2024/03/29 更新

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ムナカタ カズシゲ
宗像 和重
所属
文学学術院 文学部
職名
教授
学位
修士

学歴

  •  
    -
    1985年

    早稲田大学大学院   文学研究科   日本文学  

所属学協会

  •  
     
     

    日本近代文学会

研究分野

  • 日本文学

研究キーワード

  • 国文学

受賞

  • やまなし文学賞 研究評論部門

    2005年03月  

 

論文

  • 子規という急行列車

    宗像和重

    国文学   49 ( 4 ) 28 - 35  2004年03月

  • 鴎外・明治四一年三月一七日−上田敏宛書簡から−

    宗像和重

    森鴎外研究   ( 9 ) 52 - 67  2002年09月

  • 遠くへ、そして一人に−「城崎にて」私注−

    宗像和重

    国文学   47 ( 5 ) 13 - 19  2002年04月

  • プランゲ文庫データベースと近代文学研究−武者小路実篤、志賀直哉の新出資料を中心に−

    宗像和重

    Intelligence(インテリジェンス)   ( 1 ) 17 - 25  2002年03月

  • 解題

    徳田秋声全集/八木書店   15  1999年03月

  • 馬場孤蝶—「わたしの孤蝶先生」

    国文学/学燈社   44;4  1999年03月

  • 解題

    徳田秋声全集/八木書店   15  1999年03月

  • 「時と紙筆とを費やす者」—太田豊太郎の手記をめぐって

    国文学研究/早稲田大学国文学会   127  1999年03月

  • 後記

    志賀直哉全集/岩波書店   3  1999年02月

  • 後記

    志賀直哉全集/岩波書店   3  1999年02月

  • 『ある青年の夢』—「大正」なるもの

    国文学解釈と鑑賞/至文堂   64;2  1999年02月

  • 『一葉全集』という書物

    季刊文学/岩波書店   10;1  1999年01月

  • 後記

    志賀直哉全集/岩波書店   1  1998年12月

  • 後記

    志賀直哉全集/岩波書店   1  1998年12月

  • 共鳴するリズム

    徳田秋声全集/八木書店   13  1998年11月

  • 大正文芸書の魅力を語る

    早稲田学報/早稲田大学校友会   52;7  1998年09月

  • 「あなたがきらいです」—教科書のなかの現代詩

    早稲田文学/早稲田文学会   23;5  1998年09月

  • 解題

    徳田秋声全集第11巻/八木書店    1998年03月

  • 高校生の現代文(高等学校教科書)

    角川書店    1998年03月

  • 解題

    徳田秋声全集第11巻/八木書店    1998年03月

  • 〈声〉の復権、〈翼〉の獲得

    国語科通信/角川書店   101  1998年02月

  • 太宰治—作品研究案内「斜陽」—

    国文学解釈と鑑賞/至文堂    1998年01月

  • 制度としての原稿用紙

    季刊文学/岩波書店   9;1  1998年01月

  • 鴎外とドイツ・「文づかひ」

    国文学/学燈社   43;1  1998年01月

  • 徳田秋声全集第1期全18巻

    八木書店    1997年11月

  • 近代日本文学全集最新事情

    国語教室/大修館書店    1997年11月

  • 岩野泡鳴『毒薬を飲む女』

    国文学/学燈社   42;12  1997年10月

  • 「舞姫」注釈

    季刊文学/岩波書店   8;3  1997年07月

  • 立松和平—作品と作者—

    月刊国語教育/東京法令出版株式会社   17;4  1997年06月

  • 解説・解題

    岩野泡鳴全集別巻/臨川書店    1997年04月

  • 雑誌「日本主義」のこと

    岩野泡鳴全集第13巻/臨川書店    1997年02月

  • 河馬に噛まれる−笑顔の本願

    国文学   42;3  1997年02月

  • 解説・解題

    岩野泡鳴全集第13巻/臨川書店    1996年12月

  • 「群像」総目次3

    群像   51;12  1996年12月

  • 「群像」総目次2

    群像   51;11  1996年11月

  • 解説

    白百合(復刻版別冊)/臨川書店    1996年10月

  • 解説

    白百合(復刻版別冊)/臨川書店    1996年10月

  • 「群像」総目次1

    群像   51;10  1996年10月

  • 解題

    中上健次全集第15巻/集英社    1996年08月

  • 解題

    中上健次全集第15巻/集英社    1996年08月

  • 「立松和平」「三田誠広」

    国文学   41;10  1996年08月

  • 注解

    芥川龍之介全集第9巻/岩波書店    1996年07月

  • 解題

    中上健次全集第13巻/集英社    1996年06月

  • 森鴎外という歴史

    井伏鱒二(東郷克美他編)/双文社出版    1996年06月

  • 解題

    中上健次全集第13巻/集英社    1996年06月

  • 「夏目漱石」「森鴎外」ほか

    別冊歴史読本   21;24  1996年06月

  • 略年譜・主要参考文献・主要著作目録

    坪内逍遥(新潮日本文学アルバム)/新潮社    1996年04月

  • 解題・校異

    中上健次全集第11巻/集英社    1996年04月

  • 解題・校異

    中上健次全集/集英社   第8巻  1996年01月

  • 解題・校異

    中上健次全集/集英社   第8巻  1996年01月

  • 解説・解題

    岩野泡鳴全集/臨川書店   第7巻  1995年12月

  • 解題

    紅葉全集/岩波書店   第12巻  1995年09月

  • 解題

    紅葉全集/岩波書店   第12巻  1995年09月

  • 「平凡」と「非凡」−『平凡人の手紙』をめぐって

    有島武郎の作品(下)(有島武郎研究会編)/右文書院    1995年08月

  • 解題・校異

    中上健次全集/集英社   第5巻  1995年07月

  • 解説

    定本花袋全集/臨川書店   第25巻  1995年05月

  • 解説

    定本花袋全集/臨川書店   第25巻  1995年05月

  • 「階級」と「ハビトゥス」−『宣言一つ』をめぐって

    有島武郎と社会(有島武郎研究会編)/右文書院    1995年05月

  • 解説・解題

    岩野泡鳴全集/臨川書店   第4巻  1995年04月

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書籍等出版物

  • 投書家時代の森鴎外−草創期活字メディアを舞台に−

    宗像和重

    岩波書店  2004年07月

  • 編年体大正文学全集別巻 大正文学年表・年鑑

    宗像和重, 山本芳明共編

    ゆまに書房  2003年08月

  • 全集の本文

    宗像和重

    岩波講座 文学1 テクストとは何か  2003年05月

  • 新日本古典文学大系明治編 正岡子規集

    金井景子, 宗像和重, 勝原晴希校注

    岩波書店  2003年03月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 編集文献学の実践的展開―文化の継承と教育への応用―

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    昨年度の検討を受けて、今年度は昨年度のテーマに若干変更を加えた以下のAからEの5つのテーマについて、さらに今年度からは総合的なFのテーマも加えて研究を進めた。A.ドイツ文献学の成立の事情とその日本における受容および明治/大正期の文学研究の確立をめぐる検討、B.日本文学における現在の文献学的状況を探るケーススタディ、C.再評価の機運が高まっているイタリアの文献学者S.Timpanaroの代表著作の 読解と翻訳、D.英文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、E.独文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、F.人文学テクスト全般における「信頼性」および「正統性」をめぐる総合的な編集文献学的考察。テーマごとの班活動以外に、全体としての研究会も3回、2019年6月16日に慶應義塾大学で、7月31日に放送大学で、また2020年1月26日に慶應義塾大学で開催した。第1回での研究発表は、「編集文献学の可能性」(明星聖子)、第2回は、「古典文献学の可能性」(納富信留)、「注釈の編集文献学」(松田隆美)、第3回は、「南朝公卿補任の真贋判断をめぐって」(武井和人)、「偽書という虚構ー近代日本の小説3つをめぐって」(杉浦晋)。なお、こうした活動が実を結び、2019年9月に刊行された雑誌『書物学』(勉誠出版)で、特集「編集文献学への誘い」が組まれ、そこでプロジェクトメンバーの論考6本がまとめて掲載されたことは、特筆に値するだろう。従来の年度同様に、各自が調査研究、資料収集や成果発表を着実に積み上げながら、共同での書籍の制作が順調に進められた。全体研究会も3回開催され、そのうち2回の成果は、上記のとおり、雑誌で本プロジェクトが特集されるなど、社会的にもインパクトの大きな展開を見せている。今年度は最終年度として、総まとめの活動をおこなう。昨年同様、上記の6つのテーマに取り組みながら、特に、Dについては、昨年度のワークショップの成果を、『「キリスト者の祈祷書」を読む-編集文献学国際ワークショップ報告書(仮題) 』という論集にまとめて、年度前半での出版を目指す。 また、Fについても、「フェイク」というキーワードを打ち出す形での論集を、本年度内に公刊する方向で制作にあたる。また、AからCのテーマについても、最終段階の議論と作業を進めていく。Eについては、年度の後半に国内学会でシンポジウムを組み、また海外の国際学会でも研究発表をおこなう予定である

  • 日本近代文学における編集文献学の構築と確立のための研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    宗像 和重

     概要を見る

    本研究は、近代文学の分野において、編集文献学という新たな研究分野の構築と確立をめざしたものである。具体的には、明治期以降の個人全集の歴史的経緯、および編集の文法を明らかにすることを主たる目的として、文献の整備と資料の収集に努め、特に近代文学の開拓者である坪内逍遥の著書の収集に力を注いだ。それらを通して、いまだ定本全集がない坪内逍遥の全集編纂の可能性を検討し、その著書を全集として編集する過程を実践することで、近代文学の活字の本文成立の問題や、近代作家のテキスト・著書の多様な成り立ちを実践的に明らかにすることができたと考えている

  • 日本近代文学における編集文献学の構築と確立のための研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2015年
    -
    2017年
     

  • 編集文献学に関する総合的研究―日本の人文学における批判的継承をめざして―

    研究期間:

    2011年11月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    欧米の新しい学問潮流である編集文献学について、学際的に構成されたメンバーが共同して総合的な検討をおこなった。メンバーは国内外の多くの学会で発表し、欧文と日本語で多数の論文を公刊した。また当チームでもいくつか会議を主催し、とくに2015年3月の国際会議「日本における文献学の受容と展開」(埼玉大学)および「編集文献学の理論と実践」(慶應義塾大学)、また10月の国際会議「近代日本の教養形成とテクスト編集」(埼玉大学)では海外の研究者と活発な議論を交わした。さらに2015年10月には総まとめとして、メンバーで共同執筆した著書『テクストとは何か-編集文献学入門』(慶應義塾大学出版会)を刊行した

  • 富永太郎直筆原稿の画像データベース化による文学テキストの生成研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2014年03月
     

    杉浦 静, 宗像 和重, 石川 巧, 桑原 規子

     概要を見る

    大正後期に優れた詩、翻訳、絵画作品を残した富永太郎の資料(原稿、書簡、草稿、日記、手帖、絵画等)を画像データベース化し、富永太郎における文学テクストの生成の具体相を解明することを目的とした。データベースの作成にあたって、画像に対し、推敲過程を含む翻刻(テキストファイル)の付加の必要性、及び、その記述におけるTEI(Text Encoding Initiative)の有効性を明らかにした。また、全詩篇の生成過程を解明した

  • 日本文学における言説編成機能に関する日仏共同研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2009年04月
    -
    2013年03月
     

    谷川 恵一, 田渕 句美子, 安永 尚志, 齋藤 真麻理, 加藤 昌嘉, 木戸 雄一, 千本 英史, 堀川 貴司, 和田 博文, 十川 信介, 宗像 和重, 佐々木 孝浩

     概要を見る

    日本文学の基本的な言説編成の特質が、明確な世界観やテーマに裏付 けられた確乎とした編成原理の下にその構成要素を配置するのではなく、各々の断片をその独 立性を保持したままゆるやかに包摂することにあり、異質なものを排除せずに内部に抱え込ん でいく日本文学の独自の性格と断片を断片の姿のままで愛でるという独特な受容形態がそこか ら生じてきたことを、中古から現代までの具体的な作品に即し、通時的に明らかにした

  • 占領期文学とメディアにみる検閲と本文の総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    十重田 裕一, 宗像 和重

     概要を見る

    占領下の日本では、1945~49年までアメリカ軍GHQ/SCAPの検閲が実施されていたが、プランゲ文庫をはじめ占領期の膨大な資料の調査からは、解放されると同時に閉ざされるという、引き裂かれた言説空間の様相を呈していたことがわかってくる。プランゲ文庫の多数の資料からは、検閲に対する対応は一様ではなく、執筆者の考え、出版社・編集者の方針や対応、検閲官の判断など、複数の要素が複雑に絡み合いながら、占領期の言説が構成されていたことを具体的に明らかとなる

  • 占領期の諸言説分析による「戦後日本社会」形成に関する学際的枠組みによる共同研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    谷川 建司, 梅森 直之, 土屋 礼子, 松田 さおり, 御代川 貴久夫, 宗像 和重, 山本 武利, 原田 健一, 加藤 敬子, 川崎 賢子, 吉田 則昭, 石井 仁志, 大森 恭子

     概要を見る

    本研究は、敗戦とそれに伴う占領という価値観の大変革期という背景の下で、新しい価値観を示す新語、アメリカから輸入された外来語、考案された和製英語、混乱期特有の通俗語・略語・隠語などが様々な分野で数多くの言葉が出現した占領期に焦点を当て、それらの言葉とその背景にある文脈を検証することによって「戦後日本社会」の形成を担った日本人の根底にある意識を再確認することを目的とした。その成果として占領期用語約100語を解説した最終報告書を作成し、同報告書は2010年度中には『占領期用語集』として商業出版される。

  • 総合雑誌における占領期検閲と文学との相互関連性の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    十重田 裕一, 宗像 和重, 川崎 賢子, 上牧瀬 香, 塩野 加織, 滝口 明祥, 時野谷 ゆり, 兵頭 かおり

     概要を見る

    本研究では、占領期日本における文学研究の一環として、総合雑誌・文芸雑誌を中心に、この時期の雑誌全般に焦点をあてた。三年間の研究を通じて、第一に雑誌において行われた占領期の検閲の実態を調査すること、第二にそこで得られたデータをもとに、作家・作品とメディア・編集者・出版社との相互関連性を総合的に解明することを目的とし、その結果、GHQ/SCAPの検閲と占領期の文学の状況を立体的に浮かび上がらせる基盤を整備した。成果の一部は、『占領期雑誌資料大系 文学編』全5巻(岩波書店、2009-10年)に示される予定である

  • 金星堂を中心とする大正・昭和期の出版書肆と文学に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2004年
    -
    2006年
     

    宗像 和重, 十重田 裕一

     概要を見る

    本研究は、出版書肆金星堂を中心として、大正・昭和期の出版と文学の動向を総合的に把握しようとする試みである。福岡益雄が大正半ばに設立したこの出版社は、大正期の特色ある叢書類や、雑誌「文藝時代」の発行などを通して、同時代の文学や作家と深いかかわりをもった。その実態を把握するために、まず金星堂の出版物についての基礎的データを蓄積し、図書館や古書店等を通して調査と収集の作業に従事した。そして、その書誌データを集約して、「金星堂出版物目録データベース」を作成した。もとより未定稿の状態で、今後引き続き増補訂正を必要とするが、金星堂の出版活動の輪郭を明らかにし、今後研究を継続するための基礎資料としての意味を有すると考える。またこれと並行して、創業者の福岡益雄と金星堂の出版活動に関する同時代の消息や評価等を、できるだけ収集することに務めた。出版物のデータベースとあわせて、金星堂の足跡を総合的・多角的に検討する新しい材料を発掘することで、その実態をより明らかにすることができた。こうした調査の集約の一方で、金星堂や大正・昭和期の出版と文学をめぐる論考を積極的に発表することに務めた。とくに大正から昭和期にかけての「文壇」と文芸時評をめぐる諸問題や、横光利一らのいわゆる新感覚派と金星堂を中心とするメディアの問題については大きな収穫があり、このテーマの有効性を再認識させられた。今後は、未定稿の書誌データベースを充実させるとともに、金星堂社史・福岡益雄伝をとりまとめることで、金星堂と同時代の文学・作家との関係をより明らかにする一方、同時代の出版社・出版人へと調査・研究を広げていくことが、重要な課題であると考えている

  • 松本清張とモダニズムをめぐる共同研究

    研究期間:

    2004年
    -
    2005年
     

  • 金星堂を中心とする大正・昭和期の出版書肆と文学に関する総合的研究

    研究期間:

    2004年
    -
     
     

  • 二十世紀における日本文学・文化とメディアの相互連関を対象とする総合的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2000年
    -
    2001年
     

    宗像 和重, 金井 景子, 高橋 世織, 高橋 敏夫, 十重田 裕一

     概要を見る

    本研究は、二十世紀の日本の文学・文化とメディアの問題を、多角的・総合的に検証することを目標とし、二年間にわたる共同研究として企画された。その結果、(1)近代の文学は、これまで、書物や雑誌・新聞といった活版印刷によって流通し、読まれることを前提としてきたが、たとえば雑誌の販売部数や売り上げ高、新聞の配達経路など、その実態をより具体的に検証することの重要性が明らかになったこと、(2)その活版印刷が必ずしも普遍的なものではなく、過渡的なメディアの一形態であり、今日のいわゆる文学の衰退が、活字媒体の衰退と通底していることが確認できたこと、(3)一方、映像表現や朗読など、視覚や聴覚に関わって、活字媒体では切り捨てられてきた言葉の身体性に目を向けることの必要性が認識されたこと、(4)いわゆる大衆文学や怪獣映画など、従来は傍流とされていた分野に、現代の文化現象を把握するためのきわめて大きな手がかりが見いだされたこと、(5)メディアの問題を検証するためにも、研究者自身の差別やジェンダーに関わる意識が問われなければならないことが自覚されたこと、--などがこのたびの大きな収穫であったと考える。
    しかし、いうまでもなく、このテーマはきわめて大きく、限られた期間の研究で全てを尽くせるものではない。また当初は、大別して初年度を個別研究、二年目を共同研究という位置づけであったが、テーマの大きさと重要性に鑑みて(それはわれわれのよって立つ研究基盤そのものを問うことであるから)、中途半端な「結論」を導き出すよりも、それぞれの研究テーマをさらに深めることが重要である、という認識で一致し、結果としては今年度も、それぞれの分野で個別の研究を深めることになった点をおことわりしたい。

  • 明治期における新聞投書欄の研究

     概要を見る

    明治期における新聞投書欄の調査・検討を通して、近代文学成立期の様相を明らかにするとこを目的とした本研究課題については、昨年度の科学研究費(奨励研究A)の交付を受け、基礎資料の収集と整備に努めてきた。本年度はこれを継続、発展させるとともに、目録・索引の作成に重点をおくことを研究計画の中心に揚げて取り組んできたが、以下にその実績の概要を報告したい。まず文献資料の収集については、昨年度に引き続いて「読売新聞」と「国民新聞」を主な対象とし、「読売新聞」については主に国立国会図書館、早稲田大学現代政治経済研究所に所蔵されているマイクロフィルムの閲覧、「国民新聞」については縮刷復刻版(日本図書センタ-)の購入を継続した。これによって、少なくとも両紙については、それぞれの創刊号から明治末までの全紙面に目を通したことになり、投書欄の変遷を含めて新聞の全体像を把握できたことは、今後の研究を進めるうえで大きな収穣であった。なお、これらの投書欄から文筆活動の第一歩を踏み出した作家が数多く寄稿し、明治文学に大きな位置を占める『早稲田文学』復刻版など、今年度は購入すべき重要資料が多く、設備備品費(図書費)が当初の予定額よりやや増えたことをお断りしたい。次に目録の調査によっても、知られていない近代作家の初期作品、習ら発表誌面の制約によるものであり、残っている「読売新聞」の目録を完備させることを次の具体的な課題としいた。あわせて、これらの成果を踏まえながら、新聞投書蘭の文学史的位置づけと、個々の作家活動との関わりを更に深く論究することが、今後継続すべき研究課題である

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

  • 政治経済学術院   政治経済学部

  • 文学学術院   大学院文学研究科

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 1989年
    -
     

    現代政治経済研究所   兼任研究員

特定課題制度(学内資金)

  • 日本近代文学における本文の生成と異同、及び校訂に関する研究

    2014年  

     概要を見る

     本研究は、近代文学における本文の生成と異同の諸相を検討し、いわゆる本文校訂の実態とそのありかたについて総合的に考察することを課題としている。本年度は、昨年度に引き続き、早稲田大学図書館や、日本近代文学館所蔵の原稿類を中心として調査を進めたが、とくに明治の作家山田美妙、および大正・昭和期の作家宇野浩二の原稿を対象として、それぞれの創作様態の特色と活字本文への課程を詳しく検討・分析した。この研究成果の一端は、編集・校訂を担当した『山田美妙集』第10巻(2015年4月、臨川書店)の本文校訂、および編集・執筆を担当した日本近代文学館編『近代文学草稿・原稿研究事典』(2015年2月、八木書店)等に反映された。

  • 日本近代文学における本文の生成と異同、及び校訂に関する研究

    2013年  

     概要を見る

    本研究は、近代文学における本文の生成とその異同を、肉筆の原稿類から活字媒体への一体的な考察としてとりあげることを目標とし、とくに個人全集を中心とした本文校訂の問題を広く視野に入れて検討を加えることをめざした。この観点から、一つは現在編集に従事している『山田美妙集』(臨川書店刊)収録の小説・評論類を主な対象とし、その草稿・原稿類、初出雑誌・新聞、初刊の単行本および流布本等を調査・検討し、その異同の実態を詳しく記録することに努めた。その際、草稿・原稿類については早稲田大学図書館本間文庫、日本近代文学館塩田良平文庫所蔵において資料の閲覧と調査をおこない、新聞・雑誌・単行本等の活字資料については、早稲田大学図書館、日本近代文学館、国立国会図書館等の所蔵資料を利用した。これらを通して、美妙の本文の生成過程をより詳細に確認できただけでなく、きわめて判読しにくい美妙の原稿が活字化されていく過程において、その翻読・編集に果たした編集者の役割の大きさについての新たな知見を得た。 あわせて、日本近代文学館所蔵の宇野浩二の草稿・原稿類にも着目し、その初期と晩年における文体や作風の大きな変化が、病気を契機とした原稿執筆の具体的な様態の違い、――すなわち四百字詰原稿用紙から二百字詰原稿用紙へ、一気呵成に書き流す執筆から一語一語に対する著しい停滞と拘泥へといった変化と密接に結びついていることを、明らかにすることができた。このことは、近代文学の本文が作者の身体性と深く結びついていることを示唆するとともに、一方ではその文体を考察するうえで、作者の個人的な閲歴や生活経験をどこまで参照すべきかという問題をも、提起しているように思われる。さらに、こうした草稿・原稿類の調査を通して、個々の作家の原稿のみならず、近代文学においていわゆる「原稿用紙」が使用されるその歴史的な経緯と流通の種々相についても考察する契機を得たが、この点については、今回十分に検討できなかった単行本の重版における紙型の問題などとあわせて、今後の課題としてさらに研究を継続したい。

  • 森鴎外を中心とする国語国字問題に関する研究

    1996年  

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     本研究は、明治・大正の国語国字問題を、森鴎外とのかかわりを中心に考察しようとするものである。 幕末からの国語国字問題については、たとえば時枝誠記に「外国模倣の皮相な改革論は、日清戦争後次第に衰へて、もっと実際的な、可能性のある国語の問題を考へるやうになって、ここに問題は、文字改良論から、仮名遣改訂、文体改良、言文一致、標準語、方言等の問題に転向して行った」という要約がある。鴎外が、こうした国語国字問題に少なからぬ関心をいだいていたこと、とりわけ仮名遣改訂をめぐる問題については、歴史的仮名遣を支持する立場から、強力な論陣を張ったことなどについては、従来からよく知られているであろう。 ただ一方で、晩年の鴎外が会長に就任した臨時国語調査会が、その没後に仮名遣を表音式に改訂する「仮名遣改訂案」を発表したこととや、これについて、「もし博士が健在で、この案の制定に参加されたら、決してこの案に反対されなかったであろう」という見方もあることに、注目したい。鴎外における仮名遣問題の難しさと重要性がここにあるわけで、この問題を検討することは、晩年の鴎外を理解する大きな鍵であるとともに、近代における国語国字問題の理解の上でも、不可欠であると考える。 本研究では、そのような立場から、第一に鴎外関係の資料の収集を通して、鴎外における国語(仮名遣)問題への発言と、彼の表記そのものを確認することに努めた。また第二に、近代の国語国字問題の資料の収集を通して、その実情を確認することに努めた。これらを通して、「洋行帰りの保守主義者」としての従来の理解を、時代とのかかわりにおいて再検討する端緒が開かれたが、問題が大きく多岐に渡るので、今後その一つ一つを個別に解明することで、本研究のテーマの全体像に迫る予定であることをお断りしたい。