2024/12/30 更新

写真a

コンドウ ジロウ
近藤 二郎
所属
文学学術院
職名
名誉教授
学位
文学修士 ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2004年
    -
     

    早稲田大学文学部教授

  • 1999年
    -
    2004年

    早稲田大学文学部助教授

  • 1996年
    -
    1999年

    早稲田大学理工学総合研究センター客員講師

  • 1991年
    -
    1996年

    早稲田大学文学部非常勤講師

  • 1986年
    -
    1989年

    早稲田大学文学部助手

学歴

  •  
    -
    1986年

    早稲田大学   文学研究科   史学(考古学)  

  •  
    -
    1975年

    早稲田大学   文学部   西洋史学  

委員歴

  • 2016年05月
    -
     

    一般社団法人日本オリエント学会  会長

所属学協会

  •  
     
     

    日本西アジア考古学会

  •  
     
     

    早稲田大学考古学会

  •  
     
     

    早稲田大学エジプト学会

  •  
     
     

    日本オリエント学会

  •  
     
     

    日本考古学協会

  •  
     
     

    エジプト探査協会

▼全件表示

研究分野

  • 考古学

研究キーワード

  • 考古学(含先史学)、エジプト学

 

論文

  • 古代エジプトのピラミッド

    近藤 二郎

    世界の眼で見る古墳文化     30 - 33  2018年03月  [招待有り]

  • 第10次ルクソール西岸アル=コーカ地区調査概報

    近藤 二郎

    エジプト学研究   24   11 - 35  2018年03月  [査読有り]

  • ネクロポリス・テーベの考古学の現状と課題

    近藤 二郎

    季刊・考古学   ( 141 ) 79 - 82  2017年11月

  • Discovered, lost, rediscovered: Userhat and Khonsuemheb.

    Jiro Kondo

    Egyptian Archaeology   50 ( Spring ) 22 - 26  2017年04月  [査読有り]

  • エジプト、アル=コーカ地区ウセルハト墓(TT47)出土の葬送用コーンについて

    近藤 二郎

    二十一世紀の考古学の現在     663 - 669  2017年04月

  • 第9次ルクソール西岸アル=コーカ地区調査概報

    近藤 二郎

    エジプト学研究   23   43 - 65  2017年03月  [査読有り]

  • 古代エジプト祝祭都市テーベ

    近藤 二郎

    中国都城・シルクロード都市遺跡の考古学     118 - 122  2017年03月

  • テーベ西岸の岩窟墓におけるアマルナ時代直前の変化

    近藤 二郎

    史觀   174 ( 174 ) 81 - 97  2016年03月

    CiNii

  • 王妃ティイのレリーフの墓を求めて

    近藤 二郎

    クレオパトラとエジプトの王妃     14 - 19  2015年07月  [招待有り]

  • 第7次ルクソール西岸アル=コーカ地区調査概報

    近藤 二郎

    エジプト学研究    2015年03月  [査読有り]

  • エジプト、デンデラ神殿の天体図に描かれたバビロニア起源の星座

    近藤 二郎

    技術と交流の考古学     481 - 491  2013年01月

  • ウセルハト墓(TT47)発見までの道のり

    近藤 二郎

    永遠に生きる:吉村作治先生古稀記念論集     163 - 172  2013年01月

  • 古代エジプト新王国時代の所謂「エニグマティック・オストラコン」について

    近藤二郎

    『早稲田大学大学院文学研究科紀要』/早稲田大学大学院文学研究科   51輯 ( 4 ) 103 - 114  2006年02月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について13—タの神殿型貴族墓—

    小岩正樹, 西本真一, 中川武, 柏木裕之, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 馬場匡浩

    日本建築学会大会論文梗概集、日本建築学会     525 - 526  2004年08月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について14—タの神殿型貴族墓から出土した建築片—

    西本真一, 中川武, 柏木裕之, 小岩正樹, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 馬場匡浩

    日本建築学会大会論文梗概集、日本建築学会学会     527 - 528  2004年08月

  • アマルナ時代の社会と美術

    近藤二郎

    山川出版社、『歴史と地理』   ( 576 ) 56 - 59  2004年08月

  • エジプト ダハシュール北地区発掘調査報告—2002年 第8次調査—

    吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武, 西本真一

    人間科学研究/早稲田大学人間科学部   16 ( 1 ) 165 - 177  2004年03月

  • 早稲田大学 第11次アブ・シール南丘陵頂部掘調査報告概報

    吉村作治, 河合望, 西坂朗子, 柏木裕之, 近藤二郎, 菊地敬夫, 中川武, 西本真一

    ヒューマンサイエンス/早稲田大学人間科学部   16 ( 1 ) 62 - 76  2004年01月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について11—イパイの墓の平面計画方法の分析—

    遠藤孝治, 西本真一, 中川武, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏

    日本建築学会大会論文梗概集、日本建築学会     233 - 234  2003年09月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について12—イパイの墓の基礎—

    西本真一, 遠藤孝治, 中川武, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏

    日本建築学会大会論文梗概集、日本建築学会     235 - 236  2003年09月

  • ダハシュール北部で発見されたパシェドゥの神殿型石造貴族墓

    小岩正樹, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 西本真一, 中川武

    日本建築学会計画系論文集   ( 569 ) 223 - 230  2003年07月

  • 早稲田大学 第10次アブ・シール南丘陵頂部掘調査報告概報

    吉村作治, 河合望, 西坂朗子, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武, 柏木裕之

    ヒューマンサイエンス/早稲田大学人間科学部   15 ( 1 ) 78 - 92  2003年03月

  • エジプトダハシュール北遺跡における早大隊の考古学調査—1997年〜2002年の発掘調査から—

    吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武, 西本真一

    人間科学研究/早稲田大学人間科学部   17 ( 1 ) 119 - 132  2003年03月

  • エジプト新王国第18王朝時代後半の王墓について —アマルナ時代前後の王墓の変遷—

    近藤二郎

    早稲田大学大学院文学研究科紀要   48輯4分冊   41 - 52  2003年02月

  • エジプト・ヌビア遺跡の今

    近藤二郎

    日本ユネスコ協会連盟、『ユネスコ世界遺産年報』   2003 ( 8 )  2002年12月

  • マルカタ王宮内にあるアマルナ型住宅Aの中央広間に関する復原的考察:マルカタ王宮に関する研究46

    遠藤孝治, 西本真一, 中川武, 吉村作治, 近藤二郎

    日本建築学会大会論文梗概集     631 - 632  2002年09月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について9—パシェドゥの神殿型石造貴族墓—

    小岩正樹, 西本真一, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武

    日本建築学会大会論文梗概集     633 - 634  2002年09月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について10—パシェドゥの墓のピラミディオン—

    西本真一, 小岩正樹, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武

    日本建築学会大会論文梗概集     635 - 636  2002年09月

  • エジプト ダハシュール北地区発掘調査報告—2001年 第7次調査—

    吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武, 西本真一

    人間科学研究/早稲田大学人間科学部   15 ( 1 ) 91 - 106  2002年04月

     概要を見る

    The Egyptian Culture Center of Waseda University carried out the excavation of the seventh field season at Dahshur in March 2001. Here New Kingdom necropolis was found and we encouraged discussion on the extent and disposition of this period at Saqqara and Dahshur. We have concentrated the research on the area called "Tomb of Ipay (The Royal Butler) and its vicinity", dated to the Post-Amarna period. This season we enlarged the area and we found that the western lower hillside formed a simple burial place, dated to the New Kingdom period, not so late than it. Shaft 13 located at the east side of Ipay's, tomb may be dated to the late 18 Dyn. Shaft 15, with a probable superstructure, had scarce objects, as it had been disturbed completely, but the box-type burial pits suggested it can be dated to the Ramesside period. The owner's name of the tomb is still unknown. Ipay's area was almost completed by the complementally cleaning works of the tomb. It was noteworthy that the name and title of "Ipay", previously only found on stumped mud bricks, were supplemented by a funeral stela bearing the name "Ipay", suggesting a connection between "Ipy, Royal Scribe and Steward" who constructed a tomb in Amarna, and "Ipay", the tomb owner at Dahshur.

    CiNii

  • アブ・シール南丘陵頂部遺跡の発掘調査(1998-2000年度)

    吉村作治, 柏木裕之, 近藤二郎, 斎藤正憲

    ヒューマン・サイエンス/早稲田大学人間科学部   14 ( 2 ) 107 - 121  2002年03月

  • エジプト ダハシュール北地区発掘調査報告−2000年第6次調査−

    吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 中川武, 西本真一

    人間科学研究   14 ( 1 )  2001年05月

  • 早稲田大学第6次アブ・シール丘陵頂部発掘調査概報

    吉村作治, 高宮いづみ, 柏木裕之, 近藤二郎, 中川武, 西本真一, 菊池徹夫, 高橋龍三郎, 長崎潤一, 長谷川奏

    ヒューマン・サイエンス/早稲田大学人間科学部   13 ( 2 ) 64 - 80  2001年03月

  • ナイルの恵み

    近藤二郎

    [別冊]生きる2001年安田火災海上保険広報部   pp.14-15  2001年02月

  • 壁画に見る博物誌

    近藤二郎

    [別冊]生きる2001年安田火災海上保険広報部   pp.32-37  2001年02月

  • マルカタ王宮「王の寝室」の開口部について−マルカタ王宮に関する研究(45)−

    河崎昌之, 西本真一, 柏木裕之, 吉村作治, 近藤二郎

    日本建築学会大会学術講演梗概集/日本建築学会    2000年09月

  • エジプトダハシュール北地区発掘調査報告─1998年〜1999年第4・5次調査─

    近藤二郎

    人間科学研究   13巻 ( 1 )  2000年08月

  • エジプト調査34年を振り返って

    近藤二郎

    早稲田大学エジプト学会    2000年07月

  • 生活に疲れた男と魂との対話(物語篇)

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   X   12 - 14  2000年03月

  • 1999年度、王家の谷・西谷

    近藤二郎

    ネブティ/早稲田大学古代エジプト調査室   ,p.2  2000年03月

  • 墓壁画等にみる土器生産−古代エジプトの場合−

    近藤二郎

    西アジア考古学/日本西アジア考古学会   1   47 - 55  2000年03月

  • ネクロポリス・テーベにおける岩窟墓の再利用の問題

    近藤二郎

    史観/早稲田大学史学会   142,pp.76-91  2000年03月

  • 『溯航』第18号に寄せて

    近藤二郎

    溯航/早稲田大学大学院文学研究科考古談話会   18,1(巻頭言)  2000年03月

  • 古代エジプト人の死生観の源泉がある(解説篇)

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   X   16 - 17  2000年03月

  • 不安と混沌のなかで生まれたオシリス信仰

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   X   26 - 31  2000年03月

  • 死者の召使いウシャブティ

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   X   46 - 53  2000年03月

  • フィールド・ワークとエンカレジング

    近藤二郎

    リテラ/早稲田大学文学部    2000年02月

  • 壁画に描かれた古代エジプト人の暮らしと信仰

    近藤二郎

    香川オリエント協会大会    2000年02月

  • アメンヘテプ3世時代のテーベ

    近藤二郎

    早稲田大学エジプト学会   第43回研究会  2000年02月

  • 王家の谷・西谷

    近藤二郎

    ピラミッド・クラブ   28   2  2000年02月

  • Satellites Explore Necropolis at Dahshur

    S. Yoshimura, T. Sakata, J. Kondo, S. Hasegawa

    Discovering Archaeology   2 ( 1 ) 78 - 85  2000年01月

  • エジプトを掘る

    近藤二郎

    第14回「大学と科学」公開シンポジウム    2000年01月

  • 王家の谷の謎

    近藤二郎

    Newton/ニュートン・プレス   20 ( 3 ) 78 - 85  2000年01月

  • エジプト、王家の谷・西谷の調査

    近藤二郎

    早稲田大学古代エジプト調査室    1999年12月

  • The New Kingdom Necropolis at Dahshur

    S. Yoshimura, J. Kondo, S. Hasegawa

    KMT   10 ( 3 ) 36 - 43  1999年10月

  • 古代エジプト・王家の谷の歴史と調査

    近藤二郎

    早稲田大学史学会    1999年10月

  • エジプト カルナク、アメン大神殿

    近藤二郎

    考古学研究/考古学研究会   46 ( 2 ) 33 - 35  1999年09月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について6

    西本真一, 遠藤孝治, 中川武, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏

    日本建築学会大会学術講演梗概集(中国)/日本建築学会   pp.201-203  1999年09月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について7−イパイの墓の建設過程−

    遠藤孝治, 西本真一, 中川武, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏

    日本建築学会大会学術講演梗概集/日本建築学会    1999年09月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について 6−シャフト墓の掘削方法について−

    遠藤孝治, 西本真一, 佐藤雅彦, 中川武, 吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏

    日本建築学会大会学術講演梗概集   pp.201-203   217 - 218  1999年09月

    CiNii

  • ヒエログリフの解読に挑戦しよう

    近藤二郎

    Newton/ニュートン・プレス   19;9,pp.78-85  1999年08月

  • 大英博物館エジプト室の魅力

    近藤二郎

    別冊アサヒグラフ/朝日新聞社   4040, pp.4-8  1999年08月

  • 古代エジプトの太陽神

    近藤二郎

    宗教史研究会    1999年07月

  • エジプト・フォーラムⅦ

    近藤二郎

    早稲田大学エジプト学会   第40回研究会  1999年07月

  • 早稲田大学第5次アブ・シール南丘陵頂部発掘調査概報

    吉村作治, 高宮いづみ, 柏木裕之, 秋山慎一, 近藤二郎, 中川武, 西本真一, 菊池徹夫, 高橋龍三郎, 長崎潤一, 長谷川奏

    ヒューマンサイエンス/早稲田大学人間科学部   11 ( 2 ) 93 - 107  1999年06月

  • Preliminary Report of Excavations at Dahshur North, Egypt

    S. Yoshimura, J. KONDO, T. Nakagawa, S. Nishimoto, S. Hasegawa

    地中海学研究/地中海学会   XXII ( 22 ) 3 - 18  1999年05月

    CiNii

  • 古代エジプトのまつりと王権:新王国時代のテーベ

    近藤二郎

    考古学研究会第45回総会    1999年04月

  • The Formation of the Theban Necropolis: Historical Changes and the Conceptual Architecture of the City of Thebes.

    Jiro KONDO

    ORIENT/日本オリエント学会   34   89 - 105  1999年03月

    DOI CiNii

  • 失意の司令官を勇気づけようとした枠物語

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   IX   16 - 17  1999年02月

  • 日本におけるコレクション

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   IX   54 - 59  1999年02月

  • 2000年の眠りから目覚めたミイラ

    近藤二郎

    Newton/ニュートン・プレス   18;10, PP.28-35  1998年10月

  • 早稲田大学第4次アブ・シール丘陵頂部発掘調査概報

    吉村作治, 高宮いづみ, 柏木裕之, 秋山慎一, 中川武, 西本真一, 菊池徹夫, 近藤二郎, 高橋龍三郎

    ヒューマンサイエンス/早稲田大学人間科学部   10 ( 2 ) 117 - 130  1998年06月

  • エジプト ダハシュール北地区発掘調査報告—1997年 第1・2次調査

    吉村 作治, 近藤 二郎, 長谷川 奏, 中川 武, 西本 真一, 柏木 裕之

    人間科学研究/人間科学部   11 ( 1 ) 109 - 120  1998年06月

    CiNii

  • Preliminary Report of Excavations at Dahshur North,Egypt

    地中海学研究/地中海学会   XXI   3 - 32  1998年05月

  • ルクソール西岸岩窟墓との比較考察

    近藤二郎

    エジプト学研究別冊/早稲田大学エジプト学会   2, PP117-125  1998年03月

  • 古代エジプト遺跡の現状

    近藤二郎

    文化財だより/和歌山県文化財研究会   48, PP12-14  1998年03月

  • 太陽暦について

    近藤二郎

    NEXTAGE/住友商事広報部   54   2 - 11  1998年02月

  • 太陽暦について

    近藤二郎

    NEXTAGE/住友商事広報部   54   2 - 11  1998年02月

  • 太陽暦について

    近藤二郎

    NEXTAGE/住友商事広報部   54   2 - 11  1998年02月  [査読有り]

  • 王家の谷の王墓と王子の墓

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   VIII  1998年02月

  • カデシュの戦いの叙事詩とその背景

    近藤二郎

    別冊・生きる:古代エジプト/安田火災海上保険広報部   VIII  1998年02月

  • 古代エジプトにおけるスカラベ形印章の型式学的研究

    近藤二郎

    考古学雑誌   82 ( 4 ) 36 - 58  1997年12月

    CiNii

  • 衛星によるピラミッド探査と古代エジプトの遺跡発見について

    近藤二郎

    写真測量とリモートセンシング   36;6, PP41-53  1997年10月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について2

    学術講演梗概集(関東)/日本建築学会大会   1997年度大会  1997年09月

  • アブ・シール南丘陵頂部遺跡第6次発掘調査報告

    ヒューマンサイエンス/早稲田大学人間科学部    1997年09月

  • The re-use of the private tombs on the West Bank of Thebes and its chronological problem: the case of the tomb of Khonsw (No.31) and the tomb of Wsr-hat (No.51)

    Jiro Kondo

    Orient   32   50 - 68  1997年07月

  • A Preliminary Report of the General Survey at Dahshur North, Egypt

    Annual Report of the Collegium Mediterranistarum Mediterraneus   20, PP3-24  1997年06月

  • So-called Enigmatic Ostraca from the Western Valley of Kings

    日本中東学会第13回学術大会発表要旨集/日本中東学会    1997年05月

  • エジプト・ダハシュール北地区予備調査報告

    人間科学研究/早稲田大学人間科学部   10;1  1997年04月

  • Waseda University Excavations at North Saqqara: A Preliminary report on the fourth season, August - September 1995

    Skuji YOSHIMURA, Izumi TAKAMIYA, Hiroyuki KASHIWAGI, Shin'ichi AKIYAMA, Takeshi NAKAGAWA, Shin'ichi NISHIMOTO, Tetsuo KIKUCHI, Jiro KONDO, Ryuzaburo TAKAHASHI

    エジプト学研究/早稲田大学エジプト学会   5   5 - 34  1997年03月

  • エジプト ダハシュール北地区予備調査報告

    吉村作治, 近藤二郎, 長谷川奏, 坂田俊文, 恵多谷雅弘, 中川武, 西本真一

    人間科学研究//早稲田大学人間科学部   10 ( 1 ) 115 - 122  1997年03月

  • 暦と天文学

    近藤二郎

    別冊・生きる;古代エジプトVII/安田火災海上保険広報部   VII  1997年02月

  • 雄弁な農夫の物語(解説篇)

    近藤二郎

    別冊・生きる;古代エジプト/安田火災海上保険広報部   VII  1997年02月

  • この人に聞く(第31回)

    近藤二郎

    中学教育/小学館   41 ( 9 )  1996年10月

  • ダハシュール北部で発見された新王国時代の建造物について1

    西本真一, 吉村作治, 中川武, 近藤二郎, 長谷川奏

    日本建築学会大会学術講演梗概集/日本建築学会     391 - 392  1996年09月

  • アブ・シール南・丘陵頂部建築遺構の「建造墨書」

    吉村作治, 中川武, 近藤二郎, 溝口明則, 西本真一, 柏木裕之

    日本建築学会技術報告集/日本建築学会学会   ( 2 )  1996年09月

  • エジプト王家の谷最後の大発見

    近藤二郎

    Newton/教育社   1996年9月号  1996年09月

  • 古代オリエント史研究は今

    近藤二郎

    生涯教育/日本放送協会学園   34  1996年08月

  • 1995年の歴史学界−回顧と展望−古代オリエント

    近藤二郎

    史学雑誌/史学会   105 ( 5 )  1996年05月

  • 外国考古学研究の動向(エジプト)

    近藤二郎

    日本考古学協会年報/日本考古学協会   47  1996年05月

  • 現代によみがえった古代エジプトの王妃

    近藤二郎

    Newton/教育社   1996年4月号  1996年04月

  • ネクロポリス・テーベの領域の確立

    近藤二郎

    エジプト学研究/早稲田大学エジプト学会   4  1996年03月

  • ツタンカーメン−その生と死

    近藤二郎

    Newton/教育社   1996年3月号  1996年03月

  • ヌビアへの玄関

    近藤二郎

    生きる〈別冊〉古代エジプト:財宝の地ヌビア特集/安田火災海上保険広報部   VI  1996年02月

  • 十本の巨大列柱の謎

    近藤二郎

    生きる〈別冊〉古代エジプトVI:財宝の地ヌビア特集/安田火災海上保険広報部    1996年02月

  • 黄金と象牙の産地ヌビア

    近藤二郎

    生きる〈別冊〉古代エジプトVI:財宝の地ヌビア特集/安田火災海上保険広報部    1996年02月

  • ヌビアへの玄関

    近藤二郎

    生きる〈別冊〉古代エジプト:財宝の地ヌビア特集/安田火災海上保険広報部   VI  1996年02月  [査読有り]

  • ファラオと神官は仲が悪い?

    近藤二郎

    GEO/同朋舎出版   3 ( 1 )  1996年01月

  • ヒエログリフを読んでみよう

    近藤二郎

    GEO/同朋舎出版   3 ( 1 )  1996年01月

  • 巨大ピラミッドとオリオン信仰の謎

    近藤二郎

    別冊歴史読本/新人物往来社   33  1996年01月

  • アメンヘテプ3世王墓の再調査

    近藤二郎

    日本オリエント学会第37回大会/日本オリエント学会    1995年10月

  • Excavations at the tomb of Amenophis III

    Sakuji Yoshimura, Jiro Kondo

    Egyptian Archaeology/EGYPT EXPLORATION SOCIETY   7  1995年09月

  • Clearance of WV-22 and WV-A in the Western Valley of the Kings

    Jiro Kondo

    7th International Congress of Egyptologist (Abstracts of Papers)    1995年09月

  • 外国考古学研究の動向(エジプト)

    近藤二郎

    日本考古学年報/日本考古学協会   46  1995年07月

  • 墓泥棒とファラオのミイラ

    近藤二郎

    オリエンテ/古代オリエント博物館   11  1995年06月

  • ネクロポリス・テーベの変容:アメンヘテプ3世時代における大型岩窟の出現

    近藤二郎

    第2回公開研究会 紅海文化とナイル文化/中近東文化センター    1995年05月

  • 第8次ルクソール西岸アル=コーカ地区調査概報

    近藤 二郎

    エジプト学研究   22   113 - 148  [査読有り]

  • ブリュッセル、王立美術歴史博物館所蔵の王妃ティイのレリーフ(E2157)

    近藤 二郎

    Waseda Rilas Journal   ( No.4 ) 7 - 15  [査読有り]

▼全件表示

書籍等出版物

  • エジプトの宗教

    月本昭男( 担当: 分担執筆)

    山川出版社  2017年08月

  • わかってきた星座神話の起源:古代メソポタミアの星座

    近藤 二郎( 担当: 単著)

    誠文堂新光社  2010年12月

  • わかってきた星座神話の起源:エジプト・ナイルの星座

    近藤 二郎( 担当: 単著)

    誠文堂新光社  2010年05月

  • 21世紀こども百科 もののはじまり館

    近藤二郎

    小学館  2008年12月 ISBN: 9784092212718

  • 最新エジプト学 蘇る「王家の谷」

    近藤 二郎( 担当: 単著)

    新日本出版社  2007年09月

  • 「ステラ」、「カルトゥーシュ付日乾煉瓦」、「石製品」、「金属製品」の項目

    近藤二郎

    『アブ・シール南〔Ⅱ〕』/早稲田大学エジプト学研究所(編)、Akht Press  2006年02月

  • The Radiographic Examinations of the "Guardian Statues" from the Tomb of Tutankhamen

    Jiro Kondo

    X-ray for Archaeology, (ed.) by M. Uda, G. Demortier and Nakai, Springer, the Netherlands  2005年07月

  • 文字社会における「記号」の使用—古代エジプト新王国時代の職人と記号—

    近藤二郎

    『社会考古学の試み』岡内三眞・菊池徹夫編/同成社  2005年03月

  • 「スカラベ」、「錫」、「スタンプ印章(エジプト)」、「聖船」、「葬送コーン」、「ソティス周期」、「ソリ」、「定礎(エジプト)」、「デル・エル=バラス」、「時計」、「墓(エジプト)」、「ヒクソス」、「封泥(エジプト)」、「舞踏(エジプト)」、「船」、「身振り(エジプト)」、「弓矢(エジプト)」、「ラピスラズリ」、「リビア」の18項目

    近藤二郎

    『古代オリエント事典』/日本オリエント学会編/岩波書店  2004年12月

  • 「アクエンアテン」、「油/油脂(エジプト)」、「アメンヘテプ」、「アンク」、「イチ・タウイ」、「印章(エジプト)」、「ウヘム・メスウト」、「海の民」、「王家の谷」、「王墓(エジプト)」、「オペト祭」、「オベリスク」、「ゴマ(エジプト)」、「金剛砂」、「車輪」、「シャルーヘン」、「呪術(エジプト)」の18項目

    近藤二郎

    『古代オリエント事典』/日本オリエント学会編/岩波書店  2004年12月

  • 古代オリエントの経済/エジプトの経済[VIII-1-(2)]

    近藤二郎

    「VIII経済」『古代オリエント事典』/日本オリエント学会編/岩波書店  2004年12月

  • 古代交易のメカニズム[VIII-2-(1)]

    近藤二郎

    「VIII経済」『古代オリエント事典』/日本オリエント学会編/岩波書店  2004年12月

  • 運送手段の変遷[VIII-3]

    近藤二郎

    「VIII経済」『古代オリエント事典』/日本オリエント学会編/岩波書店  2004年12月

  • 貨幣出現以前のものの値段[VIII-4-(1)-2]

    近藤二郎

    「VIII経済」『古代オリエント事典』/日本オリエント学会編/岩波書店  2004年12月

  • 古代エジプトへの扉:菊川コレクションを通して

    近藤二郎

    文芸社  2004年09月

  • ヒエログリフを愉しむ

    近藤二郎

    集英社新書0254D、集英社  2004年08月

  • 古代エジプトの王墓に奉仕する人びと

    近藤二郎

    山川出版社、国立歴史民俗博物館編『王の墓と奉仕する人びと』  2004年08月

  • エジプト美術

    ヤロミール・マレク, 近藤二郎訳

    岩波書店  2004年04月

  • Conservation of the Wall Paintings in the Royal Tomb of Amenophis III – First and Second Phases Report – under the auspices of UNESCO/Japan Trust Fund, Joint Project of Supreme Council of Antiquities, Ministry of Culture Arab Republic of Egypt and Institute

    Yoshimura, Sakuji, Jiro Kondo

    UNESCO  2004年03月

  • Conservation of the Wall Paintings in the Royal Tomb of Amenophis III – First and Second Phases Report – under the auspices of UNESCO/Japan Trust Fund, Joint Project of Supreme Council of Antiquities, Ministry of Culture Arab Republic of Egypt

    Yoshimura, Sakuji, Jiro Kondo

    UNESCO  2004年03月

  • 「アビュドス」、「サイス」、「サッカーラ」、「テル・エル・アマルナ」、「ナカダ文化」、「ハトシェプスト女王」、「ヒクソス」、「プント」、「ホルス」、「マスタバ」、「マネト」、「メネス」の12項目

    近藤二郎

    山川出版社、『世界史小辞典(改定新版)』世界史小辞典編集委員会編  2004年01月

  • 被葬者とその家族

    近藤二郎

    『ルクソール西岸岩窟墓〔Ⅱ〕—第318号墓と隣接する墓—』/早稲田大学エジプト学研究所編  2003年09月

  • 出土遺物

    近藤二郎

    『ルクソール西岸岩窟墓〔Ⅱ〕—第318号墓と隣接する墓—』、早稲田大学エジプト学研究所編  2003年09月

  • 図像資料に見るエジプト王権の起源と展開

    近藤二郎

    角川書店、角田文衛・上田正昭(監修)、初期王権研究会編『古代王権の誕生Ⅲ』  2003年07月

  • テーベの誕生

    近藤二郎

    同成社、屋形禎亮編『古代エジプトの歴史と社会』  2003年06月

  • エジプト考古学

    近藤二郎

    早稲田大学文学部、トランスアート  2003年03月

  • 地中海域の古代文字

    近藤二郎

    同成社、『文字の考古学』  2003年03月

  • エジプトのヒエログリフ

    近藤二郎

    同成社、『文字の考古学』  2003年03月

  • 古代エジプト古王国時代の太陽神信仰と有翼日輪の成立

    近藤二郎

    リトン、松村一男・渡辺和子編『太陽神の研究』  2003年03月

  • 古代エジプト文化とヒエログリフ

    ブリッジ・マクダーモット, 竹田悦子訳, 近藤二郎監修

    産調出版  2003年02月

  • 遺跡と環境の変遷・新王国時代の遺跡と環境

    近藤二郎

    エジプトを掘る 第14回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会編、クバプロ  2000年10月

  • ヒエログリフ解読法

    マーク・コリア、ビル・マンリー, 坂本真理訳, 近藤二郎監修

    ニュートンプレス  2000年09月

  • 展示品解説 世界四大文明エジプト文明展カタログ

    近藤二郎

    世界四大文明エジプト文明展NHK  2000年08月

  • エジプト文明のサイエンス

    近藤二郎

    NHKスペシャル四大文明・エジプトNHK出版  2000年07月

  • エジプト、ミイラの謎を探る

    近藤二郎

    ワールド・ミステリーツアー/同朋社  2000年03月

  • パピルス・偉大なる発明—その製造から使用法まで

    R・パーキンソン, S・クワーク, 近藤二郎訳

    学藝書林(大英博物館双書2)  1999年06月

  • 展示会図録作品解説(全127点)

    近藤二郎

    ウィーン美術史美術館所蔵古代エジプト展/TBS  1999年02月

  • アメンヘテプ3世とその時代

    近藤二郎

    岩波講座・世界歴史/岩波書店  1998年12月

  • 図説・王家の谷百科

    ニコラス・リーヴス, リチャード・ウィルキンソン著, 近藤二郎訳

    原書房  1998年09月

  • エジプトの考古学

    近藤二郎

    同成社  1997年12月

  • 地理、建築、技術、音楽・舞踏

    近藤二郎

    エジプト−世界の歴史と文化/新潮社  1996年12月

  • エジプト考古学への招待

    近藤二郎

    はじめて出会う世界考古学/有斐閣  1996年09月

  • 古代エジプトの謎に迫る

    近藤二郎

    早稲田の考古学/文学部考古学研究室  1996年04月

  • 古代エジプトとの対話

    近藤二郎

    早稲田の考古学/文学部考古学研究室  1996年04月

  • The Re-clearance of Tombs of WV-22 and WV-A in the Western Valley of the Kings

    Jiro Kondo

    Valley of the Sun Kings/The University of Arizona  1995年12月

  • 考古学ナショナリズム

    近藤二郎

    世界民族問題事典/平凡社  1995年09月

  • メロエ遺跡群「スーダン」

    近藤二郎

    朝日ワンテーママガジン49「世界の遺跡100」/朝日新聞社  1995年08月

  • ピラミッド

    近藤二郎

    21世紀こども百科大図解/小学館  1995年06月

  • ものの始まり50話

    近藤二郎

    岩波ジュニア新書204/岩波書店  1992年05月

▼全件表示

講演・口頭発表等

  • ネクロポリス・テーベ研究の地平:エジプト・ルクソール岩窟墓プロジェクト

    近藤 二郎  [招待有り]

    早稲田大学考古学会講演会   早稲田大学考古学会  

    発表年月: 2017年12月

  • The Tomb of Amenhotep III (KV 22) and KV A in the Western Valley of the Kings

    Jiro Kondo  [招待有り]

    Valley of the Kings: 200 years of discoveries, research, preservation   University of Basel  

    発表年月: 2017年10月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ネクロポリス・テーベにおける岩窟墓のライフ・ヒストリー的研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2024年03月
     

     概要を見る

    エジプトのルクソール市の対岸であるネクロポリス・テーベの新王国時代の岩窟墓の分布と岩窟墓の再利用の問題などを詳細に検討することで、アル=コーカ地区を例として新王国時代の墓域がどのようにして形成されていったかを明らかにしていく。従来のネクロポリス・テーベに関する研究は、現在、目に見える形で存在している岩窟墓だけを対象としており、はなはだ不十分である。厚い砂礫に覆われていて、未発見の岩窟墓も数多く存在していることを出土した葬送用コーンを分析して明らかにしていく。岩窟墓の平面プランや碑文、墓内装飾などを詳細に分析することで岩窟墓の造営順序を明瞭にしていく。被葬者の称号や岩窟墓の構造をまとめる

  • エジプト、北サッカラ遺跡における新王国時代墓地の総合的調査研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

    河合 望, 近藤 二郎, 坂上 和弘, 覚張 隆史, 馬場 悠男, 阿部 善也, 高橋 寿光, 柏木 裕之

     概要を見る

    本研究は、エジプト・サッカラ遺跡発掘調査による、古代エジプト新王国時代(前1550年~1069年頃)の歴史および文化の再構築を目的とする。従来の新王国時代の歴史記述は、当時の宗教の中心地であり、かつ考古資料の保存状態も良好なテーベの資料に偏重されてきた。このような状況に鑑みて、本研究では北サッカラ遺跡の新王国時代墓地で本格的な発掘調査を実施し、ここから出土する新発見の埋葬資料、物質文化、文字資料、図像資料によって、これまで偏りのあった新王国時代の資料を補完し、当該地域における古代エジプト新王国時代の埋葬習慣や歴史、文化についての文理融合の学際総合的な解明を試みる。古代エジプト新王国時代の北の中心地であったメンフィスの墓地であるサッカラについては、その重要性にも関わらず、これまで網羅的な調査が実施されてこなかった。サッカラにおいて新王国時代の墓を新たに発見、調査することにより、これまで南の中心地テーベに偏重してきた新王国時代史の再構築が期待される。このような問題意識のもと、2015年度から科学研究費補助金・基盤研究(B)の助成を受け、踏査と試掘を行い、本科学研究費により本格的な発掘調査を開始した。2019年度の調査は、8月から9月までの2ヶ月間実施した。調査地はサッカラ北部の台地の東側斜面であり、既に同年3月に調査を行った場所に隣接する部分である。2019年3月の調査にて岩窟墓の入口の一部が確認され、調査を実施したところ、当初想定していた新王国時代の岩窟墓ではなく、紀元後1世紀頃のローマ支配期のカタコンベ(地下集団墓地)」であることが判明した。カタコンベは、日干レンガ製のヴォールト天井に覆われた長さ約9メートル、幅1.5メートルの下降階段と奥行き約15メートル、幅約2.5メートルの通廊の両側壁に合わせて5つの側室を持つ岩窟墓から構成されていた。これまでローマ支配期のカタコンベについては、地中海沿岸のギリシア・ローマ時代のエジプトの首都であるアレクサンドリアで知られていたが、ナイル川流域では初めての発見である。岩窟墓内部には数十体のミイラを含めた遺体がほぼ手付かずの状態で埋葬されていた。さらに、エジプトの神々とギリシア・ローマ風の人物が描かれたギリシア文字が掘られた石碑や、エジプトのイシス女神とギリシアのアフロディーテ女神が習合したイシス・アフロディーテ女神の像などが複数体出土した。本調査による発見は、世界的に報道され、エジプトのローマ支配期の埋葬習慣や来世観を提供する重要な成果として学界に注目されている。本研究は、サッカラ遺跡における新王国時代の岩窟墓の調査を目的としていたが、今年度発見された遺構は、ローマ支配期のカタコンベであった。このカタコンベの発見は、サッカラ遺跡で初めてのことであり、世界的な発見として学界から注目されているが、当初の目的の新王国時代の岩窟墓ではないので、研究の対象として考えた場合、おおむね順調に進展しているとした。2019年度の発掘調査では、付近に古代エジプト王朝時代の遺構も発見されたので、今後は当初の目的に合致する遺構の調査を目論みたい。2019年度の発掘調査によって、良好な考古学的情報を持ったローマ支配期の遺物を得ることができ、ローマ支配期のサッカラ・ネクロポリを知る上で重要な情報を得ることができた。今後、本調査区において更に発掘調査を進め、カタコンベの全容を解明する予定である。また、周囲には王朝時代の墓地の存在も確認されており、当初の目的である新王国時代の岩窟墓の発掘調査を進めていきたい。さらにエジプト考古省と交渉を進め、現地におけるポータブル機器によるミイラのDNA解析を実施したいと考えている

  • 西アジア都市文明論

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    [会議と研究会]4月に最初の総括班会議を開催した。分担者の一人(安間)が筑波大学から徳島大学に移転したのに伴い、業務連絡と研究連絡の円滑化をはかるため、組織の見直しを行い、黒澤を分担者に追加した。トルコ、イラン、イラク・クルディスタン、アルメニアなどでのフィールド調査・研究ならびに 欧米・中東各地の博物館での資料調査、共同研究のための連携を円滑に行い、領域全体の事業を統一的に遂行するように、適宜、総括班の会議を開催した。また、各計画研究ならびに総括班が主催する計29件の研究会の開催を運営と広報においてサポートした。[研究員・事務職員の雇用]2つの計画研究班において、楔形文字学と考古学等の分野のポスドク研究者を3名、助教として筑波大学に任用する計画を完結した(4月着任:三津間康幸、5月着任:板橋悠、9月着任:Gina Konstantopoulos)。これにより、これらの研究者を核として研究会を企画・運営する体制を構築した。[機材・研究資料の購入・収集・準備]各計画研究において機材や資料の購入と共用について調整を行い、西アジア文明研究センターにおいて、研究資料の収集を行った。[調査と研究]計画研究ごとに実施するフィールド調査・研究に関して、事務手続き、ロジスティック面などを支援した。翌年度に実施予定の国際シンポジウムの計画を主導し、詳細を決定した。その後、COVID-19の世界的流行による渡航制限や集会自粛要請等を考慮し、計画を延期することに決定した。[研究成果の公表]最終年度後に出版予定のシリーズ本:Historical Aspects of West Asian Citiesの詳細を策定し、目次や執筆者等を具体的に検討した。領域全体と各計画研究の活動をHP等で公開した。また、各計画研究の研究成果を踏まえ、年度末に年次研究成果報告書をまとめ、刊行した。今年度は、組織の見直しを行い分担者(黒澤)を追加したほか、3名の専任の助教が筑波大学に着任したことで総括班の活動が強化された。事業としては、第3回領域全体研究会を10月に実施し、各計画研究班の活動を共有し、研究期間終了時に出版するシリーズ本:Historical Aspects of West Asian Citiesの詳細を具体的に議論している。年度末(3月)に予定していた第4回領域全体研究会はCOVID-19の流行のため中止したが、その後、計画研究間での連絡をテレワークで行うことで、さらに同シリーズの構成や執筆者に踏み込んで計画の具体化をはかった。これにより、領域全体として、共時的・通時的に都市文明をトータルに研究する機運を醸成することができた。年度末には、領域全体の研究活動を俯瞰することが出来る2019年度研究成果報告書を作成した。今年度は3年目の中間評価年度に当たることを機会ととらえ、総括班の役割として、古代西アジア都市の諸相を全体的に俯瞰し、都市文明をトータルに考える機会を領域として設け、研究期間終了時の成果報告を見据えた計画を本格化する年度にしたい。それを念頭に以下の指針で活動する。[会議・研究会]5-7月中に総括班会議を開催し、各研究計画と領域全体の今後の活動を確認し、研究集会・成果発表・出版計画を具体的に議論し、策定する。(2020年4-5月現在の国内外におけるCOVID-19の流行を考慮し、必要に応じてZoom等を用いた会議として実施する。)西アジアのフィールドや各地の博物館での資料調査、共同研究のための連携を円滑に行い、領域全体の事業を統一的に遂行するために、総括班の会議を3か月に一回程度開催する。年度末(2-3月)に海外の西アジア考古学や古代都市研究をリードする研究者を招聘して研究集会(シンポジウム)を開催し、領域の研究計画についてレヴューを受ける。[研究員・事務職員の雇用]予想される常勤・非常勤の研究員の転出に対応して、新たな研究員の選抜・雇用を実施する。[機材・研究資料の購入・収集・準備]各計画研究において機材や資料の購入と共用について調整を行う。[調査・研究支援]計画研究ごとに実施するトルコ、イラン、イラク・クルディスタン、アルメニアなどでのフィールド調査・研究に関して、事務手続き、ロジスティックなどを支援する(COVID-19の流行による調査計画の延期・中止等についても統一的に対応する。)[研究成果の公表]各計画研究の研究成果を踏まえ、年度末に年次研究報告書をまとめ、刊行する。。領域研究終了後に出版する予定の5巻一組のシリーズHistorical Aspects of West Asian Citiesのコンテンツを一層具体化する

  • 古代エジプトにおける都市の景観と構造

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    先王朝研究班では、先王朝時代に最初の都市化が興ったヒエラコンポリス遺跡で発掘調査を実施、都市の構成要素を明らかにすることを目的とした。中王国・新王国時代研究班では、ダハシュール北遺跡の発掘調査で、中王国時代の墓地を墓の規模から3つのグループに分類し、階層差を示しているとした。テーベ西岸のアル=コーカ地区でアメンへテプ3世治世下の高官ウセルハト墓とラメセス朝のビール醸造長コンスウエムヘブ墓の発掘と記録調査を行った。調査中には、これらの墓と造営当時のテーベ・ネクロポリスの景観と配置、テーベ都市全体の中での位置付けについて検討した。また、北の行政の中心地メンフィスの主要な墓地サッカラ遺跡で調査を実施。新王国時代の墓地の分布を明らかにし、都市や祝祭との関係で論じた。末期王朝・ヘレニズム時代研究班では、主に中エジプトの都市遺跡アコリスの発掘調査とデルタ地帯の地中海沿岸部に位置するコム・アル=ディバーゥ遺跡の発掘調査で大きな進展がみられた。アコリス遺跡の発掘調査の成果を通じて、アコリスの通時的盛衰を明らかにし、それを巨視的に当時のエジプト史の文脈に位置付けた。地中海沿岸の低地にあるコム・アル=ディバーゥ遺跡でのサーベイで神殿を中心とする居住域を明らかにし、当該遺跡の景観を明らかにした。また、リモートセンシングの成果を駆使し、ヘレニズム時代のメンフィスの都市空間と墓地空間の変遷を明らかにした。都市計画・建築班では、テーベ西岸に位置する新王国第18王朝のアメンへテプ3世のマルカタ王宮の景観と構造について、既往研究を検討しつつ、その問題点を明らかにし、今後の課題について有益な示唆が示された。研究班全体として、2019年9月に海外から研究者を招き、早稲田大学にてアメンへテプ3世の治世の都市テーベに関する国際シンポジウム Thebes under Amenhotep IIIを開催した。本研究の特色のひとつとして、エジプト・アラブ共和国、現地におけるフィード・ワークによる都市景観と構造の調査研究をあげている。日本の調査隊が発掘調査を実施している諸遺跡(北から地中海沿岸のデルタのコーム・アル=ディバーゥ遺跡、北の行政上の拠点メンフィスの墓域であるサッカラ遺跡、ダハシュール北遺跡、中部エジプトのミニヤ郊外のアコリス遺跡、南の行政上の拠点テーベの墓域であるルクソール西岸のネクロポリス・テーベ遺跡、先王朝時代最大の拠点ヒエラコンポリス遺跡など)の調査において都市景観と構造、都市景観と墓地との関係などを考古学的に考察し、エジプトにおける都市景観と機能の諸相を実証的に明らかにすることを掲げており、文献資料ではない生の考古学的データをもとに研究を推進している。そうした面では、2019年度は、エジプト全土において予想以上に考古学的発掘調査を実施することができ、多くの考古学的データの取得することができた。このように考古学的発掘調査をはじめとするフィールド・ワークに関しては、計画以上の進展があった。しかしながら、個別のフィールド・ワークを離れ、古代エジプトの都市を検討するための諸問題の設定や研究会等の議論については、各所での考古調査の影響等もあり計画したものほどの進展は得られなかった。さらに、研究項目を共有できる西アジア地域の研究班との交流・議論などの必要性も認識している。今後は、こうした機会をより設けることにより、古代近東世界における古代エジプトの都市の独自性を浮き彫りにして行きたいと考えている。ということで研究全体から見て、研究の進捗状況は、「やや遅れている」と記すことができる。今後、衛星画像データを積極的に活用・分析をはかりたい。また研究代表者・分担者の個々の研究は進んでいるものの、本研究計画の全体的研究成果が、若干遅れており、より研究の実践的な方向を具体的なものへとしていく努力をしていきたい。エジプト現地における発掘調査を継続し、より具体的な古代エジプト都市の様相を明らかにしていくこと、研究の独自性を高めていきたい。また古代エジプトの都市の景観の復元などに関しては、実際に現地に赴き、より詳細な踏査を実施する必要がある。現段階では先行研究と衛星画像による基礎データの把握に留まっており、研究班のオリジナリティの高い成果を挙げていきたい。また、衛星画像を入手したメンフィス、テーベ、アマルナの3大中心拠点の他、アレクサンドリア、アスワンを加えた主要な5大拠点都市の研究をおこなう予定である。先行研究の問題点を受けて、衛星画像の解析および現地踏査により、古代エジプト諸都市の都市景観と構造の特徴・変遷を明らかにする。実施する遺跡は、テーベ(ルクソール)、メンフィス、アマルナ、アレクサンドリア、アスワンを予定している。都市の居住域だけでなく墓地も含めた巨視的な分析を試みる。アコリス遺跡(中部エジプトの第3中間期から末期王朝時代、ローマ時代)、コム・アル=ディバーゥ遺跡(デルタ地帯、末期王朝時代~古代末期)での発掘調査を中心に現地調査を推進する。同時に都市に関連する墓地遺跡の調査も実施する。墓地遺跡は、メンフィスの墓域であるサッカラ遺跡(初期王朝時代~ローマ支配時代)、ダハシュール北遺跡(中王国時代~新王国時代)、テーベ西岸遺跡(新王国時代~プトレマイオス朝時代)を対象とし、都市との関係、景観を念頭に入れて調査

  • エジプト西方デルタ コーム・アル=ディバーゥ遺跡の考古学調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2022年03月
     

    長谷川 奏, 西本 真一, 西坂 朗子, 津村 宏臣, 津村 眞輝子, 惠多谷 雅弘, 近藤 二郎

     概要を見る

    研究対象のコーム・アル=ディバーゥ遺跡は、古砂丘の上に形成された集落遺跡である。南北二つの丘のうち、南丘陵は6haを測り、丘の頂部は麓から10mほどの標高差を測る。建築調査では、丘の頂上部から、神殿ナオスの基部と思われる遺構部分がみつかった。ナオスの煉瓦規格から、建造年代はプトレマイオス王朝 時代が推測された(Ⅰ期)。磁気探査で捕捉された反応は、日乾煉瓦で建造された集落を示すと思われ、集落の最も重要な活動時期は後1~3世紀に想定された(Ⅱ期)。また丘の麓の南側部分には多くの焼成煉瓦片が分布しており、ビザンツ時代に年代づけられた(Ⅲ期)。さらに、イギリス隊がかつて行ったサーベイの成果も含めると、当該遺跡には、王朝末期の遺構が含まれている可能性がある(0期)。このように南丘陵では、ヘレニズム時代を中心とする年代における複合堆積の構造と遺跡の主要なプランが推測される成果が得られた。一方、北丘陵では、ビザンツ時代には埋葬が行われたものの、ヘレニズム時代にはイドゥク湖 の内湾に面してランドマーク的に利用された可能性がトレンチ調査によって得られた。これらに加え、これまで行ってきたイドゥク河畔の古代環境復元と総合することから、発掘調査の前段階において、遺跡の規模や構造と存続年代を推測し、古代の砂丘丘陵における経済活動の姿をイメージすることができた。そこで、その成果を内外の研究機関に向けて発信を行っているところであり、2019年度以降もさらに海外への発信を継続していきたい。今後はこれまでの探査成果を当該遺跡の発掘調査で実証することが課題となるために、さまざまな行政的な手続きを完了させることが一つの課題となる。さらに、これまでの調査成果をより巨視的な視点から位置づけるために、海洋~沿岸~内陸の繋がりの構造を、エジプト外の比較事例も併せて、学術情報を収集していくことが、もう一つの目標となる。本研究は、エジプト地中海沿岸のイドゥク湖畔における歴史時代の古環境復元をもとに、古代の砂丘丘陵でのライフスタイルを復元することを課題としている。同湖畔周辺における約10年間のサーベイ(2008~2017年)を通じて得られた仮説を、同河畔内にあるコーム・アル= ディバーゥ遺跡の調査を通じて実証的に検証することをめざす。2018年からの調査では、当該の遺跡の存続年代は1~3世紀を中心としたヘレニズム時代であったことが推測され、南側丘陵の頂部に建造されたナオスを核とする神殿周域住居の広がりのプランの概要が把握された。そこで、当該遺跡の発掘調査以前に得られた所見を、国内の学会や国際的な研究集会で発表してきた(イギリスのEgypt Exploration Fundが主催する国際集会 The 6th Delta Survey Workshop, Mansura University, Egypt, 2019/4/12、エジプトのNational Authority for Remote Sensing and Space Sciences (NARSS)が主催する国際集会6th International Workshop for Enhancement of Egypt-Japan Joint Research Projects of Egypt, NARSS, 2019/12/23.等)。さらにこのエジプトの地中海沿岸での調査成果を相対化して位置付けるために、サウジアラビア紅海沿岸での比較調査やチュニジア地中海沿岸での比較調査等の成果が国際学会等で公表されつつあため(The 53rd Seminar for Arabian Studies, University of Leiden, 11th-13th July 2019等)、本科研調査は概ね順調に進展していると位置付けられる。本調査は、エジプトのイドゥク湖河畔にあるコーム・アル=ディバーゥ遺跡の探査によって得られた砂丘集落の具体的なイメージを効率的に活用し、豊富な文献研究に依拠したエジプト古代末期の都市・村落研究に考古学分野から貢献していくことをめざすものである。これによって、従来アレクサンドリアの後背地研究ではマリユート湖に偏重されていた研究がイドゥク湖にも及び、西方デルタ一帯に目を向けた中で議論が活性化することが期待される。本調査では、遺跡のサーベイが終了し、次段階である発掘調査に移行する準備が進められている。遺跡が位置する場は、デルタのグリーンベルトではなく、海岸部に特有な砂丘丘陵に位置している。かつて砂丘上に多く分布した集落は、近現代の開発で多くが削平されて失われ、また湖は埋め立てられて耕地になるか養魚場に作り替えられてきた地である。従って、当該遺跡周辺は、遺跡管理のためのインフラも十分ではなく、発掘調査の開始に際しては、アクセスルートの整備や出土遺物(土器等の生活雑器、道具、装身具、貨幣、建材等)の一時管理施設の整備などが必須となる。2019年度はこうした史跡整備の基本部分を、エジプト考古局と協力して進めてきた。2020年度の上半期には、整備作業のおおむねが終了する予定であり、順調にいけば、下半期には発掘調査の開始をめざしたく思っている。史跡整備のための試掘調査では、プトレマイオス王朝時代前半期(BC3~2世紀)のロードス島生産と思われるアンフォラが出土しており、当該遺跡をめぐる商業ネットワークの痕跡が出始めている。既に表面採集では、ローマ帝政期(AD1世紀前後)のEastern Sigillata土器がいくつか取り上げられているので、ローマ時代の海洋ネットワークへの移行が出土する遺構と遺物によって把握されることは確実と考えられるので、国際的に成果を発信していく準備も併せて行っていく

  • エジプト、ルクソール西岸の新王国時代岩窟墓の形成と発展に関する調査研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2020年03月
     

     概要を見る

    エジプト、ルクソール西岸の新王国時代の墓域(ネクロポリス・テーベ)のアル=コーカ地区で発掘調査を継続して実施することで、新王国第18王朝時代前期から第20王朝時代に至る岩窟墓の造営と再利用などの問題を詳細に検討することができた。特に調査地域の中心を占める新王億第18王朝アメンヘテプ3世治世の末期の高官ウセルハトの大型岩窟墓(TT47)の発掘調査によって、これまで全く公表されていなかったウセルハト墓の規模と構造を明らかにすることができた。ウセルハト墓の南側部分で新たに発見された新王国ラメセス朝(第19・20王朝)時代に属するコンスウエムヘブ墓(KHT02)の前室内部の壁面の保存修復も併せて実施し、古代エジプト新王国時代の壁画の描き方や技術に関しても新たな知見を得ることができた。また、アル=コーカ地区の発掘地域からは、非常に多数の葬送用コーンが出土しており、調査地域の周辺部には、未発見の岩窟墓が存在していることを提起することができた。特に調査地域の南側の部分には、第18王朝トトメス4世治世に属する岩窟墓が東西方向に連続して存在していることが想定できた。ウセルハト墓に関しては、岩窟墓の入口部分を強化し、内部の堆積砂礫の除去を実施した。さらにウセルハト墓の前庭部からは、新王国時代以降の第3中間期、末期王朝、プトレマイオス朝時代の土器をはじめとする遺物が出土しており、この地区における岩窟墓の造営、再利用などがどのように行われていったのかを具体的に示すことができた。また調査地区の北側に位置する新王国時代の岩窟墓も第18王朝ハトシェプスト女王治世、アメンヘテプ2世治世、トトメス4世治世などに造営され、その後、第19王朝ラメセス2世、第20王朝初期などに再利用されていることが明らかになった。このように限られた地域における岩窟墓の分布を明らかにできた。令和元年度が最終年度であるため、記入しない。令和元年度が最終年度であるため、記入しない

  • 葬制から見た古代エジプト文明の変化とその社会的背景に関する学際的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2019年03月
     

    吉村 作治, 近藤 二郎, 馬場 悠男, 中井 泉, 中川 武, 柏木 裕之, 河合 望, 馬場 匡浩, 高橋 寿光, 矢澤 健, 坂上 和弘, 阿部 善也, 西本 真一, 平田 和明

     概要を見る

    古代エジプトの中王国時代と新王国時代は文化、社会の多くの面で変化が見られる。本研究はその変化について、墓から発見された資料の学際的な分析によってその特質を評価し、変化の背景を探った。その結果、王を介さず直接個人が神と交流できる信仰の形態がこれまで考えられていた以上に浸透しており、人々の宗教観の変化が原因となって古代エジプト社会に大きな変革をもたらした可能性が提示された。個人の信仰に関する議論は古くから行われてきたが、埋葬に関する資料から具体的に検討することができた意義は大きいと考えられる。本研究成果の学術的意義は、紀元前2千年紀のエジプトに起こった変化について、図像・文字資料だけでなく墓から出土した物的証拠から検討を行い、人々の宗教観の変化が大きな役割を果たしていた可能性を示すことができた点である。ここで焦点が当てられたのは個人と神との直接的な結びつきであり、過去の研究ではこの延長線上に西欧の福音主義を見出していた。西欧の宗教革命が示すように宗教は社会変化の大きな原動力となるものであり、現代的な信仰形態の萌芽の様相を、考古学的資料から描き出した本研究の社会的意義は大きいと言える

  • エジプト、サッカラ遺跡における新王国時代の墓の調査研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    河合 望, 吉村 作治, 近藤 二郎, 高橋 寿光, 柏木 裕之, 惠多谷 雅弘

     概要を見る

    本研究は、従来調査研究が不十分であったサッカラ遺跡の新王国時代の墓地の調査を試み、埋葬習慣、文化史、政治史を解明することを目的とした。調査は、過去の遺跡地図の検討、衛星画像の解析、考古学的踏査、三次元地形測量、物理探査などを駆使して実施した。その結果、北サッカラのテティ王のピラミッドの北西部に約10万㎡の規模の広大な新王国時代の墓地を世界で初めて発見することに成功した。また、同地区の東側に位置する斜面においても踏査、測量、探査を実施した後、有望地点にて試掘調査を行った。その結果、従来同地区では検出されていなかった第18王朝の埋葬関連遺物が大量に出土し、付近に新王国時代の墓が存在する確信を得た

  • 衛星データと地質情報を活用したエジプト西方デルタの潟湖をめぐる歴史環境研究

    研究期間:

    2011年11月
    -
    2015年03月
     

     概要を見る

    本研究は、エジプト西方デルタの潟湖に於て歴史的環境の復元をめざす。ファラオ時代の巨大な前身伝統に対して、後発の外来政権として登場したヘレニズムが地域権力を掌握する過程で営まれた潟湖民の経済活動が鍵となる。空間・地質情報を総合した分析により、湖の縮減が明らかとなり、砂丘丘陵が重要な遺跡テリトリーと考えられ、南北に偏差が大きい環境を活かした生業複合がモデルとなった。研究対象地域にあるKom al-Diba’遺跡では、地表面探査によって、ヘレニズム時代の神殿周域住居を中心にした複合堆積構造が判読されたため、本調査成果は、アレクサンドリアに近接した低地で、学史で見過ごされてきた経済圏の存在を提示する

  • 科学および地域の史的観点に立つイスラム問題の比較分析-中東と東南・中央アジア-

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2010年
    -
    2013年
     

     概要を見る

    系譜研究では、イスラム陶器の発展史を把握するために、初期イスラム時代の水壺と白地藍彩双鳥文の来歴に焦点を当てた考察が中心的に行われた。また薬(ヘイサラバサラ)をめぐる東西交渉史に関する論考報告もなされた。地域比較研究においては、インドネシアの国立イスラム大学におけるワークショップと、早稲田大学におけるシンポジウムの2つを中心に議論が進められた。前者では主に、医療分野での情報技術の利用に焦点が当てられ、ヘルスケアと高齢者ケアにおける先端技術のあり方と今後の展望に関しての討議が行われた。特に、インドネシア社会の特長ともなる、①ムスリム社会福祉・教育活動のためのIT推進の手法、②島嶼国家におけるIT推進に伴う困難の克服、の2点が重要な討議事項となった。後者では主に、「アラブの春」後の経済動向に焦点を当て、特にサラフィー主義(厳格なイスラム回帰主義)の拡大が経済問題の政策に与える影響に関する点が討議された。特にこの動向が影響を持つ地域には、エジプトおよび湾岸諸国があり、今後の動向の予測が行われた。これらワークショップとシンポジウムの討議内容は、イスタンブルおよびカイロで開催された研究集会においても、重要な報告事項となった。これらの他には、アジア地域におけるイスラム問題が手がけられ、中国における部分的イスラム化に対する考察や、マレーシアにおける若者の価値意識に関する考察が行われた。

  • エジプト、メンフィス・ネクロポリスの文化財保存面から観た遺跡整備計画の学際的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(S))

    研究期間:

    2007年
    -
    2012年
     

    吉村 作治, 近藤 二郎, 高宮 いづみ, 長谷川 奏, 中川 武, 青木 繁夫, 西浦 忠輝, 増澤 文武, 中井 泉, 池内 克史, 惠多谷 雅弘, 津村 宏臣, 岩崎 好規, 中川 康一, 西本 真一, 柏木 裕之, 菊地 敬夫, 河合 望, 馬場 匡浩, 西坂 朗子, 高橋 寿光, 矢澤 健, 近藤 二郎, 高宮 いづみ, 中川 武, 西浦 忠輝, 青木 繁夫

     概要を見る

    本研究は、エジプト・アラブ共和国の世界遺産メンフィス・ネクロポリスの遺跡整備計画を提示することを目的とする。「遺跡の重要性の理解」、「将来的に遺跡に及ぼす要素」の調査を行い、遺跡保存整備計画の策定を提示した。この整備計画は考古学、保存科学、建築史学、地質学、観光学、衛星画像解析などの学際的成果がベースにあり、メンフィス・ネクロポリスの各遺跡の具体的な整備方針に資するモデル・ケースとなるものである。

  • 衛星写真を利用したエジプト・西方デルタ地域における遺跡立地条件の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    長谷川 奏, 吉村 作治, 近藤 二郎, 下田 陽久, 恵多谷 雅弘

     概要を見る

    本研究は、初期文明とヘレニズム文明の知の連続性と断層の解明を課題とする。ファラオ文明という巨大な前身伝統に対し、後発の政治権力として登場したヘレニズムが、地域権力を掌握していった際の都市・村落の連結空間に着目し、これを衛星情報分析から考察した。その結果、後発のヘレニズム文明は、海洋沿岸に分布する潟湖の連環生活圏を、地域的な生業複合の経済ネットワークによって<面的>に支えた可能性が得られた

  • 古代エジプト新王国第18王朝時代後期の岩窟墓の調査研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2010年
     

    近藤 二郎, 吉村 作治, 菊地 敬夫, 柏木 裕之

     概要を見る

    本研究では、20世紀初頭に簡単な調査が実施されているだけで正確なプランさえも判らなかったテーベ西岸アル=コーカ地区に位置する岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の発掘調査を4年間にわたり実施することにより、ウセルハト墓の再発見に成功し、同墓入口上部に施された非常に精緻なレリーフを発見することができた。この発見は、アメンヘテプ3世治世の岩窟墓研究にとって極めて重要なものであり、新たな編年案を提示するなどの成果があった

  • エジプト・アラブ共和国 ダハシュール北遺跡の考古学調査

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    長谷川 奏, 吉村 作治, 近藤 二郎, 馬場 匡浩, 中川 武, 平田 和明, 西浦 忠輝

     概要を見る

    本研究は、エジプトの古都メンフィス西方の砂漠地帯において、早稲田大学調査隊によって発見されたダハシュール北遺跡の考古学調査である。当遺跡は、アマルナ時代というエジプト史上最も良く知られた政治・宗教の変革期の直後に、メンフィスが行政拠点として再興され、活発な造墓活動が行われたことを示している点で学史上極めて重要である。そこで本研究では、遺跡の南西端に位置し、新王国時代第20王朝と推測される神殿型平地墓(プタハ神のウアブ朗唱神官タの墓)周囲の800m^2ほどのエリアを対象として発掘を行い、編年の枠組みと埋葬の技法を明らかにしつつ、遺構と遺物の保存手法を策定することを課題とした。調査は、タの墓に隣接した墳墓から出土した中王国時代の埋葬資料の精査から開始され、以後は同様の埋葬の確認を軸にして進められた。その結果、研究対象地区から発掘された中王国時代の墳墓の多くは、南北の軸線を有し、特徴的な掘削技法も観察された。さらにこれらの墳墓からは、箱型の木棺やビール壺等の土器群のセット等の遺物も多数取り上げられた。一方、東西の軸線を有する墳墓からは、新王国時代に位置づけられる遺物がみつかり、ここでは中王国時代の墳墓が再利用されたことが窺われた。これらの調査成果によって、タの墓周辺に分布する新王国時代の墓域には、中王国時代の墓地が形成されていることが明らかとなった。この所見は、1997年にダハシュール北遺跡調査が開始されて以来、ダハシュール北遺跡を新王国時代の墓地としてのみ捉えてきた編年観を大きく塗り替えるものとなった。さらに、遺構・遺物の双方に対して精査な環境観察が行われ、厳しい自然環境の中で進行する劣化への対応策等保存科学の立場から基本的な指針も提言され、重要な成果となった。これらの成果は、和文・英文双方により、速報性をもってその成果が公開された

  • エジプト・アラブ共和国 アブ・シール南丘陵遺跡の保存整備計画立案のための研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2006年
     

    吉村 作治, 近藤 二郎, 中川 武, 柏木 裕之, 西浦 忠輝, 中井 泉, 長谷川 奏, 菊地 敬夫

     概要を見る

    早稲田大学エジプト学研究所を中心とする調査隊は、1991年より、文部省科学研究費補助金の助成を得てエジプト・アラブ共和国、アブ・シール南丘陵遺跡における発掘調査を継続してきた。丘陵頂部の発掘では、新王国時代第18王朝のアメンヘテプ2世とトトメス4世に関連する日乾煉瓦建造物と第19王朝のラメセス2世の王子カエムワセトの石造建造物を発見した。2001年度の第10次調査からは、日本学術振興会科学研究費補助金の助成を受け、これらの遺構の保存修復計画立案に向けた研究を始めた。そこで、丘陵頂部の遺構の復元に必要な資料の入手を目的として丘陵斜面の発掘を開始したところ、古王国時代第3王朝に年代付けられるエジプト最古級の石造建造物、石積み遺構とそれに付随する岩窟遺構(AKT02)、中王国時代に年代付けられる岩窟遺構(AKT01)などを発見した。これらの調査結果により、丘陵頂部だけでなく斜面を含む丘陵全体の歴史を見直し、その成果を勘案した保存整備計画の必要性が認識された。そこで、2003年度の第12次調査から、日本学術振興会科学研究費補助金の助成を受け、保存整備計画案の対象範囲を丘陵全体に広げ、調査研究を継続した。第12次および第13次調査では遺構の消失が懸念された丘陵頂部の日乾煉瓦遺構について、現代の日乾煉瓦を用いて復元的保護措置を講じた。第14次調査では丘陵斜面で発見された石積み遺構の保存のために試験、岩窟遺構の試験的な保護措置を実施した。第15次調査では、石積み遺構の保存作業を実施した。これらの保護作業は遺構を発掘した研究者が主体となって実質的な作業を迅速かつ一貫して成し遂げた事例である。またこれらの保存修復措置以外に、遺跡の環境測定調査、出土遺物の保存修復処置、遺跡公開に向けての比較調査などが実施された。発掘調査では、丘陵頂部の石造建造物由来の多くの石材などの遺物が出土し、丘陵頂部遺構の復元研究が進展した

  • 古代社会の発展と都市化の比較考古学的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2002年
    -
    2005年
     

    菊池 徹夫, 岡内 三眞, 高橋 龍三郎, 近藤 二郎, 寺崎 秀一郎, 谷川 章雄, 小高 敬寛

     概要を見る

    本研究では、古代社会における複雑化・階層化、また都市化の問題をとりあげ、研究代表者・分担者がこれまでも調査を実施してきた日本、韓国、中国、エジプト、西アジア、北米、メソアメリカ、南米などについてケース・スタディを行ったうえで、比較考古学の方法論を探りつつ、通文化的に検討した。
    とくに、2002年度には、研究代表者の菊池、分担者のうち岡内、高橋、近藤および寺崎が、メソアメリカの現地調査を行った。メソアメリカの神殿をともなう都市遺跡こそ、新大陸における古代社会の発展、都市化の問題を考える上で、不可欠の資料だからである。実際、各自がそれぞれのフィールドでの問題意識と比較しつつ調査を進めたことで、大きな成果をあげた。
    さらに、メソアメリカと並ぶ重点領域として、菊池、高橋らは、北米において、北西海岸(2003年度)、クイーン・シャーロット諸島(2004年度)、ミシシッピ文化の諸遺跡(2005年度)のフィールド・ワークを実施し、特に日本列島の縄文文化をはじめ、世界各地の先史社会を比較検討するうえで重要な知見を得た。その成果は一連の論文として公表された。
    こうした事例研究の成果をまとめるため、また研究組織内だけでは得がたい多角的な検討を行うため、2004年12月に、国際研究集会『考古学からみた社会の複雑化』を開催し、菊池、岡内、高橋、近藤、寺崎および小高を含む15名が研究成果を発表した。さらに、1月にも発表者が再度集い、比較考古学的視座から社会の複雑化に関する座談会を開催した。その成果は、研究の一応の総括として、『社会考古学の試み』(同成社)と題し、出版された。
    その後も各地の調査を継続し、研究の精緻化に努めたが、もとより、「古代社会の複雑化、都市化」という大きなテーマに対し、この短期間ですべての結論を出せるはずもない。今後もなお何らかの資金を得て、追究は継続したい。

  • エジプト文明に関するコンテンツのデジタル化プロジェクト

    研究期間:

    2004年
    -
     
     

  • 古代エジプト新王国時代岩窟墓の編年学的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2004年
     

    近藤 二郎

     概要を見る

    新王国時代の岩窟墓研究は、これまで第18王朝の王家の出身地であった上エジプト第4ノモスであるテーベの西岸に位置する所謂「ネクロポリス・テーベ」を中心として実施されてきた。しかしながら、従来の研究の問題点のひとつに、岩窟墓の編年研究が不十分であったことを指摘することができる。ネクロポリス・テーベには、登録されているものでも415基を数える岩窟墓が存在しているが、編年の決め手として岩窟墓の壁面に記された王名などが利用されてきた。王名を基準として墓の編年を決めることは、再利用墓などのケースを含め極めて危険であり、誤った結論を導きやすい。まず再利用墓の実態を検討したところ、新王国第18王朝時代後期のトトメス4世からその後継者であるアメンヘテプ3世の治世下に造営された岩窟墓の幾つかのものが、第19王朝のラメセス2世治世下に再利用されていることが明らかとなった。このことから、岩窟墓の平面プランや内部の壁面装飾などが、第18王朝時代後期から第19王朝時代まで変化せずに使用され続けるとされていた従来の説は誤りであるとの結論を得た。岩窟墓の再利用だけではなく、第18王朝時代の王ごとの高官墓の分布を詳細に検討した。その結果、各時代の高官墓の水平分布と垂直分布とを考慮することで、各時期の岩窟墓造営の特徴を明らかにすることができた。また、近年、発掘調査が急速に増加している北のメンフィス地域の新王国時代の墓域を踏査することで、南のテーベ地域の墓域との相違を明らかにすることを目指した。その踏査の過程で新王国第18王朝アメンヘテプ3世時代に、南のテーベで岩窟墓造営に従事した絵師が、メンフィスの墓の造営に関与した例が判明した。これまで同じアメンヘテプ3世時代にテーベの岩窟墓にメンフィスの墓の形式が取り入れられたことが知られていたが、墓の造営に南北2つの中心であるメンフィスやテーベの職人の相互交流があったという新事実を提示することができた。また古代エジプト新王国時代で最も大きな革新時期である第18王朝アメンヘテプ4世(後のアクエンアテン王)による「アマルナ時代」を境として、墓の再利用が盛んに行われるようになること、墓の機能や葬送慣習に変化が見られることなども明らかになった。アクエンアテン王がテーベに造営したと思われる王墓についても検討を行ったが、従来とは異なる結論を導き出した

  • 古代エジプト、アブ・シール南丘陵頂部遺跡の保存計画に関する基礎的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    吉村 作治, 長谷川 奏, 近藤 二郎, 中川 武, 西本 真一, 柏木 裕之, 齊藤 正憲

     概要を見る

    保存修復案策定のために、保存科学、岩石学、材料工学など多方面から各種の分析を試み、成果を挙げることが出来た。保存科学の面から遺跡の保存環境理解のため、温度、湿度、風速、風向、日照量、降雨量の計測を行い、データが得られた。また、遺構の保存修復のため一部、薬品による試験を行った。岩石学では、出土石材の同定と劣化原因を解明するため、当遺跡と周辺の遺跡の岩石学的な比較調査を行い、出土石材の同定と劣化原因に関する情報を得ることが出来た。更に、材料工学、保存科学の視点から、エジプトにおける遺跡保存の現状を視察し、今後の保存修復案策定のための資料を得ることが出来た。また、考古学、建築史学の分野でも大きな成果を挙げることが出来た。丘陵頂部の新王国時代の石造建造物、日乾煉瓦遺構の発掘を完了したことにより、遺構の詳細が明らかとなった。また、丘陵斜面の発掘により、石造建造物の建材、レリーフ片など、復原研究を大きく促進させるデータが得られた。なお、丘陵頂部の発掘調査が終了したことを受け、保存修復案策定までの期間、頂部の遺構の劣化を防ぐ保護作業を行った。更に、丘陵斜面クリーニングの過程では岩窟遺構2基、石積み遺構が発見され、当丘陵を利用した遺跡の全体像と歴史的変遷の概要を知る手がかりとなった。これにより、丘陵頂部の遺構だけでなく、丘陵全体を視野に入れた包括的な保存修復の必要性が証明された。今後は、これまで行ってきた調査の成果をもとに丘陵全体の遺構を歴史的背景を勘案した上で復原を考えることとしたい。一方、その中で出てくる保存修復案は慎重に議論していきたい。更に遺跡の保存修復と一般公開を視野に入れた整備、活用を一方では考える必要があろう

  • エジプト・アラブ共和国アブ・シール南地区における丘陵頂部および周辺遺跡の調査

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(国際学術研究)

    研究期間:

    1995年
    -
    1997年
     

    吉村 作冶, 柏木 裕之, 秋山 慎一, 高宮 いづみ, 近藤 二郎, 西本 真一, 長谷川 奏, 森 啓, 櫻井 清彦, 中川 武, 高橋 龍三郎, 菊池 徹夫

     概要を見る

    1991年以降の発掘調査によって、本遺跡においては、新王国時代第19王朝ラメセス2世の第4王子カエムワセトに所属する大型石造建造物が検出されていた。平成9年度には、石造建造物の完掘と周辺遺構の検出を主な目的として発掘調査が行われた。
    調査の結果、石造建造物南側外壁と南西コーナーが検出され、南北約25m、東西約30mという建造物の全体規模が確認された他、東西方向の主軸を中心としてほぼ左右対称の構造を持つことが明らかになった。さらに、北西コーナー部においてカエムワセトのファイアンス製スカラベと小牌を含む地鎮具が検出され、石造建造物が王子自身によって創建されたことが確実となった。
    また、建造物の東、北および西側において周辺遺構の検出を試みた結果、東側丘陵斜面下において石灰岩製の石材配列が、北側において石灰岩製のペイブメントが検出され、 本遺跡には石造建造物以外にも多数の遺構が築かれていることが明らかになった。さらに、丘陵西側斜面の発掘調査では、堆積中から、土器とプラスターを中心とする残存良好な遺物が多数検出された。これら石造建造物周辺の調査によって入手された遺物の中には、年代が明確に知られるものが多数含まれていた。
    平成9年度の調査は、第19王朝の石造建造物が中心部を占める本遺跡が、実際には第18王朝からビザンツ時代まで、2千年近くの長きにわたって使用され続けたことを明瞭に示した。特に、第18王朝中期に年代付けられる多量の青色彩文土器をはじめとする土器群の出土は、従来ほとんど知られていなかったメンフィス地区における同時期の土器の集成を可能にしたことで重要である。さらに、末期王朝時代の遺物と銘文の出土によって、この時期にも本遺跡が人間活動の領域になっていたことが確認された。

  • エジプトマルカタ南「魚の丘」遺跡の復元研究と同遺跡出士彩画片の保存

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1993年
    -
    1995年
     

    吉村 作治, 櫻井 清彦, 近藤 二郎, 中川 武, 菊地 徹夫

     概要を見る

    先ず、約2000点に及ぶエジプト、マルカタ南・魚の丘遺跡出土の彩画片のデータ・ベース化作業を実施した。その後、描かれていた個別のモチーフに関して、具体的な図柄の復元考察研究に着手した。彩画片の分析と復元研究には、様々な角度からの検討が不可欠である。そこで本研究の最終年度にあたる平成7年度に、関連する多くの研究者の参加で「図像学研究会」を発足させることができた。平成7年度に開催された4回の研究会では、「魚の丘」出土彩画片についての現状や問題点、復元案が提示され、活発な意見の交流を見た。人物像や壁面の構成などにおいて、有力な復元案を提示することができた。彩画片の保存・修復研究では、過去に実施された修復処理に関して、再検討を加えるとともに基礎的な実験を行い、現状において最善な方法は、どのようなものかについて考察した。その結果、新たに良好な幾つかの方法を提示することができた。具体的には、顔料定着のため従来塗布していたパラロイドB72の5〜7%トルエン溶液を10%キシレン溶液にかえ徐々に乾燥する方法を採た。また彩画片の保存処理における大幅が改良点として、壁画支持体の残し方が検討された。従来の顔料層のみの保存方法は、塩の存在等からは確実な方法と言えるが、エポキシ樹脂による裏面の変色及び壁画としての質感の喪失が問題となった。そのため、今後の指針として、2〜3mmの厚さで壁体を残す方法が提言された。エジプトの王家の谷・西谷において魚の丘の建物址を造営した新王国第18王朝のアメンヘテプ3世墓の発掘によって得られた資料を検討したことにより、アメンヘテプ3世時代の建造物の設計・基本寸法等の考察研究を実施した。また、マルカタ王宮址出土の彩画片資料との比較研究も併せ実施し、多大の成果を得た

  • エジプト・マルカタ南・魚の丘建築の復原調査研究ーマルカタ王宮址との建築学的・美術考古学的比較研究ー

     概要を見る

    本調査研究の目的は, 早稲田大学古代エジプト調査隊によって遂行されてきたマルカタ南・魚の丘建築の復原研究を完成させることにあり, 研究方法として魚の丘建築と年代的・場所的・性格的にも極めて関連の深いアメンヘテプIII世(新王国時代・第18王朝)建造のマルカタ王宮を対象として建築学的・美術考古学的な比較研究を通じ, 行うものである.第二次調査は当初計画した研究項目・調査事項について予定通り行われ, 予期以上の成果をあげることができた.1)前回調査に引き続きメトロポリタン美術館調査隊による既往実測資料と, 今回のマルカタ王宮実測によって作成した図面との比較・現況確認をさらに範囲を広めて行った.2)王宮の最も重要な部屋である王の寝室を発掘し, 夥しい量の彩画片を得た. 出土した彩画片は写真撮影や模写によって資料化した. 出土状況からこの部屋が他の調査隊によってほとんど発掘がされていない点も確認された.3)王の寝室より出た彩画片から, 天井面に描かれたと思われる上下エジプト王名, 及びサァ・ラー名を復原し, それらがアメンヘテプIII世の名であることを確認した. 上下エジプト王名は3種類記されていたことが明らかにされた.4)天井面に描かれていたハゲワシの姿のネクベト画像を原寸で復原した. この復原図をもとに天井全体の復原図も縮尺1/5で作成した.5)王の寝室に見られるような特徴的な平面形状の部屋に関し類例の実測, 及び比例関係の分析を行った.6)マルカタ王宮と魚の丘建築, 及び両者を結ぶ間の周辺に位置する各々の関連遺跡について方位を計測し, 配置計画に関する基礎資料作成と都市計画的な視点における分析研究を行った.今回の調査で得た知見によって研究主題はさらに多岐に渡ることが確認された. 古代エジプトにおける日乾煉瓦造王宮建築の遺構は石造建築と異なりその数は限られ, 今回発掘を行った王の寝室の建築的特質や都市計画的な配置計画に関する研究成果を国際的な学会に対し提示することにより, 古代エジプト文化研究に少なからぬ寄与を成しうるものと思われる

  • エジプト・アラブ共和国 アブ・シール南地区における丘陵頂部および周辺遺跡の調査

     概要を見る

    1998年度から1999年度にかけて実施されたアブ・シール南丘陵頂部遺跡の調査では、主に発掘調査を行った。なお、それまでの発掘調査によって、丘陵頂部の東側部分において、ラメセス2世の第4王子、カエムワセトの手になる石造建造物が検出されていた。こうした経緯を受けて、過去2年の発掘調査では、丘陵頂部の西側部分が主な調査地区となった。発掘調査の結果、日干煉瓦で造られた建物址がその全貌を明らかにした。22m×25mの平面規模を測るこの建物自体は大きく破壊されていたものの、その周囲に厚く堆積していた土砂を取り除くことで、建物の往時の姿を推測する手がかりを得ることができた。すなわち、建物の外側の地面を削りだし、あたかも基壇の上に日干煉瓦の建物が築かれたかのように見せる工法が採られていた。日乾煉瓦遺跡が非常に壮大な構想のものとに築かれた建物であったことが分かったのである。過去2年間の発掘調査によって得られた資料の中で特に目を惹くのが、トトメス4世の名が刻まれたもので、ステラやスタンプ付き泥煉瓦、封泥などがこれにあたる。同王に関連する活動が丘陵頂部で営まれたことはほぼ確実と考えて良く、特に10枚以上の出土点数を数えた一連のステラは、トトメス4世がこの小さな丘を特別視していたことを示す貴重な資料と位置づけることができる。また、鮮やかな顔料で描かれた彩画片や、ファイアンス製のタイルなども出土した。これらの遺物は、この日乾煉瓦遺構を飾っていたものと考えられ、少なくとも一時期において、当遺構が、王の活動の場にふさわしく極彩色に彩られていたことを示唆している。以上の成果は、第18王朝における諸王の活動についてさまざまな課題が残されている当該地区の学史に照らし合わせた場合、極めて重要な意味合いを持つことは確実であろう

▼全件表示

 

社会貢献活動

  • 東京FM/サントリー・サタデー・ウェイティングバー

    東京FM/サントリー・サタデー・ウェイティングバー 

    2004年09月
    -
     

     概要を見る

    「遺跡」という題の番組ゲストとして、エジプトでの発掘の体験談、古代エジプトの遺跡について、その特徴などを語った。

  • NHK教育テレビ/新日曜美術館

    NHK教育テレビ/新日曜美術館 

    1999年08月
    -
     

     概要を見る

    「古代エジプト・永遠の生命つつむ美」、大英博物館エジプト展の解説rを都立美術館にて収録

特別研究期間制度(学内資金)

  • 古代エジプト新王国時代のネクロポリス・テーベの研究

    2005年04月
    -
    2006年03月

    イギリス   リヴァプール大学

特定課題制度(学内資金)

  • エジプト・テーベ西岸アル=コーカ地区の調査・研究

    2014年   河合 望, 柏木 裕之

     概要を見る

    研究成果概要 2014年12月から2015年2月上旬まで第8次調査を実施した。今次調査では、ウセルハト墓の前庭部の発掘調査を主としておこなった。 また、第7次調査で発見しれたコンスウエムヘブ墓に通ずるKH01墓開口部に鉄扉を設置した。ウセルハト墓前庭部の発掘を集中的に実施した。前庭部の砂礫除去作業中に岩盤上から、末期王朝~プトレマイオス朝時代にいたる埋葬を伴う遺物の出土が見られた。また、前庭部の北側においては、日乾煉瓦造の壁体が検出された。この煉瓦の建造時期に関しては、確定されてはいないが、王朝時代のものと考えられる。さらに、今次調査では、コンスウエムヘブ墓周辺の測量も実施し、詳細な平面図を作成した。

  • 古代エジプト、テーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の調査

    2013年  

     概要を見る

     本特定課題研究の研究対象であるテーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)は、エジプト・アラブ共和国ルクソール市対岸のアル=コーカ地区に位置する新王国第18王朝アメンヘテプ3世治世末期を代表する岩窟墓である。この岩窟墓は、20世紀初頭以来、約100年以上にわたり、その所在が不明であった。ウセルハト墓の平面プランなど、墓の正確な構造を明らかにするために、2007年12月からウセルハト墓の発掘調査を開始した。毎年12月から翌1月まで、これまで6回の調査が実施してきた。  第7次調査は、2013年12月23日から開始され、ウセルハト墓の前庭部の南側部分の堆積砂礫を除去していたところ、まず前庭部の南壁から掘込まれた内部に柱を持つ未完成の岩窟墓を発見し、エジプト考古省のインスペクター(査察官)と未完成墓の内部を調査中に、未完成墓と接しているコンスウエムヘブの墓が発見された。2013年12月29日昼のことである。 発見された墓は、その碑文から被葬者はコンスウエムヘブという人物であり、墓のプランは、いわゆる「T字型墓」で、南北に細長い前室と、その西側に奥室が位置している。前室の北壁には壁龕が穿たれ、内部には被葬者夫婦と娘の座像が3体存在している。向かって左の被葬者の妻ムウトエムヘブの座像は損傷を受けているが、中央に被葬者コンスウエムヘブ、向かって右が娘のアセトカーであることは、像に記されたヒエログリフから明rかである。墓の前室の壁面には、鮮やかな色彩で図像が描かれている。壁画の中で、被葬者のコンスウエムヘブと妻のムウトエムヘブや彼らの家族たちは、オシリス神やアヌビス神、そしてラー・ホルアクティ神など古代エジプトの神々を礼拝している姿で描かれている。また、コンスウエムヘブとムウトエムヘブに対しては、彼らの息子たちが捧げ物をしている場面なども含まれていた。 こうした前室に描かれた壁画の中でも特に、前室の東壁の北側部分に描かれた壁画は注目に値する。上段には、小ピラミッドをもった墓の前でコンスウエムヘブのミイラが立てられ、その足元で妻と思われる女性が悲しみ嘆いている。また、息子と思われる男性がミイラに対して香炉と聖水を捧げている。その後方には子供を含む男女の葬列が描かれていた。また、下段には、死者を運ぶための船が色鮮やかに描かれている。この図像の南側部分には、墓の元来の入口があるが、完全に砂礫で覆われ、砂礫の一部がここから墓の内部に侵入して堆積している様子が判明している。また、前室の天井の中央には、太陽の船と「太陽神への讃歌」が記され、コンスエムヘブが礼拝する姿で描かれている。前室の南側には側室があり、内部には埋葬室に続くと思われるシャフトが穿たれている。今後の調査により、内部からコンスウエムヘブのミイラなど埋葬の痕跡が発見される可能性が高い。 発見後、墓はエジプト考古省の指示に従い、次の調査に備えて完全に封鎖した。以上が現在までにわかっている新発見の墓の概要であり、今後の調査・研究によって、この地域における岩窟墓の造営の歴史や、当時の葬送儀礼・埋葬習慣など多くのことが判明するものと期待される。このコンスウエムヘブ墓の発見は、エジプト考古省によりルクソール地域で近年なされた中でも特筆すべき発見として高く評価され、2014年1月にエジプト考古省により発表されて以来、世界中のメディアで取り上げられ報道された。2014年12月に予定されている第8次調査は、コンスウエムヘブ墓の発掘調査がメインになる予定である。

  • テーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の研究

    2012年  

     概要を見る

     本特定課題研究の研究代表者である近藤二郎は、2007年12月より、エジプト・アラブ共和国ルクソール市対岸のアル=コーカ地区において、100年以上もの間、アクセスすることができず行方不明状態にあったテーベ岩窟墓第47号の再発見を目的とした発掘調査を開始し、現在まで継続調査をおこなっている。当該岩窟墓は、新王国第18王朝アメンヘテプ3世治世末期の高官ウセルハトの岩窟墓であり、アマルナ直前の岩窟墓の変遷を考える上で極めて重要なものである。 2012年度は、特定課題研究Bの助成を受け、2012年12月から2013年1月までの期間、発掘調査を実施し、奥室内部および前室各部の観察・測量をおこなった結果、これまで不詳であったテーベ岩窟墓第47号墓(ウセウハト墓)の平面プランを初めて作成することができた。また、1903年の調査時に、壁面の中でアメンヘテプ3世妃のティイ王妃の肖像部分の写真だけが、ハワード・カーターにより報告されていたが、その周囲の前室奧壁の全体の図像が不明なままであった。今回、調査を実施したことで、ウセルハト墓から削り取られ、現在、ベルギーのブリュッセルの王立歴史・美術博物館に所蔵されているティイ王妃肖像の周囲の状況を明らかにすることができた。また、ウセルハト墓の南側部分に残る厚い堆積砂礫の崩落を防ぐために、南側の岩盤直上に日乾レンガ造の壁体を構築した。 テーベ岩窟墓(ウセルハト墓)の平面プランや岩窟墓細部のデータを収集できたものの、岩窟墓各部には、今なお厚い砂礫の堆積が残っている。また、岩窟墓前庭部の堆積土を約50cmにわたり除去することができた。また、岩窟墓前室天井の大部分は崩落しているため、水平方向の発掘作業は困難であり、上部から垂直方向に掘り下げることとなった。奥室の壁龕は3箇所検出したが、南側の壁龕から墓の被葬者夫婦と思われる等身大の彫像が発見されたが、北側の壁龕部は崩落した砂礫のため確認することはできなかった。

  • テーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の研究

    2011年  

     概要を見る

     エジプト・アラブ共和国、ルクソール市対岸のアル=コーカ地区に位置するテーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の発掘調査を実施した。当該岩窟墓は、古代エジプト新王国第18王朝アメンヘテプ3世時代に造営されたもので、アメンヘテプ3世治世末期から次のアメンヘテプ4世時代にかけての岩窟墓の変遷を研究する上では極めて重要な位置を占めていると考えられる。しかしながら、このテーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)は、20世紀初頭の報告以来、100年以上にわたり墓の正確な位置がわからなくなってしまって、墓にアクセスすることができないでいた。また、これまでに当該岩窟墓の正確な平面プランも発表されておらず、このウセルハト墓の再発見と墓の構造を正確に把握するために、本研究代表者(近藤二郎)は、2007年度からウセルハト墓が位置すると推定される地域で本格的な発掘調査を開始し、これまでにウセルハト墓の再発見に成功し、岩窟墓入口部のレリーフ装飾等を発見している。 2011年度の早稲田大学の特定課題研究助成を受け、2011年12月から2012年1月にかけ、テーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の第5次発掘調査を実施した。その結果、極めて重要な知見を得ることができた。ここに概要を報告する。 本研究は、ウセルハト墓の規模と正確なプランを把握することで、新王国第18王朝末期(とりわけ「アマルナ時代移行期」)の岩窟墓の変遷を明らかにすることを目的とする。これまでの発掘調査により、ウセルハト墓の再発見に成功したが、当初、想定していたよりも岩窟墓上部に堆積していた砂礫層が厚く、発掘作業は難航を極めていた。これまでに、岩窟墓の入口部分では前庭部の岩盤まで検出することができたが、前庭部の堆積砂礫の除去と前室・奥室を部分的に観察するしかできない状況にあった。そのため本研究により当該岩窟墓の全貌を明らかにすべく、2011年12月から2012年1月はじめにかけての発掘調査では、墓の構造を明らかにするために、これまで堆積砂礫のために、観察が不十分であった岩窟墓前室と奥室に関して、天井崩落部を利用し、その開口部を拡張することで岩窟墓内部に初めて入ることができた。このことは、極めて大きな成果であり、前室に角柱12本が存在していたこと。前室の奥壁には一部にはアメンヘテプ3世と王妃ティイのレリーフと碑文が存在していることが明らかになった。王妃ティイの肖像を表したレリーフは、王妃の特徴的な2枚羽飾りの冠部しか残存していなかったが、現在ベルギーのブリュッセルの美術史博物館が収蔵しているティイ王妃のレリーフが、今回発見された前室奥壁に施されたものであったことが初めて確定された。また、今回の調査で岩窟墓の奧室に初めて入ることができ、奥室にはかつて2本のパピルス柱があったこと。未完成ではあるが、奥室左右の壁面にある壁龕(ニッチェ)部に二対の被葬者であるウセルハトと妻と思われる等身大の彫像が施されていることが確認された。被葬者夫妻の彫像の存在は、20世紀初頭の報告にも記載されておらず極めて重要な発見となった。また発掘終了後の墓の保護を実施し、次回の調査に備えた。

  • 古代エジプト新王国第18王朝時代前期のネクロポリス・テーベの岩窟墓の研究

    2000年  

     概要を見る

     エジプト新王国時代の墓域研究の上において上エジプト第4ノモスに位置するテーベは重要な位置を占めている。特に、新王国第18王朝時代から19王朝時代にかけての時期の岩窟墓が多数存在している。これまで、これら岩窟墓の時期を決定することは非常に不充分な状態であったと言える。昨年度は、特にネクロポリス・テーベにおける岩窟墓の再利用の問題について主として研究を実施した。岩窟墓の再利用といっても、様々な例があることを明らかにし、その中で新王国時代における再利用の例を具体的なケースを取り上げ検証した。 2000年度は、ネクロポリス・テーベの岩窟墓群の基礎的なデータ・ベースの作成が急務であるとの認識に立脚し、ネクロポリス・テーベに関するデータ・ベースをネット上での公開を視野に入れた作成作業を開始した。 特に2000年度には、新王国第18王朝時代前期の岩窟墓を中心として取上げ、ネクロポリス・テーベにおける位置をプロットしながら、ネクロポリスの新王国時代における展開について研究を行った。主として岩窟墓の被葬者の称号・家族関係、葬送用コーンの有無等を手がかりとして編年学的研究を実施していった。また岩窟墓内部の壁画や碑文についても集成し、再利用の具体的な証拠が存在しているかどうかも、細部に至るまで詳細に検討した。 その結果、第18王朝時代前期の岩窟墓の中で、ハトシェプスト女王時代以前の墓について、墓の平面プランや壁画の特徴などをまとめることができた。今後は、第18王朝時代中・後期をまとめることにより、アマルナ時代以前の岩窟墓の集成を実施することが課題である。

  • 古代エジプト新王国第18王朝時代のネクロポリス・テーベの編年学的研究

    1999年  

     概要を見る

     エジプト新王国時代の墓域研究の中で上エジプト第4ノモスに位置するテーベは、特異な位置を占めている。この地区で登録されている415基の岩窟墓の中で、特に新王国第18王朝時代から19王朝時代にかけての時期の岩窟墓が多数存在している。これまで、これら岩窟墓の年代を決定するには、墓内部に残存する壁画に描かれた王名などから時期を決める傾向が強く、全ての墓に王名が記されているわけではなく、時期決定の段階においても非常に不充分な状態であったと言える。また、全ての墓を網羅的に扱った研究も、現状では限られたものであり、そうした点から、まず時期決定のための基本的なデータの蓄積をはかる必要があるとの認識に立って、研究作業を展開していった。1999年度は、特にネクロポリス・テーベにおける岩窟墓の再利用の問題について主として研究を実施した。岩窟墓の再利用といっても、様々な例があることを明らかにし、その中で新王国時代における再利用の例を具体的なケースを取り上げ検証した。新王国時代の岩窟墓の中で、顕著な再利用の例としては、第18王朝のアマルナ時代以前(特にトトメス4世からアメンヘテプ3世時代)の岩窟墓が、アマルナ時代以降(主としてラメセス2世時代)に非常に多く存在していることが判明した。このことは、アマルナ時代という社会の大規模な変革期に、岩窟墓に埋葬するという葬送理念もまた大きく変化したことを示している。 上記の作業を通じて、先ず現在欠如しているネクロポリス・テーベの岩窟墓群の基礎的なデータ・ベースの作成が急務であるとの結論に達した。そのためには、データ・ベースの確立をするための基礎的なデータ(地形図、報告書、研究論文)の集積も合わせ実施した。今後は、再利用墓の個々の事例をリスト・アップしながら、基本的な編年の確立を実施していきたいと考えている。また、ネクロポリス・テーベに関するデータ・ベースをネット上での公開を視野に入れて作成しているところである。 篇年学的な研究は、ある意味では地味なものであるが、ネクロポリス・テーベの研究を遂行していく中で不可欠で重要なものであり、1999年度に端緒をつけた第18王朝時代に引き続き、今後も第19王朝、第20王朝と継続して研究を実施していきたい。

▼全件表示