2024/12/07 更新

写真a

タカハシ キョウコ
高橋 恭子
所属
政治経済学術院 政治経済学部
職名
教授
学位
修士(芸術学) ( コロンビア大学 )
Master of Fine Arts ( U.S.A )
ホームページ
プロフィール
早稲田大学政治経済学術院教授。ビジネス・ウィーク東京支局、フリーランス・ジャーナリスト、慶応義塾大学環境情報学部特別招聘教授、早稲田大学川口芸術学校校長を経て、現在に至る。専門領域は映像ジャーナリズム、次世代ジャーナリズム、メディア・リテラシー。最近はとくに、米国の非営利独立メディアを含む新たなジャーナリズムのあり方やネット上の情報やニュースを読み解くリテラシー教育に関心を寄せている。

経歴

  •  
     
     

    慶応大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部特別招聘教授

学歴

  •  
    -
    1991年

    コロンビア大学大学院   芸術学研究科   映画  

委員歴

  • 2017年04月
    -
    継続中

    Ishibashi Tanzan Memorial Journalism Award  Selection Committee Member

  • 2017年04月
    -
    継続中

    石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞  選考委員

  • 2013年
    -
    継続中

    Japan Media Literacy Research Institute  Director

  • 2013年
    -
    継続中

    NPO FCTメディア・リテラシー研究所  理事

所属学協会

  •  
     
     

    米国メディア・リテラシー教育学会

  •  
     
     

    米国ジャーナリズム/マスコミュニケーション教育学会

  •  
     
     

    日本映像学会

  •  
     
     

    日本マス・コミュニケーション学会

研究分野

  • 社会学   ジャーナリズム ドキュメンタリー 次世代ジャーナリズム 映像ジャーナリズム / 教育工学

研究キーワード

  • ジャーナリズム、ジャーナリズム教育、メディア・リテラシー教育、映像ジャーナリズム、映像制作、次世代ジャーナリズム研究

メディア報道

  • NHK 日本賞

    NHK   日本賞  

    NHK  

    2011年04月

 

論文

  • 市民活動としてのメディア・リテラシー

    高橋恭子

    メディア情報リテラシー研究   第3巻 ( 1号 ) 116 - 127  2021年09月

  • 「ポスト真実」時代における生涯学習としてのメディア・リテラシーワークショップの再構築

    高橋恭子

    研究成果報告書 2020年度 前川ヒトづくり財団     113 - 128  2021年08月

    担当区分:筆頭著者

  • クリティカルからクリエィティブへ ~被災地でのゼミ活動を振り返って~

    高橋恭子

    メディア情報リテラシー研究   第2巻 ( 2号 ) 58 - 74  2021年03月

    担当区分:筆頭著者

  • 米国NPOメディアCIRの挑戦~次世代ジャーナリズムを考察する

    高橋恭子

    ジャーナリズム    2014年11月  [査読有り]

     概要を見る

    既存メディアにない新たなジャーナリズムの形とはどのようなものか、非営利は持続可能なモデルになるのかといった問題意識から、米国最大のNPOメディアである「調査報道センター(CIR)」 (カリフォルニア州エメリービル)の活動からは、米国の非営利メディアの可能性を探る。

  • 教室を超えたメディア・リテラシー教育〜パートーナーシップを中心に

    高橋恭子

    メディア・リテラシー教育研究委員会報告書     34 - 49  2008年07月

  • 「ゲームソフトをめぐる青少年と保護者の意識差について」

    高橋恭子

    青少年有害環境対策推進研究報告書     66 - 74  2006年03月

  • 青少年有害環境対策推進研究報告書 lコミックを解読する

    高橋恭子

    社団法人青少年育成国民会議(内閣府委嘱)   平成16年度   79 - 84  2005年03月

  • メディア教育における映像教育を考える〜小学校プロジェクトを中心に

    高橋恭子

    早稲田大学芸術学校   4   95 - 100  2005年03月

  • Media Literacy and Citizens'Activities

    Kyoko Takahashi

    Asia-Pacific Forum on Active Audience (fct Gazette)   84 ( 24 )  2004年11月

  • 論考 公共放送を考える〜「爆心地のジャーナリスト」と「夢千代日記」

    高橋恭子

    AARR(早稲田大学芸術学校・川口芸術学校紀要)   2006   50 - 53

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書籍等出版物

  • 誰がニュースをつくるのか グローバルメディア・モニタリングプロジェクト ナショナルレポート

    高橋恭子( 担当: 単著,  担当範囲: ナショナルレポート 日本)

    WACC  2021年07月

  • メディア・リテラシーの挑戦

    坂本洵, 中村正敏, 高橋恭子, 村上郷子, 中山周治

    アドバンテージサーバー  2009年04月

  • 教育総研年報 2008

    坂本洵, 中村正敏, 高橋恭子, 村上郷子, 中山周治

    国民教育文化総合研究所  2008年11月

  • 私たちのメッセージを伝えよう

    高橋恭子

    総務省  2007年03月

  • メディア・リテラシー教育 学ぶと現代文化 (翻訳)

    David Buckingham

    世界思想社  2006年12月

  • 新版 Study Guide メディア・リテラシー[入門編」

    鈴木みどり編, 高橋恭子, 田島知之, 登丸あすか, 西村寿子, 宮崎寿子, 新開清子, 篠塚公, 黛岳郎, 増田幸子

    リベルタ出版  2004年04月

  • Media Literacy Initiatives in Citizens’ Rights to Communication – the Case of Japan Part 2 Grassroots Citizens’initiatives

    Midori Suzuki, Kyoko Takahashi

    The UNESCO International Clearinghouse on Children, Youth and Media  2004年03月

  • Media Literacy Initiatives in Citizens’ Rights to Communication – the Case of Japan Part 2 Grassroots Citizens’initiatives

    Midori Suzuki, Kyoko Takahashi

    The UNESCO International Clearinghouse on Children, Youth and Media  2004年03月

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Works(作品等)

  • 小学生とのパートナーシップによるメディア制作プロジェクト

    高橋恭子ゼミ 

    2016年04月
    -
    2019年03月

  • 西川口再生プロジェクト〜インターネット放送

    芸術活動 

    2008年11月
    -
    2009年03月

  • 北京パラリンピックオリンピックレポート

    2008年09月
    -
     

  • 小学校とのパートナーシップによるメディア制作

    芸術活動 

    2005年09月
    -
     

講演・口頭発表等

  • フェイクニュース時代のメディア・リテラシー

    高橋恭子, 坂本  [招待有り]

    メディア情報リテラシー研究会   法政大学  

    発表年月: 2018年10月

  • 米国の記者たちは調査報道をどのように行っているのか

    Matt Goldberg, Doug Haddix

    報道実務家フォーラム   早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコース  

    発表年月: 2017年09月

  • ネット社会における子どものメディア・リテラシー

    高橋恭子  [招待有り]

    市川房枝政治参画フォーラム2017  

    発表年月: 2017年05月

  • 米国NPOメディア CIRの挑戦

    Robert Rosenthal  [招待有り]

    早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコース  

    発表年月: 2014年11月

  • メディアの社会的責任

    高橋恭子, 瀬川志朗, 梅森直之  [招待有り]

    日中ジャーナリズム研究 三大学合同シンポジウム   早稲田大学 復旦大学 中国伝媒大学  

    発表年月: 2013年06月

  • これからのジャーナリズム

    高橋恭子  [招待有り]

    からつ大学交流連携センター  

    発表年月: 2012年10月

  • 戦場からの視点~なぜ、伝え続けるのか

    及川仁, 最所葉月, 高橋恭子, 野中章宏

    山本美香さん追悼シンポジウム   早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコース  

    発表年月: 2012年10月

  • 教育格差〜メディア・リテラシーから考える

    日教組全体集会  

    発表年月: 2009年03月

  • メディア・リテラシーの教材開発について

    川崎市宮前平和人権セミナー  

    発表年月: 2008年03月

  • メディア・リテラシーとは

    仙台ライオンズクラブ  

    発表年月: 2008年02月

  • テレビを読み解く力をはぐくむ

    ICT未来フェスタあおもり  

    発表年月: 2007年10月

  • 文化葛藤時代のメディア・リテラシー教育

    ジョルディ・トレント

    国際シンポジウム 国連「文明の同盟」と日本の課題・実践   (20120325)  法政大学  

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 小学生と大学生との協働によるメディア発信プロジェクト ~南相馬の新たなチカラ~

    南相馬市  地域課題解決調査研究事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2019年03月
     

  • 映像教育による地域コンテンツの発信と地域活性化の展開

    南相馬市  地域課題解決調査研究事業補助金

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2017年03月
     

  • 放送分野におけるメディア・リテラシーeラーニング教材開発

    研究期間:

    2008年
    -
    2009年
     

  • 西川口元気再生事業

    研究期間:

    2008年
     
     
     

  • メディア・リテラシー教育

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

  • 放送分野におけるメディア・リテラシー教材の開発

    研究期間:

    2006年
    -
    2007年
     

  • 青少年とゲームソフト

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

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その他

  • ニュースや情報をコン...

     概要を見る

    ニュースや情報をコントールする主体がメディアから受け手である市民へ移行するパラダイムシフトが起き、市民はメディアの消費者として情報のサイクルを持つ。社会で起こる重要な事柄についての情報を共用しづらい今、私たちはどのようなリテラシーを持つべきなのか。信頼すべきニュースや情報を市民が判別する力を養うリテラシープログラムの開発を新たなテーマ研究とする。

 

現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 新たなジャーナリズムの形~米国の次世代ジャーナリズムの動きを中心に~

    2017年04月
    -
    2018年03月

    香港   Journalism and Media Study Center of Hong Kong University

    米国   Stony Brook University, State University of New York

他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

  • 文学学術院   文学部

  • 理工学術院   基幹理工学部

  • 政治経済学術院   大学院政治学研究科

特定課題制度(学内資金)

  • おとなのためのメディア・リテラシー研究

    2022年  

     概要を見る

    昨年に引き続き、おとなのためのメディア・リテラシー研究を継続した。メディア・リテラシーはあらゆる年齢層の人々が批判的に考え、効果的にコミュニケーションをするために必要な力と定義づけられているが、おとなを対象とした教育プログラムは少ない。本研究では、「ニュース・リテラシー」などプログラムを検証し、これまで研究・実践してきたメディア・リテラシーの理論的枠組みや学びのモデルに複合させ、日本版のニュースの学びをデザインすることを目的とする。今年度は、エビデンスと情報源の検証/評価や信頼できるニュースや情報を見分ける方法論、現在のプロパガンダ考察する方法論を採用し、ワークショップを実践した。今後は、ワークショップの効果を測定し、デジタルメディア時代に相応しいメディア・リテラシーの概念を整理する。

  • シニア市民のためのメディア・リテラシーワークショップの構築

    2021年   西村寿子, 田島知之

     概要を見る

    本研究は、虚偽も含め雑多な情報があふれ、真実が犠牲になる「ポスト真実」の時代において、これまでのメディア・リテラシーは機能するか、機能するならば、高齢者がデジタルメディア社会を主体的に生きるためのツールとして、メディア・リテラシーを活用できるかという問題意識を持つ。第一のステップとして、情報を選別する新たなリテラシーとして近年注目される「ニュース・リテラシー」講座などの内容を吟味し、今後のリテラシーとして学ぶべき要素を抽出し、従来のメディア・リテラシーに複合させ、ワークショップのプログラムを試案した。この試案をもとに、シニア層と学生を対象に実験的ワークショップを実践した。ワークショップは多様な意見の交流を促進するツールとして有効であることが実証されたが、幾つかの課題も浮上した。今後はワークショップの実践を繰り返しながら、プログラムを修正していく。

  • SNS時代のニュースを解読するワークショップの構築

    2020年  

     概要を見る

    本研究は5年に一度、世界100か国以上が同時に、一日のニュースをモニターし、ジェンダーの視点で分析するグローバル・メディア・モニタリングプロジェクト(GMMP)2020から日本の報道におけるジェンダーバランスを考察する。世界共通のコーディングマニュアルをもとに、ニュースに登場する人物の年齢、性別、役割をコード化した。最終結果はこれからになるが、暫定的に言えることは、報道における女性の登場は全体の約1/5であり、政治経済の分野における女性の登場は極めて低い。コロナ禍になり、女性は看護、介護、買い物における登場が多く、性別役割分業が強化されている。今後はデータを精査し、ジェンダーについて議論する場となるメディア・リテラシーワークショップへと発展させる。

  • メディア・リテラシーのワークショップを再構築する

    2019年  

     概要を見る

    本研究は市民教育として実践してきたメディア・リテラシーワークショップに、近年、エビデンスや情報源の検証など科学的なアプローチを採用し、情報の真偽を見分ける「ニュース・リテラシー」や「ファクトチェック」といった新たなリテラシーの要素を複合させ、デジタル時代に相応しいメディア・リテラシーの学びを再構築することを目的とした。

  • 大学の基礎教育としてのニュース・リテラシープログラムの開発研究

    2018年  

     概要を見る

    本研究は、メディアと市民の関係が縦から横の関係にシフトするデジタル時代に相応しいリテラシーはどのようなもので、どう獲得すべきかを問いに、近年注目を集める「ニュース・リテラシー」や「ファクトチェック」の手法を採用し、市民教育としての日本版のニュースの学びをデザインすることを目的としている。今年度はニューヨーク州立大学ストーニーブルック校が香港大と共同で開講する大規模公開オンライン講座(MOCC)“Making Sense of News: News: News Literacy for Digital Citizens”の内容を吟味し、メディア・リテラシーとの差異について考察した。

  • メディア変革時代のジャーナリズム教育~ニュース・リテラシープログムの構築に向けて

    2017年   高橋恭子

     概要を見る

    権力を掌握する人物が根拠のない発言をする、自己の主張に合わない意見を退ける、多様な価値観を認めないなど閉塞的な状況が世界中で見られる。現代は真実が犠牲になる「ポスト真実」の時代といわれている。米国ジャーナリズム・マスコミュニケーション学会は昨年、ジャーナリズムの原則が脅かされる現況を危惧し、トランプ大統領に声明文を提出した。その中には、情報の正確性や信頼性を判断するスキルを養うニュース・リテラシーの大学教育への導入も主張に含まれる。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校は2004年から「ニュース・リテラシー」を教養科目として開講し、「ストーニーブルック・モデル」として米国内だけでなく、大規模公開オンライン講座(MOCC)を通じて、グローバルに展開する。本研究は、同校が昨夏、開催した「グローバルニュース・リテラシーサミット」で発表された論文、実践例、議論からニュース・リテラシーのジャーナリズム教育における位置づけ、課題を整理する。

  • ジャーナリズムと市民の新たな関係~米国・新興メディアの事例から

    2016年  

     概要を見る

    1月23日、米国でトランプ政権が誕生した。大統領選中から、トランプ大統領はマスメディア報道に不信を抱き、就任後には、「フェイクニュース」という言葉を連発し、マスメディアを攻撃した。政権側のメディアに対する敵対心とは裏腹に、「ジャーナリズムはむしろ活況を呈し、ビジネスは拡大している」とワシントンポスト紙のポール・ファーヒ記者はいう (3月2日のNHK文研フォーラム)。トランプ大統領関連のニュースは良く読まれる記事の上位に上げられることが多く、「トランプ政権とメディアは相互依存関係。この状況がメディアにイノベーションを引き起こした」とファーヒ記者は述べる(同上)。ジャーナリストを養成するジャーナリズム大学院においても、ジャーナリズムの重要性が見直され、志願者が増えている(2月24日付CNN Money Reliable Sourcesのツィッター)。トランプ大統領の登場により、ジャーナリズムが活性化する中、プロパガンダ、虚偽、意見、広告等が溢れるデジタルメディア社会において、信頼すべき情報を判断する力が以前にも増して求められている。本研究は、ジャーナリズムを専攻する学生だけでなく、全新入生を対象にニュースを見極める「ニュース・リテラシー」を促進するニューヨーク州立大学ストーニーブルック校ジャーナリズム学部のプログラムの内容を解明し、次世代ジャーナリズムのあり様を探ることを目的とする。

  • 米国新興メディアから考察する新しいジャーナリズムの形とジャーナリズム教育

    2015年  

     概要を見る

     日本では最近、安保法制報道などをめぐり、マスメディアが委縮し、ジャーナリズム本来の権力を監視する機能が弱体化しつつある。一方、コミュニケーション技術の発展により、ネット上では様々な情報サイトが出現しているが、玉石混交であり、何が真実で、何がそうでないかを判断することが一層困難になっている。米国においても、マスメディアのウォッチドック機能は衰えているが、それを補完する新たなメディアが出現している。とくに、リーマン・ショック以降、マスメディアが予算削減のために縮小化した調査報道に特化する非営利メディアが、質の高い情報を提供する。研究者は2015年4月に開催された第9回ローガン調査報道シンポジウム(カリフォルニア大バークレー校ジャーナリズム大学院調査報道プログラム主催)に招待された。同シンポジウムで討論された内容についてまとめる。

  • 日米新興メディアから考察するジャーナリズムの再生

    2014年  

     概要を見る

    本研究では、放送文化基金の助成を受け、昨年11月に大隈小講堂で開催したシンポジウム「米国NPOメディア CIR(調査報道センター)の挑戦~次世代メディアを考える~」の内容を報告書にまとめた。CIRのエグゼクティブディレクター、ロバート・ローゼンタール氏による基調講演「民主主義社会における調査報道の重要な役割」では、リーマン・ショック後にCIRが既存メディアとの協働を強化したこと、コンテンツを活字(新聞、雑誌)、テレビ、ネット等多メディアを横断するマルチプラットフォームによって配信していること、民主主義を持続させるためにも、ジャーナリズムが権力監視の機能を持ち続けるは必要性があることが語られた。

  • ジャーナリズム再生についての考察ー米国の非営利メディアの経験から

    2013年  

     概要を見る

    本研究の目的は、マスメディアの失った機能を補完する非営利メディア(以下NPOメディア)の視察・調査から、現在、米国のジャーナリズムで起こっている現象をとらえることである。ピュー・リサーチセンターの報告書(2013.6) によれば、1987年以降に設立されたNPOメディアで、現在も活発な活動が認められるのは172組織ある。これらすべてが「収入は株主や個人のために利用されてはならない」とする税法501条C3で規定に該当し、免税措置を受け、ネット上にコンテンツを発表する新興メディアである。その実態は多様である。ニューヨークに拠点を置くPuropublicaは、ピュリツアー賞を2度受賞した最も成功した事例である。ワシントンDCのCPI(The Center for Public Integrity)は、世界の調査報道ジャーナリストをネットワーク化し、グローバルな問題を取り上げる。ニューヨーク・ブルックリン区に位置し、環境問題を専門にするICN(Inside Climate News)は、スタッフがわずか8人の小規模組織ではあるが、ピュリツアー賞を受賞している。大半のNPOメディアは小規模であり、経営基盤は脆弱である。ピュー・リサーチセンターによれば、NPOメディアの78%は、スタッフが5人以下であり、年間予算は21%が50,000ドル以下、26%が50,000-250,00ドルである 。2/3は2008年のリーマン・ショック以降に開設し、現在、41州にひとつの割合で存在する。2008年から2009年にかけて誕生したのが、46組織。2010年から12年は、25組織と減少しているところから、設立のピークは過ぎたとの見方もある 。2012年度の研究は、主にニューヨーク、ワシントンD.C.、ボストンにおけるNPOメディアの視察・調査であったが、2013年度は米国西海岸に拠点を持つ3つの調査報道NPO(Investigative Newsource、Voice of San Diego、Center for Investigative Reporting)を対象とした。それぞれ、設立の経緯、規模、資金、運営形態等を箇条書きでまとめる。1.Investigative Newsource(略称 inewsource)●2009年、UT紙(サンディエゴ・ユニオン・トリビューン)の調査報道記者であるローリー・ハーンが独立し、調査報道NPOのWatchdog Instituteをサンディエゴ州立大(SDSU)内に設立。UT紙の調査報道のアウトソーシングが主な収入源。●2011年、UT紙と契約解消。2012年、SDSU内にある公共放送KPBSと新たなパートナーシップを結び、オフィスをKPBSに移す。現在はKPBSのテレビ、ラジオ、Webの調査報道をinewsourceのクレジット入りで担当。 1. Nonprofit Journalism: A Growing but Fragile Part of the U.S. News System, Pew Research Project, June,10,2013 (http://www.journalism.org/2013/06/10/nonprofit-journalism/ 2014.4.2 2. 同上 3. Nonprofit News Model is Fragile, Global Investigative Journalism Network, Sheila Croronel, June 17, 2013 (http://gijn.org/2013/06/17/the-nonprofit-news-model-is-fragile/ 2014.4.2) ●スタッフ4名。内一名はデータ・ジャーナリズム担当。2011年の総収入は384,281ドル。財団、個人の寄付金は総収入の99%。2.Voice of San Diego (VOSD)●2004年、UT紙で長年、コラムニストを務めたニール・モーガンが、「市民社会に必要な情報を提供する」というミッションのもと、企業家のバズ・ウィリーとサンディエゴ市郊外に設立。●設立当時20代のアンドリュー・ドナヒューらがデジタル時代の調査報道モデルをつくり、ニューヨークタイムズ紙で取り上げられた(2008.11.18)。●年間会費別(35-5000ドル)に4種類の会員制度をもうけ、月刊誌の送付、イベント開催などそれぞれに合わせたサービスを提供。●スクープ、スキャンダルは取り上げない。市民の生活の向上に関連するネタを彫り起こす調査報道を専門とする。●パネルディスカッション、メンバー対象のコーヒーアワー、ニュース・リテラシーワークショップを開催し、市民にジャーナリズムを身近な存在に感じてもらえるように努めている。●ビジネスモデルづくりに尽力し、サンディエゴのNBC放送にホストとして出演していたアンドリュー・ドナヒューが2014年にCIRに移籍。●2012年の総収入は約143万ドル。うち、財団、個人による寄付金は95%。シンジケート料、広告費等の財源の多様化に努める。3.Center for Investigative Reporting (CIR)●1977年、3人のジャーナリストによって、既存のメディアに対抗する非営利の調査報道NPOとしてサンフランシスコ近郊のオークランドに設立された。数々の賞を受賞し、輝かしい業績があるものの、新興の調査報道NPOが相次いで設立した2000年代中頃は運営に行き詰まっていた。2008年に大手新聞の編集局長として活躍していたロバート・ローゼンタールを代表として迎え、抜本的な改革に取り組む●2009年、カリフォルニア州に特化した調査報道チーム「カリフォルニア・ウォッチ」を立ち上げる。●活字、放送、オンラインメディアを横断するマルチプラットフォーム型のコンテンツ配信をする。●2013年、カリフォルニア州ベイエリアを拠点とするNPOメディア「ベイ・シティズン」と合併し、全米最大規模のNPOメディアとなる。拠点をサンフランシスコ近郊のエメリービルに移す。●「カリフォルニア・ウォッチ」と「ベイ・シティズン」を統合し、「CIR」のブランド名のもと、カリフォルニアだけでなく、ナショナルでインターナショナルな調査報道を目指す。●「Exclusive」(特ダネ、スクープ)の発想を捨て、既存メディアとのパートナーシップを強化し、共同でコンテンツを発表する。現在、コラボレーションをするメディアパートナーは300組織に及ぶ。●スタッフ数74名。2012年の総収入は1152万ドル。前年より約50%の増収。内、財団、個人の寄付金は全体の96%。コンテンツ収入は3%。本研究で視察した3つのNPOメディアを見ても、ここ数年の動きは目まぐるしい。inewsourceは設立当初のメディアパートナーとの契約解消を迫られ、存続の危機に直面したが、公共放送KPBSと新たなパートナーシップを結び、調査報道を提供することで生き残りをかけた。VOSDでは、設立時から革新的なモデルづくりに尽力した人物がCIRに移籍した。CIRは、同じエリアで活動するNPOメディアを吸収し、カリフォルニアに特化したコンテンツだけでなく、ナショナルでインターナショナルな活動に挑戦し、全米最大規模のNPOメディアとなった。3つの事例はどれも、成功事例として認められているが、財源を財団や個人の寄付金に95%以上依拠する。コロンビア大ステーブル調査報道センター長のシーラ・コロネルが「NPOメディアの大半は、ビジネスとしての成功を求めるのではなく、ジャーナリストとしての責務や信念よって突き動かされたジャーナリストによって運営されている」 と指摘するように、財源の多様化と新しいビジネスモデルの開発がNPOメディアの当面の課題であることは明らかである。ピュー・リサーチセンターの2013年の調べ によれば、全米のNPOメディアの約40%が国からの補助金を望んでいる。ジャーナリズムは独立した権力監視役として機能すべきというミッションを掲げながらも、公共放送や州立大学との連携によって、間接的であっても、結果的に、国や州からの助成を得ている事例もある。ジャーナリズム存続のために、真に市民に忠実な組織として生き残って行くためにも、ジャーナリズムが国から助成されることについて、また助成されない場合の生き残り策としてどのような対策が望まれるか、今後の課題として取り組む必要がある。 4. Nonprofit News Model is Fragile, Global Investigative Journalism Network, Sheila Croronel, June 17, 2013 (http://gijn.org/2013/06/17/the-nonprofit-news-model-is-fragile/ 2014.4.2) 5. Nonprofit news organizations: some want government subsidyhttp://www.pewresearch.org/fact-tank/2013/06/13/nonprofit-news-organizations-some-want-government-subsidy/(2014.4.10)

  • ジャーナリズム再生についての考察~非営利メディアを中心に

    2012年  

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    本研究は、「非営利メディアはジャーナリズムを再生させるか」を問題意識に、米国の非営利独立メディアの設立の経緯、運営手法、マスメディアとの差別化等の調査から、新たなジャーナリズムのあり方を考察することを目的とする。米国では2008年のリーマン・ショック以降、マスメディアの衰退が顕著に見られ、2009年に142紙の新聞が廃刊し、放送・出版・新聞業界で、約9万人が失職した。取材力の低下およびコスト削減により、調査・国際報道部門を切り捨てた新聞社や放送局は少なくない。ピュー・リサーチセンターが2009年に実施した「誰がニュースを発信しているか」の調査によれば、86%のニュースは政府や企業の広報が出所で、取材報道はわずか14%にしか過ぎない。このようなマスメディアの弱体化をジャーナリズムの危機、ひいては民主主義の危機ととらえ、マスメディアの失った機能を補完するかのように登場したのが、非営利調査報道機関 (以下調査報道NPO)である。アメリカン大学の2011年調査によれば、全米で75団体の調査報道NPOが存在する。本研究では、大学に拠点を置き、大学のリソースを活用する調査報道NPOと、マスメディアに対するオルタナティブな報道としてスタートした最古参の非営利報道NPOを調査対象とした。1.大学を拠点とする調査報道NPO大学を拠点とする非営利の調査報道NPOは現在、16団体ある。大学の敷地内にあり、大学が運営するものや、大学と連携はするが、経営主体が大学でないものなど多様である。ニューヨークにあるコロンビア大学ジャーナリズム大学院のトニー・ステーブル調査報道センター(2006年開設)は、1960年代に調査報道記者として活躍したトニー・ステーブル氏による寄付金5百万ドル(後に2百万ドルを増資)を基金化し、運営されている。その目的は、調査報道を担う次世代ジャーナリストの養成であり、プログラムはすべてカリキュラムの枠組みの中で運用されている。履修者を15人に限定し、調査報道のノウハウ、データ解析に加え、活字、映像、Web等マルチとメディアに対応できる人材を育成している。マスター・プロジェクト(修士論文)は、既存のマスメディアだけでなく、新興のオンラインメディアに公表し、高い評価を受けている。ワシントンDCのアメリカン大学と連携する調査報道ワークショップ(IRW)は、米国の調査報道NPOを牽引するチャールズ・ルイス氏により2008年に開設された。ルイス氏はアメリカン大の専任教授として、マルチメディア型調査報道や調査報道の歴史を講義するが、IRW は10人の専従スタッフを抱えたプロダクションでもあり、ルイス氏は編集長を兼任する。ドキュメンタリー、書籍、オンライン等のマルチメディアを駆使した幾つものプロジェクトが同時に進行し、学生はインターンとして各プロジェクトに参加する。約180万ドルの年間予算の90%はロックフェラー、カーネギーなどの財団からの資金である。ボストン大に拠点を置くニューイングランド調査報道センター(NECIR)は地元放送局のベテラン記者2名により2008年に開設し、コミュニケーション学部の地下にオフィスを構える。大学に拠点を置く利点は、大学の施設を活用することで、家賃や設備投資がいらない経済性にある。ジャーナリズムの実践を指導する教授である共同代表のジョー・バンガンディーノ氏は、フリーランスの調査報道記者とチームを結成し、地域の不正問題を暴露するコンテンツを地元の新聞社やテレビ局に提供している。学生はインターンとしてチームに参加する。2012年度の収入約70万ドルの内訳は、財団による助成金(50%)、ボストン大からの助成金(10%)、コンテンツの売り上げ(8%)、研修(25%)、個人寄付金(5%)である。73%が財団からの助成金に依存していた2009年度に比べると、財源の多様化に成功していることがわかる。中でも独自の事業として展開している高校生や外国人ジャーナリストを対象とした研修プログラムの収益は2009年から11倍に増加した。NECIRはこういった活動や財源の多様化が、地域に特化した調査報道NPOのビジネスモデルとなると期待している。2. 最古参の非営利調査報道機関、CIR(Center for Investigative Reporting)CIRは1977年、既存のメディアに対抗する非営利の調査報道機関として、3人のジャーナリストによってサンフランシスコに設立された。数々の賞を受賞し、輝かしい業績があるものの、新たな調査報道NPOが相次いで設立した2000年代中頃は運営に行き詰まっていた。2008年に大手新聞の編集局長として活躍していたロバート・ローゼンタール氏を代表として迎え、抜本的な改革に取り組んでいる。主な改革は以下になる。A.専従の資金調達担当スタッフを雇用B.活字、放送、オンラインメディアを横断するマルチメディアに対応できる調査報道チーム「カリフォルニア・ウォッチ」の立ち上げC.ベイエリアを拠点とするNPOメディア「ベイ・ウォッチ」との合併ローゼンタール氏は、改革はまだ途上であり、今後はブランド名をCIRに統一させ、ブランド力を高めると同時に、他の媒体からシンジケート料をとるなど、財団からの資金に依存するのではない新たなビジネスモデルを確立すると言う。これまでの調査からは、調査報道NPOの成立要件として、①資金の確保、 ②ジャーナリストのネットワーク、③既存メディアとのコラボレーション、④コンテンツのマルチメディア展開が挙げられる。当面の課題は、財団からの資金に依存するのではなく、持続可能なための財源の確保に尽きる。どの調査報道NPOも模索中であり、明確な回答はない。 米国の調査報道NPOの研究は途上であり、今後も実例調査を継続し、米国の経験の何が日本で応用できるか、日本における非営利メディア構築の可能性と課題について考察していく。

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