Updated on 2024/11/23

写真a

 
SUZUKI, Masao
 
Affiliation
Faculty of Letters, Arts and Sciences, School of Humanities and Social Sciences
Job title
Professor
Degree
学術修士 ( 東京大学 )
(BLANK)
文学博士 ( パリ第7大学 )
(BLANK)

Research Experience

  • 1993
    -
    1997

    Tokyo University, Research Assistant

Education Background

  •  
    -
    1993

    University of Tokyo   Graduate School, Division of Regional Culture  

  •  
    -
    1984

    University of Tokyo   Faculty of Liberal Arts  

Professional Memberships

  •  
     
     

    日本フランス語フランス文学会

Research Areas

  • European literature

Research Interests

  • French Language and Literature

 

Papers

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Books and Other Publications

  • 火星人にさよなら : 異星人表象のアルケオロジー

    鈴木, 雅雄( Part: Sole author)

    水声社  2022.07 ISBN: 9784801006522

  • マンガメディア文化論 : フレームを越えて生きる方法

    鈴木, 雅雄, 中田, 健太郎, 増田, 展大, 三輪, 健太朗, 鷲谷, 花, 宮本, 大人, 細馬, 宏通, 成相, 肇, 林, 道郎, 伊藤, 亜紗, Chen, Dominick, 藤本, 由香里, 西, 兼志, 伊藤, 剛( Part: Joint editor)

    水声社  2022.05 ISBN: 9784801006195

  • 前衛美術と「古典」

    松井, 裕美, 木俣, 元一( Part: Contributor, p. 191-221.)

    中央公論美術出版  2021.01 ISBN: 9784805508879

  • 洞窟の経験 : ラスコー壁画とイメージの起源をめぐって

    吉田, 裕, 福島, 勲, 吉本, 素子, 郷原, 佳以, 鈴木, 雅雄, 西山, 達也( Part: Contributor, p. 139-173.)

    水声社  2020.12 ISBN: 9784801004948

  • L'invention du surréalisme : des Champs magnétiques à Nadja

    Diu, Isabelle, Stoll, Bérénice, Wagner, Olivier, Chénieux-Gendron, Jacqueline, Bibliothèque nationale (France)( Part: Contributor)

    Bibliothèque nationale de France  2020.11 ISBN: 9782717728323

  • ジゼル・プラシノス : ファム=アンファンの逆説

    鈴木, 雅雄( Part: Sole author)

    水声社  2019.01 ISBN: 9784801003057

  • マンガ視覚文化論 : 見る、聞く、語る

    鈴木, 雅雄, 中田, 健太郎, 夏目, 房之介, 三輪, 健太朗, 岩下, 朋世, 細馬, 宏通, 泉, 信行, 佐々木, 果, 森田, 直子, 宮本, 大人, 伊藤, 剛, 石岡, 良治( Part: Joint editor)

    水声社  2017.03 ISBN: 9784801001831

  • 声と文学 : 拡張する身体の誘惑

    塚本, 昌則, 鈴木, 雅雄( Part: Joint editor)

    平凡社  2017.03 ISBN: 9784582333275

  • パリのサタン(翻訳・解説)

    エルネスト・ド・ジャンジャンバック

    風濤社  2015.01 ISBN: 9784892193897

  • マンガを「見る」という体験——フレーム、キャラクター、モダン・アート

    鈴木雅雄

    水声社  2014.07 ISBN: 9784801000513

  • Faits divers surréalistes

    鈴木, 雅雄( Part: Edit)

    Jean-Michel Place  2013.10 ISBN: 2858939608

  • 写真と文学 : 何がイメージの価値を決めるのか

    塚本, 昌則, 森元, 庸介, 坂本, 浩也, 内藤, 真奈, 野崎, 歓, 港, 千尋, 鈴木, 雅雄, 齊藤, 哲也, 星埜, 守之, 永井, 敦子, 倉石, 信乃, 桑田, 光平, 昼間, 賢, 佐々木, 悠介, 沢田, 直, 滝沢, 明子, 管, 啓次郎, 林, 道郎( Part: Contributor, p. 127-146.)

    平凡社  2013.10 ISBN: 9784582231250

  • サン=ジェルマン大通り一二五番地で

    Péret, Benjamin, 鈴木, 雅雄( Part: Translator/Editor)

    風濤社  2013.07 ISBN: 9784892193699

  • マクシム・アレクサンドル 夢の可能性、回心の不可能性

    鈴木雅雄

    水声社  2012.01 ISBN: 9784891767693

  • シュルレアリスム美術を語るために

    鈴木雅雄, 林道

    水声社  2011.06 ISBN: 9784891768348

  • <前衛>とは何か? <後衛>とは何か?——文学史の虚構と近代性の時間(共編著)

    平凡社  2010.04 ISBN: 9784582702828

  • ゲラシム・ルカ ノン=オイディプスの戦略

    鈴木雅雄

    水声社  2009.12 ISBN: 9784891767617

  • シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性

    鈴木雅雄

    平凡社  2007.12

  • ミレー<晩鐘>の悲劇的神話(翻訳・解説)

    サルバドール・ダリ

    人文書院  2003.01

  • アンチ=ナルシスの鏡--シュルレアリスムと自己表象の解体

    モダニズムの越境III・表象からの越境  2002.02

  • 文化解体の想像力(共編著)

    人文書院  2000

  • シュルレアリスムの射程(編著)

    せりか書房  1998

  • 魔術的芸術(共訳)

    アンドレ・ブルトン

    河出書房新社  1997.11

  • シュルレアリスム(共訳)

    ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン

    人文書院  1997

  • 「東方」よ、勝ち誇れる「東方」よ-シュルレアリスムと反=地中海の神話

    地中海終末論の誘惑/東京大学出版会  1996.09

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Research Projects

  • ポスター、絵本、マンガ等、近代の大衆的静止イメージ・メディアの原理に関する研究

    Project Year :

    2018.04
    -
    2021.03
     

     View Summary

    近代の視覚文化における、映画やテレビなど「動くイメージ」の重要性は疑いようがないが、イラストやポスター、マンガといった静止イメージ・メディアもまた、近代特有の「視の体制」に規定されている。そうした視覚イメージの構造の解明を目指し、2019年度も前年度に引き続き、マンガに関するワークショップと、19世紀のマンガに関する資料調査を行った。前年度からの連続ワークショップ「マンガの体験、メディアの体験」は、2019年度は4回開催したが、毎回マンガ研究者と他分野(美術史、映画研究、表象文化論、身体論)の研究者を招いて報告を聞き、討論を重ねた。4月の第3回ではアニメーションや幻灯などの「動くイメージ」とマンガの比較対象というこの研究の中心テーマを正面から扱い、第5回では近代に特有の現象としての「キャラクター」にメディア論からアプローチ、第6回ではマンガ体験の場が電子媒体へと移行しつつあるとともに、他方ではマンガが美術館での展示物ともなっている現状を踏まえ、新しい享受形態から逆照射されるマンガというメディアの本質を考えた。12月の最終回は総括として、美術史、身体論、マンガ史の第一人者から近代視覚文化史におけるマンガの位置づけという根本問題についての考えを聞くとともに、私自身も前年度・今年度の研究成果を踏まえ、19世紀フランスの作品を中心に、マンガにおける「コマ」の成立と変化について発表した。資料調査としては、ネット上で閲覧できる19世紀フランス語圏のマンガ作品の研究を続けるとともに、9月と3月に渡仏し、ネットで閲覧できなかった作品へのアクセスに努めた。19世紀フランスの定期刊行物では、マンガ、イラスト付きの読み物、カリカチュアなどの境界が不明確だが、これらの領域を横断するカムのような描き手に焦点化することで、近代的メディアとしてのマンガの成立プロセスを明確化する作業に取り組んだ。概要欄に記したとおり、連続ワークショップの開催と、個人での資料調査および収集した資料にもとづく研究が2本の柱になるが、両方とも全体としては順調に進展したといえる。フランス文学研究者であるとともにマンガ研究者でもある中田健太郎氏の協力をえて進めたワークショップは、中田氏の人脈もあって、マンガ研究だけでなくさまざまな分野の先進的な研究者に参加してもらうことができ、毎回多くの聴講者(50~70人)を集めるとともに、非常に有意義な議論を展開することができた。科研費を利用して開催するマンガ研究のワークショップは今回が3期目で、これまでの2期の成果はそれぞれ論文集として刊行されているが、今回もこれまで同様に水声社から論文集を刊行予定で、編集作業を進めている。資料収集についていうと、3月の渡仏ではコロナ・ウィルスの影響で図書館の利用が制限される面はあったが、参照したかった資料のかなりの部分にはアクセスすることができ、またマンガ研究の分野ではウェブ上の情報の増加速度がかなり速いこともあって、大きな遅れにはつながらなかった。研究成果の公表という点では、上記ワークショップでの発表と論文1本にとどまったという意味で十分とはいえないかもしれないが、ワークショップの成果であり、この研究の総括でもある論文集の準備はとりあえず順調に進行中である。近代メディアとしてのマンガの生成については、19世紀前半のスイスで活躍したロドルフ・テプフェールと、19世紀末から20世紀初頭におけるアメリカのマンガとが、2つの決定的な段階を表現すると考えられてきた。以上のような研究を通じて、この2つの段階の関係をどのように捉えるかという根本的な問題について(いまだ不明確な点は多いが)一定の見通しを持つことができたという意味でも、最終年度に向けた基礎作業はおおむね順調に進展したと考えている。2020年度も、19世紀から20世紀初頭にかけての欧米のマンガに関する資料調査を続行するとともに、ポスター、絵本、小説や定期刊行物のイラストなどその他の静止イメージ・メディアを含めた理論的な総括を試みる。具体的には、2018年度から2019年度にかけて開催したマンガをテーマとするワークショップの成果を論文集として刊行し、そこにこの研究の成果を発表したい。ただ資料調査については、フランスとアメリカにおけるマンガと絵本に関する資料調査を予定していたが、この作業は新型コロナ・ウィルスをめぐる状況がどのように進展するかによって、大きく影響される可能性がある。2019年度の作業の結果、英語圏のマンガや絵本については既存の研究を援用しつつ、実証的な資料調査はフランス語圏について集中的に行うことが有効であるという感触をえたので、8月後半か9月上旬に再度渡仏するという希望を持っているが、滞在地や滞在時期・期間については、可能な範囲でもっとも有効と思える選択をしていくよりないだろう。他方ワークショップの成果をもとにした論文集については、連休明けに原稿を集める予定だったが、多くの図書館が長期間使えない状況だったため、実証的なタイプの論文を準備している執筆者から締め切りを変更してほしいという要望があり、原稿が揃うのは8月になる見込みである。だがこの日程でも2020年度中の刊行には間に合うはずなので、この点では計画の変更は必要ないと考えている。以上のように資料調査と論文集の準備を並行して進めるが、この研究の成果は必ずしもマンガ論には限定されず、表象文化全般に関わるより一般的なイメージ論を含むものでもあり、こうした部分はマンガ論集の論文では全面的には展開しにくい。紀要論文などの形でそうした成果を公表することはもちろん可能だが、より広範な読者に向けた発信の可能性も模索していこうと考えている

  • Research on the position of Surrealism in the history of modern visual culture, especially in comparison with comics

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    2014.04
    -
    2017.03
     

    SUZUKI Masao

     View Summary

    The place of surrealism in the history of modern art is still ambiguous, even secondary. But it would become central as soon as we take into account the history of popular media that relies on static images such as posters, picture books for children or comics. The images proposed by these media seem very often contradictory insofar as it is believed that an image is a photographically coherent reproduction of an instant, but they oblige us, by this contradiction, to produce in ourselves time and movement. Surrealism shares and radicalizes this character of the contemporary media and, in this way, redefines itself as a challenge to Orthodox artistic modernity

  • Research on the Relationship beween Rhythme and Figure in the Poetical Language

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    2010.04
    -
    2013.03
     

    MARUKAWA Seiji

     View Summary

    The first article of Seiji Marukawa resulting from this research project, entitled “The Note on Rhythm and Figure”, examines the fundamental relationship between the Greek word “rhuthmos” and the notions of Form or Figure at their origin, tries further to take into account the influence this connection could have on the conditioning of human perception and imagination, on the formation of his environment, from the anthropological, aesthetical, poetical and philosophical point of view. The second article, “The Note on Rhythm and Figure (s)” took the concrete example from the Aesthetic domain, namely the Swiss painter Paul Klee and his conception of Rhythm rendered in some of his work, discusses the spatial notion of Rhythm, in the historical context and in comparison with the similar conception of his contemporary artists (such as Robert Delaunay). Concerning the poetical language, Seiji Marukawa took part in the International Colloquium on the French poet-philosopher Michel Deguy held in March 2011 and read a paper on his theory of Rhythm (and Figure), which was developed and to be published in a book in the near future. He also made an article on the the collection of poems by Paul Claudel entitled “Cent phrases pour l’eventail”, examined closely how his idea of Rhythm (related to that of Figure) can be detected in the creation of these brief poems extending over several seasons and trips (this article was submitted to an Academic Journal and now is awaiting the verdict). Throughout theses articles is observed : if the notion of Rhythm normally associated with Temporality and Musicality is inseparable from the spatial image, it is nevertheless quite apart from the symmetry and is to be put together with the balance, the equilibrium, crucial notions to conceive Rhythm

  • Global Dissemination of Modernism and Human Diaspora

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    2006
    -
    2009
     

    NISHI Masahiko, KIMURA Kazuaki, NAKAGAWA Shigemi, IKEUCHI Yasuko, SAKIYAMA Masaki, OHIRA Tomohiko, ELLIS Toshiko, SUZUKI Masahisa, SUZUKI Masao, NAGAHATA Akitoshi, ANDO Tetsuyuki, ISHIKAWA Tatsuo, NOSAKA Masashi, HOSOMI Kazuyuki, OKA Mari, INOUE Akihiko, LIN Shaoyang, LEE Chong-wha, KUNO Ryoichi, KURODA Haruyuki

     View Summary

    Modernism, construed as an invention of the Euro-American world, was disseminated over the whole earth together with the progress of economical and cultural globalization. This worldwide phenomenon was accompanied by the dissemination of traveling or displaced writers, endowed with a critical attitude toward the modernizing power in which they were involved. In our collaborative efforts we scrutinized various cases while focusing on the three target fields : 1) Europe and North America, 2) Latin America and the Middle East, and 3) East Asia. Our main conclusion is that everywhere modernism constitutes a method of negotiation with the prevailing Euro-American (colonialist) type of modernity. Additionally, the paradoxical role which Japanese modernism played in the East Asian modernist movement was also clarified to a large extent

  • General Study on the Historical Evolution of Dogmata, Legends and Symbols in French Medieval Age and Renaissance

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    1995
    -
    1997
     

    MIYASHITA Shiro, HIROSE Koji, SUZUKI Masao, MATSUMURA Takeshi, IKEGAMI Shun'ichi

     View Summary

    In the perspective of analyzing the most classical modality of symbolism in the European cultural context, we started our research by examining the thought of medieval theologicians. In this respect, it was most fortunate that the enoumous corpus of Latin Fathers' Literature, which constitutes the framework of Christian though, has been published in CD-ROM format. The purchase of this material made possible a thorough and exhaustive search of keywords. The constant reference to the works of Christian world's major figure, Augstinus, and to medieval theologicians who developed the latter's thought in relation to their own historical exigencies, shed a new light on the methodological meaning of symbols and allegories as seen in exegesis and cosmology.On the other hand we focused on works written in vulgar languages. Revising various aspects of french medieval literature, we studied the evolution of styles in vulgar literature in relation to the popular Weltanschauung and the assimilation of the Aristotelian tradition of physics. Special attention has been directed on the images concerning life and death, this world and the next, colors and body. The analysis was also extended to how intellectuals as Rabelais and Erasmus developed this epistemology in Renaissance times. Lastly, an attentive research on the miniatures n medieval manuscripts and Renaissance paintings, especially in interpreting thir socio-political elements, not only brought a substantial illustration to the interpretation of textual documents about symbols, allegories and legends, but also revealed the silent messages of painting not to be found in texts

  • Comprehensive studies on historical development of the French humanism in the Middle Ages and the Renaissance.

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    1993
    -
    1994
     

    HASEKURA Takaharu, SUZUKI Masao, HIROSE Koji, MATSUMURA Takeshi, ISHII Yojiro, HOKARI Mizuho

     View Summary

    This year, we tried to analyze from the following points of view the materials bought last year, to synthesize our research :(1) We adopted a comprehensive point of view so as to analyze the place of Saint Auqustine in the Christianism and its historical changes.(2) We analyzed the French vocabulary in the Middle Ages with the aid of CD-ROM,to examine the geographical conflict between the standard French and its dialects.(3) We examined the relation between the royalist thought (the French Court) and the fine arts or the literature (Montaigne). to analyze their complicated history. This research permits the socio-historical research on relations between birth of the Modern literature and historical change of the society.(4) About the itroduction of Italian Culture to France, we continued to analyze the images of the Italian War and the discourses on it, to examine their relation to the society at that time.This research (society, politics, literature, arts, language, philosophy) will permit the comprehensive analysis on the French humanism in the Middle Ages and the Renaissance

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Syllabus

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Overseas Activities

  • シュルレアリスムの思想史的位置付けに関する総合的研究

    2003.03
    -
    2004.03

    フランス   パリ第7大学

Sub-affiliation

  • Faculty of Letters, Arts and Sciences   Graduate School of Letters, Arts and Sciences

  • Affiliated organization   Global Education Center

Internal Special Research Projects

  • 大衆的「静止イメージ」メディアとシュルレアリスム等前衛芸術の関係に関する研究

    2017  

     View Summary

     ポスターや絵本、マンガなど近代の大衆的な静止イメージ・メディアと、前衛芸術(特にシュルレアリスム)との関係に関する研究を進めた。予定していたマンガ研究のワークショップは諸般の事情により2018年度以降にずれ込むこととなったが、若手の美術研究者を中心としたシュルレアリスムをめぐるシンポジウムを12月に開催することができ、その際の発表者を中心に今後も協力して活動していく見通しが立った。またシュルレアリスムと関係の深い芸術家ジゼル・プラシノスについての著作を2018年夏に刊行予定で、そこで近代的な「キャラクター」表現についてのこの間の研究成果の一部を発表するが、その執筆をほぼ終えた。

  • シュルレアリスム的エクリチュールにおける自己表象および自己神話化に関する研究

    2013  

     View Summary

     テクストの書き手がテクストを通していかに自分自身に働きかけることができるか、というのがこの研究の基本的なモチーフである。シュルレアリスムにはもともとこの問題と深く関わる部分があるが、今回はこの運動とつながりを持った書き手のなかから、ゲラシム・ルカとエルネスト・ド・ジャンジャンバックという二人の非常に特徴的な詩人・作家を選んだ。 ゲラシム・ルカについては前期の代表的な著作である『受け身の吸血鬼』を中心にしようと考えていたが、近年刊行された研究書や未刊資料を検討するうちに、この詩人に特有の、個人的なレベルの出来事と集団的・社会的なレベルの問題を不思議な形で接続させるような、しかも単純な取り違えではなく、意識的かつ戦略的にそうするようなあり方が、著作の全体にわたって見て取れると考えられるようになった。またこの過程で、ゲラシム・ルカが自らの体験を痕跡として残す際にイメージの問題が持つ重要性が浮かび上がり、近く発表予定の論文ではむしろこの側面が強調されることになるだろう。『受け身の吸血鬼』のなかで展開される「客観的に贈与されたオブジェ」は詩人による自身への働きかけの行為としてきわめて重要な実験だが、この点についてのより詳細な研究は、2014年度中に刊行予定のこのテクストの翻訳に長文の解説をつける際に、あらためて集中的に考察したい。 一方ジャンジャンバックについては、サン=ディエ=デ=ヴォージュでの資料収集が諸般の事情により、当初考えていた8月ではなく3月にずれこんだため、作業が遅れたが、この調査によって非常に興味深い成果をえることができた。この報告の執筆時点では調査から帰って日が浅く、現地で撮影した数百枚の草稿資料を体系的に整理・検討する作業はこれからになるが、おおむね次のようなことがいえるだろう。サン=ディエには、期待していたような刊行テクストの草稿そのものは存在しなかったが、非常に多くの未刊行の自伝的テクストが所蔵されていた(ゲラの状態にまでなっていたものもある)。これらからわかるのは、ジャンジャンバックが出版予定のないときですら、常に自伝的な記述と架空の出来事の複雑に折り重なった奇妙なテクストを、何かに取りつかれたように書き続ける著者だったという事実である。それはどこか、いわゆるアール・ブリュットの作り手が、架空の自伝をテクストとイメージを織り交ぜて作り出し続けるさまを思わせもするが、明確な戦略性を伴った作業でもあるところが興味深い。シュルレアリスムのなかでは、サルバドール・ダリがこれに近い作業を行っているが、事実ジャンジャンバックはダリを非常に意識しており、ときにはダリの成功に対して嫉妬心に近いものを抱いていたことも、今回の調査でわかってきた。ここにあるのはつまり、自らの神話的なイメージを他者に発信し続け、その神話をしかし同時に真実として生きてしまう、そうした主体の極端なあり方である。 今回の研究は総合的な結論にまでは達していないが、自らについて語りつつ、その語りがコントロールを脱してしまい、自らに対して外在的に働きかけるようになってしまう地点にとどまろうとする、こうした書き手の作業が持つ様態の一端を取り出せたと思う。テクストとイメージの併用が自己イメージへの働きかけにおいて大きな重要性を持つのかもしれないという、今回得られた視点をさらに多くの書き手に適用しつつ、シュルレアリスムにおける自己イメージという問題についての考察を引き続き展開していきたいと思う。

  • 1940年代におけるルーマニア・シュルレアリスムについての研究

    1997  

     View Summary

    世界各国で展開されたシュルレアリスムの活動の中で、ルーマニア・グループのそれは非常に特殊なものである。第二次大戦中はファシズム政権下で、戦後はスターリン支配のもとで地下活動を余儀なくされたという歴史的経緯がまず特殊であり、またそのように外部と隔絶した状況で展開された活動も、類のないほどに密度の高い、しかも錯乱的なものであった。今回の研究ではそうした彼らの活動を、新しく発見された資料なども使って明らかにしようと試み、メンバー間の関係が想像以上に緊張したものであったこと、そしてそうした緊張がむしろ創造的に機能したことなどが理解できた。 これと同時に、各作家の文学や美術の実践を支えた方法論をも明らかにしようとしたが、もっとも大きな成果が得られたのは、ゲラシム・ルカのキュボマニーと呼ばれる特異なコラージュ技法についての研究だった。なんらかの既成の絵画や写真を正方形の断片に切り離し、任意に組み合わせたものとされるが、何人かの共同作業でもとの画面の再構成を試みたところ、それが単に偶然にまかせた作業ではないことが証明された。断片のすべてが使われたのではなく、鑑賞者がもとの画面を頭の中で再構成してみたくなるように、しかし再構成しようとするとそれができないように、選別がなされている。キュボマニーとは、見る側の再構成の欲望を意識的に裏切っていくような方法なのである。欲望を充足させるのでなく、通常の形での充足を禁じることで欲望を作り変えていく、それがルーマニア・シュルレアリスムの恒常的なモチーフだというのが私たちの仮説だが、それを裏付ける重要な根拠が得られたと言える。最近の研究は、欲望を「解放」するのではなく「変革」するものという新しいシュルレアリスム像を打ち出しつつあるが、以上の研究はルーマニア・グループを、そうした問題圏の最先端に位置づけるものであると思われる。