2025/04/05 更新

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ジンノ ヒデノリ
陣野 英則
所属
文学学術院 文化構想学部
職名
教授
学位
博士(文学) ( 2001年02月 早稲田大学 )
修士(文学) ( 1995年03月 早稲田大学 )
プロフィール

1965年、福島県石城郡田人村(現いわき市田人町)生まれ。2009年より、早稲田大学文学学術院 教授。専攻は、平安時代文学、物語文学。『源氏物語』の言葉、語り手、話声(narrative voice)などの研究から出発し、その古注釈とさまざまな受容についても関心をいだいています。『うつほ物語』『堤中納言物語』『篁物語』なども研究対象としてきました。一方で、明治期をはじめとする近代の「国文学」に関する検討にも取り組んでいます。

著書に『源氏物語の話声と表現世界』(勉誠出版、2004年)、『源氏物語論―女房・書かれた言葉・引用―』(勉誠出版、2016年)、『藤岡作太郎 「文明史」の構想』(岩波書店、2021年)、『堤中納言物語論 読者・諧謔・模倣』(新典社、2022年)、 編著に『源氏物語の鑑賞と基礎知識 38 匂兵部卿・紅梅・竹河』(至文堂、2004年)、『平安文学の古注釈と受容』第一集~第三集(共編著、武蔵野書院、2008-2011年)、『世界へひらく和歌 言語・共同体・ジェンダー』(共編著、勉誠出版、2012年)、『王朝文学と東ユーラシア文化』(共編著、武蔵野書院、2015年)、『日本文学研究ジャーナル』第3号〈特集 源氏物語の和歌と言説分析〉(共編著、古典ライブラリー、2017年)、『日本「文」学史 』第一冊~第三冊(共編著、勉誠出版、2015-2019年)、『近代人文学はいかに形成されたか―学知・翻訳・蔵書』(共編著、勉誠出版、2019年)、『身と心の位相  源氏物語を起点として』(共編著、青簡舎、2021年)など。

経歴

  • 2009年04月
    -
    継続中

    早稲田大学文学学術院   教授

  • 2024年03月
     
     

    パリ・シテ大学   社会人間学部 東アジア言語文明学科   客員研究員

  • 2010年04月
    -
    2012年03月

    お茶の水女子大学・お茶の水女子大学大学院 非常勤講師

  • 2004年04月
    -
    2009年03月

    早稲田大学文学学術院   助教授 → 准教授

  • 2001年04月
    -
    2004年03月

    早稲田大学文学部   専任講師

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学歴

  • 1995年04月
    -
    1998年03月

    早稲田大学大学院   文学研究科 博士後期課程   日本文学専攻  

  • 1993年04月
    -
    1995年03月

    早稲田大学大学院   文学研究科 修士課程   日本文学専攻  

  • 1984年04月
    -
    1988年03月

    早稲田大学   第一文学部   哲学科哲学専修  

委員歴

  • 2023年05月
    -
    継続中

    中古文学会  代表委員

  • 2011年05月
    -
    継続中

    中古文学会  常任委員

  • 2004年04月
    -
    継続中

    平安朝文学研究会  委員(事務局担当)

  • 2001年12月
    -
    継続中

    早稲田大学国文学会  評議員

  • 2020年12月
    -
    2024年11月

    日本文学協会  運営委員

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所属学協会

  •  
     
     

    早稲田大学国文学会

  •  
     
     

    早稲田大学国語教育学会

  •  
     
     

    和漢比較文学会

  •  
     
     

    和歌文学会

  •  
     
     

    ヨーロッパ日本研究協会

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研究分野

  • 日本文学   古典文学

研究キーワード

  • 日本文学

  • 日本古典文学

  • 平安時代文学

  • 平安文学

  • 中古文学

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メディア報道

  • "『源氏物語』プロジェクト"を支えた女性たち

    テレビ・ラジオ番組

    NHK (ラジオ第2)   カルチャーラジオ 日曜カルチャー  

    2022年10月

     概要を見る

    NHK文化センター青山教室において収録された5回にわたる講義の放送(2022年10月2日~10月30日)。

 

論文

  • 『源氏物語』から平安後期物語にわたる笑い

    陣野英則

    渡邉裕美子・田渕句美子編『『源氏物語』 創成と記憶 平安から江戸まで』(花鳥社)     pp.83-105  2024年12月

  • 『うつほ物語』における廃墟的な場―三条京極の俊蔭邸と蔵の意義

    陣野英則

    木下華子・山本聡美・渡邉裕美子編『【アジア遊学297】廃墟の文化史』(勉誠社)     pp.24-37  2024年10月

  • 『源氏物語』における笑い―〈非-笑い〉の物語の中で―

    陣野英則

    『國語と國文學』(東京大学国語国文学会)   101 ( 10 ) pp.3-18  2024年10月  [国内誌]

  • 『源氏物語』において揺り戻される時間

    陣野英則

    川村裕子編『平安朝の文学と文化 紫式部とその時代』(武蔵野書院)     pp. 201-219  2024年04月

  • 『源氏物語』「少女」巻における漢詩文引用 ―陸機「豪士賦 序」が引かれる意味―

    陣野英則

    河野貴美子・杜暁勤編『中日古典学ワークショップ論集 第一巻 ―文献・文学・文化―』(汲古書院)     pp. 237-244  2024年03月

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書籍等出版物

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講演・口頭発表等

  • 『紫式部日記』を読み解く

    陣野英則  [招待有り]

    アカデミックレクチャー   (鎌倉)  鎌倉女学院高等学校  

    発表年月: 2024年12月

    開催年月:
    2024年12月
    -
     
  • 平安時代の物語における笑い

    陣野英則  [招待有り]

    平安から明治時代にかけての笑いと日本文学   (パリ(パリ・シテ大学))  パリ・シテ大学、 東アジア文明研究センター  

    発表年月: 2024年03月

  • 『源氏物語』の注釈をめぐって―古注釈と近現代の注釈書を往還する―

    陣野英則  [招待有り]

    『源氏物語』の注釈書をテーマとするワークショップ   (パリ(パリ・シテ大学))  パリ・シテ大学、 東アジア文明研究センター  

    発表年月: 2024年03月

  • 国際日本学の10年―教育の創成・動向・展望―

    陣野英則  [招待有り]

    SGU 10周年記念シンポジウム「〈日本〉史をひらく」   (東京(早稲田大学))  スーパーグローバル大学創成支援事業 国際日本学拠点、早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所  

    発表年月: 2023年12月

    開催年月:
    2023年12月
     
     
  • 『源氏物語』の作者と書写者、そして文字

    陣野英則  [招待有り]

    アカデミックレクチャー   (鎌倉市)  鎌倉女学院高等学校  

    発表年月: 2023年12月

    開催年月:
    2023年12月
     
     

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 平安時代文学、特に和文と歌謡にみられる韻律的表現の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2025年03月
     

    陣野 英則, 山中悠希, 山﨑薫

     概要を見る

    本研究の1年目にあたる2021年度は、研究代表者、研究分担者(2名)、および本研究と密接に関わる研究にとりくむ早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程の院生(1名)の計4名による小さな研究会を5回開催した(いずれもZoomミーティング利用による)。
    まず、第1回(7/8)では、代表者と分担者が、それぞれの研究対象に関わる問題のありかなどを整理して提示した。つづいて、第2回から第5回までは、参加者が1回ずつ発表を担当した。すなわち、第2回(9/10)は「『源氏物語』における催馬楽「高砂」引用」(山﨑薫)、第3回(11/12)は「『うつほ物語』の秀句」(藤澤咲良)、第4回(1/14)は「『枕草子』の音律と音韻」(山中悠希)、そして第5回(3/18)は「『源氏物語』の散文部分に関する韻律的表現」(陣野英則)であった。これらのうち、第2回の発表内容にもとづく論文が、既に『日本歌謡研究』61号(日本歌謡学会)に掲載されている。また、第3回の発表内容は、全国大学国語国文学会(124回大会)において発表された。
    上記5回の研究会を通じて、参加者たちの間で各作品、ジャンルの重要な先行論などに関する知見を共有するとともに、それぞれの研究対象の特性についても把握することができた。
    さらに、本研究課題と間接的に関わる研究も展開している。具体的には、『枕草子』における女房たち、表現、本文異同などをとりあげた論文と研究発表(山中)、『堤中納言物語』「貝あはせ」「はなだの女御」をとりあげた論文(陣野)などである。なお、特に「貝あはせ」に関しては、韻律的表現に関わる反復表現についても論じた。他方において、韻律的表現に関するかつての先行研究が、現在ではまったく注目されていない状況もふまえ、明治から昭和期の日本文学研究(国文学)にも適宜目を配り、必要に応じた調査を行った(陣野)。

  • グローバルな視野からみる和漢の「文」と日本古典籍をめぐる学術文化史研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2024年03月
     

    河野 貴美子, 高松 寿夫, 陣野 英則, 田中 史生, 吉原 浩人

     概要を見る

    本研究は、日本における和漢の「文」と、日本古典籍をめぐる学術文化史をグローバルな視野から捉え、過去から現在に至る人文知の歩みについて研究を進めることにより、古典学の課題や意義を改めて問い直し、発信していくことを目指すものである。そのための方法として具体的には、①「日本における「文」の概念をめぐる通史を描き出す研究」、②「東アジアと世界の古典学の比較研究」、③「日中古典籍の交流と融合をめぐる研究」、以上三つの柱を設定して、研究活動を展開し、それぞれの成果を書籍などにまとめ公表としていく計画を立て研究を進めている。
    ①については、研究協力者であるマサチューセッツ工科大学のWiebke DENECKE 教授との共同研究を進め、全六部三十一章からなる『日本「文」学史 通史篇』(仮)の構成と概要を打ち立て、第一章から執筆にとりかかった。具体的には、オンラインを利用してミーティングを重ね、各章ごとに先行研究の収集確認を行ったうえで、執筆すべき内容や構成について具体的検討を進め、英語および日本語による執筆を開始した。
    ②については、これもWiebke DENECKE 教授との共同研究を進め、東アジアの古典学を世界との比較を通して研究、発信していくために有効な切り口や具体的題材、そして議論や成果発信の方法について検討を重ね、ワークショップ開催に向けての準備を進めた。
    ③については、過去2回開催した中日古典学ワークショップの成果論文集の刊行準備を研究協力者である北京大学の杜暁勤教授、劉玉才教授と連携して進め、まずは中国語版論文集の刊行に向けて校正作業を終え、並行して日本語版論文集の刊行準備も整えた。また、2022年には第3回中日古典学ワークショップを開催すべく準備を進め、研究分担者を中心として発表者を確定し、ワークショップでの発表向けての具体的調査、研究活動を行っている。

  • 古代・中世日本における廃墟の文化史

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

    木下 華子, 山本 聡美, 堀川 貴司, 渡邉 裕美子, 陣野 英則, 山中 玲子, 梅沢 恵

     概要を見る

    2021年度は、前年度に引き続いて新型コロナウィルス感染症(covid-19)の大きな影響を受け、参会しての研究会はもとより、共同調査や踏査を行うことは不可能となった。しかし、web会議システムを用いて計4回の定例研究会を行うことで研究の進展をはかることができたと考えている。
    定例研究会の日程・発表者・内容は以下の通りである。①山本聡美「教説と廃墟(3)──罪業の証としての病、滅罪の場としての廃墟」(2021年6月20日)、②梅沢恵「一遍聖絵」巻三第二段[三輩九品の道場]─中世の祇園精舎観を手がかりとして─」(2021年9月7日)、③山中玲子「能《半蔀》を読み直す―シテはどんな場所にいるのか―」(2021年12月27日)、④堀川貴司「五山文学の題材―廃墟論の前提として―」(2022年3月18日)。
    これらの研究会の発表と質疑によって明らかにされたのは、各ジャンル(仏典・説話・中世絵画・謡曲・漢詩文)における廃墟の表象のあり方と象徴性、文化史的位置付けである。本研究が掲げた問題意識のうち、(1)「日本の古代・中世の文学・美術・芸能において、廃墟はいかに表象され、また、その表象はいかに変容していくのか」、(2)「古代・中世における廃墟の表象は、当時の政情や時代思潮・宗教思想と、どのように切り結ぶのか」、(3)「東アジアの廃墟という視点から、日本の廃墟はどのように定位できるのか」という3つについては、学術的な共通理解を醸成し、学問的枠組を共有する段階に至りつつあると考える。
    また、研究成果の公開としては、2020~21年度に開催した研究発表から、山中「能《半蔀》のワキ」(2021年)、渡邉「彷徨する寂蓮ー寿永百首家集『寂蓮集』雑歌をめぐってー」(2022年)、木下「『東関紀行』における旅の造型」(2022年)などが挙げられる。

  • 東アジアの視野からみる和漢の「文」の学術文化史研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2020年03月
     

    河野 貴美子, 新川 登亀男, 陣野 英則, 高松 寿夫, 吉原 浩人

     概要を見る

    前近代から近現代に至る「文」と「文学」の変化を検証し、現在の人文学が抱える問題の本質に迫ること、また日本及び東アジアの「文」学の意義と可能性を追求することを目指し、以下の3項目を柱として研究を実施した。
    1.日本の学術文化史を「文」の概念から捉え直す研究をWiebke DENECKE教授と連携して行い、その成果を『日本「文」学史』全三冊として刊行した。2.古注釈書の研究と共に、和漢の古典籍の研究を進め北京大学中国語言文学系と連携して中日古典学ワークショップを開催した。3.近代初期の日中の図書館の蔵書形成と目録分類について北京での調査を基に分析を進め、その成果を口頭発表や論文により公表した。

  • 『源氏物語』古注釈の展開と平安文学の受容に関する基礎的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2020年03月
     

    陣野 英則, 坂本 清恵, 新美 哲彦, 宮川 葉子, 山中 悠希, 横溝 博

     概要を見る

    この事業は、『源氏物語』の古注釈書の研究、および近現代における平安文学の受容に関する研究という二つの柱を立てて実施した。
    前者では、室町末期の重要な古注釈書ながら、未だ翻刻のない『長珊聞書』の翻刻を中心に据えた。膨大な全体のうち四分の一の翻刻と入稿、さらに初校の校正までは終えており、いずれ公刊の予定である。また、研究会活動で、他の未翻刻の古注釈書について検討も行った。
    後者では、藤岡作太郎と黎明期の国文学に関して調査・検討を進め、論文二篇を発表した。また、藤岡に関する著書(単著)の準備も進めた。さらに、現代作家の『源氏物語』翻案作品について論じた。

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Misc

  • 解題

    陣野英則

    中島京子訳『堤中納言物語』〈河出文庫 古典新訳コレクション〉(河出書房新社)     pp.156-167  2024年03月

    記事・総説・解説・論説等(その他)  

  • 『源氏物語』の注釈書・現代語訳・梗概書一覧 ― 明治期から昭和前期まで ―

    陣野英則

    『WASEDA RILAS JOURNAL』(早稲田大学総合人文科学研究センター)   11   pp. 332(75)-321(86)  2024年01月  [査読有り]

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)  

  • 『源氏物語』の語り手とは?

    陣野英則

    『武蔵野文学』(武蔵野書院)   71   pp.6-10  2023年12月   [ 国内誌 ]

    その他  

  • 薄雲巻×語り 作中人物と語り手の「話声 (narrative voice)」を聴きとる

    陣野英則

    河添房江・松本大編『源氏物語を読むための25章』(武蔵野書院)     pp.173-183  2023年10月

    記事・総説・解説・論説等(その他)  

  • 「なにがしの院」と「むぐらの宿」―『源氏物語』の廃墟的な場―

    陣野英則

    神奈川県立金沢文庫編『特別展 廃墟とイメージ―憧憬、復興、文化の生成の場としての廃墟―』(神奈川県立金沢文庫)     pp.92-94  2023年09月

    記事・総説・解説・論説等(その他)  

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現在担当している科目

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担当経験のある科目(授業)

  • 言語文化ゼミ(ことばと文学・ことばと美意識)

    早稲田大学文化構想学部  

    2020年04月
    -
    継続中
     

  • 国際日本学研究指導 D

    早稲田大学大学院文学研究科  

    2019年04月
    -
    継続中
     

  • 日本語日本文学演習(卒論)

    早稲田大学文学部  

    2010年04月
    -
    継続中
     

  • 複合文化論系演習(日本の美意識)

    早稲田大学文化構想学部  

    2009年04月
    -
    継続中
     

  • 日本語日本文学演習

    早稲田大学文学部  

    2009年04月
    -
    継続中
     

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社会貢献活動

  • 源氏物語をよむ

    NHK文化センター青山教室 

    2018年04月
    -
    継続中

     概要を見る

    『源氏物語』の本文をじっくりと丁寧によみすすめる講座(これまで「柏木」巻から担当を開始、現在は「竹河」巻)。

  • 朗読座公演「源氏物語の語りを愉しむ―紫のゆかりの物語」

    朗読座  (浜離宮朝日ホール) 

    2024年11月
    -
     

     概要を見る

    「第1部 トークセッション」のゲストとして、朗読座主宰の紺野美沙子氏とのトークにおいて解説役を務めた。

  • 『源氏物語の女君たち―その情念を語る、奏でるⅠ

    箏の顚末実行委員会  箏の顚末 vol. 13  (MUSICASA(東京)) 

    2024年07月
    -
     

     概要を見る

    「朗読と箏で物語の空間を描く」という「箏の顚末」シリーズの13回目で初めて『源氏物語』をとりあげるにあたり、監修と、当日(昼と夜の二回)の公演における解説役を務めた。

  • 光源氏という有識者 ―『源氏物語』にみえる発言から―

    日本アスペン研究所  「アスペン・フェローズ」懇話会 

    2024年03月
    -
     

  • 【青山アカデミー】『源氏物語』の中の「文化論」

    NHK文化センター青山教室 

    2024年01月
    -
    2024年03月

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   大学院文学研究科

  • 附属機関・学校   グローバル・エデュケーション・センター

特定課題制度(学内資金)

  • 平安時代の仮名書きの文学と手紙に関する研究

    2007年  

     概要を見る

     平安時代の仮名文字を用いた文学と手紙との関係を探求しようする本研究は、当初、以下の4つの目的を設定した。 (1) 『源氏物語』『堤中納言物語』などにみられるさまざまな手紙から、仮名文字を用いた文学と手紙との連続面をとらえる。 (2) 平安時代の「歌語り」の源流には、音声としての「語り」ではなく、手紙に相当する物体があったことを論じる。 (3) 上記(2)に伴い、「歌語り」あるいは「歌物語」の定義・概念規定などを根本的にとらえ直す。 (4) 仮名文字を用いる文学全般、すなわち和歌文学・物語文学・日記文学などにおける手紙の諸相を網羅的に調査・整理する。 これらのうち、特に(1)については、前年度(2006年度)に公にした数篇の論文からの展開として、2007年度は、『堤中納言物語』の中の「よしなしごと」に関する論文と、『源氏物語』「橋姫」「椎本」巻に関する論文を執筆した。 「よしなしごと」は、ある僧がしたためた手紙をそのまま引用しているという体裁がとられていると思しい。ただし、書簡そのものの言葉と、これを引用・書写する者の記している言葉との境界は甚だ曖昧である。そうした点などに注目して、物語と手紙との連続面をとらえた。 また、『源氏物語』「宇治十帖」の最初の巻、「橋姫」では、密通によって生まれた薫が、自身の出生に関わる謎を解く証拠物件、すなわち母女三の宮と亡き実父柏木との間で交わされた手紙の数々が入っている袋を老女房弁から受け取っている。それらの手紙に書かれてあること自体が、薫当人の出生に関わる「昔物語」である。一方、「橋姫」以降の物語は、薫当人が実地に体験してゆく、一風変わった「昔物語」となる。そのように、薫の実の父母が遺した手紙から薫当人の「物語」への連続面をとらえた上で、新たな薫論を試みた。 上記の目的(2)については、2007年度末現在、いくつかの注目すべき素材を拾い上げてみた段階である。たとえば『伊勢物語』『蜻蛉日記』『源氏物語』『紫式部集』などから、「歌語り」の生成を示唆する事例を丹念に抽出し、それらを分析・検討して論文にまとめる予定であるが、論文の完成までにはもうしばらく時間を要する。  上記の目的(3)と(4)については、当初から1年間で成果としてまとまるものとは考えていなかった。網羅的な調査・整理については特に数年の時間を費やして、充分に吟味する必要があると考えている。

  • 『長珊聞書』を中心とする中世の源氏物語古注釈の研究

    2006年  

     概要を見る

     中世の源氏物語古注釈書『長珊聞書』(陽明文庫蔵、全53冊、約3100丁分)の紙焼きコピーは、2004年7月に入手していたが、今年度は、昨年度に引き続き、この膨大な量に及ぶ資料の解読・翻刻作業を進めた。この作業は、早稲田大学大学院出身の新美哲彦・緑川真知子・横溝博の三氏の協力を得ている。この翻刻の成果については、武蔵野書院から『源氏物語古註釈叢刊』(全10巻、既刊8巻)の続刊として、全4分冊で刊行されることが決まっている。当初は、4分冊のうちの第1分冊(「桐壺」~「須磨」巻)を2006年度中に刊行する予定であったが、翻刻作業がまだ完了していないため、刊行は2007年度となる。 また、中世の源氏物語古注釈研究の一環として、一条兼良から牡丹花肖柏、そして三条西家の注釈へと至る過程をより実証的にとらえるべく、若手研究者ならびに大学院生たちとともに、研究会(原則として月1回)において未翻刻の注釈書の解読作業に取り組んでいる。現在は『肖柏問答抄』を読み進めている。さらに、この研究会での活動の成果を公にするため、論集の編纂を企画している。予定としては、2008年秋に第1集を刊行すべく調整中である。 さらに、これらの古注釈研究と並行して、平安時代の物語文学を主たる研究対象とする論文3篇などを発表した。うち2篇の論文では、特に和文(仮名文書)の生成をめぐる新たな考察を展開している。また、『堤中納言物語』「逢坂越えぬ権中納言」の生成・享受に関する論考もまとめた。

  • 『光源氏物語抄』を中心とする中世源氏古註釈と、『源氏物語』本文の研究

    2003年  

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     2002年度より、中世前期の古注釈書において、『源氏物語』本文の区分に関する注記がどの程度見出されるか、ということを網羅的に調査・検討した。そうした注記は、基本的にほとんど見出されないのであるが、今回の調査・検討によって、『光源氏物語抄(異本紫明抄)』の中に引用されている素寂説が、同時代の注釈に比べると、本文の区分に関してかなり先駆的であること等がわかった。このことについては、既に論文にまとめてあり、近く刊行する予定の著書『源氏物語の話声と表現世界』に、これを補正した上で収載する予定である。 これと並行して、2003年度からは、中世に成立した『源氏物語』の古注釈書のうち、重要な位置にありながらも未だに翻刻さえなされていないものに注目すべきであろうと考え、それらの注釈書に関する調査の準備をはじめた。特に、京都・陽明文庫のみに現存する『長珊聞書』(全53冊)は、室町末期までの諸注を集成する膨大な注釈書であり、注目に値するとおもわれた。『源氏物語』注釈史上とりわけ重要な「家」と目される三条西家の公条の講釈を聴聞した、長珊なる人物によってまとめられたものであるが、未だに充分な調査も翻刻もなされていない。 そこで、2003年12月、陽明文庫を訪ね、写本の調査にあたった。結果、その注釈内容は(先行する注釈の引用も含め)かなり詳細であること、殊に、他の古注釈では常に注記の分量が少ない「宇治十帖」に関しても、その量・質ともに充実していることなどが確認された。中世後期の『源氏物語』古注釈の展開を把握する上で、きわめて重要な注釈と考えられることから、全53冊、計3000丁(6000頁)を超える写本の紙焼きコピーの許可を申請し、かつはその翻刻・紹介についても許可を得ることとなった。2004年度以降、その翻刻作業に取り組むこととなろう。

  • 『うつほ物語』の表現方法、及びその本文の変容に関する研究

    2001年  

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     これまで、『源氏物語』の表現方法に関して多角的に研究をつづけてきたが、『源氏物語』の独自の達成をみきわめる上でも、これに先行する長篇『うつほ物語』の表現方法の検討が必須であるとおもわれる。その表現方法として、たとえば、『源氏物語』以降の物語文学よりも、むしろ男性の漢文日記に通底するような叙述が注目されてきたが、その一方で、『源氏物語』のさきがけとなるような表現も、(おもに会話文中において)見出されるようである。それらは、これまでさほど評価されてこなかったが、今後は『うつほ物語』の仮名文としての先駆的な表現に光をあてることで、平安前期の物語から『源氏物語』にいたるまでの表現方法の展開について、再検討する必要があろう。本研究では、特に、この物語全体にわたり膨大な量を占める会話文を逐一検討して、仮名文としての表現の深化を汲み取ってゆくことにした。これは、いまなお調査・検討を継続中である。 他方、『うつほ物語』においては、『源氏物語』の主人公と同様、「源氏」の正頼がいわゆる王者性らしきものを発揮して藤原摂関家を圧倒し、権力を獲得しているという点も、物語文学の根源的な特質を考える上で注目すべき問題であることに気付いた。これらの長篇物語が生成された時代は、まさに藤原摂関家の全盛期であったにもかかわらず、なぜ物語文学は「源氏」の勝利を描くのか。これまでは、『源氏物語』あるいは光源氏に関する議論が集中していたため、他の物語作品における「源氏」の問題は、論じられることが少なかったようである。そこで、『うつほ物語』の「源氏」、殊に源正頼とその子女たちについて考察した。その結果、『うつほ物語』の「源氏」は、将来の卓越した帝、あるいは新たなる皇統に寄与するような位置にあるという特徴がとらえられた。これについては、シンポジウム報告・学会発表でとりあげたのち、論文にまとめている。