、それに対する韓国政府の対応などについても、現場の感覚を踏まえた多くの知見を得ることができた。米国の資料については、現地の公文書館での調査はできなかったが、近年公開が進んでいるオンラインデータベースを包括的に調べ、日米韓関係に関する外交文書などを多数収集することができた。また、米国が新たな地域安全保障戦略として進めている「開かれたインド太平洋」構想について、多くの報告書や論考が出ており、日米韓や日米豪などのトライアングル体制の拡張型という側面に注目し、体系的な資料収集と分析を行ってきた。当初の研究計画では、主として米国の地域安全保障戦略におけるトライアング体制を中心的なテーマとし、その一環としての日米韓という位置づけで調査・分析を始めたが、トランプ政権に入り、地域安全保障政策がより広域的になり、日米韓の枠組みの相対的な意味は変化している。今後、こうした視点からの日米韓関係の考察をも加える予定である。3年目になる2000年度には、新型コロナの感染状況を確認しつつ、まず、2019年度に実施できなかった米国や韓国の公文書館での調査を進める。海外出張や調査が可能になれば、米国での調査を優先的に行いたいと考えているが、もし不安定な場合は、引き続き米国の資料はオンラインデーターベースを中心に収集、分析する。また、韓国での現地調査もできる限り補足的に実施する予定である。合わせて、日本外務省文書への公開請求も進めていく。2019年度にいくつかの争点に関する情報公開請求を試験的に行った結果、開示資料の内容的には不十分さが目立つが、朝鮮半島に対する日本の安全保障政策の一端を窺う実証的な手掛かりを得ることができた。今年度は、日本の関連外交文書の開示請求をより体系的に行う予定である。3年目に入り、研究成果の全体的なまとめを視野に入れ、分析枠組みとして、米国の地域安全保障政策の中で、日米韓などトライアングルの構図から、「インド太平洋構想」などより広域的な協力体制への変容がみられる点を踏まえ、米中などの広域構想において日韓および日米韓の安全保障協力体制が持つ意味に焦点を合わせた概念や政策論の整理を進める。具体的な争点については、懸案となっている日韓GSOMIAをめぐる日韓の認識のズレ、米中の広域構想に対する日韓の対応の異同などを中心に、その経緯や背景、政策論議に関する実証的な分析を進め、その成果を研究会・学会の報告や学術論文として発表する。それらを踏まえて、米国の地域政策における日韓関係のあり方の変化の文脈で、日米韓関係の歴史的変容の経緯と意味を包括的に解明するまとめの作業を進める。現行の日米韓関係は主として北朝鮮という「旧冷戦」の脅威に対抗する仕組みとして誕生したが、中国の台頭に触発されたいわば「新冷戦」の状況の中でどのような機能を持つのかという視点である

  • 戦後韓国の地域主義外交に関する歴史・政策研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    本研究では地域主義外交という概念を提示し、戦後韓国の歴代政権がどのように地域協力枠組みの形成に取り組んできたかを実証的に解明した。その結果、1)韓国外交は「ミドルパワー」外交としての特徴を有し、地域の多国間枠組みを選好する傾向があること、2)その地域概念には「アジア太平洋」から「東アジア」「北東アジア」といった変遷があること、3)韓国やASEANなどミドルパワーが積極的な役割を果たした時に、東アジアなどの地域協力が大きく進展した、4)政権の政治的立場にかかわらず、地域主義外交の志向性では共通点が多いが、大統領制の構造的制約などで、外交政策の継続性が弱いなど問題がある点などが確認できた。本研究の学術的意義は、東アジアや北東アジアの地域協力に対する戦後韓国の各政権の外交的な取組みについて、実証的な根拠に基づき体系的に解明したことである。従来の研究では、韓国の地域主義外交については、特定の事例に関する歴史学的考察や、経済協力に焦点を合わせた政策分析が多かったが、本研究では戦後期全体を対象に、韓国外交における「地域」概念の変遷と外交戦略の構造や内容を明らかにした。社会的意義としては、こうした歴史的かつ政策的分析により外交政策の文脈を示したことで、「北東アジア」や「東アジア」などの地域構想を打ち出す現在の韓国外交の意味を理解し、その志向性を評価する視点を提示できた点をあげられる

  • 中国・インド大国化とアジア-内政変動と外交変容の交錯

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    竹中 千春, 佐藤 考一, 国分 良成, 堀本 武功, 永野 和茂, 高原 明生, 倉田 徹, 劉 傑, 李 鍾元, 磯崎 典世, 孫 斉庸, 伊藤 剛, 中溝 和弥, 木村 真希子, 長 有紀枝, 清水 展, 田村 慶子, 金子 芳樹, 藤原 帰一, 根本 敬, 勝間 靖, 今村 祥子

     概要を見る

    中国・インドの大国化という現象を前に、国際政治学・比較政治学とアジア研究を架橋し、21世紀アジアの「国内政治―地域政治―国際政治」の交錯を実証的・理論的に分析した。①大国化する中国とインドの内政変動と外交変容、② 中国・インド大国化の周辺諸国への影響とアジア国際政治の変動を共通テーマとし、各研究者の成果発表と並んで、国内外の諸学会にて共同で成果公開を実施した。総括の国際シンポジウム(立教大学、2017年3月)を土台に、現在"Globalization and Civil Society in East Asian Space"(Routledge, 2018年刊行予定)の刊行を準備している

  • 戦後韓国の地域主義外交に関する歴史・政策研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2015年
    -
    2017年
     

  • 広域アジアの市民社会構築とその国際政治的課題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2014年03月
     

    竹中 千春, 小嶋 華津子, 亀山 康子, 倉科 岳志, 長 有紀枝, 李 鍾元, 森本 泉, 尾崎 俊哉, 磯崎 典世, 西 芳実, 大矢根 聡, 浪岡 新太郎, 松田 宏一郎, 稲田 十一, 清水 展, 小川 有美, 東條 吉純, 見山 謙一郎, 高原 明生, 山本 博之, 藤原 帰一, 田村 慶子, 中溝 和弥, 国分 良成, 白石 さや, 金子 芳樹, 許 淑娟, 佐藤 考一, 倉本 由紀子, 中村 陽一, 牧田 りえ, 牧田 東一, 五野井 郁夫

     概要を見る

    21世紀アジアについて、(1)国民国家の動揺(2)内政と外交の連動(3)国際社会の支援と市民社会構築(4)アジアの市民社会論を焦点に考察し、(5)「広域アジア研究」を検討した。国際会議として、アジア政経学会・ドイツアジア学会共催「中国の新たな役割」(2012年7月)、アジア政経学会共催"Asian Studies beyond Borders: Where do we come from? Where are we going?"(2013年6月)などを開催。『地域研究』(京都大学地域研究情報統合センター)特集号「グローバルアジアにみる市民社会と国家の間」を刊行予定(2014年10月)

  • 国際政治に見る欧州と東アジアの地域統合の比較研究―規範、安全保障、国境、人の移動

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年04月
    -
    2013年03月
     

    羽場 久美子, 山本 吉宣, 袴田 茂樹, 押村 高, 天児 慧, 森井 裕一, 李 鍾元, 高木 誠一郎, 手塚 和彰, 宮島 喬, 柴 宣弘, 山影 進

     概要を見る

    本研究では、冷戦終焉後拡大・深化するEUと、急速に成長するアジアの地域統合を、①制度・規範、②安全保障、③国境、④人の移動の4点から多元的・多角的に検証した。特に制度化が進んでいるEUとアジアの地域統合の問題点と今後の課題を比較しつつ、アジアの発展の在り方を研究の中心に据え、その方向性を具体的に探り成果を上梓した。学術会議、駐日欧州代表部、EU・アジア研究者と連携して課題を明示し政策提言につなげた。その成果は、『国際政治から考える東アジア共同体』など、著書2冊、研究報告書3冊、英文書6冊、論文数十篇として上梓し、主な著書は日本の大学図書館、欧米アジア300か所の大学図書館に配本されている

  • 広域アジアの市民社会構築とその国際政治的課題

    科学研究費助成事業(立教大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

     概要を見る

    21世紀アジアについて、(1)国民国家の動揺(2)内政と外交の連動(3)国際社会の支援と市民社会構築(4)アジアの市民社会論を焦点に考察し、(5)「広域アジア研究」を検討した。
    国際会議として、アジア政経学会・ドイツアジア学会共催「中国の新たな役割」(2012年7月)、アジア政経学会共催"Asian Studies beyond Borders: Where do we come from? Where are we going?"(2013年6月)などを開催。『地域研究』(京都大学地域研究情報統合センター)特集号「グローバルアジアにみる市民社会と国家の間」を刊行予定(2014年10月)。

  • 朝鮮半島から見た戦後東アジア地域秩序の形成と変容-新たな地域像を求めて

    科学研究費助成事業(中京大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2010年
    -
    2013年
     

     概要を見る

    1970年代の米中和解、日中正常化、朝鮮半島の南北和解と破綻という激変をテーマとした日韓中の研究者によるのシンポジウムを第2.3年目にソウルの高麗大学で、4年目に東京大学で開催した。それが一つの呼び水となり、日中韓シャトル研究会が東京大学現代韓国研究センター、韓国高麗大学アジア問題研究所、中国清華大学国際関係研究所が軸となって定例化され、4年目の「東アジア国際秩序の形成・展開・未来構想」と題するシンポジウム開催となった。また、政府史料の判読困難な手書き部分を活字化した資料集『日韓国交正常化問題資料』(第二期日本側全7巻・韓国側全5巻、第三期日本側全5巻刊行済み、四期分等確定)を発行した。

  • 韓国政府公開資料による日韓基本条約の国際共同研究-脱植民地化論理と冷戦論理の交錯

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2006年
    -
    2009年
     

    浅野 豊美, 池田 慎太郎, 金 敬黙, 李 鍾元, 木宮 正史, 磯崎 典世, 山内 康英, 太田 修, 林 夏生, 吉澤 文寿, 西野 純也, 小林 玲子, 藤井 賢二, 長澤 裕子, 金 敬黙

     概要を見る

    日韓米三国の資料からなる『日韓国交正常化問題資料集』を刊行し、また新規公開資料を利用した最初の本格的な実証研究を、法政大学出版局から『歴史としての日韓国交正常化』上・下、2分冊として、日本学術振興会の出版助成により刊行することが確定した。さらに、研究成果の社会的還元のため、「日韓国交正常化の現代的意味」と題した公開シンポジウムを、東京大学において朝日新聞・東亜日報の後援を得て開催した。また、2008年日本国際政治学会年次大会日韓合同部会の正式企画を担当・運営し、新たな問題提起と専門研究者との討論を行った。国外の国際学会であるアメリカアジア学会(AAS)では韓国の研究協力者と合同しパネルを組織し、日韓米三国の研究者による討論の場を作って報告した

  • 現代ナショナリズム・エスニシティ問題に関する比較政治学および政治理論的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2002年
     

    松田 宏一郎, 高原 明生, 李 鐘元, 吉岡 知哉, 田村 愛理, 佐々木 卓也, 川崎 修

     概要を見る

    本成果報告書では、研究分担者による研究会での知見の共有にもとづき、以下のような成果をだした。金榮作は、冷戦後の国際秩序において、東アジアの安全秩序のこれからの構想を視野におさめつつ、ナショナリズムを単なる危険因子として処理するのではなく、いかにして「開放的なナショナリズム」へと転換し、むしろ国民国家体制の枠組みの健全な再構築の中から、冷戦後の東アジア安全保障にふさわしい世論を形成していくか、という問題に焦点をあてて、日韓の諸議論を整理した。田村は、イスラムがドミナントであるジェルバ島におけるユダヤ教徒コミュニティをケースとして、イスラム社会内部におけるマイノリティが公的位置づけと保護をもつことが、イスラムの社会の歴史と論理により本来は制度化されていることを立証した。Doakは、近年の英語圏および日本における昭和前期ナショナリズムの研究を批判的にとりあげながら、「日本人」というエスニシティに結局はとらわれてしまう研究枠組みの問題性と、他方で知識人を特権化するスタイルとしての高踏的ネイション批判のいずれにも、行き詰まりを見いだしている。吉岡は、18世紀フランスの国民国家形成過程と宗教をめぐる論争状況の関連をあきらかにし、国民国家が世俗化・脱宗教化によってではなく、むしろ宗教を政治的言説の中にとりこみながら、再構成し国民国家を支えるものとして定義し直すいくつかの試みに注目している。李は、1990年代における朝鮮半島をめぐる外交交渉の枠組みがどのように模索され、またいくつかの事情に応じてどのように使い分けられたかという問題を分析した。高原は、90年代の中国政府が地域主義に明確にコミットしていく理由を、グローバライゼーションの認識の深化に求め、それによって多国間外交に対する従来の慎重な姿勢が転換していく過程を明らかにした。松田は、近年の国民国家枠組み批判にもとづく「日本思想史学」批判が、研究対象の再検討よりも研究者の問題意識批判に向けられることは、むしろ研究領域の矮小化を生むのではないかという問題点を指摘した

  • グローバル化時代におけるアメリカニゼーションとナショナリズムの国際的比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    古矢 旬, 豊永 郁子, 久保 文明, 大津留 智恵子(北川 智恵子), 遠藤 泰生, 加納 啓良, 李 鐘元, 新川 敏光, 梶原 景昭

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    これまでに各研究分担者が実施した海外、国内調査の結果、蒐集した史資料、二次文献に基づき、各専門地域、分野ごとに「アメリカ化」と「グローバル化」の異同、現代世界におけるナショナリズムと「アメリカ化」の緊張関係の分析に当たった。その際、海外の研究協力者との連携を強化し、一つの地域や争点を論じる際にも、できるだけ国際的な視点の設定が可能になるように図った。その結果、本研究課題「グローバル化時代におけるアメリカ化とナショナリズム」は、以下の四つの相連関する問題群に分けて考察された。すなわち第一に「アメリカ化の起源」、第二に「国際政治経済におけるアメリカのヘゲモニーの特色」、第三に「アメリカニズムと地球市民社会形成」、第四に「地球規模のアメリカ化の進展下における地域研究の課題と可能性」である。このように論点を集約した上で、全研究分担者、海外研究協力者、および関連分野の国内研究者も参加し、2002年8月には、国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムにおける各報告と討議とによって以下の点が解明された。第一に、「アメリカ化」の世界的広がりはすでに1920年代までには開始されており、現在の国際政治経済におけるアメリカのヘゲモニーは、通常考えられているよりもはるかに長い歴史に根ざしている。第二に、普遍文化としてのアメリカニズムは、必ずしも自由資本主義的な市場経済と厳密に重なり合うものではないが、両者は相互に刺激しあいながら地球上の隅々に浸透し、各地のナショナリズムとの軋礫を生みだしている。第三に、こうした事情を背景として、学問分野としての「地域研究」は、(研究対象の地域の違いにかかわらず)「アメリカ化」「ナショナリズム」「グローバル化」という三つの趨勢によって大きく変容しつつある。以上の成果を中心に、最終的成果報告書をまとめることによって本研究課題は、一応終了する

  • 戦後50年の日米関係

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
    -
    1996年
     

    五十嵐 武士, 湯浅 成大, 李 鐘元, 坂本 一哉, 北岡 伸一

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    本研究は、アメリカのナショナル・セキュリティ・ア-カイヴが主催する戦後の日米関係に関する日米共同プロジェクトの、日本側の研究として行われた。アメリカに比べて日本側は政府関係及び外交文書、政治家・政府高官の個人文書で、まだ利用できないものが多いことから、特に七〇年代の政治家・政府高官へのインタビューが必要であり、それができたことが大きな成果であった。そうしたことから、日米共同プロジェクトに参加した本研究の正式のメンバー以外の人達にも、本研究のインタビューを利用する機会を提供することができ、研究成果の一覧に見られるようにかなりの優れた著書を公刊することができた。本研究は現代の日米関係をいわば歴史研究の手法で分析することをめざすものであり、それだけに多額の経費を必要とするが、二年間の研究期間に研究費を活用することができたことを喜んでいる

  • 戦後東アジアの地域主義の形成に対するアメリカの政策に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
    -
    1996年
     

    李 鍾元

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    平成7〜8年度の2年間にわたって行った本研究は、第二次世界大戦終了から現在までの期間を対象に、アジアの地域主義の動向に対するアメリカの政策の変遷過程を歴史的に解明することを目的とするものであった。アジア太平洋における地域主義の台頭という今日的課題に関する政策研究と、冷戦期に関する外交史研究とを接合することを主眼とする。こうした関心から、本研究の多くの部分は、アメリカのアジア地域政策に関する一次史料の発掘、調査、収集によって占められた。アメリカ政府公刊外交文書、未公刊外交文書のマイクロ資料、アメリカ議会資料(委員会、聴聞会の議事録および提出報告書)、アメリカ国内シンクタンクの報告書、各アジア地域機構の刊行物などを重点的に収集した。加えて、アメリカの冷戦戦略の変遷に関する外交史的研究文献も体系的な収集の対象となった。これによって、アメリカのアジア地域政策の過程をある程度実証的に描くことができると考えている。これらの資料は、アメリカのアジア地域政策が、1970年代頃を分水嶺に大きな変容を遂げてきていることを示している。それは、多国間主義から単独主義への傾斜として仮説的に要約できよう。より正確にいえば、多国間主義と単独主義という2つの潮流が拮抗する中で、戦後のアジア政策が展開されてきたといえる。ポスト冷戦期におけるアジア太平洋政策においても両者の角逐は顕著に現れており、アジア地域主義をめぐる政策の展開もこうした構図の中に位置づけることができる。60年代までは、アメリカはアジアに一定の地域秩序を形成することを政策の基本目標に据えていたが、70年代以来、冷戦の終焉まではほぼ一貫して消極姿勢に終始した。この間、アジア太平洋地域秩序の形成を進めたのは、戦後一定の政治経済的安定と自立基盤を築き、「上からの地域主義」への拒否反応を乗り越えたアジア諸国自身であった

  • 戦後日本外交の形成-講和から安保まで

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1993年
     
     
     

    北岡 伸一, 赤根谷 達雄, 李 鐘元, 森山 茂徳, 石井 修

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    (1)目的本研究は、1951年のサンフランシスコ講和条約の調印から、1960年の日米安全保障条約の改定に至る約10年間の日本外交について、海外における基礎資料の収集を行うことを主たる目的としていた。従来、この時期の日本外交は、アメリカの国立公文書館所蔵の外交文書を中心として進められてきた。それは、同資料の内容の豊かさと、当時の日本外交におけるアメリカの比重の大きさからして、当然のことであった。しかし、アメリカの視点だけで日本外交を見るわけにはいかない。より多元的な視点が必要なことは論をまたない。こうした観点から、われわれは、イギリス、カナダ、オーストラリア、韓国といったアメリカと密接な関係のある国々に目を向け、またアメリカにおいては大統領図書館の資料に注目することにしたわけである。(2)海外調査の実施調査は、事前の役割分担に関する調整を踏まえ、5人が別々に行った。まず北岡は、イギリスの国立公文書館において1950年代のイギリスの対アジア、対日、対米政策に関する資料を閲覧し、収集した。イギリス外交に戦前のような力はなく、とくに1950年代になると対米関係でも自主性を弱めていくが、それでもアメリカ外交とは異なる対日観、対日政策がしばしば示されており、興味深かった。なお北岡は、日本の独立とイタリアの独立の比較のため、イギリスからの帰途、ローマで若干の研究者とのインタビューを計画していたが、日程と費用の関係で断念せざるを得なかった。石井は主としてカナダの国立公文書館において、戦前から戦後にかけての通商政策関係の資料を閲覧、収集した。その結果、かなりの継続したパターンが存在するという印象を持つに至った。森山は韓国において、ソウル大学、国立国会図書館などで、様々な外交関係の資料の発掘にあたった。しかし資料状況は不良であって、短期間でまとまった資料を得ることは難しかった。このような調査にはある程度不可避的に付随する問題で、止むを得ないと考える。赤根谷はオーストラリアにおいて、オーストラリア国立大学およびオーストラリア国立公文書館において、外交資料の閲覧、収集にあたった。重点は、安全保障問題よりも、通商政策に置かれた。しかし、当初計画していたニュージーランドにおける資料調査は、日程、資料状況、資金などの理由で断念せざるを得なかった。しかしキャンベラにおいては、ほぼ初期の目的を達したと考える。李はボストンのケネディ・ライブラリー、テキサスのジョンソン・ライブラリーなどの大統領図書館を中心にして、アメリカの東アジア政策関係の資料の閲覧、収集にあたった。かなり充実した内容が得られたので、予定を延長して調査にあたった。(3)帰国後の活動以上の収集資料は、各収集者が独自に分析し、それぞれの研究に利用している。資料の共有、交換、共同研究のための独自の会合は持っていないが、全員が「文部省科学研究費重点領域研究・戦後日本の形成」のメンバーなので、その研究会において、情報の交換などを行い、他の重点領域研究のメンバーを含めて、成果を利用出来るようにしている。また、研究の成果については、北岡が岸信介に関する論文を、石井がカナダの通商政策に関する論文を、また李が日韓会談に関する論文を、それぞれ本調査資料を利用して執筆中であり、赤根谷も本調査の資料を用いた日豪関係に関する新しい論文を準備中である。また森山は94年4月より1年間ソウルで在外研究に従事出来るようになったため、本研究でやり残した基礎資料収集に引き続き取り組む予定である。全体に、大きすぎる課題であったため、十分と言うにはほど遠いが、今後の研究の基礎となる堅実な成果を挙げることが出来たように思われる

  • 国際環境と戦後日本

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    五十嵐班の1994年度の活動においては、1994年度研究実施計画に従い、アジア・太平洋地域の戦後の国際秩序の形成・定着過程が実証的に分析され、これまでの研究成果と合わせて総合的な考察がなされた。その第一は、国際政治経済体制の主流の側面であるブレトン・ウッズ体制の形成および定着、冷戦の起源およびアジアへの波及に関する理論枠組みの完成である。これに加え第二に、東・東南アジアの独立と独立後の発展および極東委員会に関する実証的検証が行われた。最終的に、これらの研究結果が総合的に把握され、日本が戦後適応していった国際環境が、いかに形成され定着していったかが明らかにされた。研究会は次の通り実施された。9月23日 「戦後初期における『日本要因』-ソ連・中国からみた日本」石井明(東京大学)10月3日 "U.S.-Japan relations in the 1950s and 1960s with emphasis on the 1960s and the impact of Vietnam War" Michael Schaller(アリゾナ大学)1月20日 「戦後外交と戦後構想-重光葵を中心に」波多野澄雄(筑波大学) 「国連と戦後外交-国連加盟への道」井上寿一(学習院大学)2月15日 「スティムソンの国際主義理念の再検討」中野博文(広島大学) 「日本社会党と対外経済関係」中北浩爾(東京大学大学院)3月22-23日 「占領下日本の国際的地位」五十嵐武士(東京大学) 合評『岸信介』(原彬久著

  • 情報化の進展による国際法秩序の変容

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    本研究は、主権国家の並存と情報の超国家化という現実の相克のなかで、国際社会の平和と安定の基盤となる共通の規範秩序の形成に対して果たす国際間の情報流通の役割を、東アジア・太平洋地域を素材に学際的に検討したものである。この場合に、(1)国際的な環境、(2)国内的な環境、(3)あるべき規範内容、のそれぞれについて、検討をくわえる必要がある。(1)については、この地域においては、地域経済協力の粋組みが重層的に存在するが、「相互信頼醸成」の重要性が増す中で、共通価値の共有に情報流通が果たす役割を十分認識しておく必要がある。(2)については、望ましい規範価値を構想し、それを国際的に発信していく国内政治体制のあり方を検討しておく必要がある。(3)については、人権や民主主義といった価値を自明のパッケージとして考えるのではなく、その要素に分解して、共有されるべき部分とそうでない部分との腑分け行う視点も重要になる

  • 情報化の進展による国際法秩序の変容

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    本研究は、国際的な衛星通信の時代を迎え、主権国家の並存と情報の超国家化という現実の相克のなかで、国際社会の安定と平和に国際間の情報流通がどのような役割を果していくかについて、東アジアを素材に、検討を学際的に行おうとするものである。定期的な研究会及び合宿研究会によって、本テーマにかんする基本的な枠組みの整理及び基本的な問題点の抽出が、つぎのような形ですすんでいる。第一は、国際間の流通によって伝えられる情報の内容にかかわるものであり、東アジアにおける共通の「普遍的価値」についての研究である。この場合に、その内容をなす人権や民主主義といった価値が特殊に近代ヨーロッパの産物という性格ももち、東アジアにおけるその妥当性はただちに自明ではなく、中国に典型的にみられるように、経済の市場主義化を推進しつつ政治の民主化をおさえる動きや、ナショナリズムへの傾斜がみられることとの擦り合わせを行う必要がある。また、「文化帝国主義」という言葉に示されるように、各国の文化が欧米からの情報に従属しがちななかで、東アジアにおける「普遍的価値」をどのように形成していくかという課題がある。第二は、国際間の情報流通を規定する環境条件にかかわる問題である。ASEANを取り巻いてAPEC、東南アジア友好協力条約、PMC、ARFなど地域経済協力の枠組みが重層的に存在する一方、政治秩序と経済秩序の不整合性がみられること、経済成長によって欧米支配からの自立の動きがみられること、規範的価値を実現していくための手法の多様性(たとえば、「人道的干渉」、国際組織による強制措置)、などが考慮のなかに入って来る。こうした枠組みのなかで、国家間の相互信頼を醸成していくために、国際公共価値を日本から発信していくための条件整備をどのように行っていくかという検討が、日本国内の政治主体のあり方も視野のなかにおきながら、なされる必要がある

  • アジア太平洋地域の政治変動における米国の位置と役割

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    本研究班は、1980年代以降西半球やアジア太平洋地域との連携を深めつつあるアメリカ外交の新潮流を踏まえ、アメリカの対アジア太平洋政策を総合的に分析し、21世紀のアメリカ外交の方向を探ることを目的としている。なかでも、アメリカの外交政策を構造的側面から考察することを目指しており、アメリカ外交の歴史的特質や、国内の政治・社会状況と外交政策の連関の分析を重視している。本年度の活動は、昨年度同様、アメリカ関連の資料収集、海外への調査を継続した。その際、これまでの年次では歴史的背景の分析に大きな比重をかけてきたのに対して、冷戦の終焉とグローバル化という2つの波を受けた90年代以降の情勢を理解することに主眼を置いて研究を進めてきた。グローバル化との関係でアメリカが検討される場合には、アメリカをグローバル化の「震源」ととらえる場合が多いが、本研究班ではそれと同時にアメリカをグローバル化の「受けて」としてもとらえており、その点は他の研究にはみられない独自性であると自負している。こうした目的を達成するために、研究成果発表に向けてメンバーによる中間報告のための研究会を開催し、あわせて論文集の企画の最終調整を行った。本年度の研究会は、以下のとおりである。「アメリカの国家的変容と太平洋世界の形成」(五十嵐武士教授)、2002年5月24日。「アメリカニズムをめぐって」(中野勝郎法政大学教授・西山隆行東京大学大学院生)、2002年9月27日。「近年の共和党の保守化と外交政策への含意」(久保文明慶応義塾大学教授)2002年11月29日。「アジア系アメリカ人の政治参加の変容」(大津留智恵子関西大学教授)、2002年12月20日

  • 日本の対外政策と東アジア―信頼醸成へ向けた国際共同研究の可能性

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    21世紀の日本外交、20世紀の成果と課題に対する冷静な分析のうえに立って、新たに再構成される必要がある。この観点から20世紀の日本外交を振り返ると、われわれは日本外交において、近隣の東アジア諸国との関係構築が不十分であったことに気づく。そこで、わが国最大の国際関係関連の学会である財団法人日本国際政治学会においても、中堅メンバーを中心にひとつの国際共同研究プロジェクトを構想するため、今回の申請を行った。そこで、2001年7月末に香港で開催された北米を中心とした全世界的な国際関係学会であるISA(International Studies Association)大会において、各メンバーがパネルに参加することで、世界の各研究者からの批判と建設的意見を仰ぐとともに、将来へ向けての更に大きな国際共同研究の可能性を探った。この香港会議にメンバー全員が参加するとともに、その場で各国の研究者も加えて何度も会合を重ね、こうしたプロジェクトの重要性を確認しあった。それが、予定より外国旅費に費用を費やした理由である。とりわけここでは、日本の経済力低下にともなう外交力の相対的低下にどう対応するか、そのさいそれを補うひとつの方法として東アジア諸国との連携と協力をどう進めるかなどにつき、議論を深め、問題の重要性を確認しあった

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 韓国の地域外交および中国の朝鮮半島政策に関する研究

    2018年09月
    -
    2019年09月

    中国   北京大学

特定課題制度(学内資金)

  • 中国主導のアジア地域安全保障協力枠組みと韓国の地域主義外交

    2021年  

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    本研究は、「一帯一路」など中国が進める地域形成の構想に対して、近年の韓国歴代政権がどのように対応してきたかについて、「地域主義外交」という視点から実証的な解明を行うことを目的とした。研究期間中に中国と韓国現地での調査を計画したが、新型コロナ感染状況のために実現できず、研究文献に基づく分析を行った。研究成果として、1990年代から2000年代に浮上した「東アジア共同体」構想が中国主導の「一帯一路」を中心とした「ユーラシア」と、日米が進める「インド太平洋」という二つの地域に分断される状況において、韓国が「橋梁国家」を掲げ、「ミドルパワー」外交を試みた状況を分析する論考を日本語と英語で発表した。

  • 中国主導のアジア地域協枠組みに対する韓国歴政権の政策動向に関する研究

    2018年  

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    本研究では、アジア相互交流信頼醸成措置(CICA)を中心に、中国が主導するユーラシア地域協力枠組みに対する韓国の歴代政権の政策を分析した。1992年にカザフスタンの提唱で創設された同機構に韓国は93年からオブザーバー参加し、2006年から正式加盟国となった。同機構は中露と中央アジアが中心であり、日米などはオブザーバー参加にとどまっている。韓国の歴代政権は保守と進歩を問わず、ユーラシア地域協力への関わりに積極的であるが、同地域への経済的関心に加え、北朝鮮問題を視野に入れた外交的地平の拡大がその背景として指摘できる。しかし、韓国は米国との同盟関係に配慮し、CICA首脳会議に外相や統一相の派遣にとどまり、信頼醸成の分野でもエネルギー安全保障やIT協力などに注力するなど、一定の距離を保つ姿勢を維持している。こうした協力の実績を踏まえて、韓国政府が力を入れる北東アジアの地域協力体制の構築につなげられるかが課題である。

  • 中国の「一帯一路」構想と朝鮮半島政策への影響に関する調査

    2016年  

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     本研究は、中国の「一帯一路」構想が朝鮮半島に及ぼす影響について、政策論的な観点から調査、分析することを目的としている。具体的には、韓国や中国での資料調査や関係者面談を行い、基礎資料や研究文献などを収集し、分析を進めた。とりわけ、中朝国境地帯に位置し、中朝経済関係の現場でも延辺朝鮮族自治州では、延辺大学が主催した豆満江フォーラムに招待参加し、現地調査を行った。 調査結果の内容は、「一帯一路」構想と朝鮮半島の関連について、中韓関係と中朝関係の二つの部分からなっている。「一帯一路」構想は朝鮮半島を直接の対象とするものではないが、韓国朴槿恵政権が掲げた「ユーラシア・イニシアティブ」と重なる部分が多く、中韓関係のあり方に影響を与える要素をもっている。中朝関係では、同構想が中朝間の経済協力に拡大適用される可能性を考察する。