2024/12/21 更新

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モリカワ トモノリ
森川 友義
所属
国際学術院 国際教養学部
職名
教授
学位
博士号 Ph. D. (政治学) ( オレゴン大学 )
Ph.D. ( University of Oregon )
修士号 M.A.(国際関係) ( オレゴン大学 )
M. A. (International Studies) ( University of Oregon )
修士号 M. A.(政治学) ( ボストン大学 )
M. A. (Political Science) ( Boston University )
学士号 ( 早稲田大学 )

所属学協会

  •  
     
     

    米国政治学会

研究分野

  • 政治学

研究キーワード

  • 進化政治学、日本政治

受賞

  • 米国アイダホ州立ルイス・クラーク大学最優秀教員賞

    1993年  

 

論文

  • An Evolutionary Account of Suicide Attacks: The Kamikaze Case

    John Orbell, Tomonori Morikawa

    POLITICAL PSYCHOLOGY   32 ( 2 ) 297 - 322  2011年04月  [査読有り]

     概要を見る

    Explanations for suicide attacks abound. Yet the literature remains conceptually fragmented, with different authors focusing on different attitudes, incentive structures, values, psychological processes, strategic imperatives, and cultural, historical, and personal circumstances. Curiously, however, there have been few efforts to cast suicide bombing within the extensive evolutionary literature on human altruism-in which it clearly belongs. Neither have there been more than occasional efforts to mobilize the distinction between "proximate" and "ultimate" explanations, with most proposed explanations being proximate. Here we draw on content analyses from materials written by Japanese Kamikaze pilots to propose an evolvable cognitive algorithm-by hypothesis, species typical-that (1) specifies environmental circumstances under which such "heroic" behavior is likely; (2) is consistent at the proximate level with the Japanese data; and (3) that is not inconsistent with many of the diverse proximate attitudes, values, and psychological mechanisms that dominate discussions of contemporary suicide campaigns. The evolutionary perspective is not an alternative to most of the proximate explanations offered in discussions of contemporary cases but is, rather, a paradigm around which diverse proximate explanations can be organized.

    DOI

    Scopus

    13
    被引用数
    (Scopus)
  • 「進化政治学とは何か?」

    森川友義

    年報政治学   2008-II ( 2 ) 217 - 236  2008年12月

    CiNii

  • 論文(共著) 「有権者の政治知識に関する実証分析 その分布と形成に関する一考察」

    森川友義

    日本選挙学会紀要   5 ( 5 ) 61 - 78  2005年11月

  • Simulating Multiple Orders of Intentionality in Hawk-Dove Encounters

    Tomonori Morikawa

    Association for Politics and the Life Sciences, Chicago    2004年09月

  • "Machiavellian" intelligence as a basis for the evolution of cooperative dispositions

    J Orbell, T Morikawa, J Hartwig, J Hanley, N Allen

    AMERICAN POLITICAL SCIENCE REVIEW   98 ( 1 ) 1 - 15  2004年02月  [査読有り]

     概要を見る

    How to promote cooperative behavior is classically solved by incentives that lead self-interested individuals in socially desirable directions, but by now well-established laboratory results show that people often do act cooperatively, even at significant cost to themselves. These results suggest that cooperative dispositions might be an evolved part of human nature. Yet such dispositions appear inconsistent with the "Machiavellian intelligence" paradigm, which develops the idea that our brains have evolved, in substantial part, for capturing adaptive advantage from within-group competition. We use simulation to address the evolutionary relationship between basic Machiavellian capacities and cooperative dispositions. Results show that selection on such capacities can (1) permit the spread of cooperative dispositions even in cooperation-unfriendly worlds and (2) support transitions to populations with high mean cooperative dispositions. We distinguish between "rationality in action" and "rationality in design''-the adaptive fit between a design attribute of an animal and its environment. The combination of well-developed Machiavellian intelligence, modest mistrust, and high cooperative dispositions appears to be a rational design for the brains of highly political animals such as ourselves.

  • Modeling Cognitive Evolution: A Reply to Stone

    James Hanley, Tomonori Morikawa, John M. Orbell

    Journal of Politics and the Life Sciences   22 ( 2 ) 41 - 43  2003年09月

  • 論文(共著)「声優のプロ誕生 海外テレビドラマと声優」

    森川友義, 辻谷耕史

    メディア史研究   14   115 - 139  2003年

    CiNii

  • 論文(共著)「声優の誕生とその歴史的発展」

    森川友義, 辻谷耕史

    メディア史研究   13   54 - 71  2002年11月

  • Social Intelligence and the Evolution of Cooperation in an Ecology of Games

    Tomonori Morikawa, James Hanley, John Orbell

    Association for Politics and the Life Sciences, Montreal, Canada    2002年08月

  • 論文(共著)「ラヂオ俳優:声優の誕生とその発展」

    森川友義, 辻谷耕史

    メディア史研究会    2002年03月

  • 論文(共著)“The cost of misinformation in deadly conflicts: hawk-dove games and suicidal terrorism”

    Tomonori Morikawa, John Orbell, James Hanley

    Journal of Politics and the Life Sciences   21 ( 1 ) 13 - 18  2002年03月

  • 論文(共著)"Cognitive requirements for hawk-dove Games: a functional analysis of evolutionary design”

    Journal of Politics and the Life Sciences   21 ( 1 ) 3 - 12  2002年03月

  • 論文(共著)“The Evolution of Political Intelligence: Simulation Results”

    John Orbell, Tomonori Morikawa, Nick Allen

    British Journal of Political Science (英国政治学会誌)   32   613 - 639  2002年  [査読有り]

  • 論文(共著) “The Robustness of Cognitively Simple Judgement in Ecologies of Prisoner's Dilemma Games”

    John Orbell, Audun Runde, Tomonori Morikawa

    BioSystems: A Journal of Biological and Information Processing Sciences   37   81 - 97  1996年  [査読有り]

  • 論文(共著)“The Advantage of Being Moderately Cooperative”

    Tomonori Morikawa, John Orbell, Audun Runde

    American Political Science Review(米国政治学会誌)     601 - 611  1995年09月  [査読有り]

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書籍等出版物

  • 「大学4年間で絶対やっておくべきこと」

    森川友義

    KADOKAWA出版社  2014年02月

  • 「結婚は四人目以降で決めよ」(文庫版)

    森川友義

    新潮社  2013年11月

  • なぜ、結婚はうまくいかないのか?

    森川友義

    ディスカヴァー21社  2013年09月

  • 「結婚しないの?できないの?」

    森川友義

    ディスカヴァー21社  2012年12月

  • 『一目惚れの科学』

    森川友義

    ディスカヴァー21社  2012年12月

  • 著書『最強の恋愛術』

    森川友義, 田村淳

    マガジンハウス  2012年

  • 著書『早稲田の恋愛学入門』

    森川友義

    東京書店  2012年

  • 著書『生き延びるための政治学』

    森川友義

    弘文堂  2012年

  • 著書『結婚は4人目以降で決めよ! 恋愛と結婚と浮気の政治経済学』

    森川友義

    毎日新聞社  2010年12月

  • 著書「いますぐカレと結婚!」

    森川友義

    講談社  2010年10月

  • 著書「政治リテラシー養成講座 若者は、選挙に行かないせいで4,000万円損している!?」

    森川友義

    ディスカヴァー21社  2009年07月

  • 著書「政治リテラシー養成講座2 どうする! 依存大国ニッポン」

    森川友義

    ディスカヴァー21社  2009年07月

  • 著書『なぜ、その人に惹かれてしまうのか? ヒトとしての恋愛学入門』

    森川友義

    ディスカヴァー21社  2007年05月

  • 著書『どうして日本にはいい男がいないのか? 21の理由』

    森川友義

    ディスカヴァー21社新書  2007年02月

  • 著書 『60年安保 6人の証言』

    森川友義

    同時代社(日本図書館協会選定図書)  2005年08月

  • Chapter 7: "Conflict, Interpersonal Assessment, and the Evolution of Cooperation: Simulation Results."

    James Hanley, John Orbell &amp, Tomonori Morikawa

    In Trust, Reciprocity, and Gains from Association: Interdisciplinary Lessons from Experimental Research (edited by Elinor Ostrom and James Walker)  2003年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 『マキャベリ的知能』と紛争の実証研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

    森川 友義

     概要を見る

    集団間あるいは国家間における、紛争・テロリズム(特に自爆テロ)といった生命の危険を有する状況で、『マキャベリ的知能』に基づく意思決定がどのように行われるかについて仮説を提供し、データを用いて検証を実施した

  • 「マキャベリ的知能」と紛争の実証研究

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

  • 『マキャベリ的知能』と紛争の実証研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2010年
    -
    2012年
     

    森川 友義

     概要を見る

    集団間あるいは国家間における、紛争・テロリズム(特に自爆テロ)といった生命の危険を有する状況で、『マキャベリ的知能』に基づく意思決定がどのように行われるかについて仮説を提供し、データを用いて検証を実施した。

  • 集団的意思決定過程における「政治脳」の進化

    研究期間:

    2005年
    -
    2008年
     

  • 集団的意思決定過程における「政治脳」の進化

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

    森川 友義

     概要を見る

    公共選択理論やゲーム理論に基づいて政治に関する仮説をたてる場合、人間は経済的利益を追求する利己的な動物との前提条件を付するのが一般的である。しかし、複数の人間の自己利益と公共利益が並存するような「社会的ジレンマ」等の研究で分かってきたことは、人間は必ずしも自己の利益を追求するばかりではなく、自己を犠牲にしてまでも協力関係を築く可能性があるというということである。研究者の間では、このような人間は例外的としてとらえられてきた経緯がある。
    しかしながら、本研究では、このような協力的な人間が存在するという至近メカニズム(proximate mechanism)における事実を進化過程にまでさかのぼった根源的メカニズム(ultimate mechanism)からしたところ、条件が整えば、むしろ人間の進化過程では、遺伝子に組み込まれた資質として存在することができることを、数学的手法とシミュレーションを用いて検証した。
    その条件とは、(1)囚人のジレンマでは、通常の二択ではなく、ゲームに参加しないという選択を持つこと、(2)うそをつく能力を持つこと、(3)うそを見抜く能力を持つこと、(4)できれば、タカ派ハト派ゲームやゼロサムゲームといった別のゲームの選択肢が存在すること、であり、このような条件のもとに2万世代でどのように進化してきたのかについてコンピューターシミュレーションを行って検証したところ、うそをつく能力とうそを見抜く能力は拮抗しつつも、協力関係を促す遺伝子は確実に増殖することを発見した。
    この二年間に著者の関心は、政治脳へのシミュレーションアプローチから、紛争における自己犠牲の可能性、政治知識と政治脳の関係、男女間の配偶者選択における政治脳の可能性と広がった。特に現在の世界情勢を見るとき、紛争地域における自爆テロは頻繁に発生しており、おそらく遺伝子レベルにおいて戦争状態における自己犠牲の傾向がみられる点における関心が強くなってきている。

  • 集団的意思決定過程における「政治脳」の進化

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

    森川 友義

     概要を見る

    公共選択理論やゲーム理論に基づいて政治に関する仮説をたてる場合、人間は経済的利益を追求する利己的な動物との前提条件を付するのが一般的である。しかし、複数の人間の自己利益と公共利益が並存するような「社会的ジレンマ」等の研究で分かってきたことは、人間は必ずしも自己の利益を追求するばかりではなく、自己を犠牲にしてまでも協力関係を築く可能性があるというということである。研究者の間では、このような人間は例外的としてとらえられてきた経緯がある。
    しかしながら、本研究では、このような協力的な人間が存在するという至近メカニズム(proximate mechanism)における事実を進化過程にまでさかのぼった根源的メカニズム(ultimate mechanism)からしたところ、条件が整えば、むしろ人間の進化過程では、遺伝子に組み込まれた資質として存在することができることを、数学的手法とシミュレーションを用いて検証した。
    その条件とは、(1)囚人のジレンマでは、通常の二択ではなく、ゲームに参加しないという選択を持つこと、(2)うそをつく能力を持つこと、(3)うそを見抜く能力を持つこと、(4)できれば、タカ派ハト派ゲームやゼロサムゲームといった別のゲームの選択肢が存在すること、であり、このような条件のもとに2万世代でどのように進化してきたのかについてコンピューターシミュレーションを行って検証したところ、うそをつく能力とうそを見抜く能力は拮抗しつつも、協力関係を促す遺伝子は確実に増殖することを発見した。
    この二年間に著者の関心は、政治脳へのシミュレーションアプローチから、紛争における自己犠牲の可能性、政治知識と政治脳の関係、男女間の配偶者選択における政治脳の可能性と広がった。特に現在の世界情勢を見るとき、紛争地域における自爆テロは頻繁に発生しており、おそらく遺伝子レベルにおいて戦争状態における自己犠牲の傾向がみられる点における関心が強くなってきている。

  • 政治脳の進化と意思決定能力の研究

    研究期間:

    2003年
    -
    2005年
     

  • 発展途上地域におけるWIDと我が国の政策

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

  • 協力と紛争に関する政治脳の進化

    研究期間:

    1998年
    -
    2001年
     

  • 「政治脳」の進化と意思決定能力の研究

     概要を見る

    政治脳の進化過程を「囚人のジレンマ」において研究する第一段階(平成15年度)から、「ゼロサムゲーム」や「Hawk-Doveゲーム」を含めた複数のゲームに拡大する作業を行った(平成16年度)。一年目の成果は米国政治学会誌においてリード論文として掲載されたことで結実し、世界の政治学者から高い評価を受けることになった。この論文では、「政治脳」と「人間の協力性」との関係を明確にした。2人の人間関係において嘘をつく能力、見抜く洞察力、及び他者に対してある程度懐疑的になることの3つが人間の協力性を最も高める要因である、という一見してパラドクシカルな仮説を提出して、コンピュータ・シミュレーションによって検証を行った。更に経済学等でしばしば用いられる「合理性」という言葉について政治進化論の立場から新たな定義づけも行い、「合理性」とは社会科学で使われるものの他に、その時代環境に適合できるかどうかの「合理性」(そしてそれは必ずしも利己的ではない)も長い時間のスパンでは重要であり、伝統的な「合理性」の定義は普遍的なものでないことを主張した。第二段階では前年度のパラダイムを更に前進させたが、特に中心となったのは個人と個人の利害関係が直接的に対立するような非協力ゲームにおいて、得られる利得が小さかった場合、争いに参加するかどうかの意思決定について分析を行った。「意思決定の重層」(Orders of Intentionality)という全く新しい分野がそれであるが、相手の出方及び自分の出方を幾重にも推理しながら、最大の利得を獲得させようとする戦略であり、食料や異性の獲得といった人間の存在に根源的に関わるような場面で、リスク高く利得が必ずしも高くない場合に、人間は政治脳を最も駆使することが分かった

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 「政治脳」の進化過程に関する研究

    2006年09月
    -
    2008年03月

    アメリカ   オレゴン大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 「マキャベリ的知能」と紛争の実証的研究

    2009年  

     概要を見る

    『マキャベリ的知能』(または「政治脳」、「社会脳」)とは、人間関係において自己利益を追求し、その結果生存競争に勝つための能力であり、例えば自分を実力以上に見せ相手を威嚇する能力(及びその威嚇を見抜く能力)、嘘をつく能力(及びその嘘を見抜く能力、更には嘘を見抜かれた後再び上手な嘘をつく能力)、誰を信頼すべきかという選択・洞察力(及びその信頼又は不信を予見し行動をとる能力)等である。本来ならば、マキャベリ的知能と自己犠牲とは相容れない関係にあると考えられるものであるが、自身が行ったコンピュータ・シミュレーションによる研究結果から、両者がむしろ補完しあう関係であることが分かっている。つまりマキャベリ的知能が発達する過程において、相手のうそを見抜く能力がうそをつく能力を上回るという条件等が整えば、人間は血縁関係がない相手に対しても、自己犠牲が可能な動物であることが確かめられた。これは、囚人のジレンマあるいは公共財といった状況において、協力関係を築きあうことができることを示唆している点で重要である。本研究では、シミュレーションといったバーチャルなデータによる検証から、実際の紛争にかかわるデータに基づいて、人間はどこまで利他的になれるかについて検討することを主な目的とし、1945年において神風特攻隊員が残した遺書、手紙、詩歌等の6百あまりのコンテンツ分析を行ったところ、確かに危機的状況では集団のために自分の生命を犠牲にできる可能性が高いことを示唆する仮説が提示できることが分かった。昨今、自爆テロを含むテロリズムといった形で自分の生命を犠牲にして自分の所属するグループを守ろうとする行為が、スリランカ、イラク、パレスチナ等世界各地で散見されるところ、自分の生命を犠牲にして他人を守ろうとする行為は、自分の遺伝子を共有する人々の集団が絶滅される恐れがある場合に、自分の生命を引き替えにその消滅を阻止することができる分岐点において、生じるとの仮説を提示した。他方、マキャベリ的知能の研究は「進化政治学」の範疇に入るものであるが、「進化政治学」という新しい手法を用いた研究が少ないことから、一般読者への啓蒙の意味を含めて、かかる手法からわが国の選挙を見る視座を提供した。

  • 「政治脳」と紛争の実証的研究

    2008年  

     概要を見る

    過去一年間では、まず、現在隆盛しつつある「進化政治学」と政治脳とのかかわりあいについて日本語の文献が乏しいことから、進化政治学の知識をもたない政治学者に向けて論文を執筆することにした。「進化政治学とは何か?」(『年報政治学』)と題して、進化政治学と呼ばれる分野が、1980年代前半から、どのような前提条件を用いながら発展してきたのかを解説した。近年萌芽した「進化政治学」は、その後欧米の政治学会において認知され、その手法を用いた研究も増加傾向にあるが、全体像を把握する文献は非常に少ないのが実情であり、何をどこまで明らかにする分野なのかも進化政治学者によってさまざまであるところ、本稿では「進化政治学」は進化学の政治学への適用ととらえつつ、かかる分野が誕生した経緯から現在までの理論的支柱、アプローチの可能性と現状での問題点について把握することを目的とした。政治分野のうち、特に、意思決定と利他行動、政治行動と先天性、および紛争と根源的メカニズムの3点について詳述したが、同時に、政治行動における後天的変数と先天的変数の相互関連性、至近メカニズムと根源的メカニズムの視座の必要性についても言及した。他方、政治脳と紛争の関係について、我が国が太平洋戦争中に行った神風特攻隊(1944年~1945年)について、遺書、日記、手紙等の残された文献からコンテンツ分析を行った。かかる分析を通じて、ホモサピエンスの20数万年間の進化の歴史を通じて、自らの生命を犠牲にして集団の利益に利する行動をとることが可能であることを検証した。かかる研究はボールズらが数学的に可能であるとした論文、パペらのテロリズムの研究で導かれた仮説等を裏付ける結果となっている。2009年2月、ニューヨークで行われた国際関係学会において論文発表したのち、現在、オレゴン大学のジョン・オーベル名誉教授とともに『米国政治学会誌』に投稿すべく執筆中である。

  • 「政治脳」の進化過程における意思決定能力の研究

    2002年  

     概要を見る

    「政治脳」を研究する背景として、博士論文及びその後の研究を通じて、数学、コンピューター解析、シミュレーション等の手法によって、どのような状況で人間同士が協力関係を築き上げることが出来るのかという主題で研究を行い、その縦軸として「進化」を導入する必要性を感じたことがあった。「政治脳」の研究2年目にあたっては、シミュレーションをターボパスカルからC++に変更し、より高度なプログラミングによってさまざまな解析に対応できるようにした。学会での研究発表では好評で、「政治脳」の研究が早稲田大学、オレゴン大学、インディアナ大学に留まらず、更にミシガン大学等の老舗の大学にもその研究を行う大学が増えてきたことはこの研究の最大の成果と言える。(なお、ミシガン大学のロバート・アクセルロッド教授は彼の大学院の講義において、私の書いた論文を使用している)学術的には、この間の最大の成果は、所謂マキャべり的知性が、人間関係において自己利益の追求を原則として生存競争に勝つ能力ために、自分を実力以上に見せ相手を威嚇する能力(及びその威嚇を見抜く能力)、嘘をつく能力(及びその嘘を見抜く能力、更には嘘を見抜かれた後再び嘘をつく能力)、誰を信頼すべきかという洞察力(及びその信頼又は不信を予見し行動をとる能力)等において、常に拮抗して進化をとげてきたと検証できたことにある。2万世代までに区切って検討したところ、「政治脳」こそが人間の良好な協調関係の礎として機能しうるということであり、これは公共選択理論の根本的前提条件、つまり「人間の合理性」と「利己性」へのアンチテーゼとなりうる可能性がある。現在、それを研究成果をまとめた論文は米国政治学会誌(American Political Science Review)において審査されている段階である。

  • 「政治脳」・「政治知性」の研究

    2001年  

     概要を見る

    1984年より現在に至るまで政治学の中でも、公共選択理論の手法を用いて、人間の意思決定について研究を行っているが、1990年代に入って特に重点をおいている研究は、「政治脳」の研究である。本領域は近年欧米政治学界(特に米国政治学界)において萌芽しつつあるコンピューター・シミュレーションを使った「政治脳」(Political Brain)あるいは「政治知性」(Political Intelligence)と呼ばれる分野である。過去一年では、政治学と遺伝学のインターフェースを「政治脳」として捉えて、人間の意思決定能力の進化過程をシミュレーションによって分析した。特に「囚人のジレンマ」及び「Hawk-Doveゲーム」を人間が日常遭遇するゲーム対象として選び、自己の利益が相手の意思決定によって変化する場面を想定して分析を行った。その結果、相手の能力(うそを見抜く能力とうそをつく能力)をいかに上回るかが自己の利益に資するものであること、そのために人間は進化過程において「arms race」(軍拡競争)に類似したサバイバルゲームを繰り広げてきたことが分かった。また、Hawk-Doveゲームは実際の国際関係に応用できる可能性を見出し、2001年9月11日の同時多発テロ事件に応用を試みた。それを独自の論文として執筆し、その成果は2002年3月のJounral of Politics and the Life Sciences誌において掲載された。

  • 開発途上地域における女性の地位向上政策と開発に与える影響等の分析

    2000年  

     概要を見る

     本研究によって導き出された結論は次のとおりである。 「女性の地位向上を不可避で人道的にも人権的にも達成されるべき前提条件としてとらえるものの、かかる地位向上という女性の人権拡大要因(あるいは女性をターゲットとした対外援助)が、その達成過程において副次的かつ波及的にグローバルな問題、特に、人口問題、経済発展、貧困の撲滅、家庭内食糧安全保障問題等も同時に解決させる重要な「媒介変数」となりうる。そして女性を解決の「窓口」として捉えることによって、グローバルな問題が解決できるのであれば、わが国の政府開発援助(ODA)は「女性」への援助により一層の努力を行わなければならないであろう。 尚、助成費により政治経済学部経済学科生がアルバイトとして雇用され資料収集等の補助を行った。また残りの助成費によってローマ市に本部を置く、FAO、WFP及びIFADへ調査を行う旅費の一部として使用することが出来た。