2024/04/24 更新

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マツザワ シン
松澤 伸
所属
法学学術院 法学部
職名
教授
学位
博士(法学) ( 立教大学 )

委員歴

  • 2018年05月
    -
     

    日本刑法学会  理事

所属学協会

  •  
     
     

    国際刑法学会

  •  
     
     

    デンマーク刑事学協会

  •  
     
     

    日本刑法学会

研究分野

  • 刑事法学

研究キーワード

  • 刑法

 

論文

  • 誤振込み

    佐伯仁志=橋爪隆編『刑法判例百選Ⅱ』(第8版)     106 - 107  2020年11月

  • 窃盗罪における実行の着手

    松澤伸

    佐伯仁志=橋爪隆編『刑法判例百選Ⅰ』(第8版)     124 - 125  2020年11月

  • 2018年スウェーデン性犯罪改正と過失レイプ罪(過失強姦罪)の具体的適用について―スウェーデン最高裁2019年6月11日判決を素材として―

    松澤伸

    早稲田大学比較法研究所オンライン・ジャーナル   ( 2020-1 ) 1 - 14  2020年06月  [査読有り]

  • 外国文献紹介 ポール・H・ロビンソン「刑罰論論争の『休戦』?」

    松澤伸

    刑事法ジャーナル   ( 64 ) 123 - 125  2020年

  • Protection of Victims of Crime - The Case of Japan -

    Shin MATSUZAWA

    YEARBOOK HUMAN RIGHTS PROTECTION, Ombudsman of Republic of Serbia   ( 3 )  2020年

  • 研究会報告 シンポジウム「責任と予防」

    松原芳博、松澤伸、杉本一敏、野村健太郎

    早稲田法学   95 ( 2 ) 402 - 407  2020年

  • スウェーデン性犯罪規定の改正について

    松澤伸

    佐伯仁志ほか編『刑法の理論と実務②』(成文堂)     229 - 252  2020年

  • 2018年スウェーデン性犯罪改正と過失レイプ罪の具体的適用について

    松澤伸

    樋口亮介=深町晋也編『性犯罪規定の比較法研究』     637 - 654  2020年

  • 必要的共犯(対向犯)について

    松澤伸

    早稲田法学   95 ( 1 ) 1 - 30  2019年12月  [査読有り]

  • 刑法/刑罰制度の正当化根拠論と犯罪化論/犯罪論

    松澤伸

    『刑事政策の新たな潮流ー石川正興先生古稀祝賀論文集』(成文堂)     41 - 67  2019年05月

  • 文書偽造罪における名義人の特定について

    松澤伸

    早稲田法学   94 ( 2 ) 1 - 24  2019年03月  [査読有り]

  • 「民意」は刑事裁判の根拠となりうるかー刑罰政策における公衆の意識構造

    松澤伸, 松原英世

    刑事法ジャーナル   ( 59 ) 64 - 75  2019年

  • スウェーデン理論刑法学の一素描

    松澤伸

    早稲田法学   94 ( 1 ) 1 - 24  2018年12月  [査読有り]

  • スウェーデンの刑罰理論について:刑罰文化を踏まえた一考察

    松澤伸

    高塩博編『刑罰をめぐる法文化』(国際書院)     237 - 253  2018年10月

  • 文書偽造罪における「人格の同一性」

    松澤伸

    法学教室   ( 453 ) 41 - 44  2018年06月

  • Using Equity Reasons to evaluate Mitigating Circumstances - An Explanation of Sentencing Principles -

    Shin MATSUZAWA

    Waseda Bulletin of Comparative Law   ( 36 ) 1 - 12  2018年01月

  • いわゆる「一連の行為」への/からのアプローチ

    松澤伸

    長井圓先生古稀記念『刑事法学の未来』(信山社)     135 - 154  2017年09月

  • デンマークにおける少年犯罪への法的対応

    松澤伸

    立教法務研究   ( 9 ) 159 - 172  2016年03月

  • 企業不祥事への対応のあり方ーGCOEコンプライアンス調査を踏まえた一考察

    松澤伸

    甲斐克典=田口守一編『刑事コンプライアンスの国際動向』(信山社)     155 - 164  2015年07月

  • 野村稔教授の刑法理論について—刑法総論を中心に

    『野村稔先生古稀祝賀論文集』(成文堂)    2015年03月

  • いわゆる「ブーメラン現象」と犯罪論体系

    『川端博先生古稀祝賀論文集』(成文堂)    2015年

  • 文献紹介・ヤック・オーグレン著『スウェーデン刑法29章5条における衡平理由』

    理論刑法学の探究⑧    2015年

  • スウェーデンにおける刑罰の正当化根拠と量刑論—いわゆる「均衡原理」の基礎

    罪と罰   51 ( 3 ) 76 - 91  2014年06月

  • 共犯と正犯の区別について−裁判官の思考と共犯理論−

    『曽根威彦先生・田口守一先生古稀祝賀論文集〔上巻〕』(成文堂)     817 - 834  2014年

  • 窃盗罪における実行の着手

    山口厚=佐伯仁志編『刑法判例百選(総論)』(第7版)別冊ジュリスト    2014年

  • 誤振込み

    山口厚=佐伯仁志編『刑法判例百選(各論)』(第7版)別冊ジュリスト    2014年

  • 外国法紹介 デンマーク(3)デンマーク法(3)

    松澤 伸

    法学教室   ( 388 ) 36 - 40  2013年

    CiNii

  • デンマーク刑法における未遂犯規定(翻訳)

    カリン・コーニルズ著, 松澤伸, 岡田侑大

    比較法学   46 ( 3 ) 295 - 315  2013年

  • 企業不祥事への対応のあり方:GCOEコンプライアンス調査を踏まえた一考察

    企業と法創造   9 ( 4 ) 326 - 331  2013年

  • 条件関係

    斉藤誠二=船山泰範編『ノート刑法総論〔第5版〕』    2013年

  • 相当因果関係の判断基準

    斉藤誠二=船山泰範編『ノート刑法総論〔第5版〕』    2013年

  • 択一的競合

    斉藤誠二=船山泰範編『ノート刑法総論〔第5版〕』    2013年

  • 消費者保護と刑法

    甲斐克則編『現代社会と刑法を考える』(法律文化社)    2012年03月

  • デンマークとスウェーデンにおけるCSRと法人処罰

    松澤伸, 田川靖紘, 福山好典

    企業と法創造   8 ( 4 ) 137 - 150  2012年

    CiNii

  • 振込め詐欺を巡る諸問題

    早稲田大学社会安全政策研究所紀要   ( 5 ) 3 - 12  2012年

  • 未成年後見人による横領と親族相盗例の準用—最決平成20・2・18

    論究ジュリスト   ( 2 ) 263 - 268  2012年

  • 駐車禁止除外指定標章とそのビニール製ケースとの間に数字記載の紙片を挟み固定する行為と公文書偽造

    平成23年度重要判例解説     161 - 162  2012年

  • 外国法紹介 デンマーク(1)デンマーク法(1)

    松澤 伸

    法学教室   ( 386 ) 27 - 30  2012年

    CiNii

  • 外国法紹介 デンマーク(2)デンマーク法(2)

    松澤 伸

    法学教室   ( 387 ) 36 - 40  2012年

    CiNii

  • 作成権限の濫用・逸脱と有価証券偽造罪・文書偽造罪の成否

    立教法学   79   139 - 164  2010年04月

  • 教唆犯と共謀共同正犯の一考察—いわゆる「間接正犯と教唆犯の錯誤」を切り口として—

    Law & Practice   4   95 - 116  2010年04月

  • Judicial Persons as Victims: An Introduction from a Japanese Perspective

    Waseda Bulletin of Comparative Law   vol. 28   1 - 12  2010年03月

  • 別居中の共同親権者による未成年者の略取行為と実質的違法性阻却

    ジュリスト   1389   108 - 112  2009年11月

  • 金融手形・小切手偽造と有形偽造の概念にまつわる刑法上の諸問題

    早稲田大学孔子学院叢書1・日中刑法論壇     145 - 161  2009年07月

  • 覚せい剤輸入罪等の実行の着手時期

    ジュリスト増刊・平成20年度重要判例解説   1376  2009年04月

  • 営業秘密の保護と刑事法

    甲斐克則編『早稲田大学COE叢書5巻・企業活動と刑事規制』(日本評論社)     170 - 187  2008年05月

  • Nyt Laegdommersystem i Japan

    Elholm, T. mfl. (eds.) Ikke kun straf... Festskrift til Vagn Greve     417 - 426  2008年04月

  • 名義人本人の承諾を得ていたとしても私文書偽造罪の成立が認められるとされた事例

    刑事法ジャーナル   ( 11 ) 99 - 106  2008年03月

  • 公務執行妨害罪における「暴行」の程度

    刑法判例百選�各論(第6版)     242 - 243  2008年03月

  • 刑事責任�—狭義の刑事責任

    法学研究の基礎・法的責任     125 - 149  2008年03月

  • デンマークの企業犯罪

    甲斐克則=田口守一編『企業活動と刑事規制の国際動向』     197 - 224  2008年03月

  • 第三者に譲渡売却する目的で銀行から自己名義の預金通帳の交付を受ける行為は1項詐欺罪にあたるとした事例

    法学教室別冊判例セレクト   ( 330 )  2008年02月

  • 不作為犯の罪数

    刑法判例百選�総論(第6版)     210 - 211  2008年02月

  • 刑法における法人の地位

    刑法の争点    2007年10月

  • 機能的刑法解釈方法論再論

    早稲田法学   82 ( 3 )  2007年07月

  • ノルウェー刑法における共謀罪

    季刊刑事弁護   ( 50 )  2007年04月

  • 企業の犯罪回避とコンプライアンス・プログラム

    田口守一=甲斐克則=今井猛嘉=白石賢編著 企業犯罪とコンプライアンス・プログラム/商事法務    2007年03月

  • 文書偽造罪の保護法益と「公共の信用」の内容——最近の判例を素材として——

    早稲田法学   82 ( 2 )  2007年03月

  • Crime by Lawyers in Japan and the Responsibilities of Professionals

    Shin Matsuzawa, Tokikazu Konishi

    Pontell, Henry N.; Geis, Gilbert L. (Eds.) International Handbook of White-Collar and Corporate Crime    2007年01月

  • 北欧における飲酒運転の現状と対策

    岡野光雄先生古稀記念・交通刑事法の現代的課題    2007年01月

  • デンマーク刑法における涜神罪

    季刊刑事弁護   ( 46 )  2006年04月

  • スウェーデンの参審制

    クリスチャン・ディーセン

    早稲田法学   81 ( 1 )  2005年12月

  • 海外における量刑判断への市民参与—デンマークの参審制

    季刊刑事弁護   ( 44 )  2005年10月

  • 法人に対する強要・脅迫罪の成否(二)

    早稲田法学   80 ( 4 )  2005年09月

  • Det nye laegdommrsystem i Japan

    学会報告 NORDISK WORKSHOP I STRAFFERETT 2005    2005年04月

  • 法人に対する脅迫・強要罪の成否(一)

    早稲田法学   80 ( 2 )  2005年03月

  • 販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」

    ジュリスト   ( 1286 )  2005年03月

  • 刑法と損害賠償法—デンマークにおける「専門家の責任」を契機として

    企業と法創造   1 ( 4 )  2005年03月

  • 窃盗罪の保護法益

    川端博編著 刑法判例演習/北樹出版    2004年07月

  • 機能的刑法解釈論の方法に関する一考察

    刑法雑誌   43,3  2004年03月

  • 裁判員制度の人数構成—裁判官2人制の提言

    現代刑事法   6;1  2004年01月

  • 機能的刑法解釈論の方法に関する一考察

    学会報告 第81回刑法学会大会    2003年05月

  • 違法性の判断形式と犯罪抑止

    早稲田法学   78;3  2003年05月

  • フォト・コピーの文書性

    刑法判例百選�(第五版)/有斐閣    2003年04月

  • 市民と裁判官のコミュニケーション—北欧の参審制と我が国の裁判員制—

    法と心理/日本評論社   2;1  2002年12月

  • 北欧四カ国の陪審制・参審制——デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド

    現代刑事法   3;7  2001年07月

  • デンマークとノルウェーの陪審制・参審制

    自由と正義   52;6  2001年06月

  • デンマークの刑事裁判と陪審制・参審制

    立教法学   ( 55 )  2000年

  • デンマーク刑法の発展

    早稲田大学大学院法研論集   ( 77 )  1996年

  • 不真正不作為犯の実行行為と未遂−作為可能性と結果回避可能性の機能ー

    早稲田大学大学院法研論集   ( 74 )  1995年

  • 演習

    法学教室   ( 367 ) 168 - 169

  • 演習

    法学教室   ( 368 ) 160 - 161

  • 演習

    法学教室   ( 369 ) 184 - 185

  • 演習

    法学教室   ( 370 ) 138 - 139

  • 演習

    法学教室   ( 371 ) 160 - 161

  • 演習

    法学教室   ( 372 ) 160 - 161

  • 演習

    法学教室   ( 373 ) 166 - 167

  • 演習

    法学教室   ( 374 ) 166 - 167

  • 演習

    法学教室   ( 375 ) 178 - 179

  • 演習

    法学教室   ( 376 ) 155 - 154

  • 演習

    法学教室   ( 377 ) 150 - 151

  • 北海道開発庁長官の職務と職務密接関連行為

    刑事法ジャーナル   ( 29 ) 120 - 127

  • 演習

    法学教室   ( 378 ) 154 - 155

  • 公務の執行を妨害する罪

    浅田和茂=井田良編『新基本法コンメンタール刑法』     227 - 232

  • 文書偽造罪 川端博『文書偽造罪の理論』

    松澤伸

    伊東研祐=松宮孝明編『リーディングス刑法』(法律文化社)     484 - 499

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書籍等出版物

  • 裁判員裁判と刑法

    松澤伸, 高橋則夫, 橋爪隆, 稗田雅洋, 松原英世

    成文堂  2018年03月

  • Law Practice 刑法(第3版)

    佐久間修, 高橋則夫, 松澤伸, 安田拓人

    商事法務  2017年10月

  • 野村稔先生古稀祝賀論文集

    高橋則夫, 松原芳博, 松澤伸

    成文堂  2015年03月

  • Law Practice 刑法(第2版)

    佐久間修, 高橋則夫, 松澤伸, 安田拓人

    商事法務  2014年03月

  • 刑法は企業活動に介入すべきか

    田口 守一, 松澤伸, 今井猛嘉, 細田孝一, 池辺吉博, 甲斐克則

    成文堂  2010年01月

  • Law Practice 刑法

    佐久間修, 高橋則夫, 松澤伸, 安田拓人

    商事法務  2009年03月

  • デンマーク司法運営法(比較法研究所叢書35号)

    松澤伸

    成文堂  2008年03月

  • 機能主義刑法学の理論

    松澤伸

    信山社  2001年02月

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講演・口頭発表等

  • Censure and Hard Treatment in the Punishment/Penalty System

    Shin MATSUZAWA  [招待有り]

    Tuesday’s Seminar at Frankfurt University, Faculty of Law  

    発表年月: 2019年12月

  • Can Public Opinion Become the Legitimation for Penal Policy?

    Shin MATSUZAWA, Hideyo MATSUBARA

    American Society of Criminology 2019 Annual Meeting(San Francisco(U.S.A.))  

    発表年月: 2019年11月

  • 刑法における責任・予防と刑罰論

    松澤伸  [招待有り]

    日中刑法学シンポジウム 中国政法大学刑事司法学院  

    発表年月: 2019年09月

  • International Criminal Law and Anti-Corruption: Anti-Bribery Law of Japanese Foreign Public Officials

    Shin MATSUZAWA  [招待有り]

    International Forum on Experience of Anti-Corruption in Transnational Countries  

    発表年月: 2019年09月

  • The Public Sense of Justice in Japan:A Study of Attitudes towards Punishments

    Shin MATSUZAWA, Hideyo MATSUBARA

    The 46th annual conference of the Western Society of Criminology(Honolulu(U.S.A.))  

    発表年月: 2019年02月

  • The Public Sense of Justice in Japan: A Study of Attitudes towards Punishments

    Shin MATSUZAWA, Hideyo MATSUBARA

    The RCSL-SDJ Lisbon Meeting 2018 "Law and Citizenship Beyond The States”   Research Committee on Sociology of Law (RCSL)  

    発表年月: 2018年10月

  • 刑罰政策に関する公衆の法意識ー人々は刑罰をどのように使いたいと考えているのかー

    報告, 松澤伸, 松原英世, コメント, 岡邊健, 稗田雅弘, 石井隆

    主催:科学研究費基盤研究(B)「刑罰に関する法意識の実証的研究:法感情と法理性という新たな分析枠組みに基づいて」・現行刑事法研究会 共催:早稲田大学比較法研究所  

    発表年月: 2018年07月

  • 刑罰政策における公衆の意識構造

    松澤伸, 松原英世

    日本犯罪社会学会  

    発表年月: 2018年

  • 刑法解釈の客観性について

    松澤伸  [招待有り]

    中四国法政学会第58回大会  

    発表年月: 2017年10月

  • 個別報告「スウェーデンの刑罰理論についてー刑罰文化を踏まえた一考察」

    松澤伸  [招待有り]

    法文化学会第19回研究大会「刑罰の法文化」   法文化学会  

    発表年月: 2016年11月

  • 基調報告「刑法解釈論の意義と方法」

    国際シンポジウム:刑法解釈論の方法と裁判官の思考—法解釈学・法政策・北欧の経験から  

    発表年月: 2014年03月

  • 「『現に行われている刑法』の解釈論とその発見・構成の方法について」

    日本刑法学会仙台部会  

    発表年月: 2013年03月

  • 「日本における死刑」

    死刑の司法制限について  

    発表年月: 2012年02月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 刑罰政策の基礎と「民意」の構造に関する実証的研究:理性的な「民意」の起動条件

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2023年04月
    -
    2026年03月
     

    松澤 伸, 松本 圭史, 岡邊 健, 松原 英世, 十河 隼人

  • 若年成人に対する刑事手続上・処遇上の諸問題の総合的研究

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    少年年齢引き下げの議論が社会の注目を集め国民の関心が高い少年・若年成人に対する刑事手続・処分についての特則の実情とそれを支えている理念・背景などについて、理論・実務の双方から研究を行って、少年及び若年犯罪者に対する刑事手続・刑罰・処分・処遇の在り方を提示することを目指す。そのため、研究者及び刑事実務の経験者がそれぞれの専門性を生かして研究を分担・協同して、日本国内及び北欧、ドイツ、アメリカ等の現地調査などを行い、関係する諸法(少年法・刑法・刑事訴訟法、刑事収容施設法、更生保護法、少年院法等)及びその運用について、具体的・実践的な改革の提言を導けるように研究成果を発表しつつ研究を遂行する。少年・若年成人の犯罪者に対する刑事手続上、処遇・処分等についての特則の実情とそれを支えている理念、背景などについて、理論・実務の双方から研究を行うため、その初年度として、以下の調査・研究を行うとともに、研究成果の発表も一部行った。海外現地調査として、①2019年10月、研究代表者と研究分担者である松澤伸教授が研究協力者(保護観察官経験者の研究者である小長井賀與教授、保護観察官、矯正関係者、刑事法研究者)と共にスウェーデンに渡航し、ストックホルム市内の矯正保護庁、同市社会福祉委員会、同市のソーシャル・サービスの本部(若年・少年対応)のほか、クルム市のクルム刑務所、ヴェステロースの保護観察所、リンシッピング大学に赴いて、少年・若年成人の犯罪者に対する刑罰(制裁)による収容施設の実情、同所での処遇状況、社会内処遇である保護観察、社会的支援、多機関連携等の実情を視察し、担当の職員・関係者と面談調査を行った。②2019年5月、10月、2020年2月、研究代表者と研究分担者である京明教授がイギリスに渡航し、ロンドン、レスター、ウェールズ等に赴いて、児童自立支援施設、警察施設、刑事裁判所の視察、裁判傍聴、検察官、裁判官、研究者、関係施設職員との面談・討議などを行うとともに、ドゥ・モンフォート大学における年少者を含む供述弱者の取調に関するシンポジウムに参加し、報告・討議を行った。国内では、上記シンポジウムのイギリスの刑事法研究者、警察関係者等を招聘したシンポジウムに参加して報告・討議を行うとともに、刑事施設の視察を行った。上記の研究成果に関しては、後掲の論文等を発表し、研究会での報告等を行っているが、諸外国においても、手続、処分、処遇それぞれについて、若年者の判断能力、行動統制力の不十分さ、教育的処遇の有効性に基づいた特則や運用上の配慮が種々、行われていることを確認することができた。調査については、上記のように、海外については、スウェーデンに1回、イギリスに3回、それぞれ赴いて実施し、関係する文献、資料の収集を行い、国内では、刑事施設の視察・関係職員との面談を行った。これらの調査により、ウェールズの最新の動向、多機関連携の実情等の新たな知見をえるとともに、関係者との知己を得て今後の調査・研究の足がかりを得ることができた。これらにより、少年・若年成人の犯罪者に対する捜査手続(取調)、刑事裁判手続・科刑の特則、施設収容の実情・処遇の特則、社会内処遇の実情、多機関との連携の実情等についての知見を深め、研究を進めることができた。研究会等については、イギリス及び国内でイギリスの研究者等とシンポジウムを行い、報告・討議等を行うことができ、これにより、考究を深めることができた。研究成果の共有については、研究代表者、研究分担者において、シンポジウムにおける報告、研究会での報告、論文の発表等を行って進めている。以上から、本研究は、おおむね順調に進展していると判断した。研究の二年目となるので、初年度の成果を踏まえて、引き続き、海外、国内における現地調査を進展させる。すなわち、犯罪者収容施設等の視察、関係機関の訪問、関係者との面談、関係資料の収集などに努め、開放的な処遇施設の実情、社会内処遇と施設内処遇の連携の実情など、これまでには訪問・現地調査のできていない地域の訪問、視察できていない施設・機関等についての現地調査を実施し、少年・若年成人の犯罪者に対する刑事手続上・処遇上の特則の実情の把握に努める。それらの成果を研究代表者及び研究分担者間で共有して掘り下げるとともに、研究会等によって、より広い意見を聴き、上記の特則の背景、それを支える理念等についての考究を深めて行く

  • 統一的正犯体系に基づく共犯理論の総合的研究:比較法的検討を通じた理論と実務の架橋

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    日本の共犯規定は、形式的には、正犯(共同正犯:60条)と共犯(教唆犯:61条、幇助犯:62条)を区別する「共犯体系」を採用しているが、裁判実務において共犯が処罰されることは稀であり、実際上は、犯罪関与者を原則として「正犯」として処罰する「統一的正犯体系」が採用されており、規定形式とその運用の間に乖離がみられる。そこで、本研究では、統一的正犯体系を実際に運用している各国の議論状況・実際の運用状況を広く参照することで、実質的には統一的正犯体系を採用している日本の裁判実務の基本的立場に対して理論的基盤を提供し、理論と実務を架橋することを目的とする

  • 刑罰政策における公衆の意識構造の実証的研究:「民意」をどのようにつかまえるべきか

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    日本を含む多くの先進諸国において、「国民は犯罪者に対して厳しい対応(現状よりも重い刑罰を科すこと)を望んでいる」という「民意」を根拠に厳罰化が進行している。しかし、はたして「民意」は本当に厳罰化を望んでいるのだろうか。また、そもそも、「民意」とは何を指し、どのようにして把握されるべきものなのであろうか。本研究では、人々は刑罰をどのように使いたいと考えているのか、さらにいえば、それ(刑罰政策にかかわる「民意」)をどのようにしてつかまえるべきかについて、フォーカス・グループ調査、並びに、テキスト・マイニング(計量テキスト分析)の手法を用いて実証的に検討を行う。本研究の目的は、刑罰政策に関わる「民意」の正確な把握である。民主主義国家 である以上、国家の政策が「民意」に沿うことに問題はない。問題は政治家や政策担当者が 「民意」を誤ってつかまえる/理解することである。他方で、刑罰制度が適正かつ効果的に 作動するためには、刑罰制度への国民の信頼が必要であり、そのためには、国民の期待と現 実との間に大きな齟齬があってはならない。したがって、国民に支えられた適正で効果的な 刑罰政策の実現のためには、「民意」を正確につかまえること、その前提として、刑罰政策 における公衆の意識構造を明らかにすることが必須の課題となる。民意をつかまえるために、本研究では、短い問の形を用いた大規模な調査と、比較的少人数によるフォーカスグループ調査を予定しているが、本年度は、前者について、共同研究者3名による研究会を複数回重ねつつ、質問事項の選定及び実施方法の検討を行った。これにより、質問事項は確定し、実施方法についても、従来のweb調査のほか、代表性を確実にするために、電話調査も併用する方針を固めた。具体的な実施は、2020年度の春頃と決定した。また、将来得られるデータの分析のため、その準備作業となる理論研究を、共同研究者それぞれが行った。具体的には、研究論文4、著書1という成果を公表し、また、アメリカ犯罪学会においても、以前の調査について、分析を加えた研究報告を行った(松澤・松原)。また、フランクフルト大学では、刑罰・法意識の基礎理論について、研究報告を行った(松澤)。本年度は、調査計画の確定と準備にあてる予定であったが、その準備作業は、順調に進展している本年度に確定した調査計画に従い、2020年度は、実態調査を実施する予定であったが、予想もしなかった新型コロナ肺炎の流行の影響で、この実施が非常に困難となることが予想される。具体的には、春頃の調査の予定を、秋頃に延期する方法を考えているが、それも可能かどうかは、事態の推移を見守らなければならない。仮に2020年度に調査が不可能となった場合は、2021年度に延期するとともに、研究自体の1年延長も検討する必要があるかもしれない。なお、実態調査ができない場合であっても、過去に収集したデータの分析や理論研究は推進する予定である

  • 刑罰に関する法意識の実証的研究:法感情と法理性という新たな分析枠組みに基づいて

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    松澤 伸, 松原 英世

     概要を見る

    本研究は、人々は刑罰をどのように使いたいのかという問いを、実証的に考察するため、3種類の調査を行った。第1に、「犯罪者」や「刑罰」というキーワードを含んだ簡単な質問調査、第2に、具体的な犯罪事件を用いた調査、第3に、グループ討論調査である。その結果、「対象となる犯罪についての情報が増えれば/犯罪者との距離が縮まれば、犯罪・犯罪者に対して用いたいとする刑罰量は減少する」という知見を得ることができた。近年、「民意」が刑事立法の根拠とされることが増えてきているが、そこにいう「民意」とは何を指しているのか。例えば、メディアにおいて、「世間は厳罰を望んでいる」といった言説にしばしば接するが、それは正しく民意を反映しているのか。本研究では、様々な形で民意を測ることにより、実際の犯罪状況や刑罰の用いられ方についての情報が与えられた場合とそうでない場合とでは、人々の意見が異なってくることを明らかにした

  • 少年法制の総合的研究ー少年年齢・若年層設置を中心として

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    廣瀬 健二, 成瀬 幸典, 松澤 伸, 佐藤 隆之, 柑本 美和, 津田 雅也, 成瀬 剛, 京 明

     概要を見る

    少年年齢(少年法適用の上限年齢)及び若年層(若年者に対する少年に準じた手続・処遇の特則)に関し、北欧、欧米諸国における比較法制的な調査・研究、日本の少年院、少年刑務所、成人刑務所の実情調査並びに研究会での討議等を行い、少年年齢18歳の国等が多いが、若年者(24歳程度)の特性(未熟性・可塑性等)に着目し、再犯防止、改善更生を図るためその手続・処遇等に特則(若年層)が設けられて有効に機能していること、日本の少年法の特則は有効に機能していることが確認できた。そこで、実質的に高いとはいえない日本の少年年齢20歳を引き下げるのであれば、その必要性・有効性から、若年層(24歳程度)の設置を提言する。米欧諸国に加え、少年法制について十分紹介されていない北欧諸国、オーストラリアに関する比較法制研究を行い、少年・若年者(24歳程度)の教育可能性から、少年及び若年成人に手続・処遇の特則が設けられていることを明らかにするとともに、日本の少年院、刑務所等の処遇についての実情調査を行い、少年法の特則が有効に機能していることを確認した。これらの結果を踏まえて、少年法の年齢上限を18歳に引き下げるとすれば、若年者にも少年に準じた手続・処分の特則を設けることが必要・有効であることを示し、立法的な提言も行ったもので、最近の少年法改正論議にも資する研究となっている

  • 刑罰に関する法意識の実証的研究:法感情と法理性という新たな分析枠組みに基づいて

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    松澤 伸, 松原 英世

     概要を見る

    本研究は、人々は刑罰をどのように使いたいのかという問いを、実証的に考察するため、3種類の調査を行った。第1に、「犯罪者」や「刑罰」というキーワードを含んだ簡単な質問調査、第2に、具体的な犯罪事件を用いた調査、第3に、グループ討論調査である。その結果、「対象となる犯罪についての情報が増えれば/犯罪者との距離が縮まれば、犯罪・犯罪者に対して用いたいとする刑罰量は減少する」という知見を得ることができた。近年、「民意」が刑事立法の根拠とされることが増えてきているが、そこにいう「民意」とは何を指しているのか。例えば、メディアにおいて、「世間は厳罰を望んでいる」といった言説にしばしば接するが、それは正しく民意を反映しているのか。本研究では、様々な形で民意を測ることにより、実際の犯罪状況や刑罰の用いられ方についての情報が与えられた場合とそうでない場合とでは、人々の意見が異なってくることを明らかにした

  • 非行少年・犯罪者に対する就労支援システムの展開可能性に関する考察

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    石川 正興, 生島 浩, 小長井 賀與, 辰野 文理, 松澤 伸, 吉開 多一, 小西 暁和, 宍倉 悠太, 石田 咲子, 山田 憲児

     概要を見る

    本研究では、日本国内及び北欧を中心としたヨーロッパにおける犯罪者等に対する就労支援の実態調査を行い、日本での展開可能性を考察した。その結果、日本では犯罪者等に対する就労支援のネットワーク化・システム化が課題であることがわかった。ヨーロッパ諸国では、犯罪者を社会的弱者として捉え、他の社会的弱者と一緒に就労支援を行う形での「混成型就労支援」を実施しているほか、軽微な犯罪を行った者の社会復帰支援策は社会福祉行政システムに委ねられており、刑事司法と社会福祉行政がわが国よりも密接に連結していることが判明した。こうした取組みはわが国における犯罪者等に対する就労支援の展開にとって示唆に富む

  • 少年刑事事件の総合的研究ー少年の地位・責任の理論的・実務的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    廣瀬 健二, 成瀬 幸典, 佐藤 隆之, 松澤 伸, 柑本 美和, 津田 雅也

     概要を見る

    刑事司法における少年の地位・特則について、北欧、スイス、英、米、台湾における比較法制的な調査、日本の少年院・少年刑務所等の調査、少年刑事事件の裁判傍聴、研究会等における討議・検討などの研究を行った。その結果、少年に対する保護教育の観点から、少年裁判手続への専門家の関与、手続の公開制限、刑罰の多様化・内容充実の必要性、少年犯罪対策の観点から、特に重罪における刑事処分の活用、行為と刑の均衡確保の合理性が確認された。この保護教育と犯罪対策の調和を図るため、重大犯罪と一般的な犯罪に対する調査・裁判・処遇の各段階における区分、少年事件を扱う多数の機関の統合(有機的かつ実効的な連携確保)が望まれる

  • 統一的正犯概念の比較法的研究―イタリア・デンマーク・ノルウェー刑法という新領域

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    松澤 伸, 吉中 信人, 田川 靖紘

     概要を見る

    多数の者が参加する場合の犯罪処罰について、我が国の刑法典は、正犯と共犯を分ける共犯体系を採用しているが、実務においては、そのほとんどが、正犯として処罰されている。この事実から、我が国の実務は、統一的正犯体系を採用していると見られるのであって、統一的正犯体系を立法的に採用するデンマーク、ノルウェー、イタリアの刑法の共犯規定を研究した。統一的正犯体系をとると、解決が困難な問題が生じるとされて来たが、これらの国の刑法理論の研究により、それらの問題は、すべて適切に解決できることが明らかにされた。これにより、我が国においては、統一的正犯体系が現に妥当していると説明することが最も適切であると考えられる

  • 少年刑事事件の総合的研究ー少年の地位・責任の理論的・実務的研究

    科学研究費助成事業(立教大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2013年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    1 文献調査 我が国の少年刑事法制に関する文献、裁判例の収集・検討については、ほぼ予定どおり行い、それらに基づき後掲の論文等を発表している。また、少年事件の判例報告(平成25年12月14日東京大学・刑事判例研究会)を行い、研究員の刑事裁判官、刑事法研究者と討議を行った。
    海外調査の準備としては、スウェーデン、スイス、台湾等に関して、国内外の文献を収集・調査している。
    2 実情調査 少年刑事事件の法廷傍聴・記録検討を2件行った(うち1件は犯行時少年であったが、公判時は成人となってしまった事案)。少年施設として、川越少年刑務所の視察・見学を行った。また、日本弁護士連合会子どもの権利委員会の勉強会(平成26年2月13日)で「少年の刑事事件について」講演を行うとともに、少年事件の付添人、刑事弁護人からみた家庭裁判所の調査・審判、地方裁判所における刑事公判(裁判員裁判)の実情と問題点について,委員の弁護士から弁護人・付添人の実務経験に基づく意見を聴き、討議している。
    3 海外調査 前記の文献調査等を前提に、それぞれ質問事項を作成して関係者に送付した上、スウェーデン、スイス、台湾に渡航し、各少年事件担当者、研究者等との面談・討議、関係施設等の調査を次のように行った。
    ①スウェーデンでは、ソーシャルサービス、検察官、裁判官、犯罪学・社会学・刑事法の各研究者との研究会、面談・討議、少年裁判所・検察庁の視察・見学。②スイスでは、警察官、検察官、ソーシャルワーカー、関係施設職員、刑事法研究者らとの面談・討議、少年拘禁施設、福祉的処遇施設、検察庁、裁判所の視察・見学、関係職員との面談。③台湾では、少年事件・刑事事件担当の裁判官、検察官、弁護士、調査官、保護観察官らとの研究会、面談・討議、刑事・少年裁判所、少年院、少年刑務所、成人の刑務所等の施設の視察・見学、収容少年や施設職員らからの意見聴取。

  • 統一的正犯概念の比較法的研究―イタリア・デンマーク・ノルウェー刑法という新領域

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2012年
    -
    2014年
     

     概要を見る

    本研究の目的は、イタリア、デンマーク、ノルウェーにおいて採用されている統一的正犯概念について研究し、最終的にわが国の議論に応用することが可能か否かを検討することを目的とするものである。これまで、イタリア、デンマーク、ノルウェーの刑法は、言語の問題もあり、わが国では研究対象とされにくく、これまでに、日本語による研究業績はほとんど見られない状況であり、特に議論されることもなかった。しかし、本研究により、各国の刑法(とりわけ、共犯のシステム)をわが国に紹介するということも目的としている。
    平成25年度は、実施計画に従い、研究代表者(松澤伸・早稲田大学)、研究分担者(吉中信人・広島大学、田川靖紘・愛媛大学)の3名で、海外リサーチ(イタリア:イタリアは、わが国と異なり、統一的正犯体系の刑法典を有している)を行った。パルマ大学において、Albert Cadoppi教授、Michele Boggiani氏ほか3名の研究員にインタビューを行い、犯罪における共同(concorso di persone nel reato : 日本における共犯論)について議論した。また、Stefano Puntinati准教授の案内により、パルマの裁判所において裁判を傍聴することもできた(刑事裁判では、証人尋問を傍聴。)。さらに、パルマ大学の図書館において研究に必要な資料を閲覧することができた。また、デンマーク、ノルウェーと同じ北欧法系に属するスウェーデン刑法について、ストックホルム大学Petter Asp教授による講演を開催できた。本講演では、デンマーク、ノルウェーとの比較もあわせつつ、北欧共犯理論の概要を紹介するもので、本研究にとって非常に参考となった。
    平成26年度は、前年度までに得た知見を、わが国で統一的正犯概念を論じる場合、どのように理論的接合ができるのかを研究する。その上で、わが国における統一的正犯概念を明確化する計画である。

  • 裁判官と研究者の協働作業による我が国の現に行われている刑事法理論の研究(司法協会による研究助成)

    研究期間:

    2011年
    -
     
     

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Misc

  • 野村稔教授の刑法理論について—刑法総論を中心に

    『野村稔先生古稀祝賀論文集』(成文堂)    2015年03月  [査読有り]

  • いわゆる「ブーメラン現象」と犯罪論体系

    『川端博先生古稀祝賀論文集』(成文堂)    2015年

  • 文献紹介・ヤック・オーグレン著『スウェーデン刑法29章5条における衡平理由』

    理論刑法学の探究⑧    2015年

  • スウェーデンにおける刑罰の正当化根拠と量刑論—いわゆる「均衡原理」の基礎

    罪と罰   51 ( 3 ) 76 - 91  2014年06月  [査読有り]

  • 窃盗罪における実行の着手

    山口厚=佐伯仁志編『刑法判例百選(総論)』(第7版)別冊ジュリスト    2014年

  • 誤振込み

    山口厚=佐伯仁志編『刑法判例百選(各論)』(第7版)別冊ジュリスト    2014年

  • 共犯と正犯の区別について-裁判官の思考と共犯理論-

    『曽根威彦先生・田口守一先生古稀祝賀論文集〔上巻〕』(成文堂)     817 - 834  2014年

  • 外国法紹介 デンマーク(3)デンマーク法(3)

    法学教室   ( 388 ) 36 - 40  2013年

  • デンマーク刑法における未遂犯規定(翻訳)

    カリン・コーニルズ著, 松澤伸, 岡田侑大

    比較法学   46 ( 3 ) 295 - 315  2013年

  • 企業不祥事への対応のあり方:GCOEコンプライアンス調査を踏まえた一考察

    企業と法創造   9 ( 4 ) 326 - 331  2013年

  • 条件関係

    斉藤誠二=船山泰範編『ノート刑法総論〔第5版〕』    2013年

  • 相当因果関係の判断基準

    斉藤誠二=船山泰範編『ノート刑法総論〔第5版〕』    2013年

  • 択一的競合

    斉藤誠二=船山泰範編『ノート刑法総論〔第5版〕』    2013年

  • 消費者保護と刑法

    甲斐克則編『現代社会と刑法を考える』(法律文化社)    2012年03月  [査読有り]

  • デンマークとスウェーデンにおけるCSRと法人処罰

    松澤伸, 田川靖紘, 福山好典

    企業と法創造   8 ( 4 ) 137 - 150  2012年

    CiNii

  • 振込め詐欺を巡る諸問題

    早稲田大学社会安全政策研究所紀要   ( 5 ) 3 - 12  2012年

  • 未成年後見人による横領と親族相盗例の準用―最決平成20・2・18

    論究ジュリスト   ( 2 ) 263 - 268  2012年

  • 駐車禁止除外指定標章とそのビニール製ケースとの間に数字記載の紙片を挟み固定する行為と公文書偽造

    平成23年度重要判例解説     161 - 162  2012年

  • 外国法紹介 デンマーク(1)デンマーク法(1)

    法学教室   ( 386 ) 27 - 30  2012年

  • 外国法紹介 デンマーク(2)デンマーク法(2)

    法学教室   ( 387 ) 36 - 40  2012年

  • 作成権限の濫用・逸脱と有価証券偽造罪・文書偽造罪の成否

    立教法学   79   139 - 164  2010年04月  [査読有り]

  • 教唆犯と共謀共同正犯の一考察—いわゆる「間接正犯と教唆犯の錯誤」を切り口として—

    Law & Practice   4   95 - 116  2010年04月

  • Judicial Persons as Victims: An Introduction from a Japanese Perspective

    Waseda Bulletin of Comparative Law   vol. 28   1 - 12  2010年03月

  • Judicial Persons as Victims: An Introduction from a Japanese Perspective

    MATSUZAWA Shin

    Waseda Bulletin of Comparative Law   vol. 28   1 - 12  2010年03月  [査読有り]

    CiNii

  • 別居中の共同親権者による未成年者の略取行為と実質的違法性阻却

    ジュリスト   1389   108 - 112  2009年11月  [査読有り]

  • 金融手形・小切手偽造と有形偽造の概念にまつわる刑法上の諸問題

    早稲田大学孔子学院叢書1・日中刑法論壇     145 - 161  2009年07月

  • 覚せい剤輸入罪等の実行の着手時期

    ジュリスト増刊・平成20年度重要判例解説   1376  2009年04月  [査読有り]

  • 営業秘密の保護と刑事法

    甲斐克則編『早稲田大学COE叢書5巻・企業活動と刑事規制』(日本評論社)     170 - 187  2008年05月  [査読有り]

  • Nyt Laegdommersystem i Japan

    Elholm, T. mfl. (eds.) Ikke kun straf... Festskrift til Vagn Greve     417 - 426  2008年04月

  • Nyt Laegdommersystem i Japan

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  • 公務執行妨害罪における「暴行」の程度

    刑法判例百選�各論(第6版)     242 - 243  2008年03月

  • 刑事責任�—狭義の刑事責任

    法学研究の基礎・法的責任     125 - 149  2008年03月  [査読有り]

  • 名義人本人の承諾を得ていたとしても私文書偽造罪の成立が認められるとされた事例

    刑事法ジャーナル   ( 11 ) 99 - 106  2008年03月  [査読有り]

  • デンマークの企業犯罪

    甲斐克則=田口守一編『企業活動と刑事規制の国際動向』     197 - 224  2008年03月

  • 不作為犯の罪数

    刑法判例百選�総論(第6版)     210 - 211  2008年02月

  • 第三者に譲渡売却する目的で銀行から自己名義の預金通帳の交付を受ける行為は1項詐欺罪にあたるとした事例

    法学教室別冊判例セレクト   ( 330 )  2008年02月

  • 不作為犯の罪数

    刑法判例百選Ⅰ総論(第6版)     210 - 211  2008年

  • 公務執行妨害罪における「暴行」の程度

    刑法判例百選Ⅱ各論(第6版)     242 - 243  2008年

  • 刑事責任Ⅱ―狭義の刑事責任

    法学研究の基礎・法的責任     125 - 149  2008年

  • 刑法における法人の地位

    刑法の争点    2007年10月

  • 機能的刑法解釈方法論再論

    早稲田法学   82 ( 3 )  2007年07月  [査読有り]

  • ノルウェー刑法における共謀罪

    季刊刑事弁護   ( 50 )  2007年04月

  • 企業の犯罪回避とコンプライアンス・プログラム

    田口守一=甲斐克則=今井猛嘉=白石賢編著 企業犯罪とコンプライアンス・プログラム/商事法務    2007年03月  [査読有り]

  • 文書偽造罪の保護法益と「公共の信用」の内容——最近の判例を素材として——

    早稲田法学   82 ( 2 )  2007年03月  [査読有り]

  • Crime by Lawyers in Japan and the Responsibilities of Professionals

    Shin Matsuzawa, Tokikazu Konishi

    Pontell, Henry N.; Geis, Gilbert L. (Eds.) International Handbook of White-Collar and Corporate Crime    2007年01月  [査読有り]

  • 北欧における飲酒運転の現状と対策

    岡野光雄先生古稀記念・交通刑事法の現代的課題    2007年01月  [査読有り]

  • Crime by Lawyers in Japan and the Responsibilities of Professionals

    Shin Matsuzawa, Tokikazu Konishi

    Pontell, Henry N.; Geis, Gilbert L. (Eds.) International Handbook of White-Collar and Corporate Crime    2007年01月

  • デンマーク刑法における涜神罪

    季刊刑事弁護   ( 46 )  2006年04月

  • デンマーク刑法における瀆神罪

    季刊刑事弁護   ( 46 )  2006年

  • スウェーデンの参審制

    クリスチャン・ディーセン

    早稲田法学   81 ( 1 )  2005年12月

  • 海外における量刑判断への市民参与—デンマークの参審制

    季刊刑事弁護   ( 44 )  2005年10月  [査読有り]

  • 法人に対する強要・脅迫罪の成否(二)

    早稲田法学   80 ( 4 )  2005年09月  [査読有り]

  • Det nye laegdommrsystem i Japan

    学会報告 NORDISK WORKSHOP I STRAFFERETT 2005    2005年04月

  • Det nye laegdommrsystem i Japan

    学会報告 NORDISK WORKSHOP I STRAFFERETT 2005    2005年04月  [査読有り]

  • 法人に対する脅迫・強要罪の成否(一)

    早稲田法学   80 ( 2 )  2005年03月  [査読有り]

  • 販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」

    ジュリスト   ( 1286 )  2005年03月  [査読有り]

  • 刑法と損害賠償法—デンマークにおける「専門家の責任」を契機として

    企業と法創造   1 ( 4 )  2005年03月  [査読有り]

  • 窃盗罪の保護法益

    川端博編著 刑法判例演習/北樹出版    2004年07月

  • 機能的刑法解釈論の方法に関する一考察

    刑法雑誌   43,3  2004年03月  [査読有り]

  • 裁判員制度の人数構成—裁判官2人制の提言

    現代刑事法   6;1  2004年01月  [査読有り]

  • 機能的刑法解釈論の方法に関する一考察

    学会報告 第81回刑法学会大会    2003年05月  [査読有り]

  • 違法性の判断形式と犯罪抑止

    早稲田法学   78;3  2003年05月  [査読有り]

  • フォト・コピーの文書性

    刑法判例百選�(第五版)/有斐閣    2003年04月

  • フォト・コピーの文書性

    刑法判例百選Ⅰ(第五版)/有斐閣    2003年

  • 市民と裁判官のコミュニケーション—北欧の参審制と我が国の裁判員制—

    法と心理/日本評論社   2;1  2002年12月  [査読有り]

  • 北欧四カ国の陪審制・参審制——デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド

    現代刑事法   3;7  2001年07月  [査読有り]

  • デンマークとノルウェーの陪審制・参審制

    自由と正義   52;6  2001年06月

  • デンマークの刑事裁判と陪審制・参審制

    立教法学   ( 55 )  2000年

  • デンマーク刑法の発展

    早稲田大学大学院法研論集   ( 77 )  1996年

  • 不真正不作為犯の実行行為と未遂-作為可能性と結果回避可能性の機能ー

    早稲田大学大学院法研論集   ( 74 )  1995年

  • 演習

    法学教室   ( 378 ) 154 - 155

  • 公務の執行を妨害する罪

    浅田和茂=井田良編『新基本法コンメンタール刑法』     227 - 232

  • 演習

    法学教室   ( 367 ) 168 - 169

  • 演習

    法学教室   ( 368 ) 160 - 161

  • 演習

    法学教室   ( 369 ) 184 - 185

  • 演習

    法学教室   ( 370 ) 138 - 139

  • 演習

    法学教室   ( 371 ) 160 - 161

  • 演習

    法学教室   ( 372 ) 160 - 161

  • 演習

    法学教室   ( 373 ) 166 - 167

  • 演習

    法学教室   ( 374 ) 166 - 167

  • 演習

    法学教室   ( 375 ) 178 - 179

  • 演習

    法学教室   ( 376 ) 155 - 154

  • 演習

    法学教室   ( 377 ) 150 - 151

  • 北海道開発庁長官の職務と職務密接関連行為

    刑事法ジャーナル   ( 29 ) 120 - 127

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その他

  • 北欧における刑事法学...

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    北欧における刑事法学を研究しております。我が国の刑法解釈論については、その方法論を、我が国の刑事裁判制度については、その市民の裁判参加に関する理論を学び、これを応用することを目指しています。

 

現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 刑法政策および犯罪化理論の研究

    2013年08月
    -
    2015年08月

    スウェーデン   ストックホルム大学、ウプサラ大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 社会科学総合学術院   社会科学部

  • 法学学術院   大学院法学研究科

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2023年
    -
    2024年

    データ科学センター   兼任センター員

  • 2022年
    -
    2024年

    カーボンニュートラル社会研究教育センター   兼任センター員

特定課題制度(学内資金)

  • 経験科学的事実と刑法解釈学の関係について

    2023年  

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    刑法解釈学を客観的なものとするための方法については、様々な見解が主張されてきた。その中で、従来、我が国において有力だったのは、経験科学的事実に基づいて、刑法の解釈が最も有効となる解釈を取るべきである、という主張であった。すなわち、ある解釈を主張する者の主観的な意見表明としての解釈ではなく、客観的な事実に基づいて、このような解釈を行えば、実際に犯罪を抑止できる、といった形で、ある解釈について、正統性を与えようという考え方である。本特定課題の当初の目的は、この解釈の方法について、ある程度、抽象的・一般的なレベルで議論を展開することであり、実際に、アウグスブルク大学法学部のヨハネス・カスパー教授とともに、刑法学の基礎理論、犯罪論、刑罰論(特に量刑論)、行刑論の4つのレベルにおいて、経験科学的事実がどのような意義を持つか、オンラインで、定期的に共同討議を行い、英語論文を作成中である。ただ、この論文を作成する中で、もう少し具体的な場面で、上記の方法を展開し、そこから、帰納的にこの問題を考える必要を感じたところであった。そこで、経済刑法を検討の素材として、経験科学的事実がどのように具体的な解釈論に反映されているか、研究を行うこととした。この研究は、さらに、若手・中堅の刑法学者にもご参集いただいた共同研究の形に発展し、松澤伸編『基本学習・企業犯罪と経済刑法』(商事法務・2023年刊行)という形でまとめることができた。この書籍において、私は、序章、営業秘密侵害罪、外国公務員贈賄罪について、上記の視点から検討を加え、一定の成果を得ることができたと考えるが、特に、序章においては、経済刑法における刑罰の用い方について、抽象的・一般的な形で議論を展開することができた。今後、これらの成果を、上記カスパー教授との共著論文に反映させ、近日中に、目標であった英語論文を完成させることとしたい。

  • 刑法学における方法論の再検討

    2022年  

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    申請者は、“Methodology of Criminal Law Theory: Art, Politics or Science?”(Nomos Hart 2021)という書籍において、年来主張している機能主義刑法学の方法論を、アップデートしつつ示した。これに対し、スウェーデン・ストックホルム大学のペッター・アスプ教授は、批判的論文を同書に寄稿している。そこで、規範的刑法学を擁護するアスプ教授の立論を検討し、私の立場から、これにいかなる反批判が可能か、検討した。アスプ教授の批判内容は、法の規範的性質についての議論が中心となっているが、その内容を整理すると、以下のようになるであろう。――(1)法は規範的な解釈が必要であり、松澤理論(事実的刑法学)とアスプ理論(規範的刑法学)は、ほとんど「正反対」の立場である。(2)規範的刑法学においては解釈を拘束ないし制限する価値的パターンの導出が重要であり、それには価値論的一貫性があることが前提となる。(3)法はその性質上解釈を必要とするものなのであり、法学も規範的なものとならざるを得ない。そして、法には解放性があり、それゆえ多様な規範的アプローチを行う必要がある。それぞれにつき、申請者の立場からは、以下のような反論が可能である。(1)申請者の理論でも、規範的刑法学の存在意義は認められる。裁判官に対する提言としての法政策においては、規範的刑法学の存在余地がある。(2)申請者の理論から見れば、最も本質的な問題は、規範的刑法学における価値的パターンあるいは原理の抽出が、抽出者の主観によって行われる可能性がある、ということである。この点について、アスプ教授からの返答はない。(3)アスプは、「法律学に関する我々の見解は、法に関する我々の理解の派生物である」と言う。しかし、この命題の導出には、論理必然性が一切ない。法がどのようなものであるかということから、法に対するアプローチ方法を、無条件に引き出すことはできないはずである。

  • デンマークにおける性犯罪規定の改正について

    2021年  

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    デンマークでは、2021年1月1日に、従来の強姦罪に変えて、レイプ罪(voldtægt)の新規定を施行した。これは、「明確な同意を得ていない性交はレイプとみなされる」という趣旨の規定であり、いわゆる“Yes means Yes”型の性犯罪規定である。本研究では、デンマークにおける刑法審議会と法務省の立案審議経過を参照しつつ、この新規定について、詳細な検討を加えた。まず、該当条文の概要を把握し、立法過程での議論を詳細にフォローし、暴行・脅迫要件を撤廃した新レイプ罪規定(Straffeloven 216条1項)の具体的な適用を調査し、同じ北欧のスウェーデンの規定との比較も併せつつ、その適用の現状について検討した。

  • 企業不祥事における対企業金銭制裁制度の研究:北欧法制をふまえて

    2021年  

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    企業不祥事を引き起こした法人の役員や従業員、ひいては法人それ自体に対する法的対応としては、刑事制裁(刑事法上の措置)、課徴金(行政法上の措置)、損害賠償請求(民事法上の措置)など、幾重にも渡った対応が準備されているが、果たしてこうした法的制裁が、企業犯罪を抑止する上で、十分に機能しているのであろうか、というのが、本研究の問題意識である。本年度は、この問題意識をさらに明確化するため、基本的事項について再度確認することとし、犯罪と刑罰それ自体の本質について、検討を加えた。具体的には、犯罪と刑罰は一体的に把握すべきであるという理論に基づき、企業犯罪で特に問題となる法定犯について、検討を加えた。

  • 私文書偽造罪におけるいわゆる代理名義の冒用について

    2020年  

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     代理名義を冒用して私文書を作成した場合、私文書偽造罪が成立するか。これは、私文書偽造罪における代理名義の冒用として知られてきた古典的な論点である。代理名義の冒用は、有形偽造であるという点で、学説・判例は一致している。むしろ、有形偽造の定義は、この議論から出発しているとさえ言ってよい。すなわち、有形偽造とは、文書の作成権限のない者が権限を逸脱して文書を作成することである、といわれるが、代理権を冒用することは、端的に言えば、文書の作成権限の冒用であるから、これが有形偽造となるのは、当然のことでもある。 では、この問題は完全に解決済みか、というと、そうではない。作成者が作成権限を逸脱して文書を作成している点では、代理名義の冒用が有形偽造になるということは、明快である。すなわち、この論点における作成者は、代理権を有していない作成者ということになる。しかし、名義人は誰かという問題になると、判例・学説は一致していない。そして、近時の私文書偽造罪の議論において重要なのは、むしろ、名義人の特定である。以上の理解をもとに、本研究では、民事法の議論を参照しつつ、このような場合の名義人については、代理人が名義人として把握されるのが一般的であることを前提とし、新たな理論構成を検討した。

  • 企業不祥事における対企業金銭制裁制度の研究:北欧法制をふまえた刑商事法統合研究

    2019年  

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    企業不祥事を引き起こした法人の役員や従業員、ひいては法人それ自体に対する法的対応としては、刑事制裁(刑事法上の措置)、課徴金(行政法上の措置)、損害賠償請求(民事法上の措置)など、幾重にも渡った対応が準備されているが、果たしてこうした法的制裁が、企業犯罪を抑止する上で、十分に機能しているのであろうか、というのが、本研究の問題意識である。本年度は、この問題意識をさらに明確化するため、基本的事項について再度確認することとし、罰金制度の本質について、企業制裁制度の刑事法側のベースラインという観点から、検討を加えた。具体的には、罰金制度についての論文を英文で作成した。これは、本年度中に、Routledgeより公刊されるNathalia Viblaほか編によるアンソロジーに収録される予定である。

  • スウェーデンにおける性刑法の研究

    2019年  

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    本研究は、今般のスウェーデンの性犯罪規定の改正について、スウェーデン語による原典資料およびスウェーデンの研究者・実務家への聞き取りを通じて得た認識を元に、詳細な研究を行った。まず、スウェーデン性犯罪規定について、法律文を全訳し、それに、性犯罪審議会の答申案・政府の提出案、さらにはその後公刊された文献を参考として、検討を加えた。次に、今般の改正が、特に注目された契機であるレイプ罪規定の改正について、また、同意があったと重過失により誤解していた場合についての重過失レイプ罪の規定の新設について、近時のスウェーデン最高裁判所が注目すべき判断も併せて、検討した。具体的成果は、すでに2本の論文として完成しており、2020年6月までには刊行される予定である。

  • インサイダー取引における情報提供行為と必要的共犯

    2018年  

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     必要的共犯(対向犯)における一方の行為に処罰規定が置かれていない場合の総則の共犯規定の適用の可否という古典的な論点について、近時の判例(日興インサイダー事件)を素材に、学説の動向も踏まえつつ、検討を加えた。必要的共犯には、多衆犯と対向犯があり、一般に、総則における任意的共犯の規定の適用はないとされている。そのうち、特に議論が集中してきたのは、対向犯の問題であるが、その対向犯についても、総則の共犯規定の適用を「原則として」排除するのが判例の立場とされてきた。これに対し、日興インサイダー事件では、インサイダー取引の情報提供行為については、立法者が、総則の共犯規定の適用を認める発言をしているのだから、対向犯の一方について処罰規定がなくとも、その処罰規定が置かれていない行為について、何ら問題なく総則の共犯規定の適用が可能であり、したがって、教唆犯は成立する、という見解が主張されてきた。こうした考え方の基礎にあるのは、実質説と言われる学説であり、極めて有力な見解であるが、本研究では、実質説の論理矛盾を明らかにした。その成果は近日中に早稲田法学において論文によって公表する。

  • 統一的正犯概念による刑法解釈の総合的検討

    2017年  

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     (1)統一的正犯概念は、北欧においては、ノルウェーのベルンハルト・ゲッツ、デンマークによって発展させられたこと、いずれも、いわゆる近代学派に基づく刑法理論ではあるが、そこには個人責任の発想が色濃くあらわれており、その後の両国の制度運用においても、その点が重視されていること、を明らかにした。 (2)犯罪意思の惹起を伴わない単なる意思の伝達も教唆行為と評価されるとすれば、それは、統一的正犯が採用されたのと同様の意味を持つと考察していたところ、2018年7月5日最高裁第一小法廷決定の判断は、意思の伝達を教唆行為と評価するもので、我が国の実務が統一的正犯を採用する方向に進んでいることがより一層明らかになった。    

  • 私文書偽造罪における「文書」の性質

    2007年  

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     我が国の判例には、名義人本人の承諾を得ていたとしても私文書偽造罪の成立が認められるとされた事例がいくつかあるが、それらは、いずれも、「事実証明に関する文書」についてのものであった。しかし、近時、「権利義務に関する文書」につき、名義人本人の承諾を得ていたとしても私文書偽造罪の成立が認められるとされた事例があらわれるに至った。仙台高裁平成18年9月12日判決(公刊物未搭載、以下、仙台高裁判決と呼ぶ)がこれである。そこで、本件を参考としつつ、名義人の承諾があったにもかかわらず私文書偽造の成立が認められる場合について、あらためて理論的検討を行った。 本来、私文書偽造罪は、有形偽造を処罰するものである。そして、有形偽造とは「作成者と名義人の同一性を偽ること」と定義される。この際、作成者を、物理的な事実として文書を作成した者と解する見解もあるが(事実説)、通説は、文書に意思を表示させた者と解している(意思説)。したがって、名義人の承諾を得て文書を作成した場合、例えば、社長秘書が社長の命を受けて社長名義の文書を作成したような場合は、作成者と名義人は一致するため、原則として、私文書偽造罪は成立しない。但し、名義人の承諾がある場合においても、ある特定の種類の私文書――たとえば交通反則切符や替え玉入試答案等――について、私文書偽造罪の成立を肯定する一連の判例・裁判例があり、学説は様々な論理でこれを説明している。しかし、私の分析によれば、従来の学説は不十分である。 私は、文書偽造罪によって侵害される信用とは、「文書の内容を実現してくれるという信用、文書に書かれた内容を裏切らないという信用」であり、有形偽造とは、「文書の内容を実現してくれるという責任、そして、文書に書かれた内容を裏切らないという責任を、名義人に追及することを困難にさせること」、という解することから、この問題にアプローチし、結論として、仙台高裁判決は不当であるとの結論に達した(下記研究成果に掲載の文献を参照)。この判断に際して重要なのは、「信用の内容」を個別的に確定することであり、その際、「文書の性質」ごとに信用の内容が異なる、ということである。仙台高裁判決では、本人確認法における金融機関の本に対する信用と、文書偽造罪のにおける信用の関係が問題となっており、この点について、さらに、文書偽造罪はもちろん、詐欺罪の成否との関係も新たな問題として浮かび上がってくることを確認した。今後、本人確認法と文書偽造罪、詐欺罪との関連へと研究を進める方向性も確認でき、総合的に見て、有益な成果を得たものと思われる。

  • 北欧における市民の刑事裁判参加存廃論の現状と展開

    2002年  

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    本年度の研究では、主に、スウェーデンにおける市民の裁判参加制度存廃論の検討を行った。スウェーデンでは、一般的に市民の裁判参加制度に肯定的な意見が多いが、この分野について大著を著しているストックホルム大学のクリスチャン・ディーセンは、市民の裁判参加制度を肯定できる理由は少なく、唯一肯定しうる根拠は、これによって職業裁判官の報酬を払わなくてよくなるという経済的な理由のみであるとしている。その詳細は、近く論文として紹介したいと考えている。

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