2024/03/28 更新

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マツナガ ミホ
松永 美穂
所属
文学学術院 文化構想学部
職名
教授
学位
文学修士 ( 東京大学 )
Master of Literature
修士(文学) ( 東京大学 )

経歴

  • 1998年
    -
     

    早稲田大学 助教授(1999年に教授昇進)

  • 1988年
    -
    1998年

    フェリス女学院大学 専任講師(1993年に助教授昇進)

  • 1987年
    -
    1988年

    東京大学工学部国際交流室 助手

  • 1987年
    -
    1988年

    東京大学工学部国際交流室 助手

学歴

  •  
    -
    1987年

    東京大学   人文科学研究科   ドイツ文学  

  •  
    -
    1982年

    東京大学   文学部   ドイツ文学  

所属学協会

  •  
     
     

    IVG(国際ゲルマニスト学会)

  •  
     
     

    日本独文学会

研究キーワード

  • 独語・独文学、翻訳論、ジェンダー論、比較文学

受賞

  • 毎日出版文化賞特別賞

    2000年  

 

論文

  • 「鄙の宿」から見える風景

    松永美穂

    W・G・ゼーバルト(鈴木仁子訳)『鄙の宿』(単行本解説)、白水社    2014年04月

  • Ein Eisbär, der Zeitung liest. Yoko Tawadas neuester Roman "Schneepraktikanten" (Yuki no renshusei)

    Miho Matsunaga

    Die Lücke im Sinn (Hrsg. B. Agnese, C. Ivanovic und S. Vlasta)     55 - 62  2014年04月

  • 解説

    松永美穂

    多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』(文庫解説)    2013年07月

  • 解説

    松永美穂

    多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』(文庫解説)    2013年07月

  • 解説

    松永美穂

    赤染晶子『乙女の密告』(文庫解説)    2013年01月

  • 解説

    松永美穂

    赤染晶子『乙女の密告』(文庫解説)    2013年01月

  • 心の片隅の、大きな熊。

    松永美穂

    島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ。』(文庫解説)    2010年03月

  • 物語の大樹で憩う快楽

    松永美穂

    荻原浩『千年樹』(文庫解説)    2010年03月

  • 卵を抱きながら。もしくは、くせになる翻訳。

    松永美穂

    「図書」2006年1月号(岩波書店)     23 - 25  2006年01月

  • 過酷な歴史に飲み込まれた人々の絶唱(フィリップ・グランベール『ある秘密』書評)

    松永美穂

    「波」2005年12月号(新潮社)     32 - 33  2005年12月

  • 池澤夏樹『静かな大地』

    松永美穂

    週刊朝日   12/12号  2003年12月

  • 山崎佳代子『そこから青い闇がささやき』

    松永美穂

    週刊朝日   9/19号  2003年09月

  • 世界文学の今−−−戦争と幽霊

    松永美穂

    群像   2003/6月号  2003年06月

  • 世界のファンタジーのいま−−−濃密なファンタジー

    松永美穂

    小説トリッパー(朝日新聞社)   2003夏季号  2003年06月

  • フェデリコ・アンダーシ『解剖学者』

    松永美穂

    週刊朝日   6/27号  2003年06月

  • ギュンター・グラス『蟹の横歩き』

    松永美穂

    日本経済新聞   2003年4月27日号  2003年04月

  • 池内紀『ドイツ 町から町へ』

    松永美穂

    中央公論   2003/3月号  2003年03月

  • 沙柚『父の帽子』

    松永美穂

    週刊朝日   2003年2月28日号  2003年02月

  • 多和田葉子の文学における進化する「翻訳」

    松永美穂

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   第48輯第2分冊  2003年

  • "Schreiben als Uebersetzung." Die Dimension der Uebersetzung in den Werken von Yoko Tawada

    松永美穂

    Zeitschrift fuer Germanistik (Peter Lang)   Neue Folge 3/2002  2002年

  • リチャード・メイソン「溺れゆく者たち」

    松永美穂

    週刊朝日   3/9号  2001年03月

  • せめぎ合う「母」の形姿

    松永美穂

    科研費研究成果報告書(課題番号10610505)   108〜133  2001年03月

  • おのりえん「メメント・モーリ」

    松永美穂

    産経新聞   2001年3月20日  2001年03月

  • ライフ・イーザウ「ネシャン・サーガⅠ」

    松永美穂

    産経新聞   2001年1月9日  2001年01月

  • B.S.ジョンソン「老人ホーム」

    松永美穂

    週刊朝日   1/19号  2001年01月

  • 山本容子 池内紀「絵本ファウスト」

    松永美穂

    産経新聞   2000年11月20日  2000年11月

  • マリャ・ウフキル&ミシェル・フィトゥーシ「砂漠の囚われ人マリャ」

    松永美穂

    産経新聞   2000年11月12日  2000年11月

  • ナンシー・ヒューストン「天使の記憶」

    松永美穂

    週刊朝日   11/3号  2000年11月

  • ゲルマニスティクにおけるジェンダー研究

    「ドイツ文学」105号(日本独文学会誌)   1〜127  2000年10月

  • 落ちこぼれの青春─ヘッセの場合

    松永美穂

    週刊朝日百科世界の文学62   2000年9月24日号  2000年09月

  • 島村菜津「スローフードな人生!」

    松永美穂

    週刊朝日   9/22号  2000年09月

  • 今、注目の海外文学とは?(川本三郎氏、掘茂樹氏との座談会)

    ダ・ヴィンチ(メディアファクトリー)   2000年9月号  2000年09月

  • マルレーン・ハウスホーファー「壁」

    松永美穂

    (生活クラブ事業連合)本の花束   2000年9月号  2000年09月

  • ベンヤミン・レーベルト「クレイジー」

    松永美穂

    産経新聞   2000年9月23日  2000年09月

  • Die Dimension der Uebersetzung in Werken von Yoko Tawada (2000年9月12日第10回IVG世界大会での報告)

    松永美穂

    学会記念論集に掲載予定    2000年09月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月  [査読有り]

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • デビット・ゾペティ「アレグリア」

    松永美穂

    週刊朝日   7/14号  2000年07月

  • クリスタ・ヴォルフ選集書評

    松永美穂

    ドイツ研究/日本ドイツ学会   27; p.82-84  1999年01月

  • ヴォルフの仕事を俯瞰する楽しみ

    松永美穂

    図書新聞   1998年5月23日号,pp.4  1998年05月

  • わたしのクリスタ・ヴォルフ論——クリスタ・ヴォルフへの手紙

    松永美穂

    恒文社「クリスタ・ヴォルフ選集」第3巻    1997年12月

  • ひとりぼっちの欲望

    マルギット・ハーン

    三修社    1997年08月

  • ドイツ北方紀行

    松永美穂

    NTT出版    1997年07月

  • ショット・もしくは言葉と技術をめぐる悪夢

    松永美穂

    ドイツ文学   /94,53-63  1995年

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書籍等出版物

  • マグノリアの眠り

    エヴァ・バロンスキー

    岩波書店  2013年07月 ISBN: 9784000248174

  • 母さんがこわれた夏

    マリャレーナ・レムケ

    徳間書店  2013年04月 ISBN: 9784198636012

  • 夏の嘘

    ベルンハルト・シュリンク

    新潮社  2013年02月 ISBN: 9784105901004

  • 黙禱の時間

    ジークフリート・レンツ

    新潮社  2010年08月

  • 木犀!/日本紀行

    セース・ノーテボーム

    論創社  2010年08月

  • 黙禱の時間

    ジークフリート・レンツ

    新潮社  2010年08月

  • 誤解でございます

    松永美穂

    清流出版  2010年07月

  • マルカの長い旅

    ミリヤム・プレスラー

    徳間書店  2010年06月

  • 第三帝国のオーケストラ(佐藤英との共訳)

    ミーシャ・アスター

    早川書房  2009年12月

  • 『夏の家、その後』

    ユーディット・ヘルマン

    河出書房新社  2005年07月

  • 翻訳を学ぶ人のために

    安西徹雄, 井上健, 小林章夫

    世界思想社  2005年03月

  • 『遺失物管理所』

    ジークフリート・レンツ

    新潮社  2005年01月

  • 彼ら抜きでいられるかー20世紀ドイツ・ユダヤ精神史の肖像

    ハンス・ユルゲン・シュルツ

    新曜社  2004年08月

  • 『年老いた子どもの話』

    ジェニー・エルペンベック

    河出書房新社  2004年02月

  • ジークフリート・レンツ『アルネの遺品』

    ジークフリート・レンツ

    新潮社  2003年02月

  • はじめて学ぶドイツ文学史

    柴田翔

    ミネルヴァ書房  2003年01月

  • 頭のなかの性

    ユッタ・ハインリヒ

    鳥影社  2000年05月

  • 朗読者

    ベルンハルト・シュリンク

    新潮社  2000年04月

  • 女性の視点によるキリスト教神学事典

    エリザベート・ゴスマンほか

    日本基督教団出版局  1998年09月

  • 二人の作家の戦後50年

    富坂キリスト教センタ

    戦後ドイツの光と影  1995年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 20世紀ドイツ文学をめぐるジェンダー論的考察

    科学研究費助成事業(フェリス女学院大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1998年
    -
    1999年
     

    松永 美穂, 村上 公子, 広沢 絵里子, 大貫 敦子, KOWALLIK Jutta, 谷川 道子, KOWALLIK Jut

     概要を見る

    1998〜1999年はドイツ文学におけるジェンダー研究に関してさまざまな進展の見られた年であった。ドイツで発行されているPeter Lang社の"Zeitschrift fur Germanistik"が1999年1月号でジェンダー特集を組んだほか、1999年8月に福岡で開かれたアジア・ゲルマニスト会議でもジェンダー・セクションが設けられ、フンボルト大学ジェンダー・コースの設立者の一人でもあるインゲ・シュテファン教授が招かれて、活発な議論がたたかわされた。本科研研究メンバーのうち3人がアジア・ゲルマニスト会議に参加したほか、1999年2月と2000年2月に学習院大学大貫敦子教授の立案のもと関西ケーテ・インスティテュート、日本ドイツ学会のタイアップにより開催されたジェンダーに関する国際シンポジウムにも参加。特に韓国のゲルマニストたちとの交流を深めつつ、ドイツ研究という枠組みにおける学際的ジェンダー研究の可能性を探った。その他、科研プロジェクトの活動として、1998年7月に打ち合わせ会、1999年3月と12月に研究発表会、1999年2月と11月に外部から講師(ジャクリーヌ・ベルント氏とマルレーネ・シュトレールヴィツ氏)を招いての講演会を行った

  • 20世紀ドイツ文学をめぐるジェンダー論的考察

    科学研究費助成事業(フェリス女学院大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1998年
    -
    1999年
     

    松永 美穂, 村上 公子, 広沢 絵里子, 大貫 敦子, KOWALLIK Jutta, 谷川 道子, KOWALLIK Jut

     概要を見る

    1998〜1999年はドイツ文学におけるジェンダー研究に関してさまざまな進展の見られた年であった。ドイツで発行されているPeter Lang社の"Zeitschrift fur Germanistik"が1999年1月号でジェンダー特集を組んだほか、1999年8月に福岡で開かれたアジア・ゲルマニスト会議でもジェンダー・セクションが設けられ、フンボルト大学ジェンダー・コースの設立者の一人でもあるインゲ・シュテファン教授が招かれて、活発な議論がたたかわされた。本科研研究メンバーのうち3人がアジア・ゲルマニスト会議に参加したほか、1999年2月と2000年2月に学習院大学大貫敦子教授の立案のもと関西ケーテ・インスティテュート、日本ドイツ学会のタイアップにより開催されたジェンダーに関する国際シンポジウムにも参加。特に韓国のゲルマニストたちとの交流を深めつつ、ドイツ研究という枠組みにおける学際的ジェンダー研究の可能性を探った。その他、科研プロジェクトの活動として、1998年7月に打ち合わせ会、1999年3月と12月に研究発表会、1999年2月と11月に外部から講師(ジャクリーヌ・ベルント氏とマルレーネ・シュトレールヴィツ氏)を招いての講演会を行った。

  • 西欧文化移入による東アジアの近代化プロセスにおける文化的差異形成の特性

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1997年
    -
    1999年
     

    大貫 敦子, 松永 美穂, 藤田 恭子, 村上 公子, 中井 章子, 田辺 玲子, 崔 明淑, インゲ シュテファン

     概要を見る

    今プロジェクトは、文化的差異は実体的でもまた静的でもなく、想像の次元でのみ感知されるものであるという前提から出発し、文化的差異意識の発生を以下の3つの次元で明確にすることができた。1)自発的動機に基づく異文化接触(啓蒙期の世界航海、および19世紀末における脱ヨーロッパ願望に基づくアジア旅行に見られる異文化経験)2)移民・占領などによる強制的な異文化接触(ナチス期における亡命者、日本植民地下の東アジア)3)一文化内における異文化体験(階層、出身地、ジェンダー差異による文化的差異意識)。しかも、それぞれ3つの次元において、ジェンダー・イメージの共通性が次の点で見られることが分析から明らかになった(1)自発的動機に基づく異文化体験の場合、他者性は女性性のジェンダー・イメージに置き換えらえることが多い。(2)強制的な異文化体験の場合、支配者側は被支配者文化に女性性のジェンダー付与を行う。しかし被支配者側には支配者文化に同化されない別様の対抗的文化的差異意識が形成される。(3)特定の文化内における異文化体験においては、その都度の政治的ヘゲモニーによって、ジェンダー・イメージは可変的である。異文化接触は、旧来の性的役割分担を流動化する場合と、逆に伝統の再活性化による固定化という二つの逆方向の反応を引き起こす。以上の分析結果から、文化的差異意識は多層的・多元的な文化的ヘゲモニーと関連しかつジェンダーイメージによって定着をみること、またそれゆえに文化的差異というものが地域や国家領域といった恒常的係数によって規定しえないことが明らかにされた

 

現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • ドイツ語圏の現代文学と翻訳の問題

    2015年04月
    -
    2016年03月

    ドイツ   フンボルト大学

  • ジェンダー論の視点から見た現代ドイツ文学

    2004年03月
    -
    2005年03月

    ドイツ   フンボルト大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

  • 文学学術院   大学院文学研究科

特定課題制度(学内資金)

  • 二言語作家としての多和田葉子の創作における言語・身体感覚の分析

    2006年  

     概要を見る

    本研究については、2007年3月14日から18日まで、海外の研究者とともにドイツ語による国際ワークショップを行った。プログラムの参加者と概要は以下の通りである。Der 2. internationale Yoko Tawada WorkshopDatum: 14. 3. - 18. 3. 2007Ort: Universitaet Waseda, Tokyo, JapanProgrammVortraege und Diskussion (im Raum Nr. 7, Gebaeude Nr. 39)14 . 3. 200714 Uhr Masahiko Tsuchiya (Nagoya, Japan)“Sprachkritik von Yoko Tawada”15. 3. 200710 UhrBettina Brandt (Montclair, USA)“Entpuppung und Verpackung. Bild und Wort in Yoko Tawadas ‘Das nackte Auge’”11 UhrLinda Koiran (Paris, Frankreich)“Der dezentrierte Blick. Groteske Aspekte in Yoko Tawadas Erzaehlwerk”14 UhrMaria Eugenia de la Torre Mansilla (Barcelona, Spanien)“Auseinanersetzung mit der anvertrauten Fremde: Deutschland und die Deutschen im Werk von Yoko Tawada”15 Uhr Miho Matsunaga (Waseda, Japan)Der Zwischenraum als Ort der Protagonistinnen bei Yoko Tawada16. 3. 200710 UhrSuzuko Mousel-Knott (Washington, USA)Das Phantasma im Keller: Versuch ueber die Verkoerperung der Sehnsucht(Schlussdiskussion)17. 3. 200717 UhrLasenkan fuehrt ein Theaterstueck von Yoko Tawada auf.“Pulverschrift”Ort: Ono-Memorial-Auditorium an der Uni Waseda(Nach der Auffuehrung Diskussion mit dem Publikum)このワークショップには多和田葉子氏自身も参加してくださり、自作の朗読や参加者との討論を行った。多和田氏の活動における言語・文化の越境の試み、作品に見られるアイデンティティの揺らぎやずらしの問題について、興味深い議論を行うことができた。ベルリンの演劇集団らせん館による「粉文字 ベルリン」も、ドイツ語による上演であったが言語と身体の関係を考察する貴重な機会であり、上演後の観客との討論も意義深いものであった。

  • 亡命の諸前提---女性作家の亡命と、亡命先での活動について

    2004年  

     概要を見る

     ドイツにおけるナチ時代の大量亡命について考察する際、女性のおかれた立場についてはこれまであまり研究がなされてこなかった。今回の特定課題研究ではその点に着目し、ユダヤ人の共産主義者としてヒトラーの政権奪取後まもなく家族とともに亡命を余儀なくされた作家アンナ・ゼーガースの亡命中の行動と、亡命中に執筆したテクストについて検討を加えた。 ゼーガースは1933年にフランスに亡命後、ドイツ軍のフランス侵攻に伴い、1941年にはメキシコに亡命している。そして、メキシコ国籍のまま1947年にドイツに帰国し、当初はベルリンのアメリカ占領地区に住むが、後に東ドイツ国籍を取得、作家同盟などで重要な役割を果たすようになる。 亡命中の生活について、生前の彼女は公の場では多くを語らなかったが、1983年の彼女の死後になって、同じ亡命者だったヘルツフェルデとの書簡集が出版されたり、FBIが共産主義の亡命者として彼女を監視下においていたことを示すドキュメントがアレクサンダー・シュテファンによって研究・出版されるなど、さまざまな新事実が明らかになりつつある。また、2005年になって彼女の息子であるピエール・ラドヴァニが亡命中の生活について回想録を発表し、亡命中の家族の日常生活の維持や子どもの教育のためにゼーガースが心を砕いていた様子を、さらに具体的に知ることが可能になった。 亡命中の彼女のジェンダー観については、亡命中に書かれたジャンヌ・ダルクについての戯曲、「亡命中の女性と子どもたち」というエッセイ、またアレクサンダー・シュテファンによって発見されたテクスト「レンデルと呼ばれた男」などをもとに推察することができる。「レンデルと呼ばれた男」では、働き手の夫を突然失った妻が、生活を維持するために死んだ夫に成りすまして働き続ける様子が描かれている。この「成りすまし」は結局破綻のときを迎えることになるのだが、ゼーガースが伝統的な性別役割を肯定しているとこの結末から安易に判断することは妥当ではないだろう。むしろ社会的に固定された役割を打破することの難しさ、女性にとっての生き難さがこの短編からは伝わってくるのではないだろうか。戦争や亡命といった非常事態において、女性(母親)はしばしば男性(父親)の役割も肩代わりせねばならず、それは社会進出のチャンスをもたらす一方で、個人的な負担を大いに増大させる結果ともなる。ゼーガースの小説における「男性的視点」はしばしばフェミニズム文学研究者の批判の対象となったが、亡命中のテクストには「女性たちの勇気と覚醒」とともに「現実の厳しさ」が描きこまれていると考えることができる。

  • 20世紀末のドイツ文学にみるシステムとしての文学とジェンダー

    1998年  

     概要を見る

     戦後ドイツ文学史の検討と、ドイツ文学史を通してみた場合の、女性と文学の関わり方の変容について、数年前から研究を続けているが、昨年度は特に1970年代に西ドイツでブームを迎えたいわゆる「女性文学」における母親像について、カリン・シュトルックとスヴェンデ・メリアンの作品を中心に検討を進めた。ピルが普及し始め、妊娠・出産に関して女性が自分の意志で選択することが可能になってきた時代でもあったが、カリン・シュトルックは長編小説『母親』(1975)のなかで、自分自身の出生のときの様子を母親から聞いたり、子供時代の記憶を振り返ることで一種の「自分探し」を試みると同時に、「母親になる」ことと社会における「自己実現」の関係をも探ろうとしている。自然な行為であるはずの出産が、大きな病院では工場における製品生産のようにコントロールされて医師の管理下に置かれていることに強く反発しながら、シュトルックは一種のユートピアであり、自然と等置可能な存在としての「グレート・マザー」(必ずしも女性とは限らない)を構想する。一方、スヴェンデ・メリアンはひたすら自己を正当化しようとする「母性」に対して反発し、『母の十字架』(1983)のなかで不妊手術を受ける若い女性を描いている。この両作品は、内容的には全く違っていながら、母性神話の影響に対してそれぞれ過敏な反応を示すという共通した側面もある。 ここ数年のもう一つのテーマはハンブルク在住の作家多和田葉子の作品における言葉とジェンダーの問題であり、このテーマについては2000年秋の世界ゲルマニスト会議での研究発表を予定している。同じく2000年秋に、ミネルヴァ書房から『初めて学ぶドイツ文学史』を編集・出版する予定だが、そのなかでも通章コラムとして企画されている「書き手としての女性」は、特定課題研究の内容と大きく関わっている。