Updated on 2025/03/14

Affiliation
Faculty of Law, School of Law
Job title
Professor
Degree
博士(法学) ( 立教大学 )

Research Experience

  • 2022
    -
    Now

    中国法政大学   客員教授

Committee Memberships

  • 2018.05
    -
     

    日本刑法学会  理事

Professional Memberships

  •  
     
     

    International Association on Penal Law

  •  
     
     

    Dansk Kriminalistforening

  •  
     
     

    日本刑法学会

Research Areas

  • Criminal law

Research Interests

  • criminal law

 

Papers

  • 規範的刑法学か事実的刑法学か

    松澤 伸

    甲斐克則先生古稀祝賀論文集 上巻     1 - 18  2024.10

  • 刑罰における「感情」と「害悪」 : アングロアメリカ法の思考方法を基礎として—特集 刑罰論の新動向

    松澤 伸

    刑法雑誌 = Journal of criminal law / 日本刑法学会 編   63 ( 2 ) 341 - 355  2024.06

  • 企画の趣旨—特集 刑罰論の新動向

    松澤 伸

    刑法雑誌 = Journal of criminal law / 日本刑法学会 編   63 ( 2 ) 323 - 325  2024.06

  • 構成要件と犯罪論体系—基本概念から学ぶ刑法

    松澤 伸

    法学教室   ( 525 ) 11 - 15  2024.06

  • 書評 星周一郎著『現代社会と実質的刑事法論』

    松澤 伸

    刑事法ジャーナル   80   196 - 197  2024

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Books and Other Publications

  • Essays on Criminal Law in Japan

    Shin Matsuzawa( Part: Sole author)

    Seibundo  2024.10 ISBN: 9784792354282

  • 企業犯罪と経済刑法 : 基本学習

    松澤 伸( Part: Edit)

    商事法務  2023.11 ISBN: 9784785730574

  • Europe and Japan cooperation in the fight against cross-border crime : challenges and perspectives

    Shin Matsuzawa, Anne Weyembergh, Irene Wieczorek

    Routledge  2022.11 ISBN: 9781032257259

  • Law practice刑法

    佐久間 修, 高橋 則夫, 松澤 伸, 安田 拓人

    商事法務  2021.07 ISBN: 9784785728892

  • デザート・モデルの量刑論

    アンドレアス・フォン・ハーシュ, 松澤 伸

    成文堂  2021.07 ISBN: 9784792353353

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Presentations

  • 日本における環境刑法の保護法益論について

    松澤 伸

    Shanghai Judicial Forum on Frontier Issues 2023, The 7th Chongming World-Class Ecological Island Judicial Symposium 

    Presentation date: 2023.09

  • 日本における環境刑法研究の現状と課題

    松澤 伸

    第1回東アジア環境刑事法国際シンポジウム(華東政法大学) 

    Presentation date: 2023.07

  • 機能主義刑法学から見た犯罪化論―新型コロナウイルス感染症対策に関する刑事規制を例としてー

    松澤 伸

    シンポジウム・新型コロナウイルス感染症パンデミック化における刑事政策と刑事立法 

    Presentation date: 2022.09

  • 刑罰論の新動向

    松澤 伸

    第101回日本刑法学会大会(早稲田大学) 

    Presentation date: 2022.05

  • Censure and Hard Treatment in the Punishment/Penalty System

     [Invited]

    Tuesday’s Seminar at Frankfurt University, Faculty of Law 

    Presentation date: 2019.12

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Research Projects

  • 刑罰政策の基礎と「民意」の構造に関する実証的研究:理性的な「民意」の起動条件

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    Project Year :

    2023.04
    -
    2026.03
     

    松澤 伸, 松本 圭史, 岡邊 健, 松原 英世, 十河 隼人

  • 若年成人に対する刑事手続上・処遇上の諸問題の総合的研究

    Project Year :

    2019.04
    -
    2022.03
     

     View Summary

    少年年齢引き下げの議論が社会の注目を集め国民の関心が高い少年・若年成人に対する刑事手続・処分についての特則の実情とそれを支えている理念・背景などについて、理論・実務の双方から研究を行って、少年及び若年犯罪者に対する刑事手続・刑罰・処分・処遇の在り方を提示することを目指す。そのため、研究者及び刑事実務の経験者がそれぞれの専門性を生かして研究を分担・協同して、日本国内及び北欧、ドイツ、アメリカ等の現地調査などを行い、関係する諸法(少年法・刑法・刑事訴訟法、刑事収容施設法、更生保護法、少年院法等)及びその運用について、具体的・実践的な改革の提言を導けるように研究成果を発表しつつ研究を遂行する。少年・若年成人の犯罪者に対する刑事手続上、処遇・処分等についての特則の実情とそれを支えている理念、背景などについて、理論・実務の双方から研究を行うため、その初年度として、以下の調査・研究を行うとともに、研究成果の発表も一部行った。海外現地調査として、①2019年10月、研究代表者と研究分担者である松澤伸教授が研究協力者(保護観察官経験者の研究者である小長井賀與教授、保護観察官、矯正関係者、刑事法研究者)と共にスウェーデンに渡航し、ストックホルム市内の矯正保護庁、同市社会福祉委員会、同市のソーシャル・サービスの本部(若年・少年対応)のほか、クルム市のクルム刑務所、ヴェステロースの保護観察所、リンシッピング大学に赴いて、少年・若年成人の犯罪者に対する刑罰(制裁)による収容施設の実情、同所での処遇状況、社会内処遇である保護観察、社会的支援、多機関連携等の実情を視察し、担当の職員・関係者と面談調査を行った。②2019年5月、10月、2020年2月、研究代表者と研究分担者である京明教授がイギリスに渡航し、ロンドン、レスター、ウェールズ等に赴いて、児童自立支援施設、警察施設、刑事裁判所の視察、裁判傍聴、検察官、裁判官、研究者、関係施設職員との面談・討議などを行うとともに、ドゥ・モンフォート大学における年少者を含む供述弱者の取調に関するシンポジウムに参加し、報告・討議を行った。国内では、上記シンポジウムのイギリスの刑事法研究者、警察関係者等を招聘したシンポジウムに参加して報告・討議を行うとともに、刑事施設の視察を行った。上記の研究成果に関しては、後掲の論文等を発表し、研究会での報告等を行っているが、諸外国においても、手続、処分、処遇それぞれについて、若年者の判断能力、行動統制力の不十分さ、教育的処遇の有効性に基づいた特則や運用上の配慮が種々、行われていることを確認することができた。調査については、上記のように、海外については、スウェーデンに1回、イギリスに3回、それぞれ赴いて実施し、関係する文献、資料の収集を行い、国内では、刑事施設の視察・関係職員との面談を行った。これらの調査により、ウェールズの最新の動向、多機関連携の実情等の新たな知見をえるとともに、関係者との知己を得て今後の調査・研究の足がかりを得ることができた。これらにより、少年・若年成人の犯罪者に対する捜査手続(取調)、刑事裁判手続・科刑の特則、施設収容の実情・処遇の特則、社会内処遇の実情、多機関との連携の実情等についての知見を深め、研究を進めることができた。研究会等については、イギリス及び国内でイギリスの研究者等とシンポジウムを行い、報告・討議等を行うことができ、これにより、考究を深めることができた。研究成果の共有については、研究代表者、研究分担者において、シンポジウムにおける報告、研究会での報告、論文の発表等を行って進めている。以上から、本研究は、おおむね順調に進展していると判断した。研究の二年目となるので、初年度の成果を踏まえて、引き続き、海外、国内における現地調査を進展させる。すなわち、犯罪者収容施設等の視察、関係機関の訪問、関係者との面談、関係資料の収集などに努め、開放的な処遇施設の実情、社会内処遇と施設内処遇の連携の実情など、これまでには訪問・現地調査のできていない地域の訪問、視察できていない施設・機関等についての現地調査を実施し、少年・若年成人の犯罪者に対する刑事手続上・処遇上の特則の実情の把握に努める。それらの成果を研究代表者及び研究分担者間で共有して掘り下げるとともに、研究会等によって、より広い意見を聴き、上記の特則の背景、それを支える理念等についての考究を深めて行く

  • 統一的正犯体系に基づく共犯理論の総合的研究:比較法的検討を通じた理論と実務の架橋

    Project Year :

    2019.04
    -
    2022.03
     

     View Summary

    日本の共犯規定は、形式的には、正犯(共同正犯:60条)と共犯(教唆犯:61条、幇助犯:62条)を区別する「共犯体系」を採用しているが、裁判実務において共犯が処罰されることは稀であり、実際上は、犯罪関与者を原則として「正犯」として処罰する「統一的正犯体系」が採用されており、規定形式とその運用の間に乖離がみられる。そこで、本研究では、統一的正犯体系を実際に運用している各国の議論状況・実際の運用状況を広く参照することで、実質的には統一的正犯体系を採用している日本の裁判実務の基本的立場に対して理論的基盤を提供し、理論と実務を架橋することを目的とする

  • 刑罰政策における公衆の意識構造の実証的研究:「民意」をどのようにつかまえるべきか

    Project Year :

    2019.04
    -
    2022.03
     

     View Summary

    日本を含む多くの先進諸国において、「国民は犯罪者に対して厳しい対応(現状よりも重い刑罰を科すこと)を望んでいる」という「民意」を根拠に厳罰化が進行している。しかし、はたして「民意」は本当に厳罰化を望んでいるのだろうか。また、そもそも、「民意」とは何を指し、どのようにして把握されるべきものなのであろうか。本研究では、人々は刑罰をどのように使いたいと考えているのか、さらにいえば、それ(刑罰政策にかかわる「民意」)をどのようにしてつかまえるべきかについて、フォーカス・グループ調査、並びに、テキスト・マイニング(計量テキスト分析)の手法を用いて実証的に検討を行う。本研究の目的は、刑罰政策に関わる「民意」の正確な把握である。民主主義国家 である以上、国家の政策が「民意」に沿うことに問題はない。問題は政治家や政策担当者が 「民意」を誤ってつかまえる/理解することである。他方で、刑罰制度が適正かつ効果的に 作動するためには、刑罰制度への国民の信頼が必要であり、そのためには、国民の期待と現 実との間に大きな齟齬があってはならない。したがって、国民に支えられた適正で効果的な 刑罰政策の実現のためには、「民意」を正確につかまえること、その前提として、刑罰政策 における公衆の意識構造を明らかにすることが必須の課題となる。民意をつかまえるために、本研究では、短い問の形を用いた大規模な調査と、比較的少人数によるフォーカスグループ調査を予定しているが、本年度は、前者について、共同研究者3名による研究会を複数回重ねつつ、質問事項の選定及び実施方法の検討を行った。これにより、質問事項は確定し、実施方法についても、従来のweb調査のほか、代表性を確実にするために、電話調査も併用する方針を固めた。具体的な実施は、2020年度の春頃と決定した。また、将来得られるデータの分析のため、その準備作業となる理論研究を、共同研究者それぞれが行った。具体的には、研究論文4、著書1という成果を公表し、また、アメリカ犯罪学会においても、以前の調査について、分析を加えた研究報告を行った(松澤・松原)。また、フランクフルト大学では、刑罰・法意識の基礎理論について、研究報告を行った(松澤)。本年度は、調査計画の確定と準備にあてる予定であったが、その準備作業は、順調に進展している本年度に確定した調査計画に従い、2020年度は、実態調査を実施する予定であったが、予想もしなかった新型コロナ肺炎の流行の影響で、この実施が非常に困難となることが予想される。具体的には、春頃の調査の予定を、秋頃に延期する方法を考えているが、それも可能かどうかは、事態の推移を見守らなければならない。仮に2020年度に調査が不可能となった場合は、2021年度に延期するとともに、研究自体の1年延長も検討する必要があるかもしれない。なお、実態調査ができない場合であっても、過去に収集したデータの分析や理論研究は推進する予定である

  • Empirical Research on the Public Sense of Penal Policy

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    2016.04
    -
    2019.03
     

    Matsuzawa Shin

     View Summary

    In this research, we examine the following question: How does the public want to use punishment? have chosen to implement three different types of testing methods. In the first test, we gave a simple questionnaire using keywords such as “criminal” and “penalty”. In the second test, we had subjects read a detailed report on a hypothetical criminal incident. For the third test, we used the focus group research method. As a result, we have got the following knowledge; The public tends to give lenient sentences the more they are educated with accurate information about punishment; and in a court setting, the public tends to give lenient sentences the more they are physically close to the defendant

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Misc

  • 野村稔教授の刑法理論について—刑法総論を中心に

    『野村稔先生古稀祝賀論文集』(成文堂)    2015.03  [Refereed]

  • いわゆる「ブーメラン現象」と犯罪論体系

    『川端博先生古稀祝賀論文集』(成文堂)    2015

  • 文献紹介・ヤック・オーグレン著『スウェーデン刑法29章5条における衡平理由』

    理論刑法学の探究⑧    2015

  • スウェーデンにおける刑罰の正当化根拠と量刑論—いわゆる「均衡原理」の基礎

    罪と罰   51 ( 3 ) 76 - 91  2014.06  [Refereed]

  • 窃盗罪における実行の着手

    山口厚=佐伯仁志編『刑法判例百選(総論)』(第7版)別冊ジュリスト    2014

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Other

  • 北欧における刑事法学...

     View Summary

    北欧における刑事法学を研究しております。我が国の刑法解釈論については、その方法論を、我が国の刑事裁判制度については、その市民の裁判参加に関する理論を学び、これを応用することを目指しています。

 

Syllabus

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Overseas Activities

  • 刑法政策および犯罪化理論の研究

    2013.08
    -
    2015.08

    スウェーデン   ストックホルム大学、ウプサラ大学

Sub-affiliation

  • Faculty of Law   Graduate School of Law

  • Faculty of Social Sciences   School of Social Sciences

Research Institute

  • 2023
    -
    2024

    Center for Data Science   Concurrent Researcher

  • 2022
    -
    2024

    Waseda Center for a Carbon Neutral Society   Concurrent Researcher

Internal Special Research Projects

  • 経験科学的事実と刑法解釈学の関係について

    2023  

     View Summary

    刑法解釈学を客観的なものとするための方法については、様々な見解が主張されてきた。その中で、従来、我が国において有力だったのは、経験科学的事実に基づいて、刑法の解釈が最も有効となる解釈を取るべきである、という主張であった。すなわち、ある解釈を主張する者の主観的な意見表明としての解釈ではなく、客観的な事実に基づいて、このような解釈を行えば、実際に犯罪を抑止できる、といった形で、ある解釈について、正統性を与えようという考え方である。本特定課題の当初の目的は、この解釈の方法について、ある程度、抽象的・一般的なレベルで議論を展開することであり、実際に、アウグスブルク大学法学部のヨハネス・カスパー教授とともに、刑法学の基礎理論、犯罪論、刑罰論(特に量刑論)、行刑論の4つのレベルにおいて、経験科学的事実がどのような意義を持つか、オンラインで、定期的に共同討議を行い、英語論文を作成中である。ただ、この論文を作成する中で、もう少し具体的な場面で、上記の方法を展開し、そこから、帰納的にこの問題を考える必要を感じたところであった。そこで、経済刑法を検討の素材として、経験科学的事実がどのように具体的な解釈論に反映されているか、研究を行うこととした。この研究は、さらに、若手・中堅の刑法学者にもご参集いただいた共同研究の形に発展し、松澤伸編『基本学習・企業犯罪と経済刑法』(商事法務・2023年刊行)という形でまとめることができた。この書籍において、私は、序章、営業秘密侵害罪、外国公務員贈賄罪について、上記の視点から検討を加え、一定の成果を得ることができたと考えるが、特に、序章においては、経済刑法における刑罰の用い方について、抽象的・一般的な形で議論を展開することができた。今後、これらの成果を、上記カスパー教授との共著論文に反映させ、近日中に、目標であった英語論文を完成させることとしたい。

  • 刑法学における方法論の再検討

    2022  

     View Summary

    申請者は、“Methodology of Criminal Law Theory: Art, Politics or Science?”(Nomos Hart 2021)という書籍において、年来主張している機能主義刑法学の方法論を、アップデートしつつ示した。これに対し、スウェーデン・ストックホルム大学のペッター・アスプ教授は、批判的論文を同書に寄稿している。そこで、規範的刑法学を擁護するアスプ教授の立論を検討し、私の立場から、これにいかなる反批判が可能か、検討した。アスプ教授の批判内容は、法の規範的性質についての議論が中心となっているが、その内容を整理すると、以下のようになるであろう。――(1)法は規範的な解釈が必要であり、松澤理論(事実的刑法学)とアスプ理論(規範的刑法学)は、ほとんど「正反対」の立場である。(2)規範的刑法学においては解釈を拘束ないし制限する価値的パターンの導出が重要であり、それには価値論的一貫性があることが前提となる。(3)法はその性質上解釈を必要とするものなのであり、法学も規範的なものとならざるを得ない。そして、法には解放性があり、それゆえ多様な規範的アプローチを行う必要がある。それぞれにつき、申請者の立場からは、以下のような反論が可能である。(1)申請者の理論でも、規範的刑法学の存在意義は認められる。裁判官に対する提言としての法政策においては、規範的刑法学の存在余地がある。(2)申請者の理論から見れば、最も本質的な問題は、規範的刑法学における価値的パターンあるいは原理の抽出が、抽出者の主観によって行われる可能性がある、ということである。この点について、アスプ教授からの返答はない。(3)アスプは、「法律学に関する我々の見解は、法に関する我々の理解の派生物である」と言う。しかし、この命題の導出には、論理必然性が一切ない。法がどのようなものであるかということから、法に対するアプローチ方法を、無条件に引き出すことはできないはずである。

  • 企業不祥事における対企業金銭制裁制度の研究:北欧法制をふまえて

    2021  

     View Summary

    企業不祥事を引き起こした法人の役員や従業員、ひいては法人それ自体に対する法的対応としては、刑事制裁(刑事法上の措置)、課徴金(行政法上の措置)、損害賠償請求(民事法上の措置)など、幾重にも渡った対応が準備されているが、果たしてこうした法的制裁が、企業犯罪を抑止する上で、十分に機能しているのであろうか、というのが、本研究の問題意識である。本年度は、この問題意識をさらに明確化するため、基本的事項について再度確認することとし、犯罪と刑罰それ自体の本質について、検討を加えた。具体的には、犯罪と刑罰は一体的に把握すべきであるという理論に基づき、企業犯罪で特に問題となる法定犯について、検討を加えた。

  • デンマークにおける性犯罪規定の改正について

    2021  

     View Summary

    デンマークでは、2021年1月1日に、従来の強姦罪に変えて、レイプ罪(voldtægt)の新規定を施行した。これは、「明確な同意を得ていない性交はレイプとみなされる」という趣旨の規定であり、いわゆる“Yes means Yes”型の性犯罪規定である。本研究では、デンマークにおける刑法審議会と法務省の立案審議経過を参照しつつ、この新規定について、詳細な検討を加えた。まず、該当条文の概要を把握し、立法過程での議論を詳細にフォローし、暴行・脅迫要件を撤廃した新レイプ罪規定(Straffeloven 216条1項)の具体的な適用を調査し、同じ北欧のスウェーデンの規定との比較も併せつつ、その適用の現状について検討した。

  • 私文書偽造罪におけるいわゆる代理名義の冒用について

    2020  

     View Summary

     代理名義を冒用して私文書を作成した場合、私文書偽造罪が成立するか。これは、私文書偽造罪における代理名義の冒用として知られてきた古典的な論点である。代理名義の冒用は、有形偽造であるという点で、学説・判例は一致している。むしろ、有形偽造の定義は、この議論から出発しているとさえ言ってよい。すなわち、有形偽造とは、文書の作成権限のない者が権限を逸脱して文書を作成することである、といわれるが、代理権を冒用することは、端的に言えば、文書の作成権限の冒用であるから、これが有形偽造となるのは、当然のことでもある。 では、この問題は完全に解決済みか、というと、そうではない。作成者が作成権限を逸脱して文書を作成している点では、代理名義の冒用が有形偽造になるということは、明快である。すなわち、この論点における作成者は、代理権を有していない作成者ということになる。しかし、名義人は誰かという問題になると、判例・学説は一致していない。そして、近時の私文書偽造罪の議論において重要なのは、むしろ、名義人の特定である。以上の理解をもとに、本研究では、民事法の議論を参照しつつ、このような場合の名義人については、代理人が名義人として把握されるのが一般的であることを前提とし、新たな理論構成を検討した。

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