2024/12/07 更新

写真a

イケヤ トモアキ
池谷 知明
所属
社会科学総合学術院 社会科学部
職名
教授
学位
政治学修士

経歴

  • 2013年04月
    -
     

    現在 早稲田大学 社会科学部教授

  • 2006年04月
    -
    2013年03月

    同 教授

  • 1999年04月
    -
    2006年03月

    同 助教授

  • 1996年04月
    -
    1999年03月

    拓殖大学政経学部 専任講師

学歴

  •  
     
     

    早稲田大学   政治学研究科  

委員歴

  • 2017年10月
    -
    2018年10月

    日本政治学会  倫理委員会委員長

  • 2006年05月
    -
    2007年05月

    日本選挙学会  企画委員長

  • 2006年08月
    -
    2006年12月

    衆議院  衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局客員研究員

所属学協会

  •  
     
     

    イタリア学会

  •  
     
     

    日本比較政治学会

  •  
     
     

    日本政治学会

  •  
     
     

    日本選挙学会

研究分野

  • 政治学

研究キーワード

  • 政治学 比較政治 イタリア政治

 

論文

  • 「イタリア2017年選挙法(2・完)−上院選挙制度−」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2018年

  • 「イタリア2017年選挙法(1)−下院選挙制度−」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2018年

  • 「イタリア両院選挙と政治のゆくえ−三極分裂で混迷を深める政党政治−」

    池谷知明

    『改革者』    2017年

  • 「政治の言葉の国際比較 −多元主義の国イタリア−」

    池谷知明

    『改革者』    2017年

  • 「ポリティクスからガバメントへ ─ イタリア憲法改正国民投票の教訓 ─ 」

    池谷知明

    『改革者』    2017年

  • 「イタリア─特異な首相・特異な党首」

    池谷知明

    『改革者』    2016年

  • 「国民投票の『怖さ』―イギリスEU離脱国民投票の教訓―」

    池谷知明

    『改革者』    2016年

  • 「開かれた政治社会を確立せよ!― 一八歳選挙権から考える二十一世紀政治社会の構想 ― 」

    池谷知明

    『改革者』    2016年

  • 「イタリアの選挙制度(12) ―選挙人名簿―」

    池谷知明

    『改革者』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(11) ―2015年選挙法―」

    池谷知明

    『改革者』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(10) ―2005年選挙法―」

    池谷知明

    『改革者』    2015年

  • 「イタリア選挙制度改革と政治の行方― 新選挙制度はイタリア政治を安定させるか ―」

    池谷知明

    『改革者』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(9)―1993年選挙法―」

    池谷知明

    『改革者』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(8) ―第一共和制の選挙制度―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(7) ―憲法制定議会選挙と国民投票―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(6) ―ファシスト体制下の選挙制度―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(5) ―比例代表制の導入―」

    池谷知明

    『改革者』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(4) ―男子普通選挙権の確立―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(3) ―1 8 9 1 年選挙法と有権者の減少―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(2) ―1882年選挙法と有権者の創造―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「イタリアの選挙制度(1) ―1848年選挙法と有権者の創造―」

    池谷知明

    『月刊選挙』    2015年

  • 「「政党の共和国」から「大統領の共和国」へ? −イタリア第 2共和制における大統領− 」日

    『年報 政治学』    2015年

  • 「ますます深まるカオス的状況 ― ゆくえの見えないイタリア政治 ―」

    池谷知明

    『改革者』    2014年

  • 「極端な多元主義で多党化-イタリア政党政治の理念と現実」

    池谷知明

    『改革者』    2013年

  • 「1848年サルデーニャ王国選挙法と有権者の創造」

    池谷知明

    『選挙研究』    2013年

  • 「政治家の選抜に時間をかけよ - 人気投票に終わらせない方策」

    池谷知明

    『改革者』    2012年

  • 「脱「政局」の政治をめざして - 「政局」から考える日本政治の課題」

    池谷知明

    『改革者』    2012年

  • 「綱領は政党の要件か― 各国の政党と綱領の関係を比較する ―」

    池谷知明

    『改革者』    2011年

  • 「20世紀初頭のイタリア政治社会とガエターノ・モスカの政治思想」

    池谷知明

    『拓殖大学論集 政治・経済・法律』    2011年

  • 「不満と期待が生んだ政権交代― 二〇〇九年総選挙を振り返る ―」『改革者』

    池谷知明

    『改革者』    2009年

  • 「イタリア政治のゆくえ-二〇〇八年上下両院選挙とベルルスコーニ政権の誕生-」

    池谷知明

    『改革者』    2008年

  • 「イタリア両院選挙とイタリア政治のゆくえ」

    池谷知明

    『改革者』    2006年

  • 「相対多数代表と政党破片化:イタリア選挙制度の評価と課題」

    池谷知明

    『選挙学会紀要』    2003年

  • 「2極化と破片化-2001年イタリア上下両院選挙」

    池谷知明

    『選挙研究』    2003年

  • 「1996年イタリア上下両院選挙―政党システムの変容を中心にして―」

    池谷知明

    『選挙研究』    1998年

  • ガエターノ・モスカの『政治学要綱』における『政治社会』概念と19世紀末イタリアにおける政治学の誕生

    池谷知明

    『ソシオサイエンス』    1996年

  • 「ガエターノ・モスカの『政府論』における「政治の科学」の提起と一九世紀末のイタリア政治学の誕生」

    池谷知明

    『ソシオサイエンス』    1995年

  • 「ガエターノ・モスカの『政府論』における一九世紀末イタリア議会政治批判」

    池谷知明

    『社会科学討究』    1995年

  • 「イタリア政治学の戦後の発展と近年の動向(2)」

    池谷知明

    『早稲田政治公法研究』   ( 42 )  1993年

  • 「イタリア政治学の戦後の発展と近年の動向(3)」

    池谷知明

    『早稲田政治公法研究』   ( 43 )  1993年

  • 「イタリア政治学の戦後の発展と近年の動向(1)」

    池谷知明

    『早稲田政治公法研究』   ( 40 )  1992年

  • 「日本とイタリア-分権化への2つの道」

    池谷知明

    『改革者』  

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書籍等出版物

  • 『比較政治学のフロンティア−21世紀の政策課題と新しいリーダーシップ−』

    岡澤憲芙編( 担当: 分担執筆)

    ミネルヴァ書房  2015年

  • 『近代イタリアの歴史』

    北村暁夫, 伊藤武編( 担当: 分担執筆)

    ミネルヴァ書房  2012年

  • 『イタリア国民国家の形成−自由主義期の国家と社会』

    北村暁夫, 小谷眞夫編( 担当: 分担執筆)

    日本経済評論社  2010年

  • 『西欧比較政治』

    加藤秀治郎編( 担当: 分担執筆)

    一藝社  2002年

  • 『誰が政治家になるのか—候補者選びの国際比較—』

    吉野孝, 今村浩, 谷藤悦史編( 担当: 分担執筆)

    早稲田大学出版部  2001年

  • 『リージョナリズムの国際政治経済学』

    中野実編( 担当: 分担執筆)

    学陽書房  2001年

  • 『イタリアの政治』

    馬場康雄, 岡澤憲芙編( 担当: 分担執筆)

    早稲田大学出版部  1999年

  • 『現代政治学[新版]』

    堀江湛, 岡澤憲芙編著( 担当: 分担執筆)

    法学書院  1997年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • マルチレベルの選挙制度が政党システムに与え効果に関する国際比較研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    本研究は、選挙制度と政党システムの連関について、日本、イタリア、ドイツを対象として行う比較研究である。従来の研究と異なり、本研究では、マルチレベルの選挙制度、すなわち国政選挙制度に加えて地方選挙制度についても考察の対象とし、さらに国政と地方選挙制度の相違(制度不均一)が政党システムにどのような影響・効果を持つかを、社会経済的コンテクストを考慮しつつ、明らかにする。日本、イタリア、ドイツの事例研究から得られた知見に基づいた理論化、制度不均一の概念の精緻化も本研究が目指すところである

  • イタリアの「国民国家」形成過程における制度と社会に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

    北村 暁夫, 池谷 知明, 勝田 由美, 小谷 眞男, 柴野 均, 高橋 利保

     概要を見る

    本研究はイタリアの自由主義期を対象として、議会選挙やさまざまな立法活動などの際に見られる国家と地域社会との交渉や妥協の歴史的過程を具体的に分析することにより、イタリアの「国民国家」形成の特質を明らかにすることを目的としている。本研究は共同研究であり、研究代表者、研究分担者7名、研究協力者6名の合計14名の参加者から構成され、2年の研究期間に合計6回に及ぶ研究会(研究打ち合わせ1回、研究合宿4回、他の研究会(イタリア近現代史研究会)の年次大会とのジョイント1回)を行った。この間に史料や研究文献のリスト作成や年表の作成なども行い、こうした一連の作業の成果を大部に報告書に集約した。この二年間の研究成果として以下のことが明らかになった。(1)近年の研究では1880年代後半から1890年代半ばにかけてのクリスピ時代に統治機構の大規模な改革が行われたことに注目が集まっていたが、それに先立つデプレーティス時代に国民形成に向けてのある種の構造転換が起きていた。(2)議会が多様な地域利害が議論・調整される場として、エリート層のナショナルな統合を推進する役割を果たしていた。(3)南部問題は、「国民国家」形成にとって重要なモーメントの一つであった。(4)カトリック教会やカトリシズムは従来想定されていた以上に、ナショナルな統合に大きな役割を果たしていた。(5)多様な地域的利害を交渉・調整していくうえで、ローカル・エリートが果たした役割の重要性が明らかになった。以上の成果を踏まえたうえで、今後は本研究の方法を深化させるために、特定の地域社会やローカル・エリートを対象とした中央一地方関係の事例研究を推進していく必要性を確認した

Misc

  • 相対多数代表と政党破片化-イタリア選挙制度の評価と課題-

    選挙学会紀要   1   87 - 99  2003年

  • 2極化と破片化-2001年イタリア上下両院選挙-

    選挙研究   18   47 - 57  2003年

  • The Italian Mixed Electoral System: Plurality System and Party Fragmentation

    Review of Electoral Studies    2003年

  • Bipolarization and Fragmentation: The 2001 Italian Elections

    Japanese Journal of Electoral Studies    2003年

  • 1996年イタリア上下両院選挙

    選挙研究   13   207 - 216  1998年

  • The 1996 Italian Elections and the Party System in Transition

    Japanese Journal of Electoral Studies   13   207 - 216  1998年

  • ガエターノ・モスカの『政治学要綱』における「政治社会」概念と19世紀末のイタリアにおける政治学の誕生

    ソシオサイエンス   ( 2 ) 97 - 109  1996年

  • Gaetano Mosca's "Science of Political Society" in "Elementi di scienza politica" and the Birth of Political Science in the Late 19th Century Italy

    WASEDA Review of Socio-Science   ( 2 ) 97 - 109  1996年

  • ガエターノ・モスカの『政府論』における「政治の科学」の提起と19世紀末のイタリア政治学の誕生

    ソシオ サイエンス   ( 1 ) 53 - 65  1995年

  • Gaetano Mosca's Criticism of the Late 19th Century Italian Parliamentary Government in "Teorica dei governi e governo parlamentare"

    SHAKAI KAGAKU TOKYU(The Social Sciences Review)   41 ( 1 ) 115 - 140  1995年

  • Gaetano Mosca's "Science of Politics" in "Teorica dei governi e governo parlamentare" and the Birth of Political Science in the Late 19th Century Italy

    WASEDA Review of Socio-science   ( 1 ) 53 - 65  1995年

  • 「イタリア政治学の戦後の発展と近年の動向(3)」

    池谷知明

    『早稲田政治公法研究』   43 ( 43 )  1993年  [査読有り]

  • 「イタリア政治学の戦後の発展と近年の動向(2)」

    池谷知明

    『早稲田政治公法研究』   42 ( 42 )  1993年  [査読有り]

  • On the Development of Italian Political Science after World War II(3)

    The Waseda Study of Politics and Public Law   43  1993年

  • On the Development of Italian Political Science after World War II(2)

    The Waseda Study of Politics and Public Law   42  1993年

  • 「イタリア政治学の戦後の発展と近年の動向(1)」

    池谷知明

    『早稲田政治公法研究』   40 ( 40 )  1992年

  • On the Development of Italian Political Science after World War II(1)

    The Waseda Study of Politics and Public Law   40  1992年

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • イタリアにおける選挙制度、議院内閣制と政党システムに関する総合的研究

    2023年10月
    -
    2024年09月

    イタリア   サピエンツァ・ローマ大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 社会科学総合学術院   大学院社会科学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2023年
    -
    2027年

    イタリア研究所   プロジェクト研究所所長

特定課題制度(学内資金)

  • 政治的分断と対立を超えるための新たな合意形成デモクラシーの構想と理論化

    2018年  

     概要を見る

     イタリア政治を事例に、研究課題に取り組んだ。まず、2017年改正の上下両院選挙法(以下、2017年選挙法と略記)に関して検討し、次に2017年選挙法に基づいて行われた2018年上下両院選挙について考察した。完全な勝者が出なかった選挙結果が示すように、イデオロギー・地域両面での分断と対立は続いているが、中道右派の同盟と五つ星運動による連立政権は合意形成デモクラシーの一つのあり方を示しているとも考えられる。2017年選挙法でクオータ制が導入された結果、女性議員が増加した。このことに注目して、第二次世界大戦後のイタリアにおける女性と政治について、女性への選挙権付与から始まって、制度構築、女性議員の推移などについて研究を進めた。

  • 直接デモクラシー化する多数決型デモクラシーに関する研究

    2017年  

     概要を見る

     1990年代半ばの政治変動を経て、イタリアは第2共和制に移行したとされるが、それは合意形成型デモクラシーから多数決型デモクラシーへの転換をめざしたものであった。他方で、イタリアでは1970年代半ば以降、国民投票によって社会改革、政治改革を行ってきた。イタリア政治のさらなる特徴は、政治の個人化、ポピュリズムに見られるように、既存の政党・制度を経由せず民意を直接的に政治に反映させようとする、言わば非制度的直接デモクラシーの進行が見られる点にあろう。このようなイタリア政治の状況を踏まえて、本研究は2017年選挙法、2018年上下両院選挙に焦点を当てて、制度的・非制度的直接デモクラシーと間接デモクラシーである多数決型デモクラシーとの接近・融合について研究を行った。

  • 合意形成型デモクラシーから多数決型デモクラシーへの移行に関する研究

    2016年  

     概要を見る

     イタリア政治制度改革、とくに完全な二院制の見直しに関する憲法改正に焦点を当てて、研究を行った。 憲法改正案の中心は「決められない政治」の象徴と思われた完全な二院制を見直しにあった。上院の権限を縮小し、同院議員の公選を止め、市長等を議員とする地方代表機関化しようとするものであった。こうした制度改革は、合意形成型デモクラシーから多数決型デモクラシーへの移行と捉えられる。 本研究では、憲法改正案を精査するとともに、制度改革をめざす論理について検討し、そうした論理を多数決型デモクラシー理論に即して考察した。また、2016年12月4日に行われた憲法改正国民投票についても分析を行った。

  • 1910年代イタリアにおける選挙制度改革に関する研究

    2015年  

     概要を見る

     本研究は、これまで行ってきた19世紀後半から20世紀初頭のイタリアにおける選挙制度史研究を発展させるものであり、男子普通選挙制の成立(1912年選挙法)を対象に主として有権者の創造の観点から研究を行った。 1912年選挙法そのものを精査し、議事録をはじめとする資料や当時の文献を参照しつつ、研究を進めた。9月にはローマの上院・下院図書館および国立図書館で調査を行った。 本研究では男子普通選挙制の導入を主導した当時の首相ジョリッティの政治的意図を明らかにした。他方で、投票率は上昇せず、また各地で直接行動が活発化したことから、選挙制度が大衆の政治参加の手段として機能しなかったと言える。この点については、今後の検討課題とし、ファシズム運動の勃興と関連づけて研究を行う予定である。

  • 現代ヨーロッパにおける代表と統合の変容に関する比較政治学的研究

    2014年  

     概要を見る

    本研究は「現代ヨーロッパにおける代表と統合の変容」に関する共同研究の一部として、イタリア大統領の代表と統合機能について考察を行った。 大統領に注目したのは、大統領が「国家元首であり、国民の統一を代表する」(イタリア共和国憲法第87条第1項)からであり、上下両院議員と各州代表が参加する会議の3分の2の多数で選出される(3回目の投票後は絶対多数で決する)(同83条)ことにある。1990年代半ばの第2共和制への移行後、政党の流動化と破片化が著しい政治状況にあって、大統領が統合機能を果たしていると考えられる。 研究は第2共和制の大統領の選出過程、政治状況を左右した権能行使に焦点を当てて進め、論文としてまとめつつある。

  • 1890年代イタリアにおける選挙制度改革に関する研究:改革に反発した民衆の視座から

    2014年  

     概要を見る

    イタリアでは1894年に行われた有権者資格の精査によって有権者が減少した。当時の首相クリスピによる反動的政策と理解されるが、他方でクリスピには識字という能力資格を持たない有権者を選挙人名簿から削除することによって、公益・国益について考えることのできる有権者の創造という意図があった。しかし、クリスピの意図は一般国民に伝わらなかった。というのも投票率が上昇しなかったからである。他方で、南部で民衆運動が起こり、北部では労働運動が高まっていた。この問題について、選挙参加のコストの観点から研究し、論文としてまとめつつある。

  • イタリア自由主義期における選挙制度改革と国民国家の再編に関する研究

    2013年  

     概要を見る

     申請者は、1848年に制定されたサルデーニャ王国選挙法(統一後はイタリア王国選挙法)および選挙資格が緩和された1882年選挙法を国民国家形成の観点から研究してきた。本研究は、こうしたイタリア自由主義期の選挙制度研究の延長線上に位置づけられる。 研究は、これまで収集してきた文献、資料の精査および9月に行ったローマの議会図書館、国立図書館などでの調査とその際に新たに収集した文献、資料の精査を中心に行った。 本研究に先行した1882年選挙法に関する研究で、同法が初等義務教育と選挙権を関連づけることによって有権者の創造と国民国家形成をめざしていたことを明らかにした。初等義務教育の実施に伴って増加していた有権者は1890年代に減少に転じた。その理由を考察することが、本研究の第一の目的であった。 通説的理解によれば、有権者の減少は当時の首相クリスピらの反動的な権威主義的な政策の結果とされる。この時代に行政改革が進められ、首相権限の強化、議会に対する政府の優位、知事の権限強化による中央集権体制の強化が行われ、南部での民衆の政治・社会運動、北部で高まった労働者運動が弾圧された。有権者の減少は、選挙権資格の精査、つまり初等義務教育修了程度の識字能力資格が厳密に精査されたためであったが、この精査もクリスピの権威主義的政治に結びつけられ、代表を抑える反動的政策として理解されてきた。 こうした通説に対し、本研究はクリスピおよび当時の政府指導者の意図が、精査を通じ公益、国益について考えることができる有権者の創造を企図したものであり、言わば国民国家の再編の意図に基づくという観点から下院議事録等の精査を通じて研究を進めた。 しかし、本研究を進めていく過程で、以下のような課題が浮上した。すなわち、有権者資格の精査に公益、国益を考えることができる有権者の創造があり、それら有権者を通じてのイタリアの近代化、強大化といったクリスピらの意図があったとして、それがなぜ一般国民に伝わらなかったのか、改革が成功しなかったのかという問題である。初等義務教育修了という、言わば「事実上の男子普通選挙権の成立」(選挙権拡大に反対する自由主義者は1882年選挙法をこのように評していた)にも関わらず、投票率は上昇しなかったが、それはなぜかといった問題(19世紀の下院選挙(上院議員は任命制)での得票率1882年選挙時の投票率は60.7%をピークとして、クリスピによる選挙資格「精査」後も60%を超えることはなかった)である。低投票率の一方で、南部での民衆運動、北部での労働運動が高まっていたが、それは選挙が代表回路として機能していなかったことを意味しているとも言えよう。 こうした課題が浮上したため、1912年の男子普通選挙権成立までの過程をトレースしようとした研究計画を修正し、政治指導者の観点に加え、選挙(制度)を拒否した反発した民衆の論理、メンタリティを追究することとした。さらなる資料、現地調査が必要なため、2014年度特定課題研究助成費を申請した。19世紀末のイタリア選挙制度改革を重層的かつ立体的に考察する予定である。

  • イタリアにおける政治学の誕生とその発展

    1995年  

     概要を見る

    95年度は,ガエターノ・モスカの著作を中心に課題に取り組んだ。 イタリア政治学の誕生は,1896年のモスカの『政治学要綱』(以下『要綱』)の公刊に一致するとされる。そこでは,科学としての政治学の樹立が宣言され,同時に,時代,場所を問わず,政府が存在する限り,その政府は組織された少数者によって運営されているという,政治階級の理論が提示されている。この政治階級の理論は,1884年に発表された『諸政府の理論と議会政治』(以下『政府論』)において明らかにされていた。 それでは,なぜ1880年代に,政治階級の理論が発表されることになったのか。この課題について,論文「ガエターノ・モスカの『政府論』における19世紀末イタリア議会政治批判」(『社会科学討究』第119号)で取り組んだが,当時の選挙過程とそこで選抜されてくる代議士階級の腐敗にたいする議会主義批判に起因することが明らかになった。選挙は国民の多数の意思が反映される場ではない。イタリアの惨状を改善していくためには,良質の政治階級を育成する必要があるというのがモスカの主張であった。このモスカの考えは,デモクラシーの全面否定につながるのだろうか。この点について,論文「ガエターノ・モスカの『政治学要綱』における『政治社会』概念と19世紀末イタリア政治社会」(『ソシオサイエンス』第2号)で主に『要綱』を中心に検討したが,モスカの力点は,単一の政治階級による政治支配ではなく,多元的な政治勢力の政治への参入であり,その競合によって,専制を阻止することにあった。したがって,モスカ理論は,多元主義的なリベラル・デモクラシーと親和性を獲得していくことが明らかになった。 モスカと同時代の政治学者についての考察,その後のイタリア政治学の発展に関しては,モスカ理論のアメリカ政治学への影響に関する問題とともに,今後の課題として残された。

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