2022/12/08 更新

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カワカミ イクオ
川上 郁雄
Scopus 論文情報  
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Citation Countは当該年に発表した論文の被引用数

所属
国際学術院 大学院日本語教育研究科
職名
教授

他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学歴

  •  
    -
    1977年

    大阪外国語大学   外国語学部   モンゴル語  

学位

  • 大阪外国語大学   修士(文学)

  • (BLANK)

  • 大阪大学   博士(文学)

  • (BLANK)

経歴

  • 1999年
    -
    2002年

    宮城教育大学 教授

  • 1999年
    -
    2002年

    宮城教育大学 教授

  • 1993年
    -
    1999年

    宮城教育大学 助教授

所属学協会

  •  
     
     

    日本語教育学会

  •  
     
     

    日本文化人類学会

 

研究キーワード

  • 文化人類学,日本語教育

論文

  • 「移動する子ども」という記憶と社会

    川上郁雄

    文化を映す鏡を磨く     15 - 34  2018年07月  [査読有り]

     概要を見る

    「移動する子ども」という記憶と社会の関係を歴史的に考察した論文

  • 「移動する子ども」をめぐる研究主題とは何かー複数言語環境で成長する子どもと親の記憶と語りから

    川上郁雄

    ジャーナル「移動する子どもたち」-ことばの教育を創発する     1 - 19  2017年05月  [査読有り]

     概要を見る

    「移動する子ども」研究のテーマと課題を明らかにした論文

  • 第38回研究大会ワークショップ 国際移動する日本語使用者の言語実践とアイデンティティ

    三宅 和子, 川上 郁雄, 岩﨑 典子, 平高 史也

    社会言語科学   19 ( 2 ) 98 - 103  2017年

    DOI CiNii

  • ベトナム系日本人ー「名づけること」と「名乗ること」あいだで

    川上郁雄

    マルチ・エスニック・ジャパニーズー〇〇系日本人の変革力     168 - 184  2016年05月  [招待有り]

  • 「ことばの力」とは何かという課題

    川上郁雄

    日本語学   ( 10月号 ) 56 - 64  2015年10月  [招待有り]

  • あなたはライフストーリーで何を語るのか

    川上郁雄

    日本語教育学としてのライフストーリーー語りを聞き、書くということ     24 - 49  2015年10月

  • 「難民」として来日した親を持つ子どもたちの記憶と自己表象ー複言語と無国籍の間で

    比較日本文化研究   ( 17号 ) 48 - 70  2014年12月  [査読有り]

  • ことばとアイデンティティー複数言語環境で成長する子どもたちの生を考える

    川上郁雄

    日本に住む多文化の子どもと教育     117 - 144  2014年01月  [招待有り]

  • 「移動する子どもたち」のプロフィシェンシーを考えるーJSLバンドスケールから見える「ことばの力」とは何か

    川上郁雄

    プロフィシェンシーを育てるー真の日本語能力をめざしてー     90 - 107  2008年12月  [招待有り]

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Works(作品等)

  • 宮城県の多言語多文化化に関する調査

    その他 

    2001年
    -
     

  • 豪州・ブリスベン市におけるベトナム人の宗教生活に関する研究

    1998年
    -
     

  • オーストラリアの産業界に求められる人材育成と日本語教育に関する研究

    1998年
    -
     

  • 在日ベトナム人の家族とその多国間ネットワークに関する文化人類学的研究

    1998年
    -
     

  • 在日ベトナム人社会に見られる異文化適応と文化変容に関する研究

    1996年
    -
    1997年

  • 神戸市のベトナム系コミュニティに関する研究

    1993年
    -
     

  • オーストラリア・ブリスベン市在住のベトナム人の定住実態調査

    1990年
    -
    1993年

  • 関東・関西在住ベトナム人の定住実態調査

    1989年
    -
    1993年

  • オーストラリア・ニュージーランドの初等・中等教育における日本語教育に関する研究

    1988年
    -
    1993年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 年少者日本語教育に関わる実践者の実践力向上を目指す持続可能な方法の開発

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2024年03月
     

     概要を見る

    本研究の主題は、「子どもに必要な言語能力とは何か」という問いと「子どもをどのように捉えるか」という問いと関連する。実践者はこの二つの問いをいかに意識し、日常的な実践から実践力向上を図ることができるのか、そのために持続可能なシステムをいかに構築するかが最終的な目標となる。そのような持続可能なシステムを開発することが、実践研究そのものであるという観点と認識の必要性を明らかにする

  • 海外で日本語を学ぶ子どもの日本語能力の把握と教材研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    本研究は、日本国外において幼少期より複数言語環境で日本語を学ぶ子どもたちの日本語能力も含む複言語複文化能力を把握するために、当事者である子ども、そして幼少期より複数言語環境で成長した体験を持つ大人が自らの体験や複言語複文化能力をどのように意味づけて経験として記憶し生きてきたのか、また生きているのかについて調査を行った。この調査によって得られたデータは「移動する子ども」という分析概念により分析された。その結果、「移動の経験」が当事者の心情や言語能力観、意味世界に影響していることがわかった。このことから日本語教育の教育方法や教材開発においても、「移動する子ども」の視点が必要であることが確認された

  • 海外で日本語を学ぶ子どもの日本語能力の把握と教材研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究)

    研究期間:

    2015年
    -
    2017年
     

  • 年少者日本語教育の協働的実践研究-教科学習を通して身に付く「ことばの力」の検証-

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    本研究は、日本語を第一言語としない児童生徒に求められる、日本語で学ぶ力とは何かを明らかにするものである。JSLカリキュラムの課題を踏まえて日本語教育実践への関与を行い、参与観察やインタビューといった調査も並行して実施した。また、得られた成果をHPや研究会で報告することによって、各地で児童生徒の日本語教育に携わる実践現場や教育行政との連携を図った。実践の記述と発信を行うことで実践者との連携が促進され、協働的実践研究として位置づけることができた

  • 日本は移民国家か?日本とオーストラリアにおける移住者の市民意識と帰属感の比較研究

    研究期間:

    2011年11月
    -
    2015年03月
     

     概要を見る

    本研究は、日本における移民と、移民国家であるオーストラリアにおける中国、韓国、ブラジルからの移民またベトナム難民の第1と第2世代の人々が、受け入れ社会に対してどのような市民意識と帰属感を持つかを比較研究することによって、日本社会が「移民国家」となりうるのかを検討することを目的とした。インタビューとアンケート調査を通して、同じ国からの移民が受け入れる環境が異なると、違った市民意識とアイデンティティーが形成されることがわかった。その結果、多様な背景をもつ市民を受け入れる日本側の課題が明らかになった

  • 年少者日本語教育の協働的実践研究-教科学習を通して身に付く「ことばの力」の検証-

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2011年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    研究年度の3年目であった平成25年度の活動について、前期と後期に分けて概要を示す。前期は、平成24年度後期から継続して研究代表者が特別研究期間を適用していたため、バンコクに滞在しながら研究課題に関連する日本語教育実践を対象に調査を行った。バンコクに居住する日本人家族の児童生徒が学ぶ教育機関(幼稚園、インターナショナルスクール、ボランティア教室)を見学し、保護者や支援者に聞き取りを行った。また、子どもたちの日本語支援に関する研究会やセミナーでも講演を行った。
    後期は、研究の軸足を国内に戻し、前年度からの継続課題である浜松市、鈴鹿市などで実践研究を進めた。浜松市においては、算数の教科支援を行うグループ(前年度までのNPOから教委所属へ変更)の活動に関与し、メンバーに対する研修も行った。前期においても帰国時には浜松に赴き、支援グループの活動に関与できていたことは、後期の活動につなぐためにも、また、研究全体を継続していくためにも必要であったといえる。
    また、新たに松本市の支援グループとの関わりもでき、研究課題であるJSLカリキュラムの考え方を共有し実践の場で考察を進めていく可能性を見た。年度末には、3つの科学研究費プロジェクトの報告会を開催した。これは、2つの科研費プロジェクトが主催したものであるが、そのうちの1つとして担当したものである。複数の言語環境にある子どもたちのことばの力の発達に関する調査報告と報告をめぐってのパネルディスカッションを行った。多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーの発達について、大きな枠組みで考え、協議できたことは成果といえる。
    *報告…http://www.gsjal.jp/ikegami/#forumA

  • 日本は移民国家か?日本とオーストラリアにおける移住者の市民意識と帰属感の比較研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2011年
    -
    2014年
     

     概要を見る

    During this financial year, our project team's major efforts were made in the following two areas. First, based on the data we have already accumulated and in order to be able to conduct meaningful comparative analysis, we adjusted the focuses of the project and did a new wave of data gathering. In particular, Farrer (PI) aimed to compare the first generation immigrants' socioeconomic mobility patterns and their sense of belonging in Japan. Since data on Nikkei Brazilians was not sufficient, she and her research assistant conducted fieldwork--both participant observation and focus group discussion--among this group of immigrants in Kanto Area. This research effort gives insights to the causes for different mobility trajectories between different immigrant groups in Japan, especially in accounting for the socioeconomic mobility gap between Nikkei Brazilians and the Chinese and Koreans. In addition, after finishing gathering the data in Australia, Kawakami (CI) continued to gather data among second-generation Vietnamese immigrants in Japan, so as to be able to compare their identity and belonging in these two different immigrants contexts.
    The other main research activity this year was data analysis and preparing research reports for publication. Tajima (CI) and Zhao (Research Collaborator) presented their research paper at the Japanese Society of Sociology Annual Conference. Farrer presented at several international conferences and symposiums. One of her articles is published in Asian Pacific Migration Review (SSCI journal).

  • 日本国外の日本語バイリンガル若年層の複数言語能力意識の把握と日本語教育方法の開発

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

     概要を見る

    本研究は欧州、米国、豪州などの11 カ国に居住している日本語バイリンガルの子どもたちの複数言語能力意識について調査をすると同時に、子どもの家族、子どもに関わる教員等から子どもたちの言語使用、言語学習について面接調査を行った。その結果、複数言語能力意識が子どもたちの言語学習とアイデンティティ形成に大きな影響を与えていることが明らかになった。また、その成果を論文、書籍にまとめ公表した

  • 年少者のための日本語教育に関する基礎的調査研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(萌芽研究)

    研究期間:

    2002年
    -
    2004年
     

     概要を見る

    年少者への日本語教育という定義は、きわめて曖昧である。
    本研究では、従来ほとんど検討されることのなかった高等学校レベルに焦点を絞り、かつ国語教育との比較の上で、年少者のための日本語教育を位置づける。
    その方法論としては、外国人留学生のための日本語クラスにおける総合的な言語学習活動の組織化と支援についての理論を用い、教室実践上の試みとして考察・検討を行う。
    本研究は、当初、地域を限定した年少者のための日本語教育の実態を網羅的に調査することを予定したが、実際の地域とのやり取りの中では、そうした網羅的な調査は現実的でなく、結果として表層的なものに終わってしまうことが危惧された。
    そのため、むしろ具体的な教室実践を比較し、その中で、特定のレベルに限定した観察・分析が重要であると認め、当初の計画を変更して調査研究を行うこととした。
    本研究は、第1言語としての日本語教育としての「文章表現」プログラムと、第2言語としての日本語教育としての「取り出し日本語」クラスの分析・検討によって、教室プログラムと学習者の達成の関係をデータ化しを作成し、この実践をもとにデータを収集することにあった。
    具体的な教室実践を比較し、その中での学習の状況や教師役割を分析することによって、教室活動そのものの設計および組織化と支援についての理論を構築するところにある。この成果については、その一部を牲川・細川『わたしを語ることばを求めて』(三省堂、2004・3)として刊行し、続いて『考えるための日本語-問題を発見・解決する総合活動型日本語教育のすすめ』(明石書店、2004・12)の形で公表した。
    なお、当初、研究分担者であった牲川波都季は、2004年8月付けで早稲田大学を退職したため、研究協力者として研究に参加した。

  • 在日ベトナム人社会に見られる異文化適応と文化変容に関する研究

     概要を見る

    1989年の第一次調査で面接を行った、関東および関西在住の在日ベトナム人家族を再訪問し、過去5年間の家族内の変化について面接調査を行った。その結果、家族の異文化適応と文化変容において、次のような諸点が明らかになった。(1)都市近郊への人口集中、(2)就業形態の変化、(3)言語生活の変化、(4)家族内における親子関係や夫婦関係の変化と若者世代の増大、(5)国際関係の変化による生活戦略の変化、(6)それらの変化に伴う家族観、祖国観、民族的アイデンティティ等についての考え方の変化、等々。これらの変化は明らかに、1990年代に日本に定住する在日ベトナム人の生活世界に多大な影響を与えてきている。加えて、難民としての祖国脱出の経験、日本への帰化の難しさ、「越僑」としての祖国ベトナムでの差別構造の諸点が彼等の生活世界を規定し、かつ、日本に在住しながらも日本社会と向き合うことなく、海外に在住する家族のネットワークを通じて、日本の外に目を向けながら生活していくというステラテジ-を作りだしていることが、本研究の対象とした在日ベトナム人の特徴であることが明らかにされた。今後の課題としては、今後ますます増大する若者世代が日本での定住生活と祖国あるいはベトナム以外の国々にいるベトナム人との接触や交流を通じて、どのように変化していくか、また、その変化が在日ベトナム人コミュニケィや個人の生活戦略にどのような変化をもたらすか、さらにはそれらのベトナム人が在日外国人として日本社会とどのような関係を形成していくのか等について継続的な調査研究が必要であろう

  • 大学におけるカリキュラム改革-教育大学とリベラルアーツカレッジにおける比較

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    マカレスター大学において研究協議を行い、意見交流を行った。協議では学内のカリキュラム担当者、学外における教育プログラム担当者等と話し合いが行われた。また、カリキュラムに関する資料や学外の教育プログラムに関する資料が収集された。広域情報教育について、発達しているアメリカのその実態をマカレスター大学との研究討議で、教育センターを訪れることによって見ることができ、いくつかの資料を得た。音楽についてはアジアの音楽での楽器の使用での大学でのカリキュラムの討議、数学のカリキュラムについても解析学や数学科教育の分野での討議したり、実際に講義に参加しアメリカ合衆国での現在の大学でのカリキュラムの見直しの実態に触れ、これからの日本の大学におけるカリキュラムの検討課題が得られた。また、環境教育のカリキュラムについても討議を行った。当初の予想以上の成果があったと言えよう。マカレスター大学は今後の国際化教育を進める上で日本を含むアジア・アフリカ等との交流を重視していくというのは、21世紀に向けた日本の大学教育を考える上で極めて示唆に富む点である。今後の研究を進める上で、どのように共同の視点に立って協議を進めて行くかが課題となろう。経済学教育の面で、特に、アメリカ側から眺めた日本の経済体制についての討議が行われ、金融状勢についての両国の見方、大学でのカリキュラムの導入の方法等において有意義な研究が行われた。コンピュータネットワークは予想どおり、我が大学よりもはるかに進んでいて、数年後の本大学の期待する姿をみたような気がする

  • 在日ベトナム人の家族とその多国間ネットワークに関する文化人類学的研究

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    本研究は、1970年代後半より定住したきた在日ベトナム系住民の家族に関する文化人類学的調査を通じて、祖国ベトナムを含む海外に居住する分散家族とのトランスナショナルなネットワークの実態を把握することをねらいとした。調査は関東、関西地区に居住する在日ベトナム系住民への直接のインタビュー調査と彼らのコミュニティ活動への参与観察によって行った。平成10年度は彼らのコミュニティ活動のうち宗教的ネットワークについて調査を行った。その結果、カトリック系および仏教系信者の組織の実態や海外まで広がるネットワークが明らかになった。また平成11年度はそれに加え、家族・親族のネットワークを通じて、海外移動や情報交流が活発に行われている実態がインタビュー調査から明らかにした。平成12年度はそれまでの研究を踏まえ、これらのネットワークがどのような意味をなすかについて考察を行った。世代や家族によっても、ネットワークのトランスナショナルな広がりや情報の内容に多様性があることやそのことの家族への影響も多様化していることがわかった。いわゆる「難民一世」と幼少で来日し日本で成長した「難民一・五世」や二世との間で、祖国観、家族観、結婚観、将来への生活戦略、社会上昇への意欲、民族的アイデンティテイのとらえ方等に大きな差があることも明らかになった。今後は、トランスナショナルなネットワークが個人にどのような影響を与えていくか、特に成長する若い世代が日本に定住する各家族やコミュニティ全体にどのような影響を与えていくか、またそのような背景の中で、日本社会が彼らとどのような共生的関係を取り結んでいくかが課題となろう

  • 日本語教育の必要な児童生徒に関する教育方法と教材開発の研究

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    本研究は、近年増加しつつある「日本語指導の必要な児童生徒」を対象にした教育方法と教材開発を中心テーマに、学校現場の教員や日本語指導協力者、ボランティア等との研究会活動を軸に、3年間継続した共同研究である。この「日本語指導の必要な児童生徒」に関する研究の意義は極めて高く、ようやく社会的要請も出てきたが、研究状況はまだ十分に進んでおらず、課題も多い。本年度の研究は、そのような状況の中で、本研究のまとめを行った。研究代表である川上は、平成13・14年度文部科学省国際教育課が主幹する「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発」の委員としてその開発に関わった。また市瀬は宮城教育大学で行われる「現職教育講座」の運営に中心的役割を果たし、本研究テーマの協議をリードした。3年間で8回の「現職教育講座」を開催した。また川上・市瀬は本研究の初年度(平成14年3月)に移民の子どもたちへの言語教育の実態を視察研究するために、オーストラリア・クイーンズランド州教育省および同州ブリスベン市内の小学校、ハイスクールを訪問し、ESL教育について調査するとともにESL授業を実際に視察した。このときの成果は、以下のJSLバンドスケールの開発につながった。本研究テーマを検討していくなかで、「日本語指導の必要な児童生徒」とは誰か、また「日本語指導をいつまで続けるのか」「子どもたちの言語能力をどのように把握するか」「その言語能力の発達とあわせて、どのような指導法が必要か」などの基本的かつ重要な課題に直面した。その課題の研究からJSLバンドスケールの開発を行った。これは、本年度の最大の研究成果であるが、検証作業は今後の課題である

  • ベトナムに関する日本人類学研究の総括と現地への発信

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    本研究は、我が国においてベトナムの人類学的研究が急成長を遂げているにもかかわらず、相互の連絡、対外的交流が分散しかねない現状に鑑み、ベトナム研究会を組織し集約し、その成果をベトナムの研究者および現地の人々に向け発信する試みである。そのため、1.定例研究会を、東京、名古屋、大阪、別府などにおいて12回開くとともに、ベトナムより2人の研究者を呼び、本学において講演会(11月27日)と研究会(11月28日)、大阪国立民族博物館と共催の国際フォーラム「ベトナムにおける市場経済化と習俗の変化」を開催した。これらの活動を通じてベトナムに関する最新の研究成果を報告、討論しそれぞれの研究に資するしと共に、全体のレベルアップと知見や理論の理解と共有をはかった。第1、2、3、4年度)上記の基礎の上に以下の2つの作業を行った。2.人類学的研究主要業績目録を作成、重要なものに解題を付し文献目録解題データベースを作成。(第2、3年度)3.地域や民族などテーマごとの研究レビューを執筆。(第3、4年度)4.両者をベトナム語に翻訳し、報告書をまとめた。(第4年度)5.これらの成果を、東洋大学アジア文化研究所のHPのANSWERアップロードし、インターネットを利用してベトナムへならびに各地へ発信し、現地還元および研究交流に資することとした。(第4年度)なお、当初予定した英訳は、時間、費用の関係から割愛せざるを得なかったが、ベトナム語を通しての現地還元の意義は少なくないと自負している

  • 日本語教育と文化リテラシーに関する理論的研究、および、実践モデルの開発

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    本研究の計画は「文化リテラシー」育成のための日本語教育理論の構築と、多文化リテラシーの育成をめざす日本語教育実践モデルの開発にあり、期間内に、(1)文献的探索および研究会準備→(2)分野別・地域別研究者招聘・研究会実施→(3)理論研究の成果発表と報告書の作成を行うのが当初の計画であった。4年の期間内に、理論研究に関しては、すべての過程をある程度達成することができたが、実践モデルの開発についてはやや不十分であった。隣接分野の研究者との議論を通した理論構築では、初年度3人、次年度ひとりの第一線の研究者を招聘し、議論を戦わせた。これは「文化リテラシー」の理論構築を進めるものとなった。また、若手研究者を中心とする公開研究会も順次開催し、口頭発表および討議を経て、研究会誌『リテラシーズ』への論文掲載につながった例も多い。新たな研究会誌の刊行は若手研究者を本研究に組み込むことに成功した。それらを踏まえて、3年次に国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」を開催し、移民先進国である米国、オーストラリア、フランス、英国から、国際的に評価の高い研究者を招聘した。本科研メンバーとの議論を通じて、本研究が国際水準の問題地平に伍していることを示し、最終年度には、研究集会の成果を日英両語で報告書として作成した。さらに、科研メンバーによる討論会を開催し、その記録から、本研究が期間内にある程度の成果をあげたことが示されている。研究期間は超えるが、近々市販の形で刊行される予定を本研究の成果のひとつとしてあげたい

  • 地域における定住外国人の主体的な日本語習得に関する縦断的調査・研究

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    1.定住外国人の主体的な日本語習得の実態が明らかになった。地域に定住する外国人の日本語学習と言語習得を多面的に知ることを目的として、定住外国人言語使用の実態、日本語の学習ストラテジー、言語の使用場面などについて調べた。調査の方法は、外国人に対する質問紙調査やインタビュー調査である。定住外国人自身はいうまでもなく、配偶者や家族、地域日本語教室や支援ボランティアなど定住外国人をとりまく外的環境に注目しながら調査を行った。(調査地点:仙台市、岩沼市、本吉町、志津川町、大和町、亘理町、茨城県大洗町、ブラジル国サンパウロ市、パラナ州)定住外国人の日本語能力は、来日前の学習歴と来日後の学習環境によって決定される。学習者によって様々な日本語の学習方法があり、学習段階に応じて自分自身の学習方法を次から次へと見出していける者ほど、日本語力の発達がみられる。結論としては、定住外国人と周囲の一般の日本人のかかわりの重要性を強調し、「異なる文化背景をもつ他者と関係性の築ける地域社会をめざす」ことの必要性について強調した。2.宮城県内の定住外国人の出身地におけるフィールド調査平成17年度末におこなった、ブラジルサンパウロにおける調査記録とインタビュー調査をまとめた。特に、ブラジル人生徒については、日本とブラジルで体験する二重の文化摩擦について言及した。3.定住外国人の言語習得に関する基本的文献の収集と要旨集の作成のまとめ定住外国人の言語習得に関する基本文献調査を完了し、要約集を完成させた。この基本文献調査は、すべての定住外国人研究の基礎資料として役立てられる。(http://koho.miyakyo-u.ac.jp/IUERC/kenkyu-1-5.htmにて公開)。4.研究成果の還元研究代表の市瀬は、宮城県「外国籍児童生徒支援ネットワーク構築のための検討委員会」の座長となり、平成18年度からスタートする宮城県の「外国籍児童生徒支援ネットワーク」の構築に尽力した。加えて宮城県で「多文化共生条例」の制定が検討されることになり、市瀬は審議会のメンバーに加わって、本研究課題から得られた知見を活用した。その他、研究の成果は平成15年から17年にかけて、逐次学会で発表し、学術雑誌にて公表した。以上研究の成果は、市瀬智紀編『地域における定住外国人の主体的な日本語習得に関する縦断的調査・研究』(科学研究費補助金(基盤研究B 153200062報告書)研究成果報告書、2006年、全190頁に抜粋収録している。(論文9編、資料4編)

  • 年少者日本語教育における日本語教材、教授法および教育行政システム構築に関する研究

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    本研究は日本語を第二言語として学ぶ子どもたちへの日本語教育に関する教材、教授法、および教育行政システムの構築について研究したものである。本研究では、川上が開発した「JSLバンドスケール」を使って、これらの子どもたちの日本語能力の把握と、その結果をもとにどのような教材を、どのような方法を使って日本語指導を行うかについて研究を行った。また、その成果を踏まえ、教育行政とどのように連携し、これらの子どもへの日本語教育を行うかについても研究を行った。その結果は、著書、『「移動する子どもたち」と日本語教育-日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える-』(川上郁雄編、2006・明石書店)として刊行した。また、教育行政との連携としては、2007年度、東京都目黒区教育委員会および三重県鈴鹿市教育委員会と早稲田大学日本語教育研究科の間で協定を結んだ。その内容は、「JSLバンドスケール」を使って、JSL児童生徒の日本語能力を把握することと、そのことをもとに日本語指導を進める専門的教員として「日本語教育コーディネーター」を配置することである。これらは、2008年度からスタートし、成果が期待されるところである

  • 日本国外にいる日本語バイリンガル若年層の複数言語能力、言語観に関する質的調査

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    本研究は、日本国外にいる日本語バイリンガル若年層の日本語能力およびホスト社会言語(本研究の場合、英語)の言語能力および言語観に関する質的調査を目的としているため、本年度は、そのケーススタディとして、オーストラリアのシドニーに暮らす日本語バイリンガル若年層を対象にした。2009年6月に2週間、ブリスベンのQLD州立Milpera High Schoolで、調査を実施した。また、同年7月には、メルボルンのVIC州立Blackburn English Language Schoolで、調査を実施した。どちらもの学校も、新着移民子弟への英語教育(ESL)を集中的に行っている公立学校である。この学校に在籍する日本語バイリンガル生徒、およびこれらの学校の卒業生の日本語バイリンガルを紹介してもらい、面接調査を行った。調査は以下の方法で行った。視点は3つある。第一は、(1)学校の視点である。英語集中学校での教育内容・方法と生徒の英語習得状況に関する調査。これはESLスケール等の方法による英語能力に関する記録や教員へ面接調査、および授業観察を行った。このことによって、学校在籍当時の生徒の英語能力の多角的な把握を行う。第二は、(2)家庭の視点である。家庭の言語使用状況、複数言語使用に対する親子の考え方、および学習環境等について、本人を含む家族に対する面接調査を行った。第三は、(3)子ども(高等教育レベル、あるいは成人を含む若年層)への個別面接を行った。これらの調査から、新着移民として受ける子どもたちへの英語教育の状況、およびその後の英語能力の発達についての他者評価および自己評価、さらにホスト社会における母語維持および英語学習に対する、子どもの視点からの認識と考察が得られた

  • 年少者日本語教育の実践的研究-JSLカリキュラムの検証とプログラム開発-

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    本研究は、JSLカリキュラムをもとにした実践を通して、各現場に見合った日本語支援プログラムを構築することを目的とする。具体的な活動としては、浜松市において初期指導後のJSL児童の算数指導について、教員グループと協議を重ねた。この結果、算数指導と日本語指導の連携の重要性が支援者グループに定着し、実践の記録を始めることができた。太田市や鈴鹿市では、市全体で取り組む支援システムの構築を支援し、同時に、JSL児童を担当する教員研修・養成の面においても貢献できた

  • 国連の平和活動とビジネス : 紛争、人の移動とガバナンスを軸として

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    平和と人権のためのビジネスとは何か。同じように紛争に関わるビジネスであっても、なぜその評価は分かれるのか。本研究は、紛争(後)社会における(1)ビジネスの業態、(2)その紛争や平和への影響、(3)それらの評価、の3点を国連の平和活動との関係に絞り、紛争、人の移動とガバナンスの相互作用を軸に検討し、人権のための平和構築研究に新境地を開き、その一定の体系化に成功した

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学内研究費(特定課題)

  • 年少者日本語教育に関わる実践者の実践力向上を目指す持続可能な方法の開発

    2018年  

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     本研究は、日本語教育研究科が2008年より三重県鈴鹿市教育委員会と「教育支援に関する協定」を締結し、鈴鹿市内の40校の公立小中学校で展開している日本語教育実践の枠組みを検証し、教育現場の教員が「JSLバンドスケール」(川上郁雄研究室開発)をどのように利用しているのか、また日本語教育の実践にどう生かしているかを現地の調査を踏まえて明らかにし、それをもとに、実践者の資質を向上させるための持続可能な方法を探究することを目的に実施された。本「協定」は1期3年の協定期間で、4回継続されたので、2018年度は4期目の2年目に当たる。したがって、本研究は、これまでの11年間の日本語教育支援システムを分析した。

  • 幼少期に複数言語環境で成長した老齢期の成人の複言語使用に関する実態と意識調査

    2018年  

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    本研究は幼少期に日本語を含む複数言語環境で成長した経験を持ち、老齢期に達した成人の複言語使用および複言語複文化能力に関する意識についての調査研究である。本研究の目的は、これらの人々が自らの複言語人生をどう捉え、かつ自らの複言語複文化能力をどう考え、人生の老齢期において複言語をどう使用しているかを明らかにすることである。具体的には、これまでと同様に「ライフストーリー・インタビュー」を用い、幼少期から現在までの人生を「ことばの軸」で語ってもらい、記述し、分析した。そのことにより、子どもから老齢期までの「人とことば」の関係を捉え直し、生涯における言語使用および教育のあり方を問い直すことを目指した。

  • 複言語使用者の言語バイオグラフィと言語ポートレート研究

    2016年  

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    本研究は、幼少期に複数言語環境で成長した人が、自らの複言語・複文化に対してどのような認識を持っているのか、そしてその認識がアイデンティティ形成や生き方にどのように影響しているのかを明らかにすることをめざした研究である。言語バイオグラフィ、言語ポートレートおよびライフストーリー・インタビュー調査を用いた方法および子どもの日本語教育に関わる実践者への聞き取り調査によって探究した。得られたデータを分析することによって、複言語使用者の複言語使用に関する個別の認識の実態を把握し、その実態から見える言語認識の特徴を概念化し、それらを言語教育と結びつけ、新たな言語教育実践の可能性を探究した。

  • 幼少期に複数言語環境で成長した老齢期の成人の言語能力意識に関する質的研究

    2016年  

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    本研究は幼少期に日本語を含む複数言語環境で成長した経験を持ち、老齢期に達した人の複言語使用および複言語複文化能力に関する意識についての調査研究である。これらの人々が自らの複言語人生をどう捉え、かつ自らの複言語複文化能力をどう考え、人生の老齢期において複言語をどう使用しているかを明らかにする。具体的には、「ライフストーリー・インタビュー」を用い、幼少期から現在までの人生を「ことばの軸」で語ってもらい、記述し、分析した。そのことにより、子どもから老齢期までの「人とことば」の関係を捉え直し、生涯における言語使用および教育のあり方を問い直すことを目的として実施した。本年度は4人の方の調査協力を得た。 

  • グローバル・バンドスケール―複数言語環境で成長する子どもの日本語教育方法の開発

    2014年  

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    本研究は日本国外の複数言語環境で成長する子どもの日本語能力を把握するための「ものさし」となるグローバル・バンドスケールを作成することを目的とする研究である。今年度はその基礎研究として、日本国外の日本人学校、補習授業校を訪問し、実態調査を行った。同時に、これらの子どもの子どもたちに必要となる教材と教育方法について現地の関係者から聞き取り調査を行った。子どもの日本語能力は多様であり、そのため子どもの親も教師も、その日本語能力の把握に困難を感じていると同時に、教育方法についても手さぐり状態であった。本研究では、そのような現状を踏まえ、子どもたちの日本語能力を把握する方法について研究を行った。 

  • 複数言語環境で成長する子どもの日本語能力と教材開発に関する日本語教育方法の構築

    2013年   尾関 史, 太田 裕子

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     本研究は、幼少期より複数言語環境で成長する子どもの日本語能力の実態を把握し、その実態にあった日本語教育教材の開発と日本語教育の方法について研究を行うことを目的としている。本年度は、幼少期より複数言語環境で成長する子どもの日本語能力の実態を把握するために、日本国内では三重県鈴鹿市における実態調査をもとに教材開発を行った。鈴鹿市教育委員会と調査代表者の所属する本学大学院日本語教育研究科は6年前より協定を結び、調査代表者が開発した「JSLバンドスケール」を使用して日本語を第二言語として学ぶ子ども(以下、JSL児童生徒)の日本語能力の把握を行い、かつ個々の子どもの日本語能力の判定結果を継続的に集約し、かつ分析を行ってきた。その結果に基づき、本大学において、これらの子どもたちに向けた教材開発を行った。さらに、2013年8月には、開発に関わった本学大学院日本語教育研究科の調査代表者、連携研究者、修士課程院生とともに現地を訪問し、教育委員会および市内の教員と教材開発についての協議を行い、大きな成果を上げた。その後も、本学において同様の教材開発を継続している。 また、近年、日本国外において幼少期より複数言語環境で成長する子どもで、日本語を学ぶ子どもが増加している。そのため、シンガポール、マレーシア、オーストラリアでの子どもたちの実態を調査し、関係者と協議を行った。シンガポールでは日本人学校(小学部、中学部)と日本語補習授業校、マレーシアではジョホールの日本人学校、またシドニーでは土曜校(日本語補習授業校)を訪ね、授業の様子を見学するとともに子どもたちの日本語に関する課題等について聞き取り調査を行った。その結果、どの学校においても、国際結婚した両親を持つ子どもや日本国外での生活が長くなっているため日本語能力が弱くなっている子どもがいることが判明した。日本人学校では優秀な児童生徒が多かったが、補習授業校では日本語能力が低いために当該学年の教科書を読んだり理解したりすることが困難な子どもがいた。では、そのような子どもに対してどのような日本語教育を実施することが可能なのか、またその場合の日本語教育の教材はどのようなものがよいのか、さらに複数言語環境で成長する子どもの場合、複言語能力を持つことになるが、その場合の日本語教育は何をめざして行われるのか、またその理念は何かということについても関係者と協議をすることができた。本研究の成果は、日本国内のJSL児童生徒の課題と日本国外で日本語を学ぶ子どもたちが、「ことばの教育」という意味で共通の課題を有しており、その解決には日本語能力の把握を行い、その実態にそくした日本語教育教材の開発と日本語教育方法の開発が必要であること、さらにこの課題が幼少期より複数言語環境で成長する子どもにとって日本国内外で重要な研究課題であり、子どもたちの実態を見たとき喫緊の課題であることを関係者と共有できたことである。

  • 幼少期より複数言語環境で成長した早稲田大学学生の言語能力意識に関する質的研究

    2013年  

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     本研究は、本学に在籍する学生や教員の中で、幼少期より日本語とそれ以外の言語の複数言語環境で成長した人とその家族の言語能力意識に関する質的研究調査である。 近年、グローバル化と人口移動にともない、親とともに国境を越え移動し、その結果、幼少期より複数言語言語環境で成長する子どもが世界的に増加している。このような背景を持つ学生や留学生が本学にも多数在籍している。そのような背景を持つ学生の中には、英語など日本語以外の言語が強く、逆に日本語が弱い学生や、あるいは複数言語とも自信が持てない学生もいる。その背景には、移動にともない教育が分断されたり言語使用環境が変化するなどの実態もある。では、これらの学生は大学生活やこれからの人生においていかに生きようとしているのか、また、これらの学生を大学はどのように受け入れ、教育を行うことが必要なのか。本研究はこのような問題意識から、本学に在籍している、幼少期より複数言語環境で成長し、かつ大学において活躍をしている学生等を対象にした調査を行った。調査協力者として、スポーツ科学部に在籍し、ロンドン・オリンピックで活躍したディーン元気さん、ノルディック・スキーで活躍するレンティング陽さん、そのほか、幼少期に日本に来て成長しポルトガル語と日本語を使用して生活している理工学部の助手の方、ポーランド語と日本語を使用しながら日本で成長し法学を専攻し、研究所の助手となった方、さらに中国語と日本語を使用しながら成長した学部学生、アメリカで高校を卒業したのち本学に入学した日本人学生など多様な人たちを選定し、それぞれのライフストーリーを語ってもらった。そのうえで、それぞれの調査協力者の家族にも話を聞いた。その結果、子どもから見た複数言語生活と、親が子どもをどのように教育をしようと思っていたのかなど、親の教育観、親子関係から子どもの主体的な生き方までを詳しく尋ねることができた。 本研究の成果は、幼少期より複数言語環境で成長する子どもは学校やほかの子どもとの関係から自らの複言語能力についてさまざまな意識を持つこと、そしてそれが成長過程が変化していき、かつ自己形成に大きな影響を与えること、また親は子どもが複数言語環境で成長することをはじめからどのように考え、子育てを行ってきたのかというのは、それぞれの家族によって異なり、それぞれが子どもの成長に影響してきたこと、また親も子どもの成長につれて複数言語環境で成長する子どもについて理解が深まり、時には親も子どもの生き方や人生について子どもとともに悩むことがあることがわかった。本調査から、大学に入学する学生の生き方やアイデンティティ形成を振り返り、自らの複言語能力をメタ的に捉え、かつ人生を総合的に捉える力を育成することが重要であり、そのための大学教育をどう構築するかが今後の課題であることがわかった。

  • 「移動する子どもたち」として育った複数言語使用者の言語能力観に関する質的研究

    2009年  

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    本研究では「移動する子ども」を(1)空間的を移動する,(2)言語間を移動する,(3)言語教育カテゴリー間を移動するという3点で規定した。そのうえで,「移動する子ども」が成長過程でどのように複数言語を認識し,習得し,成人した後の生活で,それらの複数言語をどのように使用しているか,あるいは使用していないかについて調査をおこなった。インタビュー調査は,幼少期に多言語環境で成長し,現在,日本で活躍している11人の方(川平慈英氏,セイン・カミュ氏,一青妙氏,コウケンテツ氏,フィフィ氏,華恵氏,長谷川ア―リアジャスール氏,白倉キッサダー氏,NAM氏,響兄弟)に行い、録画データ文字データをもとに質的調査法によって分析した。  その結果をまとめると,幼少期に複数言語環境で成長した成人日本語使用者の言語習得と言語能力観について,以下の5点がわかった。①子どもは社会的な関係性の中で言語を習得する,②子どもは主体的な学びの中で言語を習得する,③複数言語能力および複数言語使用についての意識は成長過程によって変化する,④成人するにつれて,言語意識と向き合うことが自分自身と向き合うことになり,その後の生活設計に影響する,⑤ただし,言語能力についての不安感は場面に応じて継続的に出現する。このことは,「移動する子ども」は,既成の記述的な言語能力や言語教育のカテゴリーとは別次元で,極めて主観的な意識のレベルで言語習得や言語能力意識を形成し,そのことに主体的に向き合い,折り合いをつけることによって自己形成し,自分の生き方を立ち上げていくことを意味する。ただし,その言語能力は高度なマルチリンガルのように見えるが,常に不安感を秘めた言語能力意識である。この「不安感を秘めた言語能力意識」こそ,言語習得や言語生活を下支えしている。したがって今後の課題は,「移動する子どもたち」の「不安感を秘めた言語能力意識」を踏まえ,その意識に向き合う言語教育実践を構築することである。 今年度はさらに上記のインタビューデータをもとに分析を行うと同時に、インタビュー協力者に対して追加調査を行い、インタビューで語ったライフストーリーの詳細を確認した。その後、その成果をまとめ、書籍化を行った本研究成果を収録した書籍を公表することになった。

  • 「移動する子どもたち」として育った複数言語使用者の言語能力観に関する質的研究

    2008年  

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    本研究では「移動する子ども」を(1)空間的を移動する,(2)言語間を移動する,(3)言語教育カテゴリー間を移動するという3点で規定した。そのうえで,「移動する子ども」が成長過程でどのように複数言語を認識し,習得し,成人した後の生活で,それらの複数言語をどのように使用しているか,あるいは使用していないかについて調査をおこなった。インタビュー調査は,幼少期に多言語環境で成長し,現在,日本で活躍している11人の方(川平慈英氏,セイン・カミュ氏,一青妙氏,コウケンテツ氏,フィフィ氏,華恵氏,長谷川ア―リアジャスール氏,白倉キッサダー氏,NAM氏,響兄弟)に行い、録画データ文字データをもとに質的調査法によって分析した。  その結果をまとめると,幼少期に複数言語環境で成長した成人日本語使用者の言語習得と言語能力観について,以下の5点がわかった。①子どもは社会的な関係性の中で言語を習得する,②子どもは主体的な学びの中で言語を習得する,③複数言語能力および複数言語使用についての意識は成長過程によって変化する,④成人するにつれて,言語意識と向き合うことが自分自身と向き合うことになり,その後の生活設計に影響する,⑤ただし,言語能力についての不安感は場面に応じて継続的に出現する。このことは,「移動する子ども」は,既成の記述的な言語能力や言語教育のカテゴリーとは別次元で,極めて主観的な意識のレベルで言語習得や言語能力意識を形成し,そのことに主体的に向き合い,折り合いをつけることによって自己形成し,自分の生き方を立ち上げていくことを意味する。ただし,その言語能力は高度なマルチリンガルのように見えるが,常に不安感を秘めた言語能力意識である。この「不安感を秘めた言語能力意識」こそ,言語習得や言語生活を下支えしている。したがって今後の課題は,「移動する子どもたち」の「不安感を秘めた言語能力意識」を踏まえ,その意識に向き合う言語教育実践を構築することである。

  • 日本語を母語としない児童生徒への地域における支援ネットワークに関する研究

    2002年  

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    本研究は、「日本語を母語としない児童生徒」の教育への支援ネットワークをテーマにした研究である。これらの児童生徒には、日本語指導のほかに適応指導や教科指導、またカウンセリングなど、多様な支援が必要となるが、そのような支援を行うためは学校現場だけでは十分とは言えない。それには教育委員会や外部協力者、ボタンティア、家庭や地域の連携が重要となる。本研究では、宮城県仙台市と東京都新宿区を例にその支援のあり方について検討した。 宮城県仙台市では、宮城教育大学で筆者らが行っている「みやぎ児童生徒の日本語教育を考える会」を例として取り上げた。これは小学校や中学校などの教員、地域のボランティア、大学の研究者などを参加者として「事例検討」や教材開発を行う活動をしている会である。また、新宿区では本学大学院日本語教育研究科の院生が組織している支援グループ「早稲田こども日本語クラブ」を取り上げた。これは新宿区教育委員会と本学大学院日本語教育研究科が協定を結んで行っている「日本語教育ボランティア」制度の実際の活動を支えているボランティア活動である。 両事例の検討から、いくつかのことが明らかになった。それは教育行政、学校、地域などが連携をとる場合のやり方やその内容である。支援を支えるためには行政との連携が必要であること、また指導の内容を充実させるためには教員とボランティアの連携、そして大学などの研究者と現場を結ぶには研修の機会や指導方法の研究、こどもの言語能力測定に関する観点と方法など専門的知識の必要な部分で連携することが必要であることがわかった。 今後はこの研究で明らかになった支援ネットワークの構築のやり方とその支援の内容面の成果をいかに他の地域に広げていくかが重要で、それは今後の課題と言えよう。

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海外研究活動

  • オーストラリアにおけるESL教育および日本語教育に関する研究

    2008年09月
    -
    2009年08月

    オーストラリア   ニューサウスウェールズ大学

    オーストラリア   モナシュ大学

 

現在担当している科目

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