2024/12/21 更新

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ミヤギ トクヤ
宮城 徳也
所属
文学学術院 文化構想学部
職名
教授
学位
博士(文学)(京都大学)

所属学協会

  •  
     
     

    京都大学西洋古典研究会

  •  
     
     

    早稲田大学英米文学研究会

  •  
     
     

    早稲田大学英文学会

  •  
     
     

    日本西洋古典学会

研究分野

  • ヨーロッパ文学

研究キーワード

  • 文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典、英語・英米文学

 

論文

  • ウォルター・ペイターとギリシア悲劇 ザグレウスとしてのディオニュソスをめぐって

    宮城徳也

    ヴィクトリア朝文化   ( 21 )  2023年11月  [招待有り]

  • 書評「A. J. Boyle, ed., Seneca Thyestes.Pp. cxix+561, Oxford UP 2017」

    宮城徳也

    西洋古典学研究   64   54 - 55  2022年03月  [招待有り]

  • ローマ文学に見られるオリンピア競技会のイメージ

    宮城徳也

    西洋古典学研究   64  2022年03月  [査読有り]

  • 「祝婚歌」の伝統とPervigilium Veneris(『ウェヌスの宵宮』)

    宮城徳也

    比較文学年誌   ( 58 ) 16 - 32  2022年03月

  • 古典古代の疫病と都市 文学作品における描写

    宮城徳也

    坂上桂子(編)『危機の時代からみた都市』水声社     227 - 250  2022年03月  [査読有り]

  • 書評「Catherine Ware, Claudian and the Roman Epic Tradition, Cambridge UP, 2012」

    宮城徳也

    西洋古典学研究   65   112 - 115  2017年03月  [招待有り]

  • セネカの悲劇『メデア』の第一合唱隊歌と祝婚歌の伝統

    宮城徳也

    WASEDA RILAS JOURNAL   4   169 - 181  2016年11月  [査読有り]

  • 伝セネカ『オクタウィア』の独創性

    宮城徳也

    WASEDA RILAS JOURNAL   3   39 - 51  2015年11月  [査読有り]

  • セネカ『オエディプス』の独創性

    宮城徳也

    比較文学年誌   51 ( 51 ) 18 - 43  2015年03月

    CiNii

  • 小プリニウス『書簡集』,トゥキュディデス『歴史』

    宮城徳也

    『震災後に読む文学』早稲田大学ブックレット「震災後に考える」早稲田大学出版部     53 - 63  2013年03月

  • エウリピデス『イオン』における縁起譚と宗教儀礼

    宮城徳也

    『聖地と聖人の東西』勉誠出版     351 - 377  2011年08月  [査読有り]

  • 「悲劇」,「牧歌・小叙事詩」を担当

    高橋宏幸, の分担執筆

    『初めて学ぶラテン文学史』,ミネルヴァ書房    2008年10月

  • 書評「Horstmann, S.. Das Epithalamium in der lateinischen Literatur der Spaetantike, Saur, 2004」

    宮城 徳也

    『西洋古典学研究』,日本西洋古典学会・岩波書店   55   146 - 149  2007年03月  [招待有り]

    DOI CiNii

  • ギリシャ語とラテン語

    『ヨーロッパ世界のことばと文化』,成文堂    2006年05月

  • ホラティウスの詩論

    宮城 徳也

    比較文学年誌   ( 40 ) 20 - 31  2004年03月

    CiNii

  • 韻文散文混交の文学 ペトロニウスの『サテュリコン』とセネカの『アポコロキュントシス』

    早稲田大学比較文学研究会    2002年12月

  • 書評「Catherine Connors, Petronius the Poet: Verse and Literary Tradition in the Satyricon, Cambridge University Press, 1998」

    宮城 徳也

    『西洋古典学研究』日本西洋古典学会・岩波書店   50   102 - 104  2002年03月  [招待有り]

    DOI CiNii

  • 詩人としてのペトロニウス

    日仏ギリシア・ローマ学会    2001年11月

  • ローマ喜劇集4(『トルクレントゥス』担当)

    京都大学学術出版会    2001年04月

  • キケロー選集1(『セスティウス弁護』担当)

    岩波書店    2001年03月

  • ローマ喜劇集1(『ロバ物語』担当)

    京都大学学術出版会    2000年09月

  • キケロー選集2(『バルブス弁護』担当)

    岩波書店    2000年08月

  • 牧歌の変容

    週刊朝日百科『世界の文学』 朝日新聞社   53  2000年07月

  • マージナリア 隠れた文学/隠された文学

    大平 章

    鶴見書店   ( 38 ) 179 - 181  1999年03月

    CiNii

  • 伝統の断絶と復興 ヨハンネス・セクンドゥスの祝婚歌をめぐって

    『マージナリア』(鶴見書店)所収    1999年03月

  • セネカ悲劇集2(『テュエステス』担当)

    京都大学学術出版会    1997年06月

  • ローマ文学の中のpietasの問題 『アエネイス』とセネカの悲劇『メデア』、『パエドラ』の場合

    宮城 徳也

    『甲子園大学紀要 経営情報学部編』 甲子園大学   24 ( 24 ) 87 - 98  1997年03月

    CiNii

  • カトゥッルス『詩集(カルミナ)』におけるfidesとpietas

    『甲子園大学紀要 経営情報学部編』 甲子園大学   23  1996年03月

  • セネカの悲劇『狂えるヘルクレース』におけるuirtusの変容

    宮城 徳也

    『西洋古典学研究』 日本西洋古典学会・岩波書店   43   87 - 96  1995年03月

     概要を見る

    Seneca's Hercules Furens has almost the same plot as its model, Euripides' Herakles, but examining the two tragedies in detail we also find many differences between them. The word, uirtus, is frequently used in Hercules Furens and it is emphas ized that Hercules is a man of uirtus in the first half. After he returned from the lower world and killed Lycus, the glory of his uirtus seemed to be proven, but he was suddenly driven mad by Juno and killed his own wife and children. When he came to his senses and realized what he had done, he was shocked and tried to commit suicide. Besides his sadness and sense of guilt, the reason for trying to commit suicide was that he had thought the fame of his uirtus had been disgraced. He tried to commit suicide, so to speak, because of uirtus. Then he was persuaded to give up suicide by his father, Amphitryon, who appealed to Hercules' filial piety, pietas. In Euripides' Herakles, the fear of losing his reputation made the hero give up suicide and decide to live bearing his fate and hardships. It seems that Hercules, a man of uirtus, changed his mind because of pietas in the version by Seneca, but Herakles adhered to being a man of uirtus to the end in Euripides' version. This difference is very important. In the prologos of Hercules Furens, Juno said that Hercules was too proud of his uirtus and foretold that the uirtus of Hercules would be the cause of his harm. A negative view regarding exessive uirtus is stated in the first choral ode and the chorus seems to think Hercules' katabasis (going to the lower world)was a deed caused by his excessive uirtus. Lycus, who was not a man of pietas, also thought himself to be as much a man of uirtus as Hercules and many correspondences between Lycus and Hercules are seen in Hercules Furens. Lycus was killed and Hercules became unhappy by the harm caused by the caprice of Fortuna which was also the theme of the chorus, but Hercules had a chance to recover from his harm with the help of pietas, because, as I said, Hercules, a man of uirtus, changed his mind when his father appealed to his pietas, unlike Euripides' hero, and decided to live bearing hardships, as his model. The persuasion scene seems to show us the transformation of Hercules from a man of uirtus to a man of uirtus with pietas. On these grounds, I conclude that Seneca created a new type of Hercules as a hero bearing hardshps who had become unhappy despite his uirtus because of the harm caused by the caprice of Fortuna, but decided to continue living as a man of uirtus improved by pietas.

    DOI CiNii

  • セネカの悲劇『狂えるヘルクレース』におけるuirtusの変容

    日本西洋古典学会(名古屋大学)    1994年06月

  • 祝婚歌の伝統と革新 スタティウスとクラウディアヌス

    『西洋古典論集』 京都大学西洋古典研究会   11  1994年03月

  • セネカの悲劇『テュエステス』のpietasについて

    『西洋古典学論集』 京都大学西洋古典研究会   9  1991年11月

  • 牧人の恋の嘆き 「恋の薬は歌のみ」をめぐって

    『ほらいずん』 早稲田大学英米文学研究会   21  1989年03月

  • 十六世紀祝婚歌のヘレニズム

    『ほらいずん』 早稲田大学英米文学研究会   19  1987年03月

  • 文学形式としての祝婚歌について 16世紀を中心に

    早稲田大学英文学会(早稲田大学)    1985年12月

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書籍等出版物

  • ギリシャ・ローマ文学必携

    宮城徳也

    早稲田大学文学部/トランスアート  2006年04月

講演・口頭発表等

  • ウォルター・ペイターの「ギリシア」――神話から悲劇へ

    宮城徳也  [招待有り]

    日本ヴィクトリア朝文化研究学会第22回全国大会  

    発表年月: 2022年11月

    開催年月:
    2022年11月
     
     
  • 祝婚歌の伝統の中のPervigilium Veneris

    宮城徳也  [招待有り]

    関西大学東西学術研究所【日本言語文化学研究班】国際シンポジウム「越境」の文化を語る― 日本、イタリア、英国の交差する視点  

    発表年月: 2021年10月

    開催年月:
    2021年10月
     
     
  • ローマ文学に見られるオリンピア競技会のイメージ

    宮城徳也  [招待有り]

    西洋古典学会 2021 年シンポジウム「オリンピア——古典古代のからだとこころ」  

    発表年月: 2021年05月

    開催年月:
    2021年06月
     
     
  • 伝クラウディアヌスの祝婚歌と修辞家メナンドロス

    宮城徳也  [招待有り]

    名古屋大学西洋古典研究会 2019年研究発表会  

    発表年月: 2019年12月

    開催年月:
    2019年12月
     
     
  • スピネッロ・アレティーノとトスカーナの諸都市

    宮城徳也  [招待有り]

    都市と美術研究会  

    発表年月: 2018年11月

    開催年月:
    2018年11月
     
     
  • 『ルネサンス』のルーカ;デッラ・ロッビア

    宮城徳也  [招待有り]

    日本ペイター協会第54回年次大会  

    発表年月: 2015年10月

    開催年月:
    2015年10月
     
     
  • セネカ『オエディプス』の独創性 ピエタスをめぐって

    宮城徳也  [招待有り]

    京都大学西洋古典研究会2013年度 12月研究発表会  

    発表年月: 2013年12月

    開催年月:
    2013年12月
     
     
  • 伝セネカ『オクタウィア』のセネカ的要素とピエタス

    宮城徳也

    日本西洋古典学会第56回大会  

    発表年月: 2005年06月

    開催年月:
    2005年06月
    -
     
  • セネカの悲劇『狂えるヘルクレース』におけるuirtusの変容

    宮城徳也

    日本西洋古典学会第45回大会  

    発表年月: 1994年06月

    開催年月:
    1994年06月
     
     

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 西欧古代と中世の文学史における連結点としてラテン語詩人クラウディアヌス

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    宮城 徳也

     概要を見る

    5世紀初頭にイタリアで宮廷詩人として活躍したクラウディウス・クラウディアヌスの作品群は,政治的・軍事的内容の作品,物語的叙事詩,小品群の3つに分けられ,キリスト教が既に国教となり,東西分裂したローマにおいて,異教的文学伝統を作品の中に活かし,彼以後の,中世文学の先駆けとなるキリスト教詩人たちの先例となった.本研究は,文学史において,彼が果たした古代から中世への連結点としての枠割を,3つの作品群と先行する古典文学の関係に注目し,宮廷詩人として権力者を称え,政権を肯定する役割を果たしながら,文学作品としての水準を保持し,後世の詩人たちの手本となり,中世キリスト教文学への道標となったことを示した.日本における西洋古典文学研究において,見過ごされがちだった古代末期のラテン語文学を代表する詩人クラウディウス・クラウディアヌスに注目し,「最後の異教詩人」と理解されがちなこの詩人が,古代文学の伝統に根付く様々なテーマを同時代に応用する作品を多く遺したことによって,彼以降のキリスト教詩人たち,ひいては中世ラテン文学の詩人たちの手本となり,西欧の文学伝統を後世に伝えるのに極めて重要な役割を果たしたことを明らかにすることによって,古代宗教(いわゆる異教)とキリスト教,古代と中世が画然と分けられ,古代文学の伝統はルネサンス期に復活したという印象が持たるが,こうした通俗的理解を修正する役割を果たした.

 

現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 古代と中世を連結する存在としてのラテン詩人クラウディス・クラウディアヌス

    2017年04月
    -
    2018年03月

    イタリア   フィレンツェ大学

  • 西洋古典学とルネサンス文化

    2007年04月
    -
    2008年03月

    イタリア   フィレンツェ大学

他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   大学院文学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

  • 政治経済学術院   政治経済学部

特定課題制度(学内資金)

  • 西洋古典古代後期の文学における戦争および疫病と都市

    2023年  

     概要を見る

    個人研究費と併せて,ギリシャ共和国のアテネに行くことができ,その間,紀元前430年に有名な疫病が発生したアテネの街とペリクレスの籠城作戦の根拠となったペイライエウスの港を実地検分し,合わせて諸博物館とアクロポリスなどの古代遺跡を訪ねて,ペリクレス以前の時代から,ローマ支配下の時代,やはり有名な疫病が起こった紀元後6世紀のユスティニアヌス帝の時代を含むビザンティン帝国時代のアテネの都市構造を理解する手掛かりを得た.さらに,ミケーネ,デルポイ,アイギナ島の古代遺跡,博物館を訪ねることができ,先史時代から古代後期にいたるまでの,ギリシャ地域,ギリシャ民族の歴史に関する文献資料に拠らないパースペクティヴを得ることができた.その中で,古代人にとって疫病,戦争と深く関係する信仰の問題に関しては,2022年11月に行なった講演をもとに,ディオニュソス神を死と再生の点からとらえ直した可能性があるザグレウスと言う神名について再考して,論文にまとめる機会を得,「ウォルター・ペイターとギリシア悲劇 ザグレウスとしてのディオニュソスをめぐって」(『ヴィクトリア朝文化 』21)に結実した.諸博物館でディオニュソス像,別の神格と考えられる蛇の姿の彫刻などを見ることで,論点の補強となる発想の一旦を得ることができた.以前発表した論文「古典古代の疫病と都市 文学作品における描写」とのリンクは今後の課題だが,ザグレウスが古代後期の詩人ノンノスの叙事詩『ディオニュシアカ』で印象深く扱われているとを考えると,古典古代後期の文学作品の中に,「死と再生」の神と疫病,都市におけるその信仰と関連付けられ,「古典古代の疫病と都市 文学作品における描写」でも触れた戦争との,その関連性が浮き彫りになってくると思われる.文献資料に拠った研究ではあるが,古代ギリシャに関する視覚的理解を深めることができたのは非常に有意義であった.

  • 古典ギリシャ・ラテン文学の哲学者セネカの悲劇作品と後期ラテン文学への影響

    2022年  

     概要を見る

    クラウディウス・クラウディアヌスの諸作品とセネカの悲劇の比較から研究を始め,クラウディアヌスの文学上の後継者とも言うべきドラコンティウスが『メデア』を書いたことに着目し,セネカが継承して,後世に伝えたヘレニズム精神を中世に残し,ヨーロッパ文学の伝統を構成するものであることが明らかになった.ギリシア悲劇,セネカにも深い関心を抱いていたウォルター・ペイターに関して,「日本ヴィクトリア朝文化学会」第22回全国大会において依頼された講演「ウォルター・ペイターの「ギリシア」――神話から悲劇へ」を行ない,セネカにも影響したエウリピデス『バッカイ』を取り上げ,神ディオニュソスに対する視点を整理することができた.

  • 古典古代後期におけるラテン語による牧歌,祝婚歌の展開と,中世初期文学への影響

    2021年  

     概要を見る

    昨年度に続き,海外出張を控えなければならない状況だったので,本来は,フィレンツェのラウレンツィアーナ図書館その他での写本閲覧,欧米の博物館,美術館での古代遺産の調査の旅費として申請した予算であったが,やはり今年度も図書購入に充てざるを得なかった.しかし,今回の課題である「古典古代後期におけるラテン語による牧歌,祝婚歌の展開と,中世初期文学への影響」に関係する書籍を購入することにより,特に古代後期の作者不明のラテン語による抒情詩『ウェヌスの宵宮』(Pervigilium Veneris)に関する,16世紀の第一刊本(Editio Princeps)を踏まえ,その後に発見された写本情報も織り込んだ,17-19世紀の古い刊本の復刻版,20-21世紀に出版された英語,イタリア語による複数の注釈書を入手でき,その成果として,「祝婚歌の伝統の中のPervigilium Veneris」(関西大学東西学術研究所2021年度第一回研究例会)を発表し,それをもとに論文「祝婚歌の伝統の中のPervigilium Veneris」(『比較文学年誌』早稲田大学比較文学研究室,2022年3月)をまとめた.

  • 古代後期ラテン文学における伝統の継承と創造 クラウディアヌスからシドニウス

    2020年  

     概要を見る

    2020年度は、コロナ禍のため、海外出張を行なうことができず、本来イタリアへの研究出張のために獲得した研究助成金であったが、これを、書籍購入費に充てざるを得なかった。しかし、これによって、最近出版が盛んにおこなわれているBelle Lettrs叢書のクラウディアヌス関係の最新校訂テクストを購入でき、研究を前進させることができた。特にクラウティアヌスの物語詩『プロセルピナの誘拐』に関しては、ギリシャ、ローマの叙事詩的伝統の中にこれを位置づけ、叙事詩的技法であり、「描写」、「逸脱」、「叙事詩的比喩」の観点からこれを整理することによって、『プロセルピナの誘会』が、ホメロス風賛歌『デメテル賛歌』、オウィディウス『変身物語』の直接、間接の影響を受けていることは理解できた。さらに、こうした比較的短い場面を扱った作品だけではなく、一つのテーマを一貫して扱っているという意味では『イリアス』、『オデュッセイア』など長大な叙事詩から学んだ物語構成の技法踏襲の研究を深めるべきであるとの方向性を得ることができた。シドニウスに関しては、クラウディアヌスから何を引き継いだかと言う研究から始まらざるを得ず、どうしても祝婚歌の対比研究から始めざるを得ず、その点に関しては、結婚させる者coiugatorと花嫁の介添えの既婚女性pronubaの役割と統合した女神Venusをめぐる描写の対比研究に終始することとなった。ラテン語の措辞などに時代的変化が見られ、ともにキリスト教時代の詩人でありながら、聖職者であったシドニウスにはより濃いキリスト教の影響が見られ、その点、前年の名古屋大学で研究発表から注目している伝クラウディアヌスの短い祝婚歌が参考になった。

  • 人文主義の基盤として古代後期ギリシア・ラテン語詩文

    2019年  

     概要を見る

    2019年度の特定課題研究に採用され,その研究費によって,9月に一週間ローマに出張し,古代遺跡を訪ね,古代遺産を多く収蔵する博物館,美術館を訪ねることができt.さらに,中世,ルネサンス,バロックの遺産が残っている相当数の教会を拝観して,ヨーロッパ的教養を支える人文主義が,古代ギリシャ,ローマの伝統を基盤として形成されていることを改めて確認することができた.12月に名古屋大学西洋古典研究会で古代後期の詩人クラウディアヌスの名で伝わりながら真作とは認められていない祝婚歌と,やはり古代後期ではるがクラウディアヌス先行する修辞家メナンドロスの名で伝わる修辞学書に見られる婚礼におけるスピーチの論考を比較考察した研究発表を行った際に,古代のフレスコ画装飾,陶器画,建築構造に関する知見をその中に反映することができた,特にパラティーノの丘遺跡で,皇帝アウグストゥスと皇后リウィアのそれぞれの屋敷を見学し,フレスコ画装飾を細かく観ることができ,フォロ・ロマーノに遺る古代後期から続くサンタ・マリーア・アンティークァ教会を拝観して,ヨーロッパ文化を貫く人文主義的伝統が,もともと外来の文化に淵源を持つキリスト教においてすら,極めて重要な要素であることを確認できた.テヴェレ川河畔で発掘された古代邸宅のフレスコ画装飾,床モザイクを観たことも,有意義な経験だった.古代から続くローマの町を古代的要素を確認しながら,自分の足で歩き,四つの主要な考古学博物館,ヴァティカンの諸博物館を観ることができ,研究に役立つ知見を得ることができた.

  • 古典古代末期の詩人たちと文学の伝統 叙事詩的作品を中心

    2018年  

     概要を見る

    特定課題の研究費によっって,科研費による助成金と相補って,10日間ほどフィレンツェに滞在し,ラウレンツィアーナ図書館で,クラウディアヌスの写本を閲覧し,今回の課題である叙事詩,共通の韻律を用いるなどおよび作詩法的に関連すると思われる政治詩の伝承形態を確認することができ,特に写本による字体や行わけの違いなど,時代や筆記者の個性を認知して,古代末期クラウディアヌスが中世において,現代以上に教養人の読書対象であったことを確認することができた.また,フィレンツェ,ボローニャの考古学博物館でギリシア陶器を体系的に見ることができ,ラヴェンナのサン・ヴィターレ聖堂付属の博物館で,ミルティアデスの胸像を見ることができ,時代は様々だが,古典古代の図像表現と文学作品の関係を考察している契機とすることができた.

  • 古典古代末期の詩人たちと文学の伝統 祝婚歌を中心に

    2017年  

     概要を見る

    特別研究期間で滞在中のフィレンツェから,特定課題の研究助成によって,ローマに行き,複数の博物館で古代の重要な遺産を調査,研究することができ,ローマ近郊のオスティアで古代都市の構造を知ることができた.オスティアの考古学博物館でも,古代の学者,政治家の肖像彫刻を見ることができた.ラウレンツィアーナ図書館で合唱隊による祝婚歌も含まれるセネカの悲劇の最重要写本コーデックス・エトルスククスの閲覧を許された.これまでクラウディアヌスの作品と認められてきた2つの祝婚歌の他に,もう一作の祝婚歌をクラウディアヌスの作品とした校訂本を入手することができ,祝婚歌研究が進展した.

  • 古典古代末期の詩人たちと文学の伝統

    2016年  

     概要を見る

    科研費の挑戦的萌芽研究に応募し、採択された研究課題「西欧古代と中世の文学史における連結点としてラテン語詩人クラウディアヌス」を補完するために、古代末期のその他の文人、シドニウス・アポリナリス、エンノディウス、ドラコンティウスの異教的題材の詩に関して研究を深め、古典期のラテン詩人ウェルギリウス、オウィディウス、帝政時代白銀期のセネカ、ルカヌス、スタティウス、帝政後記のアウソニウス、プルデンティウスの作品を、科研費の課題であるクラウディアヌスとの関係において、その影響関係を一部整理した。2016年度は、「叙事詩」を中心に研究することを目途としており、特定課題研究においても、上記の文人たちの叙事詩的作品を精査し、先行研究を踏まえて、文学史の再構築をめざし、将来的目標である、古典古代と中世ラテン文学をつなぐ連結点としての古代末期の文学の、中世の文人、思想家への影響関係を明確にする出発点に立つことができた。科研費での研究の2016年度の目標は、「正統的な叙事詩の伝統に対して、神話を利用した模倣、諷刺の姿勢があり、このような脇筋の伝統を、オウィディウス、スタティウス、クラウディアヌスに貫かれ、クラウディアヌスがその伝統を大成して後世に引き継いだことを明確にしたい」としており、本研究はそれを補完するものであるので、特定課題での目標到達点は、シドニウスの作品を分析し、クラウディアヌスからの影響関係を明らかにすることで、これにより科研費による研究を補完し、これ以後の目標(古代末期と中世ラテン文学に関する文学史の再構成)に大いに貢献することが期待されたが、少なくともその一部は達成でき、クラウディアヌスの論文を1本書いて、祝婚歌の中に叙事詩とも共通する牧歌的ヴィジョンを明らかにした。

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