2024/10/07 更新

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ナカジマ トオル
中島 徹
所属
法学学術院 大学院法務研究科
職名
教授
学位
博士

研究分野

  • 公法学
 

論文

  • 営業の自由は「ヒューマン・ライツ」か

    早稲田法学   99 ( 3 ) 281 - 324  2024年05月

  • 憲法と公正取引-デジタル経済下の「独占」を考えるために

    中島徹

    デジタル・エコシステムをめぐる法的視座     72 - 93  2024年03月

  • 角馬カトブレパの脚 あるいは「自由主義」の境域

    中島徹

    法律時報   95 ( 10 )  2023年09月

  • 水への権利とは何か

    中島徹

    法律時報   94 ( 10 ) 15 - 21  2022年09月

  • 代表制民主主義と「民意」を遮断する法制度

    中島徹

    判例時報   ( 2509号 ) 110 - 114  2022年04月

  • 憲法で見る「表現の不自由展・その後-契約は憲法を超えるか」

    中島徹

    法学セミナー   ( 7月号 ) 34 - 39  2020年07月

  • 水への権利・序説

    中島徹

    法学   83 ( 4 ) 1 - 23  2019年12月

  • 司法書士の資格制

    中島徹

    憲法判例百選第7版    2019年11月

  • 選挙活動の自由と財産所有

    中島徹

    早稲田法学   94 ( 4 )  2019年09月

  • 政治的自由と人格の平等

    中島徹

    現代雇用社会における自由と平等     557 - 580  2019年03月

  • 未決拘禁者の接見禁止と取材の自由

    中島徹

    メディア判例百選第2版   ( 別冊ジュリスト241 ) 24 - 25  2018年12月

  • 税関職員による無令状での郵便物検査と憲法35条

    中島徹

    平成29年度重要判例解説   ( 1518 ) 28 - 29  2018年04月

  • 政治的自由と財産私有型民主制―奥平康弘の個人主義

    中島徹

    憲法の尊厳―奥平憲法学の継承と発展     293 - 318  2017年05月

  • 土地と自由、選挙権―序説

    中島徹

    代表民主主義を再考する:選挙権をめぐる3つの問い     183 - 216  2017年03月

  • 「選挙の公正」と憲法学―もう一つの立憲主義と民主主義

    Toru Nakajima

    法律時報   88 ( 5 ) 28 - 33  2016年06月

  • 古典的自由主義の憲法哲学と風俗規制

    中島徹

    自由の法理     327 - 343  2015年10月

  • 社会権と日本国憲法

    中島徹

    Japanese Reports for the XIXth International Congress of Comparative Law     229 - 245  2015年04月  [招待有り]

  • 京都府風俗案内所の規制に関する条例と営業の自由

    中島徹

    法学教室 判例セレクト2014   ( 413 ) 22 - 24  2015年02月

  • 非権力的事実行為の憲法論的考察

    中島徹

    憲法の基底と憲法論     421 - 434  2015年02月

  • 憲法論を逆用するレトリック

    中島徹

    日本国憲法の継承と発展     37 - 43  2015年

  • 司法書士の資格制

    中島徹

    憲法判例百選第六版     212 - 213  2013年11月

  • 私の生き方は私が決める

    中島徹

        29 - 33  2013年09月

  • 愛することの自由と平等を求めて

    中島徹

    映画で学ぶ憲法     15 - 19  2013年09月

  • 死刑制度とどう向き合うか

    中島徹

    映画で学ぶ憲法     6 - 10  2013年09月

  • 既得権と構造改革

    中島徹

    危機の憲法学     256 - 285  2013年

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(8)

    中島徹

    法律時報   84 ( 8 ) 78 - 85  2012年08月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(7)

    中島徹

    法律時報   84 ( 7 ) 82 - 87  2012年07月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(6)

    中島徹

    法律時報   84 ( 5 ) 75 - 81  2012年06月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(5)

    中島徹

    法律時報   84 ( 5 ) 106 - 111  2012年05月

  • 公務の民間化と公務員の労働基本権

    中島徹

    論究ジュリスト   ( 1 ) 36 - 45  2012年04月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(4)

    中島徹

    法律時報   84 ( 4 ) 86 - 92  2012年04月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(3)

    中島徹

    法律時報   84 ( 3 ) 88 - 92  2012年03月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(2)

    中島徹

    法律時報   84 ( 2 ) 84 - 93  2012年02月

  • 財産権保障における「近代」と「前近代」(1)

    中島徹

    法律時報   84 ( 1 ) 82 - 88  2012年01月

  • 国家がなすべきこと、民間がなすべきこと

    中島徹

    法学セミナー   ( 683 ) 2 - 3  2011年12月

  • 3.11大震災と憲法の役割

    中島徹

    法学セミナー   ( 682 ) 4 - 12  2011年11月

  • 経済的自由権

    中島徹

    ニューアングル憲法     87 - 132  2011年03月

  • 福祉国家の公序

    中島徹

    自由への問い     124 - 139  2010年10月

  • 「公務員は一切、政治活動をしてはならない」のか 猿払の呪縛

    中島徹

    法学セミナー   55 ( 668 ) 46 - 47  2010年08月

    CiNii

  • ケースブック憲法

    中島徹

       2010年03月

  • 憲法29条

    中島徹

    コンメンタール憲法     98 - 104  2010年02月

  • 財産権は市民的自由か

    中島徹

    憲法理論の再創造     427 - 444  2010年

  • 公法系科目を学ぶ①憲法

    中島徹

    法学教室   ( 344 ) 7 - 11  2009年05月

  • 今、政府の存在意義は

    中島徹

    ジュリスト   ( 1376 ) 29 - 38  2009年05月

  • 事前の権利

    中島徹

    憲法の理論を求めて     221 - 249  2009年05月

  • リバタリアニズムと憲法学

    中島徹

    憲法の争点   ( 3 ) 34 - 35  2008年11月

  • 個人の自律、市場の自律性、政府の存在理由

    中島徹

    公法研究   ( 70 ) 87 - 96  2008年10月

  • 憲法理論の新たな創造

    中島徹

    法律時報   80 ( 6 ) 4 - 18  2008年06月

    CiNii

  • 職業選択の自由

    中島徹

    新版体系憲法辞典     548 - 559  2008年06月

  • 財産権の自然性と実定性

    中島徹

    ジュリスト     12 - 20  2008年05月

  • あらためて憲法一三条裁判を考える 住基ネット訴訟に関連して

    中島徹

    法律時報   79 ( 11 ) 70 - 84  2007年10月

    CiNii

  • 憲法学における公共財

    中島徹

    岩波講座 憲法2   2  2007年08月

  • 財産権と営業の自由の間

    中島徹

    憲法諸相と改憲論     225 - 250  2007年08月

  • 日本国憲法と社会経済構造の改革 社会保障および規制改革からみた「小さな政府」

    中島徹

    法律時報   78 ( 9 ) 73 - 80  2006年09月

  • 規制緩和は憲法学の主題たりうるか

    中島徹

    法学セミナー   51 ( 7 ) 12 - 16  2006年07月

    CiNii

  • 公共の福祉

    中島徹

    法学セミナー   ( 605 ) 12 - 13  2005年05月

  • 住民基本台帳ネットワークシステムと人格権

    中島徹

    平成16年度重要判例解説    2004年10月

  • 住基ネット上で「個人の権利」を真剣に考える

    中島徹

    法学セミナー   48 ( 588 ) 50 - 55  2003年12月

    CiNii

  • 瑞々しい想像力をはたらかせて憲法を考えることの意味

    中島徹

    法学セミナー   ( 586 ) 116 - 117  2003年10月

  • 個人情報保護・管理と運用の実務

    個人情報保護実務研究会編

    新日本法規出版    2003年07月

  • 国家の役割・市場の役割

    中島徹

    法律時報   75 ( 1 ) 5 - 29  2003年01月

  • 財産権の領分―市場の暴走を抑制する日本国憲法のメカニズム

    中島徹

    法律時報   75 ( 1 ) 36 - 42  2003年01月

    CiNii

  • 人権規定の私人間効力

    中島徹

    法学セミナー   47 ( 6 ) 26 - 33  2002年06月

  • 自己決定/自己責任

    中島徹

    法学セミナー   47 ( 6 ) 11 - 15  2002年06月

  • 「国家の中立性」をめぐる同質の説明と異質な帰結

    中島徹

    法律時報   73 ( 11 ) 73 - 80  2001年10月

    CiNii

  • 学校公文書における「自己情報」の開示

    中島徹

    法律時報   73 ( 2 ) 74 - 77  2001年04月

  • 団体の決定と、その構成員の思想・信条

    中島徹

    法学セミナー   ( 553 ) 32 - 34  2001年01月

  • 職業選択の自由と酒類販売免許制

    法学セミナー   ( 533 ) 15 - 18  2001年01月

  • 教育の自由

    中島徹

    演習ノート憲法     114 - 115  2000年10月

  • 学問の自由と大学の自治

    中島徹

    演習ノート憲法     112 - 113  2000年10月

  • 政教分離の原則

    中島徹

    演習ノート憲法     88 - 89  2000年10月

  • 信教の自由

    中島徹

    演習ノート憲法     86 - 87  2000年10月

  • 尊属殺重罰と法の下の平等

    中島徹

    演習ノート憲法     64 - 65  2000年10月

  • 市場と自己決定(下)

    中島徹

    法律時報   72 ( 7 ) 47 - 54  2000年06月

  • 市場と自己決定(上)

    中島徹

    法律時報   72 ( 5 )  2000年05月

  • 文書の不存在 「ない」だけでは理由にならない

    中島徹

    法学セミナー   ( 538 ) 32 - 34  1999年01月

  • カナダ憲法における財産権条項の欠如

    中島徹

    比較法学   31 ( 1 ) 133 - 172  1998年07月

  • 損失補償と国家賠償

    中島徹

    争点ノート 改訂版     183 - 185  1997年12月

  • 正当な補償

    中島徹

    争点ノート改訂版     180 - 182  1997年12月

  • 財産権の保障

    中島徹

    争点ノート 改訂版     177 - 179  1997年12月

  • 職業選択の自由

    中島徹

    争点ノート改訂版     173 - 174  1997年12月

  • 社会保障の権利性

    中島徹

    プリメール社会保障法     35 - 76  1996年04月

  • 経済的自由

    中島徹

    戦後政治と日本国憲法     151 - 161  1996年03月

  • ニューディール・リベラリズムの崩壊と財産権

    中島徹

    社会国家の憲法理論     253 - 268  1995年01月

  • 有害表現の規制

    中島徹

    法学セミナー   38 ( 4 ) 44 - 45  1993年04月

  • 「日本国憲法資料集」

    樋口陽一, 大須賀明編

    三省堂    1985年

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書籍等出版物

  • 現代雇用社会における自由と平等

    新田秀樹他編

    2019年03月

  • 危機の憲法学

    奥平康弘, 樋口陽一編

    日本評論社  2013年02月 ISBN: 4335355394

  • 憲法本41

    長谷部恭男編

    平凡社  2001年

  • 現代行財政と憲法

    憲法理論研究会編

    敬文堂  1999年

  • 「バージョンアップ法学入門」

    植村ほか編

    日本評論社  1998年

  • 「演習ノート憲法」

    浦田賢治編

    法学書院  1998年

  • 「リーディングス社会保障法」

    山田省三編

    北樹出版  1998年

  • 変動する国際社会と法

    島田, 江泉ほか編

    敬文堂  1997年

  • 社会国家の憲法理論

    大須賀明編

    敬文堂  1997年

  • 新憲法学習のとびら

    永井憲一ほか編

    東京書籍  1996年04月

  • 「戦後政治と日本国憲法」

    永井憲一編

    三省堂  1996年

  • 「プリメール社会保障法」

    山田省三編

    北樹出版  1996年

  • 「憲法演習自習セレクト50」

    小林孝輔編

    一粒社  1996年

  • 「争点ノート憲法」

    大須賀明編

    法学書院  1991年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 「持続可能な社会」論と水への権利

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2025年03月
     

    中島 徹

     概要を見る

    従来の法律学では、水の公共性という観点から公営か民営かの選択の適否を論じることはあっても、水への個人の権利が語られることは、水利権のような例を除いてほとんどなく、憲法が保障する個人の権利論としては皆無であった。本研究は、「持続可能な社会」論を個人の人権保障の観点から批判的に検討することで、それに代わる「個人が共生できる権利保障社会」を、権利論と統治制度論の両面から提示することを目的とする

  • データ駆動型社会の法に関する領域横断的研究‐デジタルプラットフォームを焦点に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

    土田 和博, 若林 亜理砂, 武田 邦宣, 深町 晋也, 長谷河 亜希子, 大木 正俊, 越知 保見, 渡辺 徹也, 洪 淳康, 伊永 大輔, 吉田 克己, 林 秀弥, 小向 太郎, 小田切 宏之, 金井 貴嗣, 舟田 正之, 中島 徹, 青柳 由香, 清水 章雄, 東條 吉純, 石田 眞, 須網 隆夫, 早川 雄一郎, 柴田 潤子, 渡邉 昭成, 中里 浩

     概要を見る

    インターネットやAIを中心とする技術革新は、現代社会に多大の利便性をもたらし、明るい未来を切り拓くように思われるが、同時に多くの深刻な問題をも投げかけている。優れた技術革新の芽を摘むことなく、裏腹の弊害にどのように対処すればよいのか。イノベーションのインセンティブを失わせる過剰規制と必要な場合に適切な措置を行わない過小規制を共に排して、妥当な法規制・規律を行うにはどうすればよいのか。本研究は、こうした課題について、経済法、民法、刑法、憲法、情報法、労働法、国際経済法、EU法の各領域からアプローチし、これを総合しようという研究である

  • 持続可能な共有型経済と憲法上の「近代市民社会における原則的所有形態」

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2020年03月
     

    中島 徹

     概要を見る

    申請者は、グローバル化する世界の実情を確認する作業を行い、そこで「近代市民社会における原則的所有形態としての単独所有の原則」がいかなる変容をとげているのか・いないのかを確認する作業を中心に行った。その際、日本におけるTPP交渉の行方とも絡んでの農業や漁業の自由化状況の確認等も含めて、日本におけるグローバル化対応を確認することも、本研究に欠かすことができない。そこでも、欧州とりわけドイツにおける選択とアメリカにおけるそれは異質であることから、それぞれの地域における実情とその帰結を確認するために、欧米の研究者・実務家との意見交換を行いつつ、試論の構築をめざした。しかし、トランプ政権の成立は、TPPの主唱者であったアメリカが、そこから脱退するという展開となり、日本がアメリカ以外の国との間でTPPの推進役を担うことになった。とはいえ、アメリカが抜けたTPPに実効力はなく、現在では有名無実化しているといってよい。それにもかかわらず、日本政府はグローバル化の名のもとに規制緩和を推し進め、それが現在のコロナ禍の下での医療制度等の問題に深刻な影を投げかけている。こうした事情の急変を背景に、当初予定していたグローバル化の下での新たな経済秩序の構想は、グローバル化の先行きが不透明となったことを踏まえて研究体制の立て直しが不可避となった。その点を踏まえての状況分析は、取りわけ現在進行中のコロナ危機との関係において先を見通すことが困難なために、若干の時間が必要である。しかしながら、同時並行的に進めてきた明治期における共有型経済を支える法制の成立と展開、その背後にある政治権力の動向についての研究は、すでに「選挙活動の自由と財産所有」(早稲田法学94巻4号、2019年)や「政治的自由と人格の平等」(新田秀樹他編「現代雇用社会における自由と平等」信山社、2019年)などにまとめ、公表済みである

  • 土地・選挙制度・自治――代表民主主義の再構築

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    糠塚 康江, 佐々木 弘通, 飯島 淳子, 河村 和徳, 稲葉 馨, 樺島 博志, 小田中 直樹, 大山 礼子, 小粥 太郎, 只野 雅人, 中島 徹, 長谷川 貴陽史, 牧原 出

     概要を見る

    本研究の目的は、国家の領域性(土地)と領域化された個人(生身の人間)にこだわり、人間的な結びつきを剥奪される個人の共同性の回復を、代表制民主主義の現代的再構築に見出すことにある。この目的のため、土地から切り離された抽象的個人単位とする選挙制度、土地に根差した具体的まとまりを単位とした地方自治制度、土地をめぐる国家と個人の相互関係に着目して研究を遂行した。その成果として、共著『代表制民主主義を再考する―選挙をめぐる三つの問い』(ナカニシヤ出版、2017年)を刊行した

 

現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 法学学術院   法学部

  • 法学学術院   大学院法学研究科

  • 政治経済学術院   政治経済学部

  • 社会科学総合学術院   社会科学部

特定課題制度(学内資金)

  • 民意を反映する代表民主制を構築する

    2023年  

     概要を見る

     「営業の自由は『ヒューマン・ライツ』か」という本研究成果の論文タイトルには、二重の意味がある。今日では解決ずみとされる1970年代の営業の自由論争における、営業の自由は憲法22条が保障する職業選択の自由に含まれる人権か、それとも公序か、という周知の問いと、そこでいう「人権」は「ヒューマン・ライツ」と同義か、という問いである。職業選択と営業は保障される局面を異にする。職業選択の自由は、居住移転の自由とともに、中世身分制社会を解体する基軸となる権利であったが、営業自体は中世でもギルド等の特権として認められていたが、同時に個人に職業選択の自由を否定する役割も果たした。営業することが職業選択の自由に内包される「人権」であることは、論理的にだけでなく解釈論としても自明ではないのである。コロナ禍の社会状況が法律学に投げかけた問題のひとつに、飲食店の営業規制問題があった。新型インフルエンザ特措法に基づく営業時間等の規制が営業の自由の侵害で違憲だと訴えた原告は、「憲法22条1項は、選択した職業を遂行する自由として、営業の自由を保障する。職業は、……社会の存続と発展に寄与する社会的活動の性質を有し、各人が自己の個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分に関連する」(圏点、引用者)と主張した。バブル経済崩壊により不況となった日本は、現在に至る「失われた30年」に陥る。しかし、法人企業のみならず一般市民までがかつての経済成長の夢を捨てきれずに拝金主義が横行し、市場の自由=独占化が自明視されて、いまや営業の自由が「人権」であることに疑いはないといわんばかりの状況になっている。これに対し本論文では、「選んだ職業を継続できなければ選択は無意味」などという願望を込めた機能主義的説明ではなく、営業の自由を人権=ヒューマン・ライツと位置づけることができるかどうかを道徳哲学的観点から序論的な考察を行った。

  • 持続可能性と水への権利

    2021年  

     概要を見る

    本稿の目的は、直接的には「民意」と代表者の乖離等の代表制民主主義の機能不全の原因の一端を考察することにあるが、本特定課題は「持続性と水への権利』であるので、一見無関係なテーマであるように思えるかもしれない。しかし、日本の水道制度ができた明治期における議会制度のゆがみが、実は水道制度の構築に影響を与えていることから、その議会制度のゆがみがどのように生じたかを考察することが必要と考え、「代表制民主主義と『民意』を遮断する法制度」(判例時報誌掲載)を執筆した。代表民主主義の根幹は選挙にある。その選挙制度が『民意」を反映できないものとなっていることはしばしば指摘されてきた。その際言及される「民意を遮断する法制度」は、第一に一票の格差を生む選挙区割り等の選挙制度であるが、本稿で取り上げたのは、戸別訪問禁止という他国では現在ではほとんど例を見ない「民意の遮断制度」である。長年、買収の温床とか選挙民の迷惑論、あるいは最近では元最高裁判事の伊藤正巳による選挙のルール論などにより規制が正当化され、現在もその制度は残っている。しかし、代表者が選挙民と直接に意見を交わすことが許されないのは、憲法21条の表現の自由保障との観点からみて大いに疑問であることもまたすでに数多くの論者が指摘してきたところである。本稿はそれに屋上屋を重ねることを目的とするものではなく、実は明治期においては戸別訪問禁止は全く別の観点から導入されたものであったことを当時の記録をもとに論証したものである。一言でいえばそれは、代表者を愚民とみなす考え方に基づいていた。戸別訪問禁止を正当化する買収の温床論は、周知のように選挙民を愚民視するものであるが、明治期においては、それとは全く逆の観点から選挙運動規制が論じられ、制度化されたのであった。本稿はこの点を論じることで終わっているが、実はそのように作られた当時の議会によって日本の水道制度が作られる。そのことによりゆがめられた水道制度の問題点を明らかにすることが次の課題である。

  • 存続可能な共有型経済の憲法論的考察

    2015年  

     概要を見る

    本年は、持続可能性を支える基底ともいうべき土地の所有権をめぐる連続と不連続についての基礎的研究を行った。通常、現在議論の対象となる土地所有権は、近代的土地所有権である。しかし、では日本の古代から中世、そして近世に至る土地の「所有」はそれ以前のものとして今日では全く視野に入れる必要はないのか。土地所有権は、土地への資本投下がなされる農業社会において成立すると考える場合には、少なくとも墾田永年私財法が私的土地所有権成立を前提としての墾田の国家管理としての意味を持つはずである。そして、その前段階における国家的土地所有としての意味を持つ公地公民制のありようは、政治権力と土地所有の関係を墾田永年私財法と対照を示すものとして、身分制と土地所有の関係を考える視点を提供してくれるのではないかと考えた。それが近代的土地所有権へと変質していく際には、断絶面と同時に連続面があるはずである。その意味で、近代的土地所有権は、それ以前と次元を異にする観念と考えるべきなのかという基礎的問題を検討した。

  • 例外的「近代」のグローバル化と日本国憲法

    2014年  

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    例外的近代とは、具体的にはアメリカ合衆国の「近代」を指しているが、それが世界標準としてグローバル化の表看板となることで、世界にいかなる影響を与えるか。現在世界中で生じているきしみは、こうしたグローバル化の推進と、それに対する反動としてのナショナリズムの勃興という側面があることは否定できないであろう。本研究では、日本における自生的「近代」の不在(その前提としての「近代とは何か」という問い)と、事実においてアメリカ主導で制定された日本国憲法が「近代化」に果たした役割を踏まえて、現在のグローバル化がそうした日本社会の「近代化」にいかなる影響を与えつつあるかを日本国憲法の原理を踏まえて検証することが本研究の目的である。そのための予備的検討を現在取りまとめており、2015年中には成果を公刊する予定である。

  • アメリカ合衆国における医療制度改革と銃規制にみる自由観―憲法の視点から

    2014年  

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    課題である「アメリカ合衆国における医療制度改革と銃規制に見る自由観-憲法の視点から」については、現在論文を執筆中で、掲載される書籍(古希記念論文集)も決定済みである。出版時期との関係で公刊されるまでには、まだ多少の時間がかかるかもしれないが、2015年中には出版される予定である。

  • 国民国家における人権保障とグローバル化

    2013年  

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    本研究は、グローバル化する世界の中で、一国の憲法がいかなる役割を果たしうるかを検討することを主題とする。その際、TPP交渉や社会経済構造の改革論等、グローバル化の下で日本社会が直面する諸問題をめぐってはもっぱら国益の確保が強調されがちだが、本研究は、国のあり方を定める憲法の選択とグローバル化の関係を検討することを中心的課題とし、以下に述べるように現在までにその基礎的検討を終えている。 TPP交渉に典型的に示されているように、グローバル化の名の下に掲げられる基準の多くは、アメリカ合衆国の提案によるものである。しかし、アメリカの提唱する基準が世界標準であるとは限らない。筆者はすでに、漁業権をめぐり、日本国内における市場開放論、すなわち、地域漁民に排他的利用権を認めてきた旧来の制度を市場原理に委ねるべきことを説く近時の議論を検討してきた。欧米諸国では、従来の自由漁業の原則を転換し、地域漁民に排他的利用権を認めることにより、漁業の持続可能性と環境保護を図るべきだという議論が最近では有力化しつつあり、アメリカでも状況は同様である。つまり、グローバル化は市場の自由化を帰結するとは限らないのだが、その点を無視して、グローバル化の文脈では自由化があたかも自明の前提であるかのごとく論じられ、時に他国から強要されることすらある。 ちなみに、漁業権は、憲法解釈論上、憲法29条が保障する財産権のひとつと長年位置づけられてきた。そうであれば、自由化の可否は憲法問題であるはずだが、グローバル化の掛け声は、それを既得権擁護論と批判する。だが、憲法上の財産権保障は、歴史的にも理論的にも本来的に既得権擁護論としての側面を持っており、そうした批判は的外れである。このように、グローバル化の名の下に推進されるルールが、国内と他国向けで異なるダブル・スタンダードである例は、他にもみられる。一例をあげれば、アメリカではオバマ政権の下で医療保険制度改革が行われ、国民皆保険制度が導入されようとしている。これに対し、日米のTPP交渉においては、アメリカは日本に医療の自由化(市場化)を求める意向とも言われる。仮にそうであれば、アメリカの態度は一貫性を欠いているといわざるを得ない。また、グローバル・スタンダードともいえる銃規制が実現できない点など、近代国家の標準装備的な制度を欠いたアメリカ合衆国が世界標準足りうるのかという疑問が残る。 なお、以上の点はすでに別途研究を進めつつあり、本研究ではそれらを踏まえて、こうしたダブルスタンダードの背後にある自由観や市場観の特殊性を析出することにより、それをグローバル基準とすることが他国の人権保障や統治構造に与える影響を、日本のみならず社会的市場経済理念を掲げるドイツなどとも対比させながら検討してきた。そのうえで、加速するグローバル化の流れの中で日本国憲法が果たすべき役割を憲法論として提示することが本研究の最終目的であるが、前記のように、この一年でその前提作業の目途をつけたところである。 今後は、アメリカ合衆国が主唱するグローバル化が日本国憲法の人権保障や統治構造に与える影響、とりわけ両者が矛盾抵触する可能性がある点を具体的に検証し、その原因を原理的に析出することで、一国の憲法が経済や社会のグローバル化と共存するありかたを検討することに重点を移し、引き続き検討を行う。

  • アメリカ合衆国において銃の所持規制と医療保険の制度化に困難が伴う理由を近代憲法原理の観点から検討する

    2013年  

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    アメリカ合衆国における銃規制の不在をめぐっては、日本国内でも若干の先行研究が存在しているため、それらを検討することから研究に着手した。銃規制の不在に関しては、広範な国土において隅々に至るまで警察が秩序維持を実現することは困難であったこと、しかし他方で人種的差別観点からの特定人種の武装解除という意味における銃規制は存在したこと等が指摘されてきている。これらは概していえば同国の環境と歴史に銃規制の不在の根拠を求める点で、その特殊性に根拠を求めるものである。他方、本研究が着目するのは、こうした偶然の事情の背後にある原理的観点である。 それを要約すれば、自律・自助の原則であるが、それは警察力の不在の裏返しという面がある。自らの身を守るためには武装の権利が保障されるべきだという観点からのアメリカ合衆国憲法修正第2条の背後にある思考は抽象化すればそのようなものであろう。それはしかし、近代憲法原理の下では政府を通じて実現されるべきものともいえ、そうであれば銃規制こそが自然のなりゆきであったはずである。近代憲法原理を確立する一翼を担ったアメリカ合衆国憲法がなぜこれに逆行する態度をとるにいたったのかを、憲法理論の関係から考察することが本研究のテーマのひとつである。 他方、公的医療保険制度の不在についても、抽象的には自律・自助の原則ゆえに民間保険に依存するシステムが構築されてきたと説明することが一応可能である。実際、同国初の公的医療保険制度は2014年に実施が予定されながら、共和党の反対をはじめとするさまざまな要因によって、延期を余儀なくされている。2012年の大統領選挙ではオバマの対立候補であった共和党のロムニーは、マサチューセッツ州知事時代に、オバマケアと根本的違いはない公的医療保険制度を成立させていたが、大統領選ではオバマの医療制度改革に真っ向から反対の論陣を張っていた。 これは、共和党の掲げる「小さな政府」、その背後にある自律・自助の原則という同党の掲げる基本原則ゆえであろう。しかし、公的保険制度もまた欧米の近代国家において一般化したものであり、アメリカ合衆国だけが異なる態度をとることには固有の理由があるはずであるそれを近代憲法原理との関係で原理的に検討することを本研究はもうひとつのテーマとしている。このように、銃規制と公的医療保険制度という一見すると全く異なる問題の背後にある原理を検証することで、アメリカ合衆国の「例外」性を明らかにすること、それを通じてアメリカ流のルールをグローバル化することと近代憲法原理との相克を示すことが本研究の基本的課題である。 現在、医療保険制度改革をめぐって下された連邦最高裁判決を軸に、公的医療保険制度の導入がなぜこれほどに抵抗を受けるのかに関する論考を執筆中であり、近日中に公刊予定である。

  • 東日本大震災における法的諸問題

    2011年  

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    東日本大震災における法的諸問題 東日本大震災の特徴は、地震という、それ自体は責任を問う相手が存在しない自然現象と、それがきっかけとなって起きた原発災害という人為的な事故が分かちがたく結びついて、復旧・復興を妨げている点にある。町や村を復旧・復興しようにも、放射能汚染を取り除かなければ、その先に進むことができないのである。その責任を負うのは誰か。家や仕事を奪われた人々の損害を賠償すべきは、誰なのか。政府なのか、事故を起こした民間企業なのか。まずは、この点を考えることが本研究の第一の課題であった。他方、「政府の役割と民間の役割」論は、もともと政府の役割の極小化を説く「小さな政府」論を正当化する文脈で登場した。そのことからもわかるように、実際にはそれまでの役割に変更を迫るときに、この種の問いが生じる。経済を司るべきは政府と民間のどちらなのか―市場における主要なアクターである民間だ、というおなじみの議論がそれである。この場合、震災からの復旧・復興を実現するために、政府規制を強化すべきか、それとも市場の自由を拡大すべきかが問われる。しかし、このレベルの問いであれば、せいぜい復旧・復興に有益な方を採用すればよいというだけで、一般論としてこの問いを検討しても得るものはない。しかし、復旧・復興の具体的文脈に即して考えてみると、実はさまざまな問題点が見えてくる。今回被災した地域は、最近ではモノ造りでも名高いが、伝統的には農業や漁業等の第一次産業で知られる地域である。誤解を恐れずにいえば、既得権の集積地である。そして、市場の自由拡大論によって大きく影響を受けるのは、後者に他ならない。被災地の漁業の多くが壊滅的な被害を受けたことは周知の通りであるが、復興基本計画においては、「漁業特区」構想が提起されている。これは、民間企業の参入を促進し、投資資金の確保や後継者不足の解消、設備の近代化等を図ることを狙いとしている。この構想の前提には、現在の漁業法では、漁業協同組合(漁協)だけが漁場ごとの漁業権の優先順位1位を持ち、漁協が拒否すれば、民間企業は参入できないという規制がある。これを緩和して、特区では地元業者が作る法人や組合も漁業権を持てるようにし、民間企業による出資や共同事業に道を開くことを可能にしようという構想なのである。一見すると、高齢化と後継者不足が深刻化しているといわれる漁業にとってはプラス面が多く、これを認めない理由はなさそうにも思える。 しかし、たとえば岩手県の漁業は沿岸漁協や養殖業を主体とした小規模経営が中心で、漁協が中心となって漁場を管理し、計画的な養殖など持続可能な水産業を実践し、後継者を育ててきており、地域のコミュニティ自体が、漁協を中心とする水産業を通じて形成されているから、復興にあたっても漁協が核となるべきだという議論もある。復旧と復興という言葉を、辞書的正確さを脇において感覚的に捉えると、前者は元に戻すことに重点があるのに対し、後者には、新たなことを始めて勃興するといったアニュアンスを感じとることもできる。ここに、「政府の役割と民間の役割」に関する第三の要素が顔を出す。果たして、震災からの復旧と復興のいずれを目指すべきなのか。復旧は、どちらかといえば既得権を擁護しつつ生活復興を目指すのに対し、復興は規制を緩和して既得権を打破しながら、経済復興を目指すものとやや誇張して捉えれば、これは市場の自由化論とも密接にかかわる問題であることがわかる。もっとも、どちらを採用するかはしょせん地域の実情に応じて異なる政策選択の問題で、法的評価の対象にはならないと考えるのが、法律家の一般的反応である。 だが、実はそうではない。憲法学の通説によれば、財産権は既得権の集積なのだからである。このような立場からすれば、漁業権規制を緩和するかどうかは憲法上の権利保障にかかわる問題として、政府の責任が生じる余地もある。このような目で復興計画や復興基本法を捉えると、それらが実は野放しの政策問題ではなく、憲法問題としての側面を有することがわかる。以上のような観点から、復旧及び復興における政府と民間の役割と責任を検討する際の基本的視点を得ることが本年度の課題であり、それは達成できたと考える。

  • 福祉国家の「再建」

    2003年  

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    表記課題について、「社会経済構造の改革と日本国憲法(上)(下)」というタイトルの論文を執筆した。福祉国家の再建という課題は、戦後に形成された日本型「福祉国家」が、高度経済成長の時代を背景に、競争制限的行政指導などの産業政策を通じて実現されてきた側面があることから、その成立の背景を検証することが重要な意味をもつ。近時の「構造改革」論議は、そうした戦後社会の解体論としての側面を有するものであるが、果たして戦後経済社会、それを背景とする福祉国家の形成は否定的にのみ捉えられるべきものであったのか。本論文は、こうした問題を日本国憲法との関係で論じたもので、そのことにより福祉国家再建の道筋を考えることを狙いとしている。

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