2024/12/26 更新

写真a

マスダ トモユキ
益田 朋幸
所属
文学学術院 文学部
職名
教授
学位
Ph.D ( ギリシア国立テサロニキ大学 )
Ph.D ( Thessaloniki University, Greece )

学歴

  •  
    -
    1991年

    早稲田大学   文学研究科   芸術学(美術史)  

  •  
     
     

    早稲田大学   文学部   美術史専修  

所属学協会

  •  
     
     

    早稲田大学美術史学会

  •  
     
     

    日本オリエント学会

  •  
     
     

    地中海学会

  •  
     
     

    美学会

  •  
     
     

    美術史学会

研究分野

  • 美学、芸術論

研究キーワード

  • 美術史、ビザンティン美術、キリスト教図像学

受賞

  • 早稲田大学大隈記念学術褒賞

    2014年10月  

  • 第2回 立教大学辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金

    1996年01月  

  • 早稲田大学美術史学会賞

    1992年06月  

 

論文

  • Lectionary Production in the Scriptorium of Chalkoprateia

    益田朋幸

      11   135 - 158  2024年02月  [査読有り]

  • Giotto’s Scrovegni Chapel and its Byzantine Models

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   ( 69 ) 425 - 446  2024年01月

  • 裏切りのパン、哀しみのパン―アシヌウ(キプロス)、パナギア・ フォルビオティッサ聖堂聖域の装飾プログラム

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   68   449 - 465  2023年03月

  • Reinterpretation of the Life of the Virgin in the King’s Church of Studenica Monastery

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   ( 67 ) 459 - 478  2022年03月

  • Byzantine Brocades: A Contribution from Art History

    益田朋幸

        40 - 45  2022年

  • The Hypapante in the Tokalı Old Church and the Byzantine Apse Decoration

    益田朋幸

        51 - 68  2022年

  • The Virgin Orans in Byzantine Apse Decoration

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   ( 10 ) 309 - 324  2022年  [査読有り]

  • Christ and the Twelve Apostles in Cappadocian Churches

    益田朋幸

        33 - 50  2022年

  • スタロ・ナゴリチャネの聖母伝―ミハイルとエウティキオスの装飾プログラム

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   ( 9 ) 195 - 207  2021年09月  [査読有り]

  • The Lectionary Cod.1 in the Iviron Monastery on Mount Athos and its Encaenia

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   66   553 - 559  2021年

  • ミハイルとエウティキオスの聖域プログラム―プロタトン聖堂の知見から

    益田朋幸

    美術史研究   58   1 - 11  2020年

  • Patriarchal Lectionaries of Constantinople: A New Criterion for the Encaenia

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   8   179 - 194  2020年  [査読有り]

  • 炎の洗礼――オフリドのパナギア・ペリブレプトス聖堂壁画研究

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   65   461 - 476  2020年

  • 裁きの場としての聖堂――アチ(ジョージア)の聖ゲオルギオス聖堂の装飾プログラム

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   64   517 - 532  2019年

  • パナギア・ペリブレプトス聖堂(オフリド)南西隅の装飾プログラム

    益田朋幸

    美術史研究   56   45 - 61  2018年

  • 聖母マリア伝図像の東西

    益田朋幸

    西洋中世研究   10   7 - 26  2018年  [招待有り]

  • 「速やかに物書くペン」(詩篇44(45))に関する覚書――オフリドのパナギア・ペリブレプトス聖堂壁画研究

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   6   353 - 363  2018年  [査読有り]

  • パナギア・ペリブレプトス聖堂(オフリド)プロテシスの装飾プログラム

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   63   441 - 457  2018年

  • パナギア・ペリブレプトス聖堂(オフリド)ナルテクスの装飾プログラム

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   5   311 - 328  2017年  [査読有り]

  • パナギア・ペリブレプトス聖堂(オフリド)ディアコニコンの装飾プログラム

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   62   321 - 333  2017年

  • 予型論の射程

    益田朋幸

    『聖堂の小宇宙』(ヨーロッパ中世美術論集4)竹林舎     23 - 38  2016年11月

  • オフリドのパナギア・ペリブレプトス聖堂壁画における「三の祝福」

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   ( 4 ) 158 - 163  2016年10月  [査読有り]

  • 「見えない神」のレトリック

    益田朋幸

    Waseda RILAS Journal   ( 4 ) 263 - 269  2016年10月

  • ティモテスバニ修道院(グルジア/ジョージア)と聖堂装飾における復古の問題

    益田朋幸

    甚野尚志・益田朋幸編『ヨーロッパ文化の再生と革新』知泉書館     353 - 380  2016年03月

  • コーラ修道院の名称について

    益田朋幸

    美術史研究   54   31 - 42  2016年

    CiNii

  • 聖母伝の視覚的予型論―ストゥデニツァ修道院(セルビア)の「王の聖堂」

    益田朋幸

    『聖堂の小宇宙』(ヨーロッパ中世美術論集4)     351 - 375  2016年

  • 罪から和解、救済へ―カッペッラ・パラティーナの総合的解釈

    益田朋幸

    『聖堂の小宇宙』(ヨーロッパ中世美術論集4)     196 - 202  2016年

  • ビザンティン聖堂装飾における「受胎告知」と「神殿奉献」—パレルモのカッペッラ・パラティーナとセルビアのストゥデニツァ修道院

    益田朋幸

    『Waseda Rilas Journal』   2   49 - 59  2014年10月

  • アンドレアス・リゾス(リッツォス)作「キリスト昇天」イコンの図像プログラム

    益田朋幸

    『早稲田大学大学院文学研究科紀要』   59-3   45 - 63  2014年03月

    CiNii

  • 聖母よ、御腕を支えん—オフリド、パナギア・ペリブレプトス聖堂アプシスの旧約人物像について

    益田朋幸

    『Waseda Rilas Journal』(早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌)   1   17 - 27  2013年10月

  • エル・グレコとビザンティン美術—祭壇画とクレタの聖堂装飾

    益田朋幸

    『エル・グレコ没後400年記念公開国際シンポジウム議事録 エル・グレコ再考 1541−2014年:研究の現状と課題』     23 - 27  2013年06月

  • コンスタンティノポリス総主教座の聖者暦

    益田朋幸

    早稲田大学高等研究所紀要   5 ( 5 ) 117 - 133  2013年03月

    CiNii

  • ビザンティンの単廊式バシリカにおけるキリスト伝の配置

    益田朋幸

    エクフラシス—ヨーロッパ文化研究   3 ( 3 ) 66 - 78  2013年03月

    CiNii

  • カッパドキア円柱式聖堂群の装飾プログラムと制作順

    菅原裕文, 益田朋幸

    美術史研究   50   45 - 79  2012年12月

    CiNii

  • ビザンティン聖堂装飾のイコンとナラティヴ(東部会平成二三年度第四回美学会例会,例会・研究発表会要旨)

    益田 朋幸

    美學   63 ( 1 ) 182 - 182  2012年06月

    CiNii

  • ビザンティン聖堂装飾のイコンとナラティヴ

    益田朋幸

    甚野尚志・益田朋幸編『中世の時間意識』知泉書館     309 - 335  2012年05月

  • オフリド周辺の『キリスト三態』に関する覚書

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   57 ( 3 ) 5 - 20  2012年02月

  • 「『キリストと十二使徒』図像の説話的要素—中期ビザンティン聖堂装飾プログラム論」

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   56-3   35 - 50  2011年02月

    CiNii

  • アルバニア美術史紀行

    浅野和生, 益田朋幸

    SPAZIO   70  2011年

  • キプロス美術史紀行

    浅野和生, 益田朋幸

    SPAZIO   69  2010年12月

  • Floor Mosaic of Church III

    Tomoyuki MASUDA

    K.Asano (ed.), The Island of St. Nicholas     50 - 62  2010年03月

  • Graffiti of Church II in Gemiler Island

    Tomoyuki MASUDA, Yuriko SAKURAI

    K.Asano (ed.), The Island of St. Nicholas     188 - 197  2010年03月

  • General Survey of Fethiye Peninsula

    Tomoyuki MASUDA

    K.Asano (ed.), The Island of St. Nicholas     214 - 233  2010年03月

  • Coins

    Tomoyuki MASUDA

    K.Asano (ed.), The Island of St. Nicholas     234 - 236  2010年03月

  • Inscriptions

    Tomoyuki MASUDA

    K.Asano (ed.), The Island of St. Nicholas     237 - 252  2010年03月

  • Fresco Paintings in a Chapel in Kaya

    Tomoyuki MASUDA

    K.Asano (ed.), The Island of St. Nicholas     262 - 277  2010年03月

  • 書評 宮内ふじ乃 『物語る絵 トゥールのモーセ五書』

    益田朋幸

    『本のひろば』(財団法人キリスト教文書センター)   625   4 - 5  2010年03月

  • 「初期キリスト教美術とビザンティン美術」

    益田朋幸

    朝倉世界地理講座7 『地中海ヨーロッパ』(竹中克行・山辺規子・周藤芳幸編)     73 - 75  2010年02月

  • 「ビザンティン聖堂におけるキリストの図像」

    益田朋幸

    三宅理一・羽生修二監修 『ルーマニアの中世修道院美術と建築 モルドヴァの世界遺産とその修復』 西村書店     138 - 149  2009年11月

  • クロアチア美術史紀行

    浅野和生, 益田朋幸

    SPAZIO   68   1 - 17  2009年08月

  • 「初期ビザンティンにおける『祈り』」

    益田朋幸

    地中海研究所紀要   6 ( 6 ) 55 - 57  2008年03月

    CiNii

  • 「レクショナリー写本の聖者暦」

    益田朋幸

    地中海研究所紀要   6 ( 6 ) 135 - 138  2008年03月

    CiNii

  • 「コンスタンティノポリス総主教座のレクショナリー Cod.Paris.gr.286」

    益田朋幸, 櫻井夕里子

    岡山市立オリエント美術館研究紀要   22   91 - 118  2008年03月

  • 「ビザンティン聖堂壁画における『生と死』」

    益田朋幸

    林雅彦編 『「生と死」の東西文化史』 方丈堂出版     310 - 346  2008年03月

  • 「ウビシ修道院(グルジア)の装飾プログラム」

    益田朋幸

    林雅彦編 『「生と死」の東西文化史』 方丈堂出版     347 - 375  2008年03月

  • 馬場恵二氏「キプロス島アシーヌウ聖母教会堂と『キリスト再臨図』」について

    益田朋幸

    林雅彦編 『「生と死」の東西文化史』 方丈堂出版     376 - 385  2008年03月

  • 「ローマ—中世の美を歩く5日間」

    益田朋幸

    芸術新潮   2007年 ( 8月号 )  2007年07月

  • 「アトス山イヴィロン修道院レクショナリーのパトロン」

    益田朋幸

    キリスト教学   ( 48 ) 19 - 34  2006年12月

  • 「ビザンティン・エピグラフィーの可能性」

    益田朋幸

    『アジア遊学』 特集「碑石は語る」   ( 91 ) 178 - 185  2006年09月

    CiNii

  • 「ビザンティン聖堂装飾の方法」

    益田朋幸

    美術史学会全国大会    2006年05月

  • 「ビザンティン・エピグラフィーの可能性」

    益田朋幸

    科研費特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」 公開研究会    2006年03月

  • Liturgical Illustrations in the Byzantine Lectionary Cod.587 in the Dionysiou Monastery, Mount Athos

    Tomoyuki MASUDA

    Orient   ( 41 ) 91 - 108  2006年

  • 「アプシス装飾としての『オランスの聖母』」

    益田朋幸, 辻絵理子

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   52   29 - 42  2006年

  • 「ビザンティン聖堂装飾における「三位一体」と「キリスト三態」」

    益田朋幸

    美術史学会東支部例会    2006年01月

  • 辻佐保子『ローマ サンタ・サビーナ教会木彫扉の研究』

    益田朋幸

    地中海学研究   28 ( 28 ) 137 - 143  2005年05月

    CiNii

  • 「かいじゅうたちのいる冥府−モーリス・センダックの黙示録的世界」

    益田朋幸

    比較文学年誌   ( 41 ) 48 - 64  2005年03月

    CiNii

  • 「中期ビザンティン挿絵入りレクショナリーの聖者暦」

    益田朋幸, 海老原梨江

    地中海研究所紀要   ( 3 ) 83 - 89  2005年03月

    CiNii

  • 「中期ビザンティン・レクショナリー写本の挿絵研究序説」

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   50-III   51 - 61  2005年02月

    CiNii

  • 「海外の著作権事情−美術館・博物館の場合」

    益田朋幸

    戸山リサーチセンター活動報告 個別課題研究報告「ネットワーク授業における新たなる壁」    2004年04月

  • 「アギイ・アナルギリ聖堂(カストリア)東壁面のプログラム」

    益田朋幸

    美術史研究   41   65 - 80  2003年12月

    CiNii

  • 「中期・後期ビザンティン聖堂におけるキリストの図像」

    益田朋幸

    国際シンポジウム「日本ルーマニア世界遺産会議2003」    2003年12月

  • 「かいじゅうたちのいる冥府—モーリス・センダックの黙示録的世界」

    益田朋幸

    比較文学研究室月例研究会(早稲田大学)    2003年12月

  • 「ヨルダン・シリアの教会堂モザイクの世界:古代の残存か、復興か」(名取四郎と共同報告)

    新約聖書図像研究会    2003年12月

  • 「アギア・エカテリニ修道院の闇」

    益田朋幸

    自由美術   2003  2003年10月

  • 「ゲミレル島遺跡(トルコ、リキア地方)と周辺のビザンティン銘文」

    益田朋幸

    地中海研究所紀要(早稲田大学)   1 ( 1 ) 133 - 146  2003年03月

    CiNii

  • 「キリスト・パントクラトールのコンテクスト」

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   48-3  2003年02月

  • 「ビザンティン皇帝と<キリスト連行>イコン」

    益田朋幸

    早稲田大学美術史学会例会    2002年11月

  • 「ゲミレル島第三聖堂のモザイク」

    益田朋幸

    東地中海の港湾都市遺跡の総合的研究(科研費報告書)    2002年03月

  • Hans Belting, Bild und Kult

    益田朋幸

    西洋美術研究    2001年10月

  • 「イワン・ドゥイチェフ研究所(ブルガリア)のビザンティン・レクショナリー」

    益田朋幸

    女子美術大学研究紀要   31 ( 31 ) 1 - 10  2001年03月

    CiNii

  • 尚樹啓太郎『ビザンツ帝国史』

    益田朋幸

    西洋史学   200 ( 200 ) 345 - 347  2001年

    CiNii

  • 「カヤ(トルコ、リキア地方)礼拝堂のビザンティン壁画」

    益田朋幸

    女子美術大学研究紀要   30 ( 30 ) 8 - 18  2000年03月

    CiNii

  • 「ビザンティン時代の美術・建築から見たエジプトとコンスタンティノポリス」

    益田朋幸

    「紅海文化とナイル文化」研究会    1999年07月

  • 「小林秀雄の鑑定眼」

    益田朋幸

    楽園生活(双葉社)   4  1999年06月

  • 「教会のイコノグラフィー」

    益田朋幸

    楽園生活(双葉社)   2  1999年04月

  • 「ローマの教会散歩」

    益田朋幸

    楽園生活(双葉社)   2  1999年04月

  • 「イコンに内在する時間」

    益田朋幸

    女子美術大学紀要   29 ( 29 ) 1 - 17  1999年03月

    CiNii

  • 「ビザンティン絵画の時間表現をめぐって」

    益田朋幸

    女子美術大学紀要   28 ( 28 ) 1 - 21  1998年03月

    CiNii

  • 「ビザンティンの都市テサロニキの聖堂」

    益田朋幸

    地中海学会連続講演会    1997年12月

  • 「ビザンティン美術における寄進者像表現のモード」

    益田朋幸

    國學院雑誌   98-11 ( 11 ) 13 - 28  1997年11月

    CiNii

  • 「デイシス図像の起源と発展(II)」

    益田朋幸

    女子美術大学紀要   27  1997年03月

  • 「トルコ、リキア地方のビザンティン都市遺構と聖堂の発掘」

    益田朋幸

    「エジプト地域における物質文化」研究会    1996年12月

  • 「ビザンティン・レクショナリー写本研究の諸問題」

    益田朋幸

    ビブリア   105 ( 105 ) 232 - 206  1996年05月

    CiNii

  • 「デイシス図像の起源と発展(I)」

    益田朋幸

    女子美術大学紀要   26  1996年03月

  • A Lectionary of the Emperor Andronicus II Palaiologus

    益田朋幸

    Byzantium. Identity, Image, Influence. Abstracts. XIX International Congress of Byzantine Studies, Copenhagen    1996年

  • 「澤柳大五郎先生」

    益田朋幸

    エーゲ海学会誌   10  1996年

  • 「ビザンティン皇帝アンドロニコス二世のレクショナリー」

    益田朋幸

    鹿島美術研究(年報別冊)   13  1996年

  • 第2回 立教大学辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金

       1996年01月

  • 「ビザンティン・イコンの記号論」

    益田朋幸

    美学会東部会例会    1995年12月

  • 「ビザンティン初期における『祈り』の概念」

    益田朋幸

    オリエント   38-1 ( 1 ) 143 - 155  1995年09月

     概要を見る

    The author wishes here to analyze the concept of ευχη (prayer) in early Byzantium, namely 4th to 7th centuries. In the chapter 1, votive inscriptions containing the words ευχη and ενξαμενος are classified. Eυχη is a comprehensive word acting for many personal desires, which probably excludes soul's relief (σωτηρια), health (υγεια), longevity (μακροημερευσις), redemption (αφεσις αμαρτιων), etc..<br>In the chapter 2, anonymous inscriptions which say "one whose name God knows" are treated. The Byzantines refer neither to the concrete contents of ευχη, nor to the proper noun of the donor. The cases gathered in the chapter 3 suggest that the word ευχη signifies the offering itself: architectural part, silver vessel, floor mosaic, etc.. In these circumstances, the votive offering with one's prayer is also the prayer.<br>The chapter 4 presents that ευλογια is a pendant word of ευχη in double senses. Since the word ευλογια means not only an abstract "blessing", but also a pilgrimage souvenir itself, two strata are realized between ευχη and ευλογια; one prays and Gob blesses in an abstract sense, and simultaneously, one offers something and in return he is given a pilgrimage souvenir.

    DOI CiNii

  • 「仏陀の顔をしたキリスト—仏教美術西漸に関する一考察」

    益田朋幸

    佛教藝術   220 ( 220 ) p15 - 32  1995年05月

    CiNii

  • 「天理図書館所蔵のビザンティン・レクショナリーについて」

    益田朋幸

    ビブリア   103 ( 103 ) p198 - 175  1995年05月

    CiNii

  • 「マルキアノス・キリス再論」

    益田朋幸

    岡山市立オリエント美術館研究紀要   13  1995年03月

  • 「イコンの『美学』」

    益田朋幸

    エーゲ海学会誌   9  1995年

  • 「Dalaman近郊Osmanyeのビザンティン都市遺跡と聖堂」

    益田朋幸

    「東地中海沿岸諸都市の文明・文化」(科研費報告書)    1995年

  • "Greek Inscriptions in the Oludeniz-Gemiler Ada Bay Area"

    益田朋幸

    大阪大学文学部紀要   35  1995年

  • "Monuments on Gemiler Ada and Karacaoren Ada"

    浅野和生, 益田朋幸

    大阪大学文学部紀要   35  1995年

  • 「エル・グレコとビザンティン美術」

    益田朋幸

    國學院雑誌   95-8 ( 8 ) p1 - 14  1994年08月

    CiNii

  • 「ビザンティン美術における『仏陀としてのキリスト』」

    益田朋幸

    美術史学会全国大会    1994年05月

  • 「ピーターラビットの『受難』」

    益田朋幸

    比較文学年誌   30  1994年03月

  • "Picturization of John 1:1-18 in Byzantine Manuscript Illustration"

    益田朋幸

    AESTHETICS   6   59 - 72  1994年03月

    CiNii

  • 「聖ニコラオスたちの島—リキア地方のビザンティン遺跡と聖ニコラオス信仰」

    益田朋幸

    地中海学研究   17  1994年

  • 「墓碑銘の話」

    益田朋幸

    日本ギリシャ協会会報   67  1994年01月

  • 「聖者ゾルバの生涯」

    益田朋幸

    日本ギリシャ協会会報   65  1993年07月

  • 「ビザンティン写本挿絵におけるヨハネ福音書冒頭部分の絵画化」

    益田朋幸

    美學   172 ( 4 ) 12 - 22  1993年03月

     概要を見る

    How did the Byzantine illuminators interpret and visualize the beginning phrases of John's Gospel? The aim of this article is, through investigations of Byzantine Gospels and lectionaries from the eleventh century, to establish the correspondence between text and image. The iconographic types can be grouped as follows : a. John the Evangelist (Morgan 639 ; Venice, Hellenic Institute Cod. gr. 2) ; b. Christ Emmanuel (Athens 68) ; c. Christ Pantocrator (Athens 68 and 190) ; d. the Ancient of Days (Istanbul, Patriarchate 8) ; e. Moses and the Crucifixion (Paris. suppl. gr. 27). The Cod. 68 at Athens adopts two aspects of Christ, Emmanuel and Pantocrator. The Cod. Paris. gr. 64 can be placed as the combination of the types c-d, and the Cod. 587 of the Dionysiou Monastery on Mt. Athos as that of the types b-d. If the hypothesis that the two manuscripts, Paris. gr. 64 and Dionysiou 587, are the products of the same atelier is accepted, we can assume that in an atelier of the eleventh-century Constantinople, three types of Christ (Pantocrator, Emmanuel and the Ancient of Days) were used as the illustration of John's first verses. Perhaps John's headpiece in Paris. gr. 74 is copied from a lost lectionary with the frontispiece representing three types of Christ.

    CiNii

  • M・カプラン著『黄金のビザンティン帝国—文明の十字路の千百年』

    益田朋幸

    西洋史学   172  1993年

  • 「岡山市立オリエント美術館蔵ビザンティン銘文とシリアの建築家マルキアノス・キリス」

    益田朋幸

    岡山市立オリエント美術館研究紀要   12  1993年

  • 「リキア地方で新発見された三つのビザンティン碑文」

    益田朋幸

    オリエント   36-2 ( 2 ) 166 - 179  1993年

    DOI CiNii

  • 「ディオニシウ・レクショナリーの寄進者」

    益田朋幸

    美術史研究   30 ( 30 ) p51 - 66  1992年12月

    CiNii

  • 早稲田大学美術史学会賞

       1992年06月

  • 「聖ソフィア大聖堂の女帝ゾイを表したモザイク奉納画の一解釈」

    益田朋幸

    國學院雑誌   92‐11 ( 11 ) p187 - 198  1991年11月

    CiNii

  • 「聖ステファノス聖堂(北部ギリシア、カストリア)壁画の『キリスト三態』」

    益田朋幸

    美術史学会全国大会    1991年05月

  • 「ディオニシウ・レクショナリーの受難週挿絵における典礼的性格」

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   別冊第18集文学芸術編  1991年03月

  • 「懺悔聴聞僧としての林さん」

    益田朋幸

    月刊百科    1987年05月

  • 「アギオス・ディミトリオス聖堂側廊モザイク図像の成立について」

    益田朋幸

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   別冊第13集文学芸術編  1986年03月

  • 「アギオス・ディミトリオス聖堂モザイクのメダイヨンについて」

    益田朋幸

    早稲田大学美術史学会総会    1984年06月

  • 「アギオス・ディミトリオス聖堂と初期イコン信仰」

    益田朋幸

    美学会東部会例会    1984年03月

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書籍等出版物

  • Byzantine Cappadocia

    益田朋幸( 担当: 編集)

    2022年 ISBN: 9789490387105

  • 『聖堂の小宇宙』(ヨーロッパ中世美術論集4)

    益田朋幸編

    竹林舎  2016年11月 ISBN: 9784902084443

  • ヨーロッパ文化の再生と革新

    甚野尚志, 益田朋幸( 担当: 共編者(共編著者))

    知泉書館  2016年03月 ISBN: 4862852297

  • キリスト教美術の誕生とビザンティン世界(西洋美術の歴史2 中世I)

    加藤磨珠枝, 益田朋幸( 担当: 共著,  担当範囲: 17-22, 241-580, 594-97)

    中央公論新社  2016年

  • ビザンティン聖堂装飾プログラム論

    益田朋幸

    中央公論美術出版  2014年02月 ISBN: 9784805507162

  • ビザンティンの聖堂美術

    益田朋幸

    中央公論新社  2011年06月 ISBN: 9784120042485

  • 『ビザンティンへの船出』(編集)

    髙橋榮一

    早稲田大学美術史学会  2007年10月

  • 名取四郎 『キリスト教美術の源流を訪ねて』 全2巻

    教文館  2006年10月

  • 「修道士の憂鬱」

    益田朋幸

    青池保子 『修道士ファルコ』 白泉社文庫  2005年11月

  • 『岩波 西洋美術用語辞典』

    益田朋幸, 喜多崎親

    岩波書店  2005年11月

  • 『古代オリエント事典』 総論「美術」 他8項目

    日本オリエント学会編

    岩波書店  2004年12月

  • 『世界歴史の旅 ビザンティン』

    益田朋幸

    山川出版社  2004年01月

  • 『世界遺産』(青柳正規監修)

    小学館  2003年11月

  • 『世界歴史の旅 ギリシア』周藤芳幸編

    山川出版社  2003年01月

  • 『岩波キリスト教辞典』

    岩波書店  2002年06月

  • 『書物の誕生:写本から印刷へ—ヴァチカン教皇庁図書館展』カタログ

    印刷博物館  2002年04月

  • 『20世紀の美術と思想』

    美術出版社  2002年03月

  • 「そぞろ神」

    益田朋幸

    『ミア・エヴィメリア—高橋榮一先生古稀記念文集』  2002年03月

  • 「聖画イコンの神秘」

    益田朋幸

    『印刷博物誌』 凸版印刷株式会社  2001年06月

  • 『ルーヴル美術館名品集』千足伸行監修

    日本美術教育センター/フランス国立美術館連合  2001年04月

  • 「本とノートと鉛筆」

    益田朋幸

    『濱谷勝也先生古稀記念文集』  2001年03月

  • 『描かれた時間』

    益田朋幸

    論創社  2001年03月

  • ジョン・ラウデン『初期キリスト教美術・ビザンティン美術』(岩波世界の美術)

    岩波書店  2000年11月

  • 『西洋美術館』

    小学館  1999年10月

  • 『ワールド・ミステリー・ツアー13』第9巻 地中海篇

    同朋舎/角川書店  1999年09月

  • 『ピーターラビットの謎—キリスト教図像学への招待』

    益田朋幸

    東京書籍  1997年12月

  • 世界美術大全集 第6巻『ビザンティン美術』高橋榮一編

    小学館  1997年07月

  • 『地中海紀行 ビザンティンでいこう!』

    益田朋幸

    東京書籍  1996年09月

  • 『地中海事典』

    三省堂  1996年05月

  • "The Cult of St. Nicholas in Sixth-Century Lycia"

    益田朋幸

    『ユーフラテスの彼方シルクロードを辿る』(大阪大学)  1996年

  • 『ビザンティン美術への旅』

    益田朋幸

    平凡社  1995年09月

  • 『名画に会う旅・ ロンドンの美術館・大英博物館』

    世界文化社  1995年

  • NHK日曜美術館 名画への旅 第2巻『光は東方より』

    講談社  1994年02月

  • 『アトス山ディオニシウ修道院写本 587番の挿絵—ビザンティン・レクショナリー研究への寄与』(ギリシア語単行本 博士論文)

    益田朋幸

    ギリシア国立テサロニキ・アリストテレス大学哲学部  1990年12月

  • リュクル・デ・フリース「北方バロック美術における空間」

    『東西美術における空間表現』国立西洋美術館  1987年04月

  • 「異界へ連れ去る眼差し——ビザンティン・イコンと鑑賞者」

    益田朋幸

    細田あや子・渡辺和子編 『異界の交錯』(下)、 LITHON 

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講演・口頭発表等

  • 総主教座のレクショナリー

    益田朋幸  [招待有り]

    ビザンティン写本の世界  

    発表年月: 2019年02月

  • 聖エカテリニ修道院の美術とイスラーム世界

    早稲田大学イスラーム地域研究機構 拠点強化事業『「モノ」の世界から見たイスラーム』「神と人が出会う地 シナイ半島の歴史と文化」  

    発表年月: 2011年12月

  • ビザンティン聖堂装飾のイコンとナラティヴ

    美学会東部会例会  

    発表年月: 2011年12月

  • ビザンツ帝国と地中海世界—東地中海における美術の変容

    地中海学会春期連続講演会  

    発表年月: 2011年05月

  • 「キリストと十二使徒」図像の含意—写本装飾と聖堂装飾の間

    早稲田大学美術史学会2010年度総会  

    発表年月: 2010年06月

  • 初期キリスト教美術

    第72期 一橋フォーラム  

    発表年月: 2010年01月

  • ビザンティン美術

    第72期 一橋フォーラム  

    発表年月: 2010年01月

  • 「最後の審判」図像の東西伝播

    早稲田大学西洋中世ルネサンス研究所第2回研究会  

    発表年月: 2010年01月

  • 地中海世界の肖像—テサロニキ

    第71期 一橋フォーラム  

    発表年月: 2009年06月

  • 聖なるものの形—イスタンブールのビザンティン・モザイク

    地中海学会秋期連続講演会  

    発表年月: 2008年12月

  • ビザンティン聖堂装飾の方法

    美術史学会全国大会招待発表  

    発表年月: 2006年05月

  • ビザンティン・エピグラフィーの可能性

    科研費特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」公開研究会  

    発表年月: 2006年03月

  • ビザンティン聖堂装飾における「三位一体」と「キリスト三態」

    美術史学会東支部例会  

    発表年月: 2006年01月

  • 海外の著作権事情——美術館・博物館の場合

    戸山リサーチセンター活動報告 個別課題研究報告「ネットワーク授業における新たなる壁」  

    発表年月: 2004年04月

  • ヨルダン・シリアの教会堂モザイクの世界:古代の残存か、復興か(名取四郎と共同発表)

    新約聖書図像研究会  

    発表年月: 2003年12月

  • Iconography of Christ in Middle and Late Byzantine Churches

    国際シンポジウム「日本ルーマニア世界遺産会議2003」  

    発表年月: 2002年12月

  • かいじゅうたちのいる冥府——モーリス・センダックの黙示録的世界

    比較文学研究室月例研究会  

    発表年月: 2002年12月

  • ビザンティン皇帝と&lt;キリスト連行&gt;イコン——アンドロニコス2世と福音書写本をめぐって

    早稲田大学美術史学会例会  

    発表年月: 2002年11月

  • ビザンティン皇帝と<キリスト連行>イコン——アンドロニコス2世と福音書写本をめぐって

    早稲田大学美術史学会例会  

    発表年月: 2002年11月

  • 6世紀の東地中海沿岸地方における日常生活

    早稲田大学地中海研究所例会  

    発表年月: 2001年11月

  • ビザンティン時代の美術・建築から見たエジプトとコンスタンティノポリス

    公開研究会「紅海文化とナイル文化」  

    発表年月: 1999年07月

  • サンタクロースの島——リキア地方(トルコ南西部)のビザンティン聖堂の発掘

    エーゲ海学会例会  

    発表年月: 1998年04月

  • ビザンティンの都市テサロニキの聖堂

    地中海学会連続講演会  

    発表年月: 1997年12月

  • トルコ、リキア地方のビザンティン都市遺構と聖堂の発掘

    第14回「エジプト地域における物質文化」研究会  

    発表年月: 1996年12月

  • A Lectionary of the Emperor Andronicus II Palaiologus

    XIX International Congress of Byzantine Studies  

    発表年月: 1996年08月

  • The Cult of St. Nicholas in Sixth-Century Lycia

    国際シンポジウム「エウフラテスの彼方シルクロードを辿る」(大阪大学・読売新聞・ならシルクロード博記念国際交流財団)  

    発表年月: 1996年03月

  • ビザンティン美術への旅

    松山建築楽会 講演  

    発表年月: 1996年03月

  • ビザンティン・イコンの記号論

    美学会 東部会例会  

    発表年月: 1995年12月

  • 小アジアにおける聖ニコラオス信仰の様相

    早稲田大学中世研究会 第5回例会  

    発表年月: 1995年12月

  • サンタクロースの島——リキア地方の初期ビザンティン都市遺跡と聖ニコラオス信仰

    早稲田大学社会科学研究所 地中海部会研究報告  

    発表年月: 1995年06月

  • イコンの語る言葉

    エーゲ海学会例会  

    発表年月: 1994年11月

  • ビザンティン美術における『仏陀としてのキリスト』

    美術史学会第47回全国大会  

    発表年月: 1994年05月

  • ビザンティン美術の現場から

    岡山市立オリエント美術館 市民講座  

    発表年月: 1994年03月

  • ピーターラビットの『受難』

    早稲田大学比較文学研究室 第 157回月例研究発表会  

    発表年月: 1993年11月

  • 聖ニコラオスたちの島——リキア地方のビザンティン遺跡と聖ニコラオス信仰

    地中海学会第17回大会  

    発表年月: 1993年06月

  • ビザンティン美術への旅

    エーゲ海学会例会  

    発表年月: 1991年11月

  • 聖ステファノス聖堂(北部ギリシア、カストリア)壁画の『キリスト三態』

    美術史学会第44回全国大会  

    発表年月: 1991年05月

  • デイシス図像の成立について—— イコノクラスム以前の諸相

    早稲田大学美術史学会西洋美術史分科会例  

    発表年月: 1986年07月

  • アギオス・ディミトリオス聖堂モザイクのメダイヨンについて

    早稲田大学美術史学会総会  

    発表年月: 1984年06月

  • アギオス・ディミトリオス聖堂と初期イコン信仰

    美学会 1984年度東部会第 5回例会  

    発表年月: 1984年03月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • クレタ島を中心とするビザンティンの島嶼美術の諸相

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2026年03月
     

    益田 朋幸, 菅原 裕文, 辻 絵理子, 児嶋 由枝, 武田 一文

  • ビザンティンと中世イタリアの聖堂装飾プログラム比較に基づく相互影響関係の分析

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    海外調査を積極的に行った。ローマ、南イタリア、サンチャゴ・デ・コンポステラ巡礼路(スペイン)、ペロポネソス半島・キオス島・ナクソス島・カストリア・クレタ島・聖山アトス(ギリシア)等の聖堂装飾を調査した。とりわけて、2019年夏に行ったカッパドキア(トルコ)調査では、本課題に直結する多くの成果を得た。南イタリアとカッパドキアでは、ビザンティン本土に稀な「キリスト昇天」「変容」をアプシス図像として採用する場合が少なくない。首都コンスタンティノポリス中心のビザンティン美術史観を修正する必要があるだろう。聖山アトスの政庁カリエスに附属するプロタトン聖堂壁画の修復洗浄作業の結果、画家エウティキオスの署名が発見されたとのニュースを受け、2020年3月に緊急調査を行った。プロトエピスタティス(大統領に相当)の長老シメオン師の協力の下、プロタトン聖堂聖域の図像を検討した結果、二人組の画家ミハイルとエウティキオスの最初期の作であるパナギア・ペリブレプトス聖堂(オフリド、北マケドニア)の聖域装飾プログラムとの類似が認められた。またテサロニキの聖ディミトリオス聖堂に附属する聖エウティミオス礼拝堂聖域との共通性も明らかになり、ミハイルとエウティキオスという有力な画家の構想が、広くバルカン半島に拡散してゆく経過も追跡することができる。彼らはイタリアの図像の影響を受けている可能性があり、ここからビザンティンとイタリア・ゴシックの相互影響関係を立証することができるかも知れない。2019年度、研究代表者は大学よりサバティカルを得て、研究に専念することができた。ギリシアに在住し、そこを拠点に海外調査を頻繁に行うことができた。ギリシアの研究者から多くの最新情報を得て、またその人脈により、通常調査の困難な聖山アトスでの調査を敢行することもできた。2020年3月の聖山アトス調査を最後にして、新型コロナ肺炎拡大のため、ヨーロッパ各国の調査が困難になっている。2020年夏、もしくは2021年春に現地調査が可能かどうか、目下のところ見通せない。海外調査が不可能な場合には、これまでに撮影した写真資料を整理し、研究分担者とも共有した上で、聖堂装飾プログラムの議論を(場合によってはウェブ会議によって)行いたい

  • 日本における西洋宗教美術受容史再構築の試み―16世紀から19世紀まで

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2022年03月
     

    児嶋 由枝, 宮下 規久朗, 秋山 聰, 谷古宇 尚, 益田 朋幸, 志邨 匠子

     概要を見る

    2018年9月に長崎県内で実施した合同調査をふまえ、各自が国内外で研究調査を進めた。特に、トレント公会議後のカトリック教会の指針を反映したキリシタン図像と日本のキリシタン独自の図像との分別に関する問題に焦点をあてた。キリシタン美術には、明らかに西欧起源の図像、西欧キリスト教の図像と日本在来の宗教図像との混合、そして、日本在来の宗教図像のキリスト教への転用など、さまざまな形態がみられ、また、明確に区分すべきではない例も数多く存在する。その背景となる各時代や地域の社会や文化、宗教の状況に関して、各自の専門分野から考察を行った。10月、11月には、ERC(European Research Council)設立のミュンヘン大学の研究グループSACRIMA(The Normativity of Sacred Images in Early Modern Europe/西欧近世における聖像の規範)とともに、共同セミナー/講演会を実施した。このプロジェクトのテーマは、(Early Modern Sacred Images in Japan and Europe: Contact, Comparison, Conflict/近世ヨーロッパと日本の聖なるイメージ)である。10月にはミュンヘン大学で、そして11月には早稲田大学で実施したが、日本からは研究分担者や国内外の研究協力者のほか、早稲田の学生も発表を行った。トレント公会議以降の西欧カトリックの聖像、そして日本のキリシタンの聖像における規範と禁忌について協議をした。早稲田で開催されたセミナーには数多くの聴衆が出席し、広く問題を共有する機会となったことも特筆すべきであろう。なお、これには、DAAD(ドイツ学術交流会)-早稲田大学パートナーシッププログラムの共催を得ている。本研究は、16世紀から19世紀にかけての日本における西洋宗教美術受容史の再構築を目指す新しい試みであると同時に、対象が広範にわたることも事実である。本研究期間内で全てを解明することは当然のことながら困難であるが、これまで全く研究されていなかった分野も含めて、最終的に大まかな見取り図を提示することを目指している。こうした見地にたって、2019年度は、以下3点を軸に調査を進めた:1)トレント公会議後のカトリック聖像における規範とテキスト;2)長崎を中心とした日本のキリシタンならびにかくれキリシタンの図像とトレント公会議以降のカトリック聖像の図像の比較;3)東アジア(特にマカオとマニラ)における宣教美術図像とトレント公会議以降のカトリック聖像の図像の比較。こうした各自の研究に加えて、2019年度からはミュンヘン大学の研究グループSACRIMAと共同プロジェクト「近世ヨーロッパと日本の聖なるイメージ」をすすめている。聖像における規範と禁忌という問題について、より多角的な視点から取り組む体制がととのったと言える。2020年度から研究期間の後半に入る。今後は、公開の研究会や研究メンバーの海外での学会発表を通して、これまでの研究の経過報告を進める予定である。同時に、各メンバーが個別に進めている研究をまとめていく。日本における西洋美術受容については従来、明治期の文明開化・欧化主義を基調にした政府主体の洋画導入を中心に議論されることが多い。そして、安土桃山時代から江戸初期における洋風画や江戸期の蘭画を対象とする研究は、いわば挿話のように個別事象として論じられる傾向にある。これに対し本研究は、16世紀から19世紀にかけての西洋宗教美術の受容とその変容という、もう一つの西洋美術受容の系譜を再構築することを試みるものである。ただ、「進捗状況」でも言及したように、研究対象が広範であるためにすべてを明らかにすることは難しい。本研究においては最終的に大まかな見取り図を提示することを目指している

  • 中世ロシア聖堂壁画に見るバルカン半島の影響

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2018年03月
     

    益田 朋幸, 浅野 和生, 伊藤 怜, 武田 一文, 菅原 裕文, 辻 絵理子

     概要を見る

    ロシア、ジョージアの中世壁画をもつ聖堂の現地調査を行い、聖堂装飾プログラムの分析を試みた。過去の調査で蓄積のあるバルカン半島(ギリシア、マケドニア、セルビア、コソヴォ、アルバニア)の諸聖堂のデータを比較し、バルカン半島が中世ロシア文化圏に与えた影響を具体的に分析した。その結果、ロシアの装飾プログラムの特異性がいくつか浮かび上がり、またロシアがバルカンに与えたと想定できる事象も明らかになった。バルカンの図像はテオファニス(フェオファン・グレク)やマヌイル・エウゲニコス経由で、ルブリョーフらによってロシアの地に定着し、ディオニーシの装飾プログラムにまで継承されてゆく

  • 古代・中世地中海世界における宗教空間と社会変動-トロス遺跡聖堂遺構の発掘調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2017年03月
     

    浦野 聡, 師尾 晶子, 太記 祐一, 草生 久嗣, 中谷 功治, 小笠原 弘幸, 深津 行徳, 益田 朋幸, 村田 光司, 田中 咲子, 松崎 哲也, 奈良澤 由美

     概要を見る

    古代から中世にかけての地中海世界における聖域空間と社会の関係の変動を具体的に調査するため、リキア地方(トルコ南西部)のトロス遺跡の司教座聖堂に焦点を定め、発掘調査を行った。この聖堂は、古代の都市の主聖域に建造されており、それ以前の神殿や聖域との関係で重要な知見を得られることが期待されたが、キリスト教の国教化から50年ほど経った五世紀の半ばには完成し、その後、11世紀に至るまで、隣接する旧都市の主神殿クロノス神殿までの空間に教会付属の工房区域が形成され、都市の手工業の中心となったことが明らかにされた

  • バルカン半島中部における文化的多様性の歴史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

    益田 朋幸, 浅野 和生, 菅原 裕文, 辻 絵理子, 武田 一文, 海老原 梨江

     概要を見る

    セルビア南部、コソヴォ、マケドニア、アルバニアのフィールドワークを行ない、初期キリスト教遺跡、ビザンティン聖堂(とくに壁画)、初期オスマン・モスクの調査を実施した。古代末期から中世、中世末期から近世への文化移行期の様相を、建築と絵画から具体的に考え、現代当該地の文化的多様性の起源を検討した。とくに14 世紀のビザンティン聖堂装飾プログラムについて、新たな知見を多数得ることができた

  • 12-13世紀の東方ビザンティン美術と西欧中世美術の相互の影響関係の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

    永澤 峻, 益田 朋幸, 児嶋 由枝, 小野 迪孝, 瀧口 美香

     概要を見る

    12-13世紀における東方ビザンティン美術と西欧中世美術との間の相互の影響関係のアクチュアルな研究を進めるため、写本挿絵、壁画、浮き彫り彫刻、象牙彫刻などの分野に関する重要な作例が数多く残る東・西ヨーロッパの諸都市(パリ、ロンドン、シエナ、パルマ、フィデンツァ、フィレンツェ、アテネなど)への重点的な現地調査を行い、図像上ならびに様式上の問題について、幾つかの新しい知見と発見を得ることができた

  • ビザンティン聖者暦の分析による写本工房推定の試み

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    益田 朋幸, 菅原 裕文, 櫻井 夕里子, 海老原 梨江, 杉浦 実, 辻 絵里子, 武田 一文

     概要を見る

    ヨーロッパ各地の図書館を調査し、11、12世紀を中心とするビザンティン・レクショナリー写本の聖者暦を収集して分析した。コンスタンティノポリスのオディゴン修道院、ストゥディオス修道院、ペトラ修道院の写本工房について、一定の活動実態が明らかになり、また複数の写本の注文者を確定することができた。明らかになったパトロンとしては、カルコプラティア聖母聖堂、同聖堂内聖ヤコブ礼拝堂、アギア・ディナミス聖堂等がある

  • ビザンティン典礼用福音書写本挿絵の総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2004年
    -
    2006年
     

    益田 朋幸

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    欧米各地の図書館から文献を取り寄せる作業を継続しつつ、写本の現地調査をロンドン(大英図書館)、アテネ(ギリシア国立図書館)、テサロニキ(総主教座附属教父学研究所)、イスタンブール(総主教座図書館)、ローマ(ヴァティカン図書館)で行った。典礼用福音書写本(レクショナリー)の挿絵とテキスト、祭日の関係を検討し、また写本後半に含まれる聖者暦をデータベース化した。具体的な成果としては、パリ写本Cod.Paris.Coislingr.31力宝、ビザンティン帝国の首都コンスタンティノポリスの聖ディナミス聖堂のために制作されたことを発見した。聖ディナミス聖堂は現存せず、いつまで活動が行われたのか不明であったが、この発見によって11/12世紀まで活動が存続したことが確実となった。またアトス山イヴィロン修道院Cod.1が、コンスタンティノポリスのカルコプラティア地区、聖母聖堂に附属する聖ヤコボ礼拝堂のために制作されたことを明らかにした。本写本の挿絵における図像学的特異性が、聖ヤコボ礼拝堂のためであるという事実によって説明された。聖者暦の分析によって、人像装飾を含まない写本であっても、リセンションがある程度推定できることが確実となった。しかし写本伝播の系統を確立するためには、なおデータの収集が必要であり、今後も作業を継続しなければならない。もっとも豪華な挿絵を有するアトス山ディオニシウ修道院Cod.587については、英文でモノグラフをほぼ完成し、目下図版の収集作業中である

  • 東地中海の港湾都市遺跡の総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    浅野 和生, 中谷 功治, 益田 朋幸, 福永 伸哉, 太記 祐一, 清家 章, 辻 成史, 大月 康弘

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    トルコ地中海岸の西南端に位置するゲミレル島とその周辺には、ビザンティン時代(6世紀〜15世紀)の遺跡が集中している。特にゲミレル島は、6世紀を中心に、海上交通とキリスト教の聖人聖ニコラオスの信仰によって非常に繁栄したとみられ、聖堂建築・世俗建築・港湾施設・墳墓など、中世の都市がそのまま残されている。この他、その周辺の島嶼部や本土内にも建築遺構が散在している。平成13年度には、次の4つの課題を並行しておこなった。1.この遺跡の代表的建築物であるゲミレル島第三聖堂(6世紀頃建造)の身廊内、約20平米を発掘し、動物、植物などを表した芸術的価値の高い床モザイクを発見した。2.ゲミレル島第二聖堂とその周囲の世俗建築群の遺構を実測し、精密な実測図を作成する作業を続行した。第二聖堂については、その周辺を含めてほぼ実測作業を終了した。3.ゲミレル島内をくまなく調査し、都市部・墓地・港湾施設などの都市区分を示すくわしい地図を制作した。4.ゲミレル島に近い本土側のカヤ遺跡とその周辺の踏査をおこなった。フェティエ湾内の島で、これまでに知られていなかったビザンティン時代の聖堂遺構1個所を新たに発見した

  • リキア地方(トルコ南西部)沿岸初期中世都市遺跡の発掘・調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
    -
    1997年
     

    浅野 和生, 杉井 健, 中谷 功治, 福永 伸哉, 益田 朋幸, 遠藤 透, 辻 成史

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    平成9年度は7年度に開始したゲミレル島第三聖堂の発掘を継続し、これまでの発掘区(アプシス及び内陣)に続く身廊の一部 平方メートルト側廊の一部約 平方メートルを発掘した。発掘により、オリジナルの聖堂建築が出土した。今回発掘した部分は、身廊と内陣とを隔てるテンプロン、及び聖職者の通路であるソレアを含んでいる。平成7年度からの発掘により、この聖堂のアプス、内陣、祭壇、テンプロンとソレアがすべて出土した。これらは聖堂の典礼がおこなわれる部分であり、典礼と建築各部の関係を調べる上で貴重な資料である。身廊と側廊の床には、モザイクの装飾が施されていた。モザイクには様々な色の石や色ガラスが用いられており、側廊は幾何学分様、身廊は植物が描かれている。このモザイクは芸術的価値が高いだけでなく、今後この地域がどの文化圏に属していたかという問題を明らかにするための手がかりとなるものである。また、聖堂内に合計6基の墓が作られているのが新たに発見された。土層の観察から、これらの墓は聖堂崩壊後、紀元後12世紀頃に作られたことがわかた。平成7、8年度の発掘により、この聖堂は紀元後6世紀頃に建設され、7世紀中頃、この地方にアラブ人が進出してきた時代に火災で崩壊したことがわかっている。9年度の発掘により、12世紀頃、ビザンティン帝国が再び勢力を取り戻してきた頃に、この聖堂の廃墟を墓地に転用したことが判明した。初期・中期ビザンティン時代のこの地方に言及した史料はほとんどないので、今回の発掘は歴史を実証的に解明したものとして意義がある。発掘区内では建築物すべての平面図、立面図、断面図、及び土層断面図を作成した。また出土品は現場で番号をふってカタログ化し、写真撮影、実測図作成をおこなった後、トルコの法令にしたがいフェティエ博物館に搬入した

  • リキア地方沿岸古代・中世交易都市の美術、建築、都市計画の調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1991年
    -
    1993年
     

    辻 成史, 岡本 真佐子, 浅野 和生, 益田 朋幸, 大橋 哲郎, 福永 伸哉, 中谷 功治, 勝又 俊雄, 合阪 学, 北條 芳隆, 長塚 安司

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    平成4年に提出した「平成5年度の調査研究実施計画」に基づいてその実績の概要を記す。1.これまでのリキア沿岸地域の調査を通じ、初期ビザンティン都市と多数の建築の遺構、陶片、フレスコ、モザイク等を発見し、既知のものと併せて組織的測量、記述を行ってきた。後述のように、本年度の調査によって、新発見の遺構の数はさらに増している。他方、これらの遺構の性格を確定し、その歴史的位置を確かめるには、他地域の関連する遺構との比較研究が不可欠である。そのため今年度は、リキア地方における調査に先立ち、あるいはこれと平行して、イタリア、ギリシャで調査、写真撮影を行なった。 (1)浅野、益田、大橋はローマ市の古代遺跡フォロ・ロマ-ノに立つ5-7世紀の教会サンタ・マリア・アンティクワの壁画群を調査、撮影した。遺例の少ないこの時代の代表作としてきわめて重要なモニュメントであるにもかかわらず、これに関する写真資料はきわめて乏しく、しかも近年はその立ち入りすら厳しく制限されている。その意味でイタリア当局の許可を得、短時日ではあるが貴重な資料を得ることができたのはまことに幸であった。 (2)合阪は単身ローマ以南、シシリ-等における古代の港湾都市を視察した。 (3)勝又はイオニア沿岸のロドス、コス、キオス等の島にある初期ビザンティン遺跡と、その出土品を調査し、多くの知見を得た。またアテネ、テサロニキ等において、関連する領域の研究者と討論を行い、多数の文献資料を渉猟した。2.現地、とくに当該地域の中心をなすゲミレル島に関しては航空写真の必要が強く感じられる。今年も現地で、フェティエ市博物館を通じ、色々てだてを探したが、再び実現を見送ることとなった。それに代えて、大橋は、エリュデニズ-ゲミレル湾岸の東にある標高2,000mのババ山頂まで登り、湾岸全体を捉えての撮影に成功した。3.本年の現地における調査の主要部分は、ゲミレル東北岸に展開する都市の構造、機能の解明にあてられた。これに関連し、まず島全体の都市学的構成が島の頂点を中心とする古代から続く墓地(ネクロポリス)と島の東部分を占めるビザンティン時代のネクロポリス、それに島北面と沿岸部分を占める住居区域に明確に分かたれていることを確認したのは重要であった。この前提に立って観察するなら、第3会堂はおそらく古ネクロポリスの中心におかれたものであり、これに対し第2、4会堂はいずれも住居部分とネクロポリスの境界上にあると考えられる。さらにこの二会堂に関しては、住居地域を抜けて会堂に入るそのアクセッス部分に、おそらく象徴的意味を持つと思われる複数のヴォ-ルト構造の建築を配している。今回の調査ではこれら特定の建築コンプレックスに対し集中的に測量を行なった。また市街を構成する格子状に配された通路が、とくに港湾施設との関連でどのように辿れるかを構造の残されている範囲で精査し、合わせて沿岸部の諸構造を詳しく調査した。4.すでにこれまでに調査に着手した会堂に関し、測量を拡大して行なった。とくに第1教会は、今日までその全体像が不明確であったが、今回は新たに洗礼槽の発見を加えて、これまでよりは統一的平面を獲得することができた。ゲミレル島対岸の新発見の教会についての測量も予定通り完了した。5.モザイクに関する資料整理、クリアリング等は、人員の張り付けができなかったため、今後の課題としてこれを持ち越した。6.観光公害対策としては、前年度に引き続き、重要な遺構のフェンシング、観光客に対する注意と呼びかけを記した立て札の設置等を行った。水質保全を含めての組織的な環境保全計画については、今後ム-ラ県立大学、ボスフォラス大学(イスタンブル)との提携計画に平行してこれを考えることとし、その旨をム-ラ県知事と話し合った。 以上前年度に提出した計画に沿った成果以外に、今年度はエリュデニズ-ゲミレル湾岸の一般調査から、従来あまり知られておらず、全く調査されていなかったいくつかの教会堂の遺構を発見した。その中でも、エリュデニズ村海水浴場近くで発見された教会堂南アプス装飾は、大部分が欠落しているものの、なお図像全体の輪郭がほぼ復元可能であり、フレスコの一部がよく残存している。これまでこの地域で発見されたもののうちでも最も芸術的質が高く、聖像論争以前のビザンティン絵画史研究に重要な資料となるであろう

  • エーゲ海の島の小都市と聖堂の研究

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    浅野と益田は、平成18年8月24日から9月10日にかけてギリシアを訪れた。各都市での課題は、キリスト教聖堂を住民がどのように建設・維持してきたかということを、建築やその立地などの現地調査や、住民からの聞き取り調査などで明らかにすることであったが、本研究は企画調査であるので、そのような研究方法が可能であるかどうかを確かめることを主な課題とした。訪れた都市・村落と聖堂は次の通り。・ミストラ(アギア・ソフィア聖堂、アギイ・テオドリ聖堂、パンタナッサ修道院、ペリブレプトス修道院など)・モネンヴァシア(エルコメノス・クリスティ聖堂、アギア・ソフィア聖堂)・ナクソス島(パナギア・ドロシアニ聖堂、プロトスロニ聖堂、アギオス・ゲオルギオス・ディアソリティス聖堂、アギオス・ニコラオス聖堂、アギオス・イオアニス聖堂、パナギア・フィロティッサ聖堂、ローマ・カトリックの大聖堂など多数)ミストラとモネンヴァシアはすでに観光地化されていて、写真撮影は自由であった。ナクソス島では、ギリシア分化省から撮影許可を取得し、写真撮影をおこなった。ナクソス島のフィロティ村では、ここで生まれ、学校教員として働き、退職したマノリス氏から、村の中心であるパナギア・フィロティッサ聖堂についての話をくわしく聞いた。この聖堂は、1976年の村人の寄進により壁画が描かれ、マノリス氏もその制作に立ち会っているので、くわしい体験談を聞くことができた。ナクソス島には13世紀から16世紀までのヴェネツィア支配時代の文化財、16世紀から19世紀までのトルコ支配時代の文化財もあり、西欧美術・建築やイスラム美術・建築を専門とする研究者と調査団を組んで調査をおこなえば、積層・錯綜した島の文化活動を、ギリシア人とは違った目で見直すことができるという見通しが立てられた。以上の成果の一端は、平成19年4月7日の日本ビザンツ学会大会で浅野が発表した

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • ビザンティン・レクショナリー写本の挿絵と聖者暦

    2009年04月
    -
    2010年03月

    ギリシア   総主教座附属教父学研究所

他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   大学院文学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 南イタリアのバシリカ式聖堂壁画における新旧約図像の対比プログラム

    2018年  

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    調査の中心となったのは、トゥルシ近郊Santa Maria di Anglona修道院である。しかし重要な比較対象であるカプア近郊Sant'Angelo in Formis修道院は大規模な修復工事中で、敷地に立ち入ることができなかった。パレルモ(シチリア)のCappella PalatinaとローマのSan Giovanni a Porta Latinaに関しては、過去の調査写真を用いて比較研究を進めた。創世記サイクルについては、教父説教等における予型論的解釈を検討した。「楽園追放」のエヴァの労働(糸紡ぎ)が聖母マリアの「受胎告知」の予型とされる、あるいは「アブラハムによるイサクの犠牲」がキリスト受難を予型する、といった個々のパターンを抽出することは可能であるが、創世記の流れを、新約の物語的な流れとどう対応させるか、という難題が残る。

  • ビザンティン様式の形成における首都と周縁

    2017年  

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     今年度はコンスタンティノポリスとの関連性において、ロシアとジョージアを考察した。両地には11世紀以降多くのビザンティン画家が渡り、仕事をし、弟子を育成した。14世紀には、ジョージアにマヌイル・エウゲニコス、ロシアにテオファニス(フェオファン・グレク)が渡り、当地にビザンティン最新の様式を伝えた。しかし両地にはビザンティン受容の明らかな差が存在する。ビザンティンでは11世紀以降、「受難の聖母」をめぐって悲哀の表現が新たな展開を見たが、ジョージアはこれを受け入れず、ロシアは熱狂的に受け入れた。ロシアの国民感情ともいえるトスカ toskaと結びついて、ビザンティンの悲哀はロシアで独自の発展を見るのである。

  • カッパドキアの聖堂装飾-首都コンスタンティノポリスの初期図像の残存か?

    2016年  

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     カッパドキアの4聖堂において、「キリスト昇天」と「キリストと十二使徒」を結合させた壁画が認められる。これは正教典礼における「昇天の木曜日」のオルトロスとリトゥルギアの図像に対応する。したがってカッパドキアの作例は、典礼暦に読まれる福音書の章句を編纂したレクショナリー写本に基づいて制作された、首都コンスタンティノポリスの壁画を写したものと推測される。同じくギョレメ地区のトカル・キリセ旧聖堂には、アプシスを囲む東壁に「キリスト神殿奉献」の断片が残っている。アプシス左右に「神殿奉献」を分割して描くのは、聖堂の祭壇を絵画の中に採り入れる試みである。以上2つの論文を英語で執筆し、現在出版を準備中である。 

  • ビザンティン聖堂装飾におけるカッパドキアとグルジア

    2015年  

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    グルジア(ジョージア)のティモテスバニ修道院壁画プログラムに関する論文を執筆するに至った。同修道院は13世紀初頭のフレスコ装飾をもち、同時代のトレビゾンド帝国(ビザンティン帝国の亡命政権)の影響を深く受けていると推測される。特徴的なのは、ドーム、ヴォールト頂部等各所に十字架装飾を施す点である。天井の十字架装飾は、初期キリスト時代には広く行われたプログラムであるが、中期ビザンティン世界では採用されなくなった。しかしカッパドキア地域には、天井の十字架装飾が遅い時期まで見られるものである。他にもアプシスにおけるデイシス図像の採用等、グルジアとカッパドキアの共通点は少なくない。ティモテスバニ修道院は、ひとつのモデルケースに過ぎず、今後、グルジア(特に高地コーカサス地方)とカッパドキアの比較は、体系的に行われなければならない。

  • 中世イタリア南部におけるビザンティン文化の浸透

    2013年  

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    南イタリア一帯をサーヴェイし、ビザンティンの影響下に成立したフレスコ・モザイクの調査を行なった。 特にTursi郊外のSanta Maria di Anglona聖堂のフレスコ装飾が重要であると考えるので、ここに記す。アプシス及び身廊北壁面にフレスコは現存しないが、身廊南壁面と同西壁面には比較的保存状態のよい、創世記の諸場面を描いた12世紀のフレスコが残っている。これはほぼ同時代のシチリア島パレルモ、カッペッラ・パラティーナとモンレアーレ大聖堂の身廊を飾る創世記モザイクと比較可能である。あるいは近年修復の終了したローマ、サン・ジョヴァンニ・ア・ポルタ・ラティナ聖堂身廊のフレスコとも比較すべきかも知れない。 サンタ・マリア・ディ・アングローナのフレスコに関しては現在も研究を継続中であるが、カッペッラ・パラティーナとモンレアーレの創世記プログラムについては、おおよその新解釈を提出することができる。天地創造に始まり、ノアの物語、アブラハム、イサク、ヤコブの物語へと続く場面選択の意味は、サイクルが「天使と格闘するヤコブ」で終わっていることから説明可能である。 ヤコブは天使(テキスト上は神)と格闘して、神からの祝福を得、イスラエルとの名をもらう。その後ヤコブ=イスラエルは12人の男子をもうけ、それぞれがイスラエル十二部族の始祖となる。これはアウグスティヌス他の教父たちによって、十二使徒の予型とされる。つまり創世記サイクルは、十二使徒の予型で終わり、それは側廊等で展開するペテロ・パウロ伝に接続する。 つまり旧約創世記は新約のキリスト伝に続くのはむろんのことであるが、さらにそれはキリスト昇天後の使徒たちの活躍にも自然に続くことになる。モザイクの複雑な図像群は、一貫したキリスト教的世界観、歴史観を語っているのである。 上記以外に、南イタリア、プーリア地方ののいくつかの聖堂では、9世紀という早い時期に、聖堂西壁面に「キリスト昇天」を描く作例を確認した。ビザンティン側で失われた時代のプログラムを想像させる点で興味深い作例である。

  • 後期ビザンティン時代におけるギリシア十字式聖堂の装飾プログラム研究

    2013年  

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    シチリア島パレルモのカッペッラ・パラティーナ(宮廷礼拝堂)及びラ・マルトラーナ(サンタ・マリア・デッラッミラーリオ)聖堂の調査を行ない、モザイクの装飾プログラムについて研究を行なった。両聖堂では、ドーム下部の東西に「受胎告知」と「キリスト神殿奉献」が対面して配されている。カッペッラ・パラティーナは図像学的に完備したモティーフを有し、ラ・マルトラーナはその省略形であるが、12世紀中葉の時点においてこのイコノグラフィーは確立しているので、いずれが先行したかは定めがたい。 「受胎告知」と「神殿奉献」をプログラムの柱とする装飾は、セルビアのストゥデニツァ修道院主聖堂(13世紀初頭)と同修道院「王の聖堂」(14世紀初頭)にも見られる。こちらはアプシスを囲む東壁面に、両図像を上下に配している。対面と上下、どちらが本来の(首都コンスタンティノポリス由来の)プログラムであるかは、10世紀初頭のカッパドキア、トカル・キリセ旧聖堂を見なければならない。 トカル・キリセでは、アプシス(新聖堂掘削のために現在は存在しない)を挟む壁面に、「神殿奉献」を分割して配している。この配置によって、現実の聖堂祭壇を図像に採りこむことが可能となる。すなわち神への犠牲として捧げられるキリストが、まさに聖堂祭壇上をよぎることになる。このプログラムによって、受難の予告としての「神殿奉献」図像の意義が十全に生かされる。したがって、「神殿奉献」は本来アプシス左右に配されるべきであり、ストゥデニツァの上下配置が当初のプログラムであることが推察される。シチリアのレイアウトは、本来の東壁面における上下配置を、聖堂建築の形状に従って対面に配し直したものであろう。 カッペッラ・パラティーナ北側廊東壁面には、金地に聖母子立像、その上方に洗礼者ヨハネの単独像を描いている。これまでこの組合わせの意味を論じた研究者はいないが、上述の議論及びパナギア・トゥ・アラカ聖堂(ラグデラ、キプロス)、「キコティッサ」イコン(シナイ山聖エカテリニ修道院)のプログラムとの関連から、「神殿奉献」のイコン化された図像であることが明らかになった。

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